アップルがFaceTimeのアップデートを発表、Androidユーザーも利用可能に

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大が始まってから1年あまりが経った今、Apple(アップル)がWWDCでiOS 15に搭載されるFaceTimeアプリの大型アップデートを発表した。

注目されるのはAndroidユーザーがFaceTime通話に参加できることで、これによりコロナ禍での外出制限で急成長したZoomやGoogle Meetなどのアプリの競合となる。前もって「カレンダー」アプリから通話に参加するためのリンクを送信できる新機能もある。このFaceTimeリンクは、ウェブ、Androidデバイス、iPhoneとさまざまなプラットフォームで動作する。

FaceTimeのビデオ通話を実際の会話に近づけるアップデートもある。

Appleのソフトウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントであるCraig Federighi(クレイグ・フェデリギ)氏は「誰かと直接会って話をするとき、私たちの脳は社会的、音声的、視覚的な無数の手がかりを処理します。ビデオ通話ではそういった情報の多くが失われてしまうため、私たちは疲れてしまいます。そのため2021年は、FaceTime通話をより自然で心地よい実際の会話に近い形にすることを目指しました」と述べた。

空間オーディオ機能により、FaceTime通話は友だちと同じ部屋にいるような音に感じられる。誰かがあなたの画面の左側に表示されていれば、その人のオーディオはスピーカーの左側から聞こえるということだ。iPhoneなどの小さなデバイスでは効果があまり感じられないかもしれないが、iMacなどのデバイスでは興味深いものになるだろう。誰かが話しているときは、その人のビデオが白い枠で囲まれる。ユーザーは通話の参加者をZoomに似たグリッド表示にすることができる。

また、雑音のある場所で通話をしている人の音質を向上する「声の分離」も発表された。WWDCでの発表中に紹介されたビデオでは、通話をしている相手の室内に子どもがブロワーを使いながら入ってくる様子が披露された。TechCrunchのライブブログでは、ライターのDarrell Etheringtonがビデオはかなり編集されているようだと指摘した。

そして、友だちと一緒にストリーミングビデオを簡単に楽しめるSharePlayという機能をFaceTimeで利用できるようになる。SharePlayはグループでの視聴や画面共有をする機能で、アップルはSharePlayをすでにDisney+、Hulu、HBO Max、NBA、Twitch、TikTok、MasterClass、ESPN+、Paramount+、PlutoTVといったパートナーと共有している。SharePlay APIが公開されるため、開発者はこのAPIを利用して自分が開発するビデオアプリを統合できる。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AppleWWDC 2021WWDCFaceTimeビデオ通話iOS 15iOS画面共有

画像クレジット:Apple

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Kaori Koyama)

お互いの画面を操作できる画面共有ツール「Screen」を無料で試せる

どのアプリでもGoogleドキュメントのように共同作業ができる。Screenは無料で使えるインタラクティブな画面共有アプリで、利用者それぞれのカーソルがあるので、ボイスチャットやビデオチャットをしながら、別の人のアプリ内で操作をしたり図を描いたりコードを入力したりすることができる。デザインの共同制作、ペアプログラミング、コードレビュー、共同でのデバッグなどが簡単にできるほか、先生から生徒への指導にも使える。

Jahanzeb Sherwani(ジャハンゼブ・シェルバニ)氏はかつて画面共有ツールのScreenheroをSlackに売却したが、十分に使える形でSlackアプリに組み込まれることはなかった。それから5年経った米国時間3月24日、同氏はScreenを急きょ、無料で公開した。新型コロナウイルスの影響で仕事が滞っている人々を支援するためだ。

シェルバニ氏によれば、Screenは「ほかの画面共有ツールのエンド・ツー・エンドのレイテンシーが100ms~150msであるのに対し、Screenは30ms~50msで、2~5倍高速だ」という。Screenには驚くほど幅広い機能があり、どれもきびきびと動き直観的に使える。Screenを作っているのはわずか2人のチームだ。シェルバニ氏は「資金提供を受けずに、100%自分たちだけでやってきた。これからもそうしていきたい」と語る。だから、投資家からエグジットを迫られることなく、自分の行き先を決められるわけだ。

Screenには、以下のような機能がある。

  • 小さいウインドウでオーディオ通話やビデオ通話をしながら、Mac、Windows、Linusのデスクトップから画面を共有する。あるいは、通話に参加しながらブラウザまたはモバイルから画面を見る
  • 自分のカーソルを使ってほかの人が共有している画面を操作し、自分のコンピュータを操作するのと同様にほかの人のコンピュータを操作したり入力したりする
  • 共有された画面上に線などを描いて「綴りが違う」とか「これをこっちに移動して」などと注釈をつけられる。描いたものは数秒後に消えるが、マウスのボタンを押したままにするか、Caps lockキーを押した状態にしている間は消えない
  • 自動ですぐに消えるテキストでコメントを投稿できるので、声を出せない場所にいても共同作業ができる
  • SlackからScreenのミーティングを起動したり、ミーティングのスケジュールをGoogleカレンダーと統合したりすることができる
  • ログインする必要がない人や社内の人に招待用のリンクを共有できる。ほかの人があなたの画面を操作できるので注意が必要

Screenを使う場合、通常、ミーティングへの参加は無料で、ミーティングを主催する場合には1カ月10ドル(約1100円)、エンタープライズでは1人あたり1カ月20ドル(約2200円)の費用がかかる。しかし現在は、シェルバニ氏によれば「新型コロナウイルスが流行していても、健康と生産性を維持してほしい」として、ミーティングの主催も無料だ。ただし「有料ユーザーが我々のランニングコストをまかなえる程度の数になるだろうという期待を持って実験している」(シェルバニ氏)とのことなので、利用料金を支払える状況にあるなら支払いをしよう。

ScreenはZoomなどビデオ通話大手の買収のターゲットになるかもしれないが、シェルバニ氏は今回は売却したくない模様だ。2013年に立ち上げたScreenheroは、その当時としてはきわめてパワフルで、現在のScreenにあるツールの一部はすでに実現されていた。しかしScreenheroは180万ドル(約2億円)を調達した後でSlackに買収されたものの、その後、その性能を活かした統合とはならなかった

シェルバニ氏は「買収から3年近く経ってようやくインタラクティブな画面共有が公開されたが、Screenheroのように高性能なものではなく、結局2019年には削除されてしまった。Slackユーザーのごく一部にしか使われず、高額な維持費がかかるため、Slackとしては妥当な判断だった」と述べる。そしてScreenのように独立して運営される企業の利点を、同氏はこのように説明する。「複雑なソフトウェアを別のソフトウェアに組み込もうとすると、多くの制限があり、費用がかかる。1つだけで便利に使えるスタンドアロンのアプリケーションにする方がはるかに容易だ」。

確かにScreenには、多くの便利な機能がある。筆者は妻と一緒に試してみたが、レイテンシーは少なく柔軟で、この記事を楽しく共同制作することができた。もし若者がScreenを手に入れたら、ソーシャルな使い方がたくさん出てくるであろうことは想像に難くない。画面共有という概念は、Squadなどのアプリや、インスタグラムが米国時間3月24日に公開したCo-Watchingという新機能などで、広く知られつつある。

インスタグラムのCo-Watching機能は画面共有に似ている

Screenは、将来的にはバーチャルオフィス機能を公開して同僚とすぐにミーティングができるようにしたいと考えている。これが実現すれば、いつでも会話を始めることができ、同じ室内で仕事をしている感覚になるかもしれない。Screenは、マネージャーがしゃべるトップダウンのブロードキャストのようなミーティングを、誰もが発言できるジャムセッションに変えることで、リモートワークの風景を民主化することになるかもしれない。

シェルバニ氏は「一緒に働くときは、みんなが席についていることが必要だ」と結論づけている。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

ビデオ会議への不快なビデオ共有「ZoomBombing」にご注意を

安全に他者とのつながりを感じようと、多くの人たちがZoomのビデオ通話を利用している中、世界は新しいタイプのトローリング(荒らし)に悩まされている。どうしようもない嫌な連中が、Zoomの画面共有機能を使って、暴力的なものから衝撃的なポルノまで含む、最低の動画をインターネットから投入して、他の参加者をうんざりさせているのだ。

例えばこれは米国時間3月17日のWFH Happy Hourで起こったことである。WFH Happy Hourとは、VergeのレポーターであるCasey Newton(ケーシー・ニュートン)氏と、投資家のHunter Walk(ハンター・ウォーク)氏が主催する人気の公開Zoom会議だ。突然、数十人の参加者たちが不穏な画像で攻撃されたのだ。荒らしが通話に登場してとんでもない性的ビデオをスクリーンで共有したのだ。攻撃をブロックしようとしても、加害者はただ新しい名前に変更するだけで通話に再参加し、よりうんざりさせる画像を投入してくるため、なかなか防ぐことができなかった。会議ホストは、攻撃者を撃退できるまで視聴者を攻撃に晒しておくことを良しとせず、会議を打ち切った。

こうした参加者たちの顔に恐怖にひきつった表情が浮かんでいるところを想像してみて欲しい。それが実際に起きたことだ。

問題は、Zoomの採用している「会議ホストは、他の参加者が自身の画面を共有する許可をいちいち与える必要はない」というポリシーに起因していることだ。とはいえ会議ホストは、自身の設定または会議の管理メニューの中で、このオプションを無効にすることができる。この設定は会議前に設定から変えておくか、通話中の管理設定の中の「画面を共有」→「高度な共有オプション」で変更することができる。

たとえばTwitter上などに、荒らしによって発見される可能性のあるZoomリンクを一般公開で共有している場合は、通話が始まる前に画面共有を「ホストのみ」に変更しておこう。もしくは画面共有が悪用されているのを察知したらすぐに設定を切り替えよう。起業家であるAlex Miller(アレックス・ミラー)氏は、以下のようなZoom通話保護の方法も挙げている。

  1. 会議ホストがミーティングに入る前にトラブルが起きないように「ホストの前の参加」を無効にする。
  2. モデレートを助けてもらうために他の人を割り当てることができるように「共同ホスト」を有効にする。
  3. デジタルウイルスが共有されないように「ファイル送信」を無効にする。
  4. 「取り除かれた参加者を再度参加させることを許可」を無効にして、追い出された参加者が元に戻れないようにする

「参加者のみなさまにお詫びしたいです。そして初めて#WFHappyHourに参加してくれた両親のジムとサリーにも。今日、私たちはみんな画面共有を無効化することの重要性を学び、コンテンツの適切なモデレーションの重要性を改めて認識しました」とニュートン氏は私に語った。何か攻撃の証拠写真を持っているかと尋ねたところ、彼は「(爆笑)スクリーンショットは撮っていない! ただ叫んでいただけだ!」と返信してきた。

これは、今回のコロナウイルス時代に、私たちが経験している数多くの新しい攻撃事案の1つに過ぎない。健康チェックを提供するというフィッシング攻撃、自宅隔離中に支払いを行わなければ電気が止まると脅かす詐欺、そして偽のCOVID-19テストキット販売など攻撃手段は様々だ。金のために悲劇を悪用しようとする輩や、単に世界が炎上するのを見たいだけの奴らは常に存在する。警戒を続け、即座に「ブロック」ボタンを押せるようにしておくことがこれまで以上に大切になっている。

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(翻訳:sako)