Androidの父Andy RubinのスマートフォンEssentialに日本語ネットショップができた

それはスマートフォンメーカー企業の、すなおすぎるような立ち上げだった。Androidの作者Andy Rubinのその新しい事業は、出足があまり良くないと外部からは見られているが、しかし今日(米国時間4/27)同社は、その潤沢な資金を生かして一気に、オンラインストア(ネットショップ)のグローバル展開を図った。

今日の同社はTwitter上で、それら重要拠点のストアを発表した。カナダ、フランス、日本、そしてイギリスだ〔ドイツも買える…後述〕。Engadgetによると、これらの市場の一部では、前から買うことが可能だったが、しかしそれは同社自身のショップからではなく、たとえばカナダではAmazonやTelusからだった。

一部には、特定の国に固有の注意点もある。それらは同社のTerms of Sale(販売規約)に書かれていて、そこには、ドイツでも買える、とある。

このように、同社は市場展開も遅かったが、無理もない。この種のビジネスをスクラッチから立ち上げるのは、容易ではない。手持ち資金が3億ドルあっても、だ。Essentialは最初の1年を国内市場の開拓に費やした。AmazonやBest Buyに卸し、キャリアはSprintと契約した。

今回行った流通チャネルの構築で、今後バージョン2が出るとき、展開がかなり楽になるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

3Dプリントされた果物が本物の果物をよりおいしくする

今度あなたが箱入りの果物を買ったりもらったりしたら、その中にはそっくりさんがひとつ入っているかもしれない。そのフェイクフルーツは、箱の中のプラムの温度や動きや衝撃を調べたり、桃の糖度と硬度が適切で傷んでいないことを確認したりする。

スイスのFederal Laboratories for Materials Science and Technology(国立物質科学技術研究所)が作ったEmpaは、3Dプリントで作ったリンゴで、中にいくつかのセンサーがあり、本物のリンゴの群れの中に身を隠す。大きさも形も色も重さも本物のリンゴと変わらないから、箱詰め作業をする人がとくに気にする必要がない。

最初のモデルは温度センサーだけだが、今後はもっといろんなセンサーを詰め込む予定だ。するとこのロボットリンゴはほかのリンゴたちと同じ体験をするから、彼らが受ける扱いを、センサーが感取し記録できる。そして消費地のお店などは、そのデータをチェックする。

このプロジェクトはJournal of Food Engineeringで紹介され、“本物のリンゴと同じように温度に反応するフルーツシミュレーター”、と説明されている。そして、“コールドチェーンの全過程における果肉の温度履歴をモニタできる人工果実”、だそうだ。果物の流通技術における、画期的な発明かもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

オンライン小売業のJetが、ニューヨークのアパート1000棟にスマートアクセスシステムのLatchを設置する

昨年Walmartが買収したオンライン小売業者Jetは、都市部での顧客へ配達を容易にすることを狙って、スマートアクセス提供業者のLatchと契約を結んだ。

このことにより1000棟のアパートに住む、10万人以上の住民たちは、建物の外部ドアに設置されるLatchの住居用”R”システムに、自由にアクセスできるようになる。設置費用はJetとLatchの「共同出資」によって賄われる。

このことにより、住人たちは自分の携帯電話を建物に入るキーとして使うことができるようになり、階下に降りていかずとも訪問者のアクセスを許し、そしてもちろん留守中に安全に小包を受け取ることができる。ビル管理者たちは、Latchのシステムを使用して、USPSのような信頼できる配送業者へのアクセスを許諾することもできるが、これらの1000台のユニットは既にJetの配送パートナーからアクセスできるように設定されている。

はっきりさせておくが、これはマーケティングパートナーシップであって、運用上のパートナーシップではない。Jetのバックエンドとの統合は特に行われないが、一方JetはユーザーがLatchの設置された建物に済んでいることを認識して、通常はドアマンやスマートアクセスシステムを必要とする生鮮食品などの注文を行なうことができるというメリットを、ユーザーに対してプロモーションする。

少なくともこれは、多くのニューヨーカーにとって目に見えるメリットをもたらすマーケティングパートナーシップだ。

このパートナーシップはまた、Jetが都市圏に真剣に取り組んでいることを示す証でもある。Walmartが農村地域での小売りを伸ばすことに成功するなら、Jetはその大きな兄弟に対して、大都市でも同じことができることを示して印象付けようとしている。

都市に住む人なら誰でも知っているように、もしドアマンがいなかったりスマートアクセスシステムが無い場合には、自宅で荷物を受け取ることは基本的に不可能だ。

なので、この1000棟の建物への設置は、都市の買い物客がより多くの注文をするようになるためには、一体何を必要としているかを知るための良いテストになる筈だ。もしそれで、利用者が仕事で留守にしている間に、自宅の建物で荷物を受け取ることができる、Latchのようなシステムがあれば良い、ということがはっきりするなら素晴らしいことだ。しかしJetは(少なくとも内部的には)都市部の配達問題を解決する別のソリューションも追求している。オンデマンド注文で短時間配送を行なったり、Amazon Locker(注文した荷物を受け取れる専用ロッカー)のような、市街地の中に設置されるストレージを利用する方法だ。

Jetがこのプログラムから何を学ぶかにはかかわらず、無償でLatchがインストールされる建物の住民たちはおそらく皆とても嬉しい筈だ。

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(翻訳:Sako)

テクノロジーは次の食糧不足を防ぐことができるのか?

Field of corn growing in Kentucky USA.

【編集部注】著者のBen Dicksonは、ソフトウェアエンジニアかつTechTalksの創業者である。

もし海軍解析センター(CNA)によるシミュレーションが正しいとすれば、人類は食糧不足が暴動や戦争を引き起こす恐ろしい未来に向かって踏み込みつつある。それは少し誇張されているのかもしれないが、この先の食糧不足の危機は深刻であり、連邦政府が資金を提供する研究開発センターのCNAは、将来の食糧生産は永久に不足するようになると考えている。

国連は2050年までに養う必要のある口が20から30億増えると推定している。そして気候変動が10年あたり2%の作物生産を損なうと見積もっていて、時間的に危機を回避できる見込みは悲観的なものである。一方、生活の都市化や都市に移動する人口の増加に伴い、農場での労働力不足が起こる

私たち人類が飢饉や食糧不足に向き合うのは初めてのことではない。私たちはこれまでの歴史を通してずっと戦い続けてきたのだ。これまでの時代では、肥料や機械化された農業などの発明が、私たちのニーズに対応するために、より多くの資源を活用し、より多くの食料を生産する方法を見つけるのを助けてきた。

しかし現在では、リソースがさらに希少化しているため、既存のものをより効率的に使用するためのブレークスルーが私たちには必要なのだ。

科学者たちによれば、その答は、デジタル技術による新しい時代の中に発見されるのかもしれない。既にさまざまな分野で価値が証明され、農業と食品生産を変え、成長する人口の消費ニーズを満たす可能性を秘めたそれらの技術の中に。望むらくは私たちがゴキブリを食べざるを得なくなる前に — あるいは更に悪く、お互いを食糧にする前に。

精密農業で点と点をつなぐ

伝統的な農業は、所定のスケジュールに基づき、植え付けや収穫などの特定の作業を実行することにより行われている。このモデルでは、損傷や廃棄に対処する最低限のコントロールを行っている。

しかし、近年の技術の進歩は、リアルタイムにデータを収集し、それぞれの場所で任意の時点で正確に何ができるかの洞察を得ることを可能にする「精密農業(precision farming)」の構築への長い道のりを歩んでいる。

IBMのグローバルサプライチェーンエキスパートであるPaul Changは「精密農業は食品産業をより効率的で、低コスト、そしてより持続可能なものに変えることができできます」と語っている。IoTプラットフォームを利用してさまざまなセンサデータを収集し、予測分析と統合することで、業界は生産を最大限に引き上げ、損失を最小限に抑え、持続可能な実践を続けるためのアクションが可能になるのです」。

技術のデジタル進歩は、農業をより生産的にして、作物をより安定化させることができます」と語るのはSAPのデジタル未来研究ディレクターのKai Goerlichだ。「センサーとリアルタイムの分析を、食料品の植え付け、栽培、収穫、輸送を最適化するために使用することができます」。

そのようなプラットフォームの1つが、農業従事者、農業メーカー、サプライヤーを結ぶ、SAPのDigital Farmingだ。「農場全体の重要なデータが、現在、単一のクラウドプラットフォームによって収集され、分析されていて、農業をより効率的かつ持続可能にしています」とGoerlichは語る。

「現在、大規模でローカルな農場では、IoTを活用して、土壌の水分や作物の成長と家畜の飼料レベルを検出したりするセンサーを遠隔監視したり、灌漑設備の遠隔管理と制御を行ったり、そして第3者情報と操業データの統合を行ったりすることが可能です」と語るのは IoTセンサーのメーカーであるSenetのビジネス開発担当副社長であるWill Yappだ。

私たち人類が飢饉や食糧不足に向き合うのは初めてのことではない

Yappは、これらの組み合わせが、経験的データを使用して運用計画と意思決定を改善する新しい方法を提供すると語っている。

Senetのセンサーは、LPWAN(Low Power, Wide Area Networks:低電力広域ネットワーク)上で動作し、広大な場所での導入および接続のコストを削減する。 「(LPWANセンサーは)農業生産の質、量、持続可能性、コスト効率を高めるために設計されたIoTアプリケーションをサポートするために、ローカルな農業および環境条件に関するデータを収集するのには理想的です」とYappは語る。

これらのセンサーによって生成されたデータは、必要でない場所へ水を撒くのではなく、土壌の水分が減少している場所に水を正確に撒くといった形で、精密農業を改善するために使用することが可能だ、とYappは説明している。「IoTで管理された給水システムによって、消費量を大幅に削減すると同時に収量を増やすことができるのです」と彼は言う。

IBMのChangは、新技術が精密農業のパワーを解放する手助けをするシナリオを提示している、例えばビデオキャプチャドローンと作物の現状を示すことができるクラウドベースの分析ソフトウェアの組み合わせで、農家が作物の成長曲線に影響のある行動をとる手助けをするといったことだ。

天気予報データの活用

天気予報を農業プロセスに統合できることも、精密農業の重要な要素だ。 「この先の気象状況を正確に監視することで、水が必要なときにのみ使用されるようにすることができます」とChang。

「すべての農作物の損失の90%は天候によるものです」とIBMのThe Weather Companyの農業責任者であるCarrie Gillespieが付け加えた。気候変動が世界中のさまざまな地域で農作物や農業に影響を及ぼし始めているため、これは特に重要である。「天気予報モデルを作物の植え付けと収穫作業に組みわせることによって、事前により良い決定を下すことができます」とGillespieは言う。

The Weather Companyは、クラウド中にある予測モデリングのための微気象データを活用することで、農家が農場でより効率的に利益を上げられるように支援を行う。

天気予報を農業プロセスに統合できることも、精密農業の重要な要素だ

天気と土壌データを正確に使用することで、灌漑の時期と方法、農薬や肥料の使用を減らしながら収量を増やす方法についての洞察が得られると、Gillespieは説明してる。

分析と機械学習技術の使用は、病気や害虫の予測を可能にし、耕作者が作物の喪失を防ぎ、化学物質の使用を調整するのに役立つ。

これらは、ケンタッキー州カディスのSeven Springs Farmでトウモロコシの収量を改善するために、トラクターメーカーのJohn Deereが運営するクラウドベースのソフトウェアシステムを使用して実践されている。 「この農場では、天気予報に基づいて肥料の購入を調整し、不良品を減らすためのアプリを使用しています」と、同社の戦略に携わっているSAPのGoerlichは述べている。 「また私たちは、安全に消費できる作物の収穫を増大させる天候予測アプリを導入する農業法人が増加していることも知っています」。

「『最先端の農業』は、農家がデータと予測分析を使って最善の意思決定を行うことができる『農業の科学』によって増強されるべきです」とCahngは語る。 「開発途上国の人々を含め世界の誰もが、最新技術へのアクセスを行うことができるので、最先端の農業技術が、モバイルデバイスを活用することで、個人が簡単に利用することができるようになりました」。

流通を改善し、サプライチェーンを最適化する

天気予報を農業のプロセスに統合することは、収穫と輸送に関する物流を改善するのにも役立つ。気象および土壌の分析によって、農場が収獲機械の重みに一番影響されないのはいつか、どの農場に働き手を送り込むべきかを予測し特定することができる。また特に、道路が未整備で豪雨によってトラックが泥で立ち往生するような国で、どの流通経路が雨やこの先の天候の影響を受けるのかを予測することを助けることができる。

「 流通時に多くの食品損傷が起きるので、食品を適切な温度で輸送し、必要以上に保管しないことが重要です」とGillespieは言う。

製品リコールも損傷や廃棄に寄与する。しかもそれは多発する。研究が示唆するように、多くの場合、リコールされた食品の最大50パーセント程度は汚染されていない、これによってコストが上昇し、多くの良い食品が無駄にされている。こうなる理由は、サプライチェーンに十分な可視性がないからだ。連邦規則では、企業はサプライチェーン全体を貫いて、トレーサビリティを個々のステップで確保するように規定しているが、チェーン内で非常に迅速に動く、食品や傷みやすい製品には十分ではない。

「リコールでは、汚染の発生源とその範囲の理解によって、汚染されていない製品が不必要に廃棄されることを防ぐことが大切です」と語るのは、トレーサビリティと持続可能性を通じて食品の安全性向上を支援するソフトウェア会社FoodLogiQのCEO、Dean Wiltseである。

リソースがさらに希少化しているため、既存のものをより効率的に使用するためのブレークスルーが私たちには必要なのだ

FoodLogiQは、伝統的な手作業とスプレッドシートによる管理ではなく、移動の各段階でデータを取り込んで保管し、顧客に製品をスキャンしてそのサプライチェーン上の履歴に素早くアクセスさせることを可能にするインターフェイスを提供して、サプライチェーン全体の可視性を向上することを狙っている。

「エンドツーエンドのトレーサビリティは、企業が効率を実現し、サプライチェーン全体の可視性を上げることを助け、製品リコール時の食品廃棄を最小限に抑えます」とWiltseは語る。「そしてエンドツーエンドのトレーサビリティは、発生の原因を特定し、サプライチェーンの各ステップを、農場、バッチ、コンテナのレベルまで正確に追跡するのに役立ちます」。

合理化されたサプライチェーン管理は、汚染されていない食品の廃棄を回避し、食品品質に影響を及ぼす可能性のある遅延を防止すると、Wiltseは信じている。

オンデマンド食品プリント

近い将来、私たちは食べ物をまったく違った形で作り出しているかもしれないと、3D食品プリントのスタートアップBeeHexのCMOであるJordan Frenchが語っている。 「3D印刷技術は、サプライチェーンにおける食料腐敗を大幅に削減し、消費者の欲求や必要に合わせてパーソナライズする能力を強化することで、食品市場全体の非効率性を排除する完璧な機会を提供します」と彼は言う。

食品プリントは贅沢で無駄な技術と見なされることが多いが、Frenchは費用と労働力を削減することのできる興味深いユースケースがあると説明する。 「未来を見つめてみれば、3Dプリント技術は、食品市場に対して、生産から消費に至るまでの直接的な橋渡しを提供するでしょう」と彼は語る。

例えば、果実は収穫後、最終的に食料品店に到着する前に、貯蔵ユニット、包装施設および長い流通経路を通って移動する。 「このプロセスは、製品を新鮮な状態に保つために膨大なエネルギーを費やしています」とフレンチは言う。「それにもかかわらず、フルーツと野菜の約16パーセントは夕食のテーブルに載せられる前に失われてしまうのです」。

革新的なサプライチェーンでは、果物は収穫直後に粉末状の微量栄養素に変換され、完全に水分を保ったままの果実に課された劣化のリスクを心配することなく、輸送を行うことができるようになる、とFrenchは説明する。

「ここから消費者は3Dプリンタを使用して、元の美味しいものへと再加工します — こうしてエネルギー消費も少なく、途中のロスも減らすことができるのです」と彼は結論付ける。

緑の惑星を支配しつつある変化は、今後数十年間に食糧の生産、流通、消費に新たな秩序をもたらすだろう。もし過去が何らかの参考になるのなら、新興技術は人類が過去のサイクルで行ったように食糧不足を克服することを助けるだろう。真の問題は、危機が発生するのを防ぐためにそれが間に合うかどうかなのだ。

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(翻訳:Sako)

写真提供: UNIVERSAL IMAGES GROUP/GETTY IMAGES