Amazon、ニューヨーク市の第2本社建設を断念

Amazonは第2本社の一つをニューヨーク市内に建設することを断念すると発表した。クイーンズ区のロングアイランドシティーの第2本社計画がキャンセルされた原因は地元の住民、議員からの強い反発によるものだ。Amazonが長年反労働組合的な姿勢を取ってきたこと、また自治体のAmazonに対する税制優遇措置などが反対の理由として挙げられていた。

TechCrunchはAmazonから「候補地選定を再開する考えはない」とする長文の声明を受け取った。Amazonはバージニア州アーリントンの第2本社、またテネシー州ナッシュビルでの大型フルフィルメントセンターの建設計画を推進する。

こちらがAmazonの声明の全文だ。

慎重に考慮を重ねた結果、クイーンズ区ロングアイランドシティーにAmazonの第2本社を建設する計画を進めることを中止すると決定した。 Amazonが新本社建設にコミットするためには州政府、地方地自治体との長期にわたる良好な協力関係を築かねばならない。これには首長、議員による積極的な支持を必要とする。世論調査によれば、ニューヨーク市民の70%がAmazonの計画とそれにともなう投資を支持している。しかしながら州や自治体の多数の政治家がわれわれの進出に反対し、ロングアイランドシティーの建設プロジェクトを前進させるために必要な良好な関係を構築するつもりがないことを明らかにしていた。

このような結論となったことを遺憾に思っている。われわれはニューヨークを愛しており、そのダイナミズム、市民、文化は比類ないものと考えている。ことにロングアイランドシティーではスモールビジネスのオーナーや住民など、希望に溢れ、前向きに思考する多くのコミュニティー・リーダーと知り合うことができた。現在ブルックリン、マンハッタン、スタテンアイランドでは5000人以上がAmazonで働いており、われわれはこのチームをさらに拡大していくよう務める。

クオモ・ニューヨーク州知事、デブラシオ・ニューヨーク市長、またそのスタッフは第2本社を招致するために献身的かつ熱意に溢れる努力を払ってきた。われわれはこうした支援に深く感謝する。ニューヨークの市民を代表してクオモ知事、デブラシオ市長はAmazonの投資と職の創出を支援するために全力を挙げてきた。われわれはこうした努力に適するような感謝の言葉を知らない。【略】

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第2本社として選定された他の地区を異なり、クイーンズの場合はAmazonの計画発表と同時に地元からの反発が起きていた。反発の原因の一つはすでに不人気なビル・デブラシオ市長とAmazonの密室取引がある。ニューヨーク市のインフラは限界に近く、住宅事情も逼迫していた。さらに第2本社建設予定地が学校や公園、低所得者向け住宅と小規模な商業区域のための再開発用地だったことも助けにならなかった。

Amazonの代表者は市議会で繰り返し激しい攻撃を浴びた。「ニューヨークは組合の町だ」というスローガンを掲げる議員もいた。先週、Amazonはロングアイランドシティーの計画をキャンセルするかもしれないと報じられたが、その時点ではTechcrunchに対して「撤退の考えはない」と述べていた

しかもわずか2日前にはデブラシオ市長はミッション・クリティカルな計画だと述べていた。残念ながらこの「ミッション」は空中分解したようだ。

画像:Andrew Lichtenstein/Corbis / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

Amazon、第2本社の候補20都市を選定――ワシントンD.C.周辺が有力?

北米第2本社を建設する計画を発表したAmazonは名乗りを上げた都市から有望な候補20都市を発表した。20都市の市長はこれからバトルロイヤルの金網デスマッチを…いや、候補地選定の次の段階に移ることになる。

この段階には各都市の利点をさらに詳しく分析した提案をAmazonに送ることが含まれる。またAmazonは各都市と直接コンタクトを取って情報を得る。

ではその20都市のリスト(ABC順)だ。 当初応募した238都市からこれらの20都市が選ばれた。

  • アトランタ(ジョージア)
  • オースティン(テキサス)
  • ボストン(マサチューセッツ)
  • シカゴ(イリノイ)
  • コロンバス(オハイオ)l
  • ダラス(テキサス)
  • デンバー(コロラド)
  • インディアナポリス(インディアナ)
  • ロサンゼルス(カリフォルニア)
  • マイアミ(フロリダ)
  • モンゴメリー・カウンティー(メリーランド)
  • ナッシュビル(テネシー)
  • ニューアーク(ニュージャージー)
  • ニューヨーク(ニューヨーク)
  • ノーザン・バージニア(バージニア)
  • フィラデルフィア(ペンシルベニア)
  • ピッツバーグ(ペンシルベニア)
  • ローリー(ノースカロライナ)
  • トロント(オンタリオ、カナダ)
  • ワシントンD.C.

Amazonによれば、最終決定は2018年中に行われるという。つまり今年いっぱい戦いが続く可能性がある。またAmazonは今回の発表で「第2本社は単なる大型支社ではなく、文字通り本社機能を備えた中枢となる」ことを確認した。Amazonが予定している投資は50億ドルで最大5万人の「高給の職」が新たに発生するという。

当初カナダとメキシコから立候補した都市が相当数あったが、アメリカ以外でリストに残ったのは唯一カナダのトロントだった。繰り返すがこのリストはABC順だ。アトランタが何か勘違いしないといいのだが。

下に掲載したのは各都市の位置を示した地図だ。ワシントンD.C.、ローリー、モンゴメリー・カウンティーが近所にあることからAmazonはアメリカ連邦政府の位置する地域に強い関心を抱いていると推測する向きもある。しかしもちろん決定的な要素ではない―もっとナイトライフが充実している都市も競争で有力となるかもしれない。

画像: Image: Amazon

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+