民泊管理ツールなど提供のmatsuri technologiesがシリーズBのエクステンションラウンドで資金調達、民泊業界の支援進める

アフターコロナマーケットに向けて支援策を講じていく(画像は同社HPより)

アフターコロナマーケットに向けて支援策を講じていく(画像は同社HPより)

民泊管理ツールやコロナ禍における自主隔離物件などを提供するmatsuri technologiesは2月26日に、シリーズBエクステンションラウンドにおいて第三者割当増資を行ったと発表した。エクステンションラウンドでの金額は非公開。調達資金の一部は、「コロナを超える」をスローガンにアフターコロナに向けた産業全体への投資を進める資金とする。コロナ禍で深刻なダメージを受ける民泊業界。同社は資金繰りが難しい現在におけるクッションとなりつつ、アフターコロナを見据えた業界活性化の環境づくりを進めていく。

引受先はオールアバウト、ALL-JAPAN観光立国ファンド投資事業有限責任組合、個人投資家の坂野敦氏(資産運用会社Aspex Managementのパートナー)、既存投資家となる。今回は2019年9月に実施した総額約5億8000万円の資金調達に続くものだ。

今回の資金調達とコロナ禍での金融機関の融資によって、2016年8月からの累計資金調達額は約14億円となった。調達した資金は人材の獲得費用や既存製品の強化、民泊施設の拡充のほか、組織・事業の強化もはかる。

「コロナを超える」キャンペーンの背景

民泊市場はコロナ禍で大きく傾いた。日本政府観光局(JNTO)によると、2020年の訪日外国人旅行者数は約412万人(推計値)で、19年の約3188万人と比べて約87%の減少となった。2020年の1月下旬以降の新型コロナの拡大や、2月から順次水際対策が強化されたことに伴って、訪日外国人旅行者数は激減。民泊は訪日外国人旅行者が約7割を占めるマーケットであるため、民泊関連の事業者はかなりの深手を負った。

2021年1月に出された2度目の緊急事態宣言は追い打ちをかけた。コロナ禍であっても、事業者らは人員を削り、業務のスリム化をはかるなど傾くマーケットに対抗してきた。政府主導の「Go To トラベルキャンペーン」で少しずつだが戻りつつあった客足も、途絶えることとなる。「もうどうすればいいかわからない」。そんな悩みが同社の吉田圭汰代表のもとに多く寄せられたという。

「このままでは旅行・宿泊需要が回復するまでに、民泊マーケットそのものが崩壊してしまい、人が戻ってくることが難しくなるのではないか。その危惧が現実とならないようにアフターコロナに向けたキャンペーンを展開していく」(吉田代表)。

3本柱のキャンペーンで支援

アフターコロナを視野に同社は3本柱のキャンペーンを打つ。

1つはコロナ期間(2021年4月からの半年間)に、民泊物件などの運営代行サービス「m2m Premium」の各種プランの手数料を無料とする。さらに、宿泊施設向け本人確認ソフトウェア「m2m Check-in」でも4月からの半年間、タブレット代金・ソフトウェア利用料を不要とする。

もう1つは、民泊物件のマンスリーマンション化を支援するというもの。コロナ期間を乗り越えるため、政府の「事業再構築補助金」の活用なども含めた上で行う見通し。

民泊は旅行需要ありきだが、マンスリーマンションに転換することで受け皿を広げる。マンスリーマンション化によって、1カ月といったように長いスパンで利用者が借りることになる。同社はテレワーク用のデスクの用意といったハードウェア部分や、集客プラットフォームに関わる費用などを支援する考え。

残りの柱としては、別荘オーナーが使用しないとき、貸別荘として運用して収益を生む「S-Villa」の販売を一般公開する。同社が別荘を選定し、貸別荘としても運用可能な物件を紹介。別荘購入後はオーナーの代わりに同社が、別荘のリフォームから運用、清掃、清算、管理まで行っていく。また、すでに別荘オーナーである場合は、貸別荘への変更や運用代行にも対応する。

「長期的に繁栄するアフターコロナマーケットを作り上げるための、包括的なキャンペーンとなっている」と吉田代表は説明する。

コロナ禍でも新事業を次々に展開

民泊オーナーだけでなく、コロナ禍で不況のあおりを受けたのは同社も同じだった。コロナ禍によって既存のオフィスを解約し、規模を縮小したオフィスに移転した。

一方で、向かい風を受けながらも、2020年には6つの新事業を展開。事業の巻き返しをはかった。政府からの自主隔離規制要請に合わせた「一時帰国.com」や新型コロナ陽性者の濃厚接触者の避難所を提供する「自主隔離.com」では、旅行者がいなくなった民泊物件などを活用した。

2020年の半ば、新型コロナが一時的に落ち着いたタイミングも見逃さなかった。カップル向けに「お試し同棲」を始め、新たな需要の掘り起こしに力を入れた。初期費用なしで、家具家電付き物件に文字通り「お試し」で住めるというサービスだ。20代前半の若年層から人気を博し、多いときには1時間で300件ほどの問い合わせがあったという。

さらにスマホで完結する短期賃貸プラットフォームの「Sumyca(スミカ)」もリリース。「一時帰国.com」や「自主隔離.com」、「お試し同棲」はSumycaのプラットフォームを通して事業を回せるようにした。

6つの新事業で巻き返しを図った

6つの新事業で巻き返しを図った

吉田代表は「6つの事業展開により、一時期は9割ほど落ち込んだ売り上げも最終的な着地では前年を超える見通しとなり、資金調達の実施もできた」とし、その上で「コロナ禍に対して我われがいまできることに力を注ぐ」と強調する。

アフターコロナマーケットを盛り上げる

民泊市場はまだまだこれからが勝負の市場だ。旅行需要について吉田代表は、ワクチンが国民に行き届き、新型コロナの変異などが起きなければ「はやくて秋ごろ、遅くても来年の春前には回復するのではないか」と予想する。

コロナ禍の暗闇から新たな灯がともるまで、もうひと踏ん張りの力がほしい。そんな民泊オーナーや事業者に支援の手を差し伸べるmatsuri technologies。吉田代表は「コロナ禍で悲観的な考えに陥ってしまう気持ちはよくわかる。アフターコロナマーケットを大きく盛り上げるため、いまを一緒に乗り越えましょう」と呼びかける。

関連記事:民泊や短期賃貸物件の共有データベース「nimomin」が正式リリース

カテゴリー:その他
タグ:matsuri technologies資金調達旅行新型コロナウイルス民泊日本

「インバウンド業界カオスマップ」2020年上半期最新版が公開、約1400サービスを網羅

今年は東京オリンピックが開催され、政府は年間で訪日外国人旅行者4000万人を誘致する目標を掲げている。そんな背景もあり、訪日外国人を受け入れる対策や環境の整備が進められ、ここ日本でも様々なサービスが誕生してきた。そんな数多くのサービスを、「訪日ラボ」を運営するmovがカオスマップにして、2月18日に公開した。

題して、「インバウンド業界カオスマップ 2020年上半期最新版」。movいわく、このカオスマップを作成した理由は「拡大を続けるインバウンド市場において、各事業者、自治体の担当者レベルでどのようなインバウンド対策ソリューションが存在し、サービス事業者がいるのかを把握するのは困難」なため、「インバウンド業界に乱立する様々なソリューションなどを把握出来るように」。

TechCrunch Japanでも様々なカオスマップを紹介してきたが、約1400サービスを網羅しているのは圧巻だ。こちらから無料でダウンロードできるこのカオスマップはよく工夫されていて、各サービスのロゴをクリックすることで、サービスの詳細を訪日ラボで見ることができるようになっている。

このカオスマップでは、サービスを「プロモーション」、「分析・マーケティング」、「受け入れ環境整備」の3つの大カテゴリに分類。MATCHA、Discover Japan、Time Out Tokyoなどの情報サイトから、荷物預かりのecbo cloak、BESPOKEなどのチャットボット、そしてSTAY JAPANやairbnbなどの民泊系までを網羅している。

インバウンド業界カオスマップは半期に一度の改定、更新を予定しているという。

日本の民泊仲介サービスH2O Japanがサムスンなどから7億円超を調達

日本の旅行業は盛況だ。しかし宿泊先の不足という問題を抱えている。特に東京地域では、この夏のオリンピック開催を控えてホテル不足が深刻化している。

東京拠点のスタートアップであるH2O Japan が宿泊先仲介プラットフォームを立ち上げている。このサービスを利用して一般の不動産オーナーが部屋や家をバケーション向け滞在のために貸し出すことができる。米国時間2月3日、H2OはSamsung Ventures、Stonebridge Ventures、IMM Investment、Shinhan CapitalからシリーズBで700万ドル(約7億6000万円)のベンチャー資金を調達したことを発表した。これにより同社の資金調達総額は1800万ドル(約19億5500万円)となった。ちなみに同社は、エイチツーオー・ジャパンと読むが、同時にホスピタリティ2.0の意味にもかけてある。

H2Oは総合宿泊運営事業を手掛けており、各種の旅行サービスの宿泊先のチェックイン、チェックアウト、清掃、消耗品補給などの現場運営をオンラインプラットフォームで実実施している。同社が最近開始したのバケーション向けレンタル事業だ。これには人気の旅行スポットである大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンの近隣のホテルなどが含まれている。

同社グループは2015年に韓国でWahomeとして出発した。これは宿泊施設の清掃、運営などのサービスだったが、その後何社かのトラベル・ホスピタリティサービスの企業を買収し、事業を日本に拡張した。現在H2Oのプラットフォームは25社のオンライン旅行サービスに対し5000室の運営を行っている。

創業者でCEOのWoong Hee(John)Lee(ウン・ヒ・ジョン・リー)氏によれば「2018年の第3四半期の創立以降、 四半期ごとに収入は倍増する急成長を続けている」ということだ。.

同氏はコーネル大学でホテル運営を学び、Morgan Stanley(モルガンスタンレー)では金融サービスに携わった。TechCrunchの取材に対しeメールで答えたところでは、日本におけるホスピタリティ事業が有望であると考えたのは次の3つのトレンドからだという。

  1. 旅行業自体が好調
  2. インバウンド客の増大
  3. 宿泊先不足が深刻

H20は当初、バケーション宿泊施設の現場管理を提供していたが、2018年に仲介、予約、支払いを含めた全面的なホスピタリティサービスに参入した。

リー氏は「ホスピタリティ産業の中心をなす価値は最終的には対象不動産の価値を高めるところにあると考える。施設後のハウスキーピング、つまりあるホテルが独自に予約、フロント、客室管理などの業務を実行するのは不動産の運用という観点からみて非効率極まりない」と述べる。

H2Oの宿泊施設管理システムは宿泊客、部屋、管理業務という3つの重要な要素を同期させるところに秘密があるという。つまり部屋の予約から部屋の消耗品補充、清掃、料金収納、不動産オーナーへの支払いなど一連の業務がオンラインプラットフォーム上でシンクロして連続的に実行されることで高い効率性が得られる。空室リスト作成から宿泊のスケジューリング、清掃までまでH2Oの高度なソフトウェアが処理するという。

このプラットフォームはまた不動産オーナーが多数の施設を持っていても予約から入退室管理まで同時に管理でき、またチャットベースで宿泊客のサポートも行う。

2019年6月に日本では民泊新法制定され、一般の民間不動産を利用して短期滞在客を宿泊させるAirBnbのようなサービスが公式に認められた。リー氏はすでに宿泊関係のサービスに関わっている不動産投資家多数が(新法により)民泊分野に参入することになるという見通しを述べている。H2Oはホテル、旅館、簡易宿泊所、住宅宿泊事業(民泊)それぞれの認可を得ているが、事業の大部分は民泊に分類され、B2B事業として成長が期待されている。

2019年にH2Oが取り扱った宿泊の料金は1泊あたり平均160ドル(約1万7400円)程度で、稼働率は平均87%だった。H2Oのユーザーの7割は不動産管理業者、2割が日本国内の不動産所有者、1割が海外の不動産ファンドだった。H2Oを利用したゲストの4割が国内の旅行者、6割が海外からのインバウンド旅行者だった。インバウンドの内訳は、4割が中国、4割が韓国、1割が他の東南アジア、1割がその他の国、地域となっている。

Samsung Venturesの上級投資マネージャーであるEric Kim(エリック・キム)氏は投資を発表した声明で「ホスピタリティ・サービスという日本における急成長市場でH2Oを支援できるのは喜ばしい。H2Oは日本においてプロダクトマーケットフィットが達成できたことをすでに証明している。 H2Oが今後日本の大都市圏の外にも拡大し、成長を続けていくものと確信している」と述べた。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Airbnbが新宿区と提携、民泊の環境と意識のレベルアップ目指す

Airbnbと東京都新宿区は6月6日、住宅宿泊事業者(民泊事業者)の適正な運営を促すための提携を発表した。これにより同社は、ホストとなる民泊事業者への法令遵守の啓発、ホストとゲスト(利用者)への防災情報の提供、そして新宿区の観光・地域イベントの情報提供などを新宿区と進めていくとのこと。

Airbnbの共同創業者兼CSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー)、そしてAirbnb Chinaの社長を務めるネイサン・ブレチャージク(Nathan Blecharczyk)氏。同氏によると、東京と大阪はトップ10の旅行先に入っているとのこと

訪日外国人にとって、緊急時の避難場所などの情報は重要。国内でも特に地震が多い東日本に滞在する観光客にとって、今回のような自治体との提携が増えることは、安心材料の1つになるはずだ。

Airbnbは同日、Airbnb Partnersの参画企業が117社になったことも発表。具体的には、Airbnbホスト向けに宿泊時のトラブル対応や部屋の運用代行などのサービスを提供するエアトリスティや手間いらずとは、運用の効率化を図るためのツールとしてPMS(Property Management System)を共同開発。

不動産の売買仲介やハウスリースなどの事業を展開するハウスドゥとは、ハウスドゥが管理している空き物件を民泊として運用できるように前述のエアトリスティの協力の下で実現している。

地域イベントの盛り上げのために観光客を呼び込む「イベント民泊」にも力を入れているという。例として、ラグビーワールドカップの開催地の1つである岩手県・釜石市や幕張メッセを擁する千葉市、熊本県、大分県とパートナーシップを締結。自治体の要請を受けることで、一般人が旅館業法に基づく営業許可なしで宿泊サービスを提供することを可能に制度を確立している。

さらにLINEとベンチャーパブリックと提携し、「LINEトラベルjp」でのプロモーションを開始した。そのほかのパートナー企業との協業により、Tポイントの付与や各種保険の加入にも対応している。

民泊や短期賃貸物件の共有データベース「nimomin」が正式リリース

民泊運営管理ソフトウェア「m2m Systems」などを展開するmatsuri technologiesは3月11日、民泊業界向けの物件共有データベース「nimomin」を本日より正式リリースすると発表した。

nimominではまず、民泊・短期賃貸・Co-living向けの物件を所有する民泊業者などがnimominに物件を登録する。そして、入居者を集客するマンスリー業者やCo-living業者などがそこに登録された物件情報を確認し、入居希望者に紹介するという流れだ。

nimominは2017年2月よりベータ版の運用を開始。これまで限られた業者(物件)向けに需要検証を起こってきたが、それが終了し、一般公開することとなった。リリース時点では20の業者が同サービスを利用する予定だという。

matsuri technologiesはプレスリリースのなかで、東京・大阪・福岡・北海道・沖縄を中心に民泊などの用途で利用可能な「1000以上の物件登録を予定している」とコメントしている。なお、同社は2018年5月に数億円の資金調達も実施している。

数百万件の民泊物件を一括検索できる「StayList」が公開、4000万円の調達も

「わかりやすく言えば『trivago(トリバゴ)』の民泊版」。2月26日に正式公開された「StayList(ステイリスト)」の概要について、StayList代表取締役の本間陽介氏はそう説明する。

その例えだけでも十分にイメージは伝わりそうだけど、StayListは民泊物件を対象とした一括検索サイト(メタサーチ)だ。トリバゴが様々な宿泊予約サイトの情報を集約して横断検索できる仕組みを提供しているように、StayListを使えばAirbnbやHomeAwayなど、複数の民泊サイトの情報を一箇所で検索することができる。

同サービスで探せるのは日本やその他のアジア諸国を始め、ヨーロッパや北米、南米など幅広い地域にある民泊物件で、今の所はだいたい数百万件ほどが掲載されているそう。エリア軸のほかアパートメントやコテージといった「物件タイプ」、キッチンやプールなど「設備」を軸に、該当する物件を調べられるのが特徴だ。

現在は日本語、英語、韓国語、中国語(繁体字)の計4言語に対応。今後も対応言語を拡充していく計画で、特にアジア圏に住むユーザーを中心に利用を促進していきたいという。

4000万円の資金調達も実施、連携サイト数の拡大と機能拡充へ

StayListではサービスのローンチと合わせて、2018年10月にジェネシア・ベンチャーズとサイバーエージェント・キャピタルから4000万円の資金調達を実施したことも明らかにしている。

調達した資金を通じて組織基盤を強化し、連携サイト数の拡大や検索機能の拡充など使い勝手の向上に取り組む方針。また調達先となる2社はアジア市場における知見やネットワークを持っているので、資金面以外のサポートも見込んでいるそう。本間氏によると、すでにアジア圏で連携先を繋いでもらったりなど事例もあるようだ。

民泊物件を扱うサービスと言えばAirbnbのイメージが強いかもしれないが、近年グローバルでは数百もの民泊サイトが生まれている。加えて「Expedia」や「Booking.com」といった既存の宿泊施設予約サイトも民泊の取り扱いを始めていて、各サイトに散らばった情報を効率よく比較・検索できるサービスへのニーズが高まってきた。

すでに北米やヨーロッパでは「HomeToGo」や「Tripping.com」のような民泊の一括検索エンジンが台頭。急ピッチで成長を続けている(昨年12月にはHomeToGoがTripping.comを買収している)。日本発のものでも「Stayway」など、関連するサービスがいくつか出てきた。

本間氏もそのような状況を知っていたため、起業前から民泊の一括検索サービスに関心を持ち市場環境や国内外の規制などを調べていたそう。日本でも2018年6月15日に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されるなど、これから周辺環境の整備が進み市場が拡大していくタイミングだと捉え、10月に会社を創業。StayListの開発に着手した。

本間氏は前職のリクルートホールディングスに新卒で入社して以来、HR領域のデジタルマーケティングに一貫して取り組んできた人物。メタサーチの領域はSEOやデジタル広告など「自分が磨いてきたスキルと相性が良く、デジタルマーケティングドリブンで伸ばしていきやすい」ということも、このプロダクトに決めた理由のひとつだという。

まずはこれから数ヶ月間でStayListのキモとなる連携サイトを増やしつつ、プロダクトの機能拡充を進める方針。6月ごろまでを目処に一通りの機能を揃えた上で、プロモーションなどにも取り組む計画だ。

国内外の民泊・ホテルを一度に検索できる「Stayway」が資金調達、インバウンド対応を加速

前列中央がStayway代表取締役CEO佐藤淳氏

民泊とホテルを含めた宿泊施設検索・比較サービス「Stayway」を運営するStaywayは1月30日、エボラブルアジア、VOYAGE VENTURES、および元マネーフォワード取締役の浅野千尋氏を引受先とした第資金調達を実施したと発表。調達した額は非公開とされているが、数千万円規模になるという。

日本での民泊元年、2018年の6月にリリースされたStaywayは民泊とホテル等の宿泊施設を同時検索・価格比較できる、同社いわく国内初のサービスだ。

同サイトではBooking.com、Expedia、Agoda、Ctrip、HomeAway、楽天トラベル、じゃらん、一休、Hotels.com、Wimduなど国内・海外の大手予約サイトの最新情報をもとに、3ステップで簡単に最安値を検索できる。現時点で世界100か国・2万都市以上の400万件を超える宿泊施設が対象になるという。

Stayway代表取締役CEO佐藤淳氏いわく、同社は今回調達した資金をもとにStaywayのシステム開発とサービス提供体制強化のために体制を強化する。価格予測機能を2019年上半期中に実装することを目指す。

加えてインバウンド対策として、英語、中国語、韓国語に対応できるようにする。まずは英語を先行し、2019年中にはリリースする予定だ。

インバウンド市場は急拡大しており、2017年の訪日外国人旅行者数は過去最多の2869万人、東京でオリンピックが開催される来年2020年には年間4000万人まで増加すると言われているが、Staywayのようなサービスは宿泊施設不足の問題解決に大いに貢献できるのではないだろうか。

また今後、検索サイト事業以外でも、よりオンラインとオフラインを融合させた宿泊関連事業を展開するというStayway。佐藤氏いわく、宿泊施設を同社のブランドでプロデュースする事業を強化させるそうだ。

Airbnbのホストたちが巨大ハリケーンからの避難家族に部屋などを無償提供

ハリケーン・フローレンスが南東部沿岸に急速に接近しているため、多くの人が内陸部に避難場所を求めて当地を去りつつある。しかし避難住宅などがなかなか見つからない人びとも少なくないから、Airbnbのホストたちが、空き部屋を無料で提供し始めている

ペンシルベニア州からアラバマ州にかけての、ゆうに300あまりのホストが、AirbnbのDisaster Response Program(災害対応事業)に参加して、自然災害を逃れてやってきた人びとに部屋や別宅などを無料で提供している。彼らが得るものは、人助けをしたという満足感だけだ。

提供される部屋や別棟などはここにリストアップされている。ログインして自分の場所を提供中にしたら、“urgent accommodation”(緊急避難場所)オプションを見つける。無料ではなく有料にしてもよいが、この際それはちょっと、後ろめたいだろう。

滞在場所を探している人も、Airbnbのアカウントが必要だ。いつまで無料で居られるかなどは、ホストと交渉する。災害救助事業に便乗して、どこかにただで泊まろう、なんて卑しい根性を、この際持ってはいけない。

避難家族は膨大な数だから、300のAirbnbホストが提供するスペースは焼け石に水かもしれない。でもこれは、インターネット上のプラットホームが社会貢献もできる、ということの好例だ。Airbnbはこれまでも、多くの災害で同じことをやってきたが、それを知らない人も多いだろう。その気になった人は、これを機にユーザー登録したらどうかな。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

民泊を含めた400万件以上の宿泊施設を検索できる「Stayway」が正式リリース

写真中央がStayway代表取締役の佐藤淳氏

6月15日に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行され、日本でも民泊ビジネスが盛り上がりの兆しを見せている。

最近では民泊分野のメインプレイヤーとも言えるAirbnbが新たなパートナーシップ制度を発表し、宿泊予約のReluxが民泊施設の取り扱いを始めた。

そんな中「トラベルをシンプルで、フレンドリーに」をミッションとするStaywayが6月26日、民泊とホテルを含めた宿泊施設検索・比較サービス「Stayway」を正式にリリースした。

また、同社はエウレカ創業者の赤坂優氏からの出資、および元Expedia日本代表、三島健氏のアドバイザー就任を併せて発表した。出資額は明らかにされていない。

同社いわく「Stayway」は民泊とホテル等の宿泊施設を同時検索・価格比較できる国内初のサービスだ。Booking.com、Expedia、Agoda、Ctrip、HomeAway、楽天トラベル、じゃらん、一休、Hotels.com、Wimduなど国内・海外の大手予約サイトの最新情報をもとに、3ステップで簡単に最安値を検索できる。現時点で世界100か国・2万都市以上の400万件を超える宿泊施設が対象になるという。

同サービスは2018年1月のベータ版ローンチ以降、同社運営の「Stayway Media」と合わせて約5か月で10万人のユニークユーザーを達成した。正式リリースを終え、代表取締役の佐藤淳氏は年内に月間50万ユニークユーザーの獲得を目指す。

「競合のTRAVELKOは月間のユニークユーザーが約400万。そこにどんどん追いついていきたい」(佐藤氏)

同氏は競合としてTRAVELKOやtrivagoなどをあげつつも、「合法的な民泊を含めたかたちで横断検索」できるのがStaywayの強みだと説明した。また、若い世代に使いやすいよう、UIをシンプルにし、どんなワードでも検索できるようにしたという。

政府が2020年に4000万人の訪日外国人客数を見込むなか、同社は今後、外国語対応に向けた準備を加速させるという。加えて、「Stayway」とは別に、2018年7月には旅行領域に特化したインフルエンサーを活用した高品質動画・ドローン撮影サービスをリリースするそうだ。

日本の民泊が動き出すーーAirbnbが日本企業36社とともにグループ初のパートナーシップ開始

Airbnb共同創業者のNathan Blecharczyk氏

いよいよ明日6月15日に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行される。日本の観光産業にとって節目となる日だ。そんな中、民泊分野のメインプレイヤーとも言えるAirbnbが新たなパートナーシップ制度を発表した。

Airbnbは6月14日、日本企業36社と手を組み、パートナーシップ制度「Airbnb Partners」を立ち上げると発表した。このパートナーシップ制度は、グローバル組織であるAirbnbとしても初の取り組みとなる。同社はこの発表に合わせて記者会見を開催。Airbnb共同創業者のNathan Blecharczyk氏とAirbnb Japan代表取締役の田邊泰之氏が日本での戦略を語った。

体験型の日本旅行を、日本らしい形で

Airbnb Japan代表取締役の田邊泰之氏

「一番重要なのは、Airbnbが提供する体験型の旅が日本らしい形で成長することだ」ーー田邊氏は会見でこう語った。

個人が所有する空き家や空きスペースを旅行者に宿として提供できる民泊サービスとして成長を続けるAirbnb。これまでの累計利用者数は3億人を超え、掲載された宿の数は500万件を超える。これは、ホテル最大手のマリオットグループが所有する部屋数の約4倍にもあたる数字だという。

しかし、Airbnbは単に場所だけを提供するサービスではない。例えば、日本のAirbnbに掲載されている宿のなかには、宿のオーナーが持つ日本酒のコレクションを旅行者が楽しめるものもある。ユーザーが旅の最中に現地の人々とふれあい、日本の文化を体験できる“体験型の旅”がAirbnbの最大の特徴だ。

そのような体験型の旅を日本で成長させるためには、もちろん体験型のサービスを現地で提供する必要もあるし、部屋の管理や清掃だけでなく移動、金融などの各種サービスを充実させる必要もある。安心安全といった要素も重要だ。

でも、それらのサービスをすべてAirbnbが単体で提供することはできない。そこで彼らは、各分野でビジネスを行う企業とパートナーシップを組むという道を選択したというわけだ。現時点でAirbnb Partnersに参加する日本企業は36社。銀行のみずほフィナンシャルグループ、保険の損害保険ジャパン日本興亜、旅行のエボラブルアジア、小売のビックカメラ、家具のニトリ、エンターテイメントのカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)など、参加企業は多種多様だ。

日本独自の7つの施策

Airbnbは今後、これらのパートナー企業とともに以下の7つの施策を実行する。

  1. ハイスタンダードな宿だけを集めた上位プラン「Airbnb Plus」を東京、大阪、京都でも提供開始
  2. AirbnbでCCCの「Tポイント」が利用可能になる
  3. パートナー企業のエアトリスティが提供する宿の一括運営サービスをフランチャイズ化し、全国展開。地元ならではの体験型サービスも提供
  4. パソナと連携してホスト(宿のオーナー)の育成プログラムを強化
  5. パートナー企業とともに、地域活性化に貢献する旅行プログラムを提供(例:アソビシステムと原宿のポップカルチャーを体験できる宿の提供)
  6. 住宅系のパートナー企業とともに、“民泊ファースト”な住宅の開発
  7. 旅行系のパートナー企業とともに、日本独自の保険プログラムを提供

Blecharczyk氏は、「Airbnbを利用する日本のすべての人々が、より快適に利用ができるようコミットする。この新しいパートナーシップによってホストとゲストが必要なサービス、サポートを提供することで、Airbnbのコミュニティもさらに大きく、力強いものになっていくと確信している」と話す。

冒頭でも述べたように、Airbnb Partnersはグローバル組織であるAirbnbとしても初の試みであり、上にあげた7つの施策も日本独自のものだ。2020年には東京オリンピックを控え、インバウンド旅行者も2800万人を突破した日本の観光産業がもつポテンシャルの大きさを物語る。

また、ここ数ヶ月中の出来事だけで言っても、民泊運営ツールのmatsuri technologiesSQUEEZEが数億円規模の資金調達を実施し、宿泊予約のReluxが民泊施設の取り扱いを始めるなど、この分野ではスタートアップの動きもいよいよ活発化してきた。民泊新法の施行を合図に、日本の民泊ビジネスが一斉に走り出す。そんな気がするのは僕だけだろうか。

Airbnbが未認可物件に対する宿泊予約をキャンセル、そして「ズボラ旅」は“救済宣言”

民泊予約サービスのAirbnbは6月7日、自治体への届け出が完了していない宿泊先ついて、6月15〜19日にチェックイン予定だった予約分をAirbnb側でキャンセル処理すると発表した。

観光庁は6月1日に、Airbnbを含む民泊仲介業者に対して「届出番号、あるいはその他のホスティングをするための正当な理由(許認可等)がないホストは、既に確定済みの予約であってもキャンセルしなければならない」(Airbnb発表)という旨を一斉に通知していた。今回のキャンセル処理は、この指示に同社が従ったためだ。

Airbnbはこの件について、「過去に観光庁が示していた対応方針とは異る内容で、当社にとっても驚き」、「苦渋の決断」とコメントしている。

同社は、今回のキャンセルに該当するユーザーへ宿泊代金の満額を返金するとともに、予約金相当額+100ドル分のクーポンを提供する。また、今回のキャンセルで旅行プラン変更を余儀なくされたユーザーを支援するため、1000万ドル(約11億円)の基金を設立。代わりの宿泊施設の確保や、航空券の変更手数料などで発生する追加費用を補填するとしている。

ちなみに、同社のリリースでは、Airbnbで新しい宿泊先を見つけられなかった場合には旅行代理店のJTBが宿泊先確保の手助けをするとあるが、以前TechCrunch Japanでも紹介した完全チャット形式の旅行代理店「ズボラ旅」も、Airbnbユーザーの救済に名乗りを上げた。運営元のHotsprings代表取締役の有川鴻哉氏によれば、ズボラ旅はAirbnbで宿泊予約がキャンセルされたユーザーに対し、手数料無料で宿泊先の相談と手配を受け付けるという。

2018年5月リリースのズボラ旅は、旅行はしたいが、旅行先などはまったく決めていないというズボらな人でも使えるチャットサービスだ。出発地と旅行日程をチャットで伝えるだけで、おすすめの旅行先のリコメンドと手配をしてくれる。サービス発表直後に急増した相談に対応できず“パンク宣言”するなど話題になった。同サービスはこれまでに約7000人の旅行相談を受け付けたという。

LINEや電話で最適な施設を提案、Reluxが民泊物件などのコンシェルジュサービスを開始

昨年からスタートアップ界隈でも注目を浴びていた「民泊新法(住宅宿泊事業法)」が施行される6月15日まで、1ヶ月を切った。

2017年から2018年にかけて、民泊領域の新会社や新サービスの発表が相次いだ。TechCrunchでもリクルート住まいカンパニーがAirbnbと提携して民泊事業を展開することを始め、関連する話題を紹介してきたが、新法の施行を皮切りに各サービスが事業を本格化していくことになるだろう。

宿泊予約サービス「Relux(リラックス)」を運営するLoco Partnersもそのうちの1社だ。2017年の時点で新法施行後に新たなサービスを展開することを発表し、2018年1月には町家や古民家などを紹介する「Vacation Home」をリリース。6月15日以降は、このサイトに民泊物件も掲載されるようになる予定だ。

それを見越して同社では本日5月29日より、Vacation Homeに掲載される施設を対象としたコンシェルジュサービスを開始した。

ユーザーの要望に応じた宿泊施設を提案、代理予約まで

今回Loco Partnersが始めたのは、コンシェルジュがユーザーの要望にあったVacation Homeを提案し、代理予約(一部店舗を除く)までしてくれるというサービスだ。

ユーザーはReluxの公式LINEの他、電話や専用の依頼フォームを通じてコンシェルジュに無料で相談が可能。以前からRelux内で提供していた「Reluxコンシェルジュ」の対象をVacation Homeの施設にまで広げる形で運営する(少なくともリリース時点ではReluxコンシェルジュと切り分けず、ひとつのサービスとして提供)。

今回コンシェルジュサービスの対象を広げるに至った背景には、旅行者と宿泊施設のベストマッチを実現するという意図はもちろんのこと、旅行者が民泊物件に対して危険や不安といったイメージを抱いていることがあるという。

たとえばマクロミルが全国の20~69歳の男女1000名を対象に実施した「民泊に関する意識調査」では、民泊に対して「安い」、「外国人向け」、「利用者のマナーが悪い」といった印象を持つ人が多いという結果がでている。

そのイメージもあってか、全体の7割が民泊利用に抵抗感を示しているようだ(民泊の利用意向について、43%が全く利用したくない、27%があまり利用したくないと回答)。これはあくまで参考程度にしかすぎないが、口コミなどが少なければ余計に不安を覚えるユーザーも多いことが想定されるため、安心して宿泊できるようにコンシェルジュサービスの拡張を決めた。

現在Vacation Homeでは旅館業法における簡易宿所の許可を取得した町家や古民家、貸別荘など約200施設を掲載。家族旅行など大人数の宿泊客や外国人観光客から特に人気があるそうで、価格帯はだいたい1万円〜20万円と幅も広い。

今後はここに民泊物件も掲載される予定だが、Loco Partnersの広報担当者によると「通常のホテルや旅館では100項目にもおよぶ審査基準をクリアした施設のみが掲載されている。民泊物件の場合は別途独自の基準で審査をすることになる」ため、当初から膨大な数の民泊物件が並ぶということはないという。

“チャットでまるっと旅行相談” のニーズが広がる

普段からスタートアップやWebサービスのトレンドを追うのが好きな人なら、もしかすると最近話題になった「ズボラ旅(ズボラ旅 by こころから)」に似ていると感じたかもしれない。

ズボラ旅は旅行へ行きたい日付と出発地を伝えれば、専門のスタッフが旅行プランを提案してくれるというLINE@のチャットサービス。リリースから数時間で数千件の相談が寄せられ、運営がパンクしたことも記憶に新しい。

Loco Partnersの広報担当者にズボラ旅について聞いてみたところ、やはり社内でも話題になったそう。実際Reluxコンシェルジュのユーザーもある種丸投げに近い形で、ふわっとした要望から自分にあった施設を探して欲しいというニーズが多いとのこと。

ただ「Reluxの場合は厳選された宿泊施設のみを紹介しているのが特徴。また年間100泊以上している審査委員会とコンシェルジュが密に連携をとっているため、その知見も生かした提案ができるのが強み」(Loco Partners広報担当者)であり、民泊などに対象が広がってもこの特徴を軸にしていきたいということだった。なおReluxでは2015年5月よりLINE@でのコンシェルジュサービスを開始。電話とメールではそれ以前より、同様のサービスを提供している。

民泊新法が施行された後の民泊市場の行方はもちろん気になるところだが、チャットなどをベースにした新しい旅行サービスの形も今後広がっていきそうだ。

1.5万施設が登録する民泊管理ツール提供のmatsuri technologies、数億円を調達

民泊管理ツール「m2m Systems」など、民泊事業者向けのサービスを複数展開するmatsuri technologies。同社は5月23日、DasCapital(連続起業家の木村新司氏が代表を務める投資会社)、ファンドクリエーション、リンキンオリエント・インベストメントが運営するファンドより、数億円規模の資金調達を実施したことを明らかにした。

なおファンドクリエーションとは資本業務提携を行い、共同で民泊マンスリーファンドを組成。資金面でも民泊事業者をサポートしていく方針だ。合わせて複数社と協業し、民泊借り上げ事業にも取り組む予定だという。

matsuri technologiesが提供しているm2m Systemsは、複数のAirbnbアカウントを登録・一元管理できる民泊管理システムだ。ゲストからのメッセージ対応を始め、事業者が民泊運営において抱える課題を解決する機能を複数搭載する。

メッセージの自動送信、清掃状況の確認と手配、複数アカウントの一元管理などを通じて、事業者の業務効率化に加えて物件の稼働率の向上もサポートするのが特徴。2018年5月には登録件数が1万5000施設を突破した。

また6月に施行される民泊新法(住宅宿泊事業法)では民泊営業の上限が年間180日とされ、事業者は残りの期間を住宅利用することが必要だ。業界内ではこの180日以外の期間を、短期の賃貸物件として運用する「二毛作民泊」が注目を浴びていて、matsuri technologiesでも民泊とマンスリー賃貸の併用管理システム「nimomin」を手がけている。

今回の資金調達を踏まえ、同社ではm2m Systemsをはじめとする民泊運営支援ツールの機能拡充を進めるとともに、ファンドクリエーションと共同で組成する民泊マンスリーファンドなどを通じて、民泊事業者を支援していく方針だ。

ITとクラウドワーカーの力で民泊運営を効率化するSQUEEZE、ケネディクスから約8億円を調達

民泊を中心とした宿泊事業者向けの運営代行サービス「mister suite」などを展開するSQUEEZEは3月28日、不動産アセットマネジメント会社のケネディクスと資本業務提携を締結し、総額約8億円を調達したことを明らかにした。

今回の業務提携を通じて、両社では「サービスアパートメントと民泊のハイブリッド運用モデルの共同開発」と「SQUEEZEが運営するスマートホテル施設の調達および投資」を行っていくという。

SQUEEZEは2014年9月の設立。同年にmister suiteをリリースした。同サービスは物件の運用に必要となる業務を、専業の登録ユーザーに依頼できるクラウドソーシングの機能を備えている点が特徴だ。集客に関わるチャネルのマネジメント、部屋料金の自動調整、24時間のカスタマーサポート、清掃スケジュールの自動化など幅広い業務をカバーする。

同社ではクラウド上で物件の情報を一元管理できる「suitebook」やスマートロックの販売事業も展開。民泊を中心とした宿泊事業者が行う一連のタスクを、システムとクラウドワーカーの力で効率化している。

また2017年からは他事業で培った知見をもとに、「Minn」というブランドでスマートホテルの自社運用をスタート。この領域においては今後ケネディクスと協業していく予定だ。加えてSQUEEZEではケネディクス傘下のスペースデザインと連携し、6月15日に施行される住宅宿泊事業法の下でサービスアパートメントと民泊のハイブリッド運用にも取り組むという。

SQUEEZEは今回調達した資金でさらなる体制強化を図るほか、スマートホテル施設の調達やsuitebookのシステム開発を進める方針だ。なお同社は、2016年5月にジャフコ、インキュベイトファンド、その他事業会社、個人投資家らから総額約4.2億円の資金調達を実施している。

freeeが「民泊を始めたい人」をサポートする新サービス、事前届出開始の3月15日に公開へ

クラウド会計ソフトなど複数事業を展開するfreeeは3月12日、⺠泊事業を始めたい人向けの新サービス「⺠泊開業 freee」を発表した。民泊事業の事前届出が開始する3月15日より、同サービスを提供する予定だ(サービスサイトも同日公開)。

「6月15日の民泊新法(住宅宿泊事業法)施行」は2018年上半期において、多くの人が注目するトピックのひとつだろう(スタートアップの動向に関心があるTechCrunch読者であればなおさら)。

TechCrunch Japanでも「SUUMO」を運営するリクルート住まいカンパニーがAirbnbと提携して民泊事業を展開することを1月に紹介したが、すでに多くのプレイヤーが参入を発表している。

国内の大手IT企業では楽天がLIFULLとタッグを組んで、民泊事業会社の楽天LIFULL STAYを設立。ヤフー傘下の一休は2016年から11月から「一休.comバケーションレンタル」を運営している。スタートアップも「Relux」提供元のLoco Partnersが「Vacation Home」を、「スペースマーケット」提供元のスペースマーケットが「スペースマーケットSTAY」を通じて民泊事業を本格化する。

そのほかJALも「STAY JAPAN」を運営する百戦錬磨と資本・業務提携をして民泊領域に参入する動きが見られるなど、この盛り上がりは今後も続いていきそうだ。

2月末には観光庁が民泊制度のポータルサイトを開設。6月の新法施行に先駆けて、まずは3月15日から住宅宿泊事業の事前届出が開始する。これを機に民泊の間口が広がり、多くの法人・個人が民泊ビジネスを始めることも予想される。

ただし民泊新法によって民泊を始めやすくはなるものの、ポータルサイトの説明を見る限り届出に必要な手続きにはある程度の手間がかかるだろう。この届出手続きを中心に、個人事業主の開業手続きや民泊サイトへのホスト登録までを一気通貫でサポートしようというのが、冒頭で紹介した⺠泊開業 freeeだ。

ポータルサイトで紹介されている、届出の際に必要な添付書類(個人の場合)

届出手続き、開業手続き、ホスト登録を一気通貫でサポート

民泊開業freeeの主な機能は「住宅宿泊事業(民泊)の届出手続きサポート」「個人事業主としての開業手続き書類の作成」「⺠泊予約サイトSTAY JAPANへのホスト登録」の3つだ。

民泊の届出手続きのサポートについては同サービス上で必要書類が確認できるほか、行政が提供する「⺠泊制度運営システム」へのリンクを設置。リンク先から書類を作成する流れになる。そのためリリース時点では、ものすごく使い勝手がいいとまでは言えないかもしれない。

ただ担当者によると「今後は民泊開業freee上で必要書類の作成機能を提供することも検討していく」とのことで、この機能が実装されるとより使いやすくなりそうだ。

個人事業主としての開業手続き書類の作成は、以前から提供している「開業freee」を民泊用に少しカスタマイズした形で提供。簡単に質問に答えれば、開業届や青色申告承認申請書など各種書類を自動で作成できる仕様になっている。

またfreeeではサービスリリースにあたって百戦錬磨との業務提携を締結。STAY JAPANへのホスト登録をサポートする(登録ページへのリンクを設置、リンク先でホスト登録をする)。

民泊に興味はあるけれど、何をやったらいいか全くわからないという人も一定数はいるはず。そのようなユーザーにとって、民泊開業freeeは順番に沿って作業を進めると最低限やっておくべきことが一通り完結するため、便利なサービスといえるだろう。

必要書類の作成が同サービス上だけでは完結できない点や、民泊サービスのホスト登録がSTAY JAPANのみの対応となっている点などについては、今後さらに良くなる余地もありそうだ。

リクルート「SUUMO」がAirbnbと業務提携、民泊事業へ参入

リクルートホールディングス傘下で不動産情報サイト「SUUMO」を運営するリクルート住まいカンパニーは1月17日、Airbnbとの業務提携により、民泊関連事業へ参入することを発表した。

リクルートでは、SUUMOに物件を掲載する賃貸管理会社やオーナーに対して、空き室を民泊として活用できるよう提案し、運営も支援。と民泊の2通りの活用を勧めることで、物件の収益向上を支援することを目指す。

民泊運営を希望する空き物件の管理会社・オーナーには、同社が提携する民泊運営代行会社を紹介。家財手配をはじめとした民泊運営の開始準備から、Airbnb等の民泊プラットフォームへの情報掲載、予約や問い合わせ対応、鍵の受け渡し、クチコミ管理、清掃など、運営業務一式を委託することで、民泊運営経験のない管理会社やオーナーでも利用しやすくする。また同社では、Airbnbサイト以外に、特別サイトなどを通じた集客施策の展開も予定している。

民泊新法が成立、登録制で年間180日の民泊サービスを提供可能に

所有する住宅を旅行者らに有料貸し出しする、いわゆる「民泊」の健全な普及に向けたルールをを定める「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が6月9日、参議院本会議で賛成多数で可決し、成立した。

民泊新法の概要については以前にTechCrunch Japanでも閣議決定の際に紹介しているが、同法では、都道府県知事に住宅宿泊事業者として届け出をすることで、民泊サービスを提供可能になる。営業日数の上限は年間180日、また衛生確保措置や騒音防止のための説明、苦情対応、宿泊者名簿の作成・備付けなどが義務づけられている。

ホームシェアリングサービスを展開するAirbnb Japanでは、今回の新法可決に際して以下のようにコメントを発表している。

日本のニーズを反映したシンプルでわかりやすく現実的な本法律が成立したことを大変嬉しく思います。これは、日本のホストコミュニティ、そしてこれからホストになりたいと考えている方々にとって素晴らしいニュースであると考えます。

旅行者にとっても喜ばしいニュースです。日本はAirbnbにとってアジアで最も人気の旅先です。そして、Airbnbを利用して日本を旅するゲストは、ユニークな体験を求めています。

こちらも既報の通りだが、Airbnb Japanが発表したところによると、2016年にAirbnbのコミュニティが創出した利益は4061億円、経済効果は約9200億円(約84億ドル)、標準的なホストの年間収益は約100万円。日本においては、過去1年(2016年6月から2017年5月)で500万人がサービスを利用している(2016年における訪日外国人の利用は400万人)。

LGBTQコミュニティ向けのAirbnb、Misterb&bが850万ドルを調達

ターゲットを絞った小規模な企業が、Airbnbの競合として生き残っていくだけの余地はまだ残っているのだろうか? この問いにイエスと答えようとしているのが、フランス発のスタートアップMisterb&bだ。この度、Project AVentechから850万ドルを調達した同社は、LGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クィア)ユーザーに特化した民泊プラットフォームを運営している。

名前からもわかる通り、もともとMisterb&bは男性の同性愛者向けサービスとして始まったのだが、今ではLGBTQコミュニティ全体を包括するようなプラットフォームに変わろうとしている。Airbnbも、いわゆるゲイ・タウン(同性愛者が集まる地域)の物件をたくさん扱っているが、ホストの素性についてユーザーは事前に判断することができない。

Misterb&bファウンダーのMatthieu Jostは、パートナーとの旅行時にホスト絡みで苦い経験をしたこともあり、この状況に警鐘を鳴らしている。さらに、同性愛が禁じられている国への旅行となると、リスクは一層高まってくる。

しかし、Misterb&bを利用する人たちは、全員がこの状況を理解しているので、わざわざホストに嘘をつく必要もない。また、現地で直接情報収集するタイプの人であれば、地元に住むホストにオススメ情報を尋ねるのが1番だろう。

現在彼らは135か国でサービスを展開しており、ホストの数は10万人にのぼる。ウェブサイトの見た目や雰囲気はかなりAirbnbに近いので、ユーザーが利用時に戸惑うこともない。

ここで、冒頭の問いについてもう一度考えてみたい。まず、Airbnbはこれまでに幅広い層をターゲットにした全方位型のサービスへと成長した。今となっては、彼らは潰れるには大きすぎるほどのサイズにまで成長し、別の企業がAirbnbを丸々代替するようなことは恐らくないだろう。しかし、Airbnbが力を入れていない分野やターゲットが存在するというのも事実で、新興企業にもまだ勝機が残されている。

だからこそ、Onefinestayは超ハイエンド版のAirbnbとして成功をおさめ、後にAccorHotelsに1億7000万ドルで買収されたのだ。Misterb&bも、ターゲットを絞りながら業界を先導する企業の類似サービスを提供しているスタートアップの良い例だ。

以上より、民泊市場には複数の企業がやっていけるだけの余地が残されていると個人的には考えている。市場が細分化しすぎない限りは、選択肢が増えるという意味で消費者には喜ばしいことだろう。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Airbnb利用の訪日外国人が400万人に――国内物件数は5万1000件

2008年8月にサンフランシスコで生まれ、日本でも普及が進む民泊サービスの「Airbnb」。日本経済新聞は6月2日、そのAirbnbを利用した訪日外国人が2016年度に前年比約4割増の400万人に達したと報じた

TechCrunch JapanもAirbnb Japanへの取材でこの事実を確認している。Airbnb Japanはこの数字を認めた上で、国内の物件数が5万1000件(5月時点)に達したことを明らかにした。

Airbnb Japanは2017年4月に「日本における短期賃貸に関する活動レポート」という調査レポートを公開している。レポートの概要は以下の通り:

  • 2016年、Airbnbコミュニティが経済活動により創出した利益は4061億円であり、その経済効果は9200億円(84億ドル※)に及ぶと推計される。
  • 2016年、日本の標準的なAirbnbホストのホスティングによる年間収入額は100万4830円。
  • 2016年、一般的なAirbnbホストの年間貸し出し回数は89泊。

本レポートでは、「2016年、370万人以上のインバウンドゲスト(訪日外国人客)がAirbnbのリスティング(部屋)に宿泊」とされているが、今回その数字が400万人に達したことが明らかとなったわけだ。

日本政府観光局の調べによれば、2016年度の訪日外国人は約2400万人(前年比21.8%増)。東京オリンピックが開催する2020年までの日本政府の目標は、この数字を4000万人にまで伸ばすことだ

だが、それに比例して増大するのが外国人旅行客の宿泊需要。そして、その需要を吸収する方法として注目されているのが、一般住宅を貸し出して宿泊施設とする民泊サービスだ。

そんな中、日本政府は健全な民泊サービスの普及を目指し、2017年3月に住宅宿泊事業法(民泊新法)を閣議決定した。2018年1月にも施行予定とされるこの民泊新法では、Airbnbのような民泊の仲介サービスは観光庁長官の登録、そして、民泊運営を代行する業者は国土交通大臣の登録が必要であると定められている。

健全な民泊サービスが普及すれば、これまでは民泊を利用しなかったユーザーも安心して利用できるようになり、このマーケットの市場規模そのものが大きくなる可能性がある。

増えつつある訪日外国人の宿泊需要を吸収したい日本政府。そして、日本の民泊マーケットでのプレゼンスを高めたいAirbnb。今回明らかとなった数字をみるかぎり、それぞれのシナリオは今のところ順調に進んでいるようだ。

民泊新法が閣議決定、Airbnbなどの民泊サービスは登録制に

日本でもAirbnbといった民泊サービスをはじめ、物件オーナーの代わりに民泊運営を代行する管理会社なども増えてきている。徐々に規制緩和が進んでいるが、ついに民泊サービスに大きな転換点が訪れるようだ。本日、民泊サービスの健全な普及を図るため、住宅宿泊事業法案が閣議決定された。早ければ2018年1月にも施行される予定だという。住宅宿泊事業法案では、住宅宿泊事業者の届出制度と住宅宿泊仲介業および住宅宿泊管理業者の登録制度を創設する。

住宅宿泊事業者とはつまり、所有する住宅を貸し出して民泊を運営したいと考えるホストのことだ。民泊ホストは都道府県知事に届出を提出することで民泊サービスを提供できるようになる。ただし、1年間で提供できる日数の上限は180日(泊)だ。住宅宿泊事業者には衛生確保措置、騒音防止のための説明、苦情への対応、宿泊者名簿の作成・備付け、標識の掲示といった民泊運営のための適正な措置を行うことが義務付けられる。

また、Airbnbのような民泊物件と宿泊したいユーザーとをつなぐ仲介サービス(住宅宿泊仲介業)と民泊運営を代行している業者(住宅宿泊管理業者)は登録制となる。住宅宿泊仲介業は観光庁長官に、住宅宿泊管理業者は国土交通大臣にそれぞれ登録する。

政府は訪日外国人旅行客を2020年までに4000万人にすることを目標としているが、そのためには宿泊需要にも対応していく必要がある。政府は民泊サービスの活用を図りたい考えだが、これまで無許可で営業する民泊事業者もあり、近隣住民とのトラブルを防止する制度が整っていなかった。住宅宿泊事業法を整備することで、民泊事業を実施する場合の一定のルールを定め、健全な民泊サービスの普及を目指したい考えだ。

物件オーナー側としてはこれまで民泊運営を始めようと思っても、民泊事業は旅館業法に則っていたため、床面積や消防設備などの制約が多く、営業許可を得るのが難しかった。2016年4月には旅館業法の一部で規制緩和が行われているが、住宅宿泊事業法で民泊を始めるハードルが少し下がることになるかもしれない(いくつか宿泊者名簿の作成や標識の掲示などの義務付けはあるが)。

営業日数の上限が180日と決められているのは気になるところが、他の都市の事例を見てみるとそこに関しては特別厳しい規制でもなさそうだ。世界中でホームシェアリングサービスを展開するAirbnbによると、アメリカ・サンノゼではホストが自宅にいる場合は無制限に物件を掲載できるが、留守にする場合は180日が上限だ。ロンドンの上限は年間90日、アムステルダムでは物件を貸切でシェアする場合は年間60日までと決められている。

本日の閣議決定に対し、Airbnb Japanの代表取締役を務める田邉泰之氏は以下のようにリリースでコメントしている。

この度の閣議決定を大変嬉しく思います。

有休資産である空き家、空き部屋の活用により、多くの新たな機会を生み出されます。地域社会に配慮し、持続可能な形で、ホームシェアを含む短期賃貸が日本全国で普及するよう、引き続き日本政府や関係者の皆様と協働させていただく所存です。