自動投票機とブラックボックス化された投票箱

現在世界が直面している脅威の1つに、米国の自動投票機の大がかりなセキュリティー侵害がある。有権者の投票機械が奪われ、投票結果が捨てられ、得票数が加工されるなど、選挙全体がハッキングされている。

今週ラスベガスで行われたDef Conにこの国の議員と官僚が集まり、Voting Villageのハッカーたちが全力を尽くして選挙システムの脆弱性を証明するところを見に来たのはそのためだ。

投票の信頼性を高める方法はいくつかある。1つは幸いすでに実行されているが、システムを分散化して州や郡が独自のシステムを維持して標的を細分化することで、一つの失敗が致命傷にならないようにすることだ。もう1つは、セキュリティー専門家のBruce Schneier(ブルース・シュナイアー)氏が指摘するように、電子式投票機をすべて廃止しして、昔ながらの投票用紙に戻すことだ。

ただし、紙の投票用紙も機械で数えてその機械が侵害されれば意味はない。特に、その機械がいわゆるブラックボックス化されていて、入力と出力のみが視覚化され、内部の動作がわからない場合が心配だ。

このブラックボックス問題を解決する方法は、手で数えること、あるいは選挙のあとに独立した監査プロセスを実施することだ。後者の方法は、少数の投票用紙をサンプルとして取り出して数え、その結果が全体の結果と統計的に一致しているかどうかを調べる。一致しなければサンプル数を増やし必要なら全数を検査する。

現在想定されている選挙の脅威は人々が想像するよりも広範囲にわたる。例えば、研究者らは投票用紙のスキャン画像を改ざんして結果を操作することができることを示した。これは紙の投票用紙が重要である多くの理由の1つだ。ただし希望もある。Politicoの調査によると、多くの州が紙の投票に移行した、あるいは移行しようとしている(そしてそれ以外のほとんどの州は、いずれにせよ民主主義に反対する党に投票する)。

しかし、監視状況はもっと複雑だ。国政選挙に何らかの監査を義務付けている州はわずか25州であり、そのうち実効性のあるものはごく一部にすぎない。Verified Votingが調べた各州の選挙後監査州の監査法を見てほしい。

私は自動投票機の安全性や選挙ハッカーの重大さを軽視するつもりはなく、それは誰もが言うように重要だ。しかし、どのセキュリティー専門家も言う通り、多重な防御のほうが、個々のレイヤーの強度よりも常に重要だ。

安全な投票機械が紙の投票用紙を生成し、それを手で数え、さらに監査を受けることが、必要な多重防御の1つの方法だ。さらに私は、最後の砦である監査の重要性があまり認識されていないことに危機感を抱いている。ほかでもなく、ある共和党大統領の言葉を借りれば「信ぜよ、されど確認せよ」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

脆弱性のある自動投票機を売り続ける選挙機器メーカーを米上院議員が問題視

重要な選挙を前に、4人のベテラン上院議員が「既知の脆弱性」のある機器を売り続ける米国の大手自動投票機メーカー3社に回答を要求した。

米国時間3月27日に送られた書簡は、選挙機器メーカーのES&S、Dominion VotingおよびHart InterCivic に対して、悪用されると選挙結果を蝕む恐れのある脆弱性を持つ数十年前の機械を売り続ける理由の説明を求めている。

「国民の選挙の信憑性はわれわれが投票に使用する機械に直接結びついている」と、上院議員らが発信した書簡は言う。エイミー・クロブチャー(民・ミネソタ)、マーク・ワーナー(民・バージニア)、ジャック・リード(民・ロードアイランド)、ゲーリー・ピーターズ(民・ミシガン)の4人は、それぞれ、立法、諜報、軍事、国土安全保障の各委員会の重鎮だ。「これほど重大な責任を負っていながら、選挙機器業界には有意義な革新がなく、我々の民主主義はそのつけを払っている」と書簡は付け加えた。

主な問題は、この3社だけで米国選挙機器市場シェアの90%以上を占めているが、これらの自動投票機には紙の投票用紙がないため、バグがあったとき投票が正確に数えられたのかどうか調べるのが困難なことだ。

にもかかわらず、何千万台ものその同じ機械が、来る2020年の大統領選挙に使用される見込みだ。

ES&SとDiminionの広報担当者は受け取った書簡に関して回答する予定。Hart InterCivicはコメントの要求に返信がない。

大統領選挙に出馬するクロブチャーを含め4人の上院議員は、選挙は今も「深刻な脅威に曝されている」と言った。

セキュリティー専門家は何年も前から自動投票機の危険に対して警鐘を鳴らしてきた。最大の問題は、これらの機器が容易にハックされ選挙結果に干渉される可能性があることだ。つい数カ月前、テキサスの一部の郡で行われた期日前投票で、投票者がHart製の機器に問題を発見し、一部のケースで投票画面から選択肢が完全に消えていた。ES&Sは、セキュリティー研究者にシステムを提供しないと発表したことで議会で怒りを買った。その発表は選挙システムのハッキングコンテストであるDEF CON Voting Villageで同社の自動投票機がハックされ壊滅的評価を受けてから間もない出来事だった。

民主党幹部らは、紙の投票用紙は信頼できる投票システムにとって「基本的必需品」であると言っているが、企業は今も紙を出力しない機器を作り続けている。昨年民主党議員は、将来の選挙で紙の記録を必須にする 法案を提出したが、通過しなかった。

各社は4月9日までに上院議員の書簡に回答しなくてはならない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook