米国が欧州からの入国を禁止、例外的入国も11空港に制限

ヨーロッパからの外国人の米国への入国を30日間禁止するというホワイトハウスの決定により、すでに苦境にあった航空業界はさらに深刻な問題に直面することになった。米国市民および合法的永住権を持つ人々もCDC(米疾病予防管理センター)が承認した11空港以外は利用できない。当然ながら、このため多数の予約キャンセルが発生している。

CDCの承認を受けた空港は、アトランタ(ATL)、ダラス・フォートワース(DFW)、デトロイト(DTW)、ニューアーク(EWR)、ホノルル(HNL)、ニューヨークJFK(JFK)、ロサンゼルス(LAX)、シカゴ・オヘア(ORD)、シアトル(SEA)、サンフランシスコ(SFO)、ワシントン・ダレス(IAD)。これらはすべて主要なハブ空港であり、現在のところ中国からの直行便の受け入れも承認されている。ただし最近は多数の航空会社がこれらのハブに小規模な空港からの直行便を設定している。

米国時間3月12日、デルタ航空はアムステルダムとオーランド間、ポートランドとソルトレイクシティ間という都市間のフライトのキャンセルを発表した。またシンシナティ、ローリー/ダーラム、インディアナポリスからパリへのフライトも当面キャンセルされる。米国発のフライトは、米国時間3月12日まで運航され、3月13日に米国に戻るのが最終フライトとなる。

TechCrunchの取材に対してアメリカン航空は「状況が流動的なので事態を見極めるべく努力していると答えたが、CDCのリストにない空港へのヨーロッパ便は停止を余儀なくされる。 ルフトハンザなどほかの航空会社も、小規模空港へのフライトをキャンセルしている。この発表以前に、ルフトハンザのみで2万3000のフライトをキャンセルしたという。

アップデート:以下はユナイテッド航空の声明だ。

米政府による旅行制限措置に対応するため、我々はフライトおよび乗員のスケジュールを調整している。現在、変更手数料の規定を変更し、国内外の旅行客に対し、4月30日まで手数料を免除している。ヨーロッパから帰国する場合は、米国とヨーロッパ間の運賃に上限を設けている。

重要な点として、3月19日までヨーロッパから米国への定期便を引き続き運航する。20日以降はチューリッヒ、ブリュッセル、パリ、アムステルダム、マンチェスター、エディンバラへ毎日運航し、フランクフルトとミュンヘンへへは每日複数便を運航する予定だ。ロンドンへは每日往復18便、ダブリンへは3便、リスボンへも每日ではないが定期便を運航する。ただし需要の状況を注意深く観察している。

従来どおり、ユナイテッド航空は乗客、社員に最新の情報を提供し続ける。

画像: BERTRAND GUAY/AFP/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

航空会社もCES参入、デルタは新アプリやエクソスケルトンなどをお披露目

この数年、CESには新しい業界からの参入が目立っている。例えば自動車メーカーは、今やCESでもモバイルのイベントであるMWCでも重要な地位を占めている。2020年の新顔は航空会社だ。Delta航空のCEO、Ed Bastian(エド・バスティアン)氏がエアラインのトップとして初めて基調講演を担当し、旅客を助ける同社の最新テクノロジーを紹介した。

バスティアン氏はまた、Fly Deltaアプリなどを通じて同社の方向性を示した。このアプリはデルタ航空と利用客をつなぐ最も重要なチャンネルだ。デルタでは「Fly Deltaカスタマーのニーズを事前に予測できるデジタル・コンシェルジュにしていく」という。

同社は近く、予約したフライトの搭乗開始時間を知らせるといった機能をアプリに追加する。もちろん、旅客は事前に搭乗時間をさまざまな方法で知らされているわけだが、2020年2月から利用できるようになる新機能は搭乗グループ(デルタでは9グループある)ごとに時刻を表示するというので便利だろう。またどのセキュリティゲートを選ぶのと早く通過できるのか、などを教えてくれる。

またバスティアン氏によれば、アプリはARを利用して座席を選んだり、予約したフライトに気象状況が与える影響をいち早く通知したりするようになる(気象の影響については、最近ユナイテッドが同種のサービスを開始しているのに気づいた)。

Lyftのタクシーを利用するとDeltaのマイルが付与されるようにするなど、デルタはLyftとの提携を強化し、アプリに表示されるようにした。いくつかの空港ではDelta-Lyft提携によるプレミアム・トラベルの体験ができるという(場所や具体的内容については今後明かされる)。

「現在、空路を使うユーザーは、そこまでのナビアプリを開き、空港の駐車場でスペースを探すのに別のアプリを開き、セキュリティチェックでまた時間を食われるといった体験をしている。デルタはライドシェアから機内エンタテインメント、到着先でのホテル予約まで、ひとつのアプリで簡単にできるようにしようと努力中だ」とバスティアン氏は述べた。

また、デルタはMisapplied Sciencesのパラレル・リアリティ・ディスプレイのデモも行った。これは同一のディスプレイが複数のユーザーに対してそれぞれ個別にカスタマイズされた内容を表示するというSF的なテクノロジーだ。空港の壁面に設置された大型ディスプレイが、それぞれの乗客に対して英語、日本語、ロシア語など異なる言語で搭乗ゲートや位置を表示するようになっている。

デルタは2020年中に、デトロイト空港でMisapplied Sciencesのパラレル・リアリティ・ディスプレイのテストを開始するという。100人前後の利用者がそれぞれのフライト情報やアップグレードの可能性といった重要情報を見ることができる。もちろんこれはオプトインが必要だとデルタでは念を押している。また、利用者の情報は収集、記録されない(もちろん座席を予約した時点でデルタは顧客情報を保持することなるが、それ以外、という意味だ)。【略】

エクソスケルトン(外骨格)は、残念ながらゲートからゲートへ重い荷物を引きずって歩かねばならない乗客向けではなく、重量物を扱うデルタの職員向けだという。Sarcos Roboticsのエクソスケルトンを利用すれば、 90kgもの重量物を持ち上げる作業を8時間続けても疲れずにすむという(私なら疲れなくても飽きてしまいそうだが)。

エクソスケルトン装着の職員がバゲージを積み込み、無事にシートに収まった乗客がアプリを開くとBinge(一気見)ボタンが表示される。タップすると機内エンタメで連続ドラマを1シーズン分連続して見ることができる。また「邪魔しないでください」や「食事のときには起こしてください」などと依頼する設定もできるようになるという。

シートの間隔をあと2、3cm広げてくれるほうがよほど助かるという不平も聞こえてきそうだが、予定されているアプリのアップデートはそれぞれ便利だろう。実際、デルタでは最近、食事のバリエーションの追加を含め、飛行を快適するアップデートがいろいろ実行されている。

画像:Getty Images

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滑川海彦@Facebook

アメリカ、ノートPC持ち込み禁止令を完全解除――イギリスは禁令維持

アメリカ政府は、各所で物議を醸したノートパソコンの持ち込み禁止令を、全ての空港・航空会社について完全に解除した。中東の一部の航空会社と空港が対象となっていたこの規制だが、国土安全保障省によれば、「十分なセキュリティ対策がとられた」ため解除を決めたとのこと。

今月に入ってから既に主要航空会社3社は対象から外されていたが、昨日(現地時間7月19日)深夜に残り全ての航空会社と空港に関しても禁令を解除すると当局がTwitter上で発表した。

十分なセキュリティ対策がとられたことを受けて、3月に施行された大型の携帯電子機器(PED)の持ち込み禁止令を、10空港・9航空会社について解除する。

今年3月の発令後は、すぐにドバイやアブダビ、ドーハといった中東10か所の主要ハブ空港と航空会社9社を対象に、アメリカ行きのフライトでノートパソコンやタブレット、電子リーダーといった大型の電子機器が機内に持ち込めなくなっていた。

そもそもの狙いは国家の安全保障で、禁令はテロ組織が電子機器に爆発物を隠して機内に持ち込もうとしているという情報に端を発したものだと言われていた。

しかし、施行のタイミングや対象となった航空会社・空港に関しては疑問が残り、アメリカの航空会社が対象に含まれていなかったことから、自国の経済を守る狙いがあったのではと考える人もいた。禁令によって利用客にはかなりの不都合が生じ、特にビジネス客への影響は大きかった(その結果、対象となった中東の航空会社にも悪影響が及んだと考えるのが普通だろう)。

しかもトランプ大統領は、大きな議論を呼んだイスラム圏の主要7か国からアメリカへの渡航禁止に加え、同地域の企業を対象にした大統領令にも署名していたことから、ノートパソコンの持ち込み禁止にはアンチムスリム思想が関係しているのではないかとも疑われていた。

その一方で、今年の3月以降、イギリスもアメリカに続いて中東や北アフリカの一部の国からの直行便を対象に、(対象となる航空会社はアメリカとは若干違うものの)ノートパソコンの機内持ち込みを禁じている。

本件に関してイギリスの運輸省に確認をとったところ、同国では禁令に変更はないとのことだった。

「誤解のないように言うと、イギリス政府が3月に施行した規制は今でも有効だ」と運輸省の広報担当者は語る。

外交筋からの情報として、イギリスの禁令もトルコ発の便に関しては近いうちに解除されるとトルコ現地の報道機関は報じているが、同担当者は「噂や憶測」にはコメントしないと語った。

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(翻訳:Atsushi Yukutake