難聴治療と多発性硬化症治療の新薬をFrequency Therapeuticsが発表、第II相試験の不本意な結果を受けて試験を再設計

Frequency Therapeutics(フリークエンシー・セラピューティクス)は設立から間もないが、浮き沈みを経験している。研究開発イベント期間中の米国時間11月9日、同社は、主力の難聴治療薬の開発状況を補足する多くの発表を行い、いくつかの方向性を示した。

2015年に設立されたフリークエンシー・セラピューティクス(以下、フリークエンシー)は、難聴のための再生医療アプローチに取り組んできた。このアプローチでは前駆細胞の再生を軸としている。前駆細胞は、最終的に蝸牛の中で音を伝導する重要な有毛細胞となる。これらの有毛細胞が不可逆的に消失したり損傷したりすると、最も一般的な難聴である感音性難聴になる。

同社は2021年11月、難聴の治療薬候補であるFX-322に関する発表をいくつか行った。フリークエンシーは、初期の試験で蓄積されたデータを示し、FX-322が臨床的利点をもたらすこと、第Ⅱ相試験の結果が思わしくなかったのは、試験設計に不備があったことを説明した。そして、新しい難聴治療薬と多発性硬化症治療薬のプログラムを発表した。

FX-322試験設計の刷新

感音性難聴のほとんどの症例は、人工内耳または補聴器のいずれかを使用して治療される。突発性難聴を発症した場合は、ステロイド治療を施すことがあるが、感音性難聴の治療や改善を目的として承認された治療薬はない。

FX-322はすばらしいスタートを切った。1件の第Ⅰb相試験では、15人にFX-322を投与し、8人にプラセボを投与したが、有害な副作用は認められなかった。FX-322を投与した4人は、特定の言葉を聞く能力において、臨床的に意義のある改善が見られた。

ちなみに、フリークエンシーは単に音を聞く能力ではなく「言語知覚」に基づいて治療薬の効果を評価している。人工内耳に関する他の治験でもこの指標が使用されており、チーフサイエンティフィックオフィサーのChris Loose(クリス・ルース)氏によると、この方法で聴覚治療薬を評価することの有用性について、同社とFDAの意見は「一致」しているという。

フリークエンシーの最高開発責任者であるCarl LeBel(カール・ルベル)氏によると、治療薬の効果は長期的に持続している。5人の被験者を1~2年追跡調査して得た未発表の耐久性データから、3人の被験者に統計的に有意な改善が今なお続いていることがわかった、とカール・ルベル氏はTechCrunchに語っている。

「このことは、一部の被験者は効果を維持できることを示しています。その効果は1年持続するかもしれません。あるいは2年かもしれません。こうした改善が見られる患者をさらにモニターする必要はありますが、この薬は実際に疾患修飾効果があることを示しています」とルベル氏は述べた。

しかしFX-322に関する良いニュースは長くは続かなかった。第Ⅱa相試験では、プラセボと比べて難聴の改善が見られなかった。

この試験は95人の被験者を対象に実施された。半数にFX-322が4回投与され、残りの半数にプラセボが投与された。両群とも改善は限定的なものであり、同社はその試験でFX-322の「明確な効果はなかった」と報告した。

このニュースが発表された日、フリークエンシーの株価は36ドル(約4100円)から7ドル(約800円)に下落し、それ以来、過去の高値を大きく下回っている。これを受けて、一部の株主は、2021年3月23日以前の収支報告、プレスリリース、SEC提出書類、プレゼンテーションで、経営陣がFX-322について事実を曲げて伝えたとして、集団訴訟を起こした。

この時点で、経営陣は、この試験は公平ではない判断によるの悪影響を受けたと主張している。ルベル氏によると、患者は臨床試験を受けるために、自身の聴力を過小評価した可能性があるからだ(そして試験は、その可能性を考えて適切に調整されなかった)。

TechCrunchの取材に対し、ルベル氏は「患者が試験に参加する際、過去の言語知覚スコアと試験のベースライン訪問時のスコアが一致しなかった」と述べている。

フリークエンシーのコーポレートアフェアーズ上級副社長であるJason Glashow(ジェイソン・グラショウ)氏は、同社はこれを試験の「設計上の問題」だと考えていることを明らかにした。

「この試験は公平ではない判断の影響を受けましたが、それは参加した被験者の責任ではありません」と同氏は続けた。

研究開発イベント時に、フリークエンシーは3つの第Ⅰ相試験で蓄積したデータについて報告し、FX-322が反応パターンを示していたこと、第Ⅱ相試験の結果は異常値だったことを主張した。

フリークエンシー・セラピューティクスが実施したFX-322に関する3つの試験で蓄積したデータは、ある反応パターンを示した。第Ⅱ相試験ではプラセボと比べて効果は確認されなかったが、経営陣は、この試験は公平ではない判断の悪影響を受け、試験設計が不十分だったと主張している(画像クレジット:Frequency Therapeutics)

このニュースが、進行中の訴訟にどのような影響を与えるのかは不明だ。しかしこの経験が、FX-322の今後の試験の構造を特徴づけたと言える。

フリークエンシーは、FX-322に対する新しい第Ⅱb相試験の開始をすでに発表している。124名の被験者が参加するこの試験では、ベースラインの聴力を測定する前に、被験者の聴力をモニターする1カ月の「リードイン」が設けられた。最初の患者は、2021年10月にFX-322が投与された。

また、どのようなタイプの難聴を対象とするかについても同社は焦点を絞り込む。対象となるのは、騒音性難聴または突発性感音難聴と診断された被験者になるだろう。微妙な違いではあるが、治療の対象となる難聴のタイプのパラメータがわずかに変わってくる(CDCの推定によると、騒音性難聴は年間1000万〜4000万の人々に影響を及ぼしている)。

新しい治療薬候補と多発性硬化症プログラム

フリークエンシーはその地歩を固めるために、初めて、FX-322以外の製品にも取り組もうとしている。同社は、FX-345という新しい製品の試験も計画している。FX-345は、FX-322に含まれる小分子の効能を改良したものだ。ルース氏によると、この効能により、FX-345は蝸牛の深部にまで浸透することができる。

同社は、2022年第2四半期に、新薬治験開始申請(IND)を進める予定だ。

フリークエンシーは、FREQ-162という多発性硬化症の治療薬も開発中である。これは同社が以前から明確に述べていた目標の1つ「再生医療へのより幅広い取り組み」に向けた新たな一歩だ。

TechCrunchが確認した説明によると、同社は、治療薬がオリゴデンドロサイトの発生を促進できることを示す、マウス試験から得た予備データを持っている。多発性硬化症の患者は脂肪鞘が劣化しているが、オリゴデンドロサイトはその脂肪鞘を産生する。

しかし、同社は今後の試験のスケジュールを明らかにしていない。

今のところ、FX-322と新たに設計された試験への重点的な取り組みは変わらない。新たな試験では、未解決の問題の解決策が見つかる可能性がある。

画像クレジット:Science Photo Library – VICTOR HABBICK VISIONS / Getty Images

原文へ

(文:Emma Betuel、翻訳:Dragonfly)

【コラム】完全なソーシャルメタバース体験は「音声」の要素が揃うことで実現する

Facebook(フェイスブック)の社名がMeta(メタ)に変更されたことで触発された「メタバース」にまつわる会話の多くは、ビジュアル的な要素に焦点を当てている。ほとんど言及されていないのは、オーディオだ。しかし仮想環境を現実のものにするには、音声は間違いなく重要になる。

時には、それがすべての場合もある。

Spike Jonze(スパイク・ジョーンズ)に尋ねてみよう。この映画監督は、2013年の映画「Her(her/世界で1つの彼女)」のタイトルロールで、その声を演じていた当初の女優を降板させ、Scarlett Johansson(スカーレット・ヨハンソン)の官能的な音声に置き換えた。コンピューターオペレーティングシステムであるサマンサは生身の人間として登場することはなかったが、ジョーンズは、元の女優が三次元のペルソナを作るのに必要な感情をうまく表現できていないと感じたのだ。

視聴者をストーリーの前提に引き込み、十分真実味のあるストーリーに仕立ててくれる、洗練されたキャラクターを作るのに、音声は不可欠な要素であった。

The Washington Post(ワシントン・ポスト)が指摘しているように、Metaのメタバース構想の要となるものは、その多くがビデオゲームの世界に、ただし分断されたゲームの世界に限られるが、すでに存在している。ゲームの世界では、音声がますます重要な役割を果たしている。Metaは、統合された相互運用可能な体験を約束しているが、高度にテクスチャ化された、生き生きとしたデジタル音声が豊富に含まれていなければ、メタバースは包括的で没入的というよりは不完全なものになるだろう。

1970年代半ばのMcGurk Effect(マガーク効果)の研究では、聴覚と視覚の認識の不一致から生じる認知的不協和が観察された。アバターと十分に合致しない音声は、参加者を仮想環境から切り離す可能性がある。

本当の自分を表現する

人間は社会的存在であり、現在推進されているメタバースは、参加者が家庭と職場の両方で独特のペルソナを作り出す社会的環境である。アバターを使えば、プレイヤーは自分が見られたいように自分を表現することができる。人間、宇宙人、動物、野菜、漫画やその他無数の選択肢があるだろう。プレイヤーは新たな装いを試すように、一時的に新しい「ルックス」を試用できる。ジェンダーと種は流動的である。

しかし、視覚的な存在感に合わせて自分の声の聞こえ方を変えることができなければ、アイデンティティの変化は妨げられる。自分の声を他の人に提示するペルソナに合わせることは、パーソナライズされたプレイヤーアイデンティティの中核的要素である。この状況はすでに多くの人がビデオゲームで慣れているものだ。

プレイ中のゲームで、あごひげをはやした無骨で巨大な騎士に遭遇した場合、そのキャラクターは深く荒々しい声をし、甲冑を身にまとっていることが予想される。ゲーム会社は、ノンプレイヤーキャラクター(NPC)を声優とオーディオの専門家が入念に制作し、没入感のある体験を提供することで、こうしたイメージの伝達を確保している。

しかしオンラインゲーム環境や将来のメタバースでは、その騎士は実在する人物が表現するものとなり、体験は大きく異なってくる。予想されるような太くしゃがれた成熟味ある声ではなく、マイク品質に問題のある甲高いティーンエイジャーの声を聞いて、困惑することもあるかもしれない。音と視覚の間の極端な不一致は、体験の没入的な質を損なう。メタバースアバターに十分な没入感を持たせるには、人々が完全なデジタル体験を作り出せるよう配慮する必要がある。

カバーの提供

ソニック(音響の)アイデンティティの技術は、没入感の提供に加えて、プレイヤーに「真の」匿名性をもたらし得る。彼らは、他人に見てもらいたいと思うような人物(または存在)になることができる。これは多くの人にとって、時には敵対的なオンライン環境からの強力な保護となるだろう。地理的な特徴をわからないようにして、参加者がプレイヤーコミュニティをよりスムーズに統合できるようにすることも考えられる(オフショアのカスタマーサポートコールセンターが恩恵を受ける可能性のあるケイパビリティだ)。音声チックを有する人にとっては、明らかにしたくない身体障害を覆うことにもつながる。

音声変更技術は、オンラインでの差別や嫌がらせを緩和するのにも役立つ。医学専門誌「International Journal of Mental Health and Addiction(メンタルヘルスと中毒に関する国際ジャーナル)」に2019年に掲載された研究によると、女性ゲーマーは他のプレイヤーとの口頭でのコミュニケーションを避け、不快なやり取りを減らすことが多いという。音声変更技術により、特定のジェンダーに関係なく、完全に匿名性が確保された会話に参加することが可能になり、自分自身をより快適に表現できるようになる。

学術誌「Human-Computer Interactions(ヒューマンコンピュータインタラクション)」の研究者らは2014年に「音声はオンラインゲームの体験を根本的に変え、仮想空間をより強力に社会性のあるものにしている」と結論づけている。

筆者自身の会社のデータからは、音声でコミュニケーションを取るプレイヤーは、よりゲームに没頭するように感じる自意識に変容し、より長い時間ゲームに関わり、結果としてゲーム内でより多くのお金を投じるようになることが明らかになっている。

メタバースに欠けているもの

真に完全な没入型体験を実現するには、3Dビジュアルとリアルタイムオーディオを組み合わせて、人々が自分自身の表現を行う上で、耳を傾けてもらいたいという彼らの思いに添う形で実現できるようにする必要がある。参加者は、自分の視覚的アバターと同じくらい独創的で独自性のある自分自身の音響表現を望んでいる。そして、自分の声を外見と同じようにきめ細かくカスタマイズするツールを求めている。プレイヤーの没入感とエンゲージメントを維持するには、拡張されたオーディオと3Dビデオの両方が調和している必要がある。

リアルタイムオーディオは、人々がどのようにして究極の個性をコンテンツにもたらすことができるかを定義し、オーディオをメタバースのすばらしいイコライザーとして機能させる。残念なことに、現在の音声体験は、すべてを網羅するメタバースの約束に沿った没入的な品質を提供することが難しくなっている。

熱心なアーリーアダプターたちの実験にもかかわらず、リアルタイムオーディオのペルソナは、良くても制限的だ。人の音声をデジタルの自己に合わせるためのツールは限られており、音質は視覚的な品質にまだ及ばない。

だが、利用可能なオーディオ技術における最近の進歩は、プレイヤーによる独自のソニックアイデンティティ形成を現状よりはるかに容易なものへと変えようとしている。プラットフォーム開発者やゲーム開発者が利用できる新しいソリューションにより、ライターやプロデューサー、オーディオエンジニアは、ゲーム内に音声修正技術を組み込んで、自然に聞こえるファンタジー音声をオンデマンドかつリアルタイムで生成できるようになっている。

このことは、プレイヤーを魅了して完全にフォーカスさせ、離れさせることなくその体験へのエンゲージメントを維持するような、包括的で没入的な聴覚体験の提供を通して、収益化のための新しい道を生み出す可能性へとつながっていく。

企業は、人々がデジタル空間で自分自身の視覚表現を形作ることを可能にする、強力なツールへの投資を進めている。こうした企業は、デジタル表現がシームレスになるソーシャルオーディオ体験に合わせてカスタマイズされた、ソニックアイデンティティを見過ごしてはならない。

メタバースはそれなしでは完成しないだろう。

編集部注:本稿の執筆者Jaime Bosch(ハイメ・ボッシュ)氏はVoicemodの共同創設者兼CEO。

画像クレジット:luza studios / Getty Images

原文へ

(文:Jaime Bosch、翻訳:Dragonfly)

難聴ケアを身近なヘッドフォンやテレビで、Mimiが聴覚ウェルネスプラットフォームのボリュームを上げる

TechCrunch Battlefield NY 2014の最終選考に残ったMimi Hearing Technologiesは、シリーズBラウンドで2500万ドル(約28億5000万円)を調達し、聴覚の健康というミッションを世界中の耳に囁き続けている。同社は最近、Skullcandy(スカルキャンディー)、Cleer(クレール)、Beyerdynamic(ベイヤーダイナミック)との一連の注目すべきパートナーシップを発表し、MIG CapitalATHOSからの新たな資金注入により、さらに前進しようとしている。

関連記事:オーディオを「パーソナライズ」するMimi、Skullcandyなどの本技術搭載ヘッドフォンを徹底検証

Mimiの創業者の1人で、同社の研究開発を率いるNick Clark(ニック・クラーク)氏は、しばらく前に私にこう語った。「聴覚障害だけでなく、より幅広いことに対応できるソフトウェアベースのソリューションの可能性は大いにあります。ユーザーの聴力の違いによって、より多くの人々に役立つ微妙なことを始められます」。

Mimiは、毎月約5万人が聴力検査をするのに使う、最も人気のある家庭用聴力検査アプリの1つだ。同社は、同じ技術をSDKとしてヘッドフォンメーカーに提供した。それにより、同アプリはユーザーの聴覚プロファイルを利用して、聴力に合わせてカスタマイズされた音声出力を実現できる。つまり、難聴と思われる部分を補うため、音量を上げなくてもよく聞こえるようにすることが可能なのだ。これにより、さらなる難聴を防ぐことができるという理論だ。

「例えばSkullcandyのヘッドフォンを購入し、アプリをダウンロードすると、そこで自分のプロフィールを作成することができます」と、Mimiの創設者兼CEOであるPhilipp Skribanowitz(フィリップ・スクリバノヴィッツ)氏は説明する。「このプロフィールは、他のパートナーとも互換性があり、他でも使うことができます。Philips(フィリップス)のテレビでのテストも開発しましたので、その場合ソファーに座ってテレビでテストできます」。

今回の資金は、同社の技術へのさらなる投資、特にヘッドフォンやテレビとの統合を通じた提供の拡大に充てられる。また、米国とアジアでの販売・マーケティング業務の拡大も強化する予定だ。

「シリーズBコンソーシアムの主要投資家であるMIG、ATHOS、Salviaは、2020年、NASDAQに上場しているドイツのバイオテック企業であり、Pfizer(ファイザー)と共同で最初の新型コロナウイルスワクチンを開発し、現在約700億ドル(約7兆9840億円)の評価を受けているBioNTech(バイオンテック)の設立投資家として国際的に注目されました」と、MimiのMoritz Bratzke(モーリッツ・ブラッツケ)CFOは指摘する。「彼らのMimiへの投資は、ドイツのベンチャーキャピタル環境の深さと幅だけでなく、Mimiのビジョンの重要性と多大な商業的可能性を示すもう1つの証といえます」。

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Aya Nakazato)

ツイッターが自動キャプション機能を追加し動画をよりアクセシブルに、日本語含む30以上の言語で

米国時間12月14日より、Twitter(ツイッター)は動画に自動生成キャプション機能を導入する。この機能により、耳がまったく聞こえない、または聴覚障害を持ったユーザーが動画によりアクセスしやすくなる。自動キャプションはウェブ、iOS、Android版で、英語、スペイン語、日本語、アラビア語、タイ語、中国語、ヒンディー語など、30以上の言語で利用できる。

キャプション機能は、Twitterが12月8日からテストを開始した新しいバーティカルフィードで役立つ可能性がある。このフィード方式が一般に展開されれば、同アプリの「Explore(話題を検索)」タブがTikTok(ティックトック)のようになり、動画を含む、アルゴリズムで推奨されるコンテンツが一度に1つずつ表示されることになる。このようなフィードでは、動画にキャプションがついていることが期待される。公共の場でヘッドフォンが手元にない場合でも、フィードを簡単にスクロールできるからだ。

関連記事:他社に続きツイッターもTikTokを模倣、検索タブがビデオフィード化するテスト実施

しかし、TikTokやInstagram Reelsの動画キャプション機能では、投稿前にキャプションのテキストを編集することが可能だが、Twitterではユーザーがキャプションを微調整することはできない。つまり、自動キャプションをより正確にするために、ユーザーがエラーを修正することはできないということだ。

自動キャプションや画像の代替テキストなどのアクセシビリティ機能は、2020年9月についにアクセシビリティ専門チームを創設した後、Twitterがよりフォーカスしている分野だ。この人事配置の変更は、2020年夏に自動キャプションのない音声ツイート機能を試験的に導入した際に、ユーザーから批判を受けたことがきっかけとなった。現在では、音声ツイートと同社のClubhouse(クラブハウス)のライバル機能であるTwitterスペースは、どちらもキャプション機能を備えている

Twitterが動画のキャプションをサポートするのは新しいことだが、同社はすでにTwitterスペースと呼ばれるライブオーディオチャットルームでキャプション技術を使用していた。

Twitterは、キャプションを含むスペースの音声コピーを30日間保存し、同アプリのガイドラインに違反していないかどうかコンテンツを確認するとしている。特定のスペースに違反が見つかった場合、Twitterはそれらの記録をさらに90日間保管し、スピーカーが違反決定に不服を申し立てる機会を提供する。

Twitterとユーザーにとって残念なことに、このプロセスはプラットフォーム上での不正使用の問題に対処するには十分ではない。Twitterスペースのユーザーはこれまで、人種差別的なタイトルのスペースなど、明らかに問題のあるコンテンツを配信され、Twitterがその報告を受けた後も有害なコンテンツはフィードに残っていた。TwitterのコミュニティマネージャーであるSimon Balmain(サイモン・バルマン)氏は最近、この問題に取り組んでいるとツイートしたが、同社のシステムが既存の報告機能や、スペースの音声やキャプションの保管を超えて拡張されるかどうか、あるいはどのように拡張されるかについて、Twitterはまだ詳細を明らかにしていない。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

原文へ

(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

「聴こえるだけ」で生活は豊かになる、骨伝導で難聴をサポートするFILLTUNEのワイヤレスデバイス

目が悪くなるように、加齢などが原因で耳も悪くなる。メガネやコンレクトレンズの利用者ならわかると思うが、ケガなどでなければ悪化は徐々に進み、気がつけば見えていたものが見えなくなっている。耳も同じだ。それまで聞こえていたものが、徐々に聞こえなくなる。

人は「蝸牛」という聴覚器官を経由して音声を感じる。その蝸牛内には音を感知するセンサーの役割を果たす外有毛細胞と音声情報を中枢神経に伝えるラセン神経節細胞が存在するが、感音性難聴の多くは、この外有毛細胞が死滅してしまっているため、言葉の明瞭度が悪くなる。

老人が大きなボリュームでテレビを見ていたりするのは、残された外有毛細胞でなんとか音を感じようとするためだ。耳が悪くなった人が使うものとして補聴器があるが、この補聴器は機能としては拡声器と同じで、同じく音のボリュームを大きくしてなんとか感じようとするものだ。

しかし、この従来の方法も絶対的なものではない。そもそも外有毛細胞が死滅しているため補聴器を使っても子音が聞こえづらいこともある。「しゃ、ちゃ」といった音もわかりづらい。正確に音が聞こえないため、聞き間違いも起こってしまう。そのため電話はもちろん、目の前での会話もおっくうになり人間関係にも消極的になってしまいがちだ。

FILLTUNEの「FILLTUNE CLEAR」は、補聴器では聴くことができない音声を明瞭に聴くことができる骨伝導を利用する聴覚サポートデバイスだ。感音性難聴への効果が実証されている。

小さな拡声器ともいえる補聴器と違い、骨伝導を利用して死滅した外有毛細胞を迂回して、ダイレクトにラセン神経節細胞へ正確な音声情報を伝える。それにより、会話や電話でも、相手の声をきちんと聴くことができる。さらに、さまざまな楽器やボーカルで構成される音楽も健康だった昔のように聴くことができるようになる。耳が悪くなると、音楽も違って聞えるため、思い出と違う印象を抱くこともあるが、FILLTUNE CLEARを使えば、昔、聴いたものとほぼ同じ聴こえ方で曲を楽しむことができる。

FILLTUNE CLEARはワイヤレスヘッドフォンタイプの聴覚サポートデバイスで、装着して周囲の音をそのまま聞くことはもちろん、BluetoothでスマートフォンやPC、テレビなどと接続すればイヤフォンのように騒がしい環境でもよりクリアに音声を楽しむことができる。

FILLTUNEの技術は、厚生労働省の平成25年度障害者自立支援機器等開発事業に採択されており、臨床試験において、高度難聴を中心とした被験者の6割に確かな聴こえが実証されている。

最近はイヤフォン、ヘッドフォンの利用者が増えており、50、60代をはじめ難聴の人が増えるかもしれないといわれている。そんな中、FILLTUNEの技術は、より情報量の多い聴こえで、質の高い生活の実現するためのものとして注目が集まっている。

FILLTUNEの技術はこれからのものであり、病院や介護施設などでBtoBを中心に展開されるというが、現在、その技術を搭載したフルワイヤレス聴覚サポートデバイス「FILLTUNE CLEAR」、クラウドファンディングGREEN FUNDINGで手に入れることができる。

また、2021年12月15日までだが、東京都世田谷区にある二子玉川 蔦屋家電1Fの「蔦屋家電+」で視聴することもできる。静かな店内ではあるが、外のバス乗り場で流れるアナウンスの声などまで聞える。「視界」ならぬ「聴界が晴れる」ように、そこにあったが認識できなかった音を感じとることができる。


クラウドファンディングも展示も終了まで、あまり時間がないがぜひ一度、その実力を試していただきたい。12月12日(日)には熊本県熊本市の蔦屋書店 熊本三年坂で、13日(月)には広島県広島市のエディオン蔦屋家電で体験会も行われる。

二子玉川 蔦屋家電での展示

場所:蔦屋家電+
日時:11月12日(金)~12月15日(水)10:00~20:00
住所:東京都世田谷区玉川1丁目14番1号
二子玉川ライズS.C.テラスマーケット二子玉川 蔦屋家電1F

FILLTUNE CLEAR体験会(熊本)

場所:蔦屋書店 熊本三年坂
日時:12月12日(日)12:00~18:00
住所:熊本県熊本市中央区安政町1-2

FILLTUNE CLEAR体験会(広島)

場所:エディオン蔦屋家電
日時:12月13日(月)12:00~18:00
住所:広島県広島市南区松原町3番1-1号 EKICITY HIROSHIMA 2Fラウンジスペース

オーディオを「パーソナライズ」するMimi、Skullcandyなどの本技術搭載ヘッドフォンを徹底検証

音声処理のスタートアップ企業Mimi(ミミ)は、個人に合わせてパーソナライズされた聴覚プロファイルを作ることができると公言している。つまり、音量を大きくすることなく音を聞こえやすくしてくれるというわけだ。難聴予防にもなる他、これによりすでに難聴になってしまった人でも聴力に新たなダメージを与えることなく、コンテンツを聞こえやすくしてくれるのだという。

科学プロジェクトとしての理論は非常にすばらしいのだが、企業としては明らかな問題点がある。その技術が私たちの普段使用する製品に搭載されなければ、単なる学術的なものとして終わってしまう。その技術が製品として普及しないことには人々を助けることはできないのである。Mimiはこの課題に飛躍的な前進をもたらすべく、複数のパートナーシップを発表した。Mimiの技術が有名オーディオ製品に搭載されれば、同社にとってもそして私たちの聴覚の健康にとっても大きな意味を持つことになるだろう。

2014年、TechCrunch Battlefieldのステージに登場したMimiのCEO兼創業者のフィリップ・スクリバノウィッツ氏

2014年にニューヨークで開催されたTechCrunch Distruptのステージに登場したMimi。7年前の当時、同社の製品が優れたアイデアだということは明確だったのだが、同社は以来長い道のりを歩んできた。そんな同社も最近では数々の成功を収める事業会社となっており、新たに発表されたSkullcandy(スカルキャンディー)、Cleer(クリア)、Beyerdynamic(ベイヤーダイナミック)とのパートナーシップにより、この技術がついに私たちの耳に届くことになる。

SkullcandyのCEOであるJason Hodell(ジェイソン・ホーデル)氏は次のように話している。「弊社のファンにとって有意義な技術を使った、手に取りやすい製品を作ることが私たちの使命です。ミミとともに、個人に合わせて調節できる健康的なリスニング習慣をサポートすることで、ファンのみなさまの楽しみと健康に、生涯にわたるポジティブな影響をもたらしたいと考えています。Mimiとのパートナーシップにより、弊社のコアミッションが最適な形で体現されました」。

Cleer Audioの社長であるPatrick Huang(パトリック・ファン)氏は「Cleer+アプリで販売している最新のイヤフォンとヘッドフォンにMimi Sound Personalizationを導入できることを大変うれしく思います。聴覚の最適化とウェルネス機能を製品に搭載することで、当社の製品とお客様に、確実に付加価値がもたらされるでしょう」とコメントしている。

その仕組みは?

Mimiの共同創設者で研究開発責任者のNick Clark(ニック・クラーク)氏による説明は次の通りだ。「聴覚システムには周波数の解像度があります。スクリーン上のピクセルのようなものだと考えてください。耳が良ければピクセル数は多いのですが、それでも2つの異なる情報が1つのピクセルに入ってしまうと、優勢な情報が支配的になってしまいます。健康な耳の解像度は限られているので、大量の情報を捨ててファイルサイズを大幅に削減するというのが、mp3の基本です。Mimiのユニークな点は個別のプロファイルにあります。例えば、聴力がやや劣っている人のピクセルは、大きくて数が少ないと例えられますが、ピクセル数はその人の実際の聴力に関係するのでMimiにはどうすることもできません。しかし、何が私たちにできるかというと、音を少しでもそれに合うように処理するのです。何かを選択的に増幅したり、何かを選択的に減少させたりすると、最多の情報を伝達することができます。これによって、人々に豊かな体験をもたらすことができるのです」。

記事に掲載する画像としてはいかにも地味だが、Mimiがとらえた筆者の聴覚データをこのようにして見るのはとても興味深い。アプリから誰でもCSV形式の出力をリクエストできる。どのくらいの音量および周波数のビープ音を聞き取れるのかといったデータが主に取得されているようだ

Mimiの技術を試すために、今回筆者が試用させてもらったのは、Skullcandyによる99ドル(約11000円)のGrind Fuel True Wireless Earbuds、Cleer Audioによる130ドル(約15000円)のAlly Plus II Wireless Earbuds、Beyerdynamicによる300ドル(約3万4000円)のLagoon ANCヘッドフォンの3つのデバイスだ。設定手順は3つのデバイスともほぼ同様で、それぞれのメーカーのアプリをダウンロードして、聴覚プロファイルを作成するプロセスを行うだけだ。

プロファイルの作成は非常に簡単で、生まれた年を伝えればすぐにテストを開始することができる。聴力検査自体は非常に奇妙で、電子コオロギの群れを箱に閉じ込めてその上からビープ音を鳴らしたような音が聞こえてくる。ビープ音は徐々に大きくなり、音が聞こえている間はボタンを押し続ける。やがてビープ音は再びフェードダウンし、ビープ音が聞こえなくなったらボタンを離すというものである。ビープ音はさまざまな周波数で発生する。入力された情報をもとに個人のプロファイルを作成し、プロファイルを作成し終えたらMimiのアカウントを作成して保存するという流れである。つまり、Mimiの技術に対応しているデバイスであれば、どのデバイスでも自分のプロファイルを使うことができるのだ。そのためありがたいことに「コオロギの箱」を繰り返し聞く必要はない。

Cleerアプリでのパーソナライズ結果(左)とSkullcandyアプリでのパーソナライズ結果(中、右)はかなり異なっていた。Skullcandyからの2つの結果はほぼ同じだったため、少なくとも測定値には一貫性があるということだろう

同製品の聴覚テストの構成要素は大成功を収め、広く使用されている。同社の聴力検査アプリはApp StoreでNo.1を獲得しており、毎月約5万人がこのアプリを使って聴力検査を行っているという。このアプリのレビューを見ると、プロによる聴覚テストと一致していると多くのユーザーが感じているようだ。

「当社の聴力検査アプリと同じ技術がSDK(ソフトウェア開発キット)として提供されており、当社のパートナーはコンパニオンアプリに組み込むことが可能です」とMimiのCEOであるPhilipp Skribanowitz(フィリップ・スクリバノウィッツ)氏は説明している。

聴覚テストの結果をパーソナライズされたプロファイルに適用し、これをユーザーの耳にできるだけ近いところでシグナルプロセッサーとして実行することにより、Mimiのマジックは開花する。

「弊社のソフトウェアは、デジタルオーディオが通過できる場所であればどこでも適用できます。聴覚IDを作成したら、耳に届く前にオーディオストリームを調整するため処理アルゴリズムに転送する必要があります。弊社には複数のコンポーネントと処理アルゴリズムがあり、ヘッドフォンの場合はBluetoothチップ上で、テレビの場合はオーディオチップ上で動作します。公共放送のテストやストリーミングアプリケーションのパートナー、科学関連のパートナーやスマートフォン関連のパートナーもいます」とスクリバノウィッツ氏は話す。

試聴体験はどうなのか?

重要なのは、実際の効果である。残念なことに効果を聴き分けるのは難しく、また試したデバイスによって大きな違いが出た。

Mimiのヒアリングテストを3つの製品で行ったところ、結果は大きく異なった。左からSkullcandyの「Grind Fuel」、Beyerdynamicの「Lagoon ANC」、Cleerの「Ally Plus II」(画像クレジット:Haje Kamps)

Cleerのイヤフォンは電源を入れて耳に入れると、音声が再生されていないときでも不思議なヒスノイズが発生していた。音楽の再生中、パーソナライズをオンにしたときとオフにしたときの音の違いはあまり分からなかった。良いニュースとしては、Cleerのイヤフォンを使ってプロファイルとMimiのアカウントを作成し、プロファイルを保存できたことくらいである。これで他のデバイスでもすぐに使用できるということだ。

Cleerの社長と話したところ、ヒスノイズや雑音は極めて異常なものだと断言してくれた。そこで2個目のイヤフォンを送ってもらったのだが、残念ながらこのイヤフォンにも同じ問題が発生した。筆者の運が驚くほど悪かった可能性もあるが、一般発売までにまだ課題が残っていると考えて間違いないだろう。

Skullcandyも不調だった。サウンド・パーソナライゼーションを設定した後、Skullcandyのアプリが毎回クラッシュして結果を保存することができなかったため、パーソナライゼーションの効果を聞くことができなかった。またなぜかSkullcandyではMimiにログインして、保存されたMimiプロファイルを使用するオプションが存在せず、新規に作成しなければならない。アプリが筆者のプロファイルを保存できなかった上、他のデバイスで作成したMimiプロファイルも使用できなかったため、結局Skullcandyのイヤフォンでパーソナライズされたオーディオを聞くことができなかった。このアプリの問題について、Skullcandyのチーフプロダクトオフィサーに話を聞いてみた。

SkullcandyのチーフプロダクトオフィサーであるJeff Hutchings(ジェフ・ハッチングス)氏の回答は次のとおりである。「Skullcandyでは、製品の品質を非常に重視しています。弊社のモバイルアプリは、当時入手可能だったあらゆるモバイルデバイスとOSの組み合わせを用いて厳密にテストされました。その結果、Android 12を搭載した新しいPixel 6/6 Proで問題が発生していることがわかりました。Skullcandyはこの問題を可能な限り早く解決するために、アップデートリリースに積極的に取り組んでおります」。

Beyerdynamicのヘッドフォン「Lagoon ANC」(画像クレジット:Haje Kamps)

Beyerdynamicのヘッドフォン、Lagoon ANCは別の話である。もちろん同ヘッドフォンはオーバーイヤー型で、価格も他2種よりかなり高価格のため当然とも言えなくないが、Beyerdynamicのヘッドフォンではパーソナライゼーションによる顕著な違いが聴き分けられた。特にアクティブ・ノイズキャンセリングをオンにすると、Mimiのパーソナライズ効果による変化が著しく感じられた。パーソナライゼーションをオフにしたときよりも音がより鮮明で、ディテールがより明確に聞こえ、なんというか…ステレオ感が増したような音と言えば良いのだろうか。説明するのは非常に難しいのだが、今後筆者のすべてのヘッドフォンにMimiの機能を付けたいと思うほどの違いである。

ただ、それが故にCleerやSkullcandyのイヤフォンには、なぜそこまで顕著な違いがないのかが気になるところである。Beyerdynamicのヘッドフォンで作ったプロファイルを、他のヘッドフォンで使ってみたら良いのではないかと思ったのだが、SkullcandyのアプリではMimiのアカウントにログインできないようなのでそれは叶わず、またCleerのアプリでは一度作成したら他のプロファイルを読み込むことはできなかった。結局、携帯電話からCleerアプリを削除し、再インストールしてからMimiのアカウントにログインし直す羽目になった。今回の筆者のような使い方をするユーザーが多くないことは承知しているが、Mimiの創業者が期待しているユースケースの1つであるにもかかわらず、Mimiのサーバーにすでにあるプロファイルをコピーできないというのはかなり残念である。

プロファイルのコピー騒動はさておき、Beyerdynamicのプロファイルを使用すると、Cleerのイヤフォンでも違いをわずかに感じることができた。ステレオチャンネルの分離が良くなったように聞こえるが、上述の「ステレオ感が増した」感覚ではなく、全体的に劇的な違いがあるとは言い難い。Beyerdynamicのヘッドフォンで感じた「すげぇ」という感動はなく、またこの分野での最も明白なライバルであるNuraphone(ヌラフォン)体験には遠く及ばない。

これらのヘッドフォンとNuraphoneのヘッドフォンを比較しないわけにはいかないだろう。Nuraphoneは399ドル(約45500円)と高価だが、聴力を測定する方法に明確な違いがある。聞こえる音と聞こえない音をユーザーに判断させるのではなく、ヘッドフォンが直接ユーザーの耳を測定するのである。このアプローチの欠点は、非常に特殊なヘッドフォンでしか機能しないことと、プロファイルがNura以外のヘッドフォンには移植できないことである。それでも効果は非常に素晴らしく、買ってから5年経った今でもNuraのNuraphoneヘッドフォンは筆者にとって音楽への没入感を高めるための必須アイテムとなっている。

全体として、こういったパートナーシップを築き、Mimiのテクノロジーを人々の手に届けるというのはMimiチームにとって非常にエキサイティングなことである。

結局のところ、パーソナライゼーション技術の評価というのは、ここでは筆者の個人的な体験に基づいてしかレビューを書くことができないため難しい。もしかしたら筆者の聴覚が人より優れていたり劣っていたりして、Mimiの技術が筆者にはあまり効果がない可能性もある。他の人はまったく違う感想を持つかもしれない。筆者にとってはハイエンドのヘッドフォンが非常に効果的なため、次に購入するハイエンドのヘッドフォンには、必ずMimiのテクノロジーが搭載できるものを選びたいと思う。イヤフォンについては、1つはまったく機能せず、もう1つも今1つだったこともあり、サンプル数としてはあまりにも少ない。筆者はあまり価値を見出せないが、Mimiテクノロジーによってヘッドフォンの価格が上がったり、オーディオ品質を低下させたりしないのであれば、あって損することはないだろう。

画像クレジット:Haje Kamps

原文へ

(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Dragonfly)

Clubhouseにようやく字幕機能、日本語など13言語に対応しまずはiOS版

Clubhouse(クラブハウス)は米国時間11月17日、iOS向けに字幕機能の提供を開始したことを発表した。この不可欠なアクセシビリティ機能は、Clubhouseアプリでは長い間見落とされてきた。Twitter Spacesのような競合製品ではすでに当たり前になっていたこのライブキャプションがないことで、Clubhouseは聴覚障がい者にとって使い勝手の悪いものになっていた。そしていま、Clubhouseはより多くの人にリーチできる。

「現在、キャプションは13言語に対応しており、今後も追加される予定です。その13言語とは英語、広東語、北京語、粤語(中国語の方言の1つ)、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語、韓国語、スペイン語、アラビア語、ロシア語、トルコ語です」とClubhouseの担当者はTechCrunchに語った。

あるユーザーが、とある部屋ではスペイン語のライブキャプションが機能していたが、別の部屋ではスペイン語のスピーチがでたらめな英語に書き換えられていたとツイッターで報告した。Clubhouseのエンジニアは、これは言語検出がうまくいかなかったためではないかとリプライした。つまり、このアプリはベータ版で、英語以外の言語を区別する方法をまだ学んでいる段階のようだ。

Clubhouseは最近、友人との会話を簡単に始めることができるWaveや、非同期リスニングのためのリプレイ、ルームの録音など、多くの機能を展開してきた。ルームの録音は、クリエイターがライブで録音した音声を広く配信できるポッドキャストにできるようにするCallinSpace Podのようなスタートアップに対抗するための機能だ。しかし、ライブキャプション機能は、Clubhouseが人気を博した当初から欠落していた。ClubhouseはクローズドキャプションがAndroid版に搭載される時期を示していないが、そう遠くないことを願う。

画像クレジット:Thomas Trutschel / Contributor

原文へ

(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

TikTokが耳が悪い人のための自動キャプション機能導入、まずは英語と日本語で

TikTok(ティクトック)は米国時間4月6日、難聴あるいは耳が聞こえない人がアプリを利用しやすいようにする新たな機能の導入を発表した。自動キャプションだ。この新機能を立ち上げると、動画の話し言葉を自動で文字起こしを行い、視聴者は動画の音声を聴く代わりに読むことができる。さしあたって自動キャプションはアメリカ英語と日本語で提供され、今後数カ月以内に他の言語にも対応すると同社はいう。

自動キャプションを使うには、クリエイターは動画をアップロードあるいは撮影した後に編集ページでオプションを選択する。すると、動画が公開される前に間違いを修正するために生成されるテキストを編集することができる。

画像クレジット:TikTok

自動キャプションは主にアクセシビリティのためにデザインされているが、TikTokの動画を音声なしに視聴したい人の役にも立つ。たとえば邪魔をしたくない人が近くにいるが、ヘッドフォンがない場合などだ。また、動画内で話されている言語がよくわからない場合にも活用でき、話されている言葉が読めるようになることで内容を理解しやすくなる。

TikTokコミュニティの多くがすでに動画にテキストを加えたり、サードパーティーのサブタイトルツールを使ったりしてキャプショニングを行っている。スクリーンのテキストをSiriのような声で読み上げるテキスト音声化もクリエイターの間で人気のテクニックだ。

しかし自動キャプションツールは既存のオプションとは動作が異なる。というのも、視聴者がオンにしたりオフにしたりできるからだ。つまり、もしあなたが望まなければ動画のキャプションを見なくてもよいことを意味する。キャプションなしにするには、シェアパネルを開き、キャプションボタンをタップしてオフにする。

画像クレジット:TikTok

自動キャプションの立ち上げでTikTokは、クリエイターが簡単にそして自動的にキャプションを動画に加えられるツールをすでに提供しているYouTubeFacebookそしてInstagramといった他のソーシャルアプリの仲間入りする。

幅広いオーディエンスにアクセスできる動画制作を推進するための新しいツールがクリエイターコミュニティの間でクチコミで広がるように取り組むとTikTokは話す。

自動キャプションは、TikTokが立ち上げたいくつかのアクセシビリティ機能の1つだ。その他のものとしては、クリエイターが光過敏性てんかんを引き起こし得る動画を制作したときのクリエイターへの警告や、ユーザーが光に反応するコンテンツをスキップできるようにするフォトセンシティビティ機能がある。TikTokはまたテキスト音声化機能と、アニメーションサムネイルを静止画に置き換える機能も提供している。

TikTokは、耳が聞こえない人、そして耳が聞こえない人のコミュニティで行われている会話に対する意識を高めるためにThe Deaf Collective(聴覚障害者団体)と協力してきた。そして現在、改善すべき他のエリアがないか、アクセシビリティ評価を実施していると話している。

関連記事:TikTokにてんかん発作につながる動画を避ける新機能追加

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TikTokアクセシビリティ文字起こし聴覚

画像クレジット:Lionel Bonaventure / Getty Images

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Appleが「耳」の健康に関する研究結果を公開

去る2019年、Apple(アップル)はResearch(リサーチ)を公開した。そのアプリはAppleがユーザーの健康に一層真剣に取り組むことを目指したもので、(当然ながら)iPhoneとApple Watchから集めたデータに基づいている。アプリは4部門の研究対象とともにスタートした。心臓の健康、女性の健康、運動および聴覚だ。

米国時間3月2日、同社は ミシガン大学公衆衛生学部と協力して、聴覚の研究結果を発表した。この日はWorld Hearing Day(国際耳の日)の前日にあたる。聴力の喪失は同社が力をいれている問題であり、ヘッドフォン分野への関わりが益々大きくなっていることが主な理由だ。

ヘッドフォンは、その普及とともに長期的聴覚障害の主要原因になっている。Appleは、同社のモバイルOSに騒音レベルの測定機能を組み込み、周囲の騒音が大きいときに警告できるようにした。この情報はヘルスアプリにも組み込まれ、ヘッドフォンと環境音両方の音量を表示する。後者も程度こそ低いが聴覚障害の要因の1つだ。

Appleの米国内「数千人」を対象とした研究によると、回答者の1/4がWHO(世界保健機構)の推奨する1日当たりの環境騒音暴露制限を超えていた。また50%が騒がしい環境で働いているあるいは働いていたと答えた。多くの人々がパンデミック下で在宅勤務に移行したにもかかわらず、その数値は大きい。

「パンデミックで多くの人々が在宅する中でも、被験者の25%が高い環境騒音への暴露を経験しています」とミシガン大学のRick Neitzel(リック・ナイツェル)准教授がこのニュースを伝えるリリース文で語った。「この研究結果は害を与える恐れのある暴露に対する我々の理解を深め、積極的に聴覚を保護する方法を見つけるのに役立つでしょう」。

なお、調査対象者の10%が1週間当たりの推奨ヘッドフォン利用時間を超過しており、1/4が週に数回以上耳鳴りを経験していた。

関連記事:iPhoneとApple Watchで健康調査に参加するための「Apple Research」アプリが米国で公開

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Apple聴覚ヘッドフォン

画像クレジット:Apple

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook