バイオ技術による人工蜘蛛の糸の開発に挑戦するBolt ThreadsがシリーズDで$106Mの巨額を調達

私たちの五感の蜘蛛の巣が、大物を捕らえたかな? SECの提出書類によると、微生物を利用して人工蜘蛛の糸を作っているバイオテク企業Bolt Threadsが、シリーズDの資金調達で1億600万ドルという巨額を調達しているようだ。

Bolt Threadsは、蜘蛛の糸を作るという野心的な取り組みを初めて本誌に語って以来、めざましい成長を遂げた。英語でspider silk(蜘蛛の絹)と呼ばれるその素材は、テフロンよりも強く雲よりも柔らかくて、しかも自然界に大量に存在する。

たしかに、蜘蛛の巣を大量生産してそれを人間が着る、なんて話はあまりふつうではないし、過去にも何度か挑戦する人はいたが、みな失敗している。しかしBolt Threadsは、その不可能から黄金を紡いで、今年初めには最初の本物の衣料製品、314ドルのネクタイを作ることに成功した。

同社はその後PatagoniaやStella McCartneyなどとパートナーし、Best Made Companyを買収、9000万ドルを調達してそのシリコンバレーにおけるビジネスを成長させた。

今度また新たにほぼ1億ドルを獲得したことにより、うまく行けば同社の蜘蛛パワーは倍加することだろう。その申請書類によると、同社はこれまで、前からの投資家Foundation CapitalとFormation 8から約5700万ドルを調達できている。

最終的に全額を調達できれば、Bolt Threadsの調達総額は1億9600万ドルになる。

今Formation 8とFoundation Capital、そしてBolt Threadsにコメントを求めているので、何か得られ次第この記事をアップデートしたい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

どんなに汗をかいてもさらっと乾いているウェアを微小流体工学の技術で開発するAtacama、すでに多方面から引き合い

激しいスポーツでどんなに汗をかいてもそのスポーツウェアは乾いているし、それだけでなく発汗がデザインの要素になる。世界でもっとも乾燥した砂漠の名前を借用したAtacamaは、微小流体工学の技術を利用して、まさにそんなテキスタイルを作った。National Science Foundationの補助金をもらっているAtacamaは、アパレルや自動車産業、ヘルスケアなど、さまざまな分野における、その技術の応用製品も探求している。スポーツウェアは、そのひとつの例だ。

医療の世界で微小流体工学が使われ始めたのは、1980年代の“lab-on-a-chip”デバイス(チップの上の実験室)からだ。それによって、血液などの液体の、非常に小さなサンプルを用いる研究が可能になった。微小流体工学のテキスタイルへの応用を考案したAtacamaは、それにより織物や編み物のほとんどすべてが乾燥状態を保つので、きわめて快適に感じる運動着などを作れる。今市場化されている水分を逃がすファブリックの多くは、汗を衣類の表面に引き出して早く蒸発させるが、微小流体工学は水分を小さな三次元のチャネル(channels, 水路)へ導き、液体の方向性をコントロールすることによって、それらを特定箇所に集めたり、テキスタイルから落としたりする。どこでその現象を起こさせるかは、製造者が決められる。

Atacamaの技術はカリフォルニア大学デイヴィス校の研究グループが作り、メンバーの一人だったSiyuan (Alex) Xingが現在のAtacamaのチーフサイエンティストだ。彼によると、直面した最大の難題は、微小流体デバイスを作るために使われている微小製造工程の多くが、フォトリソグラフィーでもレーザー切断でも、シリコンウェファーやガラスなどの剛体用に開発されたものであることだった。したがってそれらでは、ファブリックの上にチャネルを作るのが難しい。結局彼らが悟ったのは、“ソリューションはファブリック側から得られるものでなければならない”、ということだった。

チームはテキスタイルの製造方法を学習し、どの方法なら低コストで微小流体工学的なチャネルを作れるかを検討した。刺繍、織物、プリント、ニットなどあらゆる方法を調べ、またそれらのテクニックのために使われている最新の製造機械も調べた。

“たとえばニットなら、ジャカードというという一種の型紙を使ってさまざまなパターンをファブリックの表や裏に作り出している。パターンの解像度は一ループにまで小さくできる。それはほぼ100ミクロンぐらいで、しかも3Dだ”、とXingは語る。“刺繍では、針が一本の糸をファブリックの基質を通しながら操作するがそれは、微小流体工学チップの上の‘スルーホール’と似ている。テキスタイルの製造方法をどうやれば微小製造工程の代替になりえるか理解したので、テキスタイル中に微小構造体とそのパターンを作る出せる、と確信した”。

これらの発見についてXingらが書いたペーパーが、防衛産業やヘルスケア、自動車などの分野のメーカーに注目され、その後、友人が彼を、Men’s WearhouseやGymboreeでチームリーダーだったSusan Nealに紹介した。Xingは、企業顧客開拓のためにAtacamaの取締役になるよう、彼女に求めた。NealはAtacamaの技術のデモを見たあと、CEOを引き受ける決心をした。

“取締役会議で、彼らが開発したプロトタイプのシャツを見た。その実際の機能を見たとき、これはすごい!と感じた”、とNealは語る。

“それは、水分がファブリックの表面を移動するとき、その方向をコントロールできた。まず何よりも、私はそれまで、そんなものを一度も見たことがなかった。私はビクラムヨガをやり、その教室も開いているから、みんな、水分を逃すファブリックについてはよく知っている。汗を吸い取って拡散する素材だ。しかしAlexがデモしたのは、水分が皮膚からシャツの外へ移動するときの方向をコントロールし、その水分をシャツから外す(落とす)技術だ。シャツ本体は完全に乾燥していて、それはこれまでまったく見たことのないものだった”。

Atacamaの技術はこれまで、ポリエステルやナイロンのような化学繊維に適用されていたが、今は木綿やメリノウールのような天然繊維でもテストしている。その技術を使った消費者製品はまだ市場にないが、Nealによると、今数社とパートナーしてプロトタイプを開発している。液体がファブリックの表面のチャネルを流れるよう操作するAtacamaの技術は、アパレルのデザインに含めることができ、上で見たように、スポーツウェアのブランドの強力なセールスポイントになる。

いちばん分かりやすい用途はトレーニングウェアや、ドレスシャツなどのアパレルだが(袖の脇の下部分に汗がしみない)、応用分野はもっと数えきれないほどある。たとえば、保護着、高性能おむつ、包帯や帯布、ギプス、病院用各種リンネル(布帛類)などに使える。

“今、車のシートへの応用研究を求められている。とくに自動運転車に使われいる電子回路から水分や、こぼしたドリンクの被害を防ぐことに、関心が集まっているようだ”、とNealは語る。

“すごく新しい技術なので、科学者たちとの対話の内容もすごい。彼らはあちこちで、これはできるか、あれはできるか、と聞かれ、ラボに帰ると、さらにそれら以外の有益なアイデアを考えだそうとしている”、と彼女は述べる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

縫製を完全に自動化したロボットのSoftWear Automationが$4.5Mを調達、海外低賃金労働への依存から脱却へ

漫画の主人公のロボット玩具が流行った時代があった。あなたが子どものころは、Transformers(トランスフォーマー)だったかな、それともMicrobots(マイクロボット)か。とても運が良かった人は、ミニ・トランスフォーマーのSewbots〔sew==‘縫う’〕を体験しただろう。

運が良かった人はSewbots Command Centerに入れただろうし、今現在本当に運が良い人は、枕でもパンツでもマットレスでもタオルでも何でも縫えるSoftWear Automation Sewbotを手に入れられる。5年前に同社はDARPAの補助金をもらって、最初の本物の縫うロボット(sewing robots, ソウイングロボット)の製造に成功し、さらに450万ドルを調達してその改良に取り組んだ。

ジョージア工科大学の教授たちが創ったその企業は、“衣料製品の製造をオフショア化したことがアメリカの経済にもたらした効果への答”だ、とCEOのPalaniswamy “Raj” Rajanが言っている。同社はWalmart Foundationから200万ドル、CTW Venture PartnersからのシリーズAで300万ドルを獲得した。後者は分割シリーズAのうちのA1だ。

同社のSewbotsは2015年以降、200万の家庭用品を生産した。そのロボットは布などの素材の上に置かれ、それらの表面を“マッピング”しながら縫っていく。一般的に縫製はこれまでの何十年間もロボット化が難しくて、Sewbotsの時代になってやっと、素材を掴んで強く引っ張らなくても縫える縫製ロボットがいくつか登場したきた。

“衣料品生産のオートメーションは、一部の工程だけ、というものが多い。しかもマシンへの素材の供給や管理は人間がやっている”、とRajanは語る。“特許を取った独自のコンピュータービジョン技術を使っているSoftWearの*完全自動縫製ロボットSewbotsは、人間オペレーターが要らないし、素材に対する前処理も要らない”。〔*: SoftWear, ‘SoftWare’ではない!〕

バスマットを縫えるロボットは昔のCy-KillやSpay-CやLeader-1ほどクールではないが、でも今の世代の子どもたちは、これまで長年、工業化時代の惨めな落ちこぼれ劣等生だった労働集約的な工程を、完全に変えることができるのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))