糖尿病患者・予備軍向けに低侵襲・低コストで簡便に利用可能なIoT血糖管理サービスを目指すProvigateが9.1億円調達

糖尿病患者・予備軍向けに低侵襲・低コストで簡便に利用可能なIoT血糖管理サービスを目指すProvigateが9.1億円調達

糖尿病患者・予備群向けに、低侵襲・低コスト・簡便に週次GA(糖化アルブミンによる週次平均血糖)を在宅測定できるIoT血糖モニタリングサービス「GlucoReview」を開発するProvigateは、総額9億1000万円の資金調達を発表した。引受先はSparx Group、ANRI、Coral Capital。

調達した資金により、GAセンサーの量産化開発、臨床研究、製造販売承認の準備を進める。まずはクリニックや薬局向けの血液GA測定システムの製造販売承認を目指し、並行して家庭向けの開発も加速する。人材採用や、生産パートナー・販売パートナーなど業務提携・資本提携先の探索も進めているという。

2015年3月設立のProvigateは、糖尿病の発症・重症化予防のためのバイオセンサーとアプリの開発を進めるスタートアップ。東京大学病院との連携のもと、週次GA測定×アプリによる血糖モニタリングの社会実装・世界標準化の実現を目指している。低侵襲・低コスト・簡便に週次GAを在宅測定できる本体・使い捨てカートリッジ・アプリを提供することで、1~3カ月の通院間隔中の在宅自己血糖管理を力強くサポートするサービスを提供するという。

Provigateによると、糖尿病の発症・重症化予防の重要な要素の1つは、日常的な血糖モニタリングという。しかし、ほとんど重症患者にしか使われていないそうだ。これは、現在の自己血糖モニタリングデバイスが「痛い」「高い」「難しい」という課題を抱えていることに加え、大半の糖尿病患者に対して保険適用外であることも要因の1つとしている。国によって割合は異なるものの、例えば日本では1000万人の糖尿病患者の9割程度は自己血糖測定が保険適用ではないと推察できるそうだ。

つまり、糖尿病患者の大半は1~3カ月に1度の通院時にしか血糖を測定しておらず、日々変動する血糖を測定することなく血糖管理をしようとしているのが、今日の糖尿病患者の大半ともいえるという。

そこでProvigateでは、糖尿病患者・予備群の方に、低侵襲・低コスト・簡便に使える在宅血糖測定の手段を提供する事を目指しているとした。糖尿病患者・予備軍向けに低侵襲・低コストで簡便に利用可能なIoT血糖管理サービスを目指すProvigateが9.1億円調達

Provigateが注目するのは、血糖の管理指標の1つであるグリコアルブミン(糖化アルブミン、GA)。GAは日本で開発され普及したバイオマーカーであり、直近1~2週間の平均血糖や食後高血糖の変化をよく反映することが知られているそうだ(Endocrine Journal 2010, 57 (9), 751-762)。主に病院や献血時検査で使われ、年間に約1200万回(うち約300万回は献血時GA検査)ほど測定されていると推定されるという(臨床病理 2018(66):37-48、臨床検査 2019(63):1406-1413)。糖尿病患者・予備軍向けに低侵襲・低コストで簡便に利用可能なIoT血糖管理サービスを目指すProvigateが9.1億円調達

現在、GAはマイナーなバイオマーカーであり、平均血糖指標のスタンダードであるHbA1c(糖化ヘモグロビン)の補助的な診断指標との位置付けという。今日の糖尿病診療では通院間隔が1~3カ月であることもあって、糖尿病の長期的な状況を診断するにはHbA1cが優れており、レスポンスが早いGAは、例えば治療の開始時や治療薬を変えた時など、短期的な血糖の改善を見たい場合や、透析患者等HbA1cが安定しない症例に限られているそうだ。

しかしGAは、数日~1週間程度の血糖改善にレスポンス良く応答するため、週次で測定したときに初めてその真価を発揮するはずとしている。Provigate・東京大学医学部附属病院・陣内会陣内病院の研究チームは、このGAの本質的な特徴から週次平均血糖指標としての可能性に改めて着目し、GAをHbA1cの代替診断指標ではなく、家庭での「行動変容指標」として再定義した。

GAを用いれば、一般的な血糖計(SMBG)のように数時間おきに指先から採血をする必要はないとしている。近年急速に普及してきた連続血糖計(CGM)のようにセンサー針を皮下に留置する必要や、数カ月に1度通院してHbA1cなどの血液検査を受けるのを待つ必要もないという。

Provigateによると、GAであれば、週に1度の在宅測定で週次血糖変動をモニタリングし、過去1週間の生活習慣を振り返るだけでよいとしている。測定頻度が週1で良く、直近数時間の血糖値で大きく上下することなく、直近1週間の行動変容を反映して数値が滑らかかつ鋭敏に変化するので、低侵襲・低コスト・簡便な血糖測定の手段となることが期待されるそうだ。HbA1cが病院で測定する「期末テスト」であれば、GAは家庭で週次の生活習慣の努力成果を計測する「小テスト」のような役割を持つとしている。糖尿病患者・予備軍向けに低侵襲・低コストで簡便に利用可能なIoT血糖管理サービスを目指すProvigateが9.1億円調達糖尿病患者・予備軍向けに低侵襲・低コストで簡便に利用可能なIoT血糖管理サービスを目指すProvigateが9.1億円調達

アップルのサプライヤー、英スタートアップRockley Photonicsが採血なしで血糖値を測定できる非侵襲センサーシステム発表

アップルのサプライヤー、英スタートアップRockley Photonicsが採血なしで血糖値を測定できる非侵襲センサーシステム

Rockley Photonics

将来のApple Watchに非侵襲性の血糖値モニター、つまり「注射器で採血することなく、手首に装着したデバイスで血糖値を測定できる」機能が搭載される噂が以前より繰り返されています。そんななか、アップルのサプライヤーがそのソリューションを正式に発表しました。

今回の声明は、イギリスのスタートアップであるRockley Photonics社が発表したものです。同社は今年5月、スマートウォッチの背面から赤外線を照射して血圧や血糖値、血中アルコール濃度などを読み取る次世代センサーを開発していることや、アップルと継続的な「供給・開発契約」を締結していることを明らかにしていました

現在のApple Watchに搭載されたセンサーは、赤外線と可視光を組み合わせて心拍数と酸素飽和度を測定しています。Rockleyの次世代センサーは、これより感度が高い上、より多くの数値が測定できる完全上位の技術というわけです。

さてRockleyの発表によると、完全なフルスタック(複数種類)の「clinic-on-the-wrist」デジタル健康センサーシステムを開発したとのこと。

公開されたリストバンド型デバイスは、ハードウェアとアプリケーションファームウェアを統合しており、コア体温(体内深部温度)や血圧、身体の水分補給、アルコール、乳酸(ラクテート)、血糖値の傾向など、複数のモニタリングができると謳われています。

このセンサーは、非侵襲的に皮膚の下を探り、血液、間質液(体液)や真皮のさまざまな層を分析して、重要な成分や物理現象を検出するとのこと。こうしたバイオマーカーは、これまではベンチトップ型(卓上に置いて使う)機器でしか測定できなかったとされています。

また本技術は今後数ヶ月のうちに社内でテストが行われてから、2022年前半には第1世代の製品が商業的に利用できるようになる見込みとのことです。つまり2021年秋に発売と見られるApple Watch Series 7(仮)には間に合わないとの噂が裏付けられたかっこうです。

Rockley社のテストが成功するのか、上手くいったとしてApple Watchに採用されるのかはまだ未知数というほかありませんが、少なくとも数年のスパンでは期待を持てる状態になったと見てよさそうです。

(Source:Businesswire。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)

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赤外線レーザーを応用した採血のいらない非侵襲血糖値センサーの開発を行うライトタッチテクノロジー(LTT)は7月5日、プレシリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額1億2000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、テックアクセルベンチャーズ、GA投資組合、フューチャーベンチャーキャピタルの各社が運営するファンド。2017年の創業以来の資金調達総額は補助金などを含めて約3億円となった。

LTTは、採血による血糖値測定における糖尿病患者の苦痛・ストレスの緩和、感染症リスクの低減、ならびに糖尿病予備軍や健常者の血糖値管理よる糖尿病予防を目標として、赤外線レーザーを応用した採血のいらない非侵襲血糖値センサーを開発している。調達した資金により、量産化に向けた試作器の開発を行い、臨床試験、薬事承認に向けた展開を加速させる。

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糖尿病患者は、1日4~5回、指などを針で穿刺する採血型自己血糖値センサー(SMBG: Self-Monitoring of Blood Glucose)を用いて血糖値を測定しなければならず、痛みや精神的ストレス、さらに感染症の危険を伴うなどの多くの問題を抱えている。LTTは、最先端レーザー技術により、従来光源と比較して、約10億倍の明るさの高輝度赤外線レーザーの開発に成功し、非侵襲血糖測定技術を確立した。採血なしに約5秒で血糖値を測定できるため、糖尿病患者や健常者による気軽な血糖値管理に活用することで、糖尿病人口の増加抑制、年々増加する医療費や介護費の削減とともに、健康寿命の延伸を目指すとしている。

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腕に貼ったセンサーにスマホをかざすだけで血糖値を確認できる「FreeStyleリブレLink」アプリ

アボットジャパンが「FreeStyleリブレLink」アプリ(iOS版)の国内提供を開始しました。

「FreeStyleリブレLink」は、上腕に貼ることで最長14日間血糖値を計測する「FreeStyleリブレ」センサーと連携するスマホアプリです。センサーに服の上などからスマートフォンをかざすことで、現在のグルコース値や直近8時間の血糖変動を確認できます。

「FreeStyleリブレLink」に保存される最長90日間のデータは、クラウドベースの糖尿病管理システム「リブレView」と連携した場合、自動的にアップロードされ、医師と共有可能。指先穿刺によって得られるピンポイントでの値と比べ、詳細な血糖データや過去の履歴、傾向などが把握できるため、オンライン診療においても役立ちます。

アプリは現時点でiPhone(iPhone 7以上、iOS 13.2以上)に対応。Android版も近日公開されます、同アプリは海外ではすでに公開されていましたが、ようやくの国内提供となった形です。

腕に貼ったセンサーにスマホをかざすだけで血糖値を確認できる「FreeStyleリブレLink」アプリ

Engadget日本版より転載)

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