サンゴ礁を絶滅から救うロボットLarvalBotはサンゴの幼生を何百万も海中に散布する

世界のサンゴ礁は今でも、徐々に死滅が進行している。それは気候変動という現実を重苦しく想起させるが、しかしそれは、人間の努力によって押し戻すことも可能だ。環境保護活動家たちがそのために手に入れた新しいツールLarvalBot〔幼生ロボット〕は、老いたるサンゴを健康な新しいポリプ(polyps, 個虫)で置き換えていく努力を、大幅に加速する水中ロボットだ。

このロボットの原型は、2015年のプロトタイプCOTSbotで、サンゴの敵オニヒトデ(crown of thorns starfish, COTS)を自力で見つけて破壊する…それが名前の由来。それをその後クイーンズランド工科大学(QUT)のチームが改良し、そのサンゴ狩猟者を殺すロボットはRangerBotと呼ばれた。

しかし、侵略的なファウナを探してサンゴ礁を安全に航行しモニタするその同じシステムが、これらの消えゆくエコシステムをもっと直接に助けることができるのだ。

グレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)のサンゴは毎年、クイーンズランド北部沖合の海を大量の卵子と精子で満たすという、一大イベントを展開する。サザンクロス大学の研究者たちは長年、それらの卵子と精子から新世代のサンゴを養殖する方法を研究していた。彼らは捕獲した卵子と精子を海に浮く囲いに隔離し、ほぼ一週間でサンゴの健康な赤ちゃんたちを孵化することに成功した(サンゴの赤ちゃん(coral babies)はぼくがひねり出した言葉ではないが、でも好きだね)。そしてそれらの赤ちゃんサンゴを、絶滅寸前のサンゴ礁に注意深く移植した。

LarvalBotは、この最後の段階で仕事をする。

QUTのMatthew Dunbabinがニューズリリースでこう説明している: “11月に生まれる幼生のためにはロボットを2〜3台用意したい。1台は約20万の幼生を運び、他は約120万を運ぶ。ロボットは指定した航路を進み、サンゴ礁全域で一定の深度を保つ。彼らをモニタしている人間が、最大の散布効率になるように幼生をリリースしていく”。

これはふつうならダイバーの仕事だが、ロボットはそのフォースマルチプライヤー(force multiplier, 力量増幅器)になる。ただし食べ物や酸素は要らない。わずか数台で、数十人のレンジャーやボランティアの仕事ができるだろう。

幼生復元技術を開発しているサザンクロス大のPeter Harrisonはこう語る: “生き延びたサンゴは成長を開始し、子芽を生成し、新しいコロニーを作る。それが約3年後には、生殖が可能なまでに大きくなり、そのライフサイクルを完了する”。

それは決して即効的な方法ではないが、でもこの、人工的にサンゴを散布する技術は、サンゴ礁とその領域があと数年生き延びる機会を増大し、そしてその間に、再び自活能力を回復するだろう。

画像クレジット: QUT

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海を護る非営利アクセラレーターOcean Solutions Acceleratorが最初の育成候補5社を選定

今年の初めにSustainable Oceans Alliance(SOA)は、自然保護に的を絞ったアクセラレーターを立ち上げる、と発表した。そしてそのアクセラレーターOcean Solutions Acceleratorがこのほど、支援する最初のスタートアップ5社を発表した。それらはとっても多様で国際的なので、そのどれかに誰もが積極的な関心を持てるだろう。

NPOのSOAは、謎の暗号通貨億万長者が管理する謎のファンド、Pineapple Fundから資金をもらっているので、アクセラレーターとしての十分な活動もできるはずだ。

今度選ばれた5社は、最初に得られた投資により、この夏ベイエリアで8週間を過ごし、企業の経営など、いろんな人たちからいろんなことを勉強する。つまり投資するだけでなく、彼らに、企業として長続きしてほしいからだ。

募集要項では、ファウンダーの年齢が35歳以下となっていた。自然保護の世界に、若い血を導入したいからだ。選ばれた5社の名前とロゴは、これらだ(下図):

●ロンドンのSafetyNetは、漁網に取り付ける発光デバイスを作っている。それは設定により、寄り付く魚種を特定できる。大量の望まざる魚種を捕獲して廃棄する、という巨大な無駄を防ぐ。

●カリフォルニア大学バークリー校出身のCalWaveは、波力発電の試験と改良を繰り返している。昨年、エネルギー省の巨額な助成金をもらった。今はプロトタイプから大規模インストールによる実機テストへの、移行の段階だ。

Loliwareの食べられるコップ。

Loliwareは、海藻でストローやコップを作った。還元性が良いので、ユーザーが自分で堆肥などへ還元できる。食べて、あなたの胃へ還元してもよい。飲み物を入れると一日しかもたないが、捨てたら約2か月で完全に分解する。あるいは、そのまま食べてもよい。ニューヨーク出身の彼らはShark Tank(マネーの虎のアメリカぱくり版)に出演して、実際にカメラの前で食べたそうだ。Amazonで買えるし、食べた人によると、けっこうおいしいそうだ。

●メキシコのクリアカンのEtacは情報が乏しいが、SOAのプレスリリースによると、“エネルギーや環境目的の機能性ナノ素材を設計製造している。それらはたとえば、石油流出や工場廃液などを浄化できる”そうだ。これは、すごそうだ。

●そして、いまどき、ブロックチェーンなしで済ませられるアクセラレーターはいない。シドニーのBlockcycleは、産廃リサイクルのマーケットプレースを作ろうとしている。単純に埋め立てに向かうよりはリサイクルして再利用した方が経済性が良い、という。なお、今回のスタートアップ募集では、Pineapple Fundからの投資のあと、ブロックチェーン関連の応募が増えたそうだ。

以上5社は、9月11日に行われるイベント(一種のお祭り)でプレゼンを行う。ちょうどその日は、カリフォルニア州知事Jerry Brownの「グローバル気候アクションサミット」がサンフランシスコで行われる。そして10月には、バリで行われるOur Ocean Youth Summitで再度プレゼンを行う。

SOAのファウンダーでCEOのDaniela Fernandezはこう述べている: “イノベーションを促進し私たちの惑星の健康を維持するために、新しい大胆なアプローチが必要なとき、これらの海洋起業家たちは希望のかがり火である。これらのすばらしいスタートアップたちを支援することによって、若者たちが環境の危機を自分たちが直面している問題として捉え、気候や海を害するのではなく、市場がこれらの大勢に逆らう運動から利益を得るよう、発想を転換していくことを期待したい”。

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「地球に持続可能な水産養殖を実装する」9.2億円調達のウミトロンが開発する養殖テクノロジー

海の持続可能な開発を、IoTなどのテクノロジーを使った水産養殖により実現を目指す——6月21日にシードラウンドで総額約9.2億円の資金調達を発表したウミトロン。水産分野のアーリーステージ投資では、世界でも過去最大級となる規模の調達となった。

「我々はアジアを起点に、はじめからグローバルを狙っている」こう話すのは、シンガポールに本社、日本に開発拠点を持つウミトロンの共同創業者でマネジングディレクターの山田雅彦氏だ。TechCrunch Japanでは山田氏に、ウミトロン創業の背景や展開するサービス、今回の調達について話を聞いた。

リアルインダストリー、水産業にデータ活用を

ウミトロンは2016年4月の創業。創業メンバーは代表取締役の藤原謙氏、マネジングディレクターの山田雅彦氏、画像処理と機械学習を専門とするエンジニアの岡本拓磨氏の3人だ。

藤原氏は、東京工業大学で宇宙工学を専攻し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)で人工衛星の研究開発に従事した。その後カリフォルニア大学バークレー校へ留学し、三井物産にキャリア入社。衛星データを活用した農業ベンチャーへの投資などを担当してきた。

その中で藤原氏は、今度は新たな食料源としての水産養殖に興味を持つ。中でもアジアでは昔から魚を食べる習慣があり、全世界の魚の消費の3分の2を占める。アジアを起点にグローバルも狙える——そう考え、藤原氏はウミトロンの創業に至る。

平成28年度水産白書より

山田氏もまた、大学では宇宙工学を専攻し、衛星開発を研究していた。藤原氏と同様にデータ利用に関心があり、九州大学卒業後は三井物産へ入社。オーストラリアで気象情報を活用して電力の需給情報を予想し、電力先物取引や電力会社の収益モデル構築などに従事した。

その後山田氏は、AIベンチャーのメタップスへ転職。メタップスではデータのマネタイズ、具体的にはスマートフォンユーザーの決済や行動履歴から消費行動を予測する、といったことを行っていた。メタップスの東証マザーズ上場を機に、新しいことを始めたい、との思いから、ウミトロン創業に参画。再びリアルインダストリーを舞台にデータを活用する道を進むこととなった。

岡本氏は東京理科大学で画像解析を専攻。グリーでソーシャルゲームのフルスタックエンジニアとしてゲームのプラットフォームを開発していた。その後メタップスへ移り、アプリや動画の解析システムのネイティブアプリ・SDK・サーバーサイド開発に従事。リアルインダストリーでのデータ活用に興味を持ち、ゲームアプリ開発の世界からウミトロンへ参画した。

山田氏は「水産養殖の市場は人口増加率をはるかに上回る速度で成長を続けている、成長分野だ」と話す。「昔から人手をかけられてきた農耕・牧畜と比較して、魚だけは漁獲(漁猟による漁業)中心のまま。テクノロジーの発展にともない、漁業にも技術を適用できるのではないかということで、ウミトロンを立ち上げた」(山田氏)

成長産業の水産業を持続可能にする養殖テクノロジー

日本では少子化が進んでいるが、世界的には人口増は続いていて、国連の発表によれば2050年には97億人にもなることが予想されている。そうした中で、アジアを中心に動物性タンパク質の需要は拡大を続けている。

一方、食料を生産する耕地の面積や単位面積あたりの収穫量には限界がある。漁獲中心だった水産業でも、マグロをはじめとした水産資源の減少が危惧され、近畿大学のマグロ完全養殖の研究に注目が集まるなど、水産養殖への期待は高まっている。

実際、漁獲による水産物の生産量は1980年代後半から頭打ちの状況だ。それに比べ、養殖による生産量は拡大を続けている。

平成29年度水産白書より

「ウミトロンのミッションは地球に持続可能な水産養殖をもたらすこと」と山田氏は語る。「今までは生産者の経験やノウハウに頼っていた養殖を、コンピュータで置き換えられるのではないか」ということで、同社のファーストプロダクトとして、2017年6月に開発されたのが「UmiGarden(ウミガーデン)」だ。

上の写真はウミガーデンが養殖いけすの中央に設置(山田氏は“デプロイ”と表現していた)されている様子だ。イメージセンサーを海中に設置して魚群をストリーミングし、スマートフォンアプリから魚に餌やりができる。

水産養殖では餌やりが大きな課題となる。養殖業者にとって餌やりは毎日行うもの。しかし気象などの海洋条件によってはいけすに近づけないこともある。これが陸地で行う農耕・牧畜とは大きく異なる点だ。

また、餌代は生産コストの5割以上を占める。山田氏によると、5割というのは比較的餌代がかからないサーモンでの数字で、マダイやブリ、マグロではもっと高くなるとのこと。マダイのいけす1つあたりで年間1000万円、1事業者あたり30〜100のいけすを持つので、多いところでは年間10億円が餌代として費やされているという。

ウミガーデンのコンセプトは「家から魚を育てられる」こと。養殖業における作業は餌やり以外にもあるが、まず最初のステップとして餌の課題を解決するところからウミトロンは着手した。

「餌やりの回数は従来1日2〜3回で、人間の生活サイクルに合わせた形だった。でも野生の魚は食べたいときにはいつでも食べられる状態。そこで1時間おき、30分おきなど、高頻度で少量ずつ餌を与える試みも行っている」(山田氏)

ウミトロンでは「餌やりソリューション」としてウミガーデンを提供しつつ、バックエンドでは機械学習による遊泳解析も実施。魚がお腹がすいているかどうかを知るための分析を進めている。「解析精度が向上すれば、お腹が減っているときだけ餌をやることも可能になってくる。現在はタイマーを生産者が設定して、半自動で餌やりを行っているが、将来は技術的には自動化も可能となるだろう」と山田氏は述べている。

餌やりについては、生産者以外にも影響を及ぼす課題がほかにもある。地球規模で問題視される「過給餌」、餌のやり過ぎによる生態系の破壊だ。

2016年、南米のチリで起きた記録的な赤潮。赤潮はプランクトンが大量増殖することで起きるが、原因の一つとして、サケ養殖のため必要以上に餌を与えたことが挙げられている。チリの例では生態系全体に被害を及ぼし、養殖場だけでも2000万匹を超えるサケが窒息死、その被害額は約1000億円にも上っている。

山田氏は「魚が欲しいときにだけ餌やりをすることで、養殖を最適化することが可能になる」という。「過給餌をなくして養殖を最適化できれば、漁業は農業に比べてよりサステナブルなタンパク質の供給源となる産業だ。ただし漁獲のままでは、例えばマグロの取り過ぎでサバ・イワシが増え、餌となる小魚が減少するなどの問題は起こる。海でも農牧業と同様に、自然界から切り離して漁獲から養殖にシフトすることが持続可能性につながる」(山田氏)

山田氏は「生産者の餌やりの動向も分析・学習することで、魚の生存率を高めたり、育成を早めたりする餌のやり方も将来可能になるだろう」と話し、「魚のデータ、水産者のデータ、海洋データを利用して、養殖コンピュータを作ることをウミトロンでは目指している」と語る。IoT、衛星リモートセンシング、AIをはじめとしたテクノロジーを使い、持続可能な水産養殖のコンピュータモデルの開発を進めるという。

デザインシンキングで消費者・生産者のユーザー体験を変えたい

6月8日付けで実施されたウミトロンの資金調達では、産業革新機構D4V、藤代真一氏、松岡剛志氏ら個人投資家が出資に参加した。

出資した産業革新機構について山田氏は「成長産業である水産分野でプロフィットを目指すことに加えて、海のサステナブルな利用という面での公益性も評価してもらっている」と述べている。

また、D4Vについては「デザインファームのIDEOの共同創業者トム・ケリー氏も参画するVCで、デザインシンキングでプロダクトの価値向上を図りたい我々の意思と一致するところが大きい。水産はIT分野では珍しい産業なので、ユーザー体験を変えたい」と山田氏は話している。

「ユーザーとして想定しているのは2方面」と山田氏。ひとつは最終消費者のユーザー体験だ。

「天然水産物より養殖のほうが良い点はいくつもあるが、それが理解されていない。養殖では餌がコントロールできることで、水銀のない、妊婦さんでも食べられる魚や寄生虫のいない魚ができる。魚だけが『野生のほうがいい』というのは建設的ではない。養殖のプラスの要素をより知ってもらえるようにしたい」(山田氏)

もうひとつは生産者のユーザー体験。「ゲーム業界などと比較すると、水産業と新しいテクノロジーとの間にはギャップがある。テクノロジーを取り入れることで経済性も生産効率も上がる。これを分かってもらうため、ユーザー体験を変えていきたい」と山田氏は語る。

調達資金について山田氏は「技術をコアに成長していくための採用強化と、既存事業のデータ解析や産業のデジタル化を強化し、ハードウェアの開発、量産化も進める」と話している。また研究開発も強化していくということだ。

カーボンナノチューブを撚って作った糸は引っ張ると発電する…スマート衣料の実用化へ

スマートな服は誰もがほしいと思っているけど、みんな、バッテリーパックを着るのは嫌だ、と言うだろう。まあ典型的な第一世界問題だけど、そのソリューションの中には単純におもしろいものもある。テキサス大学ダラス校の研究者たちが、カーボンナノチューブを撚(よ)って作った撚り糸で発電する方法を作り出し、しかもそれに、ツイストロン(twistron)というかっこいい名前をつけた。

引っ張ったり押したりすると発電する圧電素子素材は、これまでにも多種類あるけど、このツイストロン撚り糸には強度と柔軟性があり、おまけにスーパーキャパシター(超コンデンサー)として動作する。極細のカーボンナノチューブを集めて撚り、コイル状にすると、伸展性、伝導性など、役に立つ資質を持つようになるのだ。

同校のナノテク研究所のトップRay Baughmanが、ニュースリリースで述べている: “電子織物には大きな商業的関心が集まっているが、では、それらにどうやって電力を供給するのか? 人間の体の動きから電気エネルギーを得ることは、バッテリーを不要にする方法の一つだ。われわれの撚り糸は、これまでの各種文献に報告されているそのほかの可織繊維に比べて、伸展したときに得られる電力が100倍以上大きい”。

とは言っても、それが微々たる大きさであることに違いはないが、でも組込みシステムは電力要量が小さい。では、何が問題か?

そう、つまり問題は、このツイストロンは電解液に浸けないと動作しない。しかし、たしかにそれだけを想像すると大変そうだが、実際にはそれほどでもない。チームがScience誌に発表したペーパーによれば、ツイストロンを固体電解質…塩性のポリマー…で包むことによって、液体に浸けなくても発電できた。

研究チームがツイストロンで編んだシャツは、着用者の呼吸から実用レベルの電気を生成した。数分おきにバーストでデータを送るワイヤレスのトランシーバーなど、低電力のデバイスをシャツに編み(織り)こめば、この微小な電力で十分実用になるだろう。

チームは、海の波でもテストした。ペーパーの共著者の一人Shi Hyeong Kimは、ツイストロンの撚り糸で作ったおもりに風船をつけて、彼の故郷韓国のしょっぱい海に投じた。波の動きから撚り糸は力を受けて伸展し、電気を生成した。この方法はスケール(規模拡大)も容易であり、用途に応じ自由にカスタマイズして、海から電力を取り出すだろう。

“われわれのツイストロンを使った電力収穫機をもっと安価に作れるようになれば、大量のエネルギーが海の波から得られるようになるだろう”、とBaughmanは述べている。

チームはすでに特許を申請し、その応用を研究しているが、クールな技術がいつもそうであるように、世の中で一般的に見られるようになるまでは時間がかかる。なお、同大のナノテク研究所のサイトへ行くと、そのほかのおもしろいプロジェクトも見られる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

水中ドローンGladiusは4Kのビデオカメラを搭載、海水の塩分も平気だ

最初のドローンは空を飛んだ。そして今度は水中だ! このGladiusは、要するに遠隔操縦する潜水艦で、深さ100メートルまで潜れて4Kのカメラ〔==オプション〕で撮影できる。

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ぼくはプロトタイプを見たけど、とってもハンサムだ。大きくて黄色い双胴式のモンスター、とも呼べるこの野獣は、スマートフォンに接続されるリモコンでコントロールし、半ばテザリングされている。すなわち、条件が良ければ最大500メートルまでの遠隔操縦ができる。

最小限の構成は、ドローン本体と1080pのカメラ、30メートルの繋留ロープ、そして一種のリピーターとして動作する“Wi-Fiブイ”だ。ビーチで使うことが前提だが、でも、どこからでも海に放り込むことができる。初期支援者には599ドル、4Kモデルは799ドルだ。“四次の自由度”を持つ、とされており、深く潜って海底で亀や冷蔵庫に会える。

今住んでるブルックリンが暖かくなったら、本格的なレビューを書こう。しかし、見た感じでは、とってもクールでお利口そうだ。ビーチで楽しむのもよいし、ブルックリンのゴーワヌス運河で錆びた銃を見つけるのもよいかもしれない。

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養殖業などのための海の中の検査点検作業を無人で行う水中ドローンSeaDrone

ドローンはこのところ、あっという間にメジャーな存在になってきて、人気の製品はますます安くなり、コントロールしやすくなっている。でも、ドローンは空中だけに限定されるべきものか? 今日(米国時間5/10)のDisrupt NYのステージでデモをしたSeaDroneは、複数回転翼の航空ドローンの単純さが持つ利点を、水中で生かそうとする。

O-Robotixの協同ファウンダーEduardo Morenoはこう語る、“水中用のクァッドコプター(4翼ヘリ)だから、ミサイルに似ていないし、そのほかの水中ドローンにも似ていない。自己安定化能力がある。われわれが取り組んだイノベーションは、人間がコントロールしないロボットが水中で長時間、非常に安定した映像を撮れることだ”。

彼の水中ドローンは今の空中ドローンに似たスタイルだが、タービンは同社の特製だ。それは一般市販品よりも小型軽量でシンプルで、しかも耐久性がある。あらゆる部分でコスト削減に努め、操縦性を改良した結果だ。

ケースに収めると、車のシートの収まる大きさだ(下図)。これも重要な特徴のひとつ。

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SeaDroneはタブレットのアプリでコントロールし、製品自体もカスタム化したLinuxを搭載して、リモコンの水中機によくある“きわめてアナログな”コントロール方式を避けようとしている。機自身がOSを動かしているため、プログラマブルな動きができる。たとえば漁業用や養殖海域のネットの自動点検とか、360度の水中撮影などだ。

一見、ホビイスト用にも見えるが、実際には仕事用をねらっている。とくに、養殖業や海中農業がターゲットだ。

“養殖業はこれまで、人間が頻繁に水中に潜って点検する必要があった”、とMorenoは述べる。そのほか、船やドックや網、パイプラインの点検なども、これまでは高価な遠隔操作機や専門のダイバーを必要とした。SeaDroneなら、それらの数分の一〜数十分の一の費用で点検でき、専門家でなくても操作できる。

今後O-Robotixは、水中ドローンを売るだけでなく、それらが集めてくるデータを保存し、組織化し、分析するプラットホームも作る予定だ。とくに養殖場や孵化場などは、大量のデータ収集と分析を要する。お役所に提出すべき文書も、少なくない…それらの作成もたいへんな作業だ。

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“人間が自分で文書を作ったり、写真やビデオを自分で撮らなくても、この水中ドローンが必要な情報収集をやってくれる”、とMorenoは語る。SeaDroneユーザーのためのデータプラットホームは、同社のもうひとつの重要な収益源になるだろう。

同社は今のところ外部資金を導入していないが、本番の製造は開始している。もちろんそのために当然、資金が必要になるはずだ。ハードウェア企業は軌道に乗るまでがたいへんだが、でもO-Robotixは、競合相手の少ない、まだ混み合っていない市場で、有利にやっていけそうだ。

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海底の地図作成を効率化する技術に700万ドルの賞金…地球の海は火星よりも未探査領域が広い

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“重要で画期的な技術”への投資育成を行う非営利団体Xprize財団の最新の懸賞課題700万ドルは、海洋の地図作成技術を前進させたチームに与えられる。ただしオーシャンディスカバリー担当シニアディレクターJyotika Virmaniによると、今回の懸賞は前回のように海の汚染解消を目的とするものではない。

今回の企画の目標は、汚染をはじめ、海洋の現状をそのまま捉えることにあり、Virmaniによると、海のありのままの姿を理解することが重要な目的の一つだ。彼女によると、とくに海底の探検は、ほかの分野の進歩にも寄与する。たとえばカリブ海の海綿は、HIVの治療薬などさまざまな医薬品の開発に利用されている

“今や地球上の海底の地図よりも火星の地図の方が充実している”、と彼女は言う。彼女曰く、よく言われるように、“海洋の95%は未踏査”なのだ。

Virmaniによると、海底の地図作成を阻んでいる大きな要因のひとつが、費用だ。したがって今回の懸賞には、海中海底探検の低費用化という課題も含まれる。たとえば岸壁から発進させる無人機なら、探検用の船舶を必要としないだろう。

この懸賞は、チームの登録受付期間が9か月、その後の初期的開発が12か月、さらに現用試験が18か月というものだ。優勝賞金の500万ドルと準優勝の100万ドルは、もっとも解像度の高い地図を作成したチームに行く。またデバイスの自律性自動性性能や探査深度などの要素の、達成基準もある。

第二ラウンドまで進めた全チームに、100万ドルが分与される。また国のお役所である海洋大気局(National Oceanic and Atmospheric Administration, NOAA)からは、特定の探査目的を達成したチームに100万ドルが授与される。

今回の懸賞の正式のタイトルは、Shell Ocean Discovery Xprize、Shell石油がスポンサーだ。石油企業は、パイプラインの安全な点検のために詳細で正しい海底地図を必要とする。ただしXprizesの懸賞では一般的に、スポンサーは審査に介入しない。

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