コスメD2CのDINETTEが丸井グループなどから約3億円を調達

コスメのD2Cブランドと美容メディアを展開するDINETTEは5月7日、セレス、ポーラ・オルビスホールディングス、D2C&Co(丸井グループ)、MTG Ventures、サティス製薬を引受先とした第三者割当増資により総額で約3億円を調達したことを明らかにした。

同社ではコスメD2Cブランド「PHOEBE BEAUTY UP(フィービービューティーアップ)」のさらなる拡大に向けてマーケティングや人材採用を強化する計画。本日発売した第3弾プロダクトとなる「毛穴美容液」を始め、新商品開発にも引き続き力を入れる。

DINETTEは2017年3月創業のスタートアップだ。同年4月からInstagramを軸にメイクや美容に関するハウツー動画や新作コスメの紹介動画などを配信しながら事業を拡大。18年2月には自社メディアも開設し、コアなユーザーとの接点を広げてきた。

2019年2月にスタートしたD2Cブランドはメディアで培った経験や構築してきたユーザー基盤も活かされたものだ。DINETTE代表取締役の尾崎美紀氏によるとDINETTEブランドのSNSやオウンドメディアにはトータルで約40万人のユーザーがついていて、新たな商品を作る際にはユーザーが抱えている悩みや化粧品への要望などをアンケートのような形で収集しながら進める。各メディアは新商品をユーザーに知ってもらうための場所としての役割も果たし、今のところは良いサイクルが回っているそうだ。

第1弾プロダクトの「まつげ美容液」はSNS上で拡散されたことをきっかけに発売翌月に初回在庫分が完売。人気アパレルブランドとのコラボレーションに加え、全国のバラエティショップ約200店舗での卸販売にも取り組んでいる。

直近では新型コロナウイルス(COVID-19)の影響による外出自粛をうけ「おうち美容」ニーズが高まっていることに伴い、まつげ美容液の売り上げも増加して3月、4月と過去最高売上を記録しているとのこと。昨年11月に第2弾プロダクトの「フェイスマスク」を発売したことも合わさって、単月の売上は昨年7月の資金調達時と比べて約8.8倍に増加しているという(19年7月と20年4月の比較)。

今回の資金調達はこの流れを加速させることが大きな目的だ。既存投資家であるセレスとポーラ・オルビスホールディングスに加えて、新たに事業会社3社とタッグを組む。

丸井グループが今年2月に設立したD2C&Coとは資本業務提携を締結した。年間2億人が来店するマルイ店舗や700万人を超えるエポスカード会員など丸井グループのリソースを活用しながら、DINETTEの成長を目指していく方針。コロナウイルスの関係で具体的な時期などは未定だが、ポップアップを含むリアル店舗への出店を通じてリテール関連の施策も今後共同で進めていきたいとのことだった。

またMTGグループとはD2Cプロダクトの商品開発や海外展開において、サティス製薬とは商品開発においてそれぞれ連携をとる計画だという。

肌診断を軸にしたカスタマイズサプリD2Cの「FUJIMI」が新商品としてフェイスマスクを発売へ

肌診断を軸にカスタマイズ処方を提案するD2Cブランド「FUJIMI」を展開するトリコは2月27日、新プロダクトとしてカスタマイズフェイスマスク「FUJIMI BEAUTY FACE MASK」の予約販売をスタートした。

FUJIMIの特徴はオンライン上で実施する約20問の肌診断の結果をもとに、ユーザーごとにカスタマイズした商品を届けていること。睡眠時間や食生活などに関する質問を通じて今の肌の状態をチャートやスコアでわかりやすく可視化し、なりたい肌の方向性を見極めた上で個々にあった処方を提案する。

今回FUJIMIが開発したカスタマイズフェイスマスクは2層式となっていて、肌診断の結果に合わせて処方された2種類の美容液を使用直前に自身で混ぜ合わせて使用する。

パッケージ上部の第一美容液に含まれるのは、今の肌の課題に対して効果的にアプローチする「トラブル修復特化型」の美容液成分。たとえば保湿成分の”ヒアルロン酸”や肌荒れ防止効果などを持つ”パンテノール”などが該当する。

もう一方のパッケージ下部の第二美容液には「なりたい肌を叶えるため」に必要な美容液を配合しており、保湿力の高い”シロキクラゲ多糖体”、肌を正常な状態に戻す鎮静効果の高い”ボタンエキス”などが含まれるという。

香りについてもフレッシュマンダリンやフローズンフローラルなど3種類の中から好みや気分に合わせてカスタマイズできる。肌の状態に応じて肌診断を再度実施することはもちろん、同じ診断内容で香りだけ変更して楽しむことも可能だ。

料金は1箱6枚入りで6400円(税、送料別)、定期購入の場合は4980円(税別、送料は無料)。本日から予約販売をスタートし、3月16日より一般販売を始める予定だ。

FUJIMIが第一弾プロダクトとして昨年4月に提供を開始したカスタマイズサプリメントでは、2020年1月末までに約40万人が肌診断を実施済み。昨年10月に1.5億円を調達した時と比べても、ユーザーの翌月継続率は引き続き90%以上を保っているほか、新規顧客も純増しサプリメント単体で月間売上は約3倍に伸びているという。

第二弾となるフェイスマスクではその40万人の診断結果をベースとしてユーザーが必要としている成分を厳選。サプリメントが体の内側からアプローチする商品だったのに対し、今回は外側からケアできるアイテムとして開発した。

トリコによるとフェイスマスクを選んだ理由としては、サプリと同様に既存のスキンケアにプラスケアとして使用できるのも大きいそう。加えて他ブランドへのスイッチングコストが低い商品のため、このプロダクトをきっかけに新規ユーザーの獲得も見込んでいる。

もちろんFUJIMIにおいても乗り換えのリスクはあるが「肌診断で処方を提案するので、その時の悩みに合わせた処方に組み直すことが可能になり、その分LTVをあげることができると考えている」とのことだった。

「調達のタイミングから仕込んでいたFUJIMIの第二プロダクトであるフェイスマスクは、価格的にもサプリより幅広い年齢層の方にアプローチできると考えています。またFUJIMIの共通の肌診断を通して、サプリだけでなく複数プロダクトを提供できることによるCPA改善・クロスセルを狙います。今後も、カスタマイズスキンケアの領域で新プロダクト開発を進め、FUJIMIのブランド認知拡大を目指します」(トリコ代表取締役社長の藤井香那氏)

月商は2億円規模、会員数8万人のパーソナライズシャンプー「MEDULLA」が丸井などから6億円調達

Spartyのメンバー。前列中央が代表取締役CEOの深山陽介氏

パーソナライズシャンプーのD2Cブランド「MEDULLA」を手がけるSpartyは1月23日、丸井グループ、XTech Ventures、アカツキ、ジンズホールディングスを引受先とする第三者割当増資により総額で約6億円を調達したことを明らかにした。

今回の資金調達を機に体験型店舗の運営やサロンとの提携など、オフライン展開を加速させていく計画。現在期間限定で有楽町マルイ1階にオープン中の店舗を3月1日より常設店舗として再オープンするほか、新たな店舗も開設していく予定だ。

なお今回の調達先は丸井グループを除いて全て既存投資家。SpartyではこれまでXTech、アカツキ、ジンズの3社に加え、サティス製薬やアイスタイル、赤坂優氏から資金調達を実施している。

「パーソナライズ×スマホUX」で急成長、会員は8万人突破

Spartyは2017年7月に博報堂出身の深山陽介氏(代表取締役CEO)らが立ち上げたスタートアップ。2018年5月よりユーザーの髪質や香りの好みなどを踏まえたパーソナライズシャンプー・MEDULLAの提供を開始している。

情報通の人は知っているかもしれないけれど、2018年にはOEM先のトラブルにより商品回収を行うなど一時は売り上げがほとんどない危機にも陥った。そこからサティス製薬と資本業務提携を結び、同社と協業する形で2019年4月に全面リニューアルを実施。同年11月からはヘアオイルの販売も始めた。

深山氏によると特に昨年の秋口以降、事業が一気に伸びたそう。現在会員数は8万人を超えるまでに成長し、2020年1月の月商は2億円近くを見込んでいるという。

プロダクトの特徴は「パーソナライズ×スマホUX」だ。MEDULLAはオンライン上で9つの質問に回答するだけでカルテを発行し、約3万通りの中から各ユーザーにカスタマイズしたレシピでシャンプーとリペアを製造する。

ユーザーはスマホをタップしていくだけで自分に合った納得感のある製品を手にすることが可能。フィードバックを送ればより自分に適した形へ処方を改善していくこともできる。

MEDULLAでは自分の髪質やなりたい髪など、9つの質問に対してスマホ上の画面をポチポチタップしながら回答していくだけで、自分に合った処方箋が作成される

質問回答後の画面

日本には1万種類以上のシャンプーが存在すると言われ、店頭やWeb上に様々な商品が並んでいる状況において自分に合ったものを見つけるのは大変だ。深山氏は「思考停止時代のUX」という表現もしていたけれど、実際に「いろんな商品を試したけど、どれがいいのかわからない。自分に本当に合ったものが手軽に手に入るならお金を払いたい」と考えるユーザーは多いという。

「美容はそうとう曖昧なものだと思っている。データだけでその人が本当に喜ぶものを提供できるかというと、その時の環境や気分、体験によっても大きく左右され難しい。だからこそデータで最適なものを提供することをベースにしつつも、ユーザーにデジタル起点でしっかりと寄り添い、曖昧な悩みを一緒に形にする。そしてずっと同じものではなく商品をどんどん変え、『サービス』にしていくことを大事にしている」(深山氏)

プロダクトを多くの顧客に届けるという観点では、Spartyは初期からサロンとの提携にも力を入れてきた。現在150店舗を超える提携サロンでは美容師が無料で髪質や頭皮の状況を診断し、MEDULLAを体験してもらった上で興味を持ったユーザーに販売する「体験型販売」を実施している。

ユーザーは美容師の診断を受けた上で実物を試してから購入できるのがメリット。通常通りユーザーのスマホを使ってオンラインで購入手続きをするため、サロン側は在庫を抱える必要がなく始めやすい。販売できると定期的にマージンが得られるので収益アップにも繋がる。デジタルを起点にサロンのビジネス構造をアップデートする取り組みと捉えることもできるだろう。

MEDULLAにとっても顧客とのタッチポイントが増えるだけでなく、“認知されてはいるものの購入には至っていなかった顧客”の背中を押すスイッチにもなりうる。

美容品ということもあり「実際に香りを試したい、対面で話を聞いて確認してから購入したいというニーズも一定数ある」(深山氏)ため、サロンはそのための場所として効果的。サロン経由で購入した顧客は翌月以降の継続率が高く、良質な顧客との接点になっているようだ。

サロン連携と並行して取り組んできたオフラインの自社店舗についても狙いは近しい。有楽町マルイ内の期間限定店舗では専任スタッフが無料でヘアカウンセリングや頭皮診断を行うほか、ヘアオイルを無料で使用できるブースを用意。ギフト用単品販売など店頭限定商品なども扱い、オンラインとオフラインを融合させたデジタルネイティブな体験型店舗として運営している。

丸井グループとの協業などでオンライン展開加速へ

今回の資金調達は上述してきた取り組みを加速させ、事業をさらに成長させていくことが大きな目的となる。直近では特に「店舗」「サロン」「人を起点としたブランド」の3つが注力ポイントだ。

店舗に関しては「デジタル・ネイティブ・ストア」戦略を掲げる丸井グループとの協業を軸に、体験型店舗を広げていく計画。3月1日スタートの有楽町マルイの常設店のほか、渋谷ヒカリエ ShinQsや阪急うめだ本店などでも期間限定の店舗を開設する予定だ。

同時に提携サロンの拡大にも引き続き力を入れ、2020年に1000店まで増やすことを目指すという。

もう1つの人を起点としたブランドの構築は若干ベクトルが異なるが、深山氏いわく「消費財版のBASE」のような世界観を実現したいとのこと。MEDULLAと同様のフローで3万通りの中から処方を選び、デザインを変更した上で“自分のブランドとして”商品を簡単に製造販売できる仕組みを作る。

すでに先日より第一弾としてアーティストの伊藤千晃氏とタイアップしたシャンプートリートメントセットの販売を開始。このような事例を今後も増やしていく方針だ。

MEDULLAを最初にローンチしてから1年半以上が経過し、同サービスはもちろんマーケット環境にも様々な変化があった。近年はパーソナライズヘアケア商品も盛り上がってきていて、参入障壁自体はそこまで高くないこともあり、ボタニストやユニリーバなども昨年からこのビジネスに参入している。

そのような環境において深山氏が今後ビジネスを一層スケールさせていくためのポイントにあげていたのが、店舗やサロン、人起点のブランドを含めた「強固なチャネルを構築すること」だ。

「化粧品メーカーの歴史を紐解くと、それはチャネルを作ってきた歴史でもある。もちろんブランドも大事だが、チャネルを構築してそこにブランドを流せる土壌を作ってきた企業がビジネスを拡大してきた。今は様々なチャネルをデジタル起点で変革できるタイミングが訪れていて、自分たちもまさにそこに取り組んでいる」

「要はこれまで店舗にしてもサロンにしてもオフラインからオンラインが主流だったところを、『オンライン起点でいかにオフラインを最適化していくか』考えて体験を設計していくということ。パーソナライズ×スマホUXを軸として、チャネルに投資をして土台を作る。製造も含めたバリューチェーンを磨いていくに力を入れる」(深山氏)

まずは化粧品領域から「パーソナライズ×スマホUX」のモデルを広げていく方針で、今年の春頃を目処にスキンケア商品も販売する予定。ゆくゆくは化粧品以外も含めて、いくつかのブランドを保有するD2Cホールディングスを目指していきたいという。

肌診断を軸にカスタマイズした美容サプリをサブスク型で提供、「FUJIMI」運営が1.5億円を調達

肌診断を軸にしたカスタマイズサプリ「FUJIMI」を展開するトリコは10月23日、ポーラ・オルビスホールディングスとXTech Venturesを引受先とした第三者割当増資により1.5億円を調達したことを明らかにした。

同社では調達した資金を活用してFUJIMIのさらなる販売促進と認知拡大を目指していく計画。ポップアップストアやリアル店舗などオフラインチャネルの開設に加えて、新商品の開発やメディア事業にも力を入れていくという。

トリコは2018年4月の創業。今回の資金調達はプレシリーズAラウンドに当たるもので、今年4月にはXTech Venturesとバルクオム代表取締役の野口卓也氏から3000万円を調達している。

約20問の肌診断で、肌に合ったサプリをカスタマイズ処方

冒頭でも触れた通り、FUJIMIは肌診断の結果を基にユーザー1人1人の肌に合わせた美容サプリをカスタマイズ処方し、サブスクリプション形式で提供する。

使い方は簡単で、ユーザーはオンライン上で「ほおに触れた時の肌の感触は?」「化粧のノリは?」など約20問の質問に答えていくだけだ。FUJIMIではビタミンACE、ビタミンB、コラーゲン、プラセンタなど11種類のサプリを用意していて、肌診断の結果からユーザーごとに5種類をピックアップ。それを1袋5粒入りのパック(1日分)にして、30日分を1箱にまとめて届ける。

料金は1ヵ月分が6400円の定額モデル(単発で購入することも可能)。現時点でユーザー自身がサプリの内容を選ぶことはできないけれど、肌診断をやり直すことでその時々の肌の状態に合わせたサプリを購入することができる。

トリコ代表取締役社長の藤井香那氏によると「くすみや乾燥、ニキビ、シワ、シミなど人ごとに様々な肌の悩みを抱える中で、適切なアプローチができるようにサプリの開発や種類の絞り込みにはかなり時間をかけた」そうで、開発前には120人以上の女性にヒアリングして悩みを研究してきた。

その上で米国ISNFサプリメントアドバイザー資格を持ち、機能性表示食品検定協会の理事を務めるサプリメントの専門家をアドバイザーとして迎え、1万以上ある国内外の肌に関する研究論文などをもとにしながら11種類のサプリを調合。肌診断のアルゴリズムについても同様に専門家の知見を借りながら開発を進めてきたという。

現在のメインターゲットは美容に気を使う30〜40代の女性。年齢と共に肌の状況が変わり、スキンケアの方法もステップアップが必要になる中で「外側だけでなく内側からのケア」に意識を向けている層に訴求をしていく。

「そもそも何を飲めばいいかわからないという人にとっては、肌診断を通して自分の肌に合ったサプリが見つかるのが特徴。美容意識が高く自身でビタミンやミネラルなどのサプリを取っている場合でも、それぞれボトルが分かれているので毎回何箱も開けて飲むのは大変だし、自分に合うものを何種類も試しながら探すのは手間もかかる。FUJIMIでは必要な5粒のサプリを1日分ごとに包装しているので持ち運びやすいし、飲みやすい」(藤井氏)

診断を実施するとその結果に合わせた5つのサプリのほか、肌の状態を示したチャートやアドバイスなどが表示される

今年の4月からスタートしたサービスのためまだまだ認知度は限られるものの、実際に使ったユーザーの翌月継続率は90%以上。参考までに、これまで提供してきたサプリの数は累計で100万粒を超えているそうだ。

トリコではInstagramで12万人以上のフォロワーを抱えるメディア「SkieNa(スキーナ)」も展開していて、同メディアも強化しながらより多くのユーザーにアプローチしていくことを目指す。

今後は新商品の開発やオフライン展開を強化

FUJIMIのアイデアはもともとトリコで美容系のメディアを展開していた時に生まれたものだ。

藤井氏は学生時代に「ヘアラボ」などメディア事業を手がけるアラン・プロダクツ(当時の社名はゴロー、2016年にユナイテッドが子会社化)でインターンをした後、ユナイテッドにジョイン。同社の社内起業支援制度を活用して子会社の代表を務めた経験もある。

トリコのメンバー。前列左から2番目が代表取締役社長の藤井香那氏

自己資本で立ち上げたトリコでは化粧品やダイエット食品、健康食品などの情報を扱うWebメディアから事業をスタート。そのサイトでたくさんの商品の記事を書くうちに「美容への興味が高まる一方で、自分自身が本当に買いたいという商品があまりなかった」ことから、それならば自分で作ってしまおうとFUJIMIの構想が生まれた。

「スキンケアに関する商品は外側からつけるタイプのものが多いが、それだけでは0.02ミリの角質層までしか届かずケアとしては足りないのではないかと体感的に思っていた。ビタミンやオイルといった必要な美容成分を(サプリを通じて)内側から取れることを勉強して、『内側からのスキンケア』は市場としてもまだ空いているし、チャレンジできる余地があると考え開発を進めてきた」(藤井氏)

グローバルで見ると、サプリのパーソナライズD2Cとしてはゴールドマンサックスなどから累計で4000万ドル以上を調達している「Care/of」のようなプレイヤーも出てきていて、トリコでもベンチマークの1つとしているそうだ。

商材としてもパーソナライズ化やECでのサブスクリプションモデルとの相性が良いこともあり、現在のビジネスモデルを採用。構造はシンプルだが、その分プロダクトの設計やデザインにはかなりこだわりを持って作ってきた。

トリコは藤井氏を含めて3人の共同創業者が全員デザイナーで、プロダクトやWebサイトなどのクリエイティブは全て社内のメンバーが担当。「サプリメントについては『ダサい』『胡散臭い』などマイナスなイメージを持っている人もいるが、ビジュアルを変えて『持っているだけで女性のテンションが上がるようなもの』を目指している」(藤井氏)という。

まずは美容領域からスタートし、今後はFUJIMIブランドの商品ラインナップを増やしていく方針。すでに現在の肌診断結果を用いてサプリとは別の商品を提案するための準備も始めている。

またトリコではラインナップの拡大と合わせて、ポップアップストアやリアル店舗の出店などオフラインでの顧客との接点作りも進めながら、強固なブランドの確立を目指していく。

「OEMで工場にお願いして作ってもらっているので、他社が似たような商品を開発することもできる。そういう意味では中長期的に独自のブランドを確立させていくことが重要。今はまだブランドにもなっていないので、まずは今回調達した資金も活用しながらブランド化に繋がるような取り組みに力を入れていきたい」(藤井氏)

“商品ありすぎ、チャネル多すぎ”な化粧品の購入体験を変革、コマースメディア「noin」が3億円を調達

「コスメの最安値がわかるのが便利」「コスメに特化した価格.comのようなもの」——化粧品コマースメディア「noin」のApp Storeのレビューには、そのようなコメントが並ぶ。2017年10月にiOSアプリをリリースし、12月にはApp Storeのライフスタイルカテゴリで1位を獲得。レビュー数はリリースから約5ヶ月で5000件を超える。

そんなnoinを提供するノインは3月28日、グリーベンチャーズ500 Startups JapanKLab Venture Partnersみずほキャピタルおよび個人投資家を引受先とした第三者割当増資を実施。約3億円を調達したことを明らかにした。またこれに合わせて、グリーベンチャーズの堤達生氏が同社の取締役に就任するという。

化粧品の「選定時」と「購入時」の課題を解決

noinは大きく2つの特徴を持つ、動画コマースアプリだ。1つは冒頭でも触れたように、気になる化粧品の最安値を整理したECとしての機能。そしてもう1つが新作情報やメイクのハウツーを紹介する動画メディアとしての機能だ。

ユーザーはAmazon、yahoo!ショッピング、楽天、マツモトキヨシといったショッピングサイトの最安値を横断で把握できるだけでなく、人気ブランドのセール情報を取得可能。動画を通じて商品の特徴や使い勝手も知ることもでき、気になる商品をお手頃価格で購入したい人を中心に支持を集めている。

もともとは分散型の動画メディア「noin.tv」を2017年2月にスタート。10月にコマースメディアとしてnoinをリリースした。ノイン代表取締役の渡部賢氏によると、化粧品の領域においては情報の発信者となるメーカーやショップと、受け手となる消費者の間に「情報の非対称性」が2つ存在するという。

「1点目は『化粧品選び』の課題。たとえばリップだけで約5000点の商品が販売されているように、商品がありすぎて、本当に自分に合ったものがわからないという女性も多い。そして2点目は『購入時』の課題。販売チャネルが多様化した結果、在庫と価格のブレが生じている。各ショップがすべての商品を揃えているわけではないし、知らないだけで実はもっとお得に買える場所があることもある」(渡部氏)

つまりノインでは動画コンテンツを通じて化粧品選びの、コマース機能を通じて購入時の情報の非対称性を埋めようとしているわけだ。

化粧品のEC化を推進、経験財からの脱却へ

もっとも化粧品領域の「動画メディア」については、すでに複数のプレイヤーが存在する。そこにはC Channelのような女性向けの総合メディアや、美容系のYouTuberも含まれるだろう。ノインでも動画制作のノウハウや実績はあるというが、軸になるのはコマースの部分。それによってユーザーの利用シーンも違ってくるというのが渡部氏の見解だ。

「(商品購入体験の初期段階に)情報収集の目的で使われるメディアは、購入までに距離がある。欲しい商品を見つけてもすぐに買うわけではなく、口コミアプリなどで参考になるレビューを探す消費者が多い。その後、店舗で試すなど検証をして、納得のいく価格を見つけた上で購入する。ノインの特徴は、確度があがった“購入寸前”のユーザーが利用するアプリだという点にある」(渡部氏)

たとえばamazonは商品詳細ページから購入までのコンバージョンが平均で3%と言われているが、noinから送客したユーザーの購入率は平均で10%になるそう。化粧品メーカーなどブランド側としては最終的に自社製品を買って欲しいため、購入意欲が高いユーザーが多いことは大きな価値になるという。

近年、化粧品のEC化率は伸びてきているものの、2016年では約5%ほどというデータもあるように決して高いとはいえない(『電子商取引に関する市場調査』における、化粧品、医薬品のEC化率)。一般論として化粧品はいわゆる「経験財」で、実際に試してみてから購入するものであると考えられてきたため、約5%という数値はそこまで驚くものではないだろう。

ただこの考え方については、若い世代を中心に少しずつ変わってきていると渡部氏は言う。

「『タグる』という言葉が広がってきているように、SNS上などで自分に近い人や共感する著名人が発信する情報を参考に商品を購入するというケースも増えてきている。noinでも動画のアプローチなど、コンテンツの見せ方や届け方を工夫することで、EC化率をもっと上げていきたい」(渡部氏)

実際noinを使っているユーザーの90%以上はF1層の女性。特に20代前後が多いため、従来とは違ったプロセスで化粧品の情報にアクセスし、購入に至る割合も高そうだ。

化粧品業界の新しい流通プラットフォーム目指す

写真左がノイン代表取締役の渡部賢氏、右はグリーベンチャーズの堤達生氏

ノインは2015年1月の創業。代表の渡部氏が個人事業として始め、2016年11月に法人化している。渡部氏はネイバージャパンでキャリアをスタートし、グリーでスマホ版のGREE NEWSの立ち上げなどに従事。その後プロデューサーとして複数のサービスに携わってきた。

「検索サイトもニュースも、受け手が欲しい情報と発信される情報のミスマッチをなくしていくことは同じ。さまざまなサービスに関わる中で情報の非対称性をなくしていくことが自分の得意分野であり、興味のある領域だとわかった。動画制作に携わる中で知見も貯まっていたので、これらを活かして何か新しい変化を起こせる市場がないか、それを探っていった結果noinに行き着いた」(渡部氏)

2017年2月から分散型メディアをスタートし、同年7月には500 Startups JapanとKLab Venture Partnersから4000万円を調達。今回の資金調達はそれに続くラウンドとなる。

ノインでは調達した資金をもとに人材採用の強化、広告投資の強化を進める方針。またAndroid版の開発に加え、化粧品メーカーや小売業者がnoin上で商品の販売を行えるように事業提携を進め、化粧品業界の新しい流通プラットフォームを目指していく。

「たとえばライブコマースや共同購入の仕組みなども含めて、商品を購入するまでのプロセスを楽しめる要素を増やしていく。(そこで収益化したいという意図ではなく)noinをたくさん開いてもらうきっかけを作り、アクションメディアとしてのバリューを拡大していきたい」(渡部氏)

Spotifyが化粧品販売にも乗り出す、主催音楽イベントWho We Beのチケットは完売

IPOに向けて熱い注目を集める160億ドルのデジタルミュージック「スタートアップ」Spotifyは、基本とするストリーミングサービスを超えて、プラットフォームの多様化の努力を続けている。最新の動きとしては、美容製品の販売を開始する予定だ。

その通り、目にした通りだ。今やSpotifyを通して美容製品を購入することができるようになった。

この新しいサービスは、SpotifyとMerchbarの提携による最新の拡張サービスだ。Spotifyは昨年からプロフィールページでアーティストの作品を販売するようになっていた。

人気のメイクアップアーティストPat McGrathやミュージシャンMaggie Lindemannと協力してきたMerchbarは、直販に近い領域に参入しようとしている。そのことによって、ファンたちは特定のアーティストの「作品を買う」ことができるようになる。Instagramのような他のソーシャルメディアでもどのように商品が売られるかは大きなテーマだ。

「ファンたちが、うっとりすような美の喜びをすぐにでも手に入れたいと渇望している、このメイクアップのデジタル時代に、私は常にファンたちが最も関心のある場所で交流したいと思っていました。これがSpotifyとの関係が大切な理由なのです、なぜならそれによって美と音楽が、これまでになかった全く新しいやり方で、融合することになるからです」とMcGrathは述べている。「私はそれがやっと実現することに強い喜びを感じています」。

McGrath——ソーシャルメディア上で圧倒的な存在感を示す、スターたちのメイクアップアーティスト——は彼女自身のビジネスであるPat McGrath Labsを経営している。そして、パートナーシップの皮切りに、3色の口紅の販売を開始する。それぞれの価格は22ドル。またアイペンシルは18.95ポンド(英国価格)だ。その他のアイテムも同時に販売される。

Lindemannはその発売に合わせて、新しいシングルをリリースする。

はっきりさせておくが、これはSpotifyにとっては新しい収益源ではない。プラットフォームを介して行われた売上からの手数料徴収は行わないのだ。ここでの狙いは、手数料を受け取る代わりに、アーティストたちのための取引を楽なものにして、ストリーミングを超えて彼らにSpotify上でお金を稼ぐ機会を増やすことである。

これは重要な取り組みだ。なぜならSpotifyは音楽によってお金を稼ぐという意味で、苦労している人たちから非難されて続けているからだ。彼らが集めたロイヤリティーは、一部のしかも最も人気のあるアーティストたちにしか分配されていない(そしてそうした人気アーティトでさえも不平を述べている)。

そうしたことから、同社はそのイメージを好転させるための長いキャンペーンを続けてきた。(また、アーティストたち自身による、ビジネスの可能性を高めるためのマーケティングを助けることを狙って、買収も行なっている)。

Spotifyはまた、他の方法でもアーティトを支援している。それはより多くの投資を要するが、(物品の販売よりも)より多くの見返りを得ることになるだろう。

今年の初め、Spotifyはロンドンで、新しいコンサートイベントを始めた。イベント名は(人気のプレイリストの名前でもある)Who We Beだ。そして本日(米国時間11月13日)には遂に、イベントチケットが完売したことを発表した。同様に、プラットフォームに関連付けられた、6都市でのヒップホップツアーであるRapCaviar Liveのチケットも、米国内で販売されている。

チケット販売は、例えばPandoraのような企業にとっては重荷だった(買収したTicketflyは最終的にEventbriteに売却されている)。しかしSpotifyによるイベント事業への参入は、商品販売と並んで、同社が如何にこの隣接領域を優先して、コミュニティ構築の手段として追求しているかを示すサインだ。

Spotifyは、McGrathの美容商品に続いて、さらに多くのパートナーシップが控えているのかについてはコメントしていない。またMcGrathもしくはMerchbarが、その品揃を拡張していくのかに関しても言及していない。

さらに注目すべき点は、現在6000万人以上の有料ユーザーと、全体で1億4000万人を超えるユーザー(無料で広告付き音楽を聴いているユーザーを含む)を抱えているSpotifyが、その利用者層を活用して、コミュニティ内のビジネスパーソン(すなわちSpotify上ではミュージシャン)たちに対して訴求しようとしていることだ。

「Maggie Lindemannは非常にエキサイティングな若手アーティストです。毎月700万人以上の世界中のファンたちが、Spotify上で彼女の音楽を聴いています」と声明で述べるのは、Spotifyのアーティストアンドファン獲得責任者のJordan Gremliだ。「美容製品を革新的な方法で提供する、Pat McGrathとのこのパートナーシップによって、LindemannはダイレクトにSpotifyで彼女の音楽を聴くファンたちとつながることになります」。

Spotifyはこうした売り上げから利益を得ることはないが、アーティストたちに同プラットフォームをマーケティング活動に利用し続けてもらうための手助けとなる。そして利用者たちも、単に音楽を聴くため以外の目的でもプラットフォームを訪れるようになる。こうしてアーティストとユーザーの両者が引き付けられることになるだろう。

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(翻訳:Sako)

髭剃り定期購買「Dollar Shave Club」のCEO、Michael DubinがUnilever による買収を語る

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編集部記:David Pakmanはニューヨークに拠点を置くベンチャーキャピタルVenrockのパートナーだ。アーリーステージのインターネット、デジタルメディア企業を中心に投資している。

Dollar Shave Clubのアーリーステージにおける投資家として私はDollar Shave ClubのCEOを務めるMichael DubinとUnileverによる買収、そしてこれまでの軌跡について話を聞いた。Venrockの「Running Through Walls」のポッドキャストでその様子を放送している。

この会社が初期の頃にローンチしたユーモアたっぷりのビデオを覚えている人も多いだろう。ネット上で大きな話題となったそのビデオは、会社のウェブサイトをクラッシュさせるほどの人気となった。「ビデオの人気が凄すぎて、もう会社が立ち直れないんじゃないかと思いました」とDubinは話す。

会社は見事に立ち直り、Dubinは男性の手入れの分野で確固たるブランドを築きあげた。彼は自社の物流センターを訪れたときに、ベルトコンベアを流れる大量の出荷待ち製品をみて、自社プロダクトがどれほど多くの人々の生活に役立っているかを目の当たりにし、会社の成功を確信したという。「アメリカ人の約3%は朝起きたらDollar Shave Clubの製品を使っているのです」。

Dubinはその昔、即興劇のクラスを取ったこともあり、ユーモアはいつでも会社のカルチャーで重要な役割を果たしてきた。彼はそのクラスで学んだことをCEOとしての仕事に生かしてきた。「台本なしでステージに立つことは、どんな困難にも立ち向かうための訓練になります。スタートアップ向けの最高のトレーニングでした」。

買収後もDubinは引き続きCEOとして新製品の開発と海外展開を中心とした「平常業務」を続けていく予定だ。Dublinによると「Unileverは世界で有数の先進的、革新的な一般消費材メーカー」で、Dollar Shave Clubの買収先として理想的な相手だという。

5年後には「ネットショッピングの概念に意味のある変化を与える」企業になることを目指しているとDubinは言う。

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(翻訳:Maki Itoi)