NYの都市型屋内水耕農業ゴッサムグリーンズがカリフォルニアに4万平米の研究農場開設

この数カ月間、かなりの時間を割いて垂直農法(vertical farming)について調査、執筆する中、あるキーワードが何度も浮かんできた。「近接」だ。近年の農業で使われている手法の多くが、農作物を遠距離に輸送することに注力し、結果的に炭素排出量を増やしている。Gotham Greens(ゴッサムグリーンズ)は厳密には垂直農法ではないが、地元生産農業の象徴になってたのは、ニューヨーク州ブルックリン、ゴーワヌス地区のWhole Foods(ホールフーズ)店舗の真上に立てられた都市型グリーンハウスのおかげだ。

創立10年の同社は、現在ニューヨーク市内の3カ所(ブルックリンに2つ、クイーンズに1つ)の他、東海岸(メリーランド州ボルチモアとロードアイランド州プロビデンス)に2カ所、中西部(ミシガン州シカゴ)に2カ所、山岳部(コロラド州デンバー)に1カ所所農場を所有している。米国時間12月8日、同社は西方向への拡大を進め、カリフォルニア州で初めてのグリーンハウスを、UC Davis(カリフォルニ大学デービス校)近くに設置したことを発表した。

画像クレジット:Gotham Greens

Gothamで9番目の農場は、広さが10エーカー(約4万平米、4ヘクタール)で、栽培に必要な資源を劇的に減らすように設計されている。同社は水耕技術を用いて、レタス1玉の栽培に通常必要な水、10ガロン(約37.9リットル)を1ガロン以下まで減らすことができるという。農場全体では年間2億7000万ガロン(約102万キロリットル)の水を節約でき、占有面積は従来型農業よりも300エーカー(121ヘクタール)少ない。

国の農作物のかなりの部分を生産しているカリフォルニアへの進出は興味深い動きであり、ニューヨークやシカゴに施設を開設するのとは明確に異なる戦術だ。もちろん、カリフォルニアの農作物栽培への誇り高き伝統にも関わらず、この州も気候変動の極めて深刻な影響を受けている。

画像クレジット:Gotham Greens

「カリフォルニアは北米の葉物野菜生産の中心であり、気候変動による水不足や山火事をはじめとするさまざまな影響が、農業に不可欠な資源を圧迫しています。私たちはカリフォルニアに拠点を置くことで、ますます深刻化する気候変動の影響に対する農産業界の解決策の1つになることを熱望しています」と共同ファウンダー・CEOのViraj Puri(ビラージ・プーリー)氏はリリースで語る。「カリフォルニア北部の当社最新のグリーンハウス施設は、地域全体の小売店やフードサービス提供者に商品を提供しながら、土地や水をはじめとする貴重な資源を保護するために、戦略的に選ばれた場所にあります」。

UCデービス校近郊という場所に間違いはない。同社は同大学の研究者と協力していきながら、将来の従業員との堅牢なつながりをつくるに違いない。さらに同社はこの機会を利用して、2024年までに同社がパッケージに使うプラスチックを40%(対2020年比)、使用電力を5%削減する計画も発表した。

画像クレジット:Gotham Greens

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

初版から10年、その間何が起こったか?書評「垂直農場」10周年記念版

最初のメールを出してから初回のZoomチャットまで、ほぼ2時間が経過している。まさに日曜日である。ジムの後にシャワーを浴びたり、野球帽をかぶったりするのはやめておこう。いつ好機が再び訪れるかわからない。

20年以上にわたり世界中で垂直農法の利点を提唱してきたDickson Despommier(ディクソン・デポミエ)博士は、今でも筆者と同じように、このテーマについて熱心に語っているようだ。2020年末に「The Vertical Farm(垂直農場)」の10周年記念版が発売されたことも少なからず影響しているだろう。ほとんど不可逆的に記念日にこだわっているように見える文化の中にあって、この本のオケージョンは、主にその間の10年間に起こったあらゆる出来事を反映して得られたものだと感じられる。

「現時点では垂直農場の事例は存在しないが」とデポミエ氏は初版に記している。「私たちは進める方法を心得ている。複数階建ての建物に水耕栽培と空中栽培の農法を適用して、世界初の垂直農場を作ることが可能である」。

「The Vertical Farm:Feeding the World in the 21st Century by Dr. Dickson Despommier(邦訳:垂直農場―明日の都市・環境・食料 / ディクソン・デポミエ著)」、Picador、2020年、368ページ(画像クレジット:Picador)

この本の最新版では「And Then What Happened?(それから何が起こったのか)」というタイトルの第10章の形式をとったコーダ(音楽用語で終結部をさす)が提供されている。その問いの答えは、筆者自身も垂直栽培の世界との関わりの中で見出していることだが、1つの章で扱えそうにないと思われるほど長く、さらにいえば、テクノロジー系ウェブサイト上の短い書評で対処できるものでもない。

「この本が最初に出版された2010年当時、垂直農場は存在していなかった」とデポミエ氏は新しい章の冒頭に記し、始まりは米国とアジアにおける緩やかな細流であったと説明する。「この記事を書いている時点では、非常に多くの垂直農場が見られるようになっており、実際にどれほどの数になるか正確なところはわからない」。

続く垂直農場のリストは4ページ半にも及ぶが、あまり網羅的ではない。日本については同国最大の垂直農法企業Spread(スプレッド)だけを掲載するなどスペースの面で多少の譲歩を示し、日本には少なくとも200の垂直農場があると説明している。一方、米国のリストでは、TechCrunch読者にはおなじみのAeroFarms(エアロファームズ)とBowery Farming(バワリー・ファーミング)から始まっている。

網羅的なリストがなくても、気候変動の危機的状況に対処する潜在的な方法として垂直農法の概念を採用する国や企業の数の多さは、多くの人にとって、適切な時期の適切なアイデアであることの驚くべき証となるだろう。作物を密に植え込み垂直方向に積み重ねて都市環境で栽培するという概念を、万能の解決策だと考える人は(もしいるにしても)少ないだろうが、そのパズルの重要なピースになるかもしれないという考えには十分なモメンタムがある。

2021年に「垂直農場」という本を手にした人の多くにとっては、人間が作り出した気候変動という点に説得力はさほど必要ないと思う。しかしデポミエ氏は、自身の提唱の中の懸念、特に人口増加や過剰農業への危惧に関連する精微な論及を、今も精力的に行っている。食肉生産を明確に(そしてしかるべき価値があると筆者は考えている)ターゲットとすること以上に、一般的な食品生産のインパクトに関して、おそらく依然として認識を高めていく必要があるのだろう。

これらの大きな課題が、垂直農法の概念を造成する触媒的な要素となった。この考え方の現代的な定義が生まれたのは、コロンビア大学でデポミエ氏が率いた1999年の授業での思考実験からである。類似したタイトルの書 「Vertical Farming(垂直農法)」が1915年に出版されているが、それは突き詰めると、私たちが理解しているこの用語の意味とほとんど一致しない(米国の地質学者 Gilbert Ellis Bailey[ギルバート・エリス・ベイリー]氏が執筆したこの本はオンラインで無料で入手可能。爆発物を使った農業についてのおもしろいアイデアなどが掲載されていて、1時間を楽しくつぶすことができる)。

デポミエ氏はアイビーリーグの名誉教授(現在81歳)というステータスにあるが、その著書「垂直農場」は非常にわかりやすい言葉で書かれている。この本は、同氏のクラスの初期の思考実験の続きとなるような、ブループリントやハウツーガイドには至っていない。これもまた、最初の出版時には主要な垂直農場がなかったという事実を考えれば理解できる。この本の本質は、著者のユートピア的理想主義の観念に通じるものがある。

Bowery FarmingのCEOであるIrving Fain(アービング・フェイン)氏は、2014年の会社立ち上げを前にデポミエ氏に会っているが、最近の筆者との会話の中で、その所感の一端をうまくまとめて語ってくれた。

どの業界でも、ある時点でノーススター(=北極星、正しい方向を知るための目印のような存在)が必要になると思います。私が思うに、ディクソン(・デポミエ氏)はこの産業界の並外れたノーススターであり、いくつかの点で、屋内農業に対する人々の意識が高まる以前からその役割を果たしていました。彼が思い描くことはすべて実現するでしょうか?必ずしもそうはならないかもしれませんが、それは実際のところ、ノーススターのゴールではないのです。

これは「垂直農場」のような本にアプローチする正しい方法だと思う。デポミエ氏は気候変動、過剰人口、過剰農業の脅威に関しては確かに現実主義者だが、その解決策を論じるときには理想主義者だ。ある意味、そうした実存的な課題に直面したときに多くの人が(理解できると思うが)はるかに暗い何かに傾きがちな時代に、新鮮な息吹を吹き込んでいるのである。

この力学の最も強力な例示となるのは、屋内で植物を育てる上で太陽からの直接のエネルギーの代わりとして必要になる、エネルギーとコストに関する重要な問いである。この本の新しい章では、その答えとして、透過性の高い太陽光発電窓、雨水集水、炭素隔離などのグリーンな解決策を示している。農場のオンライン化が進めば、そのような解決策が正味プラスであるかを判断する複雑な計算を割り出す機会が増えてくるであろう。よりスケールの大きい、より優れたテクノロジーが、私たちを目指すべきところへと近づけてくれることを願ってやまない。

一方、筆者はスタートアップについて記事にする中で、グリーンテクノロジーにおける利他的なモチベーションについて、シニカルとは言わないまでも少なからず懐疑的になった。私の中の現実主義者は、少なくとも米国では、資本主義的な推進力の制約をまず取り除く必要があると固く信じている。企業は、垂直農場が積極的に収益を生み出せることをしっかり検証する必要がある。そうすることで、希望的観測ではあるが、この考慮すべき事柄の持続可能性の面で真の進歩を見ることができるのではないか。

BoweryのCEOの言葉を借りれば、ノーススターとして、この仕事は非常に効果的である。10年前に農業革命的なデポミエ氏と「垂直農場」が触媒的な作用を果たしたことの他に、その例証を語る必要はないだろう。

「The Vertical Farm:Feeding the World in the 21st Century by Dr. Dickson Despommier(邦訳:垂直農場―明日の都市・環境・食料 / ディクソン・デポミエ著)」、Picador、2020年、368ページ

画像クレジット:JohnnyGreig / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

自動化農業Iron Oxが従来の温室で使える移動・モニタリングロボットを発表

米国時間11月2日、Iron Oxはハウス栽培をアシストする移動式ロボットGroveを発表した。同社はベイエリアの屋内農業のアグリテック企業だが、この移動ロボットは最大450kgの荷物を持ち上げて運ぶことができるという。

Iron Oxでの主な積み荷は、180cm四方の屋内水耕栽培用のモジュールだ。そのモジュールをマシンのところに持って行き成長をチェックし、さらに、その他のケアや収穫の工程へ運ぶ。システムはLiDAR(ライダー)を搭載し、前方用と上方用のカメラが栽培スペースを上手にナビゲートする。

CEOのBrandon Alexander(ブランドン・アレクサンダー)氏は、プレスリリースで次のように述べている。「私たちはテクノロジーを利用して土地と水とエネルギーの使用量を減らし、増加する未来の人口を養おうとしています。短期的な目標は、農業系に対する気候変動の影響を抑えることです。そのための努力は、地球上の農産物生産部門がカーボンネガティブになるまで続けます」。

このロボットは、屋内農業への関心が高まり、スタートアップたちがもっと持続可能な方法で爆発的な人口増を養える農業を探している時期に登場した。この分野では垂直栽培が最もバズっているキーワードだが、Iron Oxのソリューションはより従来的な温室が対象となっている。ただし、最初から全面的な自動化を目指している。

カリフォルニアに本社のあるIron Oxは最近、テキサスに5万平方メートルの屋内農場を立ち上げた。2021年9月に同社は5300万ドル(約60億4000万円)のシリーズCを調達し、調達総額が9800万ドル(約111億6000万円)になっている。

画像クレジット:Iron OX

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Just Verticalのエレガントな家具で家庭でも水耕栽培ができる

屋内栽培産業は拡大傾向にある。水耕栽培(通常大きな倉庫で土壌を使わずに作物を栽培する)と伝統的な温室を利用する農園は、主にレタス、ホウレンソウ、ルッコラなどの葉物野菜向けに、私たちの食物サプライチェーンの不可欠な一部となり始めている。

垂直水耕栽培は、伝統的な栽培に代わる持続可能な選択肢として捉えられている。水の使用量は95%少なく、土壌への環境負荷を抑えることができ、都市部の農園は食の砂漠エリアや食料品店の近くに設置することで輸送コストを削減できる。しかし、屋内農場の照明への大量のエネルギー使用は、農業からの炭素排出量の抑制を妨げてきた。

この業界のリーダーAeroFarmsは2021年中に上場することを発表した。サンフランシスコを拠点とする垂直農園企業Plentyは、カリフォルニア州北部のSavewayの17店舗への進出を果たした。東海岸の都市農業企業Gotham Greensは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による景気後退を乗り切り、コロラド州カリフォルニア州などの地域に屋内農園の建設を進めている。全体として、世界の垂直農法市場は2026年までに58億ドル(約6400億円)に達し、年平均成長率は14%になると予想されている。

一方、カナダを拠点とするスタートアップJust Verticalは、屋内栽培のムーブメントに家庭菜園を組み込もうとしている。同社の2つの製品AevaとEveは、水耕技術を利用して月に8〜10ポンド(約3.6〜4.5Kg)の作物を栽培できるエレガントな家具として販売されている。

これらの製品は木製のキャビネットをベースにしており、成長機構は約5フィート(約1.5m)上方に伸びている。AevaとEveは葉物野菜、ズッキーニ、イチゴ、ハーブ、ピーマン、キュウリの栽培が可能だ。同社は現在、花の分野にも進出しており、マイクロブルワリー向けのホップの栽培にも対応する。またハードウェアの販売以外にも、種やピートモスのポッドのサブスクリプションモデルを提供している。

「1年中栽培に専念することが難しい人や、裏庭やバルコニーがない人などの利用を想定しています」と共同創業者のKevin Jakiela(ケヴィン・ジャキーラ)氏は語る。「ただのカウンタートップバージョンになることは意図しませんでした」。

競合にはClick and GrowAerogardensなどがあり、主にハーブ向けの製品を手がけている。一方で、Tower GardenZipGrowといった大規模な競合も存在する。だがJust Verticalは、他社のバージョンとは異なる方向性に目を向けており、装飾と菜園の両立を目指している。

ジャキーラ氏によると、Just Verticalの最大の市場はマンションなどの住居で、レストラン、学校、カフェ、バーがそれに続く。また同社は、オフィス空間への関心についても、純粋に食を重視するというよりはインテリアとして捉えている。

「マンションや住宅内のアメニティのような、ビルド済み製品の一部になりたいと思っています。食洗機や洗濯機を選ぶように人々が選択する、電子レンジに準ずるような存在です」とジャキーラ氏はいう。「IKEAのような大型小売店への参入も考えています」。

同社はこれまでに1500台を売り上げ、District Venturesからシード投資を受けた。同ファンドはArlene Dickinson(アーリーン・ディッキンソン)氏が設立し、ジェネラルパートナーを務める。(同氏はShark Tank[アメリカ版「¥マネーの虎」]のカナダバージョンの番組Dragon’s Denに、Shark TankではShark[サメ]と呼ばれる投資家として出演している。)Just Verticalは現在、9月のシリーズAを目指している。

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ただ、Verticalの600〜1000ドル(約6万6千~11万円)という価格の高さを考えると、食料安全保障や環境問題への大きなインパクトに直面している家庭に対して、実際に変化をもたらす可能性は低いとも言えるかもしれない。

現在Just Verticalがターゲットとしている消費者は「Whole Foods(アメリカの高級スーパー)の買い物客」であることをジャキーラ氏は認めている。それでも同社のウェブサイトでは、人々が自分たちの食料を栽培することにより、1億1200万マイル(約1億8024km)超の食料輸送が節約されたことや、200万リットルを超える水が節約されたことなど、製品の環境上の利点を示唆するデータを取り上げて、自社のミッションを強調している。会社が規模を拡大するにつれて、社会的、ビジネス的なインパクトが生み出されていくことをジャキーラ氏は期待する。

「ホビイストから脱却し、より大きなインパクトを求めていきたいと思っています」と同氏は語る。「Aevaを使うことでコストのオフセットを可能にしたレストランでの実績に追随する形で、食料品店の前線に立ちたいと考えています。社会的な要素に照準を合わせた、小売ネットワークと分散型ネットワークの構築を進めていきます」。

Just Verticalは、ハイエンドの消費者側から始めて市場への適合性を証明し、実証済みの成功を携えて食料品店に向かうことで、真にインパクトを与えることができると判断した。

「特にスタートアップにとって、食料品店のドアをノックして『こんにちは、アイデアがあります』と切り出すことにはかなりの困難がともないます」とジャキーラ氏。「実績と適合証明を持って出直すように言われるか、8カ月から12カ月のプロセスを保証もなく繰り返すことになるかでしょう。何度も繰り返すことになります。食料品店側としては、自ら新機軸に着手するという危ない橋は渡りたくないものの、同時に後れを取ることは避けたいと思っているのです」。

画像クレジット:leungchopan / Shutterstock

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(文:Jesse Klein、翻訳:Dragonfly)

自宅で野菜やハーブを栽培しよう、Rise Gardensが10億円の資金調達で成長拡大

野菜を中心とした食事や、持続可能な食生活を実践する消費者が増える中、Rise Gardensは、誰もが自宅で植物を栽培できるシステムを展開している。

シカゴを拠点とし、スマートな屋内水耕栽培ビジネスを展開するRise Gardensは、このたび、TELUS Ventures(テラスベンチャーズ)が主導するシリーズAラウンドにおいて、オーバーサブスクライブ(申し込みが上回る)で900万ドル(約10億円)を調達した。ラウンドには既存の投資家であるTrue Ventures(トゥルーベンチャーズ)とAmazon Alexa Fund(アマゾンアレクサファンド)、および新規投資家であるListen Ventures(リッスンベンチャーズ)が参加。Rise Gardensの創業者かつCEOのHank Adams(ハンク・アダムス)氏は、TechCrunchの取材に応じ、2017年の設立以来、ベンチャーキャピタルから合計1300万ドル(約14億4000万円)を獲得した、と答える。

スポーツテクノロジーの専門家だったアダムス氏は、2019年に最初の製品を発売するまで、設立前から数年かけてプロトタイプに取り組んできたと話す。IoTを利用したRise Gardensシステムでは、野菜、ハーブ、マイクログリーンを1年中栽培できる。

Rise Gardensシステムは3つのサイズから選択可能で、ユーザーは約300ドル(約3万3000円)で「庭」を持つことができる。

何かを育てることには「一種の喜び」があるが、手間がかかったり、ストレスになったりするような趣味には手を出したくない、だからサポートが必要なのだ、とアダムス氏は話す。Rise Gardensに付属するモバイルアプリは、水量や植物の成長状況をモニターし、水や肥料の与え方、手入れのタイミングをユーザーに知らせてくれる。

アダム氏はこう続ける。「皆が食べ物に注意を払い、自分の食事に気を配っています」「自分が食べるものを育てることに興味を持つ人が増えました。世界的なパンデミックも一因でしょう」。

実際、消費者の関心は高く、2020年にはRise Gardensの売上高は7桁(日本円では1億円)を超え、Gardensシステムは1年間に3回も完売した。ユーザーは10万本近くの苗を購入し、5万本を収穫している。

同社は、2019年の製品発売以来、フードロスを907kg以上削減し、946トンの水を節約することに貢献したと推定している。

屋内ファームのコンセプトは新しいものではない。すでに同様のサービスを展開している企業には、AeroGarden(エアロガーデン)、2020年11月にScotts Miracle-Gro(スコッツ・ミラクル-グロー)に買収されたAeroGrow(エアログロー)、Click & Grow(クリックアンドグロー)などがある。Rise Gardensは、Gardyn(ガーディン)などと同様、資金調達を行った新しいスタートアップ企業の1社である。

Rise Gardensは、粉体塗装の金属やガラスを使った、室内で人目をひくようなデザインのGardensシステムで、競合他社との差別化を図っている。さらに、ユーザーが自分の「庭」でさまざまなことを試せるようにしている。

「趣味も極めると飽きてしまうので、柔軟性のあるものがいいと考えました」「レベル1からスタートして、トレイの蓋を交換することで、より高密度に栽培することができます。マイクログリーンキットを追加したり、トマトやピーマン用に支柱を追加したり、スナップエンドウをつるすためのトレリスを作ったりすることもできます」とアダムス氏。

シリーズAの資金は製品開発、在庫管理、製造、新市場への進出、チームの増強(特にカスタマーサービスとマーケティング)に充てられる。現在、同社の従業員は約25名で、2021年中にさらに8名を増員する予定だ。

Rise Gardensのプロダクトは、(同社のウェブサイト以外では初めて)Amazonでの販売も間もなく開始される。学校にも進出し、アダムス氏はこれを「学校菜園バージョン2.0」と呼んでいる。

TELUS Venturesのプレジデント兼マネージングパートナーであるRich Osborn(リッチ・オズボーン)氏は、屋内ファームの分野を評価した際、Rise Gardensとアダムス氏が選ばれたのは、彼らのバックグラウンド、データエクスペリエンス、そしてAmazonとの協力体制によるものだ、とTechCrunchに語る。

オズボーン氏によると、この種の製品に対する消費者の需要だけでなく、この種の投資から生み出される持続可能性と社会的影響は、強調してもし過ぎることはない、という。

TELUS Agriculture(テラスアグリカルチャー)の暫定プレジデントであり、アグリビジネス・グローバルマネージングディレクターであるNishan Majarian(ニシャン・マジャリアン)氏は、作物の成長には個体差があるので、将来的に作物の管理は植物単位で行われるようになるだろう、と話す。

マジャリアン氏は次のように続ける。「Climate Corp.(クライミットコーポレーション)がMonsanto(モンサント)に買収されて以来、次の10億ドル(約1105億)を獲得すべく、農業に大規模な投資が行われています」「農業作物は、分類化されていないサプライチェーンです。作物1つ1つが異なり、市場も異なります。そのため、これらの問題と規模を解決するために資金を調達するスタートアップ企業にとっては、身近で、複雑で、いうなれば肥沃な土壌になるのです」。

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画像クレジット:Rise Gardens

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(文:Christine Hall、翻訳:Dragonfly)