Android 13ではプッシュ通知がオプトインに、グーグルが開発者プレビュー第2弾を公開

最近のAndroid開発は月単位で行われているため、Google(グーグル)がAndroid 13の最初の開発者プレビュー(コードネーム「Tiramisu」と開発者向けドキュメントでは時折呼ばれている)を発表してから約1カ月後に、開発者向けプレビュー第2弾をリリースしたのは驚くことではない。

これらのプレビューは通常まだ多くの粗削りな部分を持ち、開発者向けであるため、最初のプレビューと同様に、無線インストールオプションはない(ただし、最初のプレビューをインストールした場合は、無線アップデートとして2番目のプレビューを入手することができる)。Googleは、Pixel 6 Pro、Pixel 6、Pixel 5a 5G、Pixel 5、Pixel 4a(5G)、Pixel 4a、Pixel 4 XL、Pixel 4と、Android Emulator向けにシステムイメージを公開した。

最初のプレビューではAndroid 13でのユーザーエクスペリエンスを少し垣間見ることができたが、米国時間3月17日のアップデートは、開発者向けの機能が中心となっている。

画像クレジット:Google

その中でユーザーが気づくであろう例外は、アプリが通知を送信する許可を求めなければならなくなったことだ(ただし、Googleは今日これを強調しているが、以前からAndroid 13の機能として知られていたものだ)。他のパーミッションと同様に、アプリは通知を送信できるかどうかをユーザーに尋ねる必要があり、これはオプトインプロセスだ。もしあなたが今までアプリをインストールして、そのアプリがすぐに大量の通知を送ってきた経験があったら、これを気に入ることだろう。一方、開発者は、オプトインしてもらうために、ユーザーに対して十分なコントロールとコンテクストを提供する必要がある。

パーミッションに関しては、開発者はアプリのパーミッションが不要になった場合、ダウングレードすることもできるようになった。Android 13には、これを簡単に実行できる新しいAPIが搭載される予定だ。

また、新バージョンのOSでは、開発者が明確に望んでいない限り、アプリが他のアプリからメッセージを受信できないようにする新機能が導入される。

今回のプレビューでは、MIDI 2.0規格のサポート(ミュージシャンにはうれしい)により、MIDI 2.0ハードウェアをUSB経由でAndroidデバイスに接続できるようになる。さらに、Bluetooth LE Audioのサポートにより、オーディオの共有や放送、情報およびアクセシビリティのための公共放送へのサブスクリプションといった機能がもたらされる。そしてその名の通り、消費電力が少なくなる(LE=Low Energy)。

Android 13は、COLRv1フォーマットに準拠したベクターフォントもサポートし、Googleはシステム絵文字もこのフォーマットに移行する予定だ。これらはベクターであるため、ファイルサイズがより小さく、どのようなサイズでもピクセル化されることなくレンダリングできる。

COLRv1ベクター絵文字(左)とビットマップ絵文字(画像クレジット:Google)

非ラテン文字を使用する人のために、Android 13ではタミル語、ビルマ語、テルグ語、チベット語などの言語の表示を改善し、各言語の行の高さを適応してクリッピングを防止するようにしてある。また、日本語や中国語などの表音文字の入力メソッドを使用するユーザーのために、Android 13では新しいテキスト変換APIが導入され、日本語ユーザーはひらがなを入力するとすぐに漢字の検索結果が表示されるようになり、現在のような複雑な4ステップのプロセスを省略することができる。

画像クレジット:Wanwisa Hernandez / EyeEm / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Den Nakano)

グーグルのメッセージアプリがiMessageのリアクションに対応、新機能でアップルに挑戦

米国時間3月10日に、Google(グーグル)は、同社のデフォルトのメッセージングアプリを大幅にアップグレードすることを発表した。ほとんどのAndroid携帯にプリインストールされているメッセージアプリは、今回のアップデートで多くの新機能を獲得することになる。最も顕著なのは、iMessageの「背面タップ」が絵文字の反応として配信されず、別のメッセージとして送信されていた長年の問題に対処することだ。この問題は、AndroidとiPhoneユーザーの間のチャットを混乱させ、乱雑にし、あまりにもうるさいものにしている。

他のアップデートは、返信を忘れたメッセージに返信することを思い出させるナッジ、ビジネスと個人的なメッセージのための別々のタブ、お祝いしたい誕生日のリマインダー、Googleフォト統合を介するより鮮明なビデオのサポート、絵文字マッシュアップの拡張セットなどが含まれている。

アップデート後は、iPhoneユーザーからのリアクションが、Android上のテキストメッセージに絵文字として送信されるようになる。iMessageと同様にライク、笑い、混乱、興奮などの絵文字のリアクションがメッセージの右側に表示される(Androidでは、右下に表示)。この機能は、まず英語に設定されたAndroidデバイスで展開されるが、他の言語でも順次展開される予定だ。

画像クレジット:Google

これらの改良されたリアクションは、メッセージアプリのベータユーザーにはすでに提供されていたが、Googleはまだ一般にいつ提供されるようになるかについては述べていなかった。しかし、どの絵文字を使うかについてのAndroidの解釈は、iPhoneと若干異なることがテスターによって指摘されていた。例えば、Androidでは「ハート」のリアクションが「ハートの目をした顔」の絵文字になる。また、iMessageの感嘆符のリアクションは「口を開けた顔」の絵文字になる。

また、Googleは、ビデオ共有のエクスペリエンスを向上させるために、メッセージアプリにGoogleフォトを統合する。最新のRCS規格では、Android端末を持つ人同士で高品質のビデオを共有することができるが、iMessageはRCSをサポートしていないため、同じビデオをiPhoneの人と共有するとぼやけて表示される。そこで、Googleフォトを経由して動画のリンクを送信することで、iPhoneユーザーも同じように高画質で動画を視聴できるようになる。この機能は、後に写真にも対応する予定だ。

この追加機能は、ビデオの品質に関してAppleを恥じ入らせることで、業界標準を採用するように仕向けることを目的としている。

Googleはこれまで、AppleがRCSをサポートしないという決定について非常に大きな声を上げてきた。RCSを採用すればGoogleがAppleのiMessageとよりよく競争できるようになるというのがその主な理由だ。しかし、AppleがiMessageを安全性の低い古い規格であるSMSに戻したことで、自社の顧客にあまり良いサービスを提供できていないと指摘するGoogleは間違ってはいない(これは、Appleが主張するようなプライバシー重視の企業としては、奇妙な選択だ)。

サポートの欠如はまた、メッセージングの際にさまざまな矛盾を引き起こす。例えば、他のiPhoneユーザーにテキストを送る際、iMessageユーザーはタイピングインジケータを見たり、既読レシートを使ったり、高解像度のメディアを見たりすることができる。iMessageがRCSをサポートしていれば、Androidユーザーとのコミュニケーションでもこれらの機能が使えるはずだが、Appleはそうしないことを選択したため、自社の顧客にとって劣った体験になってしまっている。

Appleは、SMSを「より悪い」体験にすることで、エコシステムをロックインすることができるため、ある程度は利益を得ている。しかし、このような決定によって、iMessageはグローバルなメッセージングチャンピオンになることに失敗したと批判する議論もある。世界中のユーザーがWeChat(ウィーチャット)、Messenger(メッセンジャー)、Telegram(テレグラム)、WhatsApp(ワッツアップ)などのサードパーティのメッセージングアプリに移行したのは、AppleがAndroidに対抗しない、あるいは現代のメッセージングの基本機能に追いつくことさえしないことを選択したことも一因となっているのだ。

一方、Google場合は、ユーザーのプライバシーを保護するための努力が必要なものの、少なくとも消費者の利便性という点では、メッセージのアップグレードは、デフォルトのメッセージングアプリがどのように機能し得るかについての基準を上げている。それでも、以前同社散漫なメッセージング戦略の場合のように、さらに別のアプリを展開するのではなく、たった1つのアプリに着実な改善を見るのは良いことだ。

画像クレジット:Google

AppleがSMSを使い続けていることに関連する問題の解決に焦点を当てた上記の修正に加え、メッセージはアプリ内でメッセージを個人用とビジネス用のタブに自動的に分類するようになり、必要なメッセージをより簡単に見つけることができるようになった。さらに、乱雑さを減らすために、ワンタイムパスワードのメッセージは24時間後に自動的に消えるように設定することも可能だ。この機能はインドですでに提供されており、今回、米国でも提供される。

このアプリはまた、テキストに返信するのを忘れているのを知らせたり、友人の誕生日を思い出させることによって、より良い関係を維持するのに役立つ(連絡先アプリに誕生日情報を保存した場合にのみ有効)。このナッジは、まず世界中の英語圏のユーザーに対して展開される。

メッセージで送信されたYouTubeのリンクには、会話中にビデオのプレビューが表示されるようになった。

ついにGoogleは、Gboardキーボードに搭載されている、2種類の絵文字をマッシュアップして自分だけの絵文字を作ることができる機能「Emoji Kitchen」をアップデートした。この機能では、2000種類以上の絵文字がステッカーとして利用できるようになり、選択の幅が広がった。Gboardのデバイス上での文法訂正機能も、Pixelデバイスで最初に開始された後、すべてのAndroidに提供される。

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メッセージアプリの新機能は、Androidウィジェット、Google TV、Googleフォト、Nearby Share、Android Auto、アクセシビリティ機能などの改善を含む、今回配信される他の多くのGoogle製品のアップデートにおけるハイライトの1つだ。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

Operaが絵文字ベースのウェブアドレスを実現、絵文字入りURLを販売するYatと提携

ウェブブラウザのOpera(オペラ)は、絵文字だけのウェブアドレスを可能にすると、米国時間2月14日に発表した。Operaはこの新しいコラボレーションにより、インターネットに新しいレベルの創造性をもたらすとしている。この新機能は、絵文字入りのURLを販売し、Y.atドメインを所有するスタートアップYat(ヤット)との提携によって可能となった。Yatを通じて、1回購入すれば、同社があなた専用のY.atリンクを提供してくれる。

Operaは、絵文字を中心とした統合により、パーソナライズされた絵文字の文字列からYatが作成される際に生成される独自のドメインであるYatページの検索と誘導が容易になるとしている。この統合により、Opera上のYat絵文字のウェブアドレスは、従来のように「.y.at」をつける必要がなくなった。また、ウェブページに埋め込まれた絵文字は、対応するYatのページに自動的にリンクされるようになる。

「この提携は、インターネットの仕組みに大きなパラダイムシフトをもたらすものです」と、Operaのモバイル担当上級副社長であるJorgen Arnesen(ヨルゲン・アーネセン)氏は声明の中で述べた。「www(ワールドワイドウェブ)が一般に公開されてから約30年が経ちますが、ウェブリンクの分野ではそれほど大きな革新はなく、人々はいまだにURLに.comを含めています。Yatとの統合により、Operaのユーザーは、リンクに.comや単語を使わず、絵文字だけでウェブサイトを表示できるようになりました。これは、新しくて、簡単で、より楽しいことです」。

ユーザーは、Yatのページをカスタマイズしたり、ウェブ上の他の場所にリダイレクトすることができる。何人かの有名人は、Yatページを早くから採用している。例えば米国のDJであるSteve Aoki(スティーブ・アオキ)はYatページを使って自分のウェブサイトに人々を誘導し、ラッパーのLil Wayne(リル・ウェイン)のYatページは彼のレコードレーベルに案内している。Kesha(ケシャ)は、Twitter(ツイッター)のbioにYatのリンクを貼っている。

画像クレジット:Opera

もちろん、ユーザーは絵文字に対応した独自のドメイン名を購入し、Yatのリンクの代わりに使用することもできるが、Yatはこのプロセスを、時間やリソース、技術的な専門知識のない人たちにも迅速かつシンプルに行えるようにした。しかし、この便利さには代償がある。Yatの絵文字の文字数が少なければ少ないほど、高価になる。

Operaは、世界中の46億人のユーザーのうち90%以上が絵文字を使って自分を表現しており、Yatとの新しいパートナーシップは、人々にオンライン上での新しい存在感を示す方法を提供すると指摘している。また、この新しいパートナーシップにより、ユーザーはURLに英数字を入力する必要がなくなり、より充実した機能を利用できるようになると説明している。

「アーティスト、ミュージシャン、クリエイター、ビジネスオーナーあるいはフォロワーを増やしたい人など、Yatの絵文字を使って簡単にコミュニティとつながり、コンテンツを共有できるこの統合は非常に重要です」と、Yatの共同設立者兼CEOであるNaveen Jain(ナヴィーン・ジェイン)氏は述べた。

今回の発表は、Operaが先にWeb3「Crypto Browser」のベータ版を発表したことを受けてのものだ。それには、暗号資産ウォレットの内蔵、暗号資産/NFT取引所への容易なアクセス、分散型アプリ(dApps)のサポートなどの機能が含まれている。このブラウザの目標は、Web3のユーザー体験を簡素化することだ。

関連記事:Operaが暗号資産ウォレットやdAppsサポートを搭載したWeb3「クリプトブラウザ」ベータ版で提供開始

画像クレジット:Opera

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

【コラム】赤い旗のミームはアクセシビリティ上も危険、専門家が語るミームをもっと読みやすくする方法

最近、Twitter(ツイッター)にアクセスしている人なら、赤い旗のミームが広まっているのを目にしたことがあるだろう。誰かに「レッドフラグ(危険、それはない)」と言われるようなフレーズを引用し、赤い旗の絵文字を大量に追加するというものだ。Twitter自身をはじめ、Dr.Pepper(ドクターペッパー)、MTV、NFLのHouston Texans(ヒューストン・テキサンズ)などのブランドもこれに同調している。

しかし、スクリーンリーダーやナレーション技術を使っている視覚障害者にとって、赤い旗のミームは意味をなさない。

「あのミームが出てくるたびに『triangular flag on a post(投稿上の三角旗)』とボイスオーバーが流れます」と目の不自由なTwitch(ツイッチ)ゲーマーでアクセシビリティ推進者のSteve Saylor(スティーブ・セイラー)氏はいう。「これは絵文字の説明ではあるのですが、ミームの意味を損なっています。その意図には旗の色が関係していますから」。iPhoneのナレーション画面では、絵文字を1つずつ読むのではなく「投稿上の三角旗」の数を教えてくれるが、スクリーンリーダーの中には絵文字を1つ1つ読み上げるものもあり、スクロールダウンしない限り「投稿上の三角旗」を48回聞く必要がある。

「会話に含まれる感情や、誰かが投稿したことに反応できるという点で、ミームの存在はコミュニケーションにおいて非常に意義があります」と語るのは、テキサス大学オースティン校でアクセシビリティを研究するAmy Pavel(エイミー・パベル)助教授だ。「そのため、会話への参加を十分なものにするために、ミームの意味を理解することが重要になるのです」。

インドに拠点を置き、サービスが不十分な貧しいコミュニティにおける盲目や失明の問題に取り組む非営利団体Tej Kohli Foundation,(テジ・コーリ財団)は、10万件のツイートを分析し、絵文字がオンラインでどのように使われているかについて調査した。そのデータセットによると、絵文字を含むツイートの中で、10%が3つ以上重なる絵文字を含んでおり、40%は絵文字を反復している。特に「Face with tears of joy(喜びの涙を流す顔)」の絵文字は、使用されるうちの93%が反復表現になっている。同財団は推奨事項として、文の最後に絵文字を配置すること、単語の置き換えに絵文字を使用しないこと(「今日はとても☀」ではなく「今日はとてもよく晴れている」と表現)、そして3つ以上絵文字を重ねないことを提言している。

レッドフラグミームは先に、ミームアクセシビリティについての議論を巻き起こした。しかし、スクリーンリーダーを使う人々にとって厄介な存在であるにもかかわらず、ソーシャルメディア上でミームが広まったのはこれが初めてではない。

拍手する手のミームは読むのにとても疲れます。それぞれの単語の後に手を叩く音声が流れますので、完全な文章が何であったかを正確に思い出すことが難しくなります」とパベル氏はTechCrunchに語った。同氏はまた「in this house(この家で)」ミームや「bunny holding a sign(看板を持つウサギ)」ミームなど、ASCIIアートから作られたミームだけでなく、一般的ではない文字を使って異なるフォントで書くことをシミュレートする社会的トレンドにも言及した。「すべての文字を読み上げ、その中にはキリル文字、ギリシャ文字、漢字などが含まれていますから、まったく意味をなさないように聞こえます」。

パベル氏が期待しているのは、研究者や開発者が人工知能と機械学習を活用し、デジタルコミュニケーションにおける一般的な傾向を特定して、ボイスオーバーでそれらを簡単に説明できるようにすることだ。例えば、単語間に手を叩く絵文字がある場合、スクリーンリーダーは各単語の間に「手を叩く絵文字」と発するのではなく、文章読み上げ後に絵文字が存在することを示す、などの方法が考えられる。しかしこの技術にはまだ長い道のりがあるため、その間にもアクセシビリティの専門家たちは、技術が追いつくのを待つのではなく、ミームをもっとアクセスしやすくする方法について人々に伝えていこうと取り組んでいる。

「私はミームの真意を十分理解しています。レッドフラッグについては特にそうです」とセイラー氏は話す。「誰かの創造性を抑圧したくはありません。『そのミームを使わないで欲しい』とは誰にも言いたくありません。ただ、より多くの人にミームを楽しんでもらいたいのであれば、スクリーンリーダー用の代替テキストを追加したり、ビデオにキャプションを付けたりするなど、そうしたことを必要としている人のアクセス性を高めることを考えて欲しいのです」。

絵文字ベースのミームやASCIIアートのミームの場合、回避策の1つとして、ミームのスクリーンショットを写真として投稿し、その写真を説明する代替テキストを追加することが挙げられる。Twitterでの代替テキストの追加は比較的簡単で、画像をアップロードした後、その画像の直下に置かれている機能の「説明を追加」ボタンをクリックすれば、ツイートを送信する前に代替テキストを挿入できる。しかしInstagramでは、画像を投稿する前に画面を下にスクロールし、小さな「詳細設定」ボタンをクリックする必要がある。それから「アクセシビリティ」までスクロールして「代替テキストを書く」というボタンをクリックし、画像の説明を追加する。

「デジタルマーケターやプロのコミュニケーターたちに必要な知識や教育が十分ではないと思います。問題の一端は、私たちがアクセシビリティについて把握していないということにあるのです」と、ソーシャルメディアマネージャーでアクセシビリティ推進派のAlexa Heinrich(アレクサ・ハインリッヒ)氏は述べている。「マーケターやコンテンツ制作者、そして日常的なユーザーがコンテンツを制作するとき、誰もが同じようにインターネットを体験するわけではないということを少しでも心に留めてくれることを望みます」。

ハインリッヒ氏とセイラー氏はTechCrunchに対し、Twitterはよりアクセスしやすいソーシャルメディアプラットフォームの1つだと考えていると述べたが、その水準は高いとは言えない(なぜかClubhouse[クラブハウス]にはまだライブキャプションが存在しない)。2020年の夏、Twitterは音声ツイート機能を試験的に導入したが、クリップにはキャプションがなく、耳の不自由なユーザーのツイートへのアクセスを妨げる結果となった。障害のある人たちがそのアクセシビリティ機能の展開における大きな手落ちについて指摘したとき、Twitterは専用のアクセシビリティチームを有していないことが明らかになった。その後、Twitterはアクセシビリティチームを立ち上げた。

「Twitterは間違いなく、アクセシビリティとプラットフォームに関する取り組みについて最も熱心で透明性の高いプラットフォームです。彼らはフィードバックを受け入れており、それは本当にすばらしいことだと思います」とハインリッヒ氏。それでも、Twitterはその後、アクセシビリティを妨げる主要なアップデートを発表している。「どのようにしてアクセシブルなコンテンツを作ることができるかについて、プラットフォーム自身が提携するブランドやマーケターをより良く教育する必要があります」と同氏は付け加えた。

アプリ研究者のJane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏によると、Twitterは、ユーザーが代替テキストなしで画像を投稿しようとした場合に表示されるポップアップ通知をオプトインできる機能に取り組んでいるという。TwitterはTechCrunchに対し、この機能を開発中であり、年内には公開する予定であることを認めた。

画像クレジット:Spider-Man

しかし、ユーザーが代替テキストを追加する方法を知っていても、画像を説明する最善の方法を見つけるのは難しい場合がある。例えば、スパイダーマンが指を差しているミームは単純明快で、セイラー氏はそれを「まったく同じ2人のスパイダーマンがお互いを指している」と表現するだろうと述べている。しかし、銀河系の脳蝶のミームのようなものはどのように描写できるだろうか?

「特にミームの場合、実際に重要なことは、対象とされるものが画像そのもののコンテキストにおいて何であるかということです。写真やアニメーションGIFのように、さらに複雑なものも存在します」とセイラー氏。「ただし、写真に写っているものすべてを説明する必要はありません。要点を伝えるのに十分な情報だけです。多くの場合、その余分な情報はまったく不要なものになります。対象が何であるか、前景にあるものは何か、その写真のコンテキストは何か、あるいはなぜその写真を投稿するのかを説明してくれたら、私たちは簡潔に要点を把握できます。そうすれば、写真全体を説明する1000文字もの言葉に耳を傾けることなく、スクリーンリーダーが伝える画像の内容を理解できるようになるのです」。

スパイダーマンが指を差しているミームについてセイラ―氏が説明したとき、スパイダーマンは青い床の上に立っていて、その背景にはニューヨーク市警のトラックがあり、赤い壁の隣にはドアが開いていて、木製の箱がいくつかあると言っていないのはそういう理由からだ。ミームを理解するのにこれらの詳細は必要ないのである。

しかし、アクセシビリティは画一的なものではなく、すべての障害が同様であるとは言えない。障害が同じ人でも、インターネットをどのように体験したいかについての嗜好は違ってくるだろう。

「障害は本当に個人的な経験ですので、特にアクセシビリティに関して、自分が何を望んでいるかは、各ユーザーが一番よくわかっていると思います」とパベル氏は話している。

2020年10月、パベル氏は「Making GIFs Accessible(GIFをアクセシブルにする)」という論文を発表した。同氏は研究の中で、参加者にアニメーションGIFを体験する複数の方法を提供し、どの方法を好むかについて調査した。その年にTwitterはGIFの代替テキストを追加している。

「GIFは多くの場合、音声を持つ既存のメディアから取られているので、かなり興味深いものがあります。例えば『The Office(ジ・オフィス)』のMichael(マイケル)が『ノー、ノー、ノー』と叫び、それが次第に長く大きくなっていくのはおもしろいですよね」とパベル氏。同氏の実験では、代替テキストの1つのバージョンが、画像の代替テキストを記述するのと同じ方法でアニメーションを簡潔に説明した。別のイテレーションでは「The Office」の音声をそのまま文字化した。3つ目のオプションでは、ボイスオーバーで「The Office」のMichaelのGIFであることを説明した後に「ノー、ノー、ノー」と叫ぶ文字化された音声を再生した。

「私たちに返ってきた主な感想は『確かにこうしたものはすべて必要だが、そこにあるものを常に選ばなければならないというのは望ましくない』というものでした」とパベル氏は語る。「スクリーンリーダーをカスタマイズするオプションをユーザーに提供することが重要であると考えています。GIFに対する関心の度合いに応じて、設定を変更したいと思うこともあるでしょう」。

当面の間、コンテンツをよりアクセスしやすくするための最も迅速な方法として、一般の人々が自分自身の投稿方法を改善する必要があると専門家たちは述べている。

「人々は『それはそんなに多くのエンゲージメントを得ることになるのか?』という議論を求めているようです」とハインリッヒ氏。「ですが、私の答えとしては、それは気にしていない、というものになります。アクセスできなければ、それが私の気にすることです。私が気にかけているのは人であって、数字ではありません」。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)

【コラム】フェイスブック「怒りの絵文字」を米証券取引委員会が注視する理由

Facebook(フェイスブック)は新しい名前になったかもしれないが、ブランド名を変えても、同社が社会にとっていかに破壊的であるか、そして自社の投資家にとっていかに有害であるかを示す、最近の複数の情報開示は消えない。

Facebookの内部告発者であるFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏の暴露は衝撃的だったが、驚きではなかった。大量の文章を報道機関や議員、当局に提出する以前、Facebookの選挙のセキュリティ問題を担当していたハウゲン氏によると、Facebookは、例えば、拒食症の可能性を高めるいわゆる「thin-spiration(シンスピレーション)」を10代の少女たちに押し付けるなどの非難すべき行為とともに、そのアルゴリズムが社会や弱者に害を及ぼしていることを一貫して認識していた。

Facebookの内部文書の最近の分析は、Facebookのエンジニアは、「怒り」の絵文字を含む絵文字のリアクションを「いいね!」の5倍の価値があるものとして扱い、ユーザーを惹きつけて利益を上げるために、物議を醸すような投稿を好んでいたことを示している。

これは、単に企業が公共の利益に反して行動し、自社の消費者に損害を与えているという話ではなく、その投資家に反して行動したという話でもある。ホーゲン氏によれば、同社は、安全性への取り組み方からユーザーベースの規模まで、ビジネスの基本的な事実について株主を欺いていた。

このような重要な情報を連続して投資家に伝えなかったことで、Facebookは米国の証券取引法に違反した可能性がある。また、ハウゲン氏は、Facebookが会社の内部調査に関連する重要な情報を隠していたことで法律に違反していると主張し、少なくとも8件の苦情を証券取引委員会に提出している。

一方、2人目の無名の内部告発者は、Facebookがヘイトスピーチや誤情報よりも成長と利益を優先していると主張する宣誓供述書を米国証券取引委員会に提出した。

内部告発が注目を集めているのにもかかわらず、Facebookを規制・抑制するために米国証券取引委員会が果たしうる役割が最重要視されていないのは驚きだ。Facebookはハイテク企業だが、何よりもまず上場企業であり、それゆえに米国証券取引委員会の規制と監視の対象となる。

株式公開後もMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が会社を完全に実効支配できるような奇妙な特殊クラスの株式が含まれていたにも関わらず、2012年のFacebookの新規株式公開を承認したのは、オバマ政権下の米国証券取引委員会だった。さらに、スキャンダラスなデータ会社であるCambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)が、約3000万人の米国人のFacebookデータにアクセスして悪用したことを知っていたにもかかわらず、それを投資家に適切に開示しなかった件について、Facebookと和解したのはトランプ時代の米国証券取引委員会だった。

過去2年半の間に証券法違反で米国証券取引委員会と和解した企業であるFacebookを詳しく調査するように求めることは、驚くことではなく、合理的なことであり、私たちが証券規制当局に期待することでもある。

バイデン政権が、Gary Gensler(ゲーリー・ゲンスラー)氏とLina Khan(リナ・カーン)氏という強力な規制官をそれぞれ米国証券取引委員会と連邦取引委員会の委員長に任命したことは、米国人にとって幸運なことだ。しかし、Facebookをはじめとするビッグテック企業が、経済、政治、日常生活のあらゆる側面に影響を及ぼすようになったように、これらの企業を適切に規制し、抑制するという課題は、1つや2つの機関では解決できない。

大規模テック企業がもたらす問題や脅威に真に取り組むために必要なのは、政府全体でのアプローチだ。バイデン政権は、競争評議会で良い第一歩を踏み出したが、これは最終的な製品ではなく、最初の切り札でなければならない。また、大規模なテック企業に、フィンテック、通貨、政府との特別契約など新しい市場へのアクセスを与えないことも重要だ。これらの企業は、中小企業や消費者を犠牲に、これらの機会を利用してさらに強力になることはほぼ間違いないからだ。

また、これらの重要な問題については、議会の関与が必要だ。ホーゲン氏が上院の小委員会で証言した同じ日に、下院金融サービス委員会は、米国証券取引委員会の監督に関する公聴会を開催した。ホーゲン氏の扇情的な主張が数日間にわたって報道されたにもかかわらず、公聴会は、Facebookの投資家に対する説明責任を果たす上での米国証券取引委員会の役割について何のコメントも質問もなく何時間も続いた。

この重要な監視の機会が失われたことは、想像力と協調性の欠如を意味している。ビッグテックの危険性に真に対処するためには、すべてのメンバーが、バイデン政権への働きかけを含め、これらの巨大企業に対処するための改善策を考える必要がある。

ホーゲン氏は、フェイスブックから生まれた最初の内部告発者でもなければ、最後の告発者でもない。米国連邦政府が、ビッグテック企業の従業員、株主、下請け業者、さらには創業者が、これらの企業が米国人にもたらす危険性を明らかにするのを黙って見ている時代ではなくなった。

企業の規模、力、そして危険性がましている今こそ、バイデン政権は、大胆に、積極的に、結束して行動すべきだ。そのためには、まず、米国証券取引委員会が、この問題を取り上げ、Facebookを徹底的に調査し、法律を完全に執行することから始める必要がある。

編集部注:本稿の執筆者Lisa Gilbert(リサ・ギルバート)氏は、Public Citizenの副社長。

画像クレジット:Serdarbayraktar / Getty Images

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(文:Lisa Gilbert、翻訳:Yuta Kaminishi)

ツイッターがアバター関連スタートアップFacemojiに出資

アバター関連のスタートアップ企業はここ数年の間に次々と生まれては消えていったが、その背後にいる起業家の多くが当初想像していた未来は、多かれ少なかれ正確であることが証明されている。Apple(アップル)はMemoji(ミー文字)によるアバター表現に関心を高めており、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はFacebook(フェイスブック)をメタバース企業にしたいと考えている。また、ユーザーが仮想世界に入り込み、自分のキャラクターのためのアクセサリーを購入するRoblox(ロブロックス)のようなプラットフォームは、かつてないほどの人気を博している。

Facemoji(フェースモジ)は、ゲームやアプリの開発者が同社のSDK(ソフトウェア開発キット)を使ってアバターシステムをアプリに導入するためのプラグアンドプレイ技術プラットフォームを構築している。Facemojiは、Play Ventures(プレイベンチャーズ)を中心に、Twitter(ツイッター)、Roosh Ventures(ルーシュベンチャーズ)、エンジェル投資家が参加した300万ドル(約3億3400万円)のシードラウンドを実施した。

チームによると、この分野の他の多くの企業は、開発者が扱いたくないUnityのプラグインに依存しているが、Facemojiの軽量ソリューションは、独自のレンダリングパイプラインに依存している。また、開発者が望むのであれば、すぐに利用できる多様なアバターアートのシステムをすでに持っている。

画像クレジット:Facemoji

Facemojiは、より多くのゲームメーカーが独自のアバターシステムを簡単に構築したいと考えているが、必ずしも他のネットワークに接続したいとは思っていないと考えている。初期のアバタープラットフォームの弱点は、独自のメタバースとして機能する一貫したクロスプラットフォームのアバターシステムを構築しようとする野心にあることが多い。それは、製品を開発するスタートアップやユーザーにとっては意味のあることだが、ゲームメーカーにとっては、独自のプラットフォームを作る機会をただテーブルの上に置いておくのは無駄なことだった。

Facemojiは、AppleがMemojiを開発者コミュニティに開放することは予想しておらず、Snap(スナップ)の方がより顕著な競争相手であると述べている。Facemojiのスタートアップの競合企業は、ますます速いペースで買収されている。2020年には、RobloxがLoom.aiを買収し、Epic Games(エピックゲームズ)がHyperSense(ハイパーセンス)を買収した。

関連記事:ゲーミングプラットフォームのRobloxがデジタルアバター作成のLoom.aiを買収

Facemojiの創業者たちは、メタバースの流行や最新のNFTブームに強く惹かれており、開発者が統合してユーザーにアバター用のアクセサリーを購入させることができるプラグアンドプレイのNFTストアフロントを開発している。Facemojiは、初期の暗号化されたTwitterのプロフィール写真の使い方は、一般消費者が自分のアバターをカスタマイズすることに興味を持つようになった証拠だと考えている。

「最終的には、エゴに帰結します」とFacemojiのCEOであるRobin Raszka(ロビン・ラズカ)氏は、TechCrunchに次のように述べた。「バーキンのバッグを持っていることをどうやってアピールするか、Twitterのアバターはそのための主要な領域であり、人々はただ見せびらかしたいだけなのです」。

企業への投資をあまり行わないTwitterにとって、これは特に興味深い投資だ。Facemojiのチームは、画面共有ソーシャルアプリSquad(スクワッド)がTwitterに買収される前に、Squadのチームとアバターの統合についていくつか会話をしたと述べている。また、Twitterは、現在進行中のNFTプロジェクトについて詳しく説明しており、CEOのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は、この分野のスタートアップ企業を積極的に支援している。

Facemojiチームは、ゲームに加えて、人々がアバターとして次のZoom(ズーム)にダイヤルしたり、クラスに参加したりすることが簡単にできるようになり、実写のアバターがこれまでの汚名を返上し、カメラのオンとオフの間の自然なメディアとして扱われるようになることを期待している。

関連記事:Twitterがスクリーン共有ソーシャルアプリのSquadを買収

画像クレジット:Facemoji

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(文:Lucas Matney、翻訳:Yuta Kaminishi)

ツイッターがツイートへの絵文字リアクションをトルコで試験

Twitter(ツイッター)は現地時間9月9日、トルコで期間限定のTweet Reactions(ツイート・リアクション)の試験を開始した。トルコのユーザーは❤に加えて 、 、 、 を使ってツイートにリアクションできるようになる。しかし2015年にハートマークの意思表示がお気に入りマークのスターに取って代わったときのカオスを思い出せないのなら…こちらを読んでほしい

Twitterは2020年にダイレクトメッセージに絵文字リアクションを加えたが、今回試験するのは同じ絵文字ではない。ツイートのやり取りでFacebook(フェイスブック)のような方法を受け入れるとすればどのように反応するか、どのような絵文字を使いたいか、Twitterが3月にユーザーに調査したことを受けての今回の試験発表だ。調査で提案された絵文字には「同意」や「意義あり」のボタン、「嫌い」のボタン、Redditのような賛成と反対があった。しかしTwitterはユーザーが否定的な絵文字が返ってくることを懸念していることが調査で浮かび上がったことに気づいた。

関連記事:Twitterがフェイスブックのような「ハート」や「顔」の絵文字リアクション導入を検討中

Twitterが3月に調査した一連の絵文字(スクリーンショット:@WFBrother on Twitter)

「『不満』や『怒り』も人々がツイートを読むときに感じる一般的な感情で、一部の人はツイートに対して意見の不一致を表明したがりますが、当社はこれらの絵文字リアクションは今のところ使いません」とTwitterはプレスリリースで述べた。「当社の目的は常に、公での健全な会話を促進することであり、現在の絵文字のセットがどのように会話に影響を与えるのか様子をみたいと思います」。

2015年にリアクションを加えたFacebookと異なり、Twitterは調査で提案された「怒り」のリアクションをテストしていない。これはおそらく、ユーザーのネガティブな反応に関するためらいのためだろう。しかしそれでも、だ。もしあなたが悪意ある「ざまーみろ」的な反応を受け取ったことがないのなら、大したものだ。そして、絵文字リアクションなしにTwitterで論争が起こらないわけでもない。

画像クレジット:Twitter

絵文字リアクションが人々の感じていることを示す簡単な方法になり、望むらくは公的な会話の改善された表現と参加につながってほしい、とTwitterは話す。

Twitterは先週小さな変更を加えていて、今回のテスト内容は最新の機能にすぎない。関心事ベースのコミュニティや、フル幅の写真やビデオ、そしてフィードに突如現れる新しいセーフティ機能に気づいた人もいるかもしれない。今回の試験に関しては、追加の絵文字リアクションをテストする際に同社は引き続きコミュニティからのフィードバックを考慮する、と述べた。ユーザーの反応に基づき、テストを他の地域に拡大するかもしれない。

トルコのユーザーはこの機能をiOS、Android、ウェブで試すことができ、数日以内にトルコ全国で展開される。

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画像クレジット: Twitter

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

絵文字の列がネット上の「アイデンティティ」になると考えるYat、すでに約22億円の売上達成

私がYatのことを知ったのは4月のことで、友人がグループチャットに、鍵の絵文字が「インターネット上のアイデンティティ」として42万5千ドル(約4667万円)で売られているという記事のリンクを送ってきたのがきっかけだった。彼女は「この世界なんて大嫌い」とチャットに打っていた。

42万5000ドル(約4668万円)の余裕がある人たちがその資金を相互扶助か何かに使ってくれれば、確かに世界はもっと良くなるのだろうが、その数分後、私たちはこのYatというものが一体何なのかを明らかにしようとしていた。そしてさらに数分後、私は5ドル(約549円。暗号資産ではなく米ドル)を使って☕ ❗を購入した。この絵文字の文字列は、私のカフェイン依存症と敏感な胃についての感動的な物語を語っていると思う。その選択をしたときには、自分がこのことを記事にすることになるとは思っていなかった。

KeshaのTwitterのYat URL

Yatは、表面的には絵文字が入ったURLを購入できるプラットフォームだ。Kesha(y.at/ )、Lil Wayne(y.at/ )、Disclosure(y.at/ )までもが自分のTwitterのプロフィールに絵文字を使っている。インターネット上の他のURLと同様に、Yatsは他のウェブサイトにリダイレクトすることもできるし、より人目を引くLinktreeのように機能することもできる。ユーザーはYatではなく、絵文字に対応した独自のドメイン名を購入して使用することもできるが、多くの人は技術的な専門知識も時間もない。その代わりに、Y.atドメインを所有するYatから一度だけ購入すれば、同社がユーザーに代わって専用のy.atリンクを提供してくれるのだ。

しかし、この便利さは高級なものだ。Yatは、アルゴリズムを使ってYatの「リズムスコア」を決定している。これは、絵文字の組み合わせの希少性に応じて価格を決定するための指標だ。絵文字が1つや2つしか入っていないYatは、会社に直接連絡しないと買えないほど高価だが、4つや5つの絵文字を使ったYatであれば、4ドル(約439円)で買えるものが簡単に見つかる。

Y Combinatorの卒業生であり、デジタルマーケティング企業Sparkartの創業者であり、エンジェル投資家でもあるCEOのNaveen Jain(ナビン・ジャイン)は、Yatが究極的にはインターネット上のプライバシーを守る製品であると考えている。ジェイン氏は、人々が支払いやメッセージの送信、ウェブサイトの運営、プラットフォームへのログインなど、現在オンラインアイデンティティを利用できるあらゆる方法でYatを利用できるようにしたいと考えている。

「客観的に見て、奇妙な規範だと思います。インターネットにアクセスし、広告付きプラットフォームにアカウントを登録する時、登録したユーザーネームは普遍的なものではありません。人は多くのアカウント、多くのユーザーネームを持っています。そして、それらをコントロールすることはできません。あるアカウントがあなたのアカウントを停止しようとすれば、停止することができるのです。SNSの運営企業にメールを送っても、返信しなくてもいいからという理由で返信がなかったという話は山ほどあります」。

画像クレジット:Yat

ユーザーはYatを購入する際に製品の代金(4ドル(約439円)であれ40万ドル(約4393万円)であれ)を支払うので、Yatは広告費で賄う予定はない。

YatのCEOは、長期的にはブロックチェーン技術を使って、自己主権型を目指す計画だという。Yatは、非中央集権的な分散型データベース上で供給される資産となるだろう。現在、インターネット規制当局のICANNが管理している現行のドメインネームシステム(DNS)に代わる分散型のシステムを作ろうとするプロジェクトはいくつかある。DNSはインターネット上でさまざまなものを発見する手段だが、中央集中型の階層的なシステムを使用している。ブロックチェーンによるドメイン名システムは、管理主体が存在しないため、これが次世代のウェブ、すなわち「ウェブ3.0」の基盤になると考えられている。

現在、Yatのウェブサイトには「ブロックチェーン」や「暗号資産」といった言葉は出てこない。ジャイン氏が、そうした言葉が一般消費者にとって説得力があるとは思っていないからだ。彼は漸進的な非中央集権を信じており、現在YatがEthereum(イーサリアム)ではなくドルで購入されているのもそのためだ。

ジャイン氏はこう語る。「暗号資産の世界でおもしろいのは、全員がデータベースについて多くの時間を費やして語っていることです。人々はデータベースに関心がありません。ウェブサイトに『MySQLによる提供』と書かれているのを最後に見たのはいつですか?」

しかし、Y.atは、ブロックチェーンではなく、従来のインターネットレジストリに登録されていた。

「これは基礎づくりなのです。ビジョンの中には、現時点では実施よりも社会契約に近い要素があることは確かです。しかし、これは私たちが定めたビジョンであり、その目標に向かって継続的に取り組んでいます」とジャイン氏はいう。

それでも、Yatがより非中央集権的になるまでは、Yatはユーザーに完全なコントロールを与えることはできない。現在のところYatの利用規約では、Yatの判断でユーザーを終了させたり、停止させたりする権限が与えられているが、同社はシステムから追い出された人はまだいないと主張している。

「Yatがより分散化していけば、我々の利用規約は重要ではなくなるでしょう。これが先進的な非中央集権的戦略を追求することの本質です」とジャイン氏はいう。

「ゼロ世代」(オープンベータ)の段階で、Yatは約2000万ドル(約21億9600万円)相当の絵文字アイデンティティを販売したと主張している。Yatを手に入れるためのキャンセル待ちリストが終了した今、Yatはいくつかのレアな絵文字アイデンティティを、最近15億ドル(約1647億1900万円)の評価額に達したNFTマーケットプレイスであるOpenSeaに掲載している。

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Yatのビジュアライザー作成時の静止画像

「今回初めて、OpenSea上でYatsのオークションを行い、Ethereum上でYatsの鋳造を開始する予定です」とジャイン氏は語る。YatsをNFTとして鋳造する前に、ユーザーはVisualizerを通じて自分のYatのデジタルアートを作ることができる。これらの機能と、Yatの絵文字セットにおける新しい絵文字は、Yat Horizonと呼ばれる7月末のオンラインイベントで発表された。

ジャイン氏は、NFTとしてYatを鋳造することができるようになったことについて、「Yatクリエーターはより多くの権利を持つことになります。私たちは、究極の目標である、Yatをすべての人にとって最高の自己管理型、自己主権型のIDシステムにするという目標を達成するまで、漸進的な分散化を追求し続けるつもりです」と語った。

インターネット上でのプライバシーの確保についての消費者の関心が高まっている。iOS 14.5では、ユーザーの96%が広告のトラッキングを拒否したというデータがある。しかし、非中央集権的な動きは、そのプライバシーに関連したメリットを主流派に売り込むことが未だできていない。Yatはこの問題の解決に役立つ。ブロックチェーンの意味を理解していない人でも、個人的な絵文字の文字列を持つのはかなり楽しいということはわかっているからだ。しかし、単一の絵文字によるユーザー名に42万5000ドル(約4667万円)を費やす前に、Yatのビジョンが完全に実現するのはWeb 3.0が出現してからであり、それがいつ、どのように実現するかはまだわからないということを覚えておくべきだ。

画像クレジット:Yat

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)

iOS 14.5でマスク着用時でのApple WatchによるiPhoneのロック解除、アプリ追跡の透明化、キス絵文字が追加

先週開催されたビッグイベントで、Apple(アップル)はiOSの最新アップデートが間もなく登場することを予告した。そして米国時間4月26日、すべてのユーザーに向けてiOS 14.5が公開された。このアップデートは、モバイルOSの中でも特に大きなアップデートの1つになりそうだ。

ユーザーから最も待ち望まれていたアップデートは、Apple Watchを使ってiPhoneのロックを解除できるようになったことだろう。これはアップルのウェアラブルデバイスにとって便利な機能が追加されたのはもちろんだが、それよりも重要なのは、マスクをしているユーザーがフェイスアンロックの回避策を期待していたことを考えると、このアップデートは1年間待ち望まれたものだと言えるだろう。

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画像クレジット:Apple

マスクを装着すると、iPhoneはデフォルトでApple Watchに接続され(watchOS 7.4がインストールされた後に)、触覚的なブザーとともにApple Watchに通知が送られる。

セキュリティ面でも、アプリのトラッキングの透明性が追加され大きな話題となった。TechCrunchのAnthony記者は2021年4月初めの投稿で、この機能について解説している。

Apple(アップル)が新しいルールを施行することになるため、iPhoneユーザーはおそらくより多くのリクエストを目にするようになるだろう。これらのリクエストはアプリを利用しているさまざまな時点で表示されるが、すべてのリクエストではアプリが「他社のアプリやウェブサイトでのあなたの行動を追跡できるかどうか」を尋ねる標準的なメッセージが表示され、その後に開発者からのカスタマイズされた説明が表示される。

そのため多くのポップアップ通知が表示されるようになるだろうが、それには正当な理由がある。

画像クレジット:Apple

その他の追加点は以下のとおりとなる。

  • たくさんの新しい絵文字が登場する。キスをするカップル、燃えるようなハート、性別の追加など。
  • 追加の声(現在はデフォルトの声の設定はない)と、緊急電話番号のダイヤル機能などを含むSiriのアップデート
  • AirTagへの対応
  • Apple Podcastアプリのデザイン変更
  • AirPlay 2を有効にしたデバイスにFitness+をストリーミングできるようになった
  • リマインダーに日付、優先度、タイトルを指定できる
  • 音声コントロールのアクセシビリティに関するアップデート
  • 「この先で事故が起きています」「道路に何かがあります」などのSiriコマンドを使って、ユーザーは交通事故をマップに直接報告できる。また、スピードチェックも搭載された
  • News+ タブが再編成され、関連する記事や出版物を見つけやすくなった

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タグ:AppleiOSiOS 14アップデートAirTagポッドキャストFitness+絵文字Apple Watch

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

Twitterがフェイスブックのような「ハート」や「顔」の絵文字リアクション導入を検討中

Twitter(ツイッター)が星マーク(「お気に入り」)をハートマーク(「いいね」)に変更した時の騒ぎを覚えているなら、Twitterユーザーがツイートへの関わり方にどれほど強い感情を抱いているかをご存知だろう。現在、Twitterは再び大きな反響を呼びそうな変更を検討している。同社は2021年3月、ユーザーにアンケート調査を実施し、Facebook(フェイスブック)で見られるような絵文字のリアクションを増やすことについてどう思うかと意見を求めている。

Twitterの広報担当者は、この調査について「Twitter上で行われている会話の中で、人々が自分自身を表現するための新たな方法を、私たちは模索しているところです」と述べている。

Twitterの調査で提案されているのは、ハート(「いいね」)、涙を流して笑う顔(「おもしろい」)、考える顔(「興味深い」)、泣き顔(「悲しい」)などの数種類のリアクション絵文字だ。

画像クレジット:@jdm0079 on Twitter

この基本セットに加えて「すごいね」という感情を、目と口を大きく開けた顔の代わりに炎で表現したり「支持する」をハグの顔ではなく万歳の手で表現したバリエーションを提案して、どちらが好みかとユーザーに尋ねている。

さらに議論を呼びそうなのは、ユーザーのツイートに対する一般的な「好き」と「嫌い」という感情の表し方に関して、親指を立てたり親指を下げたり、緑や赤の「100」で示したり、緑の上向き矢印や赤の下向き矢印で示したりして「賛成」と「反対」というかたちで示す方法を検討していることだ。これはReddit(レディット)の「賛成投票」と「反対投票」の仕組みを彷彿とさせる。

画像クレジット:WFBrother on Twitter

この調査による質問は、Twitterが、否定的な感情を意味する絵文字のリアクションを導入する際の難しさについて、認識していることを示している。同社はユーザーに、反対や嫌悪の感情を示すリアクションをどのように利用したいかと尋ねている。例えば、ツイートに返信する代わりにこのリアクションを使うのか、あるいは無関係なツイートや攻撃的なツイートに対して使うのか、ということだ。

さらにTwitterは、自分のツイートに反対や嫌いというリアクションが付けられた場合、それによって今後のツイートを控えるか、それとも自分の投稿に対する「建設的」なフィードバックとして受け止めるかなどをユーザーに尋ねている。

画像クレジット:@jdm0079 on Twitter

Twitterは、リアクションのセットの導入が、人々のTwitterコンテンツに対する関わり方に大きな影響を与える可能性があること、そして潜在的には人々が自分のツイートに「反対」のリアクションが付くことを過度に気にするようになれば、Twitterの利用が冷え込む可能性があることを明確に理解している。

もっとも、親指にしろ矢印にしろ「賛成」と「反対」を表現する仕組みは、ウェブ上の他の場所でも、コンテンツへの関わり方として一般的な方法だ。それはRedditのようなフォーラムサイトのみならず、YouTube(ユーチューブ)や、Imgur(イメージャー)、Pandora(パンドラ)などさまざまなサイトで使われている。一方「いいね!」を示すサムズアップのシグナルは、Facebookの先導によって人気が高まった。しかし現在では、矢印やハートのかたちが使われたり、あるいはAmazon(アマゾン)のユーザーレビューで「参考になった」と評価する際のように単なるクリックするボックスになったりしている。

2015年にFacebookが絵文字リアクションのセットを導入して以来、単なる「いいね!」だけでなく複数の感情も表すことができる拡張された絵文字リアクションの使用が一般的になった。LinkedIn(リンクトイン)のような他のソーシャルメディアも追随し、2020年にはTwitterまでもが、DM(ダイレクトメッセージ)に絵文字リアクションのセットを採用した。

そして今回の調査でTwitterは、絵文字リアクションをどのように表示するべきか、例えばネガティブなリアクション数を表示すべきかどうかなどについて、ユーザーに意見を尋ねている。

画像クレジット:WFBrother on Twitter

TwitterがTechCrunchに語ったところによると、リアクションの領域で行っている作業は探索的なもので、現在この調査を行っているのは、人々が交わしている会話にもっとニュアンスを加える方法を検討しているからであり、そうすることで、読者がその会話にまつわる追加的な文脈を、よりよく理解できるようになるのではないかと考えているからだという。さらに同社は、新しい絵文字のリアクションが「ハート」に取って代わるものではなく、追加的なものであることも強調した。

Twitterは、まだ絵文字リアクションのセットを構築したわけではなく、テストも行っていないが、どうやらその方向に向かっているようだ。

最近、あるユーザーから「ハートだけでなく、絵文字リアクションも試してみたい」という要望が寄せられた時、Twitterの最高デザイン責任者であるDantley Davis(ダントリー・デイビス)氏は「間もなく何かご用意できると思います」と答えている。

TwitterもLinkedInやFacebookのように、ハートだけではなくいくつかのリアクション絵文字を提供すべきだと思い始めています。すべてをカバーする必要はありませんが、5つか6つの選択肢があるといいですね。

このツイートに絵文字を使って反応し、テストしてみましょう。

Arlan

間もなく何かご用意できると思います。

Dantley Davis

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterSNS絵文字

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)