JR東日本スタートアップが2020年度のアクセラレーションプログラムの募集開始

東日本旅客鉄道とJR東日本スタートアップは4月13日、 優れた事業アイデアを有するスタートアップ企業などとの協業によるビジネス創造の取り組みとして「JR東日本スタートアッププログラム2020」を開催することを発表した。

同プログラムは2017年度から開催している取り組みで、 これまでに計63件の提案を採択。 鉄道事業や生活サービス事業、 IT・Suica事業など幅広い分野の実証実験を進め、一部は実用化に漕ぎ着けている。4回目となる2020年度のテーマは、地方創生、観光・インバウンド、スマートライフの3つ。

地方創生
東日本大震災発生から10年の節目を迎える東北エリアをはじめとした「地方創生」の推進

観光・インバウンド
新たな視点での観光資源活性化や地域の魅力創出などの「観光・インバウンド」事業の創造

スマートライフ
テレワーク・デュアルライフなどの社会的なニーズへの対応、 デジタルトランスフォーメーションによる新たな消費行動など、 新しい働き方や暮らし方の提案としての「スマートライフ」の実現

具体的な事業領域は以下のとおり。設立(起業)から10年以外の企業で、年度内に実証実験が可能なプロダクトやサービスが対象だ。

  1. 人・モノ・情報をタイムリーに結び付け、 利便性を高めるサービスの創出
  2. 出発地から目的地までをスムーズにつなぐ快適な移動の創造
  3. より安心・安全な輸送、 サービス向上に資する技術革新
  4. 魅力あるサービスの提供を通じ、 国内外の多様な人々が集い楽しめる場としての駅づくり
  5. 地域の雇用・移住・観光の促進
  6. 環境負荷の少ないエネルギーや安全で安定した食糧の供給など社会的課題の解決

応募期間は5月31日までを予定しており、JR東日本スタートアッププログラム専用ページから申し込める。応募条件と選考スケジュールは以下のとおり。選考に残った企業は、1社をスタートアップ大賞、1〜2社を優秀賞、同じく1〜2社をその他各賞を授与され、それぞれ100万円、50万円、10万円の支援金を受け取れる。

応募条件

  • 提案内容が新規性を備えていること。
  • JR東日本グループのリソース・アセットを活用すること。
  • 応募者・JR東日本グループにとって新たな事業展開に繋がる取組みであること。

選考スケジュール

  • 応募締切:5月31日
  • 書類審査結果通知:6月30日
  • プレゼン審査(非公開):7月中
  • アクセラレーション期間:8月~
  • Demo Day(公開):11月
  • 実証実験:12月~

荷物預かりサービスのecbo cloakがJR新宿駅に土日祝に限定で新拠点

荷物預かりサービス「ecbo cloak」(エクボクローク)を展開しているecboは4月24日、東日本旅客鉄道、ジェイアール東日本物流と共同で、JR新宿駅構内の手荷物預かり所にecbo cloakを土日祝限定で導入することを発表した。

事前予約はすでにスタートしており、実際に預け入れができるのは4月27日朝11時からとなる。預かり場所は、JR新宿駅の中央東口改札内。中央東口改札から埼京線と湘南新宿ラインが停車する3、4番線に向かうと見えてくるトイレの手前あたりに預かり場所が設置されている。

JR東日本によると、東京を訪れる訪日外国人の約60%が新宿に立ち寄るそうで、新宿駅の乗降客数は1日あたり347万人と世界で最も多いとのこと。その一方で、コインロッカーの総数は2280個、スーツケースの入る大型サイズは386個しかないそうだ。JR新宿駅では、これまでも手荷物預かり所を設置して対応していたが、高い需要に対して十分なサービスを提供できていなかったという。この問題を改善するため、土日祝に限定でecbo cloakの導入に踏み切ったそうだ。

ecbo cloakは、駅だけでなく駅周辺の遊休スペースを活用することで大量の荷物の受け入れを可能にする。事前にスマホで予約・決済できるうえ、専用のスマホアプリは多言語対応しているため訪日外国人も利用しやすいというメリットがある。ecboは、同サービスによりコインロッカー不足や大型に持つによる鉄道や街中の混雑の解消に取り組む。

JR新宿駅でのecbo cloakのサービス概要は以下のとおり。土日祝のみの営業のため、複数日にまたがる預け入れが不可となっている点に注意したい。

利用開始日:4月27日(予約受け付け中)
取扱時間:11時~21時
利用料金(税込):荷物サイズに関わらず一律800円/日・個
営業日:土日祝
当日予約:可能
複数日予約:不可
荷物の預かり可能個数:30個

JR東日本とWAmazingが訪日外国人向けフリーパスのアプリ決済を実証実験

東日本旅客鉄道JR東日本スタートアップWAmazing(ワメイジング)の3社は1月23日、成田空港で訪日外国人旅行者の利便性向上を目的とした実証実験を実施することを発表した。実証実験の期間は2019年2月1日~3月31日。

JR TOKYO Wide Pass

実験期間中は、JR東日本が販売する訪日外国人旅行者向けフリーパス「JR TOKYO Wide Pass」を、WAmazingのアプリ「WAmazing」とWeChatミニプログラム「小票夹」で購入可能になる。これにより、同フリーパスの予約や決済、受け取りまでのハードルを低くするのが狙い。

JR TOKYO Wide Passはこれまでも、首都圏の空港やターミナル駅の「JR EAST Travel Service Center」などで発売していたが、実験期間中はスマホアプリで好きな時間に購入できるというわけだ。決済には、VISAもしくはMasterCardブランドのクレジットカード、もしくはWeChatPayとなる。

訪日外国人はこのフリーパスを使うことで、関東エリアの新幹線や特急列車の指定席を3日間自由に使える。首都圏はもちろん、越後湯沢駅やガーラ湯沢駅などのエリアでも利用可能だ。

アプリ上で購入したあとは発行されるQRコードを読み取り機にかざす必要があるほか、パスポートのスキャンも必要。フリーパスはスタッフからの手渡しだ

実際にフリーパスを入手するには、アプリで購入すると発行されるQRコードを、受取場所に設置されたQR読み取り用タブレット端末にかざす必要がある。そのあとに、タブレット端末の付属スキャナーでパスポートをスキャンすると、カウンタースタッフから「JR TOKYO Wide Pass」を受け取れる。アプリ上ですべて完結するわけでなく最終的に人手が必要なのは残念だが、購入までのハードルはいくぶん低くなるだろう。なお、スマホ経由で購入できるのは大人用の1万円のフリーパスで、子供用の5000円のものは窓口で買う必要がある。

WAmazingは、訪日外国人向けのアプリや日本国内の国際空港で無料SIMを配布しているスタートアップ。デロイトトーマツベンチャーサポートが1月に実施した「Morning Pitch Special Edition 2019」で最優秀賞に輝いた企業だ。同社が配布するSIMは、訪日外国人が日本滞在中の15日間、容量500MBまでを無料で利用できるというもの。もちろん容量は追加購入が可能だ。

JR東日本スタートアップは、JR東日本のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)。駅や鉄道、 グループ事業の経営資源や情報資産を活用したビジネス・サービスの提案を募り、 ブラッシュアップを経て実現していく「JR東日本スタートアッププログラム」を開催している。