ベルリン拠点のVolocopterが初のエアタクシーフライトの先行販売を開始、フライトは2~3年後

「空飛ぶ車が約束されていたのに、手に入ったのはガラクタのようなインターネットの荒らしだけだった」という悲しそうな顔をしたテクノロジー信奉者に朗報だ。ドイツ・ベルリンを拠点とする自律型空飛ぶモビリティのスタートアップであるVolocopterは「SF的な夢を復活させたい」と考えている。

同社は、来たるべき電動エアタクシーサービス「VoloCity」の予約販売を開始したばかりだ。この商業サービスがいつ開始されるのか正確な日付は明らかにされていないが、「VoloFirst」と名付けられた予約可能サービスの1000件のうちの1件を購入すれば、サービス開始から12カ月以内にいつでもどこでも15分のフライトを楽しめるようになる。

Volocopterの広報担当者は「サービス開始は2~3年後になるでしょう」と説明する。「商業飛行に向けて連絡を取っている多くの都市のうち、どの都市がレースに参加するかは明らかになっていないため、都市はまだ決まっていません」と続けた。

この限定版ジョイライドの価格は「限定版の個人用証明書」付きで300ユーロ(約3万7300円)だ。Volocopterによると「チケットは10%のデポジットで予約できる」とのこと。

VolocopterのCEOであるFlorian Reuter(フロリアン・ロイター)氏は支援声明の中で「私たちは、公開テスト飛行と規制上の達成記録に基づいて、わずか数年で一般的な都市での電動飛行を作るための道を切り開いてきました。予約開始に伴い、いま世界中の支援者やイノベーターを招待し、この新しくエキサイティングなモビリティの形をいち早く体験していただきたいと思います」と述べている。

「エアタクシーの最終的な認証はまだ保留中ですが、今後2~3年でVoloCityの商業飛行を開始するという現実的な詳細なタイムラインを持っています」と、Volocopterの最高商業責任者であるChristian Bauer(クリスチャン・バウアー)氏は付け加えた。なお、VoloFirstの航空券はVolocopterサイトから予約可能だ。

同社は、2011年に純粋な電動マルチコプターの初の有人飛行を実施し、2019年10月にシンガポールのマリーナベイでの公開テスト飛行や、2017年にドバイでの世界初の自律型eVTOL飛行を含む、その本格的な機体で数多くの公開飛行をデモしてきた。そして今年初め、シリーズCの資金調達ラウンドで9400万ドル(約98億5300万円)を集め、調達総額は約1億3200万ドル(約138億3650万円)に達した。

Volocopterは、商業サービスの立ち上げを目指している数多くの空飛ぶタクシースタートアップの1社でほかには、EHang(未訳記事)、Lilium(未訳記事)、Airbus(エアバス)のVahana VTOLなどが競合だ。そういった状況を踏まえ、VolocopterはVoloFirstの購入者が空飛ぶタクシーサービスの最初の一般搭乗者になることを保証していない。むしろ、これらの早期のエアモビリティに登場したユーザーは自慢の権利を「最初のうち」に持てる権利があるとしている。

画像クレジット: Volocopter

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(翻訳:TechCrunch Japan)

電動航空タクシーのLiliumがBaille Giffordから38億円を調達、評価額が1000億円超に

ほとんどの空の便が地面に拘束され休止している今、航空輸送の大きなブレイクスルーを目指すドイツのスタートアップであるLilium(リリウム)が、そのサービスの構築にさらなる資金を調達した。タクシーのようなフリートを編成し街から街へ乗客を運ぶことを目的とした、完全電動の垂直離着陸航空機を開発する同社は、3500万ドル(約38億円)の追加投資を獲得した。

この資金は、2020年3月にLiliumが調達を発表したばかりの2億4000万ドル(約260億円)という投資ラウンド(未訳記事)の追加拡張投資なのだが、注目すべきは、このスタートアップの資本政策表に今話題の高名な企業が新規参入している点だ。Tesla、SpaceX、Sporufy、Airbnbなどを支援するスコットランドのベンチャー投資企業Baillie Gifford(ベイリーギフォード)だ(3月のTechCrunchの記事では、この260億円はTencent、Atomico、Freigeist、LGTといった従来の投資家からのものとお伝えした)。

Liliumの最高商業責任者であるRemo Gerber(リモ・ガーバー)博士はインタビューの中で、さらに多くの投資家をラウンドに招くよう交渉中だと明言していた。これは、我々がさる情報筋から2019年に入手し、4億ドル(約430億円)の追加調達を目指していると伝えた話(未訳記事)と一致する。

現在のところ、Liliumの調達額はトータルで3億7500万ドル(約410億円)となり、同社に非常に近い情報筋が確認したところによると、評価額は10億ドル(約1080億円)を超えるという。それにより同社は、航空業界参入を目指す企業としては、もっとも資本金が多く評価額が高いものとなった。

今回の追加拡張投資は、長期戦を覚悟しつつも短期的な数多くの変化に対応しなければならないLiliumにとって絶妙なタイミングだった。旧型試作機がメンテナンス中に炎上する(electrek記事)など技術的なつまづきの後、原因究明のために計画が一時停止していたが、最初の商用サービス開始への道筋を外れることはなかったとガーバー氏はいう。ただし、それはまだ5年先の2025年の話だ(計画では、最初は人間のパイロットが操縦し、自動航行「航空機」で運行されるのは10年後となる)。

だが一方では、多くの企業が新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによる世界経済低迷の打撃に備えるために、さまざまな業界の活動が全体的に鈍化し停滞している。その中には、Liliumにとって重要な3つの業界も含まれる。航空、製造、旅行だ。

ガーバー氏によれば、今回の資金投入はこの機を活かすものであり(投資企業にBaillie Giffordが加わったことは大きいと彼は指摘する)、同時に、今後の不確実な時代に何が起きても対応できるようLiliumの財政を強化するものだという。同社には現在450名の従業員がいるが、世界中で数百万人もの人々が失業する中、1人の解雇者も出していない。デザイン部門の大多数の人たちは自宅で作業をしており、またLiliumには広大なスペースがあるため、社会的距離を確保しつつ製造が行えるよう設備を整え、次の開発段階に対応させるとガーバー氏は話している。

とはいえ、都市部に渋滞を引き起こす自動車や、通勤経路が入り組み、その他の乗り物では採算が合わない鉄道などの交通機関に取って代わる空飛ぶ乗り物の実用化を目指す、将来の競合相手も数多い。

その中には、やはりドイツのスタートアップであるVolocopter(ボロコプター)も含まれる。そこもまたタクシーのような新しい空飛ぶ乗り物とサービスの開発を行っており、2020年2月には940万ドル(約10億円)の投資を獲得している。さらに、既存のヘリコプターを使って大金を支払えるごく限られた人向けに空飛ぶタクシーサービスを展開するBlade(ブレード)やSkyryse(スカイライズ)の他にも、Kitty Hawk(キティーホーク)、eHang(イーハング)、Joby(ジョビー)、Uber(ウーバー)などが名を連ねている。Kitty Hawkは、つい先週、その壮大な自動飛行プロジェクトを廃止(未訳記事)し、この分野での活動を活発化するために、自動飛行プロジェクトに資源と重点を移すことにした。

安全対策、設計の信頼性、乗り物としての効率性を最重要視するのは、これらメーカーだけではない。規制当局もそこに注目している。だが、規制に関しても進歩の兆しが見えている。例えばイギリスでは2020年5月に革新的な航空輸送用の航空機を開発する企業をより多く支援する取り組みを英国政府が発表(gov.ukプレスリリース)、した。革新的な産業を支援し、未来の運輸業界に、より持続性の高い形態を構築するという同政府の政策目標の一環だ。

Liliumは、スコットランドのエジンバラから参入を助けてくれるBaillie Giffordの力を借りてイギリス、さらにヨーロッパ以外の世界における事業展開の好機を狙っている。「私たちはLiliumで画期的な輸送手段を開発しようと情熱を燃やす並外れた人々を支援できることを、大変に喜ばしく思っています」とBaillie Giffordの投資マネージャーMichael Pye(マイケル・パイ)氏は声明の中で述べている。「まだ初期段階ではありますが、このテクノロジーは低炭素な未来に意味深い多大な利益をもたらすものと確信しています。そして私たちは、数年後のLiliumの進歩を大変に心待ちにしています」。

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(翻訳:金井哲夫)

空飛ぶタクシーは長距離ではガソリンや電気自動車より効率がいい?

空飛ぶ車問を響きはは間違いなくクールだが、実際に良いアイデアなのかどうかは議論のあるところだ。うれしいことに、どうやら確実なご利益がありそうだ。期待するのは効率の改善(理論上かつ長距離で)だ。

空の旅には膨大な量のエネルギーが必要で、それは非常に重いものを空中に持ち上げ、長時間維持しなければならないからだ。重力が重労働を引き受けてくれる陸路と比べて、スピードは速くても効率が良いことはめったにない。

ただし、ひとたび一定の高度まで機体を持ち上げれば、摩擦が少ないので高速航行できるし、100フィート進むのも50マイル進むのにも離陸は1回だけだ。そこでミシガン大学の研究者たちは、空飛ぶ車の方が実際に省エネになるスイートスポットがあるかもしれないと考えた。結果は、それらしきものが見つかった。チームは今日のNature Communicationsで結果を発表する。

同大学の技術者たちは、陸上輸送と電動垂直離着陸機(VTOL)それぞれの効率モデルを、関連航空会社の仕様に基づいて作成した。

Lift Aircraft’s Hexa may be your first multirotor drone ride

「我々のモデルはVTOL分野一般のトレンドを表すものであり、複数の研究と航空機デザインのパラメータを使用して、重量、揚抗比、バッテリーエネルギー比などを決定した」と論文共著者のNoah Furbush氏がミシガン大学のプレスリリースで語った。

彼らは、これらの理論上の乗り物が、さまざまな人数を載せ、さまざまな距離を航行したときの性能を調べ、エネルギー消費を比較した。

誰もが想像できるように、飛行は1~2マイルの移動には実用的ではなく、それは上空までいくのに全エネルギーを費やしすぐに降りてくるからだ。しかし、100kmを境に状況は変わってくる。

100kmを移動する場合、乗客1名の空飛ぶ車はガソリン車よりエネルギー消費が35%少なかったが、電気自動車より28%多かった。実際、空飛ぶ車は40kmあたりからガソリンより良くなり始める。しかし、EVの効率には近づいたものの追いつくことはなかった。グラフが見たいって?

ICEV:内燃機関車両 VTOL:垂直離着陸機 BEV:バッテリー駆動電気自動車 縦軸は二酸化炭素排出量

良い結果を出すために、彼らは少々数字をいじって、空飛ぶタクシーはパイロットと乗客3人の満席で飛ぶ可能性が高いと仮定し、一方陸上走行車は平均乗車人数1.5人という設定になっている。それを考慮すると、乗客3名を100 km移動したとき、1人あたりの効率はEVをわずかに上回ることがわかった。

ずいぶんと際どい勝利ではあるが、空飛ぶ車は移動時間がわずか1/4で、渋滞その他の問題にも影響されないことを忘れてはならない。しかも景色がいい。

もちろん、すべては理論上の話だが、こうした研究は、このビジネスへの参入を考えている企業がサービスの運用、販売を考えるうえで役に立つ。現実は理論とは少し違ってみえるだろうが、私は空飛ぶ車に関してはどんな現実も受け入れるつもりだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Uberの空飛ぶタクシー、料金がどれくらいになるか最新情報

Uberは、空飛ぶタクシー事業についての情報共有を目的とした大規模な会議Uber Elevateを今日8日からロサンゼルスで開いている。この事業についてよく知らない人のために説明すると、Uberは2020年に垂直離着陸可能な機体のテストフライトを実施し、最終的には2023年に商業運転を開始するという計画を立てている。今日の会議では、空飛ぶタクシー事業の最高責任者Eric Allisonがコンシューマー向け空飛ぶタクシーのライドシェアuberAIRのコストについて言及した。

Allisonが言うには、乗客が払う1マイルあたりのコストは、車を所有したときのコストと比べても競争力を持つものでなければならない、とのこと。全米自動車協会によると、自家用車を所有した場合、1マイルあたりのコストは0.464〜0.608ドルになると試算されている。

しかし、uberAIRのサービス開始時の乗客1人が支払う1マイルあたりの料金は自家用車のコストほどにはならなさそうだ。当初は1マイルあたり5.73ドルになると見込む。0.44ドルというのが理想で、そこにたどり着く前にまずは1.86ドルにすることができると踏んでいる。

Allisonは、今後空での移動が早く安くなり、車を所有するのはコスト的に見合わなくなるはずだ、と述べた。一方で、空でのライドシェア需要は驚くほど大きい、とも語った。もしuberAIRを今使える状況であれば7億人が利用するだろう、というUberが実施した調査の結果に基づく発言だ。

私はいま、Elevateに来ているが、この後も新たなニュースが出てくるかアンテナを張っておこう。

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(翻訳:Mizoguchi)