SF作家のジーン・ウルフが死去

「新しい太陽の書」を始めとする数々のSFとファンタジー作品を生んだ作家、ジーン・ウルフ氏が4月14日に87歳で死去した。

Locus誌によると、同氏は心臓病との長い闘病の末に亡くなった。ウルフは一部の作家仲間ほど有名になることはなかったが、その著書はファンから熱い支持を受けた。SF作家のアーシュラ・ ル・グウィン氏は彼を「われらのメルヴィル」と呼び、マイクル・スワンウィック氏は「現存する最高の英語作家」と評した

ここまでの称賛(あるいは彼の代表作とジェームズ・ジョイスの「ユリシーズ」との比較)は大げさに感じるかもしれないが、それは実際に彼の作品を読んでないからだ。一部の人びととって、ウルフの作品は、サイエンスフィクションを一流文学にする最強の主張だ。

4巻からなる「新しい太陽の書」は1980から83年にかけて出版され、今も彼の最もよく知られる作品。地球(「ウールス」)をさまよう拷問者セヴェリアンを描いた数十億年の未来の物語だ。「新しい太陽の書」は、示唆に富む巧妙な手法で書かれ、頼りないナレーターがウルフ氏の遠い未来の設定を遠回しに説明する。

ウルフ氏の濃密で難解という評判は、一部の読者を遠ざけてきた一方で、熱烈なファンに注意深い読書と熱心な解釈を喚起した。しかしその評判は彼の作品にある喜びを安売りする結果になった。

彼の傑作を解読することは、「拷問者の影」の巨大都市ネッソスを探検するのと同じように楽しい。彼はまた「木は我が帽子」のような不安を呼ぶホラーストーリーや、同じように不安な人物を描写した「The Death of Doctor Island」(アイランド博士の死)を創作する繊細さも持っていた(ウルフが後者の作品や、同じような題名の「The Doctor of Death Island」(死の島の博士)や「Death of the Island Doctor」(島の博士の死)を書いた理由は、私の好きなSFトリビアの一つだ)。

そして「フォーレセン」。これは一生ぶんの退屈な事務仕事を一日に圧縮した不条理死後ファンタジーだ。最後に名ばかりの登場人物がこう尋ねる、「この人生には何か意味があっただろうか? 私は苦しんだのだろうか。そのことに価値はあったのだろうか」

答えは、「No. Yes. No. Yes. Yes. No. Yes. Yes. Maybe.」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook