グーグルがホームセキュリティ製品「Nest」カメラとドアベルを刷新、日本でも発売

Google(グーグル)は米国時間8月5日、そのホームセキュリティ製品に、最近の記憶の中では最も大きな刷新を行った。「Nest(ネスト)」シリーズのドアベルとカメラがアップデートされ、そのうちのいくつかは日本でも販売されることになった。

今回発表された製品は、数え方にもよるが最大で4モデル。その内訳は「Google Nest Cam(屋内用 / 電源アダプター式)」「Google Nest Cam(屋内、屋外対応 / バッテリー式)」「Google Nest Doorbell」「Google Nest Cam with floodlight」となっている。

画像クレジット:Google

Nest Camは、まるでPixar(ピクサー)映画から飛び出してきたようなデザインが特徴だ。ベーシックなGoogle Nest Camは、第2世代の有線(電源アダプター式)デバイスで、屋内での使用のみを想定している。価格は99.99ドル(日本価格は税込1万2300円)。一方、179.99ドル(日本価格は税込2万3900円)のモデルはバッテリー内蔵で防水性能も強化されており、屋内でも屋外でも使用可能となっている。

Googleによると、1日に平均9〜12件の「イベント」が記録される家庭を想定した場合、バッテリーは1回の充電で約3カ月間持続するという。この数字は、通常の日にあなたの家でどれだけの動きがあるかによって、当然ながらかなり変動する。AI(人工知能) / ML(機械学習)は、設定によって人や動物の動き、荷物の配達などをトリガーにし、特定の活動を記録するように訓練されている。

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「MLを使って物体を認識するカメラを作るためには、まずMLモデルに何百万枚もの画像を見せる必要があります」と、Googleはブログに書いている。「私たちの新しいNestカメラとドアベルは、さまざまな環境や照明条件に対応するため、4000万枚の画像で訓練されました。最先端のTPUチップのおかげで、新しいカメラは1秒間に最大7.5回のMLモデルを実行し、信頼性と精度がさらに向上しました」。

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個人的にはGoogle Nest Doorbellの新しい流線型のデザインがとても気に入っている。このドアベルはバッテリー駆動なので、面倒な配線工事は不要で設置することができる。また、チャイムに配線をつながなくても、Nestスピーカーやスマートディスプレイなど、Wi-Fiで接続されたGoogleデバイスで、来客を知らせるように設定することができる。米国では販売が継続される有線式の「Nest Hello」とは異なり、Nest Doorbellはバッテリーの制約から連続録画はできない。バッテリーは平均して約3カ月間の使用が可能だ。価格は179.99ドル(日本価格は税込2万3900円)。

新しいNestデバイスは世界18カ国で予約が開始されており、米国では8月24日に発売される。日本ではGoogle Nest Cam(屋内、屋外対応 / バッテリー式)とGoogle Nest Doorbellが8月26日、Google Nest Cam(屋内用 / 電源アダプター式)は数カ月以内に発売予定となっている。なお、米国では屋外用カメラに外玄関灯を一体化したGoogle Nest Cam with floodlightも販売されるが、日本には導入予定がない。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:GoogleGoogle Nest防犯カメラスマートホーム

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

監視カメラやAIビジョンシステムを合成人間のデータで訓練する英MindtechがIn-Q-Telなどから3.6億円調達

誰のプライバシーも侵害されず、巨大なデータベースに顔がスキャンされることもなく、プライバシー法が破られることもない世界があったとしたら?そんな世界がすぐそこまで来ている。企業は単に現実世界の監視カメラ(CCTV)映像を捨て、潜在的なシナリオを100万回以上演じる合成人間に切り替えることができるのではないだろうか?それが、有力な投資家から資金を集めている、英国の新しいスタートアップが示す魅惑的な展望だ。

英国に拠点を置くMindtech Global(マインドテック・グローバル)は、エンド・ツー・エンド合成データ作成プラットフォームを開発した。簡単にいえば、店内での人の行動や、道路を横断する様子など、視覚的なシナリオを想像できるシステムだ。このデータは、大手小売企業、倉庫業者、ヘルスケア、輸送システム、ロボット工学などの顧客向けに、AIベースのコンピュータービジョンシステムを訓練するために使用される。文字通り、合成世界の中で「合成」CCTVカメラを訓練するわけだ。

このたび同社は、英国の地域投資家である国家生産力投資基金(NPIF、National Productivity Investment Fund、Mercia Equity Finance)がリードし、Deeptech LabsIn-Q-Telが参加した325万ドル(約3億6000万円)のアーリーステージ資金調達ラウンドを終了したと発表した。

この最後の出資者は重要だ。In-Q-Telは、米国の諜報活動を支援するスタートアップに投資しており、(ペンタゴンのある)バージニア州アーリントンに拠点を置いている。

MindtechのChameleonプラットフォームは、コンピューターが人間同士のやり取りを理解し、予測できるように設計されている。周知のように、現在、AIビジョンシステムを学習させるためには、企業がCCTVの映像などのデータを調達する必要がある。このプロセスにはプライバシーの問題がともない、コストと時間がかかる。Mindtechによると、Chameleonはこの問題を解決し、顧客は「フォトリアリスティックなスマート3Dモデルを使って、無限のシーンやシナリオをすばやく構築することができる」という。

さらに、これらの合成人間は、AIビジョンシステムのトレーニングに利用でき、人間のダイバーシティやバイアスからくる人的要因を取り除くことができるとのこと。

MindtechのCEOスティーブ・ハリス氏(画像クレジット:Mindtech)

MindtechのCEOであるSteve Harris(スティーブ・ハリス)氏は次のように述べている。「機械学習チームは、トレーニングデータの調達、クリーニング、整理に最大80%の時間を費やしています。当社のChameleonプラットフォームはAIトレーニングの課題を解決し、業界はAIネットワークイノベーションのようなより価値の高いタスクに集中できるようになります。今回のラウンドにより、当社の成長を加速させることができ、人間同士や周囲の世界との関わり方をよりよく理解する新世代のAIソリューションを実現することができます」。

では、それによって何ができるのだろうか?次のような場合を考えてみよう。ショッピングモールで、子供が親の手を放して迷子になったとする。Mindtechのシナリオの中で動いている合成CCTVは、それをリアルタイムで発見してスタッフに警告する方法を何千回も訓練されている。別の例では、配達ロボットが路上で遊んでいる子供に出会い、どうすれば子供を避けることができるかを学習する。最後の例として、プラットフォーム上で乗客がレールに近づきすぎて異常な行動をしている場合、CCTVは自動的にそれを発見して助けを呼ぶように訓練されている。

In-Q-Telのマネージングディレクター(ロンドン)であるNat Puffer(ナット・パッファー)氏は次のようにコメントしている。「Mindtechは、Chameleonプラットフォームの成熟度と、グローバルな顧客からの商業的牽引力に感銘を受けました。このプラットフォームが多様な市場で多くのアプリケーションを提供し、よりスマートで直感的なAIシステムの開発における重要な障害を取り除くことができることに期待しています」。

Deeptech LabsのCEOであるMiles Kirby(マイルズ・カービー)氏は次のように述べた。「ディープテックの成功のための触媒として、当社の投資およびアクセラレータプログラムは、斬新なソリューションを持ち、世界を変えるような企業を作る意欲のある野心的なチームを支援しています。Mindtechの経験豊富なチームはAIシステムのトレーニング方法を変革するという使命感を持っており、我々は彼らの旅をサポートできることを嬉しく思います」。

もちろん、スーパーでの万引きを発見したり、過酷な労働環境にある倉庫作業員を最適化したりするような、よりダークな用途への応用も考えられる。しかし理論的には、Mindtechの顧客はこのプラットフォームを利用して、中間管理職のバイアスを排除し、顧客によりよいサービスを提供することができる。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Mindtech Global資金調達イギリスプライバシーコンピュータービジョン監視カメラ

画像クレジット:Mindtech’s Chameleon platform/Mindtech

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

高精度かつ安価に踏切遮断中の異常検知、オプテージの「踏切AI監視カメラソリューション」を山陽電気鉄道が本格導入

  1. 高精度かつ安価に踏切遮断中の異常検知、オプテージの「踏切AI監視カメラソリューション」を山陽電気鉄道が本格導入

格安スマホ「mineo」などの通信事業を展開するオプテージは6月30日、遠隔監視とAI画像解析技術による「踏切AI監視カメラソリューション」が、山陽電気鉄道、山電情報センターに本格採用されたことを発表した。

このシステムは、従来のレーザーレーダー方式の障害物検知装置と機能面での遜色がなく、既設の光センサー式障害物検知装置に増設することでそれ以上の性能が発揮でき、しかも安価に導入できるというもの。2020年8月から、山陽電気鉄道、同社内システムの管理運用を行う山電情報センター、最先端技術と企業とのマッチングを行うK4 Digitalと実証実験を行ってきたが、その結果、既存の保安装置を組み込んで、運転士や運転司令室に警報を出すなどの統合的運用、歩行者以外にも車椅子やベビーカーに付き添う人の高精度な検知、交通量の多い踏切での適切な動作、誤動作の大幅な低減などが確認できた。またこれには「検知した異常を回避する仕組み」も採り入れられている。山陽電気鉄道によると、AI画像解析技術による人検知と信号保安装置を連動させたシステムの実運用は国内初とのこと。

今後は、交通量調査、駅のホームでの事故防止、支援が必要な人を見つけるといった応用を検討してゆくという。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:オプテージ(企業)監視カメラ / CCTV(用語)画像解析(用語)山陽電気鉄道(企業)日本(国・地域)