SpaceXは有人Crew Dragonカプセルの船上ダイレクトキャッチを目指す

 

SpaceX(スペースX)はCrew Dragon宇宙船の空中脱出システムのテストに成功したところだ。宇宙飛行カプセルは無事、大西洋上に着水した。しかし記者会見でSpaceXのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は有人宇宙飛行カプセルの地球帰還は将来まったく異なる方式となるはずだと述べた。

マスク氏によれば、SpaceXの今後の目標は洋上を航行する専用船によってCrew Dragonを「キャッチする」ことだという。 これにより、現在のように洋上に着水してから引き上げるというステップが不要となる。SpaceXでは同様のシステムでFalcon 9、Falcon Heavyのカーゴベイをカバーする大型フェアリングを回収船に張ったネットでキャッチすることに成功している。

「実現させるにはNASAと協議を続ける必要があるが、SpaceXが(フェアリング回収のために開発した)船上キャッチが使えるので非常にクールなアイデアだと考えている。船上回収システムが本格的に稼働すれば、有人Dragonが軌道上からの降下にあたって着水方式による各種の不便さを取り除くことができる」とマスク氏は述べた。

SpaceXがカプセルを着水させず、船上でキャッチできれば運用コスト、再利用の両面でも大きな前進となるはずだ。SpaceXではNASA以外商用クライアントにもCrew Dragonによる有人宇宙飛行サービスを提供していく考えだ。もちろん船上キャッチは将来の目標であり、 Crew Dragonの打ち上げサービスは当面通常どおり着水によるとマスク氏は強調した。有人カプセルの船上キャッチプロジェクトにはNASAの承認と参加が必要であり、まずは現在テスト中のフェアリングのダイレクトキャッチの信頼性を高めて認定を得る必要がある。SpaceXは2枚1組のフェアリングの片側を一度だけキャッチすることに成功しているものの、ほかの数回の実験は失敗している。

マスク氏は「当然だが、まずはフェアリングのキャッチが確実にできるようになる必要がある。Dragonのキャッチを考えるのはその後だ。しかしこれが実現すれば海に落とすのに比べて大きな進歩になる」と語った。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook