アップル2021年春の新製品イベントは投資家マインドに響かず、株価は微減

Apple(アップル)の米国時間4月20日の新製品発表イベントには同社の今後の成長と業績についての多くの情報が含まれていた。こうした情報は株式市場にとってAppleが期待に応えるかのか下回るのかを決める重要なヒントになるはずだった。しかし実際にはAppleの株価はほとんど動かなかった。

つまり新たな常識はこういうことだ。「Appleが新製品、新サービス、新ソフト、新周辺機器などをいくら発表しようと株価に影響しない」。Appleといえども四半期決算の発表は株価に影響することがある。しかし新製品の予告では対した影響は出ない。

少なくともTechCrunchが注目している間には多きな動きはありそうにない(こちらに詳しい記事)。Appleのユーザー(とマスコミ)はApple製品に熱狂的だ。見たものについて非常に声高に語る。一方、投資家はその間、いわば黙々とランチを食べていた。

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今回のAppleイベントの結果はといえば、場内の引け値は1.28%下落、その後さらに時間外取引で0.36%下落した。株価はイベントが始まった時には133.40ドルだったが現在は133.11ドルだ。Appleはこのイベントで逆風が強まるのを防ぐことはできなかった。

Yahoo Financeによれば、市場の総合的な状態を示すNASDAQ指数は0.92%の下げだった。

言い方を変えると、Appleからの多数の発表クレジットカードをアップデートすること、ポッドキャストアプリをリニューアルして有料会員をサポートすること、iPhoneのカラバリに紫色を追加すること、AirTagsを本当に準備していること、ついに新しいApple TVが登場すること、新しいiMacがとてもホットであるらしいこと、新しいiPad(iPad Proを含む)が登場すること、等々のニュースは投資家からは概ね無視された。

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使い古されているのでここには「君らは退屈しているのか?」という(映画の)「Gladiator(グラディエーター)」をネタにしたGIFは貼らないでおくが、こうした結果になったのには理由がある。投資家は決算の数字にしか注意を払わない。将来の決算の収入の源となるはずの製品には目を向けず、影響が出たら出たときに改めて検討すればいいと考えるわけだ。Yahoo Financeのグラフを貼っておく。

 

画像クレジット:YCharts

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カテゴリー:イベント情報
タグ:AppleAPPLE SPRING HARDWARE EVENT 2021株価

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:滑川海彦@Facebook

テスラが最大5300億円の新規株式売り出しを発表、株価は3月中旬から598%上昇

Tesla(テスラ)は米国時間9月1日、最大50億ドル(約5300億円)の新規株式を売り出すと発表した。同社の株価が過去にない上昇を続けていることを受けた動きだ。

同社は、米証券取引委員会に提出した申請書の中(Teslaリリース)で「成行注文」提供プログラムを通じて「その時々に」株式を売る、とした。Goldman Sachs(ゴールドマンサックス)、BofA Securities(バンク・オブ・アメリカ・セキュリティズ)、Capital Inc.(キャピタルインク)、Citigroup Global Markets Inc(シティグループ・ グローバル・マーケッツインク)、Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)などがテスラの意向を汲んで株式を販売する。

テスラ株は9月1日、ニュースを受けて下落して始まった。午前中に4.25%安になり、その後戻した。記事執筆時点での株価は株式分割後の価格で0.34%安の469.40ドル(約4万9700円)だ。

同社は新たに調達することが予想される資金の詳細な計画は示さなかった。その代わり、申請書の中で「財務のさらなる強化と一般事業目的」に使うつもりだと述べた。

新たな資金の注ぎ込み先はたくさんあるだろう。同社は日々のオペレーションに加え、ベルリンやオースティン近くの工場を含むいくつかの建設プロジェクトを抱える。

同社は急上昇中の株価の力を最大限引き出すためにすでに動いていた。2020年8月に役員会は、株式1株を5株に分割することを承認した。分割の発表は、このところテスラ株が急上昇していたのに続くものだ。

8月31日に1株が5株に分割されるのを控え、同社の株価は8月28日に2213.40ドル(約23万4500円)をつけた。分割後の取引開始価格は444.61ドル(約4万7100円)。個人投資家がチャンスとばかりに飛びつき、これまでより小さい価格でもテスラ株の勢いは削がれなかった。分割後の株価は8月31日に12.6%上昇し、498.32ドル(約5万2800円)で引けた。

1年前、テスラ株は227.45ドル(約2万4100円)だった(分割調整価格では45ドル、約4770円)。2020年3月までは上昇と下落を繰り返していたが、その後上昇トレンドに乗った。3月18日以来、テスラの株価は598%上昇した。

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カテゴリー:モビリティ

タグ:Tesla イーロン・マスク

画像クレジット:David Paul Morris / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

マスク氏の「Semiトラック大量生産」メモでテスラ株価が1000ドル超え

Tesla(テスラ)のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏がメモの中で、3年近く前に発表した電動大型トラック(クラス8)のTesla Semiについて「『全力を尽くし』て大量生産を開始するときだ」と述べた。

従業員向けのメモについてはCNBCが最初に報じた。TechCrunchもこの短いメモを確認したが、大量生産がいつ始まるかなどの詳細は書かれていなかった。マスク氏はメモが事実であることをTwitter(ツイッター)で認めた。

漠然とした内容のメモと、メモを認める「イエス」という言葉はウォール街にとっては十分なものだった。テスラの株価は米国時間6月10日朝に6%超上昇し、1000ドル(約10万6960円)を超えた。米国東部時間午前10時50分時点で1009.84ドル(約10万8000円)だった。同社の時価総額は今や1870億ドル(約20兆円)超となった。

「Tesla Semiは限定的に生産されてきた。これにより、デザイン面で多くの点を改善できた」とマスク氏はメモで述べた。バッテリーとパワートレインはネバダ州スパークスにある同社のギガファクトリーで生産される。マスク氏はトラックそのものがどこで生産されるのか言及しなかったが、他の作業はおそらくネバダ州以外で行われる、とメモに記した。

メモ全文は以下のとおりだ。

Tesla Semiを大量生産すべく、全力投球するときだ。これまで限定生産されてきたが、これによりデザイン面で多くの点を改善できた。バッテリーとパワートレインの生産はネバダ州のギガで行われ、その他のほとんどはおそらく他州でとなる。ジェロームと私はこの素晴らしいプロダクトをマーケットに投入するためにあなたたちと共に働くことを楽しみにしている!

最終組立てがどこで行われるかTwitterで聞かれたマスク氏は「いずれわかる」と答えた。

Tesla Semiは2017年11月にデビューしたとき、大評判となった。発表の際、マスク氏はSemiがModel X、Model S、Model 3のような走りになると約束した。またこのトラックには驚くべきスペックが備わっていた。そのうちの1つが、フル積載状態で時速65マイル(105km)で走行したときの航続距離が500マイル(約805km)というものだ。

SemiはすぐさまModel 3の影に隠れた。Model 3は数カ月も生産が追いつかなかった。そしてModel Yがデビューし、生産が始まった。そのうちSemiはTeslaの決算報告から姿を消した。

今年初めの第4四半期決算で、同社はそれまでの数カ月で初めてSemiについてアップデートし、「今年台数限定で生産する計画だ」と述べた。

その後同社は直近の四半期決算発表の中で、Semiの生産・販売時期を2021年に後ろ倒しにすると明らかにした。当初の目標から2年遅れとなる。

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(翻訳:Mizoguchi

再び上昇するSaaSの評価額に何が起きているのか?

SaaSの株価は再び上昇しているが、私はその理由を理解できたと思う。

もっと正確にいえば、他の人たちが何を考えているのかがわかったのだと思う。ツイートを読んだり、VCから電話で話を聞いたり、あるいは今朝270億ドル(約2兆9000億円)規模のクラウド企業のCEOとチャットしたりして、厳格な事実確認を行なうことで、すべての辻褄が合った。

まずは、ある程度の背景説明から始めよう。

米国時間5月21日の金曜日、すなわち米国経済がさらに240万人分の雇用を失い、新型コロナウイルス(COVID-19)の失職者数が4000万人に迫った日の翌日に、SaaSとクラウド企業の株価は再び過去最高値を付けた(Bessemerクラウドインデックスによる)。

この特定株の一群のインデックスは、一般の投資家がSaaS企業をどのように評価しているかを、私たちが理解するために知っておくべき、どんな時にも使える最高の指標だ。そして、これまで私が、読者がうんざりするほど記事にしてきたように、パブリックSaaSの評価額はプライベートSaaSの評価額に影響を与える。BessemerのMary D’Onofrio(マリー・ドノフリオ)氏が ここで説明したように、連動はややゆっくりだが、SaaSの株価が急上昇または急下降すると、SaaSスタートアップの評価額も変動する。

世界の現状を考えると、何度かの高値を経た後で達成された今週の高値は奇妙なものに思える。確かに株式市場は新型コロナウイルスが押し下げた3月の水準からはおおむね回復しているが、連続した高値更新は、他の公開企業たちがなんとか成し遂げてきたような(もちろん全部ではない)以前の水準に戻ることに比べれば容易なことではない。

これは、私やBessemerの予想を超えた高値更新なのだ。Meritech Capitalは今週の初めに「世界的なパンデミックの真っ只中で、公開SaaS企業の評価額はかつてないほどのピークに届いている」と述べている。しかしこうした評価額が、単に高い成長を見込まれている企業に対して予測されていると考えてはならない。同時にMeritechの報告は次のように書いている「一般的にこれらのビジネスの見通しは、2月以降それほど変化していない。ただし第1四半期の収益に関しては、ほとんどすべての場合経営陣は投資家に対して黄色の警告フラッグを振って、予測値を引き下げた」。

厳しいだろう?

RedpointのJamin Ball(ジャミン・ボール)氏がTwitterで指摘したように、成長が鈍化するという警告サインはいくつか見られている。

3月で終了した四半期では38社のうち35社が、予想収益を上回った(そして達成できななかった残りの3社のうちの1社はEventbrigetだ)。そして5月22日には2つのクラウドビジネスが4月の四半期終了を報告しているが、どちらも予測値を上回っていない。Splunkは次の四半期で5%の減収を予想している。新型コロナウイルス感染症の影響が出始めているのだ。

だがそんなことは関係ない!市場には関わりのないことだ。なにしろ、信じられない高値記録がやってきているのだ。

どうしてこれが起きているのかを話そう。

新型コロナ時代のSaaS評価額ハイブリッド理論

思うにこれは、私がこうした話題に触れた3つ目の記事だ(他の2つはこちらこちら)、そこでこれまで述べた基礎の上に、多少の追加を行っていくことにしよう。

これまでの議論を箇条書きで示す。

  • ・投資家たちは成長への投資を望んでおり、多くの企業が成長するのに大変な苦労を強いられる中で、デジタル関連はいまだにまずまずの業績を挙げている。そこで資本が他の株式からデジタル企業へと流れているのだが、その多くがSaaS企業なのだ。この傾向は以下によって加速されている。
  • ・ZIRP(ゼロ金利政策)、すなわち資金が溢れている時代。2度目の金利引き上げ(米国大統領によってすぐに批判され、自由落下経済によって打ちのめされた)の後、資金調達には再びコストがかからなくなり、金利はゴミのようなものになった。これにより投資家は、自分の資金を詰め込むことのできる何らかのリターンを生み出す場所を探し求めるようになった。ということで、資本はこれまでの安全な場所から離れて、代わりに何らかのリターンが期待できる場所へと流れているのだ。例えばSaaSのようなところへ。
  • ・上記の2つの(互いに関連した)ポイントは、CEOやCTOたちおよび読者がこれまで参加してきたすべてのウェビナーが今やデジタルトランスフォーメーションを恐ろしいスピードで進めているという事実によって、さらに裏打ちされることになるだろう。いや冗談ではなく、これは真実なのだ。単にBoxのCEOのLevie(レヴィ)氏が、フォロワーが減ってきたときに一発かますツイートのようなものだけではない。その加速によって、投資家はこの先何が起こるかについて非常に期待している。したがって、SaaSの株価は上昇するというわけだ。

5月22日朝、私はSplunkのCEOであるDoug Merritt(ダグ・メリット)氏と、30分間ほど雑談をした。それは実りの多いものだった。 彼の会社の収益レポートについて掘り下げた後(SaaSの変革の継続、収益予想への逆風、大量の現金、年間定額収益の増加、そして会社がすべての従業員に対して株式を手厚く渡していることなどがその内容だ)、私はSplunkの業績報告書の中で彼が言及したデジタルトランスフォーメーションは、実際に物事をクラウドにすばやく移行させているのか、すなわちSaaSの株価を押し上げているのかと尋ねた。

彼はそれを認めた。

ということでSaaSラリーの原動力となっているもの、評価額を冗談レベルまで引き上げているのは、貪欲な2つの要素(他の株式からSaaSへの資金転用と、ZIRPによる金利の制限による数少ないカゴへの誘導)と、常識(もしSaaS企業がデジタルトランスフォーメーションのトレンドに乗っているなら、その加速が長期的な成長見込みを押し上げる可能性がある)なのだ(なお私たちがSaaSならびにクラウド企業を評価する際には、利益ではなく売上を見ていることを思い出して欲しい)。

納得していただけただろうか?

ともあれ、これがインターネットに掲載される5月25日からの週に、私は1週間の休暇をとる。みなさん、どうぞお楽しみを。そしてSaaS株がどうなるか私に教えて欲しい。昼寝をすることになっているときに、私がもしすばやく株式市場の動きをチェックしようとしたら、パートナーから別れを切り出されることは確実だ。それでは。

画像クレジット:Annie Spratt (opens in a new window)Unsplash  under a license. (Image has been modified)

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(翻訳:sako)

米国株が新型コロナの懸念緩和で急反発

米国時間4月6日、米国株が元気を取り戻した。投資家が新型コロナウイルス(COVID-19)に関わるあらゆるプラス要因に飛びつき、主要インデックスはすべてプラス領域に転じた。

株式市場はもちろん経済ではない。そしてこれは、「デッド・キャット・バウンス」、大暴落の後の一時的な小幅回復にすぎない可能性が高い。問題はこれから先何回デッド・キャット・バウンスが起きるかだ。

そして、新型コロナ・パンデミックによる経済低迷が続いている中、新型コロナの新たな感染例の増加が減速しているというジョンズ・ホプキンス大学のデータを投資家は見逃さなかった。現在最も信頼されている同大学の新型コロナウイルスマップによると、3月31日に2万5200件だった米国内の新たな感染者数は、4月3日には3万3300件だった。そして4月4日はこの数字が2万8200に下がった。ただし、若干異なる結果を示している統計データもほかにはある。

今日の復調は、新型コロナの感染拡大が続き、最終的にピークを迎え安定するまで、今後数日、数週間で試されていくだろう。国立アレルギー感染症研究所の所長で政府の新型コロナ対策を指南するAnthony Fauci(アンソニー・ファウチ)博士は、感染者数と死者数は来週急増する可能性が高いと警告している。

今日の株式状況は以下の通りだ。

  • Dow Jones Industrial Average(ダウ平均株価):7.59%、1,597.21ドル高、終値2万2649.74ドル
  • S&P 500:6.95%、172.86ポイント高、終値2,661.51ポイント
  • Nasdaq composite(ナスダック総合指数):7.33%、540.15ポイント高、終値7,913.24

他にも、新たな売上ガイダンスやアナリストのコメントなどの間接的新型コロナ要因が、一部の株価を変動させた。

eBay(イーベイ)、Amazon(アマゾン)をはじめとするEコマース株もプラスの動きを見せた。中でもオンライン小売業のWayfair(ウェイフェア)はおそらくこの分野で最大の上昇だった。同社が3月末決算で粗利益が2倍以上に伸びたことを報告した後、36%高で寄り付いた。Wayfairの株価は41.7%高、終値は71.50ドルだった。

音楽ストリーミングのSpotify(スポティファイ)は、Raymond James(レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャル)が同社株の投資判断を「strong by(強い買い)」から「market perform(中立)」に格下げし、新型コロナはエンゲージメント低下とダウンロード数減少を招き、ユーザーは室内で過ごす時間が増えたと説明したことで、株価は4%以上下落した。Spotify株はその日のうちになんとか回復し、終値は約0.33%高の122.52ドルだった。

この日はSaaS関連株も反発し、Bessemerのクラウドインデックスは6.79%上昇した。SaaSなどの新しいソフトウェアを扱う企業は、ここ数年大きく売上を伸ばしている。しかし、インデックス下落の後をたどり、未だに下げ相場の領域にいる。

我々は今、強い不安定経済期の中で決算発表シーズンに入ろうとしている。今後株式市場がどのように動くかは、企業が2020年第1四半期にどのような業績を上げ、将来をどう予測しているかに、少なくとも部分的には依存する。注目したい。

画像クレジット:Heye Jensen / Unsplash

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米国市場は記録的失業数は影響せず再び株価が上昇

およそ660万人が失業保険を申請した歴史的失業率が報じられる中、米国の株価は米国時間4月2日の通常取引時間に上昇した。

新型コロナによる米国内死者数の恐ろしい推定値が株価の下落をよび、政府の感染速度緩和の対策による経済低迷が続く中、米国の主要インデックスはそろって上昇した。

一方で米国連邦政府は、 CARES法の刺激策の一環として2兆ドル近い資金を米国経済に投入する方法の詳細を詰めているところだ。そして製薬会社と医療機器会社は診断ツールの改善ウイルス治療の新たな方法の開発のために休みなく働き、ワクチン開発規制当局の承認プロセスに向けてゆっくりと進んでいる。

主要3インデックスの数字は以下のとおり。

  • Dow Jones Industrial Average(ダウ平均株価):+469.93ドル、+2.24%
  • S&P 500:+56.40ポイント、+2.28%
  • Nasdaq Composite:(ナスダック総合指数) +126.73ポイント、+1.72%

テック株の多いNasdaqの上昇率は主要インデックス中で最も低く、この良き日がテクノロジー業界にとって必ずしも明るいものではないことを示している。この事実は、SaaS関連およびクラウド株の大量売りによる急落が強調しており、ベンチャーキャピタルのBessemer(ベッセマー)が算出したクラウドインデックスはこの日1.4%下落した。Nasdaqはいまだに下げ相場の領域にいる。

今日の時間外取引でTesla株は、同社が株主を喜ばせる納車台数を発表した後値上がりした。気まぐれな自動車会社はこの3ヶ月の期間に8万8400台を納車したことを発表し、予測されていた7万9900台(FactSetによる)を上回った。

今後を見渡すと、新たな失業者数が示唆する大規模な経済的影響を市場が消化できているとは感じられない。雇用率が急落し、世界中の経済が商業より安全を優先する中、世界は一時停止や静止どころではなくなるかもしれない。われわれは大恐慌の第一週を見下ろしているのかもしれない。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米国史上最悪の失業率にも株価は急騰

米国時間3月26日、米国が最近50年で最悪の失業率を記録したにもかかわらず、株価は急騰した。実体経済が受けた痛みは、新型コロナウイルス感染増加によるビジネス閉鎖を受けて政府がウォール街や企業、(いずれは)労働者に対して、2兆ドル(217兆円)の景気刺激策として資金を投じると決定したことで、投資家にとっては相殺されたかたちとなった。

計画の詳細とスタートアップ企業への影響はまだ明らかにされていないが、低金利の融資が利用可能になることで大企業、中小企業ともに資金の目処がつき、この国最大の都市で起きている長期にわたる封鎖が続いたとしても、破綻を免れることができるだろう。

数値の変化は以下のとおり。

  • ダウ平均株価は6.38%、1351.62ドル高の2万2552.17ドルで引けた。
  • S&P 500指数は6.24%、154.51ポイント上げて2630.07ポイントで終えた。
  • Nasdaq総合指数は5.60%、413.24ポイント上げて7797.54ポイントとなった。

テック株は市場全般にならって高値でこの日を終えた。Facebookは4.5%近く、Alphabet(Googleの親会社)は5.5%高値をつけた。Apple株も5%以上、Amazonも3%、それぞれこの1日で上昇した。

画像クレジット:Hiroshi Watanabe / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SaaS株も8%安で弱気領域に近づいたが、まだパニックには及ばない

株式市場は内外ともさんざんだったという記事を先ほど書いたところだ。新型コロナウイルス、COVID-19の脅威が続く中で原油安というダブルパンチを受けて米国の主要経済指標はすべてダウンした。しかしテクノロジー系企業に強いNasdaqの下げ幅は最小で、7.29%下げの7950.68ドルにとどまった。

ただ留意すべきポイントがある。テクノロジー業界は全体としては他の米国の株式指標ほど下落しなかったが、肝心の部分、つまりSaaSおよびクラウド企業の株価の下げ率はダウ平均やS&P 500を上回った(Bessemer-Nasdaq指数)。

実際、クラウド企業をバスケットにしたBVP Nasdaq Emerging Cloud指数は8.28%下げの1134.51ドルで引けた。これは2019年10月の水準に戻ったことを意味する。 バスケットの揺れを考えても、この指数は過去52週の安値をわずか7%上回るに過ぎず高値から21%も下げている(Financial Timesによる過去52週のデータ)。

伝統的基準でいうと、弱気相場と分類するためには最近の高値から20%下落していなければならない。SaaSとクラウドの株はまだここまで達していないが「調整(correction)」の局面には入っている(最近の高値からの10%の下げを「調整」という)。他の主要な指数は弱気相場をわずかに上回っているが、明日、3月10日にはほぼ間違いなく弱気相場になっているだろう。残念ながらここに落ち込んだのはSaaSが最初だ。

ただし(まだ)慌てる必要はない

SaaS株の値動きが警戒すべき領域に近づいたのはわずか3日前だ。私の記事(Extra Crunch)にはTwitterでかなりの反発があった。SaaSの成功に賭けている投資家には私がこのカテゴリー自体をディスっているように感じられたようだ。実際はその反対で、SaaS企業の株価は依然として十分に高い。投資家が他業種の株以上にSaaS株を売るということも考えられない。

このカテゴリーの企業が史上最高値をつけたのは2月中旬頃、わずか数週間前だが、今はSaaS株の見通しに対して、(少なくとも)短期的な楽観主義は減じた。しかし、今日の暴落は広範囲に及んだものの、株価売上高倍率(PS Ratio)を見ると、さほど悪くなってはいない。たとえば、

  • Atlassianは7.87%下げたが、株価売上高倍率は23倍もある(YChartsによる)。
  • Slackは6.13%下げたが、株価売上高倍率は21.24倍だ(これもYCharts)。

だからといって、SaaS企業が今日受けた打撃がなくなるわけではない。多くのSaaSスタートアップは、このカテゴリーのリーダー企業の株価が下がったことを見て深刻な痛みを感じたに違いない。しかしSaaSのトップ企業の運営は順調であり、その地位がゆらぐ気配はない。カテゴリー全体を見渡しても株価は十分高い水準にある。なるほど調整が入ったことは確かだが、今のところそれだけだ。もちろん今日のような下げが何度も続くようなことになれば心配し始めねばならない。

画像:Getty Images

【Japan編集部追記】YChartのPS比では、IBMは1.381、Oracleは3.986、Microsoftは8.634となっている。

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滑川海彦@Facebook

Amazonが四半期決算発表でついに1兆ドルクラブ入り、Alphabetは外れる

ベンチャー投資の動向などが懸念されているものの、アメリカのテクノロジー企業は堅調だ。

1月31日の四半期決算ラッシュを受けて、Amazonの株価は2月1日の朝、寄り付きから上げ始め、時価総額がついに1兆ドルを超えた(その後やや下げて1兆ドルをわずかに下回っている)。

Aamazonの規模と利益の着実な成長は、投資家にとってこの上ない贈り物だった。シアトルで時価総額1兆ドル(約108兆3350億円)を記録した企業はMicrosoftに次いで2社目となる。

そのMicrosoftはAppleと並んで決算発表の後、高い利益が好感されてそれぞれ1兆ドルクラブの地位を確保した。Amazonが1兆ドル(約108兆3350億円)を記録したことで、アメリカの1兆ドルクラブのメンバーの顔ぶれが今後どうなるか気になるところだ。Alphabetは「その他の事業」の赤字が嫌気されて株価が下落し、時価総額を約9870億ドル(約106兆9266億円)に下げている。

こちらはテクノロジーのトップ企業各社の時価総額のチャートだ。

MSFT Market Cap Chart

上位4社は僅差で競り合っている。

Googleの経営陣、ことに大赤字を計上しているグループ企業のトップは1兆ドルクラブに戻るための方策を考えるのに忙しいことだろう。置いてきぼりを食ったのはFacebookで、時価総額1兆ドルのクールキッドクラブに入るためには時価総額を2倍にする必要がある。

Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はその昔「100万ドルなんてクールじゃない」と言ったことで記憶されている。今は「10億ドルなんてクールじゃない、クールなのは1兆ドルだ」だろうか。やれやれ。

【TechCrunch Japan編集部追記】 チャート作成後株価が多少変動し、Aamazonの時価総額は9969億ドル(約108兆9991億円)でAlphabetの9870億ドル(約106兆9266億円)と並んでいる。順位に変動はない(2020年2月1日朝)。トップ写真はウォールストリート近くに設置された「チャージング・ブル」と呼ばれる銅像。ブル・マーケットは「上げ相場」を意味する。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アマゾンが2年ぶりの利益未達で時間外株価7%減

Amazon(アマゾン)は米国時間10月24日の決算報告で、2年ぶりに利益目標に届かず時間外取引で約7%、118.38ドル株価を下げた。

証券アナリストらは、翌日配達(one-day shipping)がAmazonの利益をむしばむと予測していたが、そんな警告にもかかわらず投資家は時間外取引で同社株を叩いた。最も重要なホリデーシーズンを含む同社の第4四半期予測が芳しくなかったこともいい影響を与えなかった。

悪いニュースの中でにあって、Amazonの売上が伸びていることは明るい知らせだ。同四半期にAmazonは700億ドル(約7兆6000億円)を売上げ、アナリスト予測の688億ドル(約7兆4700億円)を上回った。

しかし、利益は21億ドル(約2300億円)、1株当り4.23ドルで、アナリストが予測した4.62ドルにおよばなかった。そして、今年は売上が伸びたにも関わらず、1株当たり利益は昨年同期の5.75ドルから減少した。MarketWatchが指摘しているように、同社の利益が減少したは2017年以来初めてだった。

Screen Shot 2019 10 24 at 2.24.19 PM投資家にとってもうひとつの注意信号は、同社のウェブサービス事業の売上が90億ドル(約9800億円)と、アナリストらが予測した約92億ドル(約1兆円)に届かなかったことだ。事業(前年同期より順調に35%伸びてはいる)が競争のために伸び悩むようだと、AWSの売上で他の出費を賄っている同社の株価に悪影響を及ぼす可能性がある。

Amazonは年間を通じて新サービスの提供に多額の資金を投入している。無料翌日配達サービスの拡大は、Amazonの第2四半期に8億ドル(約8700億円)以上の出費をもたらした。

同社創業者でCEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は、声明の中で翌日配達への移行を擁護した。

「顧客はプライムサービスが翌々日から翌日に変わったことを大いに喜んでいる。今年になってから数十億ドルの注文を翌日配達で受け付けた。これは大きな投資であり、顧客にとって正しい長期的決断だった」とベゾス氏は語った。「しかも、直感に反するかもしれないが、最速の配達は炭素排出量を最小限に抑える。商品が顧客に非常に近い配送センターから出荷されるからだ。長距離の空路や陸路を利用することはもはや実用的ではない。

来たるべきホリデーシーズンについて、Amazonは売上高800~865億ドル(約8兆7000億〜9兆4000億円)、営業利益12~29億ドル(約1300億〜3150億円)を見込んでいる。昨年同期の営業利益は38億ドル(約4130億円)だった。アナリストらは売上870億ドル(約9兆4540億円)以上と予測している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Uber株が持ち直し、ついに上場売出し価格を超えた

米国時間6月5日、 オンライン配車サービスのUberの終値は5%アップし、1株当たり45ドルとなった。5月10日にニューヨーク証券取引所に上場して以来、初めて売り出し価格を上回って取引されたことになる。

この値動きは、上場にあたってUber株を引き受けた証券会社がいっせいにポジティブな見通しを流し始めたことによる。インサイダー取引防止規定により、こうした証券会社は四半期終了前の4週間は意見の公表を禁じられていた。四半期決算の発表によってこの禁止が外れた証券会社はUber株について一斉に「買い」をシグナルした。

Uberは5月の上場で81億ドル(8800億円)を調達し、時価総額70億ドル(7600億円)前後を達成したものの、上場としては失敗だったと見る意見が強かった。上場初日の株価は売出し価格から大きくアップするのが普通なのに、売出し価格を下回って42ドルに下落したからだ。Uberは創立後10年間でベンチャーキャピタルから巨額の資金を調達しており、上場直前の会社評価額は72億ドル(7800億円)だった。

ただし上場後4週間の値動きは比較的安定しており、40ドルから43ドルの間を往復していた。

Uberについての最初の業績見通しは著名なアナリスト、Raymond James Financialのジャスティン・パターソン氏によるもので、Uber を「オフライン・アプリの時代のリーダー」として高く評価し、予想価格を50ドルに設定した。CNBCによれば、パターソンはこう述べている。

他の伝統的企業とは対照的に、Uberはデジタルアプリで人々のオフラインの行動に大きな変化をもたらしている。これには当初膨大な資金を必要とするが、長期的にみればこのコストは容認しうるものだ。

Uberが先週発表した初の四半期決算では、2019年第1四半期に31億ドルの収入があったが、10億ドルの損失を出していたことが判明した。この数字はおおむね予想どおりで、アナリストは1株あたり調整済み純損失は0.76ドルと計算した。UberのCEOであるダラ・コスロウシャヒ氏は四半期決算に対して次のようにコメントした。

今月始めに我々は株式上場という重要な一歩を踏み出した。今後は地域内の移動と配送のためのワンストップサービスを目指すというビジョンの実現に全力を挙げていく。第1四半期におけるユーザーのUber利用はすべての分野で予想を上回り、平均して1日あたり1700万回に上っている。粗収入を通年換算すると590億ドルに相当する。

画像:pencer Platt / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アップルとの訴訟和解でクアルコムの株価が23%急上昇

巨額のライセンス料金を不服としてApple(アップル)がQualcomm(クアルコム)を訴えたことに端を発する両社の訴訟の全面和解のニュースを受けて、Qualcommの株価は23%急上昇した。米国時間4月16日のQualcommの初値は57.46ドルだったのに対し、終値は70.45ドルに達した。

これだけ大幅な株価のアップは市場がこのニュースにいかに驚いたかを反映している。ことにAppleはIntel(インテル)チップの採用によりQualcommのテクノロジーを自社の製品から締め出す戦略を取っていただけに全面和解は意外と受け取られた。この2年間、Appleは「Qualcommの特許のライセンス料金は不当に高額」と主張、逆にQualcommはAppleが特許を侵害しているとして互いに相手を訴えていた。

和解の財務的、法律的詳細は不明だが、Appleと Qualcommは「6年間にわたるライセンス契約を結んだ」と声明を発表した。これでQualcommの知財問題に関する強硬な戦略がトップ顧客との関係を悪化させているという懸念が解消された。Qualcommに対する投資家は、Appleが「訴訟が決着するまでライセンス料金の支払いを保留する」ようQualcommの顧客に対して呼びかけていたことに不安を抱いていた。

一方、IntelとAppleの株価はほとんど影響を受けなかった。

画像:Ethan Miller / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Facebook、相次ぐスキャンダルにも、絶好調のQ4決算で株価上昇

止まらないメディアバッシングの中、Facebookは第4四半期決算でウォール街の予測を上回った。月間ユーザー数23.2億人は前四半期の22.7億人から2.2%増。1日間アクティブユーザーは15.2億人で、前四半期の14.9億人から2%伸ばし、成長率も前四半期の1.36%を上回った。

Facebookはこうしたユーザーを元手に169.1億ドルを稼ぎ、1株当たりGAAP利益は2.38ドルだった。これらの数字はウォール街予測の売上163.9億ドル、1株当たりGAAP利益2.18ドル、さらには月間ユーザー23.2億人、1日アクティブ15.1億人をも優に超えた。Facebookの1日当たりと月間のアクティブユーザー比率(スティッキネス=定着度)は66%でここ数年間固定しており、Facebookに留まっている人々の利用率が下がっていないことを示している。

本日(米国時間1/30)Facebook株の終値は150.42ドルだったが、新記録となった売上と利益の発表後は167ドル前後で推移した。北米でのユーザー当たり平均売上が対前年比30%と大幅に伸びたことが株価を押し上げた。それでも、1年前の186ドルやピークだった7月の217ドルよりは低い。

CEO Mark Zuckerbergは、決算報告書の日常の挨拶に加えて、投資家に対して万事好調であることを請け合い新しいチャンスを強調した。「われわれは会社の運営方法を根本から見直し、最大の社会問題に焦点を絞るとともに、人々がつながるための新しい感動的な方法の開発への投資を増やしていく」と語った。

古参から搾り取る

Facebookは、米国・カナダおよびヨーロッパという重要市場の両方でDAU(1日当たりアクティブユーザー数)を伸ばすことに成功し、近年四半期の停滞・減少以降最大の売上を記録した。Facebookにとって最も収益性の高い市場でのでの減少が止まったことが株価上昇に貢献していることは間違いない。Facebookの月間アクティブユーザーは北米では横ばいだったがヨーロッパでは伸びた。これに加えて、前四半期に4.7%減少した「その他地域」のユーザーあたり売上が、Q4では16.5%増加へと転じたことも後押しした。

今期Facebookは68億ドルの利益を上げたが、雇用は減速し従業員数は3万3606から3万5587へと5%増に留まった。選挙妨害、フェイクニュース、コンテンツ管理問題などが続く中、Facebookはセキュリティー要員を増やして安定状態に落ち着いたようだ。前年比30%増の売上に対する利益61%増は、設立15年の同社にとって注目すべき実績だ。

決算会見

Facebookは2018年にセキュリティーに焦点を当てた後、2019年はプロダクト・イノベーションに集中する、というのが今日の会見の要点だった。Zuckerbergはプロダクト・ロードマップを示し、短期消滅と暗号化の拡大、メッセージングアプリによるMarketplaceとWhatsAppの連携強化のための基盤の統一、グループ機能の活用、ファミリーアプリを横断するショッピング機能などについて話した。

新たな統計データとして、Instagram Storiesの1日あたりユーザー5億人、Storiesの広告主200万組の数字も報告された。ZuckerbergはFacebook Portalの売上を嬉しい驚きだったと語ったが具体的数値は示さなかった。現在27億人がFacebookファミリーのアプリを毎月使っていると彼は言った。しかし、CFO David Wehnerは、Facebook単独の統計値をいずれ公表しなくなることを警告した。これは、若年ユーザーがFacebook以外のアプリに移行していることを隠すためであると想像している。またWehnerは、ユーザーがフィードからストーリーに移ることによる収益化の減少、プライバシー監視強化によるターゲティングへの逆風などによって、今年は各四半期で売上成長率の減少を見込んでいることも語った。

状況は決して楽観できない。ユーザー成長率を見る限り、Facebookは史上最大の情報漏えい問題を生き延び、ユーザーを多く失うこともなかった。一方、コンサルタント会社のDefinersを使った中傷キャンペーンなどの相次ぐスキャンダルや、ティーン向けアプリLassoの大失敗などもある。Facebookは投資家に対して、次世代ユーザーを取り戻す方法を知っていることを納得させる必要がある。あるいはQ4のように既存ユーザーから大きな利益を上げ続けられることを。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Appleの売上減少で米株式市場急落

Appleの悪いニュース海外および国内市場の成長鈍化によって、木曜日(米国時間1/3)の株価はあらゆる主要市場で急落した。

投資家たちはAppleだけで750億ドルの価値を失った。株価の下落はほとんどがAppleのニュースによるもので、NASDAQが3%、202.44ポイント、Dow Jones工業平均は2.8%、660.02ポイント下がった。

Appleは昨日午後取引を一時停止し、来季の利益予測を下方修正した

昨日遅くにAppleが発表した中国での売上急落のために予想利益が数十億ドル減少するというニュースは大量の売りを呼び、年末の取引で得た上昇(近年で最大の1日の株価値上がり)を消し去った。

Appleの中国での苦難にはさまざまな要因が考えられる、とD.A. Davidsonの上級アナリストTom Foreteは言う。中国経済の弱体化、中国消費者の愛国心の過熱、あるいは国内メーカーの優れた選択肢など、すべてが要因になりうる。

売上の伸び悩みは中国だけではないとForteは指摘する。インド、ロシア、ブラジル、およびトルコでも新型iPhoneモデルの売上は鈍化しているという

投資家の懸念はAppleの弱さだけではない。12月の中国の製造は成長から縮小へと転じており、現地のアナリストらは少なくとも今年前半は苦しみが続くと予想している。

「今年前半にはさらに減速が悪化すると予想している。その後都市不動産市場の規制撤廃を中心した本腰を入れたせいぶの緩和・刺激策が実施され、今年後半には安定あるいは小規模な反発もあるかもしれない」と香港Nomuraのチーフ中国エコノミストTing Luが、Financial Timesに掲載されたレポートで語った。

米国の製造業も、The Institute for Supply Management[ISM:サプライマネジメント協会]の発行した工業指標によると好調とはいえない。同協会のインデックスは最近2年間で最低を記録した。

「あらゆる部分で不確定要素が多く、ビジネスは停滞している」とISMの製造調査委員会のTimothy Fiore委員長がBloombergに言った。「どこを見ても何をとっても混沌状態だ。ビジネスは混沌の中ではやっていけない。これはそれらの問題のいくつかを解決する必要があるという警告だ」

インデックスはまだ米国産業の深刻な縮小を示す閾値より上にあるが、製造業調査における前月から5.2ポイントの下落は、10年前の金融危機と2001年9月11日の同時多発テロ後の不況以来最悪の数字だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Twitter株式、今年の高値をつける――JPMorganの格付け変更で好調

2017年も押し詰まったところでTwitterの株価に明るさが望が戻ってきた。もっとも今回の株高は投資家の側にややオプティミズムもあるかもしれない。いずれにせよ今日(米国時間12/18)、Twitterには2つの重要な動きがあった。

まず、TwitterはTwitterにおけるいじめやヘイトスピーチの投稿を禁止するルールを実施に移すと発表した。これは年来指摘されてきた(特に昨年から目立った問題となっている)。しかし株価の急上昇につながったのはむしろ2つ目の動き、つまりウォールストリートの有力企業、JP MorganがTwitterのレーティングをアップしたことだろう。株価の維持に苦闘しているTwitterにとってウォールストリートからの追い風は何にも増して必要な要素だ。

Twitterの株価は今朝10%近くジャンプした。時価総額に換算すれば数十億ドルのアップだ。こうなると、同様にユーザー数が頭打ちでウォールストリートにビジネスモデルを納得させることに苦闘しているソーシャル(あるいはコミュニケーション)メディア、Snapが射程範囲に入ってくる。下はTwitterの値動きだ。

この後現状のまま推移するなら、 Twitterの株価は上場後30%プラスで年を終えることができそうだ。TwitterはFacebookに比べて低調なユーザー数の拡大といじめやヘイトスピーチ問題をめぐってウォールストリートを納得させるのに苦労してきた。Snapも投資家に対してユーザー数の伸び悩みという同じ弱みを抱えている。株価の上昇は直接に利益をもたらす。ストックオプションの価値がアップするため社員や採用を希望する相手に対して有利な報酬を提供できる。また「経営の根本的な刷新」を叫ぶ「もの言う株主」を遠ざけるにも役立つ。

Twitterのような上場株式の場合、値動きは荒っぽいものになりがちだ。四半期決算の発表や有力な証券会社のレーティングの変更などなどは大幅な株価の上下の原因となり得る。Twitterはこの1年かなり大きな値動きをみせてきたが、結局のところ楽観的な方向で年末を迎えることができそうだ。Twitterのビジネスは本質的にMAU(月間ユニークユーザー数)に左右される。しかしTwitterは株式市場から好意的な評価を引き出すべくストーリーを売り込むことにやっきなっていた。

今朝の時点でSnapの時価総額は195億ドルであり、182億ドルのwitterとはほとんど差がない。Twitterのプロダクトのアップデートは小刻みなものが多い。最近のメジャーアップデートといえば最大文字数をアルファベット文字圏で140文字から280文字に倍増させたことくらいだ―この変更もまたハラスメント問題の解決に逆行するという非難を浴びた。こうした問題に対処すべく、Twitterでは(今朝発表された変更も含めて)、広汎な利用規約の改正を行っている。

画像: Yana Paskova/Bloomberg/Getty Images

〔日本版〕NASDAQによれば、JPmorgan ChaseはTwitterの格付けをholdからoverweightに変更した。JPmorgan Chaseではアナリストの分析結果をbuy(買い)、overweight(強含み)、hold(中立)、underweight(弱含み)、sell(売り)の5段階で表示している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

公募価格に関する誤解――IPO直後の株価急騰は気にするな

【編集部注】Alex WilhelmはCrunchbase Newsの編集長で、VCに関するTechCrunchのポッドキャストEquityの共同司会者でもある。

業績発表を受け、ネット業界を先導するふたつの企業の株価が動いた。その2社とはSnapとTwilioだ。

両社はさまざまな点で違っている。Twilioは消費者にリーチするためのバックエンドツールとして、数々の有名企業に愛されている。一方Snapは、最近モバイルハードウェアにも手を出しはじめたソーシャル企業だ。しかし、2017年Q1はどちらにとっても厳しい結果に終わった。

2016年に上場したTwilioは業績面では予想を上回りながらも、思わしくない通期見通しを受け、同社の株価は業績発表の翌日までに25%近く下がった

一方、2017年IPO組のリーダーであるSnapは、売上・利益・アクティブユーザー数の全てで目標に到達できず株価が急落。一晩で何十億ドルもが消え去り、同社の株価は公募価格とほぼ同じくらいの水準に戻った。

ここからこの記事の本題である、IPO後の株価の急騰、そしてどの企業が公募価格の設定を誤って本来調達できたはずの資金を取り逃してしまったのかという話につながってくる。

株価急騰とその他の幻想

企業が上場する際、初日の株価の伸びしろを残しつつも調達金額を最大化するため、公募価格は(一般的には)できるだけ高く設定される。

これを基に考えると、IPO周りの数々の現象に納得がいく。企業はできるだけ多くの資金を調達しようと、市場で株主がリターンをあげられるだけの余白を残しつつも可能な限り高い公募価格を設定し、初日の株価急騰を狙う。そして目論見通り株価が上がれば、メディアや投資家から好意的な反応が返ってくるといった具合だ。

どのくらいの株価上昇を狙うかはケースバイケースだが、市場の反応を正確に予測するのは不可能だ。例えば、上場後にピッタリ10%株価が上がるように公募価格を設定することはできない。

そしてここからが難しいところだ。もしも、ある企業の株式に対する需要の大きさと価格感度の低さがその企業や引受人の予測を超えていた場合、何が起きるだろう? この場合、当該企業は公募価格を”低め”に設定する可能性が高いので、株価の上がり幅も想定より大きくなりがちだ。もちろん、逆に上場直後に株価が急落するケースもある。

(実際に、今年上場直後に株価が急落した企業が存在する)

いずれにせよ、企業が上場して物事が順調に進んでいけば、その企業が「本来調達できたはずの資金を取り逃してしまった」という内容のニュースを目にすることになる。実際に公募価格が低すぎると思われる場合もあるが、そう判断するには時期尚早というケースがほとんどだ。

つまり、企業の株価はIPO後に急騰することが多いが、上昇分はスーパーボウルにおけるファルコンズのリードよりも早く消えてなくなってしまう可能性がある。そのため、「本来調達できたはずの……」という話はナンセンスな議論である共に、公募価格の設定ミスの証拠とされているIPO直後の株価上昇こそが誤った情報を発信してしまっているのだ。

最近の例

実際の株価を追って見てみよう。

そうすると、Snapは多くの人が思っているよりも、かなり上手く公募価格を設定できていたのではないか気づく。

Snapの株式は、公募価格が17ドルで初値が24ドル、そして最高値が29.44ドルだった。この数字だけ見ると、本来Snapはもっと多くの資金をIPO時に調達できたはずだと感じられる。合計2億株を売ったSnapが公募価格を少しでも上げていれば、彼らの口座残高は増えていたはずだ。

24ドル(もしくは29.44ドル)という株価を見ると、Snapはとんでもない計算間違いをしたように見える。しかし、初めての業績発表を受け、現地時間5月11日のSnapの株価は最低で17.59ドルまで下がり、結局18.05ドルで取引を終えた。

もしもSnapが、公募価格を実際よりも1ドル高い18ドルに設定していたとすれば、上場後の株価が一時的に公募価格を下回っていたことになる。もしも公募価格が19ドルだったならば、損失幅はさらに広がっていただろうし、初値で売り出していればSnapの状況はさらに悪化していた。それ以上はすぐに推測できるだろう。

現在Snapの株式は、公募価格よりも数ドル高い価格で売買されており、株価の伸び率は20%ちょっとということになる。先述の状況を考えると、これは株価設定ミスとは到底言えない(さらに昨年ようやく粗利が黒字になった企業に値段をつけることの難しさも勘案してほしい。これはほぼ不可能なことだ)。

もうひとつの例であるTwilioの株式は、上場初日で公募価格より92%も高い28.79ドルの終値をつけた。その後も上昇を続けた同社の株価は最高で60ドルに達し、その後30ドル台に急落した。さらに最新の業績発表の後、株価は20ドル台前半〜半ばへと下降。Twilioはそもそも公募価格を予想より高く設定していたにもかかわらず、IPO直後はそれよりもさらに高い価格をつけることができたのではないか、という憶測が広がった。しかしその後継続して株価が下がったことで、その憶測が間違っていたとわかり、IPO時の株価と比較すると、現在のTwilioの株価の方が急騰時の株価よりも実態に即しているように映る。

さらにこれに対し、現在24ドルの株価がついているのだから、公募価格は少なくとも15ドルより高くした方がよかったのではと反論することもできるが、この1年でさらに成長したTwilioの現在の株価と公募価格をそこまで細かく比較することにあまり意味はない。

上記の2社の例から分かる通り、IPO後に株価が急騰したからといって、公募価格が誤っていたと判断するのは時期尚早なことが多い。その一方で、両社の現状の株価がまだ公募価格を上回っていることを考えると、本当に公募価格が間違っていなかったと言い切れるのだろうか?

これはもっともな問いなので、もう少し歴史をさかのぼって考えてみたい。

昔々の話

GoProのIPOは大成功だった。株価は初日だけで24ドルの公募価格から30%も上昇し、その後は報道の通り、連日数十%の上昇が続き、すぐに公募価格の倍に到達した。これが2014年7月の出来事だ。

その後2014年中にGoProの株価は98ドルまで上昇を続ける。なんという価格設定ミスだと思っている人もいるかもしれないが、2015年11月には「GoProの株価が公募価格を下回る」という見出しが紙面を飾ることになる。その日、GoProは23.15ドルの終値をつけた。現在の株価が8.62ドルの同社が、24ドルの公募価格をつけられたのは、今となってはラッキーだったように感じられる。

GoPro以外にも、EtsyやMobileIron、Fitbitをはじめとする企業が、IPO直後の株価急騰とその後に続く急落を経験している。

この話が現在の(アクティブな)IPOサイクルに対する警告になることを祈っている。冷静さを失わずに、自分たちが必要としている資金に対する調達額の大きさへもっと注意を払うようにしてほしい。最新の評価額と同等もしくはそれ以上の時価総額がつくのであれば、それ以外のことは気にしなくても良いのだ。

実際に業績が下がってしまった場合はまた別の話になってくるが。

GoPro株が10%以上急落ー2016年業績がウォール街の予測に届かず

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GoProは米国時間2/2に、2016年Q4および通期の決算発表を行った。その後、思わしくない業績を受けて同社の株価は、リコールされたGoPro Karmaのように急落し、時間外取引中には10%も落ち込んだ。

2016年Q4の売上高は5億4000万ドル、1株当たり当期純損失が0.82ドルで、どちらもアナリストの予想を下回った。2016年通期の業績も芳しくなく、売上高は2015年の数字から26.8%も下がり、11億8500万ドルだった。

0.82ドルという1株当たり当期純損失には、繰延税金資産の引当金総額にあたる1億200万ドルと3700万ドルのリストラ費用が含まれていると同社は話す。

今回の決算発表後に10%以上も値を下げたGoProの株価だが、2017年初頭の値動きは堅調で、1月だけでも23%もの伸びを見せていた。

一方で決算発表には嬉しいニュースも含まれていた。2016年Q4の売上高はGoPro史上2番目の金額で、さらに最近発売されたHero 5 Blackは、販売台数・売上高ともにデジタルカメラ部門ではトップだった。また2月1日には、販売を取りやめていたKarmaが再ローンチされた。

GoProブランドも順調に成長を続けている。Instagramのフォロワー数は前年比で53%増加し、特にアメリカ国外のフォロワー数が245%も増加したことで、全体の数字を押し上げた。同様に、GoProコンテンツのソーシャルメディアにおける視聴数は前年から40%増え、2億3800万再生を記録した。なお、YouTubeだけでも2015年から2016年にかけて視聴数が86%も伸びていた。

今年のCESでGoPro CEOのNick Woodmanと話をした際に、彼はまだGoProには十分な余剰資金があり、投資家や取締役会のメンバーには今後もしっかりGoProの動きについてくるよう要請したと話していた。さらに彼は、IPO後にGoProがメディア事業に手を出そうとして失敗したと認め、その後軌道修正を行ったと話していた。しかし、CEOの座を退き、誰か他の人に経営を任せるつもりがあるかと尋ねたところ、Woodmanはその可能性を完全には否定しなかった。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Alphabet、2016年Q4決算発表 ー 脱検索に向けた投資が実を結びだす

Alphabet CEO Larry Page speaks at the Fortune Global Forum in San Francisco, Monday, Nov. 2, 2015. (AP Photo/Jeff Chiu)

Googleは本日2016年Q4の連結決算を発表した。好調なビジネスもあれば、不調なものもあったが、「other bets(その他の投資)」とされるGoogleの本業を除くほぼ全てが詰まったカテゴリーには光が見えはじめた。

「その他の投資」からの売上は、2015年Q4の1億5000万ドルから2億6200万ドルへと健全な成長を遂げた。しかしもっと重要なのは、同カテゴリーの赤字幅が昨年の12億ドルから約11億ドルへと減ったことだ。ここにはNestのような事業が含まれており、Googleのビジネス全体に占める割合は微小だが、今後Googleが制覇しようとしている市場を表す重要なカテゴリーだ。そして同社の将来を考えると、このカテゴリーでよい成績を残すことが重要になってくる。

CFOのRuth Poratは、2016年通期での同カテゴリーの業績についても触れ、2016年の売上増額は8億90万ドル(前年比82%増)だったと発表した。なお、この売上の大半はNest、Fiber、Verilyによって生み出されたものだ。営業損失は29億ドルで、2015年に比べ少し減少した(Poratは2015年の具体的な数字を明かさなかったが)。一昨年から少し減ったとは言え赤字幅はかなり大きく、Alphabetが2017年に突入するにつれて損失は大きくなりそうな気配がする。同社は、その他カテゴリーへの投資の「金額やペースを引き続き修正していき」、「投資金額やスピードを入念に管理していく」とPotratは話す。

実際に昨年Alphabetは、特に同カテゴリーを厳しく監視していた。彼らは予想を下回る事業をたたみ、好調な事業へリソースを集中させようとしていたのだ。Alphabetは(Google Xを通じて)、Project LoonやGoogle Fiberなど新しいアイディアを試す場として長きにわたって知られてきたが、今後は自分たちが得意とし、市場を独占できそうな分野に注力しようとしているようだ。そのような動きの一例として、Alphabetは最近自動運転車部門を分社化し、Waymoと呼ばれる新しい会社を設立した

「その他の投資」カテゴリーの全体に占める割合がどれほど小さいか確認したい人は、下図をみてほしい(しかし同時にこの分野はAlphabetにとって極めて重要だということは忘れないでほしい)。

 

Googleは新しい分野へも進出しようとしており、2015年にはGoogle CloudのためにDiane Greenを迎え入れた。去年のAWSの様子を見るだけでも、クラウドコンピューティングサービスがどのくらい儲かるビジネスなのかということがハッキリとわかる。AWSは即座にAmazonで最も効率的なオペレーションと利益率を誇るビジネスのひとつになり、Googleがこのチャンスを逃すはずがない。Microsoftも同分野に精力的に挑んでおり、競争は必至だ。

Goole Play、Google Cloud、ハードウェアを含む「other revenues(その他の売上)」は、2015年Q4の21億ドルから62%増加し、2016年Q4は34億ドルだった。ひとつひとつの分野に特に大きな動きはなかったので、全て順調に成長しているか、ある分野が別の分野をカバーするような状況なのだろう。

アナリストによるAlphabet全体の業績予測は売上額252億2000万ドル、一株当たり利益(EPS)9.67ドルだったのに対し、実際は売上が260億6000万ドル、EPSが9.36ドルだった。EPSが予想を下回った一方、売上高は予想を上回っていたため、直後の株価はほとんど動かなかったもものの、検索ビジネス以外の分野で面白いことがわかってきた。

決算発表後、Alphabetの株価は時間外取引中に2.5%下落した。これは同社のサイズを考えるとかなりの動きだ。つまりウォールストリートでは、広告料が下落する中、Googleの方向性について不透明感が漂っている可能性がある。投資家が予想していた利益額をAlphabetが達成できなかったということが、今後数年間はAlphabetがGoogleをキャッシュマシーンのように扱い、次に何をするべきか模索しようとしているのでは、という不安を生み出したのだろう。

昨年はAlphabetにとって移り変わりの年だった。同社は、単なる検索エンジン広告ビジネスからの脱却を図ろうとしていたのだ。検索ビジネスはこれまでずっとGoogleの強みとして、数十年にわたって彼らの強力なAIエコシステムを支えてきたが、デスクトップ向けの広告でいつまでもお金を稼げるわけではない。

デスクトップ検索からの大幅なシフトの結果として、Googleの広告料は下がり続けている。一方でモバイルに注力することで、Googleは新しい広告フォーマットを開発し、モバイルデバイスが生み出す膨大なインプレッションを売上に結びつけることに成功した。その結果、Googleは1本あたりの広告料(コストパークリック)の減少を、インプレッションの増加で打ち消し、今のところは投資家が満足できる成績を残せている。

当然のように広告料は今も下がり続けており、2016年Q4のGoogleのコストパークリックは、2015年Q4から15%減少した。ペイドクリック数は予想通り増え続け、前年同期比で36%の伸びを見せた。つまり広告収入に関して言えば、これまでと同じような結果だった。

他にもGoogleは音声インターフェースなどの新しい技術を採用しはじめた。Google Assistantのローンチで、同社はユーザーが携帯電話に話しかける(そして最終的にそこからお金を生み出す)ような未来を描こうとしたのだ。Googleの後を追って、Amazonもすぐに音楽再生など簡単なタスクをこなせる、家庭用の音声アシスタントを開発した。

他社のおかげもあり、ユーザーは声を使ってGoogleに何かを「尋ねる」という行為に慣れてきだしたが、その一方でAmazonやAppleのSiriとの競争は激化している。会話式のインターフェースは、いつの間にか私たちに忍び寄ってきたようにも感じるが、時間が経つにつれて、ユーザーがキーワードを打ち込み、その結果現れる検索結果に対して広告を表示するようなモデルだけでは十分ではないということが、ハッキリとわかってきた。

Googleのここ数年の投資家に対する説明は十分なように映る。広告ビジネスの成績はまぁまぁで、モバイルデバイスが普及するにつれて更なる伸びが期待できる。また音声インターフェースやVRのような未来のプラットフォームを利用したビジネスについては、引き続き検討を進めていくのだろう。

 

Alphabetに関しては、2017年に「世界で最も価値のあるブランド」へと返り咲く可能性が大いにある。彼らは以前このタイトルを獲得してから、すぐにAppleにその座を譲ってしまったが、Appleの成長は2016年中に急停止した。iPhone 7や2017年Q1に発表したその他の製品で、Appleが今後持ち直す可能性もあるものの、音声ベースのUIなどAppleがまだ制覇できておらず、別のプレイヤーがユーザーを奪い取れる可能性のある分野には、ポッカリと大きな穴が空いている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter