新惑星の発見に貢献したNASA/Googleの機械学習システムAstroNetをあなたも利用できる

おぼえておられると思うが、昨年12月に、NasaのデータとGoogle Brainの脳力を利用する機械学習により、二つの新しい惑星が見つかった。あなたがそれと同じことをやってみたいなら、そのシステムを作ったチームが今日(米国時間3/8)、その天文学的偉業の達成に使われた、AstroNetと呼ばれるプログラムのコードをリリースしたから、試してみたらどうだろう。

NASAのKepler宇宙望遠鏡は、銀河系を何年もかけてスキャンし、惑星サイズのオブジェクトが星の前面にあって、そこだけやや暗くなってるところ(上図)を観察した。

そのデータセットは、機械学習のシステムにとってすばらしい遊び場だ。量が膨大でノイズも多いため、微妙な変異を単純な統計学的方法や人間による精査では見つけることができない。そのような、データの泥沼からおもしろい結果を取り出すためには、畳み込み式ニューラルネットワークが格好のツールだった。

しかし例によってAIは、人間がやった先例に従わなければならない。そのニューラルネットワークは、すでにラベルがついていて惑星か非惑星かを検証されている何千ものKeplerのスキャンデータで訓練された。この訓練されたモデルが、Kepler-90iとKepler-80gの発見に貢献した。

研究者たちによると、プロジェクトのソースを公開したことによってそれがさらに正確になり、研究がもっと早いペースで進み、また新しいデータセットも取り入れることができる、と期待される。ドキュメンテーションを読んでコードをフォークしてみたい人は、GitHubへ行ってみよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Googleのストリートビューの大量の画像で近隣社会の投票パターンを正確に予想できる

コンピューターによる画像分析がテキストの分析と同じぐらい上手になることの兆候か、スタンフォードの研究者グループが、Googleのストリートビューから集めた数百万の画像に基づいて、近隣社会の投票パターンを正確に予想することができた、とThe New York Timesが報じている。人工知能を利用してGoogleのストリートビューを社会経済学的な目的のために分析する研究プロジェクトは、Streetchangeなど過去にもあったが、今回のプロジェクトは大量の画像をAIのソフトウェアが処理する点が新しい。

研究のリーダーはスタンフォードのコンピュータービジョンのサイエンティストTimnit Gebru、そして研究チームはソフトウェアを使って5000万点の街路画像と位置データを分析した。目標は、ひとつのzipコードで表される地域や、ひとつの街区(有権者人口1000人ぐらい)の住民の、さまざまな特性情報を予想するために使えるデータを見つけることだ。

そしてそれらの画像から彼らが取得できた情報は、約2200万台(アメリカ全体の約8%)の車のメーカーと車種 と年式、3000種のzipコード、そして39000の選挙区だ。それらのデータを、国勢調査や大統領選投票記録など他のソースから得た情報とつき合わせることによって、各近隣社会の平均所得や人種構成、教育、そして投票パターンを正確に予想することができた。

たとえばAIが車の分類をできるようになるために、チームはMechanical Turkなどから集めた数百名の人間と車の専門家を使って、何百万もの画像中の自動車を同定できるよう訓練した。その結果彼らのソフトウェアは、5000万の画像中の車をわずか2週間で分類できたが、Timesの記事によると、それをもし車の専門家である人間がやったら15年はかかるそうだ。

全米科学アカデミーの会報に載った記事によるとチームは、自分たちの技術が毎年2億5000万ドルもかけている国勢調査を補完するものだ、と主張している。国勢調査は調査員の戸別訪問方式で労働集約的であり、人口65000に満たないような小さな地区は見過ごされることも多い。技術の進歩とともに、人口統計はリアルタイムにアップデートされるようになるかもしれないが、しかし研究者たちによると、個人のプライバシーを守るためにはデータの収集はコミュニティのレベルにとどめるべきだ、という。

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スペクトルカメラで撮った農地の画像を機械学習で分析して最適解を農家に推奨するCeres Imagingが$2.5Mの追加資金獲得

アグテック(agtech, 農業のテクノロジー化)はスタートアップの数が少ないけど、実は農家自身は新しい技術の導入に、想像以上に積極的だ。

Ceres Imagingのピッチ(売り込み文句)は、単純明快だ。低空から独自のセンサーを備えたスペクトルカメラで農場の航空写真を撮り、それに基づいて今作物に水や特定の栄養が必要か教え、また作物の病気や害虫の危険性についても現状や今後の可能性を教える。

同社は5月のシリーズAで500万ドルの資金を調達したが、今日(米国時間11/1)はそれに加えて、250万ドルを調達したことを発表した。投資会社は、前の500万ドルと同じく、Romulus Capitalだ。

Ceres ImagingのCEO Ashwin Madgavkarが同社を創ったのは、まだスタンフォードの学部学生だった4年前だ。当時の彼は、スペクトルカメラのクールなアプリケーションの数々に感激して、それらをクリーンエネルギーや資源利用の効率化に生かせないものか、と考えていた。

農業へのスペクトル画像カメラの利用は、最初のうち、ぶどう園や果樹園などの高密度作物に限定していたが、今では顧客層がカリフォルニア、ハワイ、中西部、オーストラリアと広がるにつれて、多様化している。新しい作物向けのソリューションを開発するときは、その作物の特性の勉強から始める。水の不足や過剰への強さ弱さ、葉緑素濃度、林冠活力、温度分析、栽培密度、そしてこれら要素の最適測度、などなど。

Madgavkarによると、アグテック企業の多くが、作物の多様性に配慮しない画一的な画像分析をしている。しかし彼のチームは、新しい顧客に対してはまず詳細なコンサルテーションにより、その営農や地域の特殊性を細部まで把握する。すなわち、個別オーダーメイドのソリューションを、提供する。

今とくに重要な課題とされているのが、中西部における大豆やコーンの収量アップ対策だ。これらの作物は従来、メンテナンスをほとんどしない、粗放作物の典型だったが、でも本当は、最初から農家の賢い判断を必要とする作物なのだ。

今では同社が提供するソリューションも多様化しており、しかも今後は、今回の資金でさらなるグローバル展開を目指している。

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Web全域に拡散する製品や商品の画像を企業が追跡できマーケティング貢献度も分かるShareIQのサービス

製品や商品の画像がInstagramやPinterest、Tumblrなどなどの上で今やたくさん共有されている。そこでShareIQは、そんな状況を理解し利用しようと企業やお店に呼びかける。

ShareIQのファウンダーでCEOのBrian Killenは、マーケティング企業Acxiomの企画部長だったが、ある日、某小売企業のマーケティング担当役員にこう言われた: “Pinterestや世界中のWebサイトの至るところでうちの商品の写真を見るが、その商品や製品の情報はどこにもない。消費者はその品物を、どこでどうやって見つければいいんだ?”、彼のその質問に答えるべく、KillenはShareIQを立ち上げた。

マーケティングツールとしてのソーシャル・フォト・シェアリングはCuralateOlapicもやっているが、Killenの言うShareIQのユニークさは、商品/製品の画像のWeb上の拡散状況と、それらの画像の売上への貢献具合が分かることだ。

ShareIQ dashboard

ShareIQのアナリティクス機能により、そのブランドの人気コンテンツや、そのコンテンツが獲得したオーディエンス数などが分かる。また“シェアツリー”と呼ぶ視覚化により、コンテンツの拡散に貢献しているユーザーやパブリッシャーたちが分かる。そして、競合他社や競合ブランドとの比較もできる。

製品/商品の画像を見たりシェアした人を“カスタムオーディエンス”に仕立てると、その人が今後クールな製品の写真を見たとき、それをどこで買えるかという広告ないしリンクも表示される。

KillenによるとShareIQのキモは、それが、画像と関連データを保存する新しい方法であることだ。企業ユーザーは、大規模に、高い精度と速度で、そしてとても低い費用で、ShareIQのサーバーを利用できる。その結果、毎日Web上に登場する新しいコンテンツに企業が遅れないための、インフラストラクチャになる。

これまで同社が処理した画像は、約7500億点だ。

ShareIQが公式にローンチしたのは今週だが、顧客の中にはすでに、Tommy Hilfigerがいる。ベルリン発のShareIQは、ニューヨークに初めてのアメリカ事務所を開く。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

二台のドローンとWi-Fi信号で厚い壁の中の状況を3D画像化できる、Google Tangoも活躍

カリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究者Yasamin MostofiとChitra R. Karanamが作ったシステムは、二台のドローンと大きなWi-Fiアンテナと、少々の補間計算によって、厚い壁を透視できる。

このシステムは二台のドローンの共同作業で、片方が構造物へWi-Fiを照射し、他方がその信号を拾う。そして二台はその構造物の周囲を飛びながら、各地点で信号の強度の違いを記録していく。そうすると、その情報から閉じた建物の3Dモデルを作れる。

下のビデオでは、ドローンたちがレンガの構造物の回りのんびりと飛んでいる。彼らにその内部は見えない。電波がレンガを貫通し、壁の向こう側にある別の構造物を通過すると、信号が変わる。何度かそのデータを計測したあとで、ドローンたちは構造物の全体を高い解像度で図像化し始める。

“われわれが提案しているやり方では、無人航空機がWi-Fiの信号だけで壁を3Dで透視し、詳細な画像を作れる”、とMostofiは語る。“利用するのはWi-FiのRSSIだけで、事前の測定などはいっさい行わない。また画像を作るためにオブジェクトを動かす必要もない”。

最初はオブジェクトの2Dのモデルを作ったが、すぐに3Dにアップグレードできた。使用したのはシンプルなWi-FiルーターやGoogle Tangoを実装したタブレットなど、一般市販のデバイスだ。受信側は、Raspberry PiとWi-Fiカードを使っている。二台のドローンは対話しながら自力で行動する。

壁の向こうに見えるものは、映画「プレデター」のような像ではないが、でも災害などの緊急時には、ドアをぶち破らなくても建物の中を知ることができる。研究者たちは、考古学の調査にも使えるはず、と言っている。

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農薬や化学肥料の濫用を防ぐCeresのハイパースペクトル農地画像分析技術が$5Mの資金を獲得

カリフォルニア州オークランドのCeres Imagingが、Romulus Capital率いるシリーズAの投資ラウンドで500万ドルを調達した。同社は、カメラとセンサーとソフトウェアを使って、農家の農地に作物のストレスを見つけ、そこにタイミング良く除草剤や殺虫殺菌剤、灌水などを投じられるようにする。

Ceresは、最近多い、ドローンの農業利用に着目したスタートアップのひとつだ。しかしCEOでファウンダーのAshwin Madgavkarによると、専業農家の農地面積は数千エーカーもあり広すぎるので、ドローンでは仕事にならない、とすぐに悟ったそうだ。

そこでMadgavkarたちは、セスナのような通常の航空機に搭載する独自のセンサーとカメラを開発した。それを毎日、広大な農地の上空に飛ばすのだ。

同社はさらに、撮影した画像の中に作物のある農地だけを特定できる画像分析ソフトウェアを作った。それにより、裸の土地や影などは分析対象から外す。“農地の画像から読み取れる特殊な“署名”を、そこで起きている事象に翻訳する”、とCEOは語る。同社はカリフォルニア大学デービス校の研究者たちやデータの助けを借りて、分析技術を完成させた。

Romulus CapitalのファウンダーKrishna K. Guptaによると、Ceresがほかのアグテック企業より優れているのは、ハイパースペクトルな〔==可視光以外も含む〕画像分析によって、地上で作物や土壌を実際に調べたときと変わらない洞察を農家に提供できることだ。競合他社の多くは、NDVI(normalized difference vegetation index)に頼って作況の分析をしている。それは一定面積における作物の葉の測度だ。しかし、“Ceresは農家の作況や灌水、土壌栄養などに関してもっと細かい粒度の情報を提供できる”、とKrishnaは語る。

Ceresはすでに、世界最大のナッツとぶどうの栽培農家上位10軒(10社)のうち6社と契約していて、ほとんどの仕事をカリフォルニアとオーストラリアで行っている。同社が画像分析を提供しているアーモンドの樹園面積は、全世界のアーモンド作付面積の10%あまりに相当する。

今回のシリーズAの資金は、社員増と、営業マーケティングの拡大、そして画像分析の対象をコーンや大豆など、中西部のそのほかの商品作物にも広げることだ、とCEOは述べている。

競合他社はTerrAvionIntelinairなどだが、PrecisionHawkのようにドローンを使っているところもある。

シリーズAの前には、ウォーターテックのアクセラレータImagineH2Oや、Laurene Powell JobsのEmerson Collectiveが支援しているNPO Elemental Exceleratorなどから、100万ドルの非希釈的助成資金を(non-dilutive grant funding)獲得している。

規制はスタートアップの邪魔になることもあるが、Madgavkarによると、Ceresの場合は需要増に貢献している。“農家に対する規制はますます厳しくなって、以前のように化学物質や肥料などを大量に使えなくなっている”、と彼は語る。農地の航空写真を見て、作物がストレスを経験している箇所や、窒素やカリウムが欠乏している農地を素早く特定する同社の技術は、農薬や化学肥料の無差別的な濫用を防いでいる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))