Elevate Labsの瞑想アプリBalanceは人間のコーチより効果的?

すでに瞑想関連のスタートアップに多額の小切手を書いている投資家は多い。しかし、メンタルフィットネスのスタートアップElevate Labs(エレベートラボ)の創立者兼CEOのJesse Pickard(ジェシー・ピカード)氏によれば、既存の瞑想アプリは、人間のコーチの指導による体験に取って代わることのできるようなものはないという。

「あなたが誰かと出会うという体験は、世に出回っているどんなデジタル製品よりはるかに優れているのです」とピカード氏は言う。「問題は、地球上の99%の人にとって、それが手軽な出費ではないことです」。

そこでElevate Labsは米国時間の9月4日、Balanceという新しいモバイルアプリをリリースした。人間の瞑想コーチとの作業体験を再現するように設計されたものだ。

「瞑想は、だんだんと一般的なものになってきてはいますが、それを習慣として続けるのには、なかなか難しいものがあります」と、ピカード氏は説明する。「私たちのアプリは、その優柔不断な状態を取り除き、ユーザーごとに違ったやり方を示します。人々の生活は、それぞれあらゆる面で異なっています。ストレスを気にかけている人、睡眠が気になる人、集中力を身に付けたいと思っている人など、さまざまです。しかし、そういった違う目的を持った人も、他のメジャーなアプリでは、まったく同じように扱われてしまうのです」。

Balanceの場合、あらかじめ用意されたコンテンツから、単にどれかを選ぶわけではない。その代わり、アプリがユーザーに、目標とするところ、これまでの瞑想体験などについて尋ねることから始める。その後、よく見る感じの初歩的な瞑想がいくつか示される。しかし、ピカード氏によれば、それぞれの瞑想は、実際には「数十種ものクリップを組み合わせたもので、各ユーザー向けにパーソナライズしています」という。

たとえば、私はすでに瞑想の経験があり、最も優先順位の高い目標は、集中力を養うことだと、アプリに告げてみた。すると、私に示された最初の瞑想は、初歩的な説明がほとんど省略され、主なエクササイズは、自分自身の呼吸の音に集中できるようにするというものだった。

またピカード氏によると、このアプリは後になっても、ユーザーの体験について質問し続けるため、さらにパーソナライズが進んだものとなるという。瞑想のナレーションは、コンテンツの作成にも参加しているコーチのLeah Santa Cruz(リア・サンタ・クルツ)氏が吹き込んだもの。Balanceのチームには、他にも瞑想の専門家が加わっている。

アプリは、最初の10日間のコースは無料で使える。その後、続きの瞑想にアクセスするには、月額11.99ドル(約1280円)、年払いなら49.99ドル(約5330円)、生涯有効なサブスクリプションなら199.99ドル(約2万1320円)を支払う必要がある。Balanceには、瞑想に加えて、睡眠を補助するように設計されたガイド付きアクティビティも含まれている。

新しいアプリのリリースだけでなく、Elevate Labsは、Keesing Media Groupが率いるシリーズBの資金、710万ドル(約7億5700万円)を調達したことも発表した。この出資には、Oakhouse Partnersも参加している。

Elevate Labsは、以前はMindSnacksという名前で活動し、言語学習ゲームを開発していた。これは、いわゆる脳トレアプリで、おそらく2500万回ほどダウンロードされ、2014年には、Apple(アップル)のApp of the Year Awardを受賞している。実はピカード氏と私は、Craigslistの不思議な引合せによって、私がTechCrunchの仕事を始めてから、ほぼ1年間ルームメイトだった。同氏によれば、ユーザーの心の状態を改善するとして販売されている他のほとんどのアプリとは異なり、Elevateは読むこと、書くこと、数学といった訓練可能なスキルにも注力しているという。それは、たとえば、単に記憶力を増進するというようなものではない。

「私たちは、訓練することができないようなスキルに深入りしないよう、細心の注意を払っています。たとえば、集中力の持続時間のようなものは、教えることができると証明されてはいないのです」と、彼は言う。

同社が、外部から資金を調達してから、何年かが経過している。MindSnacksが、SequoiaからのシリーズAの資金調達を発表してから7年が経った。ピカード氏によると、同社は2015年に別のブリッジラウンドを調達したので、「数年間は仕事に打ち込んで、実際に持続可能なビジネスを、どうしても構築する必要があった」のだという。

どうやら、その努力は報われたようだ。彼は、Elevate Labsの昨年のキャッシュフローは黒字だったと明かした。これまでに受けた資金提供は、合計で1710万ドル(約18億2300万円)に達する。現状の計画は、Elevate Labsの成長を確かなものとし、Balanceを立ち上げるだけでなく、関連する他のさまざまなアプリの開発にも注力すること。

「メンタルフィットネスに関しては、構築すべき非常に大きなブランドがあると考えています」と、ピカード氏は締めくくった。

画像クレジット:Elevate Labs

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(翻訳:Fumihiko Shibata)