お魚サブスク「フィシュル」で魚の食品ロス削減を目指すベンナーズが3200万円調達、サービス認知拡大目指す

魚の食品ロス削減を目的としたお魚サブスクリプションサービス「Fishlle!」(フィシュル)を運営するベンナーズは1月17日、第三者割当増資による総額3200万円の資金調達を1月14日に完了したと発表した。引受先はアカツキ、セゾン・ベンチャーズ、エンジェル投資家の海野慧氏。

調達した資金は、フィシュルのデジタルマーケティングチャネルの確立とPR強化、ユーザビリティ向上のための商品ラインナップの拡充とカスタマーサポート体制強化、シリーズAラウンドに向けた人材採用強化にあてる。

ベンナーズは、魚の食品ロスを減らすことで「日本における水産業の発展」と「作り手、使い手、社会を豊かにすること」を目的に、お魚のサブスクリプションサービスを2021年3月よりECサイトでスタート。ライフスタイルの変化による消費者ニーズの多様化や、コロナ禍による人々の生活・行動様式の変動に対応し、衰退しつつある日本の魚食文化の再建を目標としているという。

フィシュルは、最適な味付けを施した上で、季節ごとに旬の魚のミールパックを定期便として届けるサービス。形の悪さや十分な水揚げ量がないといった、味には関係のない理由で規格外とされ価値が付かず通常の流通に乗らない「未利用魚」を積極的に利用することで、食品ロス削減と漁業者の収入の底上げも図っているそうだ。

またそうした形で、SDGs12条の「つくる責任 つかう責任 持続可能な方法で生産し、責任を持って消費する」とSDGs14条「海の豊かさを守ろう。持続可能な社会のために、海と海の資源を守る 海と海の資源を持続可能な方法で利用する」への貢献も目指している。

2018年4月設立のベンナーズは、食の三方よし「作り手、使い手、社会を豊かにすること」を目指す、福岡拠点のスタートアップ。フィシュルなどによる魚の食品ロス削減のためのプラットフォーム事業や卸売業を事業としている。

生産者と消費者を直接つなぐポケットマルシェが農林中央金庫から資金調達、生産者の登録促進で連携

生産者と消費者を直接つなぐポケットマルシェが農林中央金庫から資金調達、生産者の登録促進で連携

生産者と消費者をつなぐ国内最大級の産直アプリ「ポケットマルシェ」(Android版iOS版)を運営するポケットマルシェは12月21日、シリーズBエクステンションラウンドにおいて第三者割当増資を実施したと発表した。引受先は、農林中央金庫。

同調達は、2020年8月に行った8.5億円の資金調達に続くもの。シリーズBラウンドは、合計調達額9.9億円で終了し、今回の調達により累計調達額は15.5億円となった。また、あわせて農林中金と連携し、全国の生産者にネット直販の機会を提供していく。

ポケットマルシェは、生産者が消費者に食材をインターネット上で直販できるサービスを提供しており、2020年12月時点で約3800名の生産者と約25万名の消費者が登録している。今回「強い一次産業を実現する」という想いが一致したことにより、農林中央金庫から資金調達を実施するとともに、生産者の登録促進などで連携していく。

調達した資金は、「生産者の登録促進」「生産者の販売力強化」「プロダクトの改善」に使用する予定。生産者の登録促進においては、農林中金と連携し、全国の生産者にネット直販の機会を提供する。生産者の販売力強化では、ネット直販に関する教育コンテンツを充実させ、登録生産者の販売力強化に取り組む。またプロダクトの改善では、生産者および消費者の利便性を高めるべく、UI/UXを中心にプロダクトを改善する。

生産物の価値を発信し、コミュニケーションの中でファンを獲得して安定的な販売を実現するために、インターネットを利用した直販は有効なものの、「消費者にインターネットで直販をしている農家数の割合」は、2019年時点で0.56%と極めて少ない状況にある(「農林水産省 農業構造動態調査 / 確報 平成31年農業構造動態調査結果」)。2019年の農業就業人口の平均年齢である67.0歳(「農林水産省 農業労働力に関する統計」)、2017年の漁業就業人口の平均年齢である55.6歳(「農林水産省 漁業就業動向調査」より各階層の中位数を用いた推計値。65歳以上の場合は「70」を使用)に対して、ポケットマルシェ登録生産者の平均年齢は44歳(「登録生産者数2000名の「ポケットマルシェ」が生産者を対象としたアンケート結果を発表」)という。このことから同社は、特に高齢の生産者によるネット直販実施が進んでいないことが推測されるとした。

ポケットマルシェは、農林中金の持つネットワークを活用し、全国の生産者にネット直販の機会を提供することで、一次産業の成長を促進。高齢の生産者に対するネット直販のサポートも強化していく。またすでに、大分県や鹿児島県で、農林中金と連携して生産者による新規出品を実現しているという。

大分県漁業協同組合中津支店 ひがた美人生産者部会によるブランド牡蠣の出品

大分県漁業協同組合中津支店 ひがた美人生産者部会によるブランド牡蠣の出品。ひがた美人生産者部会に所属する生産者の平均年齢は60代前半で高齢化が進んでおり、大分県漁業協同組合中津支店の職員が出品や発送をサポートしている

ポケットマルシェは、全国の農家・漁師から、直接やりとりをしながら旬の食べ物を買うことができるプラットフォーム。提供は2016年9月。約3800名の農家・漁師が登録し、約9000品の食べ物の出品と、その裏側にあるストーリーを提供。新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに消費者の食への関心が高まり、ユーザー数が約4.8倍、注文数はピーク時に約20倍となり、現在約25万名の消費者が登録、「生産者さんと繋がる食」を楽しんでいる。

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カテゴリー:フードテック
タグ:漁業資金調達(用語)食品(用語)農業(用語)ポケットマルシェ(企業)日本(国・地域)

アクアフュージョンが魚1匹1匹を識別する高性能魚群探知機「AquaMagic」をバージョンアップ

アクアフュージョンが魚1匹1匹を識別する高性能魚群探知機「AquaMagic」をバージョンアップ

AquaFusion(アクアフュージョン)は12月9日、魚1匹1匹を識別する高性能魚群探知機(水中可視化装置)「AquaMagic」のバージョンアップを発表した。また、関連製品の資源解析ソフト「MagicView」も新製品として調査・研究機関向けにリリースし、12月13日から販売を開始すると明らかにした。

AquaMagicは、従来の魚群探知機の100倍の分解能を有し、わずか5cmの魚を単体で識別できる海洋音響機器。今回のバージョンアップでは、密測定機能と魚体長測定機能を追加した。

密度測定機能では、深度毎の魚の密度(1㎥ごとの魚の尾数)をグラフ表示可能で、どの深さに魚がどれだけいるかを正確に把握できる。また魚体長測定機能では、機器で捉えた1匹1匹の魚のサイズをグラフ化し、魚のサイズごとに色分けして表示する。

密度計測機能

密度計測機能

魚体長計測機能

魚体長計測機能

これら機能によりAquaMagicは、漁業・フィッシング用の魚群探知機として、また資源調査用の計量魚群探知機としても利用できるとしている。シングルビーム方式で高性能な計測ができるため、従来の広帯域やスプリット式の計量魚群探知機と比べコストパフォーマンスが高い事が特徴という。

また今回、資源調査に対応した解析ソフトMagicViewも同時にリリース。MagicViewは、AquaMagicで得られたデータから魚だけを検出し、尾数や魚体長などの評価、資源マップの作成など、資源評価に必要なデータを簡単に作成できる。

解析ソフトMagicView画面イメージ

解析ソフトMagicView画面イメージ

2017年1月設立のAquaFusionは、Sustainable Oceanの実現を目指し、漁業者の負担軽減と水産資源の持続的な維持に取り組むスタートアップ企業。従来の魚群探知機と比べ100倍以上の分解能を有した独自の超音波技術FINE(First INterval Echosounding) Technologyをベースに、魚群探知機の開発・販売だけに留まらず、定置網観測、養殖生簀観測、深海調査、海洋調査(マイクロプラスチック計測)など、広く水中を可視化する機器を研究開発している。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:AquaFusionAquaMagic漁業日本(国・地域)