Airbnbはホスト保護を強化し、新型保険など多様な新機能を追加

Airbnb(エアビーアンドビー)のCEOであるBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏は、Twitter(ツイッター)で同社のデータから見えてきたことを伝えた。大まかな内容は、パンデミックの影響で仕事に柔軟性が出てきたことで、より多くの人が平日に旅行をしたり、さらには数カ月間旅行をしたりして、効果的にAirbnbで生活しているというものだった。

このような行動の変化に対応するため、Airbnbは米国時間11月9日、プラットフォームに多様な新機能をリリースする。

その内容を詳しくみてみよう。

旅行への新たな関心とともに、どこでもいいから長期間旅行したり住んだりしたいと思うようになったことの、おそらく最大の課題の1つは、供給が需要を満たさなければならないことだ。Airbnbは、カスタマーの需要の変化に対応できるだけの十分な数のホストを確保したいと考え、ホストの体験をより良いものにするための投資を行っている。ホストの保護を強化するために、AirbnbはAirCover(エアカバー)を導入する。

AirCoverは、家の上から下までをカバーするもので、現在、プラットフォーム上のすべてのホストに無料で提供されている。最大で100万ドル(約1億1290万円)の損害補償と100万ドル(約1億1290万円)の賠償責任補償がついている。また、所得損失保護、ペット損害保護、ディープクリーニング保護も含まれている。

この補償商品は、14日間の申請窓口を設けており、請求を行ったホストにはより迅速な払い戻しを約束し、スーパーホストにはさらに迅速な対応を行う。

Airbnbのホストプロテクションプランは、以前から、損害保護と賠償責任の両方で最大100万ドル(約1億1290万円)の補償を提供してきたが、その補償内容には多くのギャップがあった。例えば、プラットフォームを休む必要があるスーパーホストや、修理のために予約をキャンセルしたりする場合の収入減は補償されなかった。また、ペットによる損害も補償の対象外だった。

ペットによる損害の補償は、ホストにとってもゲストにとっても大きな変化になるだろう。パンデミックの影響で、多くの人々が毛で覆われた友人を手に入れ、今度はその人々が旅行をしたいと思うようになった。しかし、ホストは、ペットの持ち込みにはあまり積極的ではなく、需要と供給の間に大きなギャップが生じている。

ペットの損害補償は、自然とそのバランスが調整するはずだ。

AirCoverは、家の構造はカバーするが家の中の物はカバーしないというホストプロテクションを超えて、非常に大きな意味を持っている。AirCoverは、美術品、通貨、自動車、ボートやジェット機などの乗り物、武器、セキュリティカメラ、貴金属や宝石などのいくつかの除外項目を除き、家の中のほとんどの品物をカバーする。これらの除外項目があっても、家具の損傷や物品の盗難などをカバーしていなかったオリジナルの保険からは、大きな進歩が見られる。

除外項目の詳細はここで確認できる。

細かい詳細について言えば、AirbnbのAirCoverは、ほとんどの地域でZurich Insurance plc(チューリッヒ保険)が発行する保険で提供されている。Airbnbによると、規制により現地で発行された保険が必要な一部の地域では、Zurich Insurance plcのパートナー企業が補償を提供する場合がある。

画像クレジット:Airbnb

AirCoverに加えて、AirbnbはTranslation Engine(翻訳エンジン)を導入する。このエンジンは60以上の言語に対応しており、物件の説明やレビューをユーザーの選択した言語に自動的に翻訳することで「クリックして翻訳」ボタンを削除する。Translation Engineは、クリックして翻訳する必要性をなくすだけでなく、実際により良い翻訳をするとのことだ。

画像クレジット:Airbnb

Accessibility Review(アクセシビリティ・レビュー)とVerified Wifi(ヴェリファイドWiFi)は、正確さを追求した2つの新機能だ。リスティングでは、アクセシビリティの要件を満たしているや、超高速Wi-Fiを完備しているなどと書かれていても、実際には期待を裏切られることがよくある。

Accessibility Reviewでは、ホストがアクセシビリティ機能の写真を提出すると、実際の人間のチームが手動で審査する。このチームはこれまでに、世界中の2万5000軒の住宅で10万件のアクセシビリティ機能をレビューし、その正確性を確認してきた。

Verified Wifiでは、ホストがAirbnb自身から物件の接続をテストし、その速度を検証することができるため、そこで遊ぶだけでなく、仕事をするために訪れるゲストは、その接続を信頼することができる。

これらの新機能は、Airbnbが今回発表する最大のもののうちのいくつかだが、Airbnbはまた、非常に人気のあった製品をさらに強化している。

例えば「I’m Flexible(柔軟な検索)」は、2021年2月に公開されて以来、5億回以上も利用されている。柔軟な検索は、ゲストが行きたい場所や旅行の日程、さらには滞在したい住居のタイプなどを柔軟に選択することができる。

この柔軟な検索コンセプトに人々が惹かれたため、Airbnbは日付の範囲を拡大し、6カ月から12カ月先までの柔軟な検索を使用できるようになった。また、同社は「人里離れた暮らし」「スキーイン・スキーアウト」「Luxe」「風変わりな家」など、4つの独特なカテゴリーも追加した。

サービスの細かな調整に関しては、AirbnbはMy Tripsタブのデザインを一新し、予約のカウントダウンタイマー、チェックインの詳細、今後の予約リスト、パーソナライズされた経験の提案など、必要な情報を一か所にまとめた。

数時間後にチェスキー氏と話す機会があり、今回のニュースや、彼が見ている旅行分野のトレンドに基づいた会社の長期的なビジョンについて話を伺う予定だ。

画像クレジット:Phillip Faraone / Stringer / Getty Images

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(文:Jordan Crook、翻訳:Yuta Kaminishi)

旅行業界の再活性化に向け、ホスピタリティ管理ソフトウェアのCloudbedsにソフトバンクが投資

日程を決めずに宿泊チケットを買えるECサイトStay by Tripi運営のトリピが3800万円のシード調達

2021年夏、米国のホテル稼働率は新型コロナウイルス流行前の水準に達した。ホスピタリティ業界は、人々が旅行を再開することによる活動の活発化に備えているところだ。

このような状況には追い風も吹いている。「今後増える旅行者で最大の母集団は1979年以降に生まれた人々であり、この10年間により多くのお金を貯めたことで、自由裁量の支出が増え、それを旅行に使いたいと考えている」と、Cloudbeds(クラウドベッズ)の共同設立者兼CEOであるAdam Harris(アダム・ハリス)氏は述べている。

「新型コロナウイルス流行は誰もが歓迎しない状況でしたが、旅行業界は1兆ドル(約114兆円)規模の産業であり、世界でトップ5に入る規模です」と、同氏は付け加えた。「2019年にあった需要は、それから1年半も家に閉じ籠もらざるを得なかったことで、今はさらに強くなっています」。

Cloudbedsのプロダクト(画像クレジット:Cloudbeds)

ハリス氏と共同創業者のRichard Castle(リチャード・キャッスル)氏が、2012年にサンディエゴで設立したCloudbedsは、独立系ホテルからバケーションレンタル(民泊)まで、宿泊事業者向けのホスピタリティ管理ソフトウェアを提供している。このソフトウェアは、運営、収益、流通、グロースマーケティングなど、これまで別々に行われていたビジネスの機能を、1つのクラウドベースのツールに統合する。

人々の蓄積されてきたエネルギーにより、今までにない数の旅行が実施されるようになると、ハリス氏は確信している。このチャンスを活かすため、同社は新たな投資家であるSoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が主導した資金調達で、1億5000万ドル(約170億円)を確保した。

Cloudbedsとソフトバンクとの関係は2年前に始まったが、ハリス氏はこの投資会社が「世界で最も優れた旅行投資家の1つ」だと述べている。最近では、Yanolja(ヤノルジャ)、GetYourGuide(ゲットユアガイド)、Klook(クルック)などの旅行関連企業に、ソフトバンクは資金を提供している。

今日の市場では、ホテルが競争力を高めるためにテクノロジーを導入することが「重要」であり、世界的な新型コロナウイルス流行がその導入を加速させる要因になっていると、SoftBank Investment Advisers(ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ)のディレクターであるAndrew Zloto(アンドリュー・ズロト)氏はメールで述べている。

「Cloudbedsは、この機会を利用して、ホスピタリティ業界におけるテクノロジーの利用方法を根本的に変えたと、我々は確信しています」と、ズロト氏は語る。「これまでサイロ化され、複雑に絡み合っていたテクノロジーサービスを、Cloudbedsは単一のプラットフォームに統合し、あらゆる規模の宿泊施設に最適なソリューションを提供しています。重要なビジネスツールを統合して簡素化することによって、同社は独立系ホテル経営者が活躍できる場を広げ、絶えず進化する市場で成長するための支援を行っています」。

今回の投資ラウンドでは、ソフトバンクに加え、Echo Street(エコー・ストリート)とWalleye Capital(ウォールアイ・キャピタル)が新たな投資家として加わった。さらに既存投資家として、Viking Global Investors(バイキング・グローバル・インベスターズ)、PeakSpan Capital(ピークスパン・キャピタル)、Counterpart Ventures(カウンタパート・ベンチャーズ)も参加。これにより、Cloudbedsがこれまでに調達したベンチャー資金の総額は、2億5300万ドル(約287億円)となった。

この資金を武器に、Cloudbedsは研究開発の拡大、教育およびアドボカシー活動への投資、エンジニアリング、プロダクト、セールスの各チームの拡大を進めていく。さらにプレIPOに向けてチームを整えることに重点を置き、リーダーシップを強化していくと、キャッスル氏は述べている。

ハリス氏は成長指標を公表しようとはしなかったものの、Cloudbedsは2020年、新型コロナウイルス流行にもかかわらず成長を遂げた、ほんの一握りの企業の1つであると語っている。同社は現在、157カ国で2万2000人以上のグローバルな顧客にサービスを提供している。

「私たちは、この会社が200億ドル(約2兆3000億円)規模の企業になれると信じています」と、ハリス氏は付け加えた。「競合他社との競争を見れば、当社はリードしています。しかし、現金を投入する必要があり、そのために私たちは夜も眠れません。現在、当社のビジネスモデルには予測可能性があり、目標はIPO候補となり組織を成熟させることです」。

画像クレジット:num_skyman Shutterstock

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)