Awayの失敗に学ぶいけ好かないCEOと成功について

特には目立たないが、実は大きな社会的分断を象徴しているのではないかと大問題になる話がよくある。最近では、Away(アウェイ)の不祥事の話がそれにあたる。その問題とは、前CEOのステフ・コリー氏が仕事熱心なあまり、社内Slackで失敗を犯した特定の社員を公的に罵倒したことが責められ辞任したことだ。ハイテク界は、これをあらゆる産業における断層線を見極める試薬だとして注目している。

この話は、聞く人によってどうとでも取れる。金持ちの家に生まれた特権階級の企業幹部が貧しい生活にあえぐ人たちから搾取する話、女性CEOが不公正でいわれのない中傷や冷たい視線に翻弄される話、常時監視に内在する文化的害毒の話(Awayでは、社内のあらゆる通信はオープンなSlackチャンネルで行うこととして、私的な電子メールやダイレクトメッセージを禁止していた)、技術系労働者には組合が必要だという話、若い従業員はときとしてクズのような上司のもとで働くという現実に慣れるために鍛えなければならないという話。

ちょっと段落を切ろう。でも、まだ終わらない。謝らないで済ませる話。これは、Awayが従業員に不当に厳しい扱いをしたことを公的に謝罪した同じ日に、決して真似をしないように従業員の個人的なSNSアカウントを厳しく管理したことを指す。さらに、スタートアップ企業を創設するときに必要となる犠牲の話、問題の本質は管理不行き届きと方向性の不一致であって他は雑音に過ぎないと言い切る話、いけ好かないが許せるボスの態度と昔なら思われたことが今ではまったく受け入れがたい悪質な虐待にされてしまう話。

要するに、これは現代の完璧なロールシャッハテストだ。ロールシャッハテストと同じく、人々の多様極まる反応のほうが、この事件の本編よりも面白い。特に、世間の反応と個人の考えに開きがあるとの思い、つまりAwayの幹部たちをそこまで糾弾すべきではないと感じても、人はその考えを表明したがらないという思いが広まったことで、なおのことそうなった。お察しのとおり、これはソーシャルメディア、さらし、仲間はずれの話でもある。まさに、このちょっとした道徳劇にすべてが込められているのだ。

そこで、彼らの不変の名誉のためにも、やや風刺を込めたVC Starter KitというTwittyerアカウントがある実験を行った。「ベンチャー投資家、企業創設者、ジャーナリストのみなさんは、アウェイの事件の感想を私にDMしてください。みなさんの意見を匿名でアップします」と持ちかけ、その反応の要約を(当然だけど)彼らのSubstackアカウントで公開した。

面白いことにその結果は、世間が思っているよりも文化的分断がずっと大きいことを示唆している。非常に特異なケースに思えるのだが、私には、これは次の2つの説に集約されるように見える。

  1. スタートアップは厳しい。そのため、スタートアップの成功か従業員の待遇かの選択を迫られる場面によく遭遇するが、成功の優先度がいつも高い。
  2. スタートアップは厳しい。しかし、スタートアップの成功か従業員の待遇かの選択に迫られたときは、もうとっくに終わってるので、成功を選択して、個人的に、そして公的にそれを恥じるしかない。

程度の差こそあれ、これは世代格差の問題だと私は思う。私のようなX世代の人間は「最低なヤツだが、ボスとはそんなもの。仕方ない」と考えるのに対して、Z世代は「まったく容認できない悪質な虐待だ。こんなことはあってはならない」と感じる。大筋ではまったくもって正論だ。それは、かつてはほとんどの企業がそうしていると主張する以上に、より直接的に空想上のよりよい世界を目指すことが大切だったが、他者の待遇をよくすることのほうが重要だという理念を広めるものだ。

一方で、複雑で微妙な問題をなんでも悪く解釈してしまう傾向が強い、社会の中の非常にセンシティブな1%の人たちに、何と何は許容すべきといった考えを強要するようになってしまったら、それ自体が許しがたい暴虐の奇妙な変形パターンとなる。誤解のないように言えば、私たちはみなそうしたリスクには一歩たりとも近づいていないと私は思う。むしろ私たちは、いじめ、女性憎悪、偏見などなどの犠牲者には、傷害事件の犠牲者に言うように「もっと強くなれ」という考え方が有効だと認識し始めている。だが、そのような締めくくり方は、歪んで受け取られた結果であったとしても、人々を不愉快にさせるものだと肝に銘じておくべきだ。

いずれにせよ、私は2つ目の説を支持することにした。スタートアップは厳しい。しかし、スタートアップの成功か従業員の待遇かの選択に迫られたときには、もうとっくに終わってる。スティーブ・ジョブズがいけ好かない人物だったからって、それがCEOの必要条件なのではない。それだけでは十分条件にもならない。その選択に迫られる厳しい状況に追い込まれたなら、そして会社を最優先させたいと考えたなら、まあ、そんな人はあなたが初めてではないし100万人目ですらないが、とにかく成功という言葉が意味する本当のところを、時間をかけて真剣に考えてほしい。

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(翻訳:金井哲夫)

HPがゼロックスの買収提案を再度拒否するものの交渉の余地は残す

米国時間11月25日朝公表された書簡で、HPの取締役会はXerox(ゼロックス)の買収提案を「当社の評価が著しく過小」だと簡単に述べて拒絶した。ただし、今後の交渉の余地は残した。

HPが明確に述べたのは次のような点だ。つまり、HPは買い手を探しておらず、ゼロックスグループに入らなくても経営には問題ないとした。実際、買収を提案したのはゼロックスだが「白馬の騎士」を求めているのはむしろゼロックスのほうではないかという印象を受ける。

HPの時価総額は290億ドル(約3兆1600億円)以上なのに対してゼロックスの時価総額は85億ドル(約9260億円)弱だ。11月5日、21日に買収提案書をHPに送ったが、HPはどちらも拒否した。

本日朝に公開された最新の書簡でHPの取締役会は「我々はゼロックスがHPを著しく過小評価しているため提案を拒絶すると再度述べねばならない」として「提示額が過小であること、またたとえその提示額であってもゼロックスが支払いを行う能力があるか懸念を持っていることを表明した。

「これに加えて(この買収の申し出は)仮定が多く不確実性が大きい。たとえ提案に示された額であっても、ゼロックスがそれだけの資金を調達できるかは依然として不透明だ。仮に資金が調達できた場合でも、それによって同社は巨額の負債を抱えることとなり株価に悪影響を与えるだろう」。

またHPはゼロックスの買収交渉に望む姿勢にも不快感を示した。「ゼロックスは、適切な情報を提供せず攻撃的な表現と行動で自分に都合のいい買収を強制しようと意図していることは明白だ」。

ただしこうした強い言葉使いにもかかわらず、HPの取締役会は買収提案に対して完全にドアを閉ざすことはしなかった。書簡は「ただしHPは、提案のもつ意味合いをさらに研究し、ゼロックスのビジネスの経緯、現状についても急遽さらに調査する用意がある。ただし、ゼロックスの株価に大きな影響を与える同社の短期的ビジネスの状況に加えて、長期的な事業見通しに関連し依然大きな懸念がある」と述べている。

HPが懸念するゼロックスの財務状況だが、同社はこのところ四半期決算で収入目標を達成できないことが4回ないし5回続いた。時価総額は2018年6月以降の1年間に
102億ドルから92億ドルにダウンしている。ゼロックスではこの下降傾向が来年度まで継続すると予測している。

両社が今後合意することになるかどうか不明だが、条件さえ折り合えば、プリンター、複写機ビジネスを支配する両巨人が合併するのはメリットがあるに違いない。現状ではHPの立場が優位であり、一度や二度の提案で簡単に妥協するつもりはないようだ。下はHPの書簡の全文。


画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

新興VCの企業の育て方、知られざるVCの手数料体系を探る

これまで私たちは、新規の投資や新しいスタートアップの資金調達に関する話を数多く伝えてきたが、ベンチャー投資会社のキャッシュフロー問題についてはあまり触れてこなかった。そこを今日から改めよう。

ベンチャー投資会社を新規に立ち上げるのは、非常にハードルの高い挑戦となる。資金調達のための途方もなく膨大な作業だけに留まらない。同じ契約条件のリミテッド・パートナー(LP)を確保するだけで2年かかることもある。さらに新しい投資会社の経済状態は、多くの場合はとても悲惨だ。

ここでひとつ、業界でよく引き合いに出される(とはいえ、それほど一般的ではない)、2&20報酬モデルを採用した、2人のジェネラル・パートナーからなる投資会社が、初めて2000万ドル(約2126億円)のシード投資を行った場合を想定してみよう。この投資会社は年間の管理手数料として2000万ドルの2%である40万ドル(約4250万円)を集め、会社のあらゆる出費をカバーしている。

これには、オフィスの家賃、従業員の給与、法的費用、税金の確定申告や会計に関する費用、さらには出張費用や投資家を喜ばせるための娯楽費も含まれる。そして残ったお金を2人のジェネラル・パートナーで給与として分け合う。会社設立から数年間は、パートナーの年収が5万ドル(約530万円)なんてことも珍しくない。または、まったく無報酬の場合すらある。これは、この業界が超裕福な個人に依存してしまう理由にもなっている。

この業界への参入を目指す若い投資家にとって、これはお寒い状況だ。だからこそ、設立当初の投資会社を自力で成功させようと、経営者たちは管理手数料体系の構築に大いに創造性を発揮せざるを得ない。

関連記事:疑惑のVCマイク・ローテンバーグに米証券取引委員会は3000万ドル以上の支払いを要求(未訳)

このような投資会社の詳しい内情はほとんど口外されないのだが、Mike Rothenberg(マイク・ローテンバーグ)の一件のおかげで、私たちは新興投資会社の実際のデータから資産成長のための料金体系をどのように作っているかを知ることができた。業界の他の人たちとの話では、Rothenberg Venturesが採用していたモデルは、新しいフランチャイズの構築を目指す投資会社にとっては合理的で有効ものだという。

ここで示す分析に使用したデータは、すべてマイク・ローテンバーグに対する米証券取引委員会の訴訟(Case No. 3:18-cv-05080)の一環として、Rothenberg Venturesの評価を行った法廷会計士であるGerald T. Fujimoto(ジェラルド・T・フジモト)の専門家報告書別紙Aから引用している。この書類は2019年7月29日に作成された。この分析はRothenberg Ventureを批判するためではなく、今日の投資会社がどのような仕組みになっているかを示すためのものであるため、TechCrunchはこの法廷会計士の報告書の検証を行っていない。

下の表は、米証券取引委員会のマイク・ローテンバーグに対する訴訟で報告された同投資会社の仕組みを再構成したものだ。Rothenberg Venturesは、連続して4件のベンチャー投資を行い、慣習的な2&20モデルとは大きくかけ離れる手数料体系を用いていた。2&20モデルでは、投資先起業は10年の投資期間中に、2%の年間管理手数料を支払うことになる(投資会社によって体系は異なるものの、10年を超えて延長される場合は、それほど多額の手数料にはならないのが普通だ)。この計算からすると、管理手数料は通常、投資会社の出資約束金の20%となる。

米証券取引委員会によるマイケル・ローテンバーグ訴訟(別紙A)より

2013年
・運用手数料:投資金額の17.75%を一括前払い
・管理手数料:なし
2014年
・運用手数料:2年間の四半期ごとの各投資者の資本拠出の2%、投資契約期間の残り8年間の1年ごとの各投資者の資本拠出の0.5%、10年の投資期間の総計は20%
・管理手数料:なし
2015年
・運用手数料:10年間の投資資金の1.75%、2年ぶんの運用手数料を前払い、10年の投資期間の総計は17.5%
・管理手数料:10年間の投資資金の1%、投資初年に総計10%を支払う
2016年
・運用/管理手数料:各投資者の出資約束金の2.5%を運用手数料と管理手数料として10年の契約期間中に毎年支払う、10年の投資期間の手数料総計は25%

この会社の最初の投資では、ローテンバーグは260万ドルの投資が決定した時点で、時間をかけて少しずつ定期的に手数料から収入を得るのではなく、17.75%の手数料を一括払いさせることにした。それにより、同社には即座に47万ドルが舞い込むことになった。しかし、その後の継続的な手数料は徴収されない。この業界では、これほど多額な前払い金は珍しい。しかし、10年ぶんの投資運用手数料の文字通りの総額を初日に耳を揃えて支払うというのは、さらに珍しい。

LPの観点からすると、この手の手数料体系は同社が最初の投資が決定した時点で即座に追加資金を調達しなければならない状態であったと推察できる。将来のベンチャー投資の手数料は、最初の投資の数年先までの運用コストとして必要だからだ。要するにベンチャー投資家の自助努力とは、こういうものなのだ。

次に、2つ目の投資(2014年)を見てみよう。投資期間中に手数料を分散して受け取る従来の形にやや近づいているが、それでも前払い金に大きく比重が偏っている。合計で投資資金の20%を支払うという典型的な形式ながら、その80%は最初の2年間で支払うことになっている。ここからも、こうした自助努力により同社は、事業継続に必要な追加資金(従って運用手数料)を獲得できたことが暗に示されている。

2015年の投資でも同じパターンが見られる。手数料体系は正常になっているが、より積極的な前払いが要求されている。運用手数料に関しては毎年の支払額は均等になっているが、その手数料の2年分は投資が決定すると同時に支払わなければならない。同じく管理手数料も均等だが、投資初年に全額を支払うことになっている。

そして4つ目の投資(2016年)では、年間2.5%で前払いの決まりはないという、ずっと普通の形式に戻っている。これのどこが重要なのか?この数字が投資会社の運営にどのような意味をもたらすのか、手っ取り早く考えてみよう。

Rothenberg Venturesの推定運用手数料。緑は実際の手数料、オレンジは一般的な手数料(米証券取引委員会によるマイケル・ローテンバーグ訴訟(別紙A)のデータを引用)

見てわかるとおり、運用手数料の前払いは、その他の方法で得られたであろうものよりも、ずっと多くの資金をもたらしている。最初の3年間でおよそ510万ドルにもなる。年間2%の従来方式では120万ドルしか手に入らないところだ。もちろん、この自助努力のための工夫には後年にツケが回ってくる。投資運営のために使えるはずだった資金が目減りしてしまうのだ。

それでも、この前払い方式によって同社は実力よりもずっと高いところで勝負ができた。初年の手数料120万ドル(約1億2800万円)を加えて、実質的に6000万ドル(約64億円)の投資資金を得ることができた。まだ670万ドル(約7億1300万円)しか調達していないにもかかわらずだ。その後の数年間も、さらに積極的な手数料前払いのスケジュールで新たな資金を獲得し、実力を上回る勝負をしている。

もちろん、このようなアプローチには大きな重圧が伴う。一度に全部を賭けるやり方では、将来の資金調達を困難にするかも知れない誤差(連続して投資が失敗するなど)の許容範囲がほとんどない。脱出装置のないロケットのようなものだ。しかし、うまくいけばベンチャー投資界のトップになるまでの時間を劇的に短縮できる。10年早めることもできるだろう。

関連記事:破竹の勢いだったVC投資会社の死(未訳)

結局のところ、ベンチャー投資家は賭けが好きなのだ。それも明らかに自分に賭けることを好む。だからこそ、こうしたキャッシュフローの最適化が新興企業の間に広がっているのだろう。自分の会社が失敗することを想定している人間はいない。それに、このような運用手数料体系は、金のない人間が投資会社を立ち上げるときの数少ないツールのひとつになっている。新しく投資会社を設立した者は、またベンチャー投資業界に飛び込もうと考えているその他の人たちも、未来の資金を担保にして、いま金を使うことのリスクとチャンスの微妙な部分を理解できなければ勝ち目はない。誠実さを保ちストレスを溜めないためでもあるが、証券取引委員会の捜査員や法廷会計士の世話にならないためにも大切だ。

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(翻訳:金井哲夫)

Uberの第2四半期は5500億円超の赤字、収入も予測に届かず

米国時間8月8日、Uberは4月から6月にかけての四半期決算を発表した。株式を上場してから2回目の四半期決算報告だが、31.6億ドル(約3343億円)の収入に対して52億ドル(約5500億円)の損失を計上した。

Uber(NYSE: UBER)の株価は、決算発表直前には9%アップして42.98ドルで引け、45ドルという上場時の目標価格にかなり近づいた。しかし第2四半期の巨額の赤字が発表されると時間外取引で11%急落している。

52億ドルの純損失というのはUberの四半期赤字額の新記録だ。収入は対前年同期比で14%しかアップしていない。これが成長の遅さという懸念を再燃させている。Uberでは第2四半期の損失の大部分は上場にともなう株式による報酬支払によるものと説明している。4月の上場に際し社員報酬を株式で支払ったことが原因だという。しかし報酬分を別にしても同社は13億ドルの損失を出しており、第1四半期の損失より30%アップしている。

アナリストは1株あたり3.12ドルの損失と予想していたが、発表は4.72ドルとこれを大きく上回った。 CNBCによれば、アナリストは収入を33.6億ドルと予測していた。これも実際の額は2億ドル少なかった。

Uberの最高財務責任者であるNelson Chai(ネルソン・チャイ)氏は四半期発表の文書中で「我々は引き続き全力で成長に向けて投資していくが、 同時に成長の健全性も追求する。今四半期、我々はこの方向に向けて大きく前進することができた」と述べている。

Uberは4月の上場以後、波乱の道を歩んできた。ビジネスモデルを確立できないため株価は低迷し、同社は経費節減と効率化のために1200人のマーケティング部門の人員の3分の1にあたる400人のレイオフ実施せざるを得なかった。

Uberの赤字が累積していく中、米国における強力なライバルのLyftが四半期決算を発表、 8億6700万ドル(約917億円)の収入に対して6億4400万ドル(約680億円)の純損を計上した。収入は昨年の第2四半期の 5億500万ドルから大きくアップし、アナリストの予想を超えた。昨年動機の純損は1億7900万ドルだったのでこちらも大幅に拡大している。決算発表後、Lyftは3%のアップの62ドルで引けた。しかし同社が「上場にともなうインサイダーの株式売買禁止は1月以上早く解除される」というニュースを発表した後、時間外取引で値を下げた。

UberによればUber EatsのMAPC(月間アクティブ・プラットフォーム・クライアント)数は前年同期比で140%成長したという。実数ではUberを利用するレストランの実数は32万店舗となった。収益については、72%増加して5億9500万ドル(約630億円)に達した。

Uberの2019年Q2の収益報告書はこちらで確認できる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ソフトバンクがマイクロソフトにビジョンファンド2号に参加を呼びかけ

ソフトバンクグループは、投資総額400億ドルというマンモス級のベンチャー投資となるビジョンファンド2号の組成を発表する準備を進めているとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。これに先立って、1号ファンドの運用成績が投資家を熱狂させるほどではなかったため、ソフトバンクグループは2号ファンドの資金集めに苦労しているという噂が数週間前から出ていた。

同社はコメントを控えている。

ビジョンファンド2号に出資することを確約した投資家の第一陣にはゴールドマン・サックスとStandard Carteredが含まれているが、ここにきてソフトバンクグループはMicrosoft(マイクロソフト)と話し合いを行っている情報が流れた。ソフトバンクグループがポートフォリオ企業に対し、クラウドインフラをAWSからMicrosoft Azure,に乗り換えるよう勧めることがMicrosoftがビジョンファンドに参加する条件だという。ビジョンファンドには台湾の年金基金や保険会社も興味を示しているという。Microsoftにも取材を申し込んでいるが、今のところ回答はない。

T-Mobileとソフトバンクグループが過半数の株式を握るSprintとの合併について、米司法省は早ければ来週にも承認を与える見込みだ。この合併が承認されれば、ソフトバンクグループは資金繰りに余裕が生まれ、ビジョンファンド2号に対する出資に追い風となる。

2016年に同社のビジョンファンド1号がデビューしてその規模で世界を驚かせて以来、同社のファウンダーでCEOの孫正義氏はメディアの注目集めてきた。2017年5月には第1回の投資締め切りで930億ドルを確保、さらに追加投資を得て、ファンドの総額は980億ドルとなった。ポートフォリオのターゲットは世界のテクノロジー・スタートアップで、特にIoT、AI、ロボティクス、mバイル、コンピューティング、クラウド・テクノロジー、コンシューマ向けテクノロジー、フィンテックに注力している。これまでのところ、大型投資先には、Brandless、WeWork、Ola、Grab、滴滴出行、Uber、Lemonadeなどが,含まれる。

1号ファンドに対する最大の出資者はサウジアラビアとアブダビの国営投資ファンドだった。サウジがこれまで数々の人権侵害を行ってきたことから、ビジョンファンドがサウジマネーを大規模に受け入れたことはシリコンバレーで倫理的問題に関する議論をよんだ。Apple(アップル)、Qualcomm(クアルコム)、Foxconn(フォックスコン)もビジョンファンドにLP(リミテッド・パートナー)として参加している。

画像:Alessandro Di Ciommo/NurPhoto / Getty Images[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook

ベンチャーキャピタルはなぜ大型化に向かうのか?

(編集部)この記事の筆者はNGP Capitalのマネージング・パートナーPaul Asel氏。同氏はテクノロジー分野の投資家として25年以上の経験がある。

SoftBankとAndreesen Horowitz(a16z)の両社は最近ベンチャーキャピタルの投資規模を拡大するような発表を行っている。Reutersの記事によれば、SoftBank関係者はVision Fundの上場を検討していると述べたという。実現すればベンチャーキャピタルとして初の株式公開となる。 一方、Andreesen Horowitzはアーリー・ステージ向けの7.5億ドルとグロース・ステージ向け20億ドルの2つのファンドの組成を発表した

A16zは過去1年半でバイオと暗号通貨に特化したファンドなどなど一連のファンドを組成しており、総額は35億ドルだ。ファンドにはAndreesen Horowitzに加えてGGVLightspeedSequoia などの著名ベンチャーキャピタルが加わっている。これらのVCは投資先のステージ、地域、専門分野などに応じたファンドを組成してきた。ここ1年半でSequoiaは9つのファンドを組成し、総額は90億ドルに近い。Lightspeedは4つのファンドで合計30億ドル、GGVも4つのファンドで18億ドルをコミットしている。

こうした大型ファンドが多数生まれていることはベンチャーキャピタルの大きく地図を塗り替えるものだ。ベンチャーキャピタルはもはや毎週月曜の朝に何人かのパートナーが小さなテーブルを囲んで次はどの会社に投資すべきか議論するようなコテージ・インダストリーではなくなった。

以前のベンチャーキャピタリストはいってみれば歯科クリニックのような個人営業に近かった。ベンチャーキャピタルはいまや人事、広報、金融、法務、営業などの部門を擁する大企業となり、社内にはバイオ、ロボット、暗号など各投資分野の専門家の大群を抱えている。SoftBank、Sequoia、GGVなどはほんの数名のパートナーでスタートしたが、現在はまたたくまに数百人のチームに成長した。

スタートアップへの投資は本質的にローカルビジネスだ

投資銀行の発達の歴史はベンチャーキャピタルの今後を占う上で役立つだろう。有力な投資銀行や非上場企業に投資するプライベート・エクイティ・ファームは何十年もの間結束は固いが小さな産業分野だった。それが投資規模の拡大によって一般的な企業の構造を備えるようになった。メリル・リンチは1914年に株式ブローカーとしてスタートした。当初は閉鎖的な投資銀行業界への新参者という扱いを受けた。当時はゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、リーマン、クーン・ローブなどの古参投資銀行が市場を支配して高い利益率を誇っていたが、株式市場から潤沢な資金が流入するにつれてメリル・リンチなどの新しい投資銀行が追い上げていった。

やがて投資銀行業界にM&Aの波が押し寄せ、それまでのパートナーシップに代わって近代的大企業の枠組みが主流となる。1854年創立のリーマンは1977年にクーン・ローブを買収し、次に1984年に自身がアメリカン・エキスプレスに買収された。リーマンの投資銀行業務はシアソン・ハットン・リーマンに移管され、1994年にリーマン・ブラザーズ・ホールディングスとしてニューヨーク証券取引所に上場される。投資銀行の大型上場ではモルガン・スタンレーが1993年に、ゴールドマン・サックスが1999年にそれぞれ実現している。

プライベート・エクイティ・ファームもすぐにこのトレンドに続いた。投資銀行同様、当初は小規模なパートナーシップで出発したが、活発なM&Aを支えるために貪欲に資金を求めていた。この資金需要を満たすには上場して株式市場から調達するのが近道だった。現在プライベート・エクイティ・ファームのトップ5社はすべて上場企業だ。ポートフォリオ2500億ドルのApollo Global Managementは2004年に、4700億ドルのBlackstoneは2007年に上場しており、Carlyle、KKR、Aresもすぐに続いた。

長らくベンチャーキャピタルは投資銀行とプライベート・エクイティ・ファームに訪れた巨大化とM&Aの波から隔離されていた。 スタートアップへの投資は本質的に相手をよく知っていなければならないローカルビジネスだ。テクノロジーの革新は歴史的にみて「早いもの勝ち」だ。MicrosoftOracleの例をみても、こうしたリーダー企業の資金効率は非常に高かった。多くの場合、上場以前の資金調達は総額で2000万ドル以下に過ぎなかった。ベンチャー企業は本質的にリスクが高く、不安定なビジネスだ。利益は企業ごとに大きく異なり、失敗の率も高く波も大きい。

イノベーションにはますます金がかかり、起業家はVCにますます多くを求めるようになった

しかし投資銀行やプライベート・エクイティ・ファーム同様、ベンチャーキャピタルも資金量が勝負となってきた。イノベーションを起こすには金がかかる。起業家も投資家もビジネスの着実な成長より一発勝負の革命を求めるようになる。既存のライバルの脅威を退けるためにはいわば衛星軌道に入れる地球脱出速度が求められる。スタートアップは次第に成長するにつれて有力な既存大企業と競争を強いられる。起業家としては資本効率の高い「リーン・スタートアップ」がトレンドだが、ベンチャーキャピタル側からみるとスタートアップをサポートするためのサービスづくりは決してリーンではない。特に財務、法務、マーケティングなど成長を加速するために必須の部門に人材を確保するには多額の資本を必要とする。現在大手ベンチャーキャピタルでは直接投資に携わるスタッフよりもサポート部門の人員のほうが多くなっている。

ベンチャーキャピタルは多様化、分断化が著しい業界だ。シリコンバレーだけでも200社以上のベンチャーキャピタルがひしめきあっている。これまでテクノロジーのイノベーションとは無縁と思われていたような地域、国々に数百のベンチャーキャピタルが生まれている。しかしベンチャーキャピタルへの需要が高まるにつれ、大量の資金を動かせる大型ベンチャーキャピタルが有利になる。今後10年程度で群小ベンチャーキャピタルの統合が進むのは間違いない。

大型化するベンチャーキャピタルの攻勢に耐えて一部の業種に特化したブティック型の投資銀行やプライベート・エクイティも生き残っている。同様に小規模なエンジェル投資、シード投資もSoftBank式の組織的な投資方式に対抗している。特定のテクノロジーや特定の地域、またそこで活動する起業家を熟知したベンチャーキャピタルは継続的に高いリターンを得ている。しかしながら、資本の集中度合が強まっているのが現実のトレンドだ。周辺には能力の高いエンジェル投資家、シード投資家が残るとしてもベンチャーキャピタル業界は投資銀行と同様、最終的には少数の巨大なグローバル企業が寡占するる世界になるだろう。

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滑川海彦@Facebook

Slack上場初日の株価急騰、終値は48.5%アップの38.50ドル

米国時間6月20日はSlackにとって歴史的な日となった。ビジネスコミュニケーションに革命を起したスタートアップはWORKのティッカーシンボルでNYSE(ニューヨーク証券取引所)に上場を果たしたが、初日の取引で株価は大きくアップし38.50ドルの終値を記録した。これは売出価格の26ドルを48.5%も上回る価格だ。

2009年にTiny SpeckとしてスタートしたSlackの取引は上場初日からホットなものとなり、場内取引で一時42ドルが付いた。Slackの時価総額は200億ドル(約2兆1470億円)を楽に超えるものとなっている。最近の資金調達ラウンドの会社評価額が70億ドル(約7510億円)だったから3倍に跳ね上がったことになる。

Slackの木曜日の上場はベンチャーキャピタルが支援するテクノロジー・スタートアップの大型直接上場として2件目の例だ。これまでの上場では投資銀行が新株を一括して引受け、証券取引所で売りさばくのが普通だった。これに対して新株を発行せず、投資銀行も介さず、発行済み株式を証券取引所で売買できるようするのが直接上場だ。これによって上場企業は投資銀行が株価差益や高額の手数料を得ることを避けられる。またロードショーと呼ばれる投資家向け説明会を各地で開催する必要もない。売り出された株式はこれまでベンチャーキャピタル、ファウンダー、社員などの関係者が保有していたものだ。

Slackの共同ファウンダーでCEOのスチュワート・バタフィールド氏はビリオネアの仲間入りを果たした。バタフィールド氏はSlackの8.6%を所有しており、これは売出価格で計算しても16億ドル(約1717億円)だった。最大の株主はベンチャーキャピタルのAccel Partnersで所有する株式の価値は46億ドルだという。以下大、Andreessen Horowitz が26億ドル、Social Capitalが20億ドル、 ソフトバンクが14億ドル、Slackの共同ファウンダーであるカル・ヘンダーソン氏が6.46億ドルとなっている。

Slackの上場成功は予期されたものだった。今年の上場では企業向けSaaS(Zoom、PagerDuty,など)のパフォーマンスが最良だった。SharesPostによれば、エンタープライズSaaSの上場では売出し価格から平均して100%以上の値上がりがあったという。

直接上場は新しい手法であるためリスクも大きいが、Slackの場合は世界的な知名度に加えてウォールストリートでは誰もがSlackに一口乗りたがっていたことが追い風となった。

Spotifyも直接上場を選んだが、それなりの好結果を残している。ただし売出し参考価格132ドルに対して初日の終値は10%ダウンだった。

Slackはこれまでに12億ドルを調達しており、投資家にはAccel、Andreessen Horowitz、Social Capital、ソフトバンク、Google Ventures、Kleiner Perkinsといったメンバーが含まれている。4億ドルを調達した2018年後半のラウンドの会社評価額は71億ドルだった。

上場企業となった以上、今後は当然ながらSlackの財務状態に注目が集まる。直接上場の数週間前にSlackはSEC(証券取引委員会)に提出したS-1申請書を修正し、損失率が半減しているなど収益化への展望を説明した。

Slacの発表によれば、4月30日を末日とする四半期の収入は1億348万ドル、赤字は318万ドルだった。 このSlackの収入は対前年比で67%アップしている(809万ドルの収入に対して赤字248万ドル)

今年の1月31日を終期とする会計年度では、収入は4億60万ドルの収入に対して赤字は1億3890万ドル(35%)だった。その前年度には2億2050万ドルの収入に対して赤字は1億4010万ドル(64%)が計上されていた。

画像: Drew Angerer / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Makeの親会社がスタッフ全員レイオフ、運営停止の悲劇

人気のDIY工作雑誌MAKEの発行元でテクノロジーとアートのカンファレンス、Maker Faireを主催してきたMaker Mediaの経済的問題が深刻化し、運営の停止を余儀なくされた。22人のスタッフは全員レイオフされ、事業はすべてストップした。TechCrunchが聞いていたMaker Mediaの困難な財政状態はファウンダーでCEOのデイル・ドハティ氏によって確認された。

創立以来15年にわたってMAKEはわかりやすいステップバイステップの解説で多彩なサイエンス工作を紹介することで大人にも子供にも根強い人気を得てきた。MAKEの読者を中心としてコミュニティーも発展した。2006年以降、Maker Faireは直営、ライセンスも含め40カ国で毎年200回以上が開催されてきた。会場には美しく不思議なインスタレーションが置かれて来場者のインスピレーションを誘っていた。

ドハティCEOはTechCrunchに対し「Maker Media Inc.は運営を停止した。22名の従業員は全員会社を去る。私はこの会社を15年前に創立したが、以来ビジネスは苦闘の連続だった。印刷媒体はもはや有力なビジネスではなかったが、それでもかろうじて運営を続けることができた。イベントの企業スポンサーの脱落が大きかった」と語った。実際、Microsoft、Autodeskは今年、Maker Faireのフラグシップイベントであるベイエリアでの開催のスポンサーに加わらなかった。

それでもドハティ氏はなんらかの形でMakerブランドを残そうと努力している。例えばMAKEのオンラインアーカイブを残し、サードパーティーにブランドをライセンスしたりできないかと方法を探っているという。これを可能にするため、Maker Mediaは通常の倒産手続きでなく、債務を債権者に一括譲渡する手続きによろうとしている。

ドハティ氏は「Makerコミュニティーが示したサポートに言い表せないほど感激している」と語った。現在、世界で進行中のMaker Faireイベントはそのまま続行されるという。ドハティ氏はOculusの共同ファウンダー、パーマー・ラッキーが出資の可能性に興味を示していると語った。またGoFundMeページもスタートしている。

これはヒドイ。友だちと私はMaker Mediaを助けたい。私はMaker Faireが大好きだ。文字通どおり創刊号からずっとMAKEの愛読者だった!―パーマー・ラッキー

CEOによれば、2016年のレイオフ以後、同社が直面してきた経済的苦難をスタッフはよく理解していたという。SF Chronicleによれば、この3月にはさらに8人がレイオフされた。未取得の有給休暇ぶんを含めて未払分給与は支払われたものの、退職金やこのような場合に通例の2週間ぶんの給与は支払われなかった。

ドハティ氏によれば「この会社はベンチャーキャピタルの投資を受けてスタートしたが、機会を十分に活かせなかった」という。MakerはObvious Ventures、Raine Ventures、Floodgateから1000万ドルの資金を調達したが、「投資家を十分満足させることができなかった。ミッションとしては強い支持を受けているが、ビジネスとして失敗だった。NPOの体制を取ったほうがよかったかもしれない。われわれのプロジェクトでいちばん成功したのは教育関係だった」とドハティ氏はいう。

Maker Mediaに対するコミュニティーの支持は以前として熱烈だ。ドハティ氏によれば、雨天だったにもかかわらず先週のビッグイベント「Bay Area Maker Faire」の入場者は目標を達成していた。MAKE誌には12万5000人の定期購読者があり、YouTubeチャンネルの登録者も100万人を超していた。しかし家賃や製作コストの高騰、またコンテンツが無料のオンラインDIYプロジェクトで直接収入源にならないことなどが経営を圧迫していた。

再生に向けての努力が今後どうなるか不明だが、Maker Mediaはある世代の人々とその家族にテクノロジーとアートのインスピレーションを与え続けてきたことは間違いない。【略】

「Maker Mediaは多くの人々の役に立つことができたと思うが、今日のビジネス環境では私は十分な成果を挙げられなかった」とドハティ氏は結論した。現在のところMaker Mediaは辺土で冷凍状態となっている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ビジネスチャットのSlackが非公開でSECに上場申請したと発表

ビジネスにおけるチャットと情報共有の有力企業、Slackは今年中に株式を上場するために証券取引委員会(SEC)に対して書類を提出したことを明らかにした。ただし書類は当面非公開。

創立5年になるSlackが上場のための具体的措置を取ったのはこれが初めてだ。

サンフランシスコに本拠を置くSlackは、8月の 4億2700万ドルのラウンドを含め、10億ドル以上の資金を調達している。8月のラウンドの会社評価額は71億ドルだった。これによりアメリカで最も.会社評価額の高い非公開企業のひとつであることが確認された。

Slackの発表によれば、世界の1日あたりアクティブユーザーは1000万人、2019年1月現在で 8万5000人が有料ユーザーだ。 SensorTowerからメールで提供されたデータによると、2018年のインストール数は800万回で前年同期比21%アップしている。モバイルユーザーは、2018年第4四半期に前年同期比で21%アップ、2400万人となった。2018年中の新規インストールは800万で前年同期比で21%アップしている。

Slackの株主にはSoftBankのVision Fund、Dragoneer Investment Group、General Atlantic、T. Rowe Price Associates、Wellington Management。Baillie Gifford、 Social Capital and IVPが含まれる。有力ベンチャーキャピタルのAccel、Andreessen Horowitzも初期からの投資者だ。

Slackは今年上場が予定されているユニコーン(10億ドル級)テクノロジー企業の一つだ。UberとLyftも今年の上場を目指して同様に非公開で申請書をSECに提出している。この両社は証券会社を幹事とする通常の上場を行う予定だが、SlackはSpotifyの例にならって直接上場を目指す。新株を発行するのではなく、関係者、社員、投資家などが保有する発行済株式を市場で販売可能とする。これにより、ロードショーと呼ばれる上場説明会の開催やウォールストリートの証券会社による高額な上場手数料をバイパスするのが狙いだ。

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滑川海彦@Facebook Google+

Foxconnは190億ドル分の工場建設を中止、競争力と長期的投資のバランスは?

Foxconnが世界的に事情縮小を進めるペースはわれわれが想像していたよりずっと速かった。昨日(米国時間1/30)、TechCrunchはFoxconnがウィスコンシン州に建設予定だった100億ドル規模の工場建設をキャンセルしたことを報じた。ウィスコンシン州政府は大混乱に陥っているようだ。これに加えて、Nikkei Asian Reviewが入手した内部文書によれば、Foxconnは広州の90億ドル規模の工場建設も延期する方針だという。その原因として貿易戦争の激化とマクロ経済の減速に対する懸念が挙げられている。

われわれは昨日の記事でマクロの経済環境の影響について論じたが、Foxconnのドラスティックな規模縮小の決断を理解するには製造業のフレキシビリティーに関する考察が必要になりそうだ。

数週間前、私はFictivのファウンダー、Dave Evansにインタビューした。Fictivはファブレス製造を請け負うスタートアップだ。 Evansによれば「製造業のクラウド化と考えていい。AWSやロードバランシングサーバーを使うのと同様、需給に応じてダイナミックにスケールアップしたりスケールダウンしたりできる」のだという。

政治的環境が急速に変化し、消費者需要の予見も難しい現代では、「製造業には何より柔軟性が必要だ」とEavansは強調した。「地政学的条件の変化に対応できるほど機敏なサプライチェーンを構築する方法についてまだ誰も語っていない。サプライチェーンの確立には数年、場合によって十年以上もかかることもある。しかし政府の政策、各種の貿易取り決めを考えると四半期レベルの対応速度が必要だ」とEvansは述べた。

「強固な基盤の上に事業を構築したければ、強固なサプライチェーンを構築する必要がある。トランプ大統領がツイートするたびあちこちに吹き飛ばされるピンポン玉にはなりたくないだろう」とEavansは語った。前回の記事で指摘したように、アメリカの製造業の復権を妨げている最大のハードルはこの規模の柔軟性の欠如だ。

製造規模を機敏に変更できる点が長年中国の製造業の優位性をもたらしてきた。事情をよく知る知人によれば、「中国の製造業で最大の強みは、深シンセンや広州で最近発展したエコシステムではなく、工場を一週間で数万人規模で拡大縮小できることだ」という。

中国経済において単なるメーカー以上の巨大な存在となっているFoxconnは事業規模の柔軟性の重要さについて知り尽くしているはずだ。Foxconnには発注者の需要に対応して即座にパーツや完成品を何百万という単位で提供し、あるいは提供を止める能力がある。成長計画が実情に合わないと見てとれば即座に修正する。これはウィスコンシン州には大損害をもたらしたが、アメリカが外国製品との競争で遅れを取ってきた大きな理由が柔軟性の欠如だ。

競争力の維持と長期的投資を両立させるというジレンマ

東京における重要な鉄道ターミナルであり商業センターでもある渋谷地区は民間企業の東急が運営の重要な役割を担っている。

競争は資本主義に必須の要素だ。激しい競争があればそれだけ価格は下がり、消費者は利益を得る。われわれが独占を防止するさまざまな規制を設けているのはそのためだ。

しかし同時に、競争は皆が小さなパイを奪い合うという副作用をもたらしがちだ。今の売上が今四半期の決算に直接反映される。目先のサバイバルと利益率が何より大事になると長期的な投資は後回しになってしまう。収入はマーケティングと営業に回され、研究開発や企業の将来のために投資されない。

これが競争にまつわる巨大なジレンマだ。競争が足りなければ非効率が温存される。しかし、われわれの直感とは逆に、独占はイノベーションの生みの親となってきた。現代のGoogleやMicrosoft、以前のXeroxのパロアルト研究所やAT&Tのベル研究所はわれわれの生活に大きな影響を与える新しいテクノロジーを無数に育ててきた。独占に支えられた強固な経営基盤と長期的なビジョンがこうしたイノベーションを生んだ。

ここで興味あるのは、世界の鉄道の民営化の成功と失敗を分析したFinancial Timesの長い記事(有料)だ。要約すれば日本は民営化と顧客満足度の向上の双方を成功させたが、イギリスでは民営化後、料金が上昇して運行本数が減った。 逆にスイスの鉄道は模範的に運営されているが完全に国有企業だ。

どうしてこういう差が生まれたのだろうか?

スイスと日本という成功例に共通しているのはシステム志向だ。つまり「鉄道企業」だからといって物理的な鉄道だけが事業の対象ではないことを両国は理解していた。日本の鉄道企業は広大な土地を保有しており日本有数の不動産デベロッパーでもある。鉄道の利用者が増えれば、駅やその周辺に建設されたショッピングセンターの利用者も増える。鉄道とショッピングセンターの所有者が共通であるためにこういう循環が生じる。

しかし独占は独占だ。事業を分割して競争させればもっと利潤を消費者に還元できるのではないか? しかし日本の鉄道事業者は沿線に広大な土地を所有しているため鉄道ビジネスの長期の繁栄のためには沿線の繁栄が欠かせないという事情にあった。Financial Timesの記事によればこうだ。

東急電鉄は東京西部のもっとも人口の多い郊外に路線を持つ私鉄だ。取締役の城石文明氏は、 「東急の沿線は魅力のある住宅地だ。われわれは 若い世代が将来にわたってこの沿線を好み、住み続けてくれるよう全力を挙げている。なるほど日本では今後人口増は見込めないだろうが、鉄道事業において勝者と敗者は生まれるだろう。人々は便利な場所に集まる。つまりある沿線では人口が30%増えるのに対して、別の沿線では70%減るというような事態が予想される」と述べた。

つまり競争はここでも存在する。ただ非常に長期的なスパンの競争だ。東急電鉄のような会社は時刻表どおり電車を走らせることだけが事業の最終目的ではないことを理解している。人々が生活の基盤としてどの沿線を選ぶかという非常に重要な決断が電鉄企業のパフォーマンスにかかっているのだ。同時に沿線環境を高いレベルで維持すれば電鉄会社は投資の元を取ることができるという点も考えねばならない。

今日の多くのスタートアップが直面する課題の中でも、長期的投資をどうするかはもっとも重要かつ困難なものだと私は見ている。いうまでもなく競争は激しい。キックスクーターのスタートアップを立ち上げた、と思った瞬間に情勢が激変し、数々の難題が降りかかる。長期的に価値ある会社を作るのは重要だ。しかし「6ヶ月後には倒産しているのだったらどうやって長期的価値を実現できるのか?」という議論に答えるのは難しい。

シリコンバレーではヘルスケア、教育、建築、不動産といったジャンルに進出する企業が続いている。こうした分野のプロダクトの研究開発には巨額の長期的投資が必須だ。長期的な利益を生むためには競争の減少にともなう副作用を最小限にしつつ最大限の投資を確保することがこれまでになく重要になっているるのだと思う。

TechCrunchはこの記事のようなフォーマットをテスト中。 この記事は草稿であり完成したものではない。 フィードバックはdanny@techcrunch.comまで。

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滑川海彦@Facebook Google+

Apple株価引き続き下落、90日で38%――主因は米中貿易戦争

Appleの株価は一晩で9%以上ダウンした。実際、同社の株価は昨年の10月以来、トータルで38%も下落している。昨日(米国時間1/2)、Appleが収入の低下を警告する異例のガイダンス修正を発表する際、.株式売買は一時中断された。iPhoneをアップグレードする需要が失速したことが同社の収入、ひいては株価に大きな影響を与えたものとみられる。

10月3日の株価は232.07ドルだった。その後市場は乱調で全体として下落傾向だ。Appple株もここ数ヶ月ダウンを続け10月の高値と比べて87ドルも値下がりしている。

 

昨日の午後、Appleはガイダンスの下方修正による混乱を避けるため株式売買を一時停止したが、このときの株価は157.92ドルだった。今朝、この記事の執筆時点の株価は8.19%ダウンの144.981ドルだ。.

D.A. Davidsonのシニア・アナリスト、Tom Forteは昨日のガイダンス修正について、「Appleの経営は盤石と思われていた。なるほどiPhoneの売上台数は軟化していたが、これほど深刻だったことには驚かされた」と述べた。

Forteは昨日の発表でいちばん重要だったのはAppleが売上の20%を得ていた中国市場の問題だと考えている。長期化が予想される米中貿易戦争は売上に大きな影響を与えるだろう。貿易戦争は中国経済を全体として減速させるし、愛国心の高まりからiPhoneに代えて中国製スマートフォンを買う動きも起きるはずだ。

しかもすでにApple自身がインド、ロシア、ブラジル、トルコなど中国を除く市場でもiPhone売上が低下することを予想していた。しかしForteはやはり中国市場の問題がいちばん大きいと考えている。

Forteは「iPhoneのパフォーマンスが低下している一方、他のプロダクトは19%も成長していることは将来に向けて明るいニュースだ」という。しかもAppleの資金は潤沢であり、株式買い戻しのために1000億ドルを用意している。「株式買い戻しプログラムもあるし、決算は好調でキャッシュフローも巨額だ。つまり市場で投資家が株を買わないのならApple自身が買えばよい」とForteは説明した。

Canaccord Genuityの今朝発表してレポートでアナリストは、「昨日のガイダンス修正にもかかわらず、Appleのファンダメンタルズは良好であり、引き続きわれわれはApple株式についてBUY格付けを維持する」としている。

Forteは「ただし米中貿易戦争の将来は大きな疑問符だ。他のプロダクトの販売は好調であるものの、貿易戦争の状況が流動的である間は収入予想を上方修正することはないだろう」とみている。

〔日本版〕日本時間1月4日7:40AMにおけるApple株式は上の記事からさらに2ドルダウンして142.50ドル(時間外取引)。前日からほぼ10%のダウンとなっている。

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滑川海彦@Facebook Google+

テクノロジー・スタートアップは景気後退に備えよ――今やるべきことはこれだ

流れが変わる速さには驚かされる。数ヶ月前にわれわれはテクノロジー・ブームの真っ只中にいて、この好景気は永遠に続くようにみえた。 いまやリセッションを予告すると考えられる逆イールドカーブが現れ、市場は全面的に弱気だ。Google Trendsを開けばまさにこの“recession”という単語の検索回数が2008年から9年にかけての金融危機年以来最大となっている。世界の専門家がほぼ全員一致で近く景気後退があると予測している。

(Bloomberg記事) Lux Parnersのパートナー、Bilal Zuberiは「ある程度の景気後退が起きるのは100%確実だと考えている。大きな調整局面となるだろう」と述べ、スタートアップに対してコストカット、財務報告の厳密化の徹底(もしまだやっていないなら)を勧め、さらに今のうちに資金調達を行うべきだとしている。Zuberiはまた「キャッシュを十分に確保しておかねばならない。これは準備不足のライバルが会社や資産を売りに出す場合があり得るからだ」と述べている。

ではその景気後退はいつ起きるのだろうか? もちろん正確なことを予測するすべはないが、専門家は2019年下期から2020年上期あたりだろうと言っている。悲観的な筋(大勢のCEOを含む)はもっと早いと考えている。ではこの景気後退がテクノロジー分野に与える影響は? いい質問だ。

実はテクノロジー分野はバブル破裂に強い。景気のダウンから利益を得ることさえある。2008年の経済危機でも悲観的専門家は「テクノロジー産業の反映は終焉迎える」と警告した。スマートマネーの代表、Sequoia CapitalでさえR.I.P. Good Times(良き時代よ、安らかに眠れ)という長いスライドを作って運命の暗転を警告した。しかしこの予言が失敗に終わったことは誰もが覚えている。

一方、「ソフトウェアが世界を食い尽くす」現在、すべての産業はソフトウェア産業になりつつあるので景気後退はこのシフトを加速する」という理論がある。こうした過激なディスラプトによって苦しめられる個人の数を考えると無条件に喜ぶことはためらわれる。しかし一部の起業家はこのプロセスから利益を得るし、長期的かつマクロの観点からはこうした展開はあり得る。景気後退は隕石の衝突のようなもので、それが恐竜を滅ぼし、身軽な哺乳類―ソフトウェア企業―の繁栄をもたらすかもしれない。

仮にこうした理論が事実であっても、多数の個別企業が激しく揺さぶられることは間違いない。起業家は支出を抑えることが至上命題となる。長期的には大きな価値を生む可能性があるが、短期的には利益を生まないプロジェクトはまっさきにコストカットの対象になるだろう。消費者は財布の紐を固く締めるようになるだろうし、アプリを購入したり広告をクリックしたりする回数は現象するだろう。誰もが万一に備えてキャッシュを後生大事と抱え込み、リスクの大きい投資をしなくなるだろう。

大きな打撃となるのは、資金の流れが細るということより、マインドセットが後ろ向きになることだ。SF作家のブルース・スターリングは住宅抵当証券の破綻に始まった2008年の金融危機について、「興味ある点は、物理的存在にはまったく何の変化もなかったのに、われわれは突然希望の世界から絶望の世界に投げ込まれたことだ」と観察している。予想される景気後退も、理論的にはハイテク産業には大きな悪影響を与えないかもしれない。考えられないことだが、仮にGDPが10%減少するといった事態になっても、軍閥とミュータントが跳梁するマッドマックスの荒野が出現するわけではない。しかしわれわれは成長する世界にあまりに深く慣らされているため、単なるスタグネーションでも大災害のように感じられるかもしれない。

なすべきことは明らかだ。景気後退は間違いなく起きる。これには災害とチャンスの両面がある。その割合は個人や企業の置かれた状況によっても、またその備えによっても異なる。背伸びをしてはならない。(必要以上の)借金をしてはならない。パニックに陥ってはならない。なるほど新しいプロジェクトをスタートさせたり会社をピボットしたりするには適さない時期を迎えるかもしれない。しかし、好むと好まざるとによらず、「世界を食い尽くす」ソフトウェア産業は産業構造の食物連鎖の最上位にいる。隕石の衝突は避けられないだろうが、明るい側面も存在する。われわれは自他の利益のためにできるだけの努力をすべきだろう。

画像:Pixabay (opens in a new window) under a CC0 (opens in a new window) license.

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イーロン・マスク、Tesla非公開化の資金はサウジの政府系ファンドと発表

昨日の記事で、Teslaの非公開化にあたってイーロン・マスクがサウジの政府系ファンドの資金を使える可能性は十分あると私は推測した。今日(米国時間8/13)、マスクは声明を発表し、Teslaの非公開化に関してサウジアラビアの政府系ファンド、PIF(Public Investment Fund)と2年近く前から話し合いを続けてきたと明らかにした。

実際、提案してきたのはサウジ側だったようだ。マスクは「Teslaの非公開化に関して(PIFから)複数回の接触があった」と述べている。

マスクによれば、Teslaに関してサウジのPIFと最初に会談したのは2017年初頭で、PIFが「脱石油を図る必要を感じた」ことがその原因だったという。その後1年でさらに数回の会談を重ねた。「サウジの政府系ファンドは(Teslaの非公開化に必要な)資金を十分持っている」とマスクは述べている。前回の記事で指摘したとおり、PIFの資金は2兆ドルに近づいている。

PIFが株式市場でTesla株の5%を買ったとき、PIFはマスクとさらに話し合いを求めてきた。マスクによれば、この会談は今年の7月31日に行われ、マスクは「もっと早くPIFと協力して非公開化に取り組むべきだった」と述べたという。このときPIFの責任者はTeslaの非公開化にあたって「資金協力の意思を強く表明した」ということだ。

マスクは「サウジ政府系ファンドの協力が疑いなく得られることとなり、あとは実行あるのみとなった」と述べた。マスクが8月7日のツイートで「資金は確保してある」と書いたのはこれを指していたという。

マスクによれば「(PIFとの)契約はほぼ完了しており、ロジスティクスを含めた若干の詳細を詰めるだけだ」という。

もちろんこの声明は多少割引して聞く必要がある。 SEC(証券取引委員会)はTeslaの非公開化に関するツイートについてマスクに質問をしたみられている。質問は必ずしも正式な調査の開始を意味しないが、万一、非公開化の意図をツイートで公開したことがなんらかの違反に問われることになれば、数億ドルの罰金から刑事訴追までの可能性が考えらえる。

この声明を「面子を保つための虚勢だ」とする声も一部にありそうだが、そうではないだろうと思っている。私自身、この地域のビジネス文化には直接の経験があるが、それからしてもPIFがTeslaの非公開化にあたってマスクと協力していくことは間違いはずだ。【マスクの声明は原文参照】

画像:Chris Saucedo/Getty Images for SXSW / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

SEC、マスクのTesla非公開化ツイートについて調査開始

昨日(米国時間8/7)、Teslaのファウンダーのビリオネア、イーロン・マスクが1株あたり420ドルでTesla株を買い戻し、同社の非公開化を検討しているとツイートしたことが大きな注目を集めた。ジョークだろうとか悪いもので食ったのだろうと聞き流す向きもあったが、ともあれ市場は反応した。Telsaの株価は11%アップし、一時市場での売買が停止された。

これについてSEC(連邦証券取引委員会)が調査に乗り出したという。

Wall Street Journalの記事によれば、SECはTesla非公開化に関連して、イーロン・マスクが本当に非公開化を実行する意図があったのか、また規則に定められた方式による書類提出でなく、この特定のタイミングでツイートによってその意図を公開した理由について調査を始めているという。ツイートによって意図的に株価の操縦が試みられたとSECが認定すれば、マスクは法的責任を問われる可能性がある。

マスクはその後で全社員向けにメールを送り、非公開化は「株価の乱高下によって受ける悪影響を最小限にできる」ので「前進するための最良の道」」だと述べた。四半期決算の成績を維持しなければならないという圧力にさらされることは長期的視野に立った経営にとって必ずしも有益でないという。われわれはSECとTesla双方にさらなる情報を求めている。

マスクはツイートで「資金は確保した」と述べたが、その資金の出し手が誰であるか依然として説明されていないサウジアラビアの国営ファンドがTesla株式に20億ドルを投じたというニュースが報道され直後にこのたツイートが行われた。Wall Street Journalによれば、マスクは先週、Teslaの取締役グループに対し非公開化の意向を説明したという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Microsoft、GitHubを買収か?

この週末、レッドモンドではMicrosoftが大手コード共有サイト、GitHubを買収するという情報が流れた。 Bloombergによれば、「事情に通じた筋」から得た情報だとし、早ければ明日にも正式な発表があると予想している。

先週、Business Insiderは、両社の間で買収の話し合いが進められているという記事を掲載した。これはデベロッパーのコミュニティーをビジネス上の非常に重要な要素するMicrosoftとしては理にかなった動きだ。伝えられるところでは、GitHub側もサティヤ・ナデラに「強い印象を受けた」ということだ。ナデラは2014年にMicrosoftのCEOに就任して以来、プログラマー、デベロッパーを積極的に応援してきた。

ナデラは昨年のBuildカンファレンスのキーノートで「デベロッパーが社会のあらゆる要素に深い影響を与えることができるチャンスがこれほど広がった例は過去にない。しかしチャンスには同時に巨大な責任が伴う」と述べている

これはやや劇的な表現だったが、GitHub買収はMicrosoftに2700万人のソフトウェア・デベロッパーにアクセスする道を開く。もちろんデベロッパーのすべてがMicrosoftによるGitHub買収を歓迎しているわけでない

一方GitHubは共同ファウンダーのChris WanstrathがCEOを辞める予定だと発表して以来1年近く後任探しに苦労している。WanstrathがCEOに就任したのはその3年前だった。.

また今年に入ってGitHub史上最大規模のDDoS攻撃を受けた。GitHubはダウンしたものの、10分程度で復帰した。

買収交渉の詳細やこの買収がGitHubの熱心なユーザーのコミュニティーに与える影響などについてはまだ情報がない。われわれはMicrosoftにコメントを求めている。

アップデート:Microsoftのコミュニケーション担当コーポレート・バイスプレジデント、Frank X. Shawは「ノーコメント。この種の噂にわれわれがコメントしたことがないのは皆さんもよく知っているだろう」と述べた。

画像:TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Netflixは時価総額でComcastを超えた――絶好調という噂一覧

Netflixの時価総額は今やケーブルTVの最大手、Comcastを超えた。企業を評価する尺度は時価総額以外にも多数あるが、象徴的な意味としてはAppleの時価総額がExxonを追い越したときと比較できる。テクノロジーの発達におけるある種の分水嶺となるかもしれない。

Netflixについて、実際の意味はともかく、象徴的に目立つ話題をいくつか拾ってみよう。

  • Netflixのユーザー数は依然上昇中:ユーザー数は市場が最初に注目する数字であり、Netflixの株価(つまりは時価総額)が上昇しているのもこれによる。
  • ケーブルTVの解約が続く:. Netflixはコンテンツの配信をビジネスとしており、ケーブルTVを提供しているわけではない。しかしNetflixから配信を受けるためにはインターネット接続が要るので現状では家庭になんらかのケーブルを引き込む必要がある。もちろん将来すべてが無線接続になれば話は別だ。
  • Netflixはコンテンツ製作に大金を投じている:人々が望む(消費する)のはコンテンツだ。ケーブルTVも結局はそのコンテンツを売っているわけだが料金が高い。Comcastはこれに対抗してNetflixをバンドルし始めた
  • NetflixとComcastは株価の基準が大きく異なる:Comcastの株価はその現実の収益性に基づいている。Netflixは…なんというか、成長中の会社として、将来はComcastより大きなビジネスになるだろうという期待に基づいて評価されている。そうなるかもしれないし、ならないかもしれない。
  • Comcastの売上はNetflixよりはるかに大きい:今年第1四半期の売上はNetflixが37億ドル、 Comcastが228億ドル、フリーキャッシュフローが31億ドルだった。一方、Netflixは2018年のフリーキャッシュフローについて30億ドルから40億ドルの赤字を予想している。

ともあれNetflixは2ヶ月くらいのうちに次の四半期決算を発表するはずだ。上に挙げたような指標にも変化が生じるだろう。Netflixの株価は市場の期待に基づいているため、簡単に動く。もちろん株価の変動はBitcoinほど大きいわけではないが、ランダム性も高く予測は難しい。

おっと、これからNetflixでリバーデイルのシーズン2を見なければならない。やっぱりこういう独占コンテンツがあるからComcast より強いのだろう。あと数時間は忙しいので悪しからず。

画像:Ethan Miller

〔日本版〕現在のNetflixの時価総額は1518億ドル、Comcastは1455億ドルとなっている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

テスラの株主、Elon Musk氏を取締役会議長から外すよう提案

テスラの株主総会が6月に開かれるのを前に、株主のJing Zhao氏はCEOのElon Musk氏が2004年から務める取締役会議長の職を、社外取締役が担うよう提案書を提出した。

Zhao氏の主張はこうだ。議長とCEOを同じ人物が担うというのは、社の創成期であればリーダーシップとして有効だったかもしれない。しかし、競争は厳しく、変化の激しい時代にあって、議長とCEO職を兼ねるのでは、事業や首脳陣の監督をする(特に、起こりうる対立を最小限に抑える)のは難しくなるばかりだ−。

テスラの普通株を保有しているZhao氏はまた、SolarCityやSpaceXでのMusk氏の役職にも言及し、これら2社にMusk氏が関与することは、今後混乱を招くかもしれないとしている。しかし、実際、ここでいう混乱は起こることは考えにくい。

取締役会はこの提案に対しすでに反対の意を表明し、かつこの提案を採決にかけることを勧めている。取締役会が表明した声明では、テスラの成功はMusk氏の取締役会議長として、そして社の代表としての舵取りなしにはあり得なかった、としている。

また取締役会は「将来、会社が成長するため、それをなし得るために必要なことを実行するという観点においても、Musk氏が今後も議長を務めるのがベストだと信じている」と述べている。さらには「仮に、社外からではない取締役が議長を務めることに伴ってガバナンスで問題が生じたとしても、筆頭社外取締役が社を守ることになる。この役職は、社外取締役の意見を反映させ、また代表取締役と定期的に意思疎通を図るという幅広い権限を取締役会により付与されている。加えて、社内には現在、2017年7月に加わった2人を含め計7人の社外取締役がいる」としている。

この件に関しテスラにコメントを求めたところ、取締役会の声明が送られてきた。下記が全文だ。

Elon Musk氏は日々社のビジネスに全力を傾けているが、そうではない取締役が取締役会を率いていたら、社のこれまでの成功はなかった、と取締役会は確信している。また、将来、会社が成長するため、それをなし得るために必要なことを実行するという観点においても、マスク氏が今後も議長を務めるのがベストだと信じている。

仮に、社外からではない取締役が議長を務めることに伴ってガバナンスで問題が生じたとしても、筆頭社外取締役が社を守ることになる。この役職は、社外取締役の意見を反映させ、また代表取締役と定期的に意思疎通を図るという幅広い権限を取締役会により付与されている。加えて、社内には現在、2017年7月に加わった2人を含め計7人の社外取締役がいる。取締役会としては、筆頭社外取締役が幅広い権限を持ち、そして他に6人の社外取締役がいることから、取締役会の独立性は保証されていると考えている。このような取締役会の構造は他の大企業と同じものであり、2017年Spencer Stuart Board Indexによると、S&P500社の72%の取締役会議長は社外取締役ではない。

今回の提案者は、社が多大な競争やテクノロジーの急速な変化に直面するまでの創成期において、CEOが議長を兼ねていたのはリーダーシップをとるという点で効果的だったことを認識している。まさに今も、社はめまぐるしい変化や外部からのプレッシャーに素早く適応しなければならず、そのためには取締役会は社の運営で足並みをそろえる必要がある。社はこれまで大きな成果を上げてきたが、それでも長期的目標を達成するには、まだなすべきことは多く、我々はゴールに向けその途上にいる。そうした観点から、現時点でCEOと議長の役割を分けることは、社にとって、そして株主にとっても最善ではないと考えている。

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(翻訳:Mizoguchi)

トランプ介入でBroadcomの買収を退けたがQualcommに苦難が続く――創業家はVision Fundの資金で攻勢か

Qualcomm対Broadcomの歴史的戦いはとりあえず停戦となった。先週、トランプ政権がCFIUS(対米外国投資委員会)を通じて Broadcomによる買収の差し止めを命じたからだ。実現していればテクノロジー分野における過去最大のM&Aになったはずだ。

これでとりあえずモバイルチップ戦線は異常なしとなった。しかしQualcommとBroadcomは来るべき5G時代に向けてそれぞれ戦略を立て直する必要がある。取締役会から去った創業者の息子、Paul Jacobsによる買収の試みへの対処など、Qualcommの前には深刻な問題がいくつも待ち構えている。

一方、Broadcomも成長を続けるために新たな買収先を探す必要がある。

戦争ではいつもそうなるが、犠牲者は敵対する両陣営内に留まらない。 Qualcommが敵対的買収を防ぐためにとった措置は今後のM&Aにおいて企業統治や株主自主権の範囲の見直しをもたらすだろう。さらにアメリカに対する外国投資には一層厳しい監視の目が向けられることになる。

Qualcommは瓦礫から何を拾えるか?

敵対的買収というのはその結果がどうであろうと犠牲がつきものだ。取締役会、ことにテクノロジー企業の取締役会のもっとも重要な使命は、長期的に何が会社の脅威となるか、チャンスとなるかを見抜き、株主にとって最良の結果を得るよう適切に会社を導びくことにある。この点、敵対的買収への対処は消火作業に似ている。将来へのビジョンやそれを実現するためのロードマップはいったん脇に置き、危険な侵入者を追い払うために1分ごとに新たな策を投入する必要がある。

Qualcommも未来戦略の確立に注力すべきだが、現在は四方八方からの攻撃を受けている。 会社の将来に関して株主と戦い、収入に関してApple、Huaweiと戦い、NXPの買収で中国と戦い、さらには創業者の息子の買収と非公開化の試みとも戦わねばならない。

株主の多くはQualcommのパフォーマンスに満足していない。過去6年Qualcommの株価はかなりの乱高下をみせてきたが、結果として、今日の株価は2012年1月と同水準だ。同じ期間中にBroadcomの株価場合は740%アップしている。半導体各社の株価を総合した指数、PHLX Semiconductor Sector indexによれば、半導体業界は全体として280%のアップだ。

そこでQualcommの株主が35%のプレミアムを上乗せした1株82ドルというBroadcommの買収提案に乗り気になったのは当然だ。Qualcommの取締役会とは逆に株主はBroadcomに買収に前向きだった。Bloombergが報じたように、 Qualcommの取締役会は株主との戦いに敗れたことに気づいたいたようだ。【略】

Broadcomの提案が株主に承認されたことを知り、Qualcommの取締役会は買収に否定的なワシントンの政官界に働きかけの中心を移した。 Bloombergによれば「連邦政府への2017年のロビーイング支出はQualcommの場合、830万ドルで、Broadcommの8万5000のざっと100倍」だったという。こうなればワシントンは調整役というより味方だ。

1月にはいって、Qualcommの取締役会はCFIUSに対して自発的に予備的な秘密の通告を行った。これはBroadcomがQualcommの取締役会を支配しようとについて同委員会の調査を求めるものだった。ここでBroadcomはCFIUSの介入を逃れるためにシンガポール企業からアメリカ企業に戻ろうとした(米国企業であればCFIUSの管轄外となる)。これがアメリカ政府を激怒させ、Broadcommの提案の運命を決めた。Qulcommの取締役会の要請はBroadcommの失策を招き、最終的にトランプ政権による買収ブロックという結果となった。

Qualcommの取締役会は戦争には勝ったものの、依然としてPaul Jacobsなど数多くの敵対者を抱えている。延期されていた株主総会は今週開催され、現取締役は対立候補なしで再任の承認を求める。ロシアの大統領選挙同様、一部の株主はことの成り行きに不満を表明するために棄権するかもしれない。 Wall Street Journalによれば、「有力なプロキシー・アドバイザーのInstitutional Shareholder Services Inc.は …機関投資家向けの水曜のメモでQualcommの11人の取締役選任に当ってはBroadcomが推薦する4名の候補に投票するよう求める立場を再確認した。これは抗議の意思を示すためで、Broadcomm側取締役が選任される可能性はない」という。

今回のQualcommの株主総会が波乱含みなのは疑いない。Qualcommの取締役会と経営陣は「この問題は終わった」と主張するが、内紛もふくめてさらにいくつかの火事を消し止めねばならない。

Qualcommは依然として440億ドルに上るNXPの買収の中途にあり、中国の規制当局の承認待ちだ。当局がいつどのよう判断するかは明らかでない。しかし承認が得られたとしてもまだ契約は成立していない。Qualcommが買収を完了させるためには多大のコストとリソースを要するだろう。

さらに複雑なのはAppleとHuaweiに対するQualcommの知的所有権のライセンスを巡る訴訟だ。.ライセンス料はQualcomの収入のきわめて重要な部分を占める。取締役会は将来のビジョンを考える前に、まず当面の訴訟の動向と訴訟戦術に中を向けねばならない。

内紛というのは、Paul Jacobsが会社の支配を取り戻そうとしている件だ。昨日、Qualcommの取締役会はPaul Jacobsを取締役から解任する決議を行った。JacobsはQualcommのファウンダーの息子であり、2005年から2014にかけて同社のCEOを務めた。Jacobsは先週、エグゼクティブ・チェアマンから単なる取締役に降格されたばかりだった。New York Timesの記事によれば、「この別れは友好的なものではなかった。QualcomのトップからJacobs家のメンバーが完全に外れるのはここ33年で初めての事態だ」という。

別の記事によればJacobsは1000億ドルでQualcomを買収する準備を進めており、資金としてSoftBankのVision Fundを利用するという。言うまでもなくSoftBankは日本の会社であり、Vision FundにはサウジアラビアやUAEの国営ファンドの資金が含まれている。しかもQualcommはSoftBankのVision Fundへの出資者メンバーだ。

JacobsはDellの創業者、Michael Dellでが2013年に240億ドルを投じてDellを上場企業から非公開企業に戻した例にならおうとしている。JacobsはDellの非公開化に必要とした額の4倍もの資金を集められるだろうか? Qualcommは同社のファウンダーの息子による会社支配の試みを「外国勢力による」ものとして再度ブロックをトランプ政権に要求するだろうか?

Jacobsはどうにしか資金の都合を付け、取締役会は創業者の息子で前取締役による買収を差し止めようとワシントンに再度駆け込むことはしないだろう、と私は予測するが、さほど確信があるわけではない。

依然としてBroadcomの立場は強い

大いに目立つ失敗をしたものの、Broadcomがこの戦争で受けた損害はさほどでもない。今週発表された第1四半期の決算はアナリストの予測を上回った。特にワイヤレス・コミュニケーション分野での成長は対前年比88%と著しいものがあった。またBroadcommは大幅なコスト削減にも成功しており、粗利益率を64.8%もアップさせている(たしかにファブレスで特許料を主軸にしたビジネスモデルは効果がある)。

Broadcomは今後も健全なパフォーマンスを続けそうだ。最大の疑問は、Qualcomm買収が失敗に終わった今、Broadcomの次の手は何かだ。QualcommはBroadcomが買収可能なチップメーカーとしては最大にして最も重要なものだった((Intelはスケールが違いすぎる)。もしBroadcomがシンガポール企業からアメリカ企業に戻るなら、国内企業として改めてQualcommの買収を試みることができる。いずれにせよBroadcommがここ数年の成長速度を維持するためには適切な買収相手を発見する必要がある。 【略】

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

アメリカの富豪投資家たちは富士フイルム/ゼロックス合併条件に大不満

Carl IcahnとDarwin Deasonの二人はベテランの富豪投資家で、良くない取引や契約はそれを見たときに分かる。そんな彼らは、先月発表されたFujiとXeroxを結合する61億ドルの取り決めが断じて気に入らない。今日のブログ記事(米国時間2/12)で彼らは、投資家仲間である株主たちに、そのオファーを拒否するよう勧めている。

そもそも先月、Xeroxは売りに出すべしと要求したのは、両社の株を合わせて15%持つご両人だった。そしてそう言いながら両者は、CEOのJeff Jacobsenを即刻解雇することも求めた。二人とも、ぐずぐずすることが嫌いだ。

そこでよく考えた結果Xeroxは、売れという要求に従った。しかしIcahnとDeasonは、その条件が気に入らない。その条件はFujiにとって不当に有利であり、その合併の仕方には投資家が公正なリターンを得られる保証がない。…彼らは、そう見た。

IcahnのWebサイトに載った共同声明で二人の富豪は、その‘とんでもない’契約をこっぴどく叩いている: “この取引の構造は、無理と作為に満ちているが、いちばん的を得ている要約は、Fujiの会長でCEOのShigetaka KomoriがNikkei Asian Reviewで言っている、彼らのブログ上の自慢の言葉、‘この方式によりわれわれは一銭も金を出さずにXroxのコントロールを握ることができる’、だ”。

二人は、Fujiのこれまでの業績には無関心だが、しかし彼らの関心は、企業統治云々ではなく、純粋に経済の問題だ。“われわれの投資対象に対する今後のコントロールやガバナンスの問題以上に、この取引の基本的な経済性は、われわれの犠牲の上でFujiを不公平に厚遇している”、と彼らは書いている。

彼らは、XeroxとFujiのこれまでのパートナーシップに対しても批判的だ。“悲しいことに、われわれもよく知ってるように、XeroxがFujiとひどい契約を交渉したのはこれが初めてではない”。しかも契約の条件が長年、株主に対して非公開だった、と彼らは言っている。そこで、中に入れてもらえずに庭先でキャンプするしかなかった彼らは、嬉しくない。

共同声明は、この契約を拒否せよ、という株主たちへの呼びかけで終わっている。“現在の取締役会はXeroxの故意の破壊を看過し、われわれが何もしなければ、この最新のFuji方式がXeroxの最後の弔鐘になる。株主のお仲間たちよ、Fujiにこの会社をわれわれから盗ませないようにしよう。正しいリーダーシップの下(もと)なら、独自の価値を実現する巨大な機会が今でも存在している”。

【以下抄訳】
これに対しXeroxのスポークスパーソンは、Fuji Xeroxの結合が、Xeroxの株主に価値をもたらす最良の道だ、と反論している。二人は以前から、Xeroxは売れ、と主張していたのであり、今回は、その売り方/売られ方が気に食わないのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Dell、VMware統合など抜本的改革を検討中と確認――SECに公開文書で報告

今朝(米国時間2/2)、Dellは証券取引委員会(SEC)への提出書類中で抜本的な組織再編を真剣に検討しているとした報道について、事実だと確認した。この噂はわれわれも報じたとおり、先週浮上したた。Dellは2015年にEMCを670億ドルで買収した際に生じた巨額の負債を抱えており、この問題を解決する方策を検討するために取締役会の開催が予定されているという。

SECへの提出書類はこれらの情報を確認するもので、事実3つのオプションが検討されていることを明らかにしている。1つ目はDellが再上場するというものだ。Dellが最初に上場されたのは1988年だったが、ファウンダーのMichael Dellは2013年に240億ドルをかけてDellを非公開企業とした

2番目と3番目のオプションは「VMwareとの経営統合」と「何もしない」だ。新しい税制により、460億ドルの負債の利払いの損金算入が一部できなくなるため、Dellの負担は今後さらに増えるので3番目のオプションはありそうもない。

提出書類によれば、同社はこの件を社内のみで内密に検討する予定だったが、リークが続き、かつVMWareの82%の株主として受託者責任を問われる可能性が生じたためSECへの報告を余儀なくされたということだ。

提出書類には「われわれは通常、一定の結論を得るまでこの種の検討を内密にしてきたが、Dell TechnologiesがVMware株式の82%を所有していることに鑑み、合衆国証券取引委員会に対し公開の文書で〔本件を〕報告する必要が生じた」と書かれている。

VMwareもSECへの書類が公開された後、プレスリリースを出す必要に迫られた。これは組織再編が検討されているという情報で株主、顧客の間に広がった懸念を打ち消そうとするのが狙いのようだ。

DellはVMWareの大半の株式を所有しているものの、VMWareは独自のCEOと取締役会を持つ独立企業として運営されている。またDellとは別個の企業として上場され、株式が取引されている。

SECへの提出書類とVMwareのプレスリリースで、Dellは組織再編に関してまだ何ら方針が¥を決定していないことが明らかになった。いずれにせよ、先週は噂にすぎなかったものが事実であったことが確認されたわけだ。

SECへの提出書類の全文は下にエンベッドしてある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+