テスラが同社オートパイロットのライセンス供与に意欲、他メーカーと予備交渉をすでに開始

Tesla(テスラ)は、高度な自動運転技術である「オートパイロット」や、自律運転技術の改善のために自社開発したニューラルネットワークのトレーニングシステムを含むソフトウェアのライセンシングに意欲を見せている。TeslaのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、米国時間1月27日に開かれた第4四半期収支報告会でそうした考えを示した。その上、同社はすでに「オートパイロットのライセンス供与について他のOEMと予備的交渉を行った」事実も公表している。

2020年末、同社はオートパイロットのいわゆる「完全自動運転(FSD)」バージョンのベータ版の展開を開始している。

通常版のオートパイロットは、基本的にはハイウェイでの走行を主眼とした高度なクルーズコントロールが使える高度運転支援(ADAS)機能の一般リリース版に組み込まれている。今回の収支報告会でマスク氏は、もしライセンシングの方向性が決まった場合には、同社のFSD機能を、その契約が成立する前に提供したい考えを示した。

マスク氏は、Teslaの「哲学は決して庭(全体)を壁で囲うようなものではない」と訴え、同社は他の自動車メーカーにもSupercharger(スーパーチャージャー)ネットワークと自律性ソフトウェアを使えるようにする計画があると強調した。事実、彼は会社として自社の自律運転技術を「他の自動車会社」に「ライセンスすることをこの上なく喜んでいる」と述べている。

Teslaの技術が標準的な人間のドライバーを大きく上回る確実な信頼性を実証するためには、超えなければならない決定的なハードルがある。それは、ニューラルネットークの仕事をクルマの中に移すことだ。そして、そこへ知覚エンジンにパワーを与える分析結果を提供するには、それらを映像化する必要がある。これは単一のカメラと単一のフレームでトレーニングされたニューラルネットワークのニューラルネットをベースにしたシステム全体のフルスタックの移行だ。

そのために、Teslaは映像ラベリング用のソフトウェアを開発した。それは「ラベリングの効率に大きな影響を与える」ものであり、最終的にはラベリングを自動化する目標がある。マスク氏は(自社の業績を控えめに語るような人物ではないと忠告しておくが)、「それが世界で最も優れた桁違いに高性能なニューラルネットワーク・トレーニング・コンピューター」だと信じていると主張する。さらに「潜在的にはサービスとして提供できるものでもある」と言い加えている。

膨大な量の映像データを使ったトレーニングにより、Teslaはそのソフトウェアの信頼性を人間のドライバーを100%とした場合に200%に向上させ、最終的には「標準的な人間よりも2000%」にまで高めるとマスク氏はいう。だがまたそこでも、この技術的成果を自社の中に封印しておきたくはないと訴えていた。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Tesla自動運転

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(翻訳:金井哲夫)

深い人間関係に育つ出会いをサポートするデートアプリS’Moreが2.2億円を調達

もっと深い人間関係の出会いを手助けするデートアプリS’Moreは、米国時間1月26日、シードラウンドで210万ドル(約2億1800万円)を調達したと発表した。

S’More(Something More:「何かもっと」を縮めた名称)は、利用者が肉体的な魅力に惑わされないよう写真にはボカシがかけられており、相手とのやりとりが増えるごとにボカシが薄くなる仕組みになっている。同スタートアップは、ビデオチャットなどの新機能を導入し(これも最初はボカシがかかっている)、2021年1月初めには新デザインのアプリをローンチした。CEOのAdam Cohen-Aslatei(アダム・コーエン=アズラティ)氏は「完全な作り直し」だと述べており、リアルタイムの会話を促したり、有料でプロフィールを宣伝できるなどの新機能が追加された。

またコーエン=アズラティ氏は、S’Moreの「反表面的な関係」にフォーカスしている点が、本気のオーディエンスを惹きつけていると話す。初年だけで16万件のダウンロードがあり、有料ユーザーは「数千」とのこと。2021年1月に新アプリをローンチしてからは、サブスクリプション登録者は50%増加している。

パンデミック以降、デートのかたちが変化したことを受けて、コーエン=アズラティ氏は「元の状態には戻らないと考えています」と指摘する。S’Moreユーザーを対象に行った最近のアンケートでは、2020年に相手と直接会うデートを一度もしなかった人は、回答者の8割を占めた。

「Tinder(ティンダー)で気軽に人と出会いたいのか、それともS’Moreで本気の相手と話がしたいのか」と彼は言う。多くの人が後者を望んだとした場合、次の質問はこうなる。「どうしたら出会いを楽しくできるか?それはマルチメディア、動画、音声、ゲームそうしたあらゆる機能が私たちのロードマップにあります。【略】S’MoreはHinge(ヒンジ)とNextdoor(ネクストドア)を合わせたようなものです」(たしかに、Nextdoorには独身で人間関係を求めているユーザーの「膨大な仲間」がある)。

画像クレジット:S’More

今回の投資に参加した投資者の名簿は大変に長く、以下のとおりだ。Benson Oak Ventures、Mark Pincus(マーク・ピンクス)氏のWorkplay Ventures、Gaingels VC、Loud Capital/Pride Fund、SideCar Angels、AppLovin Chairman Rafael Vivas、Apollo ManagementのJoshua Black(ジョシュア・ブラック)氏、Plus GradeのKen Harris(ケント・ハリス)CEO、ハーバード大学の遺伝学者George Church(ジョージ・クランチ)氏、Meet Groupの元CEOであるJohn Abbott(ジョン・アボット)氏、IMAXの元CEOBrad Weschler(ブラッド・ウェシュラー)氏、Aaron(アーロン)とSharon(シャノン)のStern(スターン)夫妻、Enterprise FundのJusten Stepka(ジャスティン・ステプカ)氏、Boston Harbor Angels、Grit DailyのJordan French(ジョーダン・フレンチ)CEO、Kind.Fundの創設者であるMarty Isaac(マーティー・アイザック)氏、Craig Mullett(クレイグ・マレット)氏、Dating Group。

コーエン=アズラティ氏は、この資金で彼が「創設チーム」と呼ぶ人たちを雇用できたと私に話した。主任アーキテクトのLong Nguyen(ロング・グエン)氏、業務責任者のSneha Ramanchandran(スニーハ・ラマチャンドラン)氏、製品およびデザイン責任者のRegina Guinto(レジーナ・グイント)氏、そして上級開発者のDavid Lichy(デイビッド・リッチー)氏だ。

S’Moreはまた、プロデューサーのElvia Van Es Oliva(エルビア・バン・エス・オリビア)氏と、「90 Day Fiancé」などの番組を制作したJack Tarantino(ジャック・タランティーノ)氏と制作契約を交わしたことも発表している。コーエン=アズラティ氏は、彼らとともに同プラットフォームとテレビネットワーク向けの「反表面的」なデートコンテンツを制作すると話していた。

この契約は、同スタートアップがInstagram(インスタグラム)でライブ配信しているセレブのデート番組「S’More Live」の成功によるものだ。現在までに60のエピソードを配信している。

「私たちは、その番組を通じてブランドを確立し認知度を高めることができれば、次に【略】視聴者全員の力を活用し、大変な低コストでのユーザーの獲得を可能にしてくれたS’More発のコンテンツで、彼らをリターゲティングできるようになります」とコーエン=アズラティ氏はいう。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:S’Moreデートアプリ資金調達

画像クレジット:S’More

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(翻訳:金井哲夫)

プラスチックを使用しない食料品宅配スタートアップZeroがLAで始動

プラスチックを使わない食料品宅配スタートアップZero(ゼロ)は、サンフランシスコのベイエリアでのみ営業を行っていたが、米国時間2月10日に予定しているロサンゼルスでの事業開始に向けて加速している。Zeroは、サプライヤーから直接買いつけた食料品や日用雑貨を、ビンや箱やその他の持続可能な容器に入れて翌日配達している。

Zeroは、Sightglass Coffee(サイトグラス・コーヒー)、Annie’s(アニーズ)、Newman’s Own(ニューマンズ・オウン)といったビッグネームのブランドと、Zume(ズーム)の共同創設者Julia Collins(ジュリア・コリンズ)氏が立ち上げたPlanet FWD(プラネット・フォワード)などの持続可能性に焦点を当てた新興ベンダーの両方と提携している。

Zeroの会員は、月25ドル(約2600円)で食料品を割り引き価格で購入でき、送料は無料となる。サブスクリプション登録をしなくても利用できるが、個々の商品の価格は少し高くなり、送料7.99ドル(約830)がかかる。

私はZeroを何度か利用したことがあるが、いずれも全体的に満足のいく体験だった。食料品の品揃えはとても良いが、トルティーヤチップスやミカンなどの特定種類の品物は置かれていなかった。しかし、大好きなキャンディのTony’s Chocolonely(トニーズチョコロンリー)はいつも購入できる。

Zeroの創設者でCEOのZuleyka Strasner(スレイカ・ストラスナー)氏によれば、品揃えはトータルで1100点を少し超える程度しかないという。

それは、食料品メーカーがZeroのパッケージに関する内部基準に合致するかどうかを確認するという地道な作業も影響している。鶏肉の場合、Zeroは精肉業者と直接協力して、堆肥になる紙を使った包装を実現させた。そこからジッパーつきの堆肥にできる袋に発展したとストラスナー氏は話す。それには大変な時間と労力とエネルギーと技術が必要だったという。

Zeroは、サプライチェーンの段階ではプラスチック容器の利用を容認しているが、決してそのまま消費者の手に渡らないようにしている。再び鶏肉を例に挙げるが、養鶏場から出荷されたニワトリは、Zeroの精肉ネットワーク内の業者に渡り、さらにパッケージ業者に引き継がれて加工される。

「そのため、養鶏場と輸送段階の一部においてプラスチックが使われることが多いのです」とストラスナー氏。「会社が大きくなるにつれて、その工程をもっともっと変えて、新しく加わる個々の製造流通業者が、もっともっと多くのプラスチックを排除できるよう、もっともっともっと関与するようになりました。利用者にプラスチックを使わずに届けられる製品の開発を養鶏場ごとに行うことから始まり、どんどん遡り、もっともっと多くのプラスチックを排除するという長い道のりに挑んでいます」。

Zeroの提携業者にすれば完全にプラスチックを使わずに事業が行えるの理想だが、「ニワトリがと畜された瞬間から利用者に届くまでの全工程がプラスチック不使用でなけばならないというルールや規制を設ける」のではなく、養鶏場にも流通業者にも、その他この事業に参加する関係者にも、できるだけ簡単に対応できるようにすることが重要だと彼女はいう。

「そのため、私たちが築こうと目指している業界にズレが生じることはありません」。

ストラスナー氏の中でZeroのアイデアが固まり始めたのは、ニカラグアのコーン島へ新婚旅行に出かけたときだった。旅行中、海岸に大量の使い捨てのプラスチックが打ち上げられているの見てショックを受けたと、彼女はTechCrunchに話した。その一方で、彼女はゼロウェイストの反プラスチック運動が育ち始めていることを知り、プラスチックを使わない方針をとった場合に何が起きるのかを想像した。プラスチックを使わない方向性を決めた彼女は、サプライチェーンや国内での食料品の包装方法について、以前よりも深く考えるようになった。

技術畑出身の彼女は、プラスチックゴミの問題にテクノロジーを役立てられないかを模索した。「今後7年から10年のうちに解決しなければならない問題です」と彼女はいう。「もう時間は限られています。それが私が取り組むべき使命なのです」。

Zeroは2018年に試験運用を開始し、2019年に公式ローンチした。Zeroの利用者は大半が登録会員となっている。全体で「何千人もの利用者」があるとストラスナー氏は話していた。

現在、ZeroがPrecursor Ventures、Backstage Capital、1984などの投資家から調達した資金の総額は470万ドル(約4億8700万円)に上る。

「私たちは、米国最大の持続可能プラットフォームを目指しており、そうなる予定です」とストラスナー氏。「なので、食料品から家庭雑貨から何でも、プラスチック不使用の製品がどうしてもほしいという方、またとにかく持続可能な製品を求める方は、Zeroを尋ねてみてください。Zeroは、単なる食料品店を超えた運動なのです」。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Zero持続可能性プラスチックデリバリー

画像クレジット:Zero Grocery

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(翻訳:金井哲夫)

ソフトバンクが支援する旅行プラットフォームKlookはコロナ禍に207.5億円を調達

Klookの共同創設者エリック・ノック・ファー氏、イーサン・リン氏、バーニー・ション氏

ソフトバンク・ビジョンファンドが支援する香港の旅行体験プラットフォームKlook(クルック)は、シリーズE投資ラウンドを2億ドル(約207億5000万円)でクローズしたと発表した。これで今日までの同スタートアップの調達総額は7億2000万ドル(約747億円)となった。

アジア太平洋地区を中心に活動する投資ファンドAspex Managementが、このラウンドを主導した。その他、以前からの支援者であるSequoia Capital China、Softbank Vision Fund 1、Matrix Partners China、Boyu Capital、さらに新規の投資者もいくつか参加している。

世界経済が新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックに打ちのめされる中での大型投資は、喜ばしいことだ。いうまでもなくKlookは新型コロナの影響をもろに受けた産業に属している。アジアの利用者を中心に、海外での体験活動を手配するこのスタートアップは、旅行制限が課された最初の3カ月あまりで、数百万件の予約を失った。そこで同社はすばやく組織再編を行い、ステイケーションと、チケット販売、流通、在庫管理、マーケティングなど地元で活動する業者のためのサービスとしてのソフトウェアに舵を切った。すると予約は戻ってきた。

「家でできることがあります。旅行できるときに地元で行えることもあります」と共同創設者で最高執行責任者のEric Gnock Fah(エリック・ノック・ファー)氏は2020年7月のTechCrunchインタビューで話した。「今、パンデミックは、新しい側面を追加するチャンスを私たちに与えてくれています」。

今回の資金獲得はタイムリーだった。Klookは、2020年7月にはいくつもの市場で利益を出していたが、全体としてはまだ積極的な拡張モードにあると、同社は当時TechCrunchに話していた。2014年に創設されたKlookは、2018年には評価額が10億ドル(約1037億5000万円)に達しているが、資金調達後の評価額は公表を控えている。だがユニコーン企業に到達したときよりも増えていることは、確かなようだ。現在のところ上場の予定はないと、同社の広報担当者はTechCrunchに語った。

シンガポール、香港、台湾は、新型コロナによる制限が緩和されつつあり、地元での活動への出費が増えているとKlookは話している。予約も新型コロナ以前のレベルに回復しつつある。パンデミックが頂点に達したころ、Klookは2019年の同じ時期と比べて体験活動の数を150%増やしている。

現在、KlookのSaaSソフトウェアは、世界2500社以上の業者の予約を支えている。今回の投資資金を使って、同社は今後も商業向けSaaSソリューションの開発と展開を続けていく予定だ。

「今回の新しい資金で私たちは主導的立場をさらに強化し、国内旅行が広く行われるようになるのにともない海外旅行も次第に戻ってくる中、守りから攻めに転じます」とKlookの共同創設者で最高責任者のEthan Lin(イーサン・リン)氏は話していた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Klook旅行プラットフォーム資金調達

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(翻訳:金井哲夫)

ソーシャルメディアで大切なのは「事後修正」、人は誤情報を見た後に警告を受けたほうがそれを信じない

ソーシャルネットワークやその他のプラットフォームが誤情報に対処するには、それが偽りか否かを知るだけでは十分ではない。それに対して、人々がどう反応するかまで知る必要がある。MITとコーネル大学の研究者は、驚きの、しかし微妙な発見をした。これは、Twitter(ツイッター)とFacebook(フェイスブック)の問題をはらむコンテンツの対処方法に影響を与えそうだ。

MITの発見は、直感に反するものだった。タイムラインに誤解を招くタイトルが現れたとき、打つべき論理的な対策は、真偽が怪しい内容であることを読者にまず知らせるために、事前に警告を表示することだと思われていた。だが、それは間違いだった。

この調査では、3000人近い人々を対象に、内容に関するいろいろなかたちでの警告(警告なしも含む)を見せてから、タイトルの信ぴょう性を判断してもらった。

「この調査を行うにあたって、私は事前に修正情報を提供するのが最善策だと期待していました。なので人々は、問題のタイトルに出くわしても嘘の主張は信じないものと考えていました。ところが驚いたことに、実際は逆だったのです」とMIT Newsの記事を共同執筆したDavid Rand(デイビッド・ランド)氏は書いている。「遭遇した後にその主張を修正するのが、最も効果的でした」。

そのタイトルには誤解を招く恐れがあると事前に警告を与えたところ、人々の判断の精度は5.7%向上した。タイトルと同時に警告を表示すると、精度は8.6%に上がる。しかし、後で警告を示した場合は25%も良くなった。つまり、かなり高い割合で、事前警告よりも事後修正が勝ったことになる。

研究チームは、既存の判断が生まれる過程を改めるのではなく、既存の判断に評価を取り込もうとする傾向があるという他の兆候と一致する点を示唆し、原因はそこにあると推測した。問題はかなり根深く、小手先で対処できるようなものではないと、彼らは警告している。

また、コーネル大学の調査結果は安心と不安が半々の内容だった。誤解を招く恐れのある情報に接した人は、読者の政治的立場に則しているか否かは関係なく、確実に大きなグループの意見の影響を受けた。

これには安心する。なぜなら、人は100人中80人がその話を怪しいと感じたなら、たとえその80人のうち70人が意見を異にするグループに属していたとしても、何かありそうだと疑いを持つことを示唆しているからだ。だが不安もある。なぜなら大きなグループの考えがあちらこちらに変わるだけで、自分の意見も簡単に揺らいでしまうからだ。

「人の気持ちは、政治的な立場とは別に社会的な影響によって変わってしまうことが、具体的に示されました」と、論文の筆頭著者である大学院生のMaurice Jakesch(モーリス・ジェイクシュ)氏はいう。「これは、オンラインスペースの二極化を解消し人々を1つにまとめる手段として、社会的影響を利用する道を開くものです」。

それでも、党派による感情も影響しているといわざるを得ない。別の党派に属する人たちの集団的な意見が、考えを左右する割合は21%下がる。だとしても、人は集団の判断に影響される傾向は強い。

誤情報がこれほど拡散した原因としては、そうした話に人が魅力を感じる理由、その魅力を弱める手段、その他の細かい疑問をよく理解していない点がある。暗闇の中で失敗を重ねている間は、ソーシャルメディアが解決策を探し当てることは期待できない。しかし、こうした研究の一つひとつが、少しずつ光明を増やしていくのだろう。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:フェイクニュースソーシャルメディアモデレーション

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:金井哲夫)

セレブがウォーキングをリードしてくれるApple Fitness+の新機能

Apple(アップル)が変化球を投げてきた。Fitness+(フィットネスプラス)アプリのPremierプランがローンチされてから1カ月半ほど経つが、同社はiOSの(そしてリビングルームの)範囲を超えた運動の新次元をもたらすアドオンの提供を開始する。

米国時間1月25日より、Fitness+のサブスクリプション登録者は、著名人のゲストが入れ替わりホストになってウォーキングをリードする「Time to Walk」(タイム・トゥー・ウォーク、歩く時間)が利用できるようになる(訳注:対象地域はアイルランド、米国、英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド)。

初回の顔ぶれを見てもわかるとおり非常に多様なキャストが登場するこのアドオンは、本日のソフトウェアアップデートで実装される。最初の4人は、おそらく2021年の時点で最も広く愛されている有名人であるカントリーシンガーのDolly Parton(ドリー・パートン)、NBAのゴールデンステート・ウォリアーズのパワーフォワードだが、スポーツ選手ということですべての人に愛されているとはいい難いDraymond Green(ドレイモンド・グリーン)、ミュージシャンのShawn Mendes(ショーン・メンデス)、ドラマ「Orange Is the New Black(オレンジ・イズ・ニュー・ブラック)」のスターであるUzo Aduba(ウゾ・アドゥバ)だ。

画像クレジット:Apple

最初の4つのエピソードは、Apple Watch Workout(ワークアウト)アプリのアクティビティーカードとして提示される。実際、これらのエピソードは間もなく、アプリのフィードにカードで現れる。今後は、1週間に1つのペースで追加される予定だ。

この体験は、一見した限りでは、実にストレートなものだ。基本的にAppleは、ゲストに実際に歩いてもらいながら録音を行っている。アプリからは音楽が流れ、Apple Watchの小さな画面に画像が映し出される。彼らと一緒に歩いているような、ちょっとした没入感を与える工夫だ(だが、気が散るほどではない)。Apple Musicのプレイリストに曲を保存することもできる。エピソードも、聞き返したいときのために保存しておける。車イスを使っている人には、この機能は「Time to Push(押す時間)」として示される。これは、数年前にAppleがローンチした車イス向けフィットネスのトラッキング機能の上に追加される。

これを利用するためにはApple Fitness+のサブスクリプション登録が必要となる。部分的にApple One Premierプランに深く組み込また機能だからだ。またどちらも、ワークアウトの基本的な構成要素としてMusicなどの他のAppleのサービスと直接リンクされている。

私はよく歩く人間だ。時間と距離が許せば、クルマや公共交通機関は使わずに歩くことにしている。だが2020年は、ワンルームのアパートから外に出るいい訳として、またどこのジムも閉鎖されてしまったので運動する手段として、特にウォーキングが重要になった。率直にいって、パンデミックを生き抜くための大変に重要なファクターだ。

画像クレジット:Apple

歩くとき、私は音楽かポッドキャストを聞く。以前は「歩きながら瞑想」を試したこともあるが、結局その体験は「静かなる内省」を中心としたもので、59番街の橋を渡ってマンハッタンの中心部まで歩こうという気力を奮い立たせてくれるものではなかった。Time to Walkは、ある意味その逆だ。誰かと一緒に歩く擬似体験をさせてくれる。彼らが歩くとき、そこに意識の流れのようなものが伝わってくる。その途中で個人的な話をいろいろ絡ませてくる。もちろんこれは、多くの人、特にクリエイティブな仕事をしている人にとって、ウォーキングは頭を真っ白にするためのツールだという考えに基づいている。

「ウォーキングは世界で最も人気の高い運動であり、自分の体にとって、最も健康的な行動の1つでもあります。ウォーキングには、単に運動するという以上のものもあります。頭を空っぽにできる。問題の解決法を思いつく。新しい視野が開けるなどです」とAppleのJay Blahnik(ジェイ・ブラニク)氏はリリースの中で述べている。「このような困難な時期においても、多くの人に許された活動にウォーキングがあります。Time to Walkは、毎週オリジナルのコンテンツをApple WatchのFitness+にお届けします。ユーザーのみなさんがウォーキングの力を通して体を動かし続けられるよう、非常に多様で、魅力的で、セレブなゲストたちが、インスピレーションとエンターテインメントを提供します」。

以前のFitness+と同じく、この新機能も、世界各地(特に米国)がいまだにパンデミックによるシャットダウンに苦しんでいる今の時期をよく見計らって出されている。毎日、新たな変異種発見のニュースが伝えられ、これまで普通に行ってきたことが、やりにくくなってきている。Time to Walkは、私たちのウォーキングに楽しい仲間を加えてくれる取り組みだ。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleApple WatchApple Fitnessフィットネス

画像クレジット:Apple

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(翻訳:金井哲夫)

独Wingcopterが米国に進出し新世代配送用ドローンを展開、4年間の自己資金運営を経て22.8億円調達

ドイツのドローン技術スタートアップWingcopter(ウィングコプター)は、これまでほぼ自己資金でやってきたのだが、初めての大型ベンチャー投資となるシリーズAラウンドで2200万ドル(約22億8000万円)を調達した。

ドローン配送に特化する同社は、2017年の創設以来、長い道のりを経て、特許技術である独特なティルトローター機構を採用した配送用Wingcopter 178 Heavy-lift(ヘビーリフト)の開発、製造、飛行を実現させた。これは、垂直離着陸機が持つあらゆる利点と、長距離の水平飛行を可能にする固定翼機の長所を持つものだ。

この新しいシリーズAラウンドは、シリコンバレーのベンチャー投資企業Xplorer Capitalと、ドイツの成長株ファンドFutury Regio Growthが主導した。WingcopterのCEOで創設者のTom Plümmer(トム・プラマー)氏はインタビューの中で、シリコンバレーの投資企業を加えたことは、同社にとって特に重要だったと話している。FAA(米連邦航空局)の規制をクリアして事業認可を得るための試験飛行の実施や、将来の米国におけるドローン製造のための同国支社設立など、米国進出の準備を進めている最中だからだ。

Wingcopterはすでに、世界各地のさまざまな市場で商用運用を行っている。たとえばバヌアツでは、ユニセフと共同で辺境地域にワクチンを届けている。タンザニアでは、政府とともに医療物資の双方向輸送を行っている。アイルランドでは、インスリンの輸送のために世界初の目視見通し外(BVLOS、緊急対応のための人間のオペレーターが目視できる範囲を超えてドローンが飛行することを意味する専門用語)の運用を世界で初めて実現した。

WingcopterのCEOで創設者のトム・プラマー氏(画像クレジット:Jonas Wresch)

これまでWingcopterはドローンのOEMメーカーとしてのビジネスモデルを追求しており、彼らのドローンを効果的に購入したいという熱心な顧客もいた(ある客などは、まだ会社用の銀行口座もないうちに送金しようとしきたとプラマー氏は話す)。しかし現在は、ドローンで「サービスとしての配達」を提供する事業を進めようとしている。苦労して技術を一から作り上げ、事業展開に必要な世界各地の規制当局の認可を取得してきたプラマー氏と共同創設者たちは、その過程でこう悟った。サービス事業への参入は単に新しい収入源を得るためのものではなく、潜在顧客のより多くのニーズに、より良い対応できるようにするためのものだと。

「認可の申請、認可の取得、そして今は5つの大陸のいくつもの国との共同事業を通して、実際にBVLOS飛行でドローンの運用を行っている私たちは、それに大変に長けているのだと知りました」と彼はいう。「それが非常に大きな収入源となりました。収益の半分以上を占める時期もありました。しかしOEMとしてビジネスモデルの拡大を考えると、それは何というか……リニアです」。

確かな収益と安定した需要によるリニアな成長は、大学生たちが家族や友人から少額の資金を集めて設立し、自己資金でやってきたスタートアップであるWingcopterにすれ重要なことだった。しかしプラマー氏は、彼らが開発したテクノロジーにはもっと大きな潜在力があると、みんなで話しているという。しかも、ドローンによる「サービスとしての配達」市場の急激な拡大が、旧来型のベンチャー投資家に対して説得力を持つようになっている。初期のころからWingcopterに話を持ちかけるベンチャー投資企業はあったものの、その当時は彼らの方向性に合わないと感じていたとプラマー氏は話す。だが、状況は変わった。

「この4年間、自己資金でやってこられたのはラッキーでした」とプラマー氏。「なにせ、ドローンの販売収益だけで、30人もの従業員を雇えたのです。しかしある時点から、本気で収益の計画を考えるようになると、月々決まった収益がほしくなります。ソフトウェアビジネスの、サービスとしてのソフトウェアのように継続されるものです」。

Merckの配送を行うWingcopter 178配達ドローン。

Wingcopterはまた、サービス事業にとって都合のいいヘッジを構築することもできた。それは自社がハードウェアの供給元であることに加え、商用ドローン飛行の黎明期に世界の数多くの航空規制当局と密接に協力して規制プロセスを作り上げてきた実績によるものだ。たとえば現在同社は、FAAと認可のための協議の最中だ。週に1度当局を訪問して、BVLOSドローン運用のための認可手続きを協議している。規制環境を理解していることと、さらには規制環境の構築の手伝いもしていることが、自社に専門家を雇い入れて規制対応部門を創設するのが難しい企業への大きなセールスポイントになる。

だが同社は、およそ6kgの荷物を搭載して最大時速160kmで120kmまでの範囲を飛行できるWingcopter 178 Heavy-Liftを販売するだけではなく、OEMとしての役割も継続する。なぜなら、そのユニークなティルトローター機構により、飛行効率がよいばかりか、さまざまな条件下での飛行も対応できるからだ。他のドローンと違い、より厳しい条件での離着陸ができる。

Wingcopterは、ハードウェア開発業者としての栄光の上にあぐらをつもりはないとプラマー氏は話す。同社は間もなく、異なる能力を有する新型機を発表し、OEMとして、またサービスとしてのドローン事業として、対応可能な市場の範囲を拡大する予定だ。

 

米国に進出しても、配送市場に重心を置くことに変わりはないが、その特異なテクノロジーが、観測や調査などの市場や、さらには通信分野の需要にうまく対応できない理由はないとプラマー氏は指摘する。しかし、Wingcopterには望まない市場がある。軍事と防衛だ。これらは宇宙航空とドローンの市場では上得意客ではあるが、プラマー氏によれば、Wingcopterには「持続可能で効率的なドローンソリューションを生活の向上と命を守るために創造する」という理念があるという。そして彼らは、この理念に沿うあらゆる潜在顧客に目を向けているが、防衛産業はこれに当てはまらない。

同社はシリーズAラウンドのクローズを発表したばかりだが、すでにいくつかの有望な投資家にシリーズBラウンドへの参加を呼びかけているとプラマー氏は話す。さらに、FAAの認可に必要な試験過程で力になる、内蔵システムソフトウェア開発と飛行運用試験のための人材を米国で募集する予定でいる。

プラマー氏は、Wingcopterの特許技術であるティルトローターからはロングテールとしての価値が生まれ、幅広い業界で活躍できる可能性があると見ている。だが、その価値を本当に実現するまでは、M&Aによる可能性は一切探らないという。その一方で同社は、ユニセフのAfrican Drone and Data Academy(アフリカン・ドローン・アンド・データ・アカデミー)に協力して、ドローンの飛行と運用のための訓練プログラムを実施するなど、未来の潜在顧客のための種まきを始めている。

Wingcopterがドローンによる配送事業に明るい未来を描いていることは確かだ。他に差をつけるハードウェアの上に構築した事業に集中し、さらに世界の規制作りに貢献することで、その未来の中心に同社が立てるようになるだろう。

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カテゴリー:ドローン
タグ:Wingcopter資金調達ドローン配送

画像クレジット:Wingcopter

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(翻訳:金井哲夫)

AIが健康な胎芽を特定し体外受精の成功率を高めると謳うEmbryonics

年を追うごとに、医療の世界では正確な診断の標準的レベルをAIが押し上げるようになってきている。皮膚ガン肺ガンの発見においては、それが顕著だ。

そして今、イスラエルのスタートアップEmbryonics(エンブリオニクス)は、同社のAIなら、体外授精で健康な胎芽が着床する確率を高めることができると主張する。彼らが開発したのは、基本的には、胎芽の着床の可能性を予測するアルゴリズムだ。それは、体外受精の際の胎芽の発育をコマ撮りした画像でトレーニングされている。

ハッキリいって、これはやっと始まったばかりの技術だ。現在のところ、20歳から40歳の女性11人を対象にしたテストが行われているが、そのうち6人は妊娠に成功し、残る5人は結果待ちの状態だとEmbryonicsは話している。

それでもEmbryonicsは、経済的不安から出産をためらっているミレニアル世代の女性のように、外的要因のために何十年も進歩がないまま拡大を続けている巨大市場を活気づける可能性があるという点で興味深い。

体外受精市場は2019年のおよそ183億ドル(約1兆9000億円)規模から、今後5年で2倍に拡大すると一部では見られている。しかし、毎年体外受精を試みている多くの女性たちは、1回に1万ドル(約103万円)から1万5000ドル(約155万円)という費用を長期にわたり負担している(少なくとも米国の場合)。しかも、年齢が増すごとに成功率は下がってゆく

そんな体外受精の実施回数を減らし費用を軽減させることが、まさにEmbryonicsの原動力だ。同社は3年前に、CEOでありヘブライ大学で一般外科を学び、後にある体外受精研究所の研究員となり受胎の科学に変わらぬ興味を抱いた医学博士Yael Gold-Zamir(ヤエル・ゴールド-ザミール)氏によって創設された。

後に彼女は偶然にも、興味と専門知識を相補的に併せ持つ2人の人物を紹介される。1人はDavid Silver(デイビッド・シルバー)氏。テクニオン・イスラエル工科大学で生物情報学を学び、2020年にEmbryonicsに加わる以前は、Apple(アップル)の機械学習エンジニアとして3年、Intel(インテル)のアルゴリズムエンジニアとして3年働いている。

ゴールド-ザミール氏が紹介された2人目は、 Alex Bronstein(アレックス・ブロンスタイン)氏だ。いくつもの企業を立ち上げてきた起業家であり、Intelの主幹エンジニアとして長年勤務してきた。現在はテクニオン・イスラエル工科大学の知的システムセンターの主任を務めている。さらに、Embryonicsや資本市場のアルゴリズムトレーディングに特化したスタートアップSibylla(シビラ)などで、深層学習AIを含む複数の研究に携わっている。

Embryonicsの規模はまだ小さいが、この3人と彼らの元に集まった13人のフルタイムの従業員は、明らかに進歩を遂げている。

Shustermann Family Investment OfficeとIsraeli Innovation Authority(イスラエル・イノベーション局)が主導したシード投資ラウンド400万ドル(約4億1400万円)を助力とするEmbryonicsは、現在、欧州でのソフトウェア販売を可能にする認可を待っているという。それは、人間よりもはるかに高い精度で小さな細胞クラスターのパターンを検出するというもので、ヨーロッパ大陸全域の不妊治療クリニックが利用できると同社は話している。

世界中に点在し、あらゆる人種、地域性、年齢層を含む数百万件の匿名化された患者データベースを利用することで、同社はすでに次のステップにも目を向けているとゴールド-ザミール氏はいう。

中でも注目すべきは、胎芽分析ソフトウェアをひっさげて米国アメリカ進出を果たす他に、ホルモン刺激と呼ばれる治療法の改善を不妊治療クリニックと協力して進めるという計画だ。ブロンスタイン氏が指摘するとおり、体外受精療法や妊孕性温存療法を受けるすべての女性は、卵巣ができるだけ多く成熟した卵子を作り出せるようにする処置を受けることになる。これには8〜14日間にわたるホルモン注射も含まれる。しかし現在、一般的なプロトコルは3種類しかなく、「適切なものを確立するために数多くの試行錯誤」が続けられている状態だと彼は話す。そこで深層学習を利用すれば、その人ごとの適切なホルモンの配合と、適正な投与時期がわかってくるとEmbryonicsは考えている。

すべてが計画どおりに進むと、彼らの仕事はさらに増える。「Embryonicsの目標は、治療のあらゆる側面をカバーする総合的なソリューションをもたらすことです」とゴールドザミール氏はいう。彼女は会社を経営しながら、4人の子どもを育てている。

この生まれたばかりの企業が成功できるか否かを判断するのは、まだ早い。しかし、数日間シャーレに載せておいた胎芽を顕微鏡で観察し、細胞の増殖の様子や形状からその健康状態を判断するという、40年前から変わらない世界中の体外受精クリニックのやり方を一気に変革するテクノロジーを先導しているようには思える。

2019年春、ニューヨーク市のワイルコーネル医科大学院の研究者が、AIは人間の目よりも正確に胎芽の形態を評価できるとの研究結果を発表した。これは、受精後正確に110時間経過した人間の胎芽の写真1万2000点を使ってアルゴリズムをトレーニングし、胎芽の質の良し悪しを選別した結果だ。

この調査を行った研究者たちは、まず胎生学者が、個々の胎芽の外観をさまざまな側面から観察して、等級づけを行ったと説明している。次に統計的分析によって胎芽の等級と、うまく妊娠する確率との関係を導き出した。妊娠の成功率が35%以上なら胎芽は高品質、35%未満なら低品質と見なされる。

トレーニングと検証を終えたアルゴリズムは、新しい画像を使った胎芽の選別を97%の精度で判定することに成功した。

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カテゴリー:フェムテック
タグ:Embryonics資金調達妊娠

画像クレジット:Tammy Bar-Shay

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(翻訳:金井哲夫)

EUがValveほか5つのゲームパブリッシャーにジオブロッキング行為で9.8億円の罰金

EUは独占禁止法違反の疑いで長年にわたりPCゲームのジオブロッキング問題を捜査してきたが、欧州委員会は米国時間1月20日、EUの法律に違反していると認め、Valve(バルブ)他5つのゲームパブリッシャーに7800万ユーロ(約97億8000万円)の罰金を科した。

ジオブロッキング行為の調査はスポーツ、シミュレーション、アクションなど異なるジャンルのおよそ100本のPCゲームを対象に2017年から続けられていた。

1600万ユーロ(約20億円)以上の罰金を科せられたValveの他に措置を受けたのは、バンダイナムコ(34万ユーロ、約430万円)、カプコン(39万6000ユーロ、約500万円)、Focus Home(280万ユーロ、約3億5000万円)、Koch Media(97万7000ユーロ、約1億2200万円)、ZeniMax(160万ユーロ、約2億円)の5社となる。

欧州委員会によると、罰金は企業の捜査協力により10〜15%の減額が認められたという。ただし、Valveは協力を拒んだといわれてる(この場合は罰金の減額は適用されず「禁止決定」となる)。

「7年にわたる捜査の間、Valveは委員会に全面的に協力し、要求された証拠と情報のすべてを提出しています。私たちは罰金には同意できず、今回の決定に対して提訴します」とValveの広報担当者はいう。

委員会は2017年2月に、独占禁止法に基づく徹底的な捜査を実施すると公表。そのおよそ2年後、これらの企業が「消費者が居住国以外の場所で入手したPCゲームの購入と使用を阻止するための二国間協定に結んだ」と委員会が告発したたときに、公式な異議申立がなされていた。

特定のゲームの、特定の国境を越えた販売を阻止するために企業が使用した仕組みは、Steam(スティーム)のアクティベーションキーをジオブロッキングし、ライセンシングと配給の二国間協定により特定の国境を越えた販売を制限するというものだった。

EUの議員たちは、こうした商慣行が欧州市場を部分的に国境で分断し、最良の買い物ができるよう打ち出されたEUのデジタル単一市場戦略の恩恵から、特定地域の消費者を遠ざけていると突き止めた。

声明の中で、EUの競争政策を率いるMargrethe Vestager(マルグレーテ・ベステアー)執行副委員長は次のように述べている。「ValveとPCビデオゲームパブリッシャー5社のジオブロッキング行為に対するこの度の措置には、国境を越えた販売を企業が契約によって制限することは、EUの競争法で禁じられているとを注意喚起する役割があります。こうした行為は、EUデジタル単一市場の恩恵、およびEU域内で最も好ましい取引を探して回る機会を欧州の消費者から奪うものです」。

委員会の捜査により、当該5社のゲームパブリッシャーは、特定のゲームタイトルについてチェコ、ポーランド、ハンガリー、ルーマニア、スロバキア、エストニア、ラトビア、リトアニア以外の国でSteamのアクティベーションキーを使えなくしていることが判明した。

アクティベーションキーのジオブロッキングに関する企業間の協定は、1年から5年の期限が定められ、2010年9月から2015年10月までの時々で履行されていたと委員会は話している。

カプコンを除く4つのゲームパブリッシャーは、ライセンシングと配給の契約を複数のゲーム配給企業(Valveではない)を欧州経済地域(EEA)で交わしていたことがわかったが、それには前述の中央および東ヨーロッパの国々を含むEEA内で関連タイトルの国境をまたいだ販売を制限する条項が含まれていた。

これらの協定は一般的に長期にわたり(3年から11年)、2007年3月から2018年11月にわたり、時を異にして履行された。

捜査が開始された後に、EU議員たちは不当なジオブロッキングを規制する法律を可決した。だがこれは、CDまたはDVDで提供されるPCビデオゲームのみが対象であり、ダウンロード版には適用されないため、規制を受けるのは一部のゲームに留まる。

委員会は、ジオブロッキング規制がどのように実行されているかに関する評価報告を2020年11月に発表したが、そこではゲームを含む対象範囲の拡大について論議されている。だが変更を強く主張するものではない(またこの報告は、国境を越えたゲームやソフトウェア一般へのアクセスの要求は、その他のコンテンツサービスに比べて少ないとも指摘している)。

しかし、ダウンロード配信のゲームはEUの不当なジオブロッキングの制限の対象外に置かれたままに見えるものの、Valveとその他の企業に罰金が科せられたことは、国境をまたぐ販売を制限する契約上の合意がEUの独占禁止法に触れることから、ジオブロッキングが法的地雷原である可能性を示している。

同委員会によると、具体的に今回の件が抵触した法律はEU機能条約(TFEU)第101条と、EU単一市場における競争の阻止、制限、歪曲を目的とした企業間の合意を禁じるEEA協定第53条となる。

Valveは、委員会の捜査結果に対する異議について、我々に詳細を送ってくれた。彼らは、Valveが捜査に協力していないとの委員会の見解を否定している。また同社は、リージョンロックの廃止により、「あまり豊かでない」一部の地域ではゲームパブリッシャーが最低取引を避けるために価格を吊り上げる結果になりかねないと警告している。

広報担当者は、我々に次のように伝えた。

7年におよぶ捜査の間、Valveは欧州委員会(EC)に広範にわたってに協力し、要求された証拠や情報を提出しています。しかしながらValveは、ECが求めるように、法令違反を認めることはできません。ValveはECの捜査結果とValveに対する罰金の取り立てに異議を唱えます。

ECが科した罰金の額は、ValveのPCゲームサービスSteamでのPCゲームの売上げとは連動していません。反対に、ValveがSteamのアクティベーションキーを提供し、(パブリッシャーの要求に応じて)特定の地域でキーを使えなくする(リージョンロックをかける)ことでEEA域内でジオブロッキングを可能にしているとECは主張しています。このキーは、利用者がサードパーティーの販売業者から購入したゲームをSteamで起動しプレイできるようにするためのものです。Valveでは、Steamのアクティベーションキーを無料で提供し、サードパーティーの販売業者(小売店はオンラインショップなど)がゲームを販売した際には、売上げの一部を請求するようなことは一切していません。

リージョンロックが適用されたのは、ごく少数のゲームタイトルに限られます。一度に適用されるのは、Stermを利用しているゲーム(Valve製のゲームは含まず)のわずか3%程度であり、それが現在問題として争われているEEA内のリージョンロックの対象です。

ECによる、こうした状況でのプラットフォーム提供者の責任の拡大解釈は、適用法で支持されているものではありません。それにも関わらず、ECの懸念を理由に、ValveはEEC内でのリージョンロックを、地元の法的要請(ドイツのコンテンツ法など)に従ったものでない限り、またSteamの提携業者がゲームの配給ライセンスを有するという地理的な制限がない限り、2015年から廃止しています。リージョンロックの廃止には、あまり豊かでない地域においてパブリッシャーが裁定取引を避けるために価格を吊り上げる懸念もあります。あるの国から別の国へアクティベーションキーを送る際には費用はかかりません。またユーザーがPCゲームを起動しプレイするために必要なものはアクティベーションキーのみです。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:EU独占禁止法ジオブロッキング

画像クレジット:thecrazyfilmgirl Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(翻訳:金井哲夫)

突然のシステム障害で外部の開発者を呼び出すしかない企業でも対処可能にするStackPulseが29億円調達

突然システムが停止すれば、担当チームは原因の追求と復旧方法の解明のために大混乱に陥るのは必至だ。そんなとき開発者の危機管理を効率的な方法で助けてくれる新しいスタートアップStackPulse(スタックパルス)が、米国時間1月19日、2800万ドル(約29億円)の資金調達を発表し、ステルスモードから姿を現した。

この投資は、実際には未公表だった前回の800万ドル(約8億3000万円)のシード投資ラウンドと、新規の2000万ドル(約20億7500万円)のシリーズA投資ラウンドの2つで構成されている。今回のラウンドはGGVが主導した。Bessemer Venture Partnersがシードを主導し、シリーズAにも参加した。また、GGVのGlenn Solomon(グレン・ソロモン)氏とBessemerのAmit Karp(アミット・カープ)氏がStackPulseの役員会に加わる。

システム停止はどこでも起こり得る。この数カ月内にも、Amazon(アマゾン)やSlack(スラック)などさまざまな企業が事故に見舞われている。Google(グーグル)、Facebook(フェイスブック)、Amazon(アマゾン)などの巨大企業は、サイトリライアビリティエンジニアを雇い、事故の復旧を行うための特別なプラットフォームを構築している。StackPulseは、外部の開発者を呼び出す以外に対処法がない企業にも、そのような能力を持たせたいと考えた。

同社の共同創設者でCEOのOfer Smadari (オファー・スマダリ)氏は、事故が発生し、Slack(スラック)やPagerDuty(ページャーデューティー)などのソースから警告が送られてくる中で、何が起きているのかを把握することは難しいという。StackPulseは、事故の詳細を分析して、できるだけ早く担当者を安心させるようデザインされている。

それはまず、事故の重大度を特定する。誤報なのか、今すぐ対処すべき問題なのか、次の定期点検のときに対応すればよい程度のものなのか。今すぐ修復しなければ事態が悪化すると思われる場合は、StackPulseは原因を突き止めるだけでなく、自動的に復旧を試みるとスマダリ氏はいう。

問題が解決した後も、あらゆる警報や事故データをプラットフォームに集めて、具体的に何が起きたのかの事後分析を行う。

ステルスモードから出た時点で、StackPulseにはすでに数社の顧客があった。オレゴン州ポートランドとテルアビブの拠点には35人の従業員が働いている。スマダリ氏は、2021年末までに100人に増員したいと語っている。この会社を創設するとき、彼は多様な顧客に対応できる多様なチームを構築したいと考えていた。多様な経歴を持つ人々が、優れた製品を生み出すというのが彼の信念だ。また、多様性は同社の最大の目標でもあり、すでに人事のリーダーがその推進にあたっていると彼はいう。

役員会に参加予定のGGVのGlenn Solomon(グレン・ソロモン)氏は、多くの企業が抱える最大の問題を、強力な創設者チームが解決している様子を見て、投資したいと考えた。「彼らが目指す製品の展望について説明を受けたとき、共感しました」と彼は話す。

顧客はシステム停止を我慢できない。ソロモン氏は最前線でこうした問題の解決に奮闘する開発者たちを見てきた。「今ほどパフォーマンスが求められるときはありません。システム停止は企業にダメージを与えます」と彼はいう。StackPulseならそれを改善できると、彼は信じている。

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AWS障害にともない他社サービスもダウン
Slackで日本時間1月5日午前0時すぎに障害(現在は復旧)

カテゴリー:ネットサービス
タグ:StackPulseシステムダウン

画像クレジット:Calvin Chan Wai Meng / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

突然のシステム障害で外部の開発者を呼び出すしかない企業でも対処可能にするStackPulseが29億円調達

突然システムが停止すれば、担当チームは原因の追求と復旧方法の解明のために大混乱に陥るのは必至だ。そんなとき開発者の危機管理を効率的な方法で助けてくれる新しいスタートアップStackPulse(スタックパルス)が、米国時間1月19日、2800万ドル(約29億円)の資金調達を発表し、ステルスモードから姿を現した。

この投資は、実際には未公表だった前回の800万ドル(約8億3000万円)のシード投資ラウンドと、新規の2000万ドル(約20億7500万円)のシリーズA投資ラウンドの2つで構成されている。今回のラウンドはGGVが主導した。Bessemer Venture Partnersがシードを主導し、シリーズAにも参加した。また、GGVのGlenn Solomon(グレン・ソロモン)氏とBessemerのAmit Karp(アミット・カープ)氏がStackPulseの役員会に加わる。

システム停止はどこでも起こり得る。この数カ月内にも、Amazon(アマゾン)やSlack(スラック)などさまざまな企業が事故に見舞われている。Google(グーグル)、Facebook(フェイスブック)、Amazon(アマゾン)などの巨大企業は、サイトリライアビリティエンジニアを雇い、事故の復旧を行うための特別なプラットフォームを構築している。StackPulseは、外部の開発者を呼び出す以外に対処法がない企業にも、そのような能力を持たせたいと考えた。

同社の共同創設者でCEOのOfer Smadari (オファー・スマダリ)氏は、事故が発生し、Slack(スラック)やPagerDuty(ページャーデューティー)などのソースから警告が送られてくる中で、何が起きているのかを把握することは難しいという。StackPulseは、事故の詳細を分析して、できるだけ早く担当者を安心させるようデザインされている。

それはまず、事故の重大度を特定する。誤報なのか、今すぐ対処すべき問題なのか、次の定期点検のときに対応すればよい程度のものなのか。今すぐ修復しなければ事態が悪化すると思われる場合は、StackPulseは原因を突き止めるだけでなく、自動的に復旧を試みるとスマダリ氏はいう。

問題が解決した後も、あらゆる警報や事故データをプラットフォームに集めて、具体的に何が起きたのかの事後分析を行う。

ステルスモードから出た時点で、StackPulseにはすでに数社の顧客があった。オレゴン州ポートランドとテルアビブの拠点には35人の従業員が働いている。スマダリ氏は、2021年末までに100人に増員したいと語っている。この会社を創設するとき、彼は多様な顧客に対応できる多様なチームを構築したいと考えていた。多様な経歴を持つ人々が、優れた製品を生み出すというのが彼の信念だ。また、多様性は同社の最大の目標でもあり、すでに人事のリーダーがその推進にあたっていると彼はいう。

役員会に参加予定のGGVのGlenn Solomon(グレン・ソロモン)氏は、多くの企業が抱える最大の問題を、強力な創設者チームが解決している様子を見て、投資したいと考えた。「彼らが目指す製品の展望について説明を受けたとき、共感しました」と彼は話す。

顧客はシステム停止を我慢できない。ソロモン氏は最前線でこうした問題の解決に奮闘する開発者たちを見てきた。「今ほどパフォーマンスが求められるときはありません。システム停止は企業にダメージを与えます」と彼はいう。StackPulseならそれを改善できると、彼は信じている。

関連記事
AWS障害にともない他社サービスもダウン
Slackで日本時間1月5日午前0時すぎに障害(現在は復旧)

カテゴリー:ネットサービス
タグ:StackPulseシステムダウン

画像クレジット:Calvin Chan Wai Meng / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

マイクロモビリティのBolt Mobilityが同業Last Mileの資産を引き継ぎ48の新市場に展開

金メダリストのUsain Bolt(ウサイン・ボルト)氏が共同創設した、マイアミを拠点とするマイクロモビリティのスタートアップBolt Mobility(ボルト・モビリティ)は、Last Mile Holdings(ラスト・マイル・ホールディングス)の資産を獲得し、48の新しい市場に規模を拡張する。

Bolt Mobilityの台頭とLast Mileの終焉は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによって、すでに部分的に足下がぐらついていたビジネスモデルがひっくり返されたマイクロモビリティ企業に、1年間取り憑いていた不確実性のなせるわざだ。

Bolt MobilityもLast Mileも、どちらも新型コロナウイルスのパンデミックに打撃を受けていた。たとえばBolt Mobilityは、その影響で2020年にいくつかの市場から撤退している。同社はその後、ビジネスモデルを変更し、地元の事業者と手を組むことにした。元GMのグローバルデザイン部門副社長のEd Welburn(エド・ウェルバーン)氏を顧問として迎え入れ、二重ブレーキ、10インチタイヤ、LEDライト、走行距離40kmの交換式バッテリー、NanoSeptic(ナノセプティック)で抗菌処理を施した、手で触れることが多い部分に細菌やバクテリアをつきにくくするデザインのハンドルとブレーキレバーを装備した新型スクーターを導入した。

Last Mile Holdingsも災難だった。

Last Mile Holdingsという名前に聞き覚えがない人も、同社が所有していたブランドなら知っているかも知れない。Last Mileは、OjO Electric(オジョ・エレクトリック)スクーターと電動トライク、スクーター、バイクによるライドシェアのGotcha Mobilityを所有していた。Last MileはGotchaを1200万ドル(約12億4500万円)の現金と2020年3月に成立した株式交換で買収している。

2020年、Bolt Mobilityが躍進し顧客ベースが30万人に達する一方で、Last Mileは逆風に晒された。そしてトロント証券取引所にMILEというティッカーシンボルで上場されていたLast Mileは、米国での資産をオークションで売却する結果となった。Bolt Mobilityは実質的にそのすべてを、300万ドル(約31億円)のクレジッド・ビッドで入手したことが、2020年のSECファイリングに記されている。

資産には電動スクーター、電動自転車、ペダル式自転車、着座式スクーターなど8500台の新しい機材と、48の新市場で事業展開できる許可証が含まれていた。BoltのCEOであるIgnacio Tzoumas(イグナシオ・ツォマス)氏によると、新市場のうちの大半(30以上)が独占契約だという。48の新市場には18の大学のキャンパスも入っている。

「この資産買収によって、Boltは全方面に大きく拡張できるようになります」とツォマス氏はいう。さらに同社は、Gotchaの最高執行責任者Matt Tolan(マット・トーラン)氏を迎え入れたと話していた。同氏はBoltの最高商務責任者の役職に就くことになる。また、Gotchaの技術と運用の各部門で働いていたメンバー20人も雇い入れた。

Boltの新市場では、利用者はこれまでどおり、GothcaとOjO ElectricのiOSとAndroidのアプリを使って電動スクーター、電動自転車、ペダル式の自転車に乗ることができる。Boltは行政や大学と共同して、それらの市場をBoltのプラットフォームに移行する作業を進めている。この資産買収で、Boltのプラットフォームに初めて電動自転車が加わった。だが同社は、すでに独自の電動自転車の開発も行っている。2021年末に登場する予定だ。

写真クレジット:Bolt Mobility

Boltは、同社が2020年を生き抜いたばかりか発展できたのは、新しいビジネスモデルのおかげだと考えている。車両の管理と運営という複雑で多岐にわたる仕事を続ける代わりに、Boltは地元企業と提携する道を選んだ。これらのパートナーが、それぞれの市場の現場でBoltの車両を運用してくれる。このアプローチはカスタマイズができるため、市場によっては配送業者、レストラン、その他のスモールビジネスにスクーターを貸し出すという事業提携モデルも可能になったと、同社は話している。

7月までには、Boltとそのパートナー企業は、5つの新しい市場と、再開した市場での事業を展開できた。またBoltには、さらに20の市場での買収準備を整えたパートナーとの契約手続きが残っていると同社は話す。

ツォマス氏によれば、Boltはもうこれ以上借金をせずに取引を完了できるという。しかも「私たちが事業を行っているすべての市場のサービスの拡大と向上に、私たちの資産を今後も投入できるという条件付き」だ。この資産買収には、以前からのBoltの投資者であるFuel Venture Capitalからの資金も役立っている。また、Sofreh CapitalとThe Yucaipa Companiesの支援も受けている。

「私たちは、マイクロモビリティがコミュニティの中での人々の生活や移動の方法を変革するものと信じてBoltを創設しました」と、ウサイン・ボルト氏は声明の中で述べている。「今回の拡張は、才能ある人々、革新的なテクノロジー、Boltチームの賞賛すべき道労働倫理の力を支えにすれば、マイクロモビリティに不可能はないことを証明しています」

カテゴリー:モビリティ
タグ:Bolt Mobility電動キックボードマイクロモビリティ

画像クレジット:Bolt Mobility

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(翻訳:金井哲夫)

遠隔医療のK Healthが約137億円調達、バーチャル保育サービスに進出

膨大な健康アセスメントを利用し、機械学習で医療コストを低減するバーチャル医療企業K Health(ケイ・ヘルス)は、15億ドル(約1560億円)という評価額で行った資金調達を元手に育児のための新しいツールをローンチした。

2020年12月に1億3200万ドル(約137億円)を調達した同社は、規模の拡大と、第2四半期までの導入を予定していた高度な電子カルテへのアップグレードのための資金を手に入れている。

2020年、K Healthは、機械学習と一般医療との橋渡し役としての立場を活用し、たった1年で2億2200万ドル(約230億円)を調達した。

今回の積極的な投資からわかるのは、テクノロジーでより安価な医療を提供しようと各社が目指す一般医療を、投資家たちがいかに大きな機会と見ているかだ。

K Healthが提供するのは、月9ドル(約940円)で同プラットフォームでのサービスと医師の診察が無制限で利用できるサブスクリプションだ。さらに月19ドル(約2000円)の精神疾患バーチャル治療や、1回19ドルで受けられる緊急医療相談サービスもある。

患者と投資家が魅力に感じるのは、K Healthがイスラエルの健康維持期間Maccabi Healthcare Services(マッカビ医療サービス)との提携で入手できたデータだ。これは数十年分の患者と健康アウトカムに関する匿名データで、K Health独自の予測アルゴリズムのトレーニングに用いられている。それが、患者の状態の評価や同社所属医師の診断に役立てられる。

理論的に、そのデータによって同社のサービスはバーチャルかかりつけ医師として機能できるようになる。つまり、患者の豊富な医療情報を保有することで、根底にある病状の早期発見や、総合的な視点での治療が可能になるということだ。

製薬会社には、そのデータは収益性の高い創薬の方向性を示す公衆衛生の深い見識をもたらしてくれる。

実際、患者は金を支払っただけのものが得られる。

また同社の精神疾患ケアは、評価や判断を行う資格を持たない医師によって行われるという、同プラットフォームでサービスを提供する人物もいる。つまり、意見不足の医師に当たる可能性があるわけで、病状が改善するどころか悪くなる心配がある。

同社の最高責任者Allon Bloch(アーロン・ブロック)氏の、ほとんどのサービスはリモートで可能だとする評価はおおむね正しい(ブロック氏は90%と見積もっている)が、それは必要な訓練を受けたプロによるリモートサービスであるべきだ。

アルゴリズムにできること、またジェネラリストが医療でやれることには限界がある。K Healthは、その限界を押し上げたいと考えているようだ。

「薬の照会、急性期対応、予防のほとんどがリモートで行えます」とブロック氏。「もっとうまく、もっと安くできる可能性があります」。

K Healthではすでに、緊急治療とサブスクリプションサービスの両方で数万人の患者に対応し、2020年には数千万ドル(数十億円)の利益を上げているとブロック氏は話す。サブスクリプションの利用者と比べて緊急治療サービスを受けた患者がどれだけいたかについては、ブロック氏は公表を控えた。

リモートでサービスを提供する他の業種と同じく、テレメディシン企業もこのパンデミックの間に繁盛している。バーチャル医療の先駆者であるTeladoc(テラドク)とAmwell(アムウェル)の株価も高騰した。

K Healthの支援者は、GGV CapitalとValor Equity Partnersが率いる投資家グループだ。Kaiser Permanenteの年金基金、Burger King(バーガーキング)とKraft Heinz(クラフト・ハインツ)を所有するブラジルの投資会社3G Capital、14W、Max Ventures、Pico Partners、Marcy Venture Partners、Primary Venture Partners、BoxGroupも今回のラウンドに参加した。

同社に協力している団体には、Maccabi Healthcare(マッカビ医療サービス)の他に、同社とバーチャル医療モデルの研究を行っている総合病院Mayo Clinic(メイヨー・クリニック)、K Healthのサービスをホワイトラベルで多くの保険加入者に提供している健康保険大手Anthem(アンセム)がある。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:K Health遠隔医療資金調達

画像クレジット:Busakorn Pongparnit / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

ビジネスの「財務コントロールセンター」を構築を目指すシンガポールのVolopayがシードラウンド2.2億円を調達

シンガポールを拠点にビジネスのための「財務コントロールセンター」構築を目指すスタートアップVolopay(ボロペイ)は米国時間1月18日、シードラウンド投資210万ドル(約2億1800万円)を調達したことを発表した。このラウンドはTinder(ティンダー)の共同創設者Justin Mateen(ジャスティン・マティーン)氏が主導し、Soma Capital、CP Ventures、Y Combinator、VentureSouq、Razorpayの創設メンバーなどのエンジェル投資家が参加している。

この資金は人材雇用、製品開発、戦略的提携、Volopayの海外展開に使われる。2020年1月末には、オーストラリアでの事業を立ち上げる計画だ。現在はSmart Karma、Dathena、Medline、Sensorflow、Beamなど約100社のクライアントを有する。

2019年、Rajith Shaiji(ラジス・シェイジ)氏とRajesh Raikwar(ラジェシュ・レイクウォー)氏が共同創設したVolopayは、2020年、Y Combinator(ワイ・コントリビューター)のアクセラレーター・プログラムに参加した。最高経営責任者のシェイジ氏は、起業前、いくつものフィンテック企業に勤めていたが、特に複数の国に分散した経理部門にまたがる事業経費の照合方法に不満を募らせ、Volopayを立ち上げた。シェイジ氏とレイクウォー氏はともに、多くの企業、特にスタートアップや中小企業が、サブスクリプションや業者への支払いなど何種類もの経費の追跡に苦労する様子を見てきた。

Volopayのクライアントは、ほとんどがテック産業に属する従業員15〜150名の企業だ。Volopayのプラットフォームには、複数通貨対応の法人カード(VISAが発行)、国内および海外の銀行振り込み、自動支払い、経費管理ソフトウェア、会計ソフトウェアといった機能が組み込まれ、為替手数料や出費の照合が迅速に行える。

展開を促進するために、VolopayはAirwallex(エアーウォレックス)のAPIを導入している。その法人カードでは、テック企業の三大出費項目だとVolopayがいうソフトウェアのサブスクリプション、ホスティング、海外出張で最大2%のキャッシュバックが受けられる。また2020年11月には、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック中は中小企業を流動的な対応で支援する法人カードのためのカード部門を創設した。

クレジットカードや運転資金貸付のような従来型の信用取引と比較すると、VISA法人カードでも受けられるVolopayの信用枠は、クレジットの利用額に応じた固定料金構造を持つ魅力的なものになっているとシェイジ氏はいう。つまり、企業はいくら借りるかを事前に把握できるため、キャッシュフローの管理が楽になる。Volopayが提供している平均的な与信枠はおよそ3万ドル(約310万円)だ。

2020年7月にTechCrunchが取材して以来、Volopayは同プラットフォームでの総資金フローが前月比70%の伸びを見せているとシェイジ氏は話す。同社はまた2つの新機能もローンチした。クライアントが低い為替レートと安い手数料で国内外の送金が行える請求書支払い機能と信用供与だ。この請求書支払い機能は、現在、Volopayの総支払い額のおよそ40%を扱っている。一方、クレジット商品はカード利用額の30%を占めている。

シェイジ氏はTechCrunchに対して、Volopayがオーストラリア進出を決めたことを話してくれた。シンガポールよりもずっと大きな市場であることに加えて、「オーストラリアの中小企業は、有償ソフトウェアを利用した内部業務の効率化や事業の拡大に非常に慣れている」ためだ。さらに、現在のところオーストラリアには、Volopayのような支出管理とクレジットの両方を中小企業に提供する業者がないとも彼は指摘している。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Volopayクレジットカード資金調達

画像クレジット:Volpay

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(翻訳:金井哲夫)

アマゾンなどの「プラットフォーム経済」上で成立するスタートアップを支援するCrossbeamが26億円調達

数多くのベンチャー投資家は次なるAmazon(アマゾン)やShopify(ショッピファイ)に資金援助したいと考えるだろうが、Crossbeam(クロスビーム)はそれらのプラットフォーム上で成立するスタートアップを支援する新しい企業だ。つい最近、初めての資金調達を2500万ドル(約26億円)でクローズした。

これまでも、SellerX(セラーエックス)、Perch(パーチ)、Heroes(ヒーローズ)など、Amazonで事業を行う業者を買収し拡大させる潤沢な資金を持つスタートアップを紹介してきたが、CrossbeamのゼネラルパートナーであるAli Hamed(アリ・ハメド)氏も同様に、大きな好機を示す場所としてAmazonを指名する。Amazonでのサードパーティーの売上げが2019年には2000億ドル(約20兆8000億円)に達したことを挙げ、ハメド氏はこう話した。「このスペースでの勝者は100社にのぼるでしょう」。

さらに彼は、同社はAmazonだけに特化しているわけではないと語る。Thumbtack(サムタック)、Spotify(スポティファイ)、 Shopify(ショッピファイ)も、Crossbeamが投資対象とする「プラットフォーム経済」だという。2020年の秋に発行されたMedium(メディアム)の記事で、彼は詳しく説明している。

「Facebook(フェイスブック)の株を持つより、私たちはInstagram(インスタグラム)のアカウントを持ちたいと考えます。Amazonの株を持つより、サードパーティーの小売業者をたくさん所有したいと考えます。さらにGoogle(グーグル)の株を持つより、YouTube(ユーチューブ)のライブラリーを持ちたいと考えます。

なぜか?そうした株の魅力を高めている追い風は、そのプラットフォーム上で商売をしている業者にも及んでいるからです。しかし、資本市場はまだそのスペースに本格的に乗り出していません。従来型のファンドは、そうしたプラットフォームの構成要素に資金提供するようには作られていないからです。一番の問題は、それらプラットフォーム上の経済エコシステムの多くは、成熟したばかりなので、それぞれの資産を評価するための既存のモデルがないことです」

ハメド氏と、ゼネラルパートナーのSavneet Singh(サブニート・シン)氏は、ともにCoVenture(コベンチャー)のパートナーでもある。この企業は、もともとは技術的なサービスを提供する代償にエクイティを得ていたが、今ではスタートアップへの資金貸付に重点を置いている。CrossbeamはCo Venture、Moelis Asset Management(モエリス・アセット・マネージメント)、Fenway Summer(フェンウェイ・サマー)とのジョイントベンチャーだと彼は説明している。ビジネスが軌道に乗ったときに、CrossbeamはCoVentureから追加資金の貸付を受けている。

1つのプラットフォーム上に事業を構築するスタートアップのリスクについて尋ねると、ハメド氏は、1つのプラットフォームでオーディエンスを固め、後に多様なプラットフォームに展開するほうが理に適っていることもあるが、それはプラットフォームによる、と話す。鍵となるのは「そのプラットフォームが自分に代わって儲けを生んでくれるか」だと彼は主張する。

「他のプラットフォームに手を広げてみると、稼ぎを助けてくれるところと、そうでないところとがあります」とハメド氏は電子メールで述べた。「YouTubeは助けてくれます。私たちに代わって広告で稼ぎ、その一部を私たちに分けてくれるからです。Instagramは違います(特別なケースを除いてInstagramは広告収入を分けてくれません)。【略】そのため各プラットフォームの『ありがたさ』は、それぞれなのです」。

最初のファンドをクローズする前にも、Crossbeamはすでにデジタルメディアの企業Wave.tv(ウェーブ・ティービー)、訴訟のための融資企業Litty(リッティー)、オンデマンドの訴状送付スタートアップProof(プルーフ)、サードパーティーのAmazon小売り業者を買収する企業Acquco(アクコ)の6社に投資を行っている。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:eコマースCrossbeam資金調達

画像クレジット:jayk7 / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

外骨格ロボットは歩行能力と重作業補助の未来を約束する

この数年で、ロボットエクソスケルトン(外骨格)技術の能力が格段に向上した。それも十分に納得できる。第一に、これが生活の向上に役立つと初めて実感できた希有なテクノロジーであることが挙げられる。私はこれまで、数社のデモンストレーションを見学してきたが、数年ぶりに部屋の端から端まで歩けた人を見て、横に立っていたその人の伴侶が涙するといった光景を目にするにつけ、正直、息を呑む。

第二に、このテクノロジーには2つの際立った使用事例があることだ。1つは前述の移動能力。完全麻痺の人や歩行障害者を介助して移動するときの助けになる。もう1つは、重い物を持ち上げたり、長時間立ったままでいるときの体の負荷をエクソスケルトンが大幅に軽減してくれることだ。そのため、Esko Bionic(エスコ・バイオニクス)など多くの企業は、それらに別々に対応するために部門を2つに分けている。

つまりこれは、成長するまでにまだ数年かかると思われるが、大きな潜在市場だ。そんな事情から、ここでは大まかな予測しかお話できないのだが、この分野には小さな企業が参入し、実のあるビジネスを開拓できる余地が十分にあると私は信じている。

だが大手企業が参入してきたとしても、私は驚かない。それは、ロボティクス分野にお墨つきをもらうには良い方法だからだ。今週開催されたCES 2021に登場したSamsung(サムスン)のGEMSは、それほど多くの発表時間は割かなかったものの、間違いなく最大級の製品だろう。これは2年前のCESでデビューし、私たちも実際に試すことができた。発表された内容は、主にバッテリーなどのハードウェアの進化と、間もなく始まる臨床試験に関するものだった。製品を送り込む先として、医療と医療関連の分野は欠かせない。

しかし今週のCESで発表されたSamsungのロボティクス技術は、どれを見ても同社の本気度を判断する決め手には、ほとんどなっていない。2020年のCESでは「没入型のトレーニング体験」の一環としてわずかに顔を出した程度だった。

画像クレジット:Archelis

もっと小規模な企業が、魅力的な製品を披露していた。一番に思い浮かぶのが、日本語で「歩けるイス」から命名したArchelisFXを展示した日本のArchelis(アルケリス)だ。この装置は、さまざまなシナリオを想定してデザインされている。腰痛のある人や外科手術を受けたばかりの人なども、その範疇に入る。レンタルもあるが、45万円で購入することもできると同社は話している。

全体として、2021年のバーチャルCESに登場したエクソスケルトンは、どちらかといえば移動に重点が置かれていた。その証拠に、2020年のCESでデルタ航空との提携を発表したSarcos Robotics(サーコス・ロボティクス)は欠席だった。2020年9月、同社はこの取り組みに4000万ドル(約42億円)のラウンドで資金調達を果たしている。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:外骨格CES 2021

画像クレジット:Samsung

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(翻訳:金井哲夫)

米政府がタッチスクリーンの不具合でテスラ車15.8万台にリコール要請

米国の安全監督機関は、タッチスクリーンの操作を不能にする恐れのあるメディアコントロールユニット(MCU)の欠陥を理由に、15万8000台の車両のリコールをTesla(テスラ)に要請した。この欠陥は、米幹線道路交通安全局(NHTSA)の数カ月間にわたって調査によって判明した。

同局の欠陥調査室は、MCUの欠陥は後方カメラ、曇りとり、霜とりなど機能の設定操作を不能にしたり、さらには信号インジケーターを有効にしたときや高度運転支援システム「オートパイロット」を起動したときにドライバーに音で知らせるチャイムを止めてしまう可能性があるため、安全上の問題と判断した。MCUが突然故障することは、Teslaフォーラムでも長年の話題になっていた。

欠陥の原因は、クルマに搭載されているフラッシュドライブのメモリーストレージがいっぱいになるためだと調査員は結論づけている。唯一の解決策は、その部品を物理的に交換することしかない。対象となるのは、2021年から2018年の間に生産されたModel Sセダンと、2016年から2018年の間に生産されたModel X SUVだ。

Teslaにコメントを求めたが、まだ返事はない。だが同社は、報告にあった情報をNHTSAに提出している。すべてのユニットはメモリー装置の容量が限られているため、この問題は避けられないとTeslaはNHTSAに対して認めている。Teslaは、2020年から2028年にかけて行うMCU交換の週あたりの予測数を示す独自の統計モデルを提出した。報告によれば同社は、欠陥のあるMCUの交換率は2022年初頭にピークに達し、2028年に完全に交換が完了するまでの間に次第に低下してゆくと見積もっている。

対象車両にはNVIDIA Tegra 3プロセッサが搭載されており、そこに8GBのeMMC NANDフラッシュメモリー装置が組み込まれている。この8GBのメモリーの一部が、車両を発進させるごとに消費される。eMMC NANDのメモリーセルは、ストレージの容量がいっぱいになると正常に機能しなくなり、マイクロコントローラーユニットの欠陥を引き起こすとNHTSAは話している。

このeMMC NANDフラッシュメモリーの寿命は、書き込みと消去の回数(P/Eサイクル)によって決まる。寿命に達した後は、メモリー不足でMCUは異常をきたす。調査員たちは、この8GB eMMC NANDフラッシュメモリー装置の予想寿命は、P/Eサイクル3000回と判断した。その後は、eMMC NANDフラッシュメモリーがいっぱいになり、機能しなくなる。1日あたりの使用率は1ブロックあたり1.4回。それが積み重なり、わずか5〜6年でP/Eサイクル3000回に到達するとNHTSAはいう。

同局は、Teslaにリコールを開始し、該当車両のすべてのオーナー、購入者、ディーラーに安全上の欠陥がある旨を通知し、部品交換を行うよう公式に通達した。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Teslaリコール

画像クレジット:Tesla

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(翻訳:金井哲夫)

Dellの40インチ曲面モニターはホームオフィスのコマンドセンターに最適

Dell(デル)は2021年のキックオフを、さまざまなスイートスポットに狙いを定めた新しいディスプレイのラインアップで飾った。Dell UltraSharp(ウルトラシャープ)40曲面WUHDモニターは、39.7インチの画面領域があり、解像度は5120×2160ピクセル。これは通常の32インチワイドスクリーンディスプレイでは4K解像度の画素密度に相当する。画像とデータの接続はThunderbolt 3に対応。互換性のあるコンピューターに90Wの電力供給、ネットワークには10Gbps Ethernetでの有線接続が可能。要するに、Dellの最新(1月28日発売)は、ホームオフィスの最適化を考えている人にとって「1台ですべてを賄う」手段の有力候補となる。

基本性能

Dell UltraSharp 40は、60Hz、アスペクト比21:9、WUHD解像度の(本当の5Kではないが、このサイズの曲面ディスプレイにしては卓越している)39.7インチディスプレイだ。色再現性はRGBが100%、P3が98%。高さ、傾き、左右角度の調整ができ、ケーブルをきれいに隠せる溝を備えたスタンドが一体になっている。内蔵スピーカーは出力9Wが2つなので、外部スピーカーを接続する必要もない。

画像クレジット:Darrell Etherington

有線接続用ポートはThnderbolt 3、RJ45 Ethernet、USB 10Gbps(背面に3つ、正面に1つ)、さらに正面にはUSB-Cポートが1つあって使いやすい。また、3.5mmの音声ライン出力(ただしヘッドフォンには対応しないので注意)と、HDMIポート2つ、Thunderboltを使わず古いタイプのディスプレイを接続したいときのためのディスプレイポート1つがある。さらに、共有環境でのディスプレイの盗難を防ぐ標準のセキュリティロック用スロットも備わっている。

画面自体は明るく鮮明で、広い角度から見ることができる。マット加工されているので、さまざまな照明の状況下でも画像が見やすい。メニューやピクチャー・イン・ピクチャーなどの内蔵機能の操作は、ジョイスティック型のボタンで楽に行うことができる。

デザインと機能

何よりもまず、Dell UltraSharp 40の画質が素晴らしくいい。特にこのサイズのディスプレイ、またこの解像度の曲面フォームファクターにしては、会議やスプレッドシートの作業などを中心的に行うテレワーカーも、色の正確な再現性や細部までクリアに見える精細な解像度を要求するプロの映像作家も、誰もが満足する画質を誇っている。

WUHD解像度ということは、表示領域をどのように使いたいか、またその必要性に応じて、さまざまな設定が可能であることを意味している。たとえば私は5160×2160で使っていたが、たくさんのウィンドウを縦横に並べて仕事をする際に十分なスペースが確保できた。普段の仕事では、ディスプレイを3つ使っているが(タブやらブラウザーのウィンドウをたくさん表示している)、Dell UltraSharp 40では、それをたった1台で実に快適にこなしてくれる。Apple(アップル)の最近のMacに備わっているHiDPI(高画素密度)モードにも対応しているので、画面全体を使う必要がないときは、細部までクリアでクッキリなまま、画像を大写しにできる。

Dellのディスプレイ一体型のスタンドは、シンプルで効率的だ。いろいろな動かし方ができ、高さ調整の幅は驚くほど広い。このディスプレイの場合は、画面を完全に縦にしてポートレート表示をさせることはできないが、高さに対して横幅の大きさを思えば無理もない。必要ならば、画面を傾けることができる。好みに応じて上下角度の変更は自由だ。結論として、非常に大きなディスプレイながら、ごく簡単に快適な位置や角度に調整できる。

画像クレジット:Darrell Etherington

箱から出した時点で、すでにキャリブレーションはできているが、コントラストや明るさなど、豊富な調整項目を内蔵メニューから操作することもできる。複数のデバイスを接続して使えるのも大変に便利だ。複数の入力をピクチャー・イン・ピクチャーで表示したり、画面を左右に二等分して異なるソースからの画像を表示させることもできる。複数のコンピュータを接続したときに便利な機能として、ディスプレイ本体にキーボードとマウスを接続すれば、接続されているパソコンを識別して自動的に入力先を切り替えてくれるというものもある。

画面の大きさと解像度以外にも、UltraSharp 40がホームオフィスの中心に相応しいと思わせる機能がある。内蔵スピーカーだ。オーディオマニアから表彰される程のものではないまでも、ノートパソコンの内蔵スピーカーなどよりはずっと上質で、外部スピーカーを使う必要性を排除してくれる。机が狭くて困っている人には助かる。Thunderboltに対応した比較的新しいMacなら、UltraSharp 40は、なんとケーブル1本だけで接続ができる。これには文句の付けようがない。

まとめ

画像クレジット:Darrell Etherington

このUltraSharp 40においても、高性能な製品をお手頃価格で提供するというDellの伝統が貫かれている。2100ドル(約22万円)という価格は高いように感じるだろうが、そこから得られる恩恵を思えば極めて適正だ。またDellのディスプレイは耐久性も高いため、一度投資すれば、今後数年間は満足が続くはずだ(私のホームオフィスのディスプレイのうち2台はDellの初期の4Kモデルだが、5年間しっかり働いてくれた)。

横に広いアスペクト比と湾曲した画面により、このディスプレイはほとんどの用途において、比較的小さい4Kディスプレイ2台に取って代わることができる。そう考えるとコスト的にはさらに納得がいくものとなる。まとめるに、DellのUltraSharp 40は、幅広いホームワーカーのさまざまなスイートスポットを押さえた、ホームオフィスの立役者といえる。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Dellディスプレイ

画像クレジット:Darrell Etherington

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(翻訳:金井哲夫)

アウトドアクッキングの人気メーカーWeberがスマートクッキングのJuneを買収、Weber会長はJuneの大ファン

アウトドアクッキング業界のリーダーであり、バーベキューコンロの人気メーカーとして名高いWeber(ウェーバー)は、2013年にMatt Van Horn(マット・バン・ホーン)氏とNikhil Bhogal(ニクヒル・ボガル)氏が設立したスマートクッキングのスタートアップJune(ジューン)を買収した。この取引の金銭的な条件は公表されていないが、JuneはWeberーStephen Products(ウェバースティーブンプロダクツ)の完全子会社として、今後もJuneブランドで事業を続け、June Ovenと関連製品の販売と開発を継続するとWeberは認めている。一方、Juneの共同創設者ニクヒル・ボガル氏は、Weber製品のテクノロジーおよびネット接続デバイス担当上級副社長の役職に就く。

Weberは以前からJuneとは協力関係にあり、Weber Connected(ウェーバー・コネクテッド)スマートグリルプラットフォームにはJuneのテクノロジーと専門知識が活かされている。ネット接続によるスマートグリルの機能をすべてのグリルに適用できるWeber Connetedスマートグリルハブ、木質ペレット式グリルSmokeFire(スモークファイヤー)シリーズに内蔵されているスマートクッキング機能などがそうだ。両社の提携関係は、2018年、Weberの創業者の息子であり、当時のWeberのCEO、現会長のJim Stephen(ジム・スティーブン)氏から突然届いた謎のメールから始まった。

「彼はファンであり、顧客であり、Juneの技術がWeberのすべての製品に力を与える未来を想像して止まないと話してきました」とバン・ホーン氏はインタビューで私に話した。「私はこう聞きました。『ちょっと待って、なんの話ですか?というか、あなたは誰?』と。すると彼は『これからそっちに向かう。月曜日には着く』というのです。いつもはデモ用の準備を整えて、チョコレートラバケーキやステーキをJune Ovenで焼いて見せているので、15分は早く現場に行かなければなりません。しかしジムはすでにオフィス前の階段に立っていて、私のためにドアを開けようと待ち構えていました。そしてこういったのです。『デモは結構。持ってるから』と」。

「彼のエネルギーと、誰よりも早く物事を見抜く才能には、度肝を抜かれました」とバン・ホーン氏は言葉をつなぐ。「そのすぐ後に、私はCEOになる予定のクリス(Weberの現CEOのChris Scherzinger[クリス・シャージンガー]氏)と会い、一緒に歴史あるWeberブランドの、正直大変な驚きの素晴らしい文化に初めて触れることができました」。

前述のとおり、JuneはWeberのパートナーとなり、2020年のCESで初披露されたネット接続クッキングプラットフォームの技術を支えている。Weberはまた、JuneのシリーズC投資ラウンドを主導した。それは今回のエグジット前の2018年にWeber主導で実施された、これまで非公開だった最後の資金調達ラウンドだ。

バン・ホーン氏は、新しい取り決めのもとでJuneの社長を務め、現行と将来の製品開発の指揮を継続することになる。

国際的な規模の、また現在展開されているグローバルな足がかりを通じた流通網によるWeberの支援力は、この創立63年の老舗企業との合併を決める大きな誘因になったと彼は話す。だがもう1つ、常に顧客を中心に考え、食べ物を愛するJuneの企業文化にWeberがどれほど相応しい場所であるかが証明された点も重要な鍵だった。

「ニクヒルと私がJuneを立ち上げたのは、いうまでもなく食べ物が大好きだからです。料理が大好きだからです」とバン・ホーン氏。「そして、私たちの製品の作り方を考える際の原則は、Apple(アップル)の原則と大きく重なっています。Juneの従業員の大半がApple(アップル)出身者です。私たちはそれを、見てのとおりの従業員60人という小さなスタートアップに凝縮しました。しかし、Weberの非常に熱心なチームと仕事ができるようになり、最初から本当にエキサイティングで、ずっと驚きの連続です」。

Weberは、技術優先の視点から調理にアプローチするというアイデアから生まれたJuneのソフトウェアと技術を手に入れた。その専門知識を、高品質の伝統と顧客の熱烈な支持を見すえつつ、Weberの製品全般に吹き込む考えだ。

「今あるソフトウェアのエンジニアリング、ネット接続を前提としたデザイン、機械知能の専門知識を吹き込むだけで、そのコアコンピタスや能力を得ることができますが、それは実に控えめな見方です」とシャージンガー氏はインタビューで私に語った。「マットはスーパースターのチームを作り上げ、私たちはそれをドラフトの第1巡で獲得したのです。それがWeberのゲームを別次元に高めます。これにより、私たちの無数の取り組みが加速され、消費者に新しい体験、新しいサービス、新しい製品を確実に届けるという意味において、Weber Connectの未来は拡大されます。それは早ければ2021年から2022年に始まります」。

前にも述べたとおり、今回の取引の詳細はWeberもJuneも公表していないが、シャージンガー氏は「マット(・バン・ホーン)と彼のチーム、彼の投資家は、みんなよくやってくれました」と話している。Juneの以前からの投資企業にはAmazon Alexa Fund、Lerer Hippeau、First Round Capital、Promus Ventures、Industry Ventures、Eclipse Venturesなど数多い。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:WeberJune買収料理

画像クレジット:Weber

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(翻訳:金井哲夫)

ギグワーカーと労働組合がギグワーカーを個人事業主に分類するProp22を州憲法違反として提訴

カリフォルニア州の配車サービスのドライバー団体と、サービス従業員国際連合(SEIU)は、米国時間1月12日、同州住民立法案Proposition 22を、カリフォルニア州の州憲法に違反するとして提訴した。この訴訟の目標は、カリフォルニア州のギグワーカーを個人事業主に分類することを決めたProp 22の撤廃だ。

カリフォルニア州最高裁判所に起こされたこの訴訟は、同州議会によるギグワーカーのための補償制度の立法化と施行が、Prop 22によって阻害されると訴えている。またProp 22は、住民投票は1つの問題に限定することを定めた法令に違反し、州憲法に違反して規定された法令の修正条項であると主張している。現状では、Prop 22の修正には立法府の8分の7という圧倒的多数の賛成を必要とする。

「私のような配車サービスのドライバーは、毎日家計のやりくりに苦労しています。Uber(ウーバー)やLyft(リフト)といった企業が、我々の幸福よりも自社の利益を優先させているからです」とこの訴訟の原告であるサオリ・オオカワ氏は声明の中で述べている。「Prop 22によって、彼らは我々の健康と安全をないがしろにしているばかりか、私たちの州憲法も踏みにじっています。私は、この問題が、我々の労働から利益を得ている裕福な企業幹部ではなく、法律を作ってもらおうと私たちがが選出した人たちに懸かっていると思い、この訴訟に参加しました。裁判所はProp 22が企業の権力掌握のためだけのものであることを認め、Prop 8やProp 187と同様、Prop 22が憲法違反の法令という汚名を着ることになると信じています」

この訴訟は、ギグワーカーとテック企業との間で続けられてきた長い戦いの中の新たな一戦だ。その間、UberとLyftは、Prop 22と同等の法律を他の地域にも求めてきた。UberもLyftも、ギグワーカーは従業員ではないというスタンスを保っているため、両社がそれぞれ個別に、同様の法律が他の地域や他の国でも施行されることを望むと語ったところで、驚くにはあたらない。

Uber、Lyft、DoorDash(ドアダッシュ)からは、すぐにコメントは得られなかった。だが、Prop 22を支持するYes on 22キャンペーン、またはProtect App Based Jobs & Services(アプリベースの仕事とサービスを守れ)運動の支援者が、TechCrunchに以下の声明を送ってくれた。

「アプリベースのドライバーの大半を含む1000万人近いカリフォルニアの有権者は、歴史的にも新しい保護が受けられ、ドライバーの独立が保てるProp 22を通過させました」と、Prop 22を支持するUberドライバーJim Pyatt(ジム・パイアット)氏は述べている。「政治的な立場を超えて多くの有権者たちが明確な主張を繰り広げ、Prop 22を圧倒的大差で承認しました。疑いようのない民主主義による人々の意志をむしばもうとする無意味な訴訟は、法廷の審議を耐え抜くことはできません」。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Proposition 22カリフォルニア裁判ギグワーカー

画像クレジット:JOHANNES EISELE/AFP via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)