ウミトロンが水中にいる魚のサイズを自動測定するシステム「UMITRON LENS」を発表

ウミトロンが水中にいる魚のサイズを自動測定するシステム「UMITRON LENS」を発表

水産養殖業が抱える課題の解決を目指すウミトロンは12月10日、新サービスにあたるスマート魚体測定システム「UMITRON LENS」の開発を発表した。UMITRON LENSはAIおよびIoT技術を活用し、ポータブルの撮影用カメラとスマートフォンアプリでの操作によって、水中にいる魚のサイズを自動で測定し、クラウドにおいてデータ管理が可能な水産養殖向けスマート魚体測定システムとなっている。

魚の成長サイズは、水産養殖における重要な経営指標となっているものの、手作業での計測は労務の負荷が高く、計測中に魚を傷つけることで資産価値が落ちるといった課題があるという。そのためこれまでは、十分な魚の数・頻度で計測することが困難だった。

UMITRON LENSは、小型ステレオカメラとAIを活用し、水中の魚のサイズを自動計測。また、通信機能によってクラウドとデータ連携することで、魚の成長確認を容易にし、労働の省力化や収益性の向上、経営安定性に貢献する。

UMITRON LENSをブリの生け簀にて使用する様子(大分県臼杵市)

UMITRON LENSをブリの生け簀にて使用する様子(大分県臼杵市)

UMITRON LENSスマートフォンアプリサンプル画像

UMITRON LENSスマートフォンアプリサンプル画像

同システムは、2018年より大分県で開発を実施。実際の生産現場における計測作業のユーザビリティーや、生育管理に役立つデータや推定精度への改善を続けてきたという。

従来は、ユーザービリティーを高めるために小型ステレオカメラ活用をする場合、測定精度の低さが課題となっていたが、独自の解析アルゴリズムを開発し、高い測定精度を実現した。

ブリ(左)とマダイ(右)の解析イメージ

ブリ(左)とマダイ(右)の解析イメージ

また同事業(プロジェクト名:IoT/AI技術を活用した水産養殖管理サービスの事業化)は、2020年6月に経済産業省 関東経済産業局より「異分野連携新事業分野開拓計画」に認定。大分県のブリ養殖事業者「重宝水産」と愛媛県のマダイ養殖事業者「赤坂水産」と連携し、新サービスの開発と市場開拓を進めている。

ウミトロンは、成長を続ける水産養殖にテクノロジーを用いることで、将来人類が直面する食料問題と環境問題の解決に取り組むスタートアップ企業。

シンガポールと日本に拠点を持ち、IoT、衛星リモートセンシング、機械学習をはじめとした技術を用い、持続可能な水産養殖のコンピュータモデルを開発している。同社は、世界中の養殖ノウハウを集積したコンピューターモデルを開発・提供することで、より安全で、人と自然に優しい「持続可能な水産養殖を地球に実装する」ことを目指している。

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カテゴリー:IoT
タグ:IoT(用語)ウミトロン(企業)食品(用語)水産養殖日本(国・地域)

スマホで魚の餌やりを遠隔管理、水産養殖スタートアップのウミトロンに新プロダクト

水産養殖業が抱える課題の解決をめざすスタートアップのウミトロンは1月25日、新プロダクトの「UMITRON CELL」を発表。導入第一弾として、愛媛県愛南町の養殖現場への設置を開始したと発表した。

UMITRON CELLは、スマートフォンを活用して生簀(いけす)への餌やりを遠隔管理することができるスマート自動給餌機だ。生簀への餌やりは洋上で行うため、天候不良時には危険な環境下での作業となる。そのため、餌やりを遠隔管理できるCELLを利用すれば、作業員の労働環境の改善が見込める。ムダな餌やりを削減することは環境負荷の低減にもつながるだろう。また、作業員がもつ餌やりの量などのノウハウをデータ化することで、業務プロセスを体系化できたり、それを次の世代に伝承しやすいことなどもメリットの1つだ。

同社はこれまでにも、IoTにより餌やりを最適化するプロダクト「UmiGarden」を提供していたが、UmiGardenは給餌機と魚をモニタリングするカメラや魚群探知機が相互に通信するタイプであるのに対し、CELLはそれらの機能を一括して提供する一体型のプロダクトという点で異なる。ウミトロン代表取締役の山田雅彦氏によれば、これにより「システムの安定性、基本スペック向上による解析の自由度、電源供給量の増加」を実現したという。

ウミトロンはCELLの第二ロットの製造をすでに進めており、一般販売の計画を視野に入れながら実証実験のパートナーを広く募集中だ。