パンデミック下で成長する多種多様なフェムテック企業、従業員への福利厚生としても注目が集まる

女性の健康とウェルネスを支える技術「フェムテック」。McKinsey & Companyによると、2021年のフェムテック領域の資金調達総額は、25億ドル(約2830億円)に到達し、過去最高を記録した。

The dawn of the FemTech revolutio Published by McKinsey & Company(2022/2/14)


女性の健康とウェルネスに特化したVCであるCoyote Venturesと、フェムテック領域の情報配信やスタートアップサポートを行うNPO団体であるFemtech Focusの予測によれば、フェムテック市場は2027年までに1兆1860億ドル(約138兆円)の市場規模にまで成長するという。

そんなフェムテック業界だが、その注目領域も変化している。Crunchbaseによると、過去5年間は妊娠と子育てがVCの資金調達の最大のシェアを占めていたが、2021年に最も投資を集めたのは、プライマリ・ケアや予防医療領域だった。不妊や更年期など、困った時に頼るフェムテックから、すべての女性が常に自分の健康を守るために必要不可欠な技術になりつつあることがわかる。

欧米での盛り上がりを受け、日本でも注目が集まる領域だが、今回は、パンデミック後も続くと予測されるフェムテック業界のトレンドと注目領域について解説する。

新型コロナの影響で広まった手軽にできる自宅検査・治療

パンデミックによって、病院に行きづらくなったことを受け、遠隔医療や自宅検査キットが注目を集めた。これまで当たり前に診察や検査のために病院に行っていた人々が、パンデミックによって自宅でもできるという便利さを経験した。安全に病院に行けるようになっても、人々がこの便利さを捨てるとは考えにくい。実際に、2021年のMcKinsey & Companyの調査によると、調査対象の消費者の約40%が、今後も遠隔医療を利用すると回答しており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)以前の遠隔医療利用者の11%から上昇している。

膣内マイクロバイオーム検査キットEvvy

Evvyは、膣内のマイクロバイオームの状態を分析し、健康状態の把握とライフスタイル改善アドバイスなどを提供する。General Catalyst、Box Groupなどから500万ドル(約5億7000万円)を調達している。

筆者も2021年末実際に試してみた。下記のように、検査キットが送られてくる。採取は簡単で、インストラクションを見ながら3分程度で終わった。

画像クレジット:Evvy

箱には「The female body shouldn’t be a medical mystery(女性の身体は、医療で解明できないミステリーであるべきではない)」と記されており、現状研究段階ではあるものの、マイクロバイオーム分析を通して女性の不調を改善したいという気概が感じられた。

次に、オンラインで質問に回答する。生理サイクル、健康の悩み、感染症歴や今回の検査で知りたいことなどを回答する。10分ほどの割と長い質問票だった。


​​採取したサンプルを送付すると、2週間ほどで結果がメールで送られてくる。結果を解説してくれるマイクロバイオーム専門家とのビデオコールも追加コストなしでリクエストできる。ビデオコールでは、自分の悩みを伝え、結果を見ながら改善方法などを教えてくれた。結果を見てもどのように実生活に活用すれば良いのか、わかりにくかったので、マイクロバイオーム初心者の筆者からするとありがたかった。

ユーザーは、3カ月ごとの定期検査のサブスクリプションモデルと1回のみの検査キット購入が選べる。定期的に検査することで、自分の健康状態を見てみたかったので、筆者はサブスクリプションを選択した。

細菌性腟症などの感染症は、一度なると再発しやすい。実際、一部のユーザーは、膣内感染症の再発を防ぐためのヒントを求めてEvvyにたどり着く。また、早産、不妊の可能性や予防法をマイクロバイオームから知りたいというユーザーもいる。

筆者が最も注目しているのは、同社のビジョンだ。まだ研究段階のマイクロバイオームだが、同社は今後、膣内マイクロバイオームと不妊、子宮頸がん、早産などとの関連を調査し解明するというビジョンを持っている。マイクロバイオームから自分の身体の状態を把握するという未来がくるのかもしれない。

カップルの唾液から遺伝疾患リスクを解明する出生前唾液検査キット

画像クレジット:Orchid ウェブサイトより

Orchidは、パートナー両方の唾液サンプルを送付するだけで60億ものゲノムを解析し、子どもが遺伝性疾患を発症するリスクが高いかどうかを判定する唾液検査キットを提供している。2021年4月、シードラウンドで450万ドル(約5億3000万円)を調達。遺伝子キットを開発、販売する23 and Meの創業者も出資​​している。

対象となる遺伝性疾患は、乳がん・前立腺がん・心臓病・心房細動・脳卒中・1型糖尿病・2型糖尿病・炎症性腸疾患・統合失調症・アルツハイマー病の10種類。唾液を送ると、カップル向け、女性・男性の各パートナー向けの3種類のレポートが送付される。

子どもを作る前に、遺伝リスクを検査するというアプローチをとる同社。心配な結果が出たとしても、遺伝カウンセラーと、リスクを最小限に抑える方法などを相談できる。

2020年にシリーズDラウンドで1億2100万ドル(約143億円)の大型調達を発表したSema4も、出生前検査・遺伝性がん検査を手がける企業だ。同社は、2020年フェムテック領域の中で最大額を調達した企業だった。

テレヘルスユニコーンRoが買収、精子分析・保存キット

画像クレジット:Ro

フェムテックではないが、精子を自宅で採取し、分析結果を送ってくれるサービスを提供するDadiを紹介する。同社は、2022年3月にテレヘルスユニコーンのRoに買収されている。米国の国保健社会福祉省によると、不妊症の約3分の1は男性の不妊症に関連しているため、精液の分析と保存は重要な不妊治療サービスだ。自宅で精子を採取した後、採取キットと保存カプセルの両方が、温度変化や提携ラボへの輸送中の障害などから精子を保護・保存するように設計されている。サンプルの分析が完了すると、精子の数、濃度、運動性の評価を含む個人別の報告書が送付される。また、採取した精子は提携ラボで冷凍保存される。

Roは、コアビジネスである勃起不全治療テレヘルスプラットフォームから、テレヘルス全体へ事業拡大を進めるため、過去12カ月に3社(Workpath, Kit, Modern Fertility)を買収している。

成功の鍵は、丁寧なインストラクションと行動に落とし込める分析結果表示

ここまで自宅検査のスタートアップを解説してきた。筆者自身、自宅検査を複数試して感じたのは、自宅検査ビジネスをグロースさせる上で重要なのは「わかりやすい検査のインストラクション」と「ユーザーが行動に落とし込める分析結果を提示する」という点だ。家庭で正しく検査するためには、動画や簡単なイラストなどで、わかりやすいインストラクションが必要だ。

また、検査を受けて良かったと感じてもらうためには、明日からできる行動の変化を促す分析結果を提示することが重要だろう。自分の状態を把握するだけでは、一度きりの購入で終わってしまう。消費者は「xxのサプリを毎日飲む」「○○の栄養素を避ける」「有酸素運動を30分する」など改善のための方法を知りたいのだ。

この満足感が、安定的な収益を達成するためのサブスク顧客獲得に繋がる。現状、専門カウンセラーとのビデオコールを提供し、テスト結果を解説することでこの部分を補う企業が出てきている。専門家たちは、医学的・生物学的な専門知識がない一般消費者をガイドする役割を担っている。ここでの問題点は、スケールだ。ユーザー数が増えるごとに、専門家の数を増やさなければいけない状況では、スケールは難しい。技術を活用し、ある程度自動化をしながら満足度も担保するようなサービスが、今後伸びていくと考える。

人材獲得戦争時代、さらに重要視される企業の充実した福利厚生

米国では現在、労働者が大量に仕事を辞めている。この現象は、大規模離職を意味する「グレイト・レジグネーション(大退職時代)」と呼ばれ、メディアで頻繁に報道されている。​​Fortuneが2000人以上の米国人労働者を対象に行った調査によると、80%が新しい仕事に就くことを考える際に柔軟なスケジュールが重要であると回答している。また、約70%の労働者がリモートワークの選択肢を重要視している。優秀な人材プールを惹きつけるためには、働きやすい環境を作ることが必須だ。そのため、企業は、福利厚生にこれまで以上に投資している。

パンデミックで完全リモートを経験した労働者たちは、今後も働きやすさを求めている。この流れは、B to B to E(Employee)モデルと呼ばれるかたちで、企業向けに福利厚生としてのソリューションを提供するフェムテック企業にとって追い風となる。

働く親のための福利厚生プラットフォーム​​

画像クレジット:Cleoウェブサイトより

従業員は、Cleoを通して、育休からの復職時に悩みを相談できる専門家や、子どもの健康の専門家、助産師や産後うつ専門家などにアクセスできる。同社は、Pinterest、Uber、Upwork、Salesforceなどを含む、55カ国以上の100社を超える多様な企業に導入されている。​​実際、産休・育休後の復職率は、全米での平均が60%であるのに対し、Cleo会員は92%と改善している。

妊娠・出産のサポートから始まった同社のサービスだが、現在は、5歳から12歳の子どもを対象とするCleo Kids、ティーンエイジャーの子どもを対象とするCleo Teensにも拡大している。

多様なニーズに応える福利厚生の変化

画像クレジット:Carrot Fertilityウェブサイトより

これまで対面での不妊治療を中心に提供してきた福利厚生プロバイダーも、パンデミックを受け、そのサービス提供内容と方法をユーザーの求める形に変化させている。

企業の従業員向けに不妊治療を提供するCarrot Fertilityは、SlackやBox groupなど北米、アジア、ヨーロッパ、南米、中東の50カ国以上で、約200社の企業​​を顧客に抱える。これまで約135億円($115M)を調達している。同社は、パンデミックで通院を避けたい患者のニーズを受け、2020年8月に遠隔医療プラットフォームのCarrot at Homeを開始した。また、2021年12月には、自宅で排卵誘発ホルモンや関連バイオマーカーをモニタリングできる自宅検査キットの提供も開始している。2022年2月には、更年期障害向けのプランも追加した。

従業員それぞれのニーズが異なる点に注目し、福利厚生をパーソナライズできるプラットフォームも登場してきている。

画像クレジット:Nayyaウェブサイトより

2022年2月にシリーズCラウンドで5500万ドル(約64億円)を調達したNayyaは、企業の人事福利厚生システムに組み込んで、従業員のための福利厚生をパーソナライズするツールを提供している。

RPAを使って、従業員がプランをより良く選択し、節約する方法を見つけ、より良い支払いオプションを提供し、保険などの福利厚生を総合的にナビゲートできるようにしている。

画像クレジット:Forma

Formaは、​​裁量型福利厚生管理プラットフォームを提供している。同社も2022年2月、シリーズBラウンドで4000万ドル(約47億50000万円)を調達した。同社は、人事担当者が、従業員による福利厚生ベンダーの選定、払い戻し手続き、デジタルウォレットによるプラン利用をチェックできるようなシステムを構築している。

同社によると、企業の福利厚生は通常、企業が従業員に必要なものを決定するトップダウン・モデルで展開されており、これは雇用者と従業員の双方にとって非効率的だという。Formaの使命は、従業員ファーストの福利厚生プログラムを設計することによって、この関係を逆転させることだ。

Formaはプロバイダーと提携し、家族・人間関係、教育・キャリア、ウェルビーイング・ライフスタイル、基礎健康・保護、資産運用、仕事・パフォーマンスの6つの大きなカテゴリーで福利厚生を提供する。Formaの顧客は、社内の予算と戦略に基づいて、これらのカテゴリーから提供するものを選び、従業員に提供したい福利厚生プログラムを設計することができる。

Twitch、Stripe、Zoom、Lululemon、Palo Alto Networks、Squareなど、前年比330%の125社を顧客に抱えており、定着率は99%だという。この1年間で同社は収益を4倍に増やした。

優秀な人材を惹きつけ、繋ぎ止めるために、今後も企業の従業員への投資は、続いていくだろう。​​上記のパーソナライズ福利厚生が成功していることからも、従業員それぞれニーズが異なっており、企業がそのニーズに応えようとしている姿勢が感じられる。

編集部中:本稿の執筆者は大嶋紗季(Saki Oshima)。日本企業と海外スタートアップの新規事業創出を手がけるスクラムスタジオで、大企業とスタートアップのオープンイノベーションを支援するスタジオ事業部門に所属し、既存プログラムの運営や新規プログラムの立ち上げに従事する。各プログラムで培った日本企業とスタートアップをつなぐ経験を生かし、米国スタートアップ情報プラットフォームScrum Connect Onlineの立ち上げ、運営を担当する。欧米のフェムテックトレンドやサービスを日本語で配信。日本初のフェムテックコミュニティFemtech Community Japan創立メンバー。UCサンディエゴ大学院修了(MBA)。

 

企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビのAillがJR西日本グループと連携、新しい出会いを創出する「食レポイベント」実証実験

企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビアプリ「Aill goen」(エール ゴエン)を提供するAill(エール)は3月8日、JR西日本イノベーションズジェイアール西日本ホテルズ、ルクア大阪などを展開するJR西日本SC開発と連携し、AIによるデート提案「食事レポートイベント」(食レポイベント)の実証実験を3月9日より開始すると発表した。

実験では、Aill goen対象者のうち、恋愛相手を求める二者のデートにふさわしいタイミングで、Aillの独自AIが食レポイベントの提案を行う。ここからデートに行くきっかけや、お互いを知るきっかけを作り、デート成功確率向上を目指す。イベントは、JR西日本グループの「ホテルグランヴィア京都」・「ホテルグランヴィア大阪」およびJR大阪駅直結の駅型商業施設「ルクア大阪」館内の対象レストランにて行う。

具体的にはは、まずAIがチャットで「お互いを知る」会話のアシストを行った後、デートに行きそうな2人にAIが食レポイベントを提案する。ユーザーは提携レストランからお店を決定し予約。食事後、2人で食レポを執筆しAill goenアプリに投稿する。そのお礼として、ユーザーにはお得なクーポン券がプレゼントされる。

「食レポイベント」概要

  • AIがチャットで「お互いを知る」会話のアシストを行う
  • デートに行きそうな2人に、AIが「食レポイベント」を提案
  • 「食レポイベント」提携レストランからお店を決定し、予約
  • レストランに来店
  • 2人で食レポを執筆・Aill goenアプリに投稿
  • 食レポ投稿のお礼として、お得なクーポン券をプレゼント

Aill goenは、企業が福利厚生サービスとして登録する、独身社員専用プラットフォーム。信用できる企業専用のコミュニティとなるため、安心・安全な出会いの機会を提供する。さらにAIナビゲーションアプリを通じて、社外の出会いからお付き合いまでをサポートする。現在の利用対象企業は851社。

Aill goenでは、今回行う実証実験で「相手を知ってから会う」を独自開発のコミュニケーションアシストAIによって増加させたうえ、食レポを一緒に執筆することでリアルでも自然とお互いを知るきっかけを創出するとしている。イベントを通すことでデートによる成功率・リピート率の向上を目指す。

【コラム】アクセシブルな雇用が「大量退職時代」の解決策となる

さまざまな業界で従業員が仕事を辞めている。最近では、米国で2021年に4人に1人が仕事を辞めたという調査がある。転職がコロナ禍の不安定な経済状況によるものか、仕事を取り巻く環境の見直しか、納得のいかない雇用主に対する反抗なのかなどが考えられるが、いずれにしても確かなことが1つある。米国では2021年11月時点で1000万以上の求人件数があるのだ。

求職者の中には障がい者も数多くいる。障がいのある労働者は新型コロナウイルスに関連する解雇の影響を不当に大きく受けたからだ。2020年3〜4月に、障がいのある労働者の数は20%減少した。多くの組織がすでにダイバーシティ、公平性、インクルージョンに対する取り組みを見直している中、採用担当者はアクセシビリティを「すべての人」を迎える職場づくりにとって重要な要素として認識する必要がある。

アクセシブルな採用活動は適切なことであり、ADA(Americans with Disabilities Act、障害を持つアメリカ人法)が求める要件だが、それだけではなく広範囲に及ぶ労働力不足を解消し、企業が優秀な多くの人材を集めることにもつながる。

しかし障がいのある応募者にアプローチする戦略を考える前に、それを邪魔する誤解をいくつか挙げておこう。

誤解:障がいのある人を雇おうとしたら、採用の基準を下げなくてはならない。

事実:障がいのある人が他の人より高いパフォーマンスを示すことは少なくない。しかも障がい者を雇用する企業では、インクルーシブなプロダクトを開発して新たな市場の獲得につながるイノベーションが進むため、結果として年間収益が28%多い。

誤解:障がいのある従業員は他の人に比べて欠勤が多い。

事実:障がい者の出勤率は他の従業員と変わらないか、むしろ高い。また、離職率も低い。離職率は2021年に生産性に大きな影響を与えた問題だ。

誤解:受け入れの配慮に費用がかかりすぎる。

事実:まず、配慮の56%には費用がまったくかからない。そして費用がかかる場合のうち50%は500ドル(約5万7000円)未満だ。さらに障がい者のインクルーシブな雇用からは利益の増加や株主還元も期待できるので、組織にとっては得るものばかりだ。

アクセシビリティの文化による好影響を組織が認識したら、次は障がいのある候補者の採用方法を考えることになる。採用方法の検討には、カリフォルニアに住む障がい者の権利向上に取り組むNPO法人、Disability Rights CaliforniaのLoule Gebremedhin(ルール・ゲブレメドヒン)氏とJennifer Stark(ジェニファー・スターク)氏によるガイドラインを利用するとよい。

第1段階:募集

組織内を客観的に見る

採用プロセスを始める前に、組織は内部をよく見る必要がある。現実を認識し、障がい者を戦力として雇用するだけではない。障がいのある従業員の専門性と経験を評価し、専門性の成長を支援する環境を作るということだ。

次の質問に対する答えを考えて、ゴールを明確にしよう。障がいに関する現在の自分たちの文化はどのようなものだろうか。成長と定着を受け入れる準備はできているだろうか。公平な雇用プロセスは自分たちの大きなゴールにどのようにつながるだろうか。

組織内では福利厚生も検討する必要がある。よく知られていることだが、候補者が入社を検討する際に充実した福利厚生が検討材料となることは多い。障がい者にとってその意味はさらに大きい。多くの場合、包括的な心身の医療保障制度が勤務先を選ぶ際に最も重視されるポイントだ。

リモートワークも重要な福利厚生だ。近年、我々は家で仕事をするメリットを目撃してきた。通勤にかかる時間や費用の減少、子育ての柔軟性、高い生産性などだ。障がいのある人にとっても同様で、さらに自分のニーズに合う仕事の環境を作れるメリットもある。例えば視覚障がい者は自分にとって最も見やすい部屋の明るさを決められる。

募集の準備を整える

次に、採用担当者は職務内容と応募書類を改訂して障がい者が応募しやすいようにする。「どのように」業務を遂行するかではなく、ゴールを達成するために必要な最終的なスキルを記述するように構成し直す。例えば「口頭での高いコミュニケーション能力」ではなく「効果的にコミュニケーションできる能力」とする。米国労働省の取り組みであるEmployer Assistance and Resource Network on Disability Inclusion(障がい者インクルージョンに関する雇用主向けサポートとリソースのネットワーク)が出しているガイドが、記述を改訂する際の参考になる。

障がい者にとって応募書類を見つけて記入することは極めて難しい。デジタル応募書類の多くはアクセシビリティの要件を満たしていないからだ。このままでは障がいのある応募者の数が少なくなってしまうだけでなく、組織にとってはADA違反という法的リスクとなりかねない。応募のプロセスに対応するアクセシブルなサイトやフォームを作る開発者向けのトレーニングとツールを活用するのが、コンプライアンスを維持しつつ対象となるすべての候補者が等しくアクセスできるようにするための手軽な方法だ。

第2段階:面接

前もって対応する

障がい者は対応を要請することに慣れている。しかし要請する必要がないとしたらどうだろうか。面接のプロセスであらかじめ求職者に対して配慮していれば、求職者にとってはその組織がアクセシビリティを重視していることの確認になる(そしてこれはADAの要件でもある)。

例えば対面での面接なら、車いす利用者が面接会場に問題なく到着できるかを考慮する。バーチャル面接なら、ミーティングのプラットフォームで最低でも自動キャプション機能を有効にできることを確認する。ライブキャプションや手話を利用できればなお良い。

採用責任者をトレーニングする

採用責任者の偏見が、障がい者雇用率の低さの根底にある。組織は障がいに関するエチケットと倫理の基本や、ADAに準拠した質問に関するトレーニングを実施することで、認知度を高め偏見をなくす上で積極的な役割を果たすことができる。採用チームに障がい者を含めることも、障がいに対する意識を高めることにつながる。

第3段階:オファー

障がいのある従業員を雇用する際には、組織は競争力があり候補者のニーズにも合うオファーを提示する段階を踏む必要がある。

  • 業界全体の同様の職務と同等の報酬であることを確認する:障がい者の報酬が不当に低いことはよくあり、最低賃金以下で障がい者が働くことを許す方針がいまだに残っていることを忘れないようにする。
  • 対応できるシステムを作る:採用予定者に対して、対応を要請できることを知らせる。また、その要請に応える方針を策定する。米国労働省が資金を提供し障がい者雇用のリソースとなっているJob Accommodation Networkは、どのように対応するかの知見を得るのに役立つ。
  • メンタリングと定着のプログラムを構築する:成長とリーダーシップを支援するために、専門のメンタリング、教育、ネットワーキングの機会を提供する。

この1年間で、組織は職場のダイバーシティ、公平性、インクルージョンに関して大きな進歩を遂げた。アクセシビリティはこうした考え方の一部であり、組織が包括的なゴールを達成するためのものととらえる必要がある。

適切な行動をとることからさらに進んで、障がいのある候補者を求め、その人が成功できる環境を提供する雇用プロセスを促進すれば、現在の人材不足を解消し、イノベーションを加速し、組織の文化を強くすることにつながる。

編集部注:本記事の筆者のMeagan Taylor(ミーガン・テイラー)氏はDeque Systemsのプロジェクトマネージャーで、ウェブを含め資本や機会に対する組織の障壁をなくすことに熱心に取り組んでいる。

画像クレジット:kyotokushige / Getty Images

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(文:Meagan Taylor、翻訳:Kaori Koyama)

780社以上が利用、企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビAill goenが全国版・九州版に続き関西エリアでもサービス開始

企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビAill goenが全国版・九州版に続き関西エリアでもサービス開始Aill(エール)は11月15日、企業の福利厚生サービスとして利用可能なAI縁結びナビゲーションアプリ「Aill goen」(旧Aill)の全国版九州版に加え、同日より関西版を開始することを発表した。これにより、これまでの関東、九州、東北に加えて対象地域が拡大する。

Aillは、ウェルビーイング(=心も身体も健康な状態)が浸透する社会を目指し、幸福度の高い「ワークライフシナジー」を実現する一助として、公的・私的承認が満たされる重要性に着目。公的承認は、仕事(ワーク)などの社会活動によって得られるものの、仕事をがんばることでプライベートの時間・出会いの機会が少なくなり、パートナーシップや家族との関り(ライフ)によって得られる私的承認が満たされにくいという状況が課題となっているという。

そこで同社は、勤務先企業を通じて審査を受けた安心・安全なユーザーが集まるコミュニティを形成し、AIが出会いとコミュニケーションに伴走することで、信頼をともに育むライフパートナーの縁結びを提供している。Aill goenにより、社外の良縁とAIのテクノロジーの力で先の課題を解決すると同時に、社員の幸福度向上をアシストするという。

Aill goenは、福利厚生サービスとしてAillと提携した企業の独身社員のみが利用可能。社員の「ワーク」だけでなく「ライフ」もサポートする福利厚生サービスとして、現在780社以上の企業に利用されている。Aill goenには、生活サイクルやキャリアプランを軸に価値観が近い相手をAIが探す「紹介ナビゲーション」、AIがチャットをアシストする「会話ナビゲーション」、相手の好感度をAIが可視化する「好感度ナビゲーション」の機能を搭載。無料のトライアルプランのほか、紹介人数とチャット人数が充実した有料のスタンダードプランが用意されている。企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビAill goenが全国版・九州版に続き関西エリアでもサービス開始

「AIでウェルビーイングな社会をつくる」をミッションに掲げるAillは、今回のサービス地域の拡大により、利用者のさらなる良縁サポートに貢献したいという。

 

従業員の福利厚生として学生ローンの返済に力を入れるGoodlyには追い風

写真はCEOのグレゴリー・プーリン氏(左)と、共同設立者でGoodlyのCTOであるヘマント・ヴァーマ(右)(画像クレジット:Goodly)

創業3年目のサンフランシスコに拠点を置くスタートアップGoodly(グッドリー)は、5人のチームと、2019年に確保した150万ドル(約1億7000万円)という限られた資金、最近では、長年人事を担当し、Airbnb(エアービーアンドビー)で従業員体験のグローバルヘッドを務めたBeth Axelrod(ベス・アクセルロッド)氏から得た非公開の資金で着実に事業を展開している。

企業が従業員の福利厚生として学生ローンの非課税返済を提供することをとにかく簡単にすることを目指している同スタートアップは、収益性が高い。同社は、保険会社のNFPや大手のWillis Towers Watson(ウィリス・タワーズ・ワトソン)など、数多くのブローカーと独占的な関係を築いている。しかし、企業がリモートワークや従業員のメンタルヘルスを維持することに必死になっていたパンデミックの間、同社の製品は必ずしも注目されてこなかった。

2022年が近づくにつれ、この状況が変わるかもしれない。それには2つの理由がある。1つは、2021年の統合歳出法に規定されているもので、従業員1人あたり年間最大5250ドル(約59万円)まで、学生の借金返済のために雇用者が拠出できるというものだ。会社からの拠出金は、雇用主にとっては税控除の対象となるが、従業員にとっては課税所得から除外されるため、企業にとっては拠出金を支給する金銭的なインセンティブがより大きくなるようだ。

2つ目に、何百万人もの学生ローンの借り手に対して20カ月以上にわたって一時的に学生ローンの支払いを猶予してきた学生ローン救済措置が1月31日に終了するため、2月からは連邦政府のローンの支払いが通常の(そして通常よりも厳しい)金利で再開されることになる。これは、しばらく棚上げにされていた問題が急に前面に出てくることを意味しており、競争の激しい雇用市場においては、企業は注意した方がいいかもしれない。

共同設立者でCTOのHemant Verma(ヘマント・ヴァーマ)氏とともに、Parker Conrad(パーカー・コンラッド)氏の会社Rippling(リッピング)の初期の従業員の一人であった、GoodlyのCEOであるGregory Poulin(グレゴリー・プーリン)氏は、彼らがさらに掘り下げることを決めた場合、説得力のある提案を持っている。今週初めにプーリン氏が私たちに語ってくれたように、5250ドル(約59万円)は大した額ではないように思えるかもしれないが、時間が経てば驚くほどの金額になる。

「私たちが担当している平均的な企業では、加入者1人あたり月に100ドル(約1万1300円)程度の拠出が最も一般的です」と1日あたりのコーヒー1杯分のコストに例えて語ってくれた。しかし、雇用者拠出金を学生ローンの元本に直接充当することで、問題となるローン期間中の複利の問題を解決することができる。

プーリン氏によると、一般的な返済期間は約10年だが、Goodlyは従業員のローン残高に応じて、その返済期間を3〜4年短縮することができるという。これは、我々が目にしているデータと完全に一致しているわけではなく、実際には返済期間は平均して20年近くになるが、Goodlyを利用することで1年でもローンの支払いを減らすことができれば、雇用主にとっては十分使える特典だ。

参考までに、このスタートアップの技術は非常に単純だ。Goodlyのユーザーにはそれぞれアカウントが与えられ、ダッシュボードで学生ローンを管理・追跡することができる。そこから従業員は、経済的な相談や、返済を最適化するための最良の戦略などのコンテンツにアクセスすることができるというものだ。

プーリン氏は、特に人気のある機能として、従業員が友人や家族を招待して、学生ローンのための寄付を行うことができることを挙げている。この機能は、クラウドファンディングと同様の機能で、親や祖父母が1回限りの寄付や定期的な寄付を行うことができるというものだ。「もちろん、その寄付者は、支払いが他のことに使われるのではなく、その学生ローンに向けられているという安心感を持つことができます」と彼は言う。

Goodlyは、2018年の立ち上げ直後にY Combinator(Yコンビネーター)を通過した。プーリン氏は、ダートマス大学在学中に実父が急死し、その後、8万ドル(約910万円)の学生ローンを借りなければならない状況に陥ったことが、この事業を立ち上げるきっかけになったという。

それから数年経った今でも、彼の支払いは月に900ドル(約10万円)以上になるそうだ。

残念ながら、ほかにも似た問題を抱える多くの仲間がいる。昨年の時点で、米国には4500万人の債務者がいて、その合計額は1兆6000億ドル(約182兆円)近くにのぼり、そのうちの多くの人にとって、学生ローンの返済は大きな負担となっている。「学生ローンを抱えている人は、多くの意味で二流の市民であるという二層構造の職場を作っているのです。なぜなら、30歳になると、学生ローンを抱えている人の退職金の額は、学生ローンを抱えていない人の半分程度になってしまうからです。」とプーリン氏は語る。これにより住宅購入や結婚、出産を遅らせる原因になっている。

Goodlyが展開を進め、2022年に学生ローンが再び注目を浴びるようになれば、より多くの企業がこの問題を認識し、従業員がこの悪循環を緩和できるよう、より多くの支援を行うようになると考えられる。

[原文へ]

(文:Connie Loizos、翻訳:Akihito Mizukoshi)

【コラム】社員を逃さないよう壁で取り囲むことはできない ──離職率を下げる方法を考えてみた

私は15年間テック企業のCEOをしてきたのだが、人々がさまざまな理由で当社に入社したり退職したりするのを見てきた。しかしこの4カ月の退職者数が過去2年間の退職者数の合計を上回る事態となり、我社は50人の社員のうち20%近くを失ってしまった。このため残った社員たちには大きな負担がかかっている。

こうした事態を引き起こしている原因はなにか?昨今の労働力不足で、今多くの優秀な労働者に前例のないチャンスが到来している。彼らは他社へ移ることでより高い給料を得ることができるのだ。全国的に見て労働力が3500万人目減りしたのだが、これは1970年代以来初めてのことだ。雇用される側は、近年の中で一番と言ってよいほど強気の交渉をすることができる。

大手企業は全国規模で在宅勤務の社員を探している。彼らは、小規模な市場を主戦場とする小規模企業が従来支払ってきた給与の20~30%増しの給料をオファーすることもある。

我社では、テック業界では常である人材の引き抜きを避けるため、社風の醸成に力をいれ社員に手厚い投資をしてきた。パンデミック前でさえ、2016年に立ち上げられた社員持ち株制度を通して社員たちは会社の40%を所有していた。しかしパンデミックの期間中、私たちは給与や福利厚生が適切なものになるよう継続的にこれを調整してきた。

我社の主だった取り組みの1つは、従来社員育成のために取り置いてあった資金を、社員の学生ローンの返済に当てられるようにしたことだ。社員は今までほどには人材育成講座を取らなくなっており、多額の人材育成費が未使用のままになっていた。パンデミックが続くなか、人々は専門的な会議などに行く時間も意欲もなくし、またそもそもそういった会議も開催されていなかった。

この資金を別の用途に回すことができのは、あまり知られていない、新型コロナウイルス経済救済法 (CARES)の条項のおかげである。私たちは社員があるツイートを見たことがきっかけでこれを知ったのだが、雇用者は2020年から2025年までの間、社員の収入とはみなさない形で、一年に5,250ドル(約58万円)まで社員のために学生ローンの返済をすることができるのだ。

これが我社にとって適切なものであるかを確認するため、実施する前に社員調査を行ったところ、40~45人の社員のうち、20人がこの払い戻しプログラムで恩恵を受けることがわかった。これに自信を得て、私たちはプログラムの立ち上げに踏み切った。

まずは試験プログラムを開始し、毎年各社員に1200ドル(約13万円)を払い戻すことにした。これがうまくいったので、今度は1年間の支給額を2倍の2400ドル(約26万円)に引き上げた。このようにすることで、私たちは他の雇用者との差別化を図っている。米国人材管理協会によると、2019年時点でこうした学生ローン返済プランを実施している雇用主は全体の8%に過ぎないとのことである。

このようなプログラムを実施するにはある程度の準備が必要だ。内国歳入法の第127条に則った教育支援プログラム(EAP)を実施しなければならない。しかも、このプログラムは一握りの社員ではなく、社員全員を平等に利するものではければならない。学生ローンの無い社員が資金を利用できるようにするため、私たちは引き続き人材開発プログラムも同時に実施している。どの社員も同じ資金プールから人材開発にかかった費用の払い戻しを受けることができる。

幸いなことに、プログラムの立ち上げにはそれほど時間がかからなかった。調査を終えてから1カ月たたないうちに学生ローンに関する規則の草稿を作成し、公開して、社員に告知した。

プログラムを実施にあたっては、社員とのウィークリービデオ会議でそれを発表した。申請手続きもシンプルなものにし、社員は申請用紙1枚に記入すればよい。払い戻しを受けるには、ローンの支払い内容がわかる過去12カ月の学生ローンの請求書のコピーを提出する必要がある。その後、会社側で払い戻しの小切手を切る。

現在までのところ、このプログラムは大変好評である。私たちの業界の社員は多くが若手で、多額の学生ローンの支払いに苦労している。学生ローンの支払い免除は当社の社員が必要としているものなのだ。

このプログラムには他にも節税というメリットがある。社員は自らの連邦税と給与税の支払い分を節税でき、雇用者も給与税を節税し、提供した払い戻し額に等しい補償控除を受けることができる。

私たちは学生ローン払い戻しプログラムに大きな手応えを得ているが、これだけでは人材獲得競争に打ち勝つことはできないと思っている。社員が何を必要としているかを知るにはただ彼らの発言に耳を傾けるしかない。そこで、私たちはニーズの聞き取りに多大な時間を費やしている。

社員の生活費への懸念に応えるため、私たちは現在残留特別ボーナスと勤続10年ボーナスの支給を検討している。問題は、私たちのような小さな企業がこうしたボーナスを支払うための資金をどこから捻出するかである。当社の顧客のほとんどは1年または2年契約を結ぶので、このようなプログラムを追加するには、料金の値上げをしなければならない可能性がある。料金の値上げをしたとしても、私たちの予算にその値上げの効果が現れるまでにはしばし時間がかかるだろう。

そうではあっても、私たちはクリエイティブな解決法を模索したいと思っている。社員には、私たちが手厚い配慮をしていることを知ってもらいたい。そうした配慮をするのは、それが正しい行いだから、というだけでない。社員が出勤する際ガゾリン代が払えるだろうかと心を煩わすことなく、最大限我社のために能力を発揮できるようにするためでもある。

社員が我社に腰を落ち着けてくれたら、今度はお金や福利厚生とは関係ないもの、つまりパンデミックの間に多くの人にとってより重要になった帰属意識や目的意識といったもので最高の人材を惹きつけられるようになりたいと願っている。

ここでは仕事は、単なる仕事以上のものだ。当社のように小さな会社では、全社員が大切な役割を担う。そして当社がいるような小さな街では、すべての雇用者が地域にとって重要な存在である。優れた人材が集いアイディアを交換し、人間関係を楽しみ、きついプレッシャーのかかるシリコンバレーの外で違いを生み出せるような場所を提供することで、こうしたことを求めている人々を持続的に惹きつけられたら、と考えている。

当社の社員は他社にまさる福利厚生や給与を得るだろう。しかし最終的には、こうしたものは、私たちが会社の繁栄と成長を維持を目指してたくさんの知恵を注ぎ込んで作り上げようとしている総合的な環境の一部にすぎないのだ。

編集部注:本稿の執筆者Delcie Bean(デルシー・ビーン)氏はParagus IT.の創業者兼CEO。

画像クレジット:Tetiana5 / Getty Images

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(文:Delcie Bean、翻訳:Dragonfly)

情熱から趣味そしてスタートアップへ

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。
やあみんな!アレックスだ。今週はお休みをいただく。平日のコラムで私を助けてくれている副操縦士のアンナが私が不在の間のニュースレターを扱う。最高なものになるだろう。お楽しみに!

さて数週間前、私たちは成長に焦点を当てながら、いくつかのスタートアップの結果を調べた。今回私たちは、そうして書いたスタートアップコレクションからさらにそれを1社に絞り込む。Water Cooler Trivia(ウォーター・クーラー・トリビア)だ。

関連記事:スタートアップの成長率を追う

多くのスタートアップは、何らかの問題を解決しようとして始まる。1人の開発者が世のワークフローの欠陥を見つけ、そのソリューションをコード化し、そのハッキングを拡張可能な製品に組み込む。そんな感じだ。

だがCollin Waldoch(コリン・ウォルドック)氏はこれとは違うやり方を選んだ。彼の趣味をビジネスに変えたのだ。

ウォルドック氏は、彼が競争好きと呼ぶ6人兄弟の家庭の出身である。大学時代にはバートリビアを主催し、その後、学校を卒業した後には職場で毎週トリビアの質問を送信していた。Lyft(リフト)での勤務期間を含む、社会人としての初期キャリアの間、彼はその習慣を維持し続けた。

ウォルドック氏が、企業がチーム活動に多額の費用を費やすことをいとわないことに気づいたのは、彼が企業で生活を送っている間のことだった。たとえば彼がとある仕事をしているときに参加したサッカーチームは、十分な数のレギュラー選手を確保するのに苦労していたが、彼の雇用主はそれにかなりのコストを費やしていた。企業が、その従業員のほとんどが望んでいないグループスポーツにそれだけのお金を落とすなら、おそらくトリビア製品で攻略できる予算もあるだろうと彼は考えた。

そこで、ウォルドック氏はWater Cooler Triviaを開始した。企業向け製品として、彼と友人たちが副業として開発したそのプロジェクトはARR(年間経常収益)で約2万ドル(約219万円)に達した。ウォルドック氏は、当時そのレベルの成功をビール代をまかなうのには十分だったと語る。プロジェクトの収益を助けたのは、解約率が非常に低いことだった。このことに後押しされて、ウォルドック氏はLyftでのフルタイム仕事を辞め、これまでの副業をフルタイムで行うことにした。

現在、Water Cooler Triviaは30万ドル(約3292万円)相当のARRに達し、世界中の労働者たちを楽しませている。企業は、毎週のトリビアクイズの難易度を選択し、リーダーボードを使用して従業員のスコアを追跡することができる。

ウォルドック氏の見解によれば、このアイデアの成功の要因の一部は、HR向けではなくエンドユーザー(従業員)向けに構築されていることだ。つまりそれが実際に楽しいことを意味している。現在は、ある程度の解約はみられるものの、それでも100%近くの継続率を誇っている。こうした特徴は、エンタープライズSaaSのようなグレードアップオプションを備えていない製品には大切な性質だ。

それにサービスは安価だ。率直に言って安すぎるとも言える。100人で月額100ドル(約1万1000円)というWater Coolerの利用料金は、程なく値上げされて収益を押し上げるかもしれない。ウォルドック氏は、2021年の第4四半期に料金の引き上げを始める可能性があると述べている。しかし、もし値上がなくても、Water Coolerは、コア製品から大きな成長が見込めると考えている。

私もそうだと思う。人生をちょっぴり楽しくしてくれるソフトウェアに幸あれ。

Drift、Xometry、Carrot

無数のIPO申請80億ドル(約8778億円)分のYCスタートアップピッチの忙しい週だったが、他にも話す必要のあることが起こった。

私はDrift(ドリフト)のプライベートエクイティ(PE)への売却に興味を持っている:ボストンのDriftはその株式の大部分をVista Equity Partnerに売却したことを先週発表した。同社がポッドキャストを録音するための部屋を私たちに貸してくれたので、Driftのオフィスに行ったことがある。そこの人びとはすばらしかった。しかし私は、2020年に70%のARR成長を報告した同社が、なぜより多くの資本を調達して成長を続ける道を選ばなかったのかに、非常に興味がある。同社は過去に多くの民間資金を調達することに成功している。例えば 2018年のラウンドでは6000万ドル(約65億8000万円)を調達した。このように会社の大部分を早々とエグジットさせてしまうことは、Gainsight(ゲインサイト)のPEへの売却が少々頭を悩ませたのと同じように、少し奇妙に感じられる。ボストンにとっては、このエグジットは新しいエンジェル投資家を生み出すのに役立つかもしれないので朗報である。しかし、それでも重要な詳細が欠落しているエグジットのように感じられる。

Xometry(ゾメトリー):これはメモフォルダにしばらく置かれていたのだが、今週は休みをとるのでここに含めておく。私は数週間前の業績報告会の後で、XometryのCEOであるRandy Altschuler(ランディ・アルチュラー)氏から話を聞いた。Xometryが2021年初めに公開されたことを思い出して欲しい。アルチュラー氏は、COVID-19の最中に公開を行なったことについて基本的に強気な見解を報告し、彼の会社のZoom(ズーム)ロードショーは、旅行関連の疲れを防ぎながら、より多くの人々とチャットできたという意味で効率的だったと語った。

Xometryの続き:しかし、IPO後のありがちな雑談の中で、アルチュラー氏は私の記憶にひときわ残る言葉を残していた。その1つ目は、インフレがテクノロジービジネスに影響を与える可能性があるということだ。コストの上昇は、請求コストに影響を与える中古車の価格に対応しなければならないRoot(ルート)のような企業に影響を与えている。インフレは、製造業の需要と供給を結びつけるXometryのビジネスにも影響を与える。マクロ市場の状況は、テクノロジーの世界では本当に重要で、常に簡単に確認できるようなものではないことは忘れないようにしたい。

Xometryのさらに続き:アルチュラー氏はまた、ある時点での炭素税は避けられないと考えていると述べた。この話題は、将来的な米国でのオンショア製造に関する、私たちの議論の中で浮かび上がった。現在の輸送費は高額であり、税金として炭素排出量を追加した場合にはさらに高額になるだろう。これにより、特に地元製造業の競争力が高まる可能性がある。おそらくそれは、脱工業化社会の中でより多くの工業生産を求める人たちに恩恵をもたらすだろう。物理世界の商品を扱うハイテク企業にとって、それは気に留めておくべきことだ。

そして最後に、Carrot(キャロット):メモされたさらに別の話題からCarrotの話をお届けする。同スタートアップは数週間前に7500万ドル(約82億3000万円)を調達した。そこで同社にその成長の歴史やいくつかのことについて尋ねた。Carrotは、雇用主が労働者に出産手当を提供できるようにする製品を販売している。人類の出生率が低下していることを考えると、この種の報告は時間の経過とともに、数が増していく可能性が高い。

もちろん、他の要因も働いてはいるものの、過去18カ月はCarrotのビジネスにとって加速的に働いたことが証明されている。同社によれば、過去6四半期で「全体として約5倍の成長」が見られたという。Carrotは、2021年末までに450社にリーチする予定であり、合計で約100万人の対象者がいると見込まれている。

Carrotは、シリーズBとシリーズCの評価額の差について答えることを拒んだ。幸いPitchBookにこの件に関するデータがあるので、そのデータセットを使って報告するなら、Carrotの評価額は、シリーズ2100万ドル(約23億円)を調達したシリーズB後の約6600万ドル(約72億4000万円)から、シリーズC後に2億6000万ドル(約285億3000万円)へと上昇している。これは、会社の従業員と創業者にとって良い上昇だ。

将来的な出産支援のニーズの高まりに強気な私の予想は、同社の精神と一致している。そのことを同社はその電子メールの中で「出産と家族形成に対するケアは、医療、歯科、視力に並ぶ、従業員の福利厚生とヘルスケアの第4の柱となる可能性があり、またそうあるべきなのです」と述べている。大賛成だ。

では今回はここまで。どうぞご安全に。予防接種を受け、お互いに親切にできますように。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文: Alex Wilhelm、翻訳:sako)

企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビサービス「Aill」が1.15億円調達、公務員や有資格者団体に対象拡大

企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビサービス「Aill」が1.15億円調達、公務員や有資格者団体に対象拡大

企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビサービス「Aill」(エール)を手がけるAILLは8月18日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による1億1500万円の資金調達を発表した。今回は、今後のサービス拡大を見越し、朝日メディアグループ1号投資事業有限責任組合(朝日メディアラボベンチャーズ)、名古屋テレビ・ベンチャーズ)といったメディア企業からの出資を受けることで、マーケティング、PR戦略のさらなる実行を目指した。

またAillは、これまで700社超の法人が利用しており、今回公務員と有資格者団体を対象に拡げることとなった。現在、都道府県庁でも加盟準備が進められており、さらに出会いの機会が広がるとしている。企業の福利厚生で使えるAI恋愛ナビサービス「Aill」が1.15億円調達、公務員や有資格者団体に対象拡大

Aillは、ウェルビーイングが浸透する社会を目指し、幸福度の高いワークライフシナジーを実現する一助として、公的・私的承認が満たされる重要性に着目。公的承認は仕事やボランティアなどの社会活動によって得られるものの、未婚率の上昇に裏付けられるように、仕事を頑張ることでプライベートの時間・出会いの機会が少なくなり、パートナーシップや家族との関りによって得られる私的承認が満たされにくいという状況が課題となっているという。

そんな時代に一石を投じるサービスとして、Aillは、勤務先企業を通じて審査を受けた安心・安全なユーザーが集まるコミュニティを形成し、AIが出会いとコミュニケーションに伴走することで、信頼をともに育むライフパートナーの縁結びを提供しているという。

 

ギグワーカーやクリエイターに金融サービスとしての福利厚生を提供するCatch

Catch共同創業者アンドリュー・アンブロジーノ氏とクリステン・アンダーソン氏(画像クレジット:Catch)

Catchは、すべてのギグワーカーが、彼らが必要とする保健医療や退職手当などの福利厚生を得られるよう努力している。

現在、本社をニューヨークへ移転中の同社は、フリーランサーや契約社員など企業からの福利厚生のない人たちに直接、健康保険や退職貯蓄、源泉徴収などの福利プランを売っている。

同社は現在、シリーズAで1200万ドル(約13億2000万円)の資金を調達中で、そのリード投資家はCrosslinkで、初期からの投資家であるKhosla VenturesやNYCA Partners、Kindred VenturesおよびUrban Innovation Fundが参加した。資金は、代理店パートナー網の拡大とボストンからの移転費用に充てられる。

共同創業者のKristen Anderson(クリステン・アンダーソン)氏とAndrew Ambrosino(アンドリュー・アンブロジーノ)氏はCatchを2019年に創業し、これまでに610万ドル(約6億7000万円)を調達しているので、総調達額は1810万ドル(約19億9000万円)になる。

関連記事:健康保険や福利厚生が必要なフリーランスにはCatchがある

Catchの15名のチームがそのプラットフォームを連邦市場の38の州で売る承認を得るのに、2年近くを要した。アンダーソン氏によると、このような承認を得ているのは同社も含めてわずか8社だが、福利の受益者個人に直販しているのはCatchも含めて3社だけだという。

「現在、クリエイターやギグワーカーとして食べてる人たち、つまり個人労働者がどんどん増えているのに、肝心の健康保険を提供していない金融サービスが多い。多くの人に、企業の社員のような福利厚生がない」とアンダーソン氏はいう。

Catchの顧客の平均年齢は32歳だが、現在の提供物に加えて、収入源のセットアップを求める者が多い。つまり彼らは、税や退職後や病気休職などへの備えを、実際に貯蓄する余力がなくても求めている。

パンデミックにより、Catchの顧客の多くが全業種平均で40%の収入を失った。美容師や調理師などには、収入がゼロになった人たちもいる。

そこでアンダーソン氏とアンブロジーノ氏は、同業のプラットフォームやビジネスツールのメーカー、ギグのマーケットプレイス、給与事務代行企業などから成る代理店パートナーシップのネットワークを作り始めた。アンダーソン氏によると、今度の資金で社員数を増やして、さらにこのパートナーシップの拡大努力を続けたいという。

Catchのプロダクトは一種の保険業務だが、競合他社の多くは、たとえばStarshipのように、健康保険のための貯蓄口座といった一品目だけのところが多い。しかしアンダーソン氏によると、Catchはプラットフォームを提供し、個々のケースにより深入りしている。クラウドベースで企業のために給与計算や福利厚生、人事管理などのサービスを提供しているGustoというスタートアップがあるが、彼女はCatchをそのGustoに喩える。Catchも同じくエンド・ツー・エンドのサービスだが、対象は企業ではなく個人だ。

これまでの1年間で同社のユーザーベースは3倍増した。副業をする人が増えたことと、DoorDashとのパートナーシップが大きい。またアンダーソン氏によると、同プラットフォームの現在のユーザーは、得られる福利の目標が大きく、多くの貯蓄をする必要があるので、通常の5倍の残高を抱えている。退職投資と健康保険も、同じく増えている。

今後についてアンダーソン氏は、シリーズBはすでに考えているが、それは2年後だという。同社は、独自のHSAプロダクト(医療費貯蓄口座)と傷害保険なども検討しており、プロダクトの多様さで他と差別化したい意向だ。たとえばSpotSuper.mxEvenなどはみな、2021年7月にベンチャーキャピタルを調達して福利を賄っている。

Catchはまた、連邦市場以外のオーディエンスにもサービスを提供していきたい。今すでにその取り組みを開始しており、アンダーソン氏によると、米国籍を持たない者への金融保険サービスは悪質なものが多く、一見おいしそうなキャッチコピーの陰で、粗悪で内容の薄いサービスが提供されているそうだ。

アンダーソン氏は「非常に混乱した市場であるため、それを正していくのは大変なことです。若者は安いサービスしか買うことはできませんが、その場合は最初に条件をよく理解してもらうことが、とても重要です」という。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:ギグワーカー福利厚生Catchフリーランス資金調達クリエイター

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

職場向けの置き菓子サービス「オフィスグリコ」が全国で利用可能になる「どこでもオフィスグリコ便」の受付開始

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江崎グリコ子会社「グリコチャネルクリエイト」は6月14日、職場向けの置き菓子サービス「オフィスグリコ」が全国で利用可能になる「どこでもオフィスグリコ便」の受付開始を発表した。申し込みは、公式ページより行える。

オフィスグリコは、2002年から始まったサービス。職場に、菓子、食品、飲み物の専用ボックスを設定し、利用者個人が代金を払うというもの。従来はサービススタッフが職場を訪問して商品管理や代金の回収を行っていたため、サービス地域が限定されていたが、専用ボックスと商品を職場に発送し、支払いはQR決済のみに限定したことで、全国展開が可能になった。サービススタッフによる訪問がないため、部外者の立ち入りが禁止されている場所でも利用できる。

導入、運用に際して利用企業に経費はかからない。30名以上在籍している職場ならば、沖縄と離島を除く全国どこでも申し込める。決済方法は「PayPay」と「d払い」のQR決済のみ。現金を扱わないので管理者および利用者側の負担が少ない。また、職場内で気軽に食品を購入できるため、コロナ禍における不要な外出の抑制にもつながるほか、災害備蓄のローリングストックとしても役立つとしている。

オフィスグリコはサービス開始当初は首都圏、中京、近畿、九州の主要都市からスタートしてエリアを拡大してきた。2021年現在のサービス拠点はおよそ10万カ所。東日本大震災以降は、ローリングストックが可能なBCP(事業継続計画。災害備蓄)として、また2020年以降はコロナ対策としての新たな価値が生まれているという。

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カテゴリー:フードテック
タグ:江崎グリコ(企業)おかし / スナック(用語)キャッシュレス決済(用語)BCP / 事業継続計画(用語)福利厚生(用語)日本(国・地域)

従業員2人の企業から2万人の企業まで柔軟な福利厚生の実現を支援するLevelが約29億円調達

従業員への福利厚生に関するより柔軟な方法を企業に提供することを目指しているスタートアップLevel(レベル)は、Khosla VenturesとLightspeed Venture PartnersがリードしたシリーズAラウンドで2700万ドル(約29億円)を調達した。

既存投資家のFirst Round Capital、HomebrewとともにOperator Collectiveと一流のエンジェル投資家も参加した。本ラウンドでLevelのバリュエーションは「9桁」となったと報じられたが、同社は具体的に明らかにしなかった。

2018年に創業され、ニューヨークに拠点を置くLevelは、雇用者と被雇用者が福利厚生を最大限に活用するのをサポートすべく、フレキシブルなネットワークとリアルタイムの請求を通じて「ゼロから保険を再構築」していると話す。

雇用者は、あらゆる治療の費用を100%カバーするオファーなどのように保険プランをカスタマイズできる。同社はまた、保険請求を4時間で処理することができるとうたう。

「従来の保険会社が請求を処理するのにかかる30〜60日に比べると、かなりのスピードです」と創業者でCEOのPaul Aaron(ポール・アーロン)氏は話した。同氏はSquareの最初の従業員の1人であり、Oscar Healthでネットワークチームを率いた経験がある。そして決済業界におけるいくつかの特許を持つ発案者でもある。

Levelはまず雇用者が保障する歯科治療のプランを2019年夏に立ち上げ、その年の秋にベータ版の顧客に提供を開始した。そして現在は眼科のプランも提供している。同社はIntercom、Udemy、KeepTruckin、Thistleなどを含む企業1万社超を顧客に抱え、顧客企業はLevelのプラットフォームを通じて治療の費用を払ってきた。

「保険はわかりにくく、不平等だと感じることが多いものです。ネットワークによって利用できる医療機関が限定され、請求には数週間かかり、思う以上に手間がかかります」とアーロン氏は話した。「保険での支払いは他の商品の購入と同じくらい簡単であるべきだと思います」。

Levelはフルスタックアプローチを取っていて、自動化された査定からリアルタイムの福利厚生分析までエンド・ツー・エンドのツールを構築している、と同社は話す。

「中小企業が充実した福利厚生を提供するのをサポートする」ことを目的に、同社は新しい保険プロダクトを立ち上げる計画だ。充実した福利厚生は通常、大企業だけが提供できる。Levelはまた、雇用者が毎月決まった額を払った後、使っていない福利厚生のお金を取り戻すのをサポートすることも目指している。究極的には、従業員2人という企業から2万人という企業まで、あらゆるサイズの企業がより良い福利厚生を自社の従業員に提供できるようにする一連のプロダクトを展開できるようになるのが最終目標だ。

Levelは、歯科と眼科の自家保険プロダクトでは企業が従業員により広範なカバーを提供できる一方で、企業は福利厚生予算を20%減らせる、と主張する。

「雇用者は福利厚生にかなりの金を使い、雇用者も被雇用者も十分に恩恵を受けていません」とLightspeed Venture PartnersのJana Messerschmidt(ヤナ・メッサーシュミット)氏は声明で述べた。「あらゆる規模の事業者は、人々が給料をその他のことに使えるようにする革新的な福利厚生で人材を獲得する必要があります。Levelははるかに優れた雇用体験を提供し、払うだけの価値があります」。

一方、 KhoslaのSamir Kaul(サミル・カウル)氏は「Square Cashが個人間の決済のためにしていること」をLevelは保険と福利厚生でできると確信している、と述べた。

投資家のFirst Round Capitalは完全保険からLevelに切り替えることで47%節約できたと主張する。そしてThistleはLevelへの切り替えで41%節約できたと話している

カテゴリー:その他
タグ:Level資金調達福利厚生保険

画像クレジット:Level early team:Vikas Unnava, founder & CEO Paul Aaron, Ashley Koh / Level

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi