トヨタの投資ファンドWoven Capitalが自動配送ロボティクスNuroに出資

イノベーションにフォーカスしたトヨタ自動車の子会社Woven Planet(ウーブン・プラネット)の投資部門Woven Capital(ウーブン・キャピタル)は、シリコンバレー拠点の自動運転デリバリー車両のNuro(ニューロ)への投資を発表した。新たに設立された8億ドル(約878億円)の戦略的ファンドの第1号案件だ。Woven Capitalの投資と買収の責任者George Kellerman(ジョージ・ケラーマン)氏によると、同ファンドは安全なモビリティの未来を構築するというミッションの推進に向けていつの日かパートナーになったり買収対象となったりするかもしれないグロースステージのテック企業に投資する。

Woven Capitalの出資は2020年11月に発表されたNuroの5億ドル(約549億円)のシリーズCラウンドの一環だ。同ラウンドにはChipotle、そしてT. Rowe Price Associates, Incが運営するファンド、新規投資家としてFidelity Management & Research CompanyとBaillie Giffordも参加した。各ステークホルダーの具体的な投資額は明らかにされなかった。

トヨタは2020年9月に、自動運転モビリティや機械学習、人工知能、オートメーション、コネクティビティ、データ・分析などのテクノロジー分野に投資することを目的とする8億ドルの投資プールを発表した。

「Nuroは良い出発点でした。というのも、当社が行っている業務の多くは自動運転の乗用車の開発にフォーカスしているからです。ですので、これは当社にとってローカルの商品配達にピンポイントでフォーカスしているパートナーを通じて学習して発展させる方法です」とケラーマン氏はTechCrunchに語った。「Nuroから学ぶ多くの機会があり、潜在的には今後コラボしたりNuroがグローバル展開するのをサポートしたりする機会もあるかもしれません」。

Nuroの貨物専用自動運転の車両は、すでにカリフォルニアの車両管理局から公道でのテスト実施の許可を得てKrogers、Domino’s、Walmart、 CVSといったパートナー企業の商品を配達しており、この分野でリーダーとなるチャンスをNuroは手にしている。Woven CapitalはNuroのリーダー的な立場の加速・強化をサポートする機会を見出し、一方でNuroとの間で戦略的知識共有の取り決めを結んだ。

「(Woven Capitalは)未来に向けて野心的な目標を掲げるすばらしいチームを招集しました。そして我々は人々の暮らしをより良いものにするために暮らし方や移動の仕方を変革するという共通目的を共有しています」とNuroの共同創業者で会長のDave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏は声明で述べた。「当社は引き続きチームを拡大し、すばらしい自動走行配達プロダクトを構築するのに、新たな資金と世界最大の自動車会社からのサポートを使います」。

トヨタ・ウーブンシティのコンセプトレンダー(画像クレジット:Toyota)

オートメーションはWoven Capitalのポートフォリオの大きな部分を占めることになる。これはWoven Cityなど親会社Woven Planetの活動をサポートするためだ。Woven Cityは相互接続するスマートシティプロトタイプでセットされる新しいテクノロジーの試験場で、トヨタは2021年2月に富士山の麓、静岡県裾野市東富士で着工した。

「Woven Cityについて考えるとき、自動走行モビリティとオートメーションをより広範にとらえます」とケラーマン氏は話した。「それを促進するため、人工知能や機械学習、データ・分析、コネクティビティが必要になります。ですので我々はそうした分野に投資するポートフォリオを形成するつもりです」。

モビリティ産業では、モビリティを単に人々や商品の動きとしてではなく、情報やデータの動きとしてとらえる傾向が強まっている。Woven Planetはこれを認識し、特に自動車についてはソフトウェアファーストのアプローチを取っている。従来の自動車産業のデザインとハードウェアファーストのアプローチに取って変わっていて、車両を動かすのにソフトウェアに組み込み、まずソフトウェアで開始してソフトウェア中心にハードウェアを構築することを意味する。

ソフトウェアファーストのアーキテクチャを構築することは、将来のイノベーションに多くのフレキシビリティをもたらす。ハードウェアが変わってもコードを書き直す必要はなく、別の応用を加えるだけでいい。Woven Planetが開発しているすべてのソフトウェアは可能な限り多くの応用で使えるはずだとケラーマン氏は述べた。

真に強固で統合されたソフトウェアを持っていることは、コネクテッドモビリティにとって論理的な次のステップでもあり、車両の輸送のポテンシャルを再考する道を開く。Nuro車両は配達しているあらゆるグローサリーのための車両というだけでなく、交通の流れや気候パターンなど走行中に収集してクラウドに送るすべての情報のための車両でもある。それゆえにその価値は、AからBへのユーティリティというより情報のインターチェンジとなる。

Woven Cityですぐさま活用できるかもしれないNuro車両によって集められた情報の一部は通りの安全に関するものだ。Nuro車両は人を運ばないのでデザインは車両の外にいる人の安全性、人中心の都市計画において有用となるかもしれない集計データにフォーカスしている。

結局、Woven Capitalの長期的な視点は常に将来のM&Aに向けた潜在的なプロセスだとケラーマン氏は話した。

「トヨタは歴史的に買収欲の強い会社ではありませんが、Woven Planetの中でいかに戦略的買収を通じて当社のビジョンとミッションを加速させることができるかをにらみながら経営企画チームを作っています」と述べた。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Woven PlanetNuro投資トヨタ自動車自動運転

画像クレジット:Toyota

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

中国の自動運転トラックスタートアップTuSimpleがIPO申請

TuSimple(ツー・シンプル)は多様な戦略的投資家集団が支援する自動運転トラックの会社で、Volkswagen AGの大型トラック部門であるThe Traton Group、Navistar,Goodyear、および運送会社のU.S. Xpressが出資している。米国時間3月23日、同社は上場申請書を提出した。

TuSimpleは、最近特に電気自動車や自動運転車のスタートアップでトレンドとなっている特別買収目的会社(SPAC)との合併ではなく、伝統的方法で上場しようとしている。

提出された書類によると、発行する株数と売出し価格の範囲はまだ決まっていない。TuSimpleは普通株をNASDAQ Global Select Marketにティッカーシンボル「TSP」で登録するつもりだ。Morgan Stanley、Citigroup、およびJ.P. Morganが引受会社になる。

3月23日に提出された同社のS-1書類によると、TuSimpleは償還可能型転換優先株の販売および株主からの借入を事業の主な費用に充ててきた。同社の主たる資金源は3億1080万ドル(約337億5000万円)の現金および現金相当物で、150万ドル(約1億6000万円)の制限つき預金は含まれない。現金および現金相当物は、主に銀行口座にある預金および預金証明書からなる。

S-1書類によると、TuSimpleの2020年営業損失は1億7790万ドル(約193億3000万円)で、前年の8480万ドル(約92億2000万円)から2倍以上なった。2018年の営業損失は4500万ドル(約48億9000万円)だったという。同社の2020年12月31日時点の累積赤字は4億520万ドル(約440億3000万円)だった。

普通株保有者に起因する2020年の純損失は1億9880万ドル(約216億1000万円)で、前年の1億4500万ドル(約157億6000万円)より増えた。

売上は2020年に180万ドル(約2億円)へと増加した。前年は71万ドル(約8000万円)だった。

2015年に設立されたTuSimpleは、今やAurora、Embark、Kodiak、Waymoが名を連ねる小さくても活気のある業界における自動運転トラックスタートアップのはしりだった。TuSimpleの創業チームおよび初期の出資者であるSinaとComposite Capitalは中国出身だが、多くの事業は米国内で運営されており、グローバル本社はサンディエゴにある。TuSimpleはエンジニアリングセンターとトラック基地をアリゾナ州ツーソンに置き、無人運転を支援する施設を最近テキサスに作った。なお無人運転車者は非常時用ドライバーが常時同乗している。TuSimpleは北京と上海でも操業している。

事業拠点とパートナーが米国主体であるにも関わらず、同社株式の大部分は中国投資家が保有している、とS-1目論見書に書かれている。クラスA株式の主要株主はSun Dream Inc.(20%)、Composite Capital Master Fund(7.28%)、およびNavistar(6%)など。現在NavistarはVolkswagen GroupのTheTraton Groupが所有している。TuSimpleの共同ファウンダーであるMo Chen(モウ・チェン)氏とXiaodi Hou(シャオディ・ホウ)氏は、クラスA株式をそれぞれ9.1%と8.5%持っている。2人はクラスB株式を50%ずつ保有している。

Sun Dreamを最終的に支配しているCharles Chao(チャールズ・チャオ)氏は取締役の1人だが、おそらく最もよく知られているのはSinaの会長としてだろう。SinaはWeiboの親会社だ。

カテゴリー:モビリティ
タグ:TuSimple新規上場自動運転トラック

画像クレジット:TuSimple

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フォードがロボティクス研究でミシガン大学に研究者やエンジニアら100人を配置

Ford Motor Company(フォード・モーター)はミシガン大学アナーバーキャンパスのロボティクスとモビリティのための7500万ドル(約81億7400万円)の新施設に研究者とエンジニア100人を配置する。

Fordと同大学のコラボはこれが初めてではない。Fordはミシガン大学にとって最大の法人献金者であり、両者は以前もUM Ford Center for Autonomous Vehicles(ミシガン大学自動運転車Fordセンター)の開所でタッグを組んだ。しかし、Fordが大学のキャンパスにチームを配置するのは今回が初めてだ。

FordはTechCrunchに対し、配置はインキュベーターではなく「グローバル研究と高度エンジニアリングネットワークの拡張」だと明確に述べている。

この人員配置によりFordは、広さ13万4000平方フィート(約1万2500平方メートル)の4階建てビルの最上階から、ロボティクス研究と学生へアクセスできるようになる。その逆も然りだ。Fordはまた、自動運転車をテストするための4つのハイベイガレージと歩行ロボットラボを含む、他のビルにある研究ラボへもアクセスできるようになる。

周辺では同社は実世界の環境で車両をテストするためにメインストリートを模したMcityテスト施設で車両を走行させることもできる。同社は2015年にMcityで自動運転車をテストした初の自動車メーカーだった。

Fordの研究エリアは自動運転テクノロジーに限定されない。

「ロボティクス全域は車両を超えたアプリケーションを持ち、当社はそれをはっきりと認識しています」とFordのCTOであるKen Washington(ケン・ワシントン)氏は米国時間3月16日に述べた。「当社は車両に応用するためにロボティクスの能力を創造するとかなり前に決定しましたが、製造を含め、当社の商用車両でどのようにマーケットに登場するか再考し、幅広い潜在的応用や航空ロボットのような他の可能性のあるソリューションも持つことにしました」。

2020年1月にAgility Roboticsへの最初の注文がFordから入った。人間の仕事を行うためにセンサーを搭載している人型ロボットDigitだ。Fordは新しいビルで、知らない道でも移動できるBoston Dynamicsの有名な四つ足ロボットSpotとともにDigitを実験する。同社はこれらのロボットのモデルの実験をミシガン大学の新しい施設で行う。

関連記事:Agilityが業務用二足歩行ロボットDigitを市場投入、最初の顧客はフォード

一般的なロボティクスとエンジニアリングの研究はMario Santillo(マリオ・サンティージョ)氏が率い、自動運転車部門は同社の自動運転車研究のテクニカルマネジャーTony Lockwood(トニー・ロックウッド)氏が率いる。

声明によると、提携の一環として同社とミシガン大学は「教育を十分に受けられていない学生にさらに多くの機会を提供するために」包括的カリキュラムを作る。新しいロボティクス研究所はこの分野をさらに公正なものにすることを目的としている、と同大学のエンジニアリング部長Alec Gallimore(アレック・ガリモア)氏は述べた。その目的のために、ジョージア州アトランタにある歴史的黒人学校の学生はロボティクス101コースを遠隔から受講できる。この授業は上級コースを提供していなかったハイスクールの学生のために「条件を平等にすべく」微積分を必須としていない。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Ford自動運転ミシガン大学

画像クレジット:David Becker / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

自動運転開発のCruiseが同業Voyageを買収、ロボタクシー商業化へ前進

Udacity(ユーダシティ)のスピンアウトで自動運転車開発のスタートアップVoyage(ヴォヤージュ)がCruise(クルーズ)に買収された。発生期にある産業における統合が続いていることを示す取引だ。

金銭的条件は開示されなかった。Voyageの総勢60人のチームはCruiseに加わり、Voyageの共同創業者でCEOのOliver Cameron(オリーバー・キャメロン)氏はプロダクト担当副社長に就任する。Stellantisと呼ばれるVoyageのFCAとの提携はCruiseによる買収がクローズすれば解消となる。

2017年創業のVoyageは、CruiseやArgo AI(アルゴエーアイ)、Waymo(ウェイモ)、Aurora(オーロラ)といった資金潤沢な企業に比べると零細だった。しかしその規模、そしてわずか5200万ドル(約56億7400万円)の資金調達にもかかわらず、キャメロン氏はVoyageを際立たせた。同社は2つの高齢者居住コミュニティでの事業展開でよく知られている。Voyageはカリフォルニア州サンノゼの4000人が暮らす退職者居住地域と、フロリダの12万5000人が暮らす広さ40平方マイル(約103平方キロメートル)の高齢者居住地域The Villagesでテストを行い、乗車を提供した。

「Voyageのアプローチは、移動のための足を最も必要とする人、つまり高齢者にモビリティを戻すプロダクトを提供するために当社の限られたリソースを活用するというものでした。この目標に向けて当社は大きく前進しました。コミュニティ周辺で数えきれない高齢者(最高齢者は92歳!)に移動手段を提供しました」とキャメロン氏は買収を発表するブログに書いた。「いまCruiseで我々は、ゆくゆくは高齢者だけでなく自動運転サービスの恩恵を受けるあらゆる年齢層の人々にサービスを提供するための十分なリソースを持つことに興奮しています」。

Voyageは2つの高齢者居住地域での事業からすぐさま撤退したりはしない。しかしながらCruiseは、同社が注力しているのはサンフランシスコでの商業事業であることをTecCrunchに繰り返し述べた。Cruiseはタイムラインを示さなかったが、テストや高齢者居住コミュニティでの事業展開はいずれ終了を余儀なくされる。

プロダクト担当副社長というキャメロン氏の役割は、Cruiseがサンフランシスコで商業ロボタクシーサービスを立ち上げる計画に近づいていることの表れだ。Cruiseはハードウェア、ソフトウェア両方のエンジニアを数百人雇ったが、ロボタクシーユーザーの忠実な基盤を構築するのに顧客を獲得する必要がある。キャメロン氏は新たな役割でCruisの自動運転サービスのために顧客との接点をじっくりと考えることになる。

同氏は米国時間3月15日朝のツイートで、CruiseとVoyageの合体を「すばらしい結婚」と表現した。Cruiseが「最も高度な自動運転テクノロジー、ユニークな自動車企業パートナー、初の専用自動運転者を持っている」と指摘した。「Voyageと当社の顧客サービス第一のチームで、我々はともに革新的な自動運転プロダクトを提供します」。

Cruiseは車両開発を進めるための資金を持っている。2021年初め、同社は新規ラウンドで20億ドル(約2180億円)を調達して評価額は300億ドル(約3兆2740億円)となり、投資家ならびにパートナーとしてMicrosoft(マイクロソフト)が加わったと明らかにした。Cruiseがテクノロジー商業展開に近づくなか、GM(ゼネラル・モーターズ)とホンダ、他の機関投資家もさらに資金をCruiseに注入した。

関連記事:GM傘下の自動運転車Cruiseが約2000億円を調達したラウンドにマイクロソフトも参加

カテゴリー:モビリティ
タグ:CruiseVoyage買収自動運転ロボタクシー

画像クレジット:Voyage

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

高速道路用自動運転技術を自動車メーカーに販売するためLuminarとボルボ子会社が提携

高速道路用の自動運転システムを開発し、最終的には自動車メーカーに販売することを目指しているLuminar Technologies(ルミナー・テクノロジーズ)は、Volvo Cars(ボルボ・カーズ)との関係を深めることになった。米国時間3月11日に発表されたこのパートナーシップは、Luminarとボルボの自動運転ソフトウェア開発子会社であるZenseact(ゼンセアクト)の間で結ばれたものだ。

Luminarの創業者でCEOを務めるAustin Russell(オースティン・ラッセル)氏は、両社の技術を組み合わせて、市販車向けの「ホリスティック(全体論的)な自動運転車スタック」を開発すると述べている。ボルボはその最初の顧客となる。ラッセル氏とZenseactのCEOであるÖdgärd Andersson(オッドガード・アンダーソン)氏は11日、このシステムを他の自動車メーカーにも提供する予定だと述べた。

LuminarとZenseactが、高速道路における自動運転をどのように定義しているかは注目に値する。両社が開発しているシステムは、高速道路上でドライバーが手と目を運転から完全に離すことができるというレベルのもの。つまり、人間のドライバーは運転を代わる事態を想定することなく、運転から完全に開放されるということである。このレベルの自動運転と人間のドライバーによる手動運転の切り替えは、これまで自動車メーカーを悩ませてきた厄介な問題だ。

「これは今後2〜3年の間に解決されるでしょう。そしてボルボを皮切りに、実際にお客様が購入できる車両に搭載され、その後も拡大していく見込みです。それが我々の特色です」と、ラッセル氏は今回の発表に関するウェビナーの中で語った。

他の自動車メーカーに供給されるスタックは「Sentinel(センチネル)」と呼ばれ、Zenseactの自動運転ソフトウェアソリューション「OnePilot(ワンパイロット)」と、LuminarのLiDARユニット「Iris(アイリス)」、そして検知ソフトウェアやその他のコンポーネントが、基盤として統合されたものになる。

Zenseactによると、このシステムは高速道路上の自動運転走行に対応できるように設計されており、積極的に衝突を回避する多数の安全機能を装備し、事故率を最大で7分の1に低減することができるという。また、このSentinelの製品には、無線でアップデートできる(Over-the-Air)機能も備わっており、時間の経過とともに自動運転の動作領域を拡大し、自動車の安全性をさらに向上させることができると、両社は述べている。

Zenseactという社名は聞き慣れないかもしれないが、同社の550人のチームは長年にわたってADAS(先進運転支援システム)とソフトウェアに取り組んできた。ボルボはVeoneer(ヴィオニア)との合弁事業を終了した後、Zenseactを設立した。

自動運転産業の多くがロボットタクシーのような用途に焦点を当てているのに対し、LuminarとZenseactは、量産車にシステムを提供することに注力していると、両社は述べている。多くの自動車メーカーやハイテク企業が、LiDARセンサーは自動運転車を安全に展開するために不可欠な技術であると考えている。だが、ロボットタクシーの商業化実現までかかる時間が長くなるにつれて、自動車メーカーは、もっと近い将来に量産車に搭載する技術の開発に舵を切っている。

「自動運転技術の目的は、事故を減らし、命を救うことにあります。今回の提携により、私たちは自動運転技術をより広く普及させ、より大きなインパクトを与えることも可能になります」と、アンダーソン氏は声明で述べている。

今回の発表の約10カ月前に、ボルボはLuminar製のLiDARと検知技術を搭載した車両の生産を2022年に開始し、高速道路用の自動運転システムを展開すると発表した。ボルボは、この自動運転システムについて全責任を負うと述べている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Luminar TechnologiesVolvo Cars自動運転LiDAR

画像クレジット:Luminar

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

スウェーデンの自動運転車両開発EinrideもSPAC上場を検討中か

スウェーデンの自動運転車両開発スタートアップEinride(アインライド)は追加資金を模索することで、Oatly、Lidlとの提携で火がついた勢いを継続させようとしているようだ。

Einrideの計画に詳しい人物によると、同社は新たな資金ラウンドで7500万ドル(約81億円)を調達しようとしており、同時に特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じての上場の可能性も検討しているという。

未上場の企業と合併する上場企業というメカニズムのSPACは、モビリティの電動化に注力しているスタートアップによって米国の資本マーケットで存在感を増している。

Nikolaのような企業の上場の成功例(疑わしい主張にもかかわらず)がSPACブームに火をつけた。Canoo、Fisker Inc、ChargePoint、Lordstown Motorsなどは、2020年SPAC経由で上場した米国拠点のEV企業の一例だ。

関連記事:Nikola、Republic Servicesとのゴミ収集車の契約解除後に株価急落

新しく作られたSPAC企業と異なり、Einrideはいくつかの基礎を持っている。同社はすでにスウェーデンのオーツミルクメーカーOatlyとの提携を通じて自社のテクノロジーの試験を行った。

Oatlyは2020年10月に、スウェーデンにある生産施設からの出荷にEinrideの電動トラックの使用を開始した。両社の声明によると、これまでにトラックは8600km超走行し、その結果、ディーゼルトラックに比べて1万500kgの二酸化炭素の排出を抑制した。

「持続可能性は我々が行うすべての根幹です。全面的に二酸化炭素排出を抑制するために懸命に取り組みます。ここには輸送にかかる二酸化炭素排出も含まれており、だからこそ電動車両への移行を進めています。電動車両の活用により輸送ルートでの二酸化炭素排出を87%抑制できます」とOatlyのサプライチェーン担当ディレクターSimon Broadbent(サイモン・ブロードベント)氏は当時の声明文で述べた。

Oatlyとの提携は始まりにすぎなかった。その提携が終了すると、Einrideは食品配送・ロジスティック会社Lidlや電気機械メーカーElectroluxといった他のスウェーデン企業とすぐに提携した。

大手自動車メーカーはそれぞれに電動と自動走行の計画を持っている。自動運転テクノロジーのデベロッパーArgoはFordとVW Groupからの投資のおかげでいまや企業価値は75億ドル(約8166億円)だ。VWのTraton Groupは2019年に発表した22億ドル(約2395億円)の投資を通じて低排出と電動化を推し進めている。

関連記事:フォードとVWが出資する自動運転スタートアップArgo AIの評価額は7830億円

Daimler、Paccar、Volvoもそれぞれ計画を持っている

それは自動走行の電動化された輸送に注がれている資金のうわべを撫でているにすぎない。もちろん、Teslaもセミトラックでこのゲームに参加している。そして中国ではPlus AIがManbang、Suning、FAW Jiefangの数多くの車両を自動化している。

これらの資金のすべては自動走行の電動化された車両マーケットでのシェアを獲得するのが目的だ。コンサル会社McKinseyはこの手の車両がトラック産業で1000億ドル(約10兆8876億円)超を節約すると予測した。2600億ドル(約28兆3075億円)の米国のトラック市場だけでもかなり大きな潜在的機会だ。McKinseyによると、世界規模では事業者はトラック輸送に約1兆2000億ドル(約130兆6500億円)を費やしている。

業界にもたらされるメリットは財務上のものだけではない。トラック輸送は陸上、鉄道、航空の運輸を含む輸送部門における温室効果ガス排出量の大きな部分を占める。2016年にトラック輸送と交通は世界の温室効果ガス排出の約24%を占めた。その数字は着実に大きくなってきている。

輸送部門からの二酸化炭素排出の削減は、環境上持続可能な未来に向けた大きな一歩となるはずだ。

ベンチャー投資家がこうした企業へ投資しようと先を争うのは不思議ではない。EinrideはEQT VenturesとNordicNinja VCに頼っている。NordicNinja VCはパナソニック、ホンダ、オムロン、国際協力銀行などが支援しているファンドだ。Ericsson Ventures、Norrsken Foundation、Plum Alley Investments、Plug and Play Venturesからの出資も含め、Einrideはこれまでに3200万ドル(約35億円)を調達している。

カテゴリー:モビリティ
タグ:EinrideSPACスウェーデン自動運転資金調達

画像クレジット:Einride

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

ホンダがレベル3自動運転機能搭載「レジェンド」発売、高速道路渋滞時などの一定条件下でシステムが運転操作

ホンダがレベル3自動運転機能搭載「レジェンド」発売、高速道路渋滞時などの一定条件下でシステムが運転操作

ホンダが、世界で初めてレベル3自動運転機能を搭載する量産車となる新型「レジェンド」を発売しました。高速道路上、特定条件下に限定されるものの、自動的にアクセルおよびブレーキ、ステアリング操作を自動運転システム「Honda SENSING Elite」のなかの「トラフィックジャムパイロット(渋滞運転)」機能がドライバーに代わって操作します。

「Honda SENSING Elite」はハンズオフ機能が付いた車線内運転支援機能、車線変更支援機能、高度車線変更支援機能などを備えており、ハンドルを握らずとも高速道路を走行できます。

トラフィックジャムパイロットが作動するのは、このハンズオフ機能を使用して高速道路本線を走行中、渋滞またはそれに近い状況に差し掛かったときで、速度が30km/hを下回ると自動的に切り替わります。いちどトラフィックジャムパイロットが作動すれば、速度が50km/hを上回るまではその状態を継続し、ドライバーは運転を車に任せ、ナビゲーションの画面を操作したり、TVやDVD鑑賞なども可能になります。もちろんスマートフォンの操作もOK。

渋滞が緩和されて速度が50km/h以上になればトラフィックジャムパイロットは終了しドライバーに通常のアダプティブクルーズコントロール(ACC、車線維持機能あり)に移行します。もし、トラフィックジャムパイロットが終了するのにドライバーが気づいていなければ、車は自動で車がシートベルトを振動させて対応を促します。それでも反応がない場合は、システムは警報音やクラクションを鳴らし、ハザードランプ、クラクションなどでドライバーに運転への復帰を促します。

もしそれでもドライバーからの応答がなければ、ドライバーに何らかの異状が発生していると判断し、自動的に「緊急時停車支援機能」が働いて車を停車できそうな場所に停めて不慮の事態を回避します。なお、レベル3自動運転機能搭載車には、「自動運転」の表示をする必要があります。

限定的とはいえレベル3自動運転の搭載は、最終的にレベル5を目指す自動車メーカー全体にとって重要かつ大きな1歩です。テスラはAutopilotの開発において、ベータ版のソフトウェアを顧客に使わせ、言いようによっては顧客を実験台とすることで機能向上を図ってきました。そのテスラでも、まだレベル3の実用化には至っていません

(Source:HondaEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:モビリティ
タグ:自動運転(用語)Honda / 本田技研(企業)日本(国・地域)

自動運転のAuroraがLiDARスタートアップを買収、自動運転トラックの普及へ向け開発加速

Uber(ウーバー)の自動運転の子会社を最近買収した自動運転車両開発のAurora(オーロラ)は、別のスタートアップも獲得した。

Auroraは同社にとってこの2年弱で2つの目のLiDARスタートアップとなるOURS Technology(アワーズテクノロジー)を買収する。Auroraはモンタナ拠点のLiDARスタートアップBlackmore(ブラックモア)を2019年5月に買収している。Auroraは買収価格と他の買収条件の開示を拒否した。カリフォルニア大学バークレー校の研究者と博士号の学生たちのチームによって2017年に創設されたOURS Technologyは12人を雇用している。同社によると、チームは全員Auroraに移る。

「我々は、いかに可能な限り早く進歩させられるかに常に目を光らせていて、LiDARチップ開発におけるOURSの専門性が当社がすでに持つ専門性に加わることで、開発が一層加速します」とAuroraの広報担当は語った。

光によって検出と測距を行うLiDAR(Light Detection And Ranging Radar)について、自動運転システムを開発する会社は自動運転車両を安全に大規模展開するのに重要で必要不可欠なセンサーだと考えている。何百万台という自動運転車両が街を行き交う未来はまだ何年も、あるいは数十年も先だ。しかしそれは、数十ものLiDAR企業が最終的な需要を見越して出現するのを阻んだりはしない。

この業界に存在している70ほどの企業の大半はToFのLiDARセンサーを開発し、販売しようとしている。このセンサーは可視域外にパルスレーザー光を照射し、そのパルスが跳ね返ってくるのにどれくらいかかるかを測定する。跳ね返ってくるときに、方向や距離、パルスが当たったものをポイントとして記録し、最終的に3Dマップを作成する。

BlackmoreやOURS Technologyを含め、一部のLiDAR企業は低電力の光の連続波、つまり光の流れを発するFrequency Modulated Continuous Wave(FMCW、周波数変調連続波)LiDARを開発しているFMCW LiDARのデベロッパーはこのテクノロジーについて2つの主な利点を挙げる。1つはより高いダイナミックレンジ、瞬間速度で距離を測定できる点。これは、つまり近づいてくるものや離れていくもののスピードを測定できることを意味する。もう1つが太陽光や他のセンサーの干渉もないという点だ。

しかしFMCWは複雑でもある。FMCWはチップ上のレンジファインダーとして始まる。これを3D LiDARとするのに、多くのFMCWデベロッパーは視野を提供するのに大きな鏡や他の部品を使用するが、ンサーのサイズが大きくなる。OURS Technologyは自らを「LiDAR-on-a-chip」会社だと称しており、この創業4年の会社がソリッドステートスキャニングメカニズムにすべてを組み込む方法を開発したことをうかがわせる。これはセンサーの小型化につながり、FMCWの主な問題の1つを解決する。

Auroraは2020年夏に、自動運転車両、中でも長距離トラック向けに開発されたBlackmoreのテクノロジーに基づくセンサー、FirstLight LiDARを発表した。Auroraは声明文で、OURS Technologyがわずか3年で4世代のLiDARを生産することができ、同社のテクノロジーと互換性があるソリッドステートのスキャニングメカニズムを開発したと言及し、明らかにOURSの開発のスピードに関心を持っている。

AuroraはセンサーをスケーラブルなものにするためにOURSの専門性と開発のノウハウを活用する計画だ。簡単にいうと、Auroraは開発を加速させるためにOURSのチームと、ソリッドステートスキャニングメカニズムのような重要な部品の設計図を使うことを望んでいる。

「当社の車両を拡大し、ドライバーレスのトラックを商業化しようとしている現在、FirstLight LiDARはかなりスケーラブルでなければなりません。小型で、さほど高価でない必要があり、パワフルでなければなりません」とAuroraは述べた。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Aurora買収自動運転LiDAR

画像クレジット:Aurora

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

Auroraがトヨタ、デンソーと自動運転ミニバン「シエナ」を共同開発

自動運転テクノロジー企業のAuroraは車両開発およびテストを実施する契約をToyota(トヨタ自動車)および大手部品メーカーのDENSO(デンソー)との間で締結した。Auroraのテクノロジーを搭載して開発される自動運転車両はまずミニバンのトヨタ・シエナが予定されている。

米国時間2月9日、Auroraとトヨタは自動運転バージョンのシエナを設計、テストすることで協力することを発表した。両社のエンジニアのチームは2021年末までに実車のテストを開始することを目標としている。

この発表は、2019年にAuroraがトヨタ、デンソー、SoftBankのVision Fundから10億ドル(約1046億2000万円)を調達してUberから独立したUber Advanced Technologies Groupを買収したことに続くものだ。1月20日に完了したこの買収は、UberがATGの株式を手渡し、4億ドル(約418億5000万円)をAuroraに投資するという複雑な取引だった。Uberは合併後の新会社の株式の26%を保有している。また、トヨタはAuroraの株式の一部を取得している。

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発表された提携計画は、 少なくとも部分的には 、2018年にトヨタとUberが合意したオンデマンド自動運転タクシー配車(ride-hailing)サービスを市場に投入するための計画に似たものとなっている。両社はUberのタクシー配車ネットワークでミニバン「シエナ」を使用し、同車にUber ATGの自動運転テクノロジーを搭載することで合意した。これにともないトヨタは5億ドル(約523億円)の投資を行った。当時、トヨタとUber ATGはこれらの車両はサードパーティーの企業が買い取って運用・管理することができると述べていた。

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Auroraの共同ファウンダーで最高製品責任者のSterling Anderson(スターリング・アンダーソン)氏は、「これはまったく新しいパートナーシップであり、以前のトヨタのUber ATGn提携の延長ではない」と強調した。

トヨタとAuroraは、開発チームの規模、契約に関連した財務的インセンティブなどの詳細を明らかにしなかったため、現在のところこの提携が影響する範囲などを見極めるのは難しい。

それでもAuroraは一車種の開発とテストを超えたパートナーシップだという野心的なビジョンを打ち出し「長期的な戦略的提携」と表現している。また2021年の共同開発作業は、最終的に自動運転車両をトヨタと共同で量産し、Uberやそれ以外のタクシー配車ネットワーク上に乗せる基盤を築くことが目的だとしている。また自動走行に必要な部品の量産ではデンソーと協力する。自動運転車に関する融資、保険、メンテナンス等のカスタマーサービスのプラットフォームの構築でもトヨタと協力する方法を検討していくという。

アンダーソン氏はトラック運送のPACCAR、そして今回のトヨタとの提携が実現したことで「フリート管理などの商用の川下(ダウンストリーム)サービスの開発が同社にとってますます重要になってきた」と述べた。

最近のインタビューでアンダーソン氏はこう語っている。

タクシー配車サービスにはまず自動車とドライバーが必要ですが、その次にはサポートサービスが必要です。この一環としてトヨタと協力して研究している分野の1つは、Auroraのサポートサービスとトヨタの販売ネットワークを組み合わせ。Auroraの自動運転テクノロジーを搭載したトヨタ製車両を大規模に展開することです。これはトヨタのネットワークの巨大さが我々にとって非常に重要になる分野です。

自動車の場合、開発、テストから実際に市場で商用化されるまでの道のりは非常に長い。資金調達以外のも技術的な課題や規制上の課題が生じる。熟練労働者の確保をめぐるライバルとの競争もある。これらすべてをクリアしても自動運転タクシー配車ネットワークの運営にはまた独自のハードルがある。つまりAuroraがトヨタと提携したからといって今すぐに成功が保証されたわけではない。

しかし世界的な大手自動車メーカーとの提携はAuroraにとって極めて重要な一歩だったに変わりはないだろう。

Auroraの共同ファウンダーであるCEOのChris Urmson(クリス・アームソン)氏は米国時間2月9日のブログ記事にこう書いている。

トヨタには比類ない実績があり、エンジニアリングの専門知識と高いリーダーシップを持っています。これによりトヨタは高品質かつ手の届く価格で信頼性の高い車両を提供してきました。またタクシー配車ネットワークで真っ先に選定されるメーカーでもあります。我々はトヨタと協力できることをうれしく思っています。Auroraの自動運転テクノロジーでドライバーレス・モビリティサービスを実現しようと考えています。

アームソン氏はまた、同社初の商用プロダクトが自動運転トラックのテクノロジーであることに触れ「現在のライドシェア予約のかなりの部分が時速80km以上のスピードでの運転を必要としています。このため自動運転トラックで培った高速道路対応能力は乗客を安全に移動させるために非常に重要になると考えています」と付け加えている。

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タグ:Auroraトヨタ自動車自動運転

画像クレジット:Aurora

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:滑川海彦@Facebook

フィックスターズ独自開発の視差計算ソフトがOpenCVに正式実装、自動運転などへの活用に期待

フィックスターズ独自開発の視差計算ソフトがOpenCVに正式実装、自動運転などへの活用に期待

マルチコアCPU・GPU・FPGAを用いた高速化技術を手がけるフィックスターズは2月8日、同社が開発した視差計算のオープンソースソフトウェア(OSS)「libSGM」が、コンピュータビジョン向けOSSライブラリー「OpenCV」に正式実装されたと発表した。ライセンスは、Apache License 2.0を採用している。

ステレオカメラの画像から視差計算をするlibSGMは、複雑化・高度化する自動運転システムの前方注視能力の向上など様々な用途に活用が期待されているという。推定1800万ダウンロードを超えるOpenCVに採用されたことで、コミュニティを通じて世界中のデベロッパーがlibSGMを活用しやすくなったとしている。

libSGMは、Semi-Global Matchingというアルゴリズムを用いて、ステレオカメラの画像から被写体までの距離を計算するソフトウェア。

同ライブラリーは、フィックスターズの高速化技術を基に開発を行い、NVIDIA製GPUで高速に視差計算ができるように最適化しているという。GeForce RTX 3080を使ったベンチマークでは650fpsを超え、Jetson AGX Xavierでもクロック最大時で110.7fps、省電力モードでも57.7fpsの計算スピードを記録したそうだ。

OpenCV(Open Source Computer Vision Library)は4万7000人以上が使うコンピュータビジョン用ライブラリ。「New Year’s update」と銘打たれたバージョン4.5.1のリリースで、libSGMの実装が報告された。同バージョン以降のOpenCVを導入するユーザーは、libSGMも使えるようになる。

2002年8月設立のフィックスターズは、「Speed up your Business」をコーポレートメッセージとして掲げるソフトウェアカンパニー。マルチコアプロセッサーを効率的に利用するためのソフトウェアの並列化・最適化と、省電力かつ高速I/Oを実現する新メモリー技術を活用したアプリケーションの高速化を通じて、医療・製造・金融・エンターテインメントなど、様々な分野の企業のビジネスを加速し、グリーンITを実現している。

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タグ:NVIDIA(企業)NVIDIA JetsonOpenCV(製品・サービス)オープンソース / Open Source(用語)カメラ(用語)GeForce RTX 3080自動運転(用語)フィックスターズ(企業)日本(国・地域)

テスラが同社オートパイロットのライセンス供与に意欲、他メーカーと予備交渉をすでに開始

Tesla(テスラ)は、高度な自動運転技術である「オートパイロット」や、自律運転技術の改善のために自社開発したニューラルネットワークのトレーニングシステムを含むソフトウェアのライセンシングに意欲を見せている。TeslaのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、米国時間1月27日に開かれた第4四半期収支報告会でそうした考えを示した。その上、同社はすでに「オートパイロットのライセンス供与について他のOEMと予備的交渉を行った」事実も公表している。

2020年末、同社はオートパイロットのいわゆる「完全自動運転(FSD)」バージョンのベータ版の展開を開始している。

通常版のオートパイロットは、基本的にはハイウェイでの走行を主眼とした高度なクルーズコントロールが使える高度運転支援(ADAS)機能の一般リリース版に組み込まれている。今回の収支報告会でマスク氏は、もしライセンシングの方向性が決まった場合には、同社のFSD機能を、その契約が成立する前に提供したい考えを示した。

マスク氏は、Teslaの「哲学は決して庭(全体)を壁で囲うようなものではない」と訴え、同社は他の自動車メーカーにもSupercharger(スーパーチャージャー)ネットワークと自律性ソフトウェアを使えるようにする計画があると強調した。事実、彼は会社として自社の自律運転技術を「他の自動車会社」に「ライセンスすることをこの上なく喜んでいる」と述べている。

Teslaの技術が標準的な人間のドライバーを大きく上回る確実な信頼性を実証するためには、超えなければならない決定的なハードルがある。それは、ニューラルネットークの仕事をクルマの中に移すことだ。そして、そこへ知覚エンジンにパワーを与える分析結果を提供するには、それらを映像化する必要がある。これは単一のカメラと単一のフレームでトレーニングされたニューラルネットワークのニューラルネットをベースにしたシステム全体のフルスタックの移行だ。

そのために、Teslaは映像ラベリング用のソフトウェアを開発した。それは「ラベリングの効率に大きな影響を与える」ものであり、最終的にはラベリングを自動化する目標がある。マスク氏は(自社の業績を控えめに語るような人物ではないと忠告しておくが)、「それが世界で最も優れた桁違いに高性能なニューラルネットワーク・トレーニング・コンピューター」だと信じていると主張する。さらに「潜在的にはサービスとして提供できるものでもある」と言い加えている。

膨大な量の映像データを使ったトレーニングにより、Teslaはそのソフトウェアの信頼性を人間のドライバーを100%とした場合に200%に向上させ、最終的には「標準的な人間よりも2000%」にまで高めるとマスク氏はいう。だがまたそこでも、この技術的成果を自社の中に封印しておきたくはないと訴えていた。

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タグ:Tesla自動運転

画像クレジット:Christopher Goodney/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

BlackberryとBaiduは中国における自動運転車開発で仲を深める

Blackberryと中国の検索エンジン大手Baiduは、自動車メーカーが中国におけるインターネット接続された次世代の自動運転車を発売するために必要なツールを提供することを目的とした提携関係を拡大することで合意した。

この契約の下、Baiduの高解像度マップはBlackberryのQNX Neutrino Real-Time Operating Systemに統合される。この組み込みシステムは、年間200万台以上を生産する米国三大自動車メーカーの1つGACグループの電気自動車部門から発売予定のGAC New Energy Aionモデルで量産される。

BaiduのIntelligent Driving Groupの技術部門シニアディレクターであるWang Yunpeng(ワン・ユンペン)の声明によると、新たなパートナーシップ拡大の目的は「安全・安心を最優先に、自動車メーカーに自動走行車の生産における明確かつ迅速な道筋を提供する」ことだという。

BaiduとBlackberryの提携が注目に値するのは、中国政府が国産技術を奨励しているにもかかわらず、Baiduは中国製車両に外国製のOSを搭載しているためだ。

BlackberryのQNXソフトウェアは機能安全、ネットワークセキュリティ、信頼性の側面を担い、Baiduは人工知能とディープラーニングの開発に投資している。

「両社が力を合わせて優れた技術を提供すれば、自動車メーカーは迅速に安全な自動運転車を生産できるようになり、インテリジェントネットワーク化された自動車産業を共同開発を促進を支援することができます」とユンペン氏はいう。

かつてはスマートフォン業界を支配していたBlackberryは、自社のQNX技術を自動車に搭載することに成功した。今日、そのソフトウェアは1億7500万台以上の車両への高度な運転支援、デジタル計器のクラスターおよびインフォテインメントシステムで使用されている。

この契約は、BlackBerryのQNXオペレーティングシステムをBaiduの自動運転オープンプラットフォーム「Apollo」の基盤にするという両社が2018年1月に交わした契約に基づいている。

Baiduとの提携は、Blackberryが最近参入した中国でマーケットシェアを拡大し続ける助けにもなる。2020年にBlackberryは、QNXがTesla(テスラ)のライバルXpengの電気自動車に中国で統合されると発表した。

BlackBerry Technology Solutionsのチャネル、パートナーおよびアジア太平洋地区担当副社長であるDhiraj Handa(ディラジ・ハンダ)氏は、声明で次のように述べている。「Blackberryの組み込みソフトウェアQNXを基盤としてBaiduは、同社のApolloプラットフォームで重要な進歩を達成し、革新的技術の商用エコシステムを確立しました。OEMではそれを、彼らの次世代車に利用できます」。

Baiduの自動運転プログラムはApolloと呼ばれ、「スマートドライビングのためのAndroid」とも言われた。Aplloプログラムは、100あまりの製造およびサプライヤーのパートナーに行き渡った。Baiduは自動運転のテストも精力的に行い、2020年9月にはロボタクシーの車隊を立ち上げている

この契約は、Baiduが自動車のソフトウェアだけでなく自動車の生産も始めるという発表の直後に交わされた。Baiduは2021年1月の初めに、中国の自動車メーカーGeelyと共同で、電気自動車を作る新会社を立ち上げると発表した。Baiduがいわゆるスマートドライビングテクノロジーを提供し、Geelyが設計とエンジニアリングと車両の製造を担当する。

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タグ:BaiduBlackberry自動運転中国

画像クレジット:Baidu’s autonomous driving car

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

企業秘密窃盗で18カ月の実刑判決を受けていた元Googleエンジニアにトランプ前大統領が恩赦

企業秘密を盗んだ罪で18カ月の実刑判決を受けていた元Google(グーグル)のエンジニアで起業家のAnthony Levandowski(アンソニー・レヴァンドウスキ)氏が、Donald Trump(ドナルド・トランプ)前大統領から恩赦を受けた。

米国時間1月19日深夜に発行されたこの恩赦は、レヴァンドウスキ氏が刑務所の独房入りを免れることを意味する。このほか、同氏を含む全部で73人に恩赦が与えられ、70人が減刑された。レヴァンドウスキ氏は2020年8月に刑期を迎えたが、この事件を担当したAlsup(アルサップ)判事は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の脅威が過ぎるまで、刑務所に出頭する必要はないと述べていた。

「私の家族と私は前に進む機会を与えていただいたことに感謝し、そして大統領と私を支持し弁護してくださった方々に感謝しています」と、レヴァンドウスキ氏はTechCrunchに語った。

レヴァンドウスキ氏の恩赦は、Founders Fund(ファウンダーズ・ファンド)の共同創設者Peter Thiel(ピーター・ティール)氏やOculus(オキュラス)の創設者Palmer Luckey(パーマー・ラッキー)氏、裁判弁護士のMiles Ehrlich(マイルズ・アーリッチ)氏とAmy Craig(エイミー・クレイグ)氏、実業家で投資家のMichael Ovitz(マイケル・オヴィッツ)氏など、テクノロジー企業の創設者や投資家によって支持された。他にも、Founders FundのパートナーであるTrae Stephens(トレイ・スティーブンス)氏や、Thiel Capital(ティール・キャピタル)のCOOであり、The Thiel Foundation(ティール財団)の会長でもあるBlake Masters(ブレイク・マスターズ)氏など、ティール氏の組織に関係のある人々もレヴァンドウスキ氏を支援している。

以下は、恩赦を支持した人々の名前を含む、ホワイトハウスが投稿した全文だ。

アンソニー・レヴァンドウスキ:トランプ大統領はアンソニー・レヴァンドウスキ氏に恩赦を与えました。この恩赦は、James Ramsey(ジェームズ・ラムゼイ)氏、ピーター・ティール氏、マイルズ・アーリッチ)氏、エイミー・クレイグ氏、Michael Ovitz氏、Palmer Luckey氏、Ryan Petersen(ライアン・ピーターセン)氏、Ken Goldberg(ケン・ゴールドバーグ)氏、Mike Jensen(マイク・ジェンセン)氏、Nate Schimme(ネイト・シンメル)氏、トレイ・スティーブンス氏、ブレイク・マスターズ氏、James Proud(ジェームズ・プラウド)氏らの強い支持を得ています。レヴァンドウスキ氏はGoogleの自動運転技術の開発を主導した米国の起業家です。レヴァンドウスキ氏は民事訴訟から生じた刑事上の起訴訴因に対して有罪判決を受けました。特筆すべきは、判決を下した判事がレヴァンドウスキ氏を「我が国が必要としている輝かしい、革新的なエンジニア」と評したことです。レヴァンドウスキ氏は自分の行動に大きな代償を払い、公共の利益のために自分の才能を捧げることを計画しています。

レヴァンドウスキ氏は、自動運転車業界の中では好き嫌いが分かれる人物である。彼は誰の目から見ても、彼を最も厳しく批評する人の間でさえも、優秀なエンジニアであることは確かだ。彼の勇敢さと危険をいとわない姿勢は、好感が持てる親しみやすい性格と相まって、多くの支持者やライバルを獲得した。

だが、レヴァンドウスキ氏は泥棒のような技術者と誹られ、Uberにあっさりと解雇され、1億7900万ドル(約185億円)の賠償金で破産を余儀なくされた。彼はまた、自動運転車開発初期の先駆的なスターエンジニアとして称賛も受けている。同氏は2009年、内部でProject Chauffeur(プロジェクト・ショーファー)と呼ばれていたGoogleの自動運転プロジェクトの創設メンバーの1人だった。法廷文書によると、彼はProject Chauffeurにおける仕事のために、Googleから約1億2700万ドル(約132億円)もの大金を受け取ったという。

2020年8月にレヴァンドウスキ氏を有罪に導いた刑事事件は、レヴァンドウスキ氏、Uberそして元Googleの自動運転プロジェクトで現在はAlphabet傘下の事業となっているWaymo(ウェイモ)を巻き込んだ数年におよぶ法律大河ドラマだ。

レヴァンドウスキ氏は2016年、 Lior Ron(リオル・ロン)氏、Claire Delaunay(クレア・ドローネ)氏、Don Burnette(ドン・バーネット)氏という3人の経験豊富なエンジニアとともにGoogleを退社し、自動運転トラックを開発する企業としてOtto(オットー)を設立。それから8カ月も経たないうちに、UberはOttoを買収した。この買収から2カ月後、Googleはレヴァンドウスキ氏とロン氏に対して2件の仲裁要求をした。Uberはどちらの仲裁でも当事者ではなかったが、レヴァンドウスキ氏との間に結んでいた補償契約に基づき、同社はレヴァンドウスキ氏を弁護せざるを得なかった。

仲裁が進む一方で、それとは別にWaymoは2017年2月、企業秘密の盗難と特許侵害を理由にUberを相手取り訴訟を起こした。Waymoはこの訴訟で、レヴァンドウスキ氏が企業秘密を盗み、それがUberによって使用されたと主張していたが、2018年に和解に至った。

この和解では、UberはWaymoの機密情報を自社のハードウェアやソフトウェアに組み込まないことに合意した。Uberはまた、シリーズG-1ラウンドの評価額720億ドル(約7兆4510億円)に対するUberの株式の0.34%を含む金銭的和解金を支払うことにも合意した。これは当時、Uberの株式で約2億4480万ドル(約253億円)に相当した。

レヴァンドウスキ氏はWaymo対Uber訴訟の被告ではなかったが、彼はすぐに大きな障害に直面することになった。

2019年8月、米連邦地方検事は、レヴァンドウスキ氏がGoogleに勤務していた間に、33件の企業秘密の窃盗および窃盗未遂を働いたとして、単独で起訴した。2020年3月、レヴァンドウスキ氏と連邦地検は司法取引で合意に達し、レヴァンドウスキ氏は33件の訴因のうち、Project Chauffeurに関連する数千のファイルをダウンロードしたことを認めた。これはChauffeur Weekly Update(ショーファー・ウィークリー・アップデート)として知られているもので、四半期ごとの目標や週ごとのメトリクスのほか、プログラムが直面した15の技術的な課題の要約や、以前に克服した課題に関するメモなど、さまざまな詳細が含まれているスプレッドシートだ。

連邦地検は27カ月の懲役を求めたが、レヴァンドウスキ氏は罰金、12カ月の自宅監禁、200時間の社会奉仕活動を求めていた。アルサップ判事は最終的に、自宅監禁は「将来すべての優秀なエンジニアに企業秘密を盗むことを可能にすると判断し、懲役刑をその答えとする」と判断した。

アルサップ判事はレヴァンドウスキ氏に18カ月の実刑を言い渡したが、新型コロナウイルス感染症の流行が収まるまで出頭期日を延期していた。レヴァンドウスキ氏は、Waymoへの返還金75万6499.22ドル(約7820万円)と罰金9万5000ドル(約980万円)を支払うことにも同意した。

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タグ:GoogleWaymoUber裁判ドナルド・トランプ自動運転

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

フォックスコンと中国Geelyが提携、次のテスラを目指し自動車メーカー向けに電気自動車、自動運転車、シェアリング車を開発

将来の電気自動車、自動運転車はApple(アップル)の主要サプライヤーであるFoxconn(フォックスコン、鴻海科技集団)と、中国の自動車メーカーであるZhejiang Geely Holding Group(チョーチアン・ギーリー・ホールディング・グループ、浙江吉利控股集団)によって製造されるのかもしれない。
両社は、自動車メーカー向けの受託製造に焦点を合わせた合弁会社を設立することで合意しており、特に電動化、コネクティビティ、自動運転技術、およびシェアリングを目的とした車両に注力する。それぞれが、新合弁会社の株式の50%を均等に保有する。両社が発表した声明によると、取締役会は5人で構成され、Foxconnは会長を含む3人、Geelyは2人を選任するという。

今回の合意は、両社が自動車メーカーからの委託製造で、より大きな役割を担うようになったことを受けてのものだ。今週の初め、Geelyは中国の検索大手Baidhu(バイドゥ、百度)による、電気自動車生産会社の設立を支援することを発表した。Baiduがスマートドライブ技術を提供し、Geelyは自動車の設計・製造を担当する。一方Foxconnは、経営が苦しい中国の電気自動車スタートアップBytonのM-Byte SUV製造を支援する計画を発表している。

Geely Holding GroupのDaniel Donghui Li (ダニエル・ドンホイ・リー)CEOは、世界の自動車産業は大きな変化を迎えていると語った。彼は、Geelyが「変化を積極的に受け入れ、アライアンスを構築し、リソースを相乗的に活用して、ユーザーのみなさまにとってのより大きな価値を創造しなければなりません」と語り、Foxconnの専門知識が自動車業界の変革と進化のための重要な知見を提供するだろうと付け加えた。

新しい合弁会社は、自動車メーカーやライドシェア事業者に対して車両全体、部品、インテリジェントドライブシステムなどの、自動車エコシステムプラットフォームに関するコンサルティングサービスを提供して行く。Geelyは自動車分野での設計、エンジニアリング、研究開発、インテリジェント製造、サプライチェーンマネジメント、品質管理などの経験を提供し、一方Foxconnは、製造とICT(Information and Communication Technology、情報通信技術)のノウハウを提供する。

新会社の目的は、自動車メーカーたちが、業界ではCASEと呼ばれているコネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化技術に基づく、革新的で効率的な新しい製造プロセスやビジネスモデルへの移行を加速するための支援を行うことにあると、両社は述べている。

次のTesla(テスラ)を目指す企業や、自動運転車の商業化を目指す企業がここ数年で多数誕生しており、このFoxconn-Geely合弁会社には、候補となり得る顧客の長いリストができている。自動車を大量生産するための主要な障害の1つは、工場を建設して稼働させるために必要な数十億ドル(数千億円)資金である。こうした資金の必要性が、多くのEVスタートアップ企業に、特別買収目的会社(SPAC)と合併して株式公開企業になることを促している。Canoo(カヌー)、Fisker(フィスカー)、Lordstown Motors(ローズタウン・モータース)、Nikola Corp.(ニコラ・コープ)といった企業が、白紙小切手会社とも呼ばれるSPACと合併している。

Foxconn Technology GroupのYoung-way Liu(ヤンウェィ・リュー、劉揚偉)会長は今回の提携を、自動車産業と情報通信技術(ICT)産業の協力の歴史におけるマイルストーンと呼んでいる。

「Foxconnの世界をリードする研究開発技術、インテリジェント製造、ハードウェアとソフトウェアの統合能力によって、両社は非常に補完的なパートナーシップを生み出すことができます、これにより私たちはより良いサービスを提供し、様々な顧客の多様なニーズを満たすことが可能になり、最も先進的で、最速で、費用対効果の高いフルバリューチェーンの自動車生産サービスプラットフォームを提供することができます」とリュー会長は語り、さらに、このパートナーシップは自動車産業の発展に大きな変化をもたらすだろうと付け加えた。

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タグ:FoxconnGeely自動運転EV

画像クレジット:SAM YEH/AFP / Getty Images

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(翻訳:sako)

キャデラックが贅沢な空の旅を提供する1人乗り電動垂直離着陸ドローンのコンセプト公開

GMは米国時間1月12日、Cadillac(キャデラック)ブランドの電動垂直離着陸ドローンのコンセプトを公開した。これは(もし市販化が実現すればの話だが)オーナーが1人だけ贅沢な気分で空中をクルージングするために設計されたものだ。

バーチャルで開催されたCES 2021年で、GMが基調講演を行った際に、自律走行車と一緒に公開されたこの1人乗りのeVTOLは、同社初の空中モビリティに向けた試みだ。これは単なるコンセプトであり、実際の製品になる可能性は低い。しかしこれらのコンセプトは、企業がデザインや製品の方向性を示すものであり、電気自動車や自律走行車に関しては、GMがその技術に投資する意思があることを証明している。

「我々は電気駆動技術と自動運転技術の進歩によって、個人の空の旅が可能になる世界に備えています」と、GMのグローバルデザインを統括するMichael Simcoe(マイケル・シムコー)氏は、そのプレゼンテーションの中で語った。「これは、時間が最も重要であり、利便性が何より優先される瞬間のためにデザインされたコンセプトです」。

画像クレジット:Cadillac

キャデラックのeVTOLコンセプトは、搭載する電気モーターが90kWhの出力を発生し、4つのローターを駆動させ、乗員を屋上から目的地へと運ぶことができる。また、空と空および空と地上間の通信機能も装備している。

シムコー氏によれば、同社はさらに多くのコンセプトを計画しており、その中には「オーナーと特別な人のために設計された豪華な2人乗りの機体で、落ち着いてリラックスしながら、より親密な旅のために演出された多感覚に訴える体験を楽しめる」ものも含まれるという。

このコンセプトは、シムコー氏が説明するように自動運転とキャデラックのラグジュアリー性が「そう遠くない将来に」どのようなものになるのかを世界に示すものだ。

もちろん、これらのコンセプトは、GMがいかに交通機関の未来に本気で取り組んでいるかを伝えるためのものでもあり、その中心は電動化、自動運転技術、コネクテッドカーサービスだと考えられている。

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画像クレジット:Cadillac

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(翻訳:TechCrunch Japan)

自動運転技術のMobileyeが数カ月以内に東京など世界4都市にテスト地域を拡大

Intel(インテル)の子会社Mobileye(モービルアイ)は自動運転車両プログラムを拡大する。数カ月以内に少なくともさらに4都市でテスト車両を走らせる計画で、この4都市はデトロイト、パリ、上海、東京だ。

Mobileyeの最高経営責任者兼社長、Amnon Shashua(アムノン・シャシュア)氏は米国時間1月11日、バーチャルで開催されているテックトレードショー2021 CESで当局から許可がおりればニューヨーク市の公道でもテストを開始すると述べた。

現在開発中で2025年にマーケット投入予定の新しいLiDAR SoC(System on Chip)プロダクトについての詳細とともに明らかになったテストプログラム拡大は、自動運転車両テクノロジーの商業化を目指すMobileyeの野心を表している。

テストを展開する国や都市の選択は2つの要素に基づいている。Intelの上級主席エンジニアでMobileyeの自動運転車両スタンダード担当副社長Jack Weast(ジャック・ウィースト)氏によると、顧客と規制環境だ。

「米国ではメジャーなOEMはデトロイトにあり、だからこそ我々はシリコンバレーではなくデトロイトでクルマを走らせるのです」とウィースト氏はインタビューで語った。そしてパリにはPeugeot(プジョー)とRenault(ルノー)、日本にはトヨタと日産がいると付け加えた。「都市の選択は、顧客が直接テクノロジーを体験できる機会を持てるよう、顧客の近くに車両を展開することと大いに関係がありました。というのも、当社が完全な自動運転システムを供給するとしてもOEM顧客は当社の今後の事業において重要な部分であり続けると考えているからです」。

同社によると、テスト車両はすでにデトロイトの路上を走っている。Mobileyeは最初のテスト車両を2018年にエルサレムで走らせ、その後2020年にミュンヘンでも展開した。

同社は、自動運転車両テクノロジーの開発と展開においてすべての自動運転スタックを組み合わせた3つの戦略を持っている。テクノロジーはカメラをベースとした冗長センシングサブシステム、レーダー、LiDARの技術を組み合わせたもの、そしてREMマッピングシステム、ルールベースのResponsibility-Sensitive Safety (責任感知型安全論、RSS)ドライビング規約だ。MobileyeのREMマッピングシステムは、ADASと自動運転システムをサポートするのに使われるHDマップを作成する技術を搭載した100万台近くの車両を利用することでデータをクラウドソースする。シャシュア氏はMobileyeのテクノロジーが毎日800万キロメートル近くを追跡することで世界の地図を作成でき、これまでに10億キロメートル完了したと話した。

この戦略により、2025年までに商業ロボタクシーサービスを立ち上げて展開し、また消費者の乗用車にこのテクノロジーをもたらすことができるとも述べた。

Mobileyeは衝突回避に役立つコンピュータービジョンセンサーシステムのデベロッパーとして、自動車業界のニッチな分野を長らく支配してきた。2018年に同社はサプライヤーとしてだけでなくロボタクシー事業の展開にもフォーカスを拡大した。そして現在、同社はコンピュータビジョンテクノロジーに現在Intelと共同開発しているLiDAR SoCで増強することで、自動運転車両テクノロジーを乗用車にもたらそうとしている。

Mobileyeはすでにロボタクシー向けのLiDAR供給でLuminar(ルミナール)と提携している。しかしMobileyeはLiDAR SoCについて、2025年までに乗用車向けに提供できるようになると踏み込んで述べた。自社開発のLiDAR SoCのマーケット投入の準備が整ったらLuminarとの提携を打ち切るとはシャシュア氏もウィースト氏も言わなかった。

Mobileyeはカメラベースのテクノロジーで知られているため、Intelが専門とするシリコンフォトニクスファブを活用するLiDARは注目に値する。しかもカメラ第一のアプローチを捨てたわけではない。テクノロジー上、そしてビジネス上の最良のアプローチはカメラ第一のシステムを開発し、LiDARとレーダーを冗長性のためのアドオンとして使うことだとMobileyeは確信している、とシャシュア氏は説明した。

「カメラサブシステムを持っているということがポイントです。カメラベースなので、コンシューマーが手にできる価格水準です。なので横展開が可能な考え方となります。この横展開の考え方は、レベル4がユビキタスなものになるまで、真に持続可能な解決法です」と同氏は述べた。

カメラ第一のアプローチが後にどのように受け入れられるか、その例として同氏はGeely Autoとの高度ドライバーアシスタンスシステムのための長期的で大量の契約を挙げた。LiDARとレーダーは、マーケットが整えばさらに高度なオートメーション能力をサポートするために追加される。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Mobileye自動運転東京CES 2021

画像クレジット:Screenshot/Mobileye

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(翻訳:Mizoguchi

中国の検索大手BaiduがEV製造ベンチャー設立へ

中国の検索大手のBaidu(バイドゥ、百度)が、その自動車への野望を、単なるソフトウェア提供から生産へと広げている。同社は中国時間1月11日、中国の自動車メーカーGeely(ギーリー、吉利)の協力を得て、電気自動車(EV)製造会社を設立することを発表した。過去10年ほど中国のインターネット検索市場を席巻してきた百度がスマートドライブ技術を提供し、一方スウェーデンのVolvo(ボルボ)との合併(ロイター記事)が間近に迫っているGeelyが自動車の設計と製造を担当する。

新たなEV製造会社の設立は、中国のインターネット業界の先端企業がEVスペースに参入することを意味している。2020年11月には、Alibaba(アリババ、阿里巴巴)と中国の国営自動車メーカーSAIC Motor(上海汽車集団)が手を組んで、電気自動車を生産するというニュースが流れた。ライドシェア企業のDidi(ディディ)とEVメーカーのBYD(比亜迪汽車)が共同開発した配車サービス用モデルは、すでにIdeanomics(PR Newswire記事)のような顧客を獲得している。一方、中国におけるTesla(テスラ)への挑戦者であるXpeng(シャオペン、小鵬)、Li Auto(リ・オート)、NIO(ニーオ、上海蔚来汽車)などの株は、この1年順調に上昇傾向にある。

Baiduの自動車への注力は、検索広告収入に依存するビジネスを多様化するための試みの一環である。ByteDance(バイトダンス、北京字節跳動科技)のニュースアグリゲーターToutiao(トウティァオ、今日頭条)や短編動画アプリDouyin(ドウイン、抖音)などの新しいメディアプラットフォームには独自の検索機能が搭載されており、Baiduのような伝統的検索エンジンのシェアを徐々に侵食している。データ分析会社のJiguang(ジグアン、极光)が示したところによれば(WeChat記事)、中国ではショートビデオサービスが、インターネット検索ではウェブ検索エンジンに次いで2番目に人気のあるチャンネルとして浮上しており、ソーシャルネットワークや電子商取引よりも先を行っている。

Baiduは2017年から自動運転に積極的に取り組んでいる。「スマートドライブのためのアンドロイド」と呼ばれるそのApollo(アポロ)エコシステムは、100社以上の製造業やサプライヤーのパートナーを集めてきた。Baiduはまた、自動運転のテストに熱心で(未訳記事)、最近ではロボタクシーの一群をロールアウトした(South China Morning Post記事)。

新会社はBaiduの子会社として運営され、Geelyが戦略的パートナーとなり、ApolloやBaidu Maps(バイドゥマップ)などのBaiduの各部門が機能を提供する。新会社は車両設計、研究開発、製造、販売、サービスなどの自動車産業チェーン全体をカバーする。

BaiduとGeelyの提携がApolloの運営にどのような影響を与えるかは不明だが、Baiduは発表の中で「AI技術業界全体でのオープンなコラボレーションの精神を堅持し、エコシステムのパートナーと緊密に協力してインテリジェントトランスフォーメーションの新しい波を押し進めるよう努力します」と約束している。

Baiduの共同創業者であり最高経営責任者であるRobin Li(ロビン・リー、李彦宏)氏は「Baiduは、インテリジェントドライブの未来をずっと信じており、過去10年間でAIに多額の投資を行い、世界クラスの自動運転サービスのポートフォリオを構築してきました」と述べている。

「私たちは、スマートトランスポーテーション、コネクテッドカー、自動運転に関するBaiduの専門知識と、大手自動車メーカーでありEVメーカーでもあるGeelyの専門知識を組み合わせることで、新しいパートナーシップが将来の乗用車への道を切り拓くものと確信しています」。

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画像クレジット:Baidu’s autonomous driving car

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(翻訳:sako)

GMの自動運転車技術子会社Cruiseが商業化に向けデルタ航空元幹部を採用

GM(ゼネラルモーターズ)の自動運転車技術子会社であるCruise(クルーズ)は米国時間1月8日、デルタ航空の元最高執行責任者であるGil West(ギル・ウエスト)氏を採用し、早期の商業化へ動くと語った。

2020年にデルタ航空を引退したウエスト氏は、Cruiseの最初の最高執行責任者となる。この発表は、Cruiseが自動運転車の公道でのテストを人間の安全オペレーターの同乗なしで開始してから1カ月以上経った後に行われた。テストはまだサンフランシスコの限られた地理的エリアと市内の混雑の少ない地域の1つで実施されている。だがそれでも同社にとっては1つのマイルストーンであり、乗車に対し料金を請求できる商業ベースのシェアードサービスの開始許可を確保するために必要なステップと見られている。

ウエスト氏は、年間160億ドル(約1兆6600億円)の予算を持つ巨大なグローバルオペレーションを12年以上動かした経験を携えてCruiseにやって来た。同氏は在職中、デルタの1株当たり利益を前年比15%以上増加させ、ノースウエスト航空との合併統合を主導した。

2018年までGMの社長(未訳記事)で、現在はCruiseのCEOを努めるDan Ammann(ダン・アマン)氏は、ウエスト氏の大企業でのカスタマーエクスペリエンス、オペレーション、安全性での実績が「Cruiseに完璧に合っています。私たちは自動運転技術の商業化への旅を始めるからです」と述べた。

Cruiseは2019年末までにいわゆる「無人」車両を使用した商用サービスを開始する(未訳記事)ことを目指していたが、そのスケジュールを後ろ倒しにした。他の自動運転車会社数社が自動運転車を利用した配車サービスの立ち上げの計画を延期した後の決定だ。Cruiseは、商用サービスを開始する新たな予定日をまだ発表していない。最初の商用サービスはサンフランシスコで提供される。

ソフトバンク・ビジョン・ファンドとT. Rowe Price & Associatesが投資するCruiseは数百台の自動運転車を保有しているが、ほとんどの場合、まだ人間のセーフティオペレーターが同乗している。Cruiseは2020年11月、5台の自動運転車を使用して無人運転テスト(人間のセーフティオペレーターが運転席にいないテスト)を開始した。同社の残りの車両は、人間の運転手が同乗するこれまでのテスト向けであり、その一部は地域のフードバンクに商品を配達するために使われている。

カリフォルニア州の自動運転車のテストを規制する機関であるカリフォルニアDMVは2020年10月、Cruiseに対しサンフランシスコ内の特定の道路で運転手が同乗しない5台の自動運転車をテストできる認可を与えた。Cruiseは2015年以来、安全ドライバーが同乗する自動運転車をテストする許可を保有している。

Cruiseは2020年2月、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)から自動運転車による州内での乗客輸送に関して許可を取得した。CPUCは2020年末に規制を変更し、適切に認可を受けた企業が自動運転によるシェアライドの料金を請求することを認めた。

CPUCのウェブサイトの情報によると、CruiseはCPUCからの認可適格のために、30日間無人運転をテストしたというデータを提示する必要がある。

ウエスト氏はその30日間が終了したときに採用される。同氏はCruiseのすべての商業運営を担当する。その中には数百台の車両の管理と顧客サービスが含まれる。

「Cruiseは生活を変え、輸送の現状を打破する方法をリードしています」とウエスト氏は声明で述べた。「私の生涯で、自動運転への移行ほど運輸業界での大きな変化はありません。私はこのような機会のためにキャリア全体を作り上げてきました」。

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画像クレジット:Cruise

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(翻訳:Mizoguchi

Waymoは「自動運転」という表現をもう使わないと宣言するが業界には賛否両論

Waymo(ウェイモ)は自社の技術に10年以上使い続けてきた「Self-driving(セルフドライビング、自動運転)」という用語の使用を止め、代わりに「Autonomous(オートノマス、自律走行)」と呼ぶことにした。

見るからに小さな変更だが、これにより同社の技術は何をして、何をしないかが明確になるとAlphabet(アルファベット)傘下のであるWaymoは話す。またこれは、Tesla(テスラ)がその先進運転支援システムの説明に使っている「Full self-driving(完全自動運転)」という言葉と自社(さらには業界全体)との距離をとるための取り組みとも見られている。

「この1年間、私たちはその言葉の重要性と、『自動運転車』といった用語がWaymoのような自律走行車メーカーの製品を正確に表現しないことの意味を考えてきました」と米国時間1月6日に公開された同社のブログ記事に書かれている。「Waymoの車両は、自分から走るわけではありません。むしろWaymoは、運転操作の自動化を目指しているため、自律走行のほうが正確な表現となります。先進運転支援システムと自律走行技術といった、大きく異なる技術の説明を1つの用語でひっくるめてしまうことは、『Autonowashing(オートノウォッシング)』と呼ばれています。そこには深刻な安全性の問題が潜んでいます。人々は一貫して、運転支援機能の能力を過大評価する傾向があるとの研究結果もあります」。

【訳注】Autonowashingとは、実際はそこまで自動化されていないにも関わらず、それを隠蔽(ウォッシュ)して自動運転ができるかのように思わせる用語のこと。

自動運転という用語を止めるWaymoの決断は、他の自律走行車メーカーからは、業界全体への行動の呼びかけとして見られている。だが、業界が用語の明確化と一般大衆の啓蒙の必要性に基本的に合意しているにも関わらず、Waymoが受け入れた具体的な用語体系に賛同しない企業もある。

TechCrunchが話を聞いた業界内部の一部の人たちや企業創設者たちは、「自動運転」という用語を使わなくなれば、不本意ながらその用語をTeslaに譲ってしまうことになりかねないと懸念している。啓蒙のほうに労力を振り向けるべきだと示唆する声もある。

「私たちは、この技術の無人運転へ適用を追究しつつ、自家用車やトラックを運転するテクノロジーと運転者を支援するテクノロジーとの違いを明確にする用語を使いながら、その恩恵について人々の認識を高めてもらう取り組みをしています」と、Aurora(オーロラ)のCEO、Chris Urmson(クリス・アームソン)氏はいう。「他の企業の誤解を招くマーケティング活動に同調して技術の名称を変えるよりも、私たちが目指す命を救う技術を定義する明確な用語に沿うことのほうが、業界としては重要であるという考えに私たちも同意します」。

そうしたWaymoへの反発は、ひとつには業界内の同社の立ち位置に関する認識が影響している。WaymoはもともとGoogle(グーグル)の自動運転車プロジェクトであり、技術開発と自律走行車の商品化で先陣を切る企業だ。同社の事業はこの新興市場において、大きな責任と影響力を背負っているからだ。

今回の発表にともない、啓蒙キャンペーンの名称を「Let’s Talk Self-Driving(自動運転を語ろう)」から「Let’s Talk Autonomous Driving(自律走行を語ろう)」に変更したWaymoは、自家用車の先進運転支援システムを、自動運転または半自律走行と説明し宣伝してきた自動車メーカーのこれまでのやり方が混乱を招いたと主張する。この呼称変更の元凶としてWaymoがTeslaを名指しすることは決してないが、「オートパイロット」や「FSD(フル・セルフ・ドライビング、完全自動運転)」といった用語を使うTeslaは、自動車と安全に関連する数多くの団体のみならず、自動車メーカーの間にも批判を巻き起こしている。

Waymoは、自動運転車として宣伝されている乗用車、トラック、SUVに乗るドライバーたちは、その技術の能力の限界を理解しておらず、間違った使い方をしかねないとの調査結果について語っている。同社が取り上げたのは、2019年に実施された調査だ。回答者の半数が、運転車が決してハンドルから手を離してはいけないシステムの場合でも、その運転支援機能は手放し運転が可能だと信じていたという。

ドライバーが運転席にいなくてもクルマが自動的に運転してくれる技術をどう表現するかに関連する疑問や混乱は、もう何年間も消えずにいる。自律走行、自動化運転、無人運転、自動運転といった用語が、この10年間、入れ替わり立ち替わり使われてきた。復活して人気を得ることなく、時とともに消えていった用語もある。「完全自律走行」は、ごく最近になって自律走行言語学に加わった新語だ。当のWaymoも、自動運転という言い方を止めると発表したブログ記事の中で、状況に応じて「自律走行」と「完全自律走行」を使い分けている。

「自動運転」という用語は、自律走行車技術を開発し商品化しようとする企業にとっては頼もしい存在だ。Argo AI(アーゴエーアイ)、Aurora(オーロラ)、Cruise(クルーズ)、Motional(モーショナル)、Nuro(ニューロ)、Voyage(ボイエージ)といった同業界の他主要メーカーは、彼らの取り組みを各ウェブサイトで「自動運転」と称している。Zoox(ズークス)は、自律走行配車サービスを自称するはみ出し者だ。

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画像クレジット:Waymo

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(翻訳:金井哲夫)

AppleとのEV提携の可能性に関する報道で現代自動車の株価が20%以上アップ

韓国の現代自動車(ヒュンダイ)は、自動運転電気自動車の生産に向けた協議をApple(アップル)と行っていると報じられたが、現代自動車はその協議はまだ「初期段階」で、何も決まったことはないと軽く扱う姿勢を崩していない。しかし、公表前には固い秘密主義を貫くことで知られたAppleとの協業の可能性に触れたそのニュースは、韓国時間1月8日、Korea Exchange(韓国証券取引所)における現代自動車の株価を20%以上押し上げた(Yahooファイナンス記事)。

協議が最初に報じられたのはKorea Economic Daily(コリア・エコノミック・デイリー)紙上で、その内容は韓国の自動車大手である現代自動車自らがBloomberg(ブルームバーグ記事)に対して以下のように認めている。「Appleと現代自動車は協議中です、しかしそれはまだ初期段階で、何も決定されていません」。また、同社はCNBCに対しては「Appleが現代自動車を含むさまざまな世界的な自動車メーカーと協議中であることは知っています。議論は始まったばかりなので、何も決まってはいません」と語っている。

現代自動車の広報担当者はTechCrunchへのコメントを拒否した。また、Appleにはコメントを求めている最中である。

2020年12月、Reuters(ロイター)が報じたところによれば、Appleの自動車構想Project Titan(プロジェクト・タイタン)はまだ続いており、自動運転式の電気乗用車の開発が計画されているという。だがこの車の発売は2024年以降になると考えられている。

現代自動車は2020年8月に独自の電気自動車ブランドであるIoniq(イオニーク)を立ち上げた。今後4年間の間に3種類の完全電気自動車を市場に投入する予定だが、これは2025年までにバッテリー式電気自動車を100万台販売し、EV市場で10%のシェアを取る戦略の一環である。また、現代自動車は自動運転技術企業のAptiv(アプティブ)との合弁会社を設立し、2022年までにレベル4とレベル5の量産可能な自動運転システムを、ロボタクシー、車両運用業者、自動車メーカーに提供することを目標としている。Aptivとの提携は2019年に発表されている。

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タグ:現代自動車Apple自動運転電気自動車

画像クレジット:DIRK WAEM/AFP / Getty Images

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