製造業の生産現場向けSaaS「Proceedクラウド」を2月正式公開する東京ファクトリーが1億円調達

製造業の生産現場向けSaaS「Proceedクラウド」を2月正式公開する東京ファクトリーが1億円調達

東京ファクトリーは1月25日、ANRIを引受先とする第三者割当増資により、約1億円の資金調達を発表した。また、製造業の生産現場向けSaaS「Proceedクラウド」(プロシードクラウド)正式版を2月から提供開始すると明らかにした。

Proceedクラウドは、分散していた生産情報を工程写真を基に製造情報データベースを構築し、製造状況の可視化を行うサービス。モバイル端末での写真整理・保存機能、写真一覧画面への工程情報の表示機能、写真への書き込み機能などにより、業務効率化、遠隔での製作進捗状況の把握、技能継承の基になるデータベースの構築を実現する。

調達した資金は、Proceedクラウド強化に加え、顧客サポートに向けた社内体制強化を行う。今後も事業展開を加速させるとともに、日本のものづくりの実績・経験の蓄積により競争力を保ち続けることをサポートする。

製造業の生産現場向けSaaS「Proceedクラウド」を2月正式公開する東京ファクトリーが1億円調達

 

製造業の中でも、大型構造物の生産現場では、製品サイズが大きくライン生産が困難なことや、受注生産品が多いことから製造工程の自動化が難しく、人手に頼った生産を行う必要があるという。そのため、人件費が高い国内工場は新興国の工場に比べコスト競争力が低下しており、海外への生産移転が進んできた。

また国内製造業では人材確保が困難になっていることから、熟練技術者に属人化している管理手法や高品質を担保するためのノウハウを効率的に継承することが急務になっている。

またコロナ禍により、海外サプライヤーへの視察やスーパーバイザーの派遣が困難になったことで、工程の進捗を正確に把握できないことも大きな課題という。

そこで東京ファクトリーは、2020年10月から、製造過程において撮影した工程写真をベースに製造情報データベースを構築することでサプライチェーンの見える化と技能継承を実現するSaaS「Proceedクラウド」β版を公開。造船系メーカーや大手プラントエンジニアリング会社などに提供してきたという。

イワキテックでは、船舶部品などの製造現場でProceedクラウドを導入。製造状況の可視化と現場での実績・経験のデジタル化、モバイルを用いた作業効率の改善に寄与してきた。

関連記事
製造工程をSpaceX流に改善するワークフローツール開発のFirst Resonance、創業者は元SpaceXのエンジニア
「デスクを持たない」製造現場の人員のためのSaaSを提供するCioplenu
見積プロセスの変革で“製造業の原価低減”を実現する「RFQクラウド」公開、3億円の調達
原価管理の自動化で製造業をエンパワーする「GenKan」のβ版がローンチ
製造業のアナログな購買業務をITで変革、元キーエンスの起業家が作った「RFQクラウド」

カテゴリー:ネットサービス
タグ:資金調達(用語)製造業東京ファクトリー日本(国・地域)

製造工程をSpaceX流に改善するワークフローツール開発のFirst Resonance、創業者は元SpaceXのエンジニア

元SpaceXのエンジニアによって創設されたFirst Resonance(ファースト・レゾナンス)は、およそ2年間のステルスモードからついに姿を現し、世界に向けてソフトウェアツールキットを発表した。彼らの以前のボスの物作りのやり方を導入できるようデザインされた製造業者向けのソフトだ。

一連のソフトウェア製品からなるこのツールキットは、より柔軟な製造工程を可能にし、この新型コロナウイルス感染拡大によるソーシャルディスタンスの時代に、ハードウェア製造業者を遠隔管理の重圧から解放する機能もある。

「最初の数社の顧客は、これを使うことで実際に成長し、在宅での工場のワークフロー管理を容易にしています」とFirst Resonanceの共同創設者Karan Talati(カラン・タラティ)氏は言う。

First Resonanceが開発したこのソフトウェアを使うことで、製造業者はワークフローの組み立てを調整できるようになる。「まさにこれのために、我々はSpaceXの運転席から降りて、製造業や改修業で我々と同じような立場にいる人たちに協力しようと決めたのです」とタラティ氏。「その根底を支えるるのは、デザインや製造工程の改善に関する見識を企業が利用できるようにするデータプラットフォームです」と続けた。

「作業工程の面で言えば、無駄を削減し、より効率的に製品を作るというです。しかしこのソフトウェアは、製造業から収集した情報も含めてデザイン判断や上流の製品開発工程の改善ための情報提供もしてくれます」とタラティ氏は説明する。

同社の技術は、すでにPhase Four(フェーズ・フォー)、Joby Aviation(ジョビー・エイビエーション)、Iron Ox(アイアン・オックス)といった最先端の製造業者に採用されている。

このソフトウェアが十分に力を発揮できるのは、新しい製造工程や製造能力を構築しようとしている企業であり、レガシーなインフラに埋もれているところではそもそも難しい。「Tesla(テスラ)やSpaceXがコスト削減を実現できた理由として、より柔軟に運用できるシステムに作り変え、生産ラインから上がってくる情報に適応してきたことが挙げられます」とタラティ氏。「そのようにして私たちはFalcon 9での巨額のコスト削減の要求に応えることができたのです。データを上流で生かし、そのデータをフィードバックして混乱を受け入れました」とのこと。

タラティ氏によれば、製造業の多くは、あまりにも膠着した工程に依存しているため、解きほぐす必要があるという。すでに、航空宇宙、防衛、自動車といった製造業者は、若い製造スタートアップを買収したり、または提携したりして、その専門性と柔軟性の利点を生かしている。同氏が例に挙げたのは、Boeing(ボーイング)に買収されたMillennium Space System(ミレニアム・スペース・システム)と、超音速Air Force 1ジェット機のデザインを請け負ったHermeus(ハーミュース)だ。「私たちは、敏捷な製造業という新しい行動様式を可能にすることで、本当に進化できるのです」とタラティ氏は語る。

顧客は現在6社で、そのほとんどは6月から7月に契約している。ソフトウェアを昔ながらのサービスモデルでユーザー数での課金する。

First Resonanceは本日までに、200万ドル(約2億1000万円)弱を、Fika Ventures、Wavemaker、Stage Venture Partners、Village Globalといった地元ロサンゼルスの投資会社から調達している。

First Resonanceが提示した調査会社Makets and Markets(マーケッツ・アンド・マーケッツ)によると、工業用ソフトウェアの市場は149億ドル(約1兆5700億円)規模に達しようとする急成長市場(Makets and Marketsレポート)とのことだ。First Resonanceは、SpaceX、NASA、Lexus(レクサス)その他の航空宇宙および自動車製造業から人材を集め、そこに挑んでいる。

「その需要の大部分は、SpaceXから、航空宇宙、防衛、製造という幅広いエコシステムに移籍してきた人材によって生み出されている」とタリティ氏は言う。それは、売り込みを行う際の大きなセールスポイントにもなっていると話していた。

「移籍してきた人材によって私たちは大いに助けられています。私たちはこう簡単に訴えることができます。『それを私たちはともにやってきたのです。つまり、私たちはユニットエコノミクスの形をとっているので、億万長者のCEOがいなくても資金調達ができます』と」と語った。

個人の能力を引き出し、システムとのつながりを持たせるというSpaceXでの教訓が、製品の改善を重ねる企業のイノベーションを可能にすると同氏。そしてFirst Resonanceは、他の企業にツールキットを提供し、そうした考え方を各社の製造工程に導入できるようにした。

「私たちがFirst Resonanceに投資したのは、創設者のカランとNeal(ニール)が、この企業の創業者として、SpaceXとUptake Technologiesで培った経験に基づく他に類を見ない資質を備えているからです」と、Wavemaker Partnersの共同経営者Mikal Khoso(ミカル・コーソ)氏は声明の中で述べている。「時代遅れの技術や手法に溢れる製造業界では、デジタル化による革命はなかなか起きません。First Resonanceは、現代の製造業のための工場用オペレーティングシステムを構築し、ハードウェア製造企業が21世紀の製品を21世紀のやり方で作れるようにします」と締めくくった。

画像クレジット:SpaceX

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

「デスクを持たない」製造現場の人員のためのSaaSを提供するCioplenu

ドイツのアウグスブルクを拠点とし、製造現場の「オペレーティングシステム」と彼らが呼ぶソフトウェアを開発するスタートアップであるCioplenu(シオプレヌー)は、このほど420万ユーロ(約5億円)のシード投資を獲得した。このラウンドを主導したのはベルリンに本社を置くCherry Venturesだ。そのほか、2018年にCioplenuのプレシードを主導したミュンヘンの42Capと、3つの非常に著名なエンジェルが参加している。

そのエンジェルとは、先日シリーズB投資で6000万ドル(約65億3600万円)の獲得を発表したScoutbeeの共同創設者Fabian Heinrich(ファビアン・ハインリッシュ)氏、クアドリガ大学デジタルトランスフォーメーション学部の創立者であり教授のChristian Heinrich(クリスティアン・ハインリッシュ)氏、2013年にSAPに15億ドル(約1634億円)でイグジットを果たしたHybrisの共同創設者Moritz Zimmermann(モーリッツ・ジマーマン)氏の3名。

「デスクを持たない」作業員のためのSaaSとも呼ばれるCioplenuは、メンテナンス、新人研修、組み立て、検査など、製造現場の一連の作業をデジタル化するこを目指している。このソフトウェアはあらゆるデバイスに対応し、製造業者が導入している既存のIT製造システムと連携できる。すでに、Bosch(ボッシュ)、Schwan-Stabilo(スワン・スタビロ)、Hirschvogel(ヒルシュフォーゲル)など、10カ国以上の大企業がこれを採用している。

「典型的な製造業の作業場に行くと、10mのキャビネットに紙の計画書や資料や指示書などのファイルがぎっしり詰まっている光景を目にします」とCioplenuの共同創設者でCEOのBenjamin Brockmann(ベンジャミン・ブロックマン)氏は話す。

「今はメンテナンスや検査のほとんどがデジタルで行われていますが、組み立ての指示書は紙に印刷されています。書類の検索や配布は悪夢のような作業で、そこにはリアルタイムのコミュニケーションもなく、分析も一切行われません。そこが企業の巨大な盲点になっているのです」。

「この問題を解決するため、Cioplenuは直感的に使える製造現場のための『オペレーティングシステム』、つまりメンテナンス、検査、組み立てなどの工程にオールインワンで対応できるプラットフォームを構築しているのだ」とブロックマン氏は言う。

「私たちは、マルチメディア書類、計画書、アンケートなどが簡単に作れるエディターと、さまざまなデバイスを使い、デスクを持たない作業員のための操作ソフトウェアを提供しています」と彼は説明する。「企業資源計画を簡単に統合できるため、(製造業者は)素早くデータを収集し整理できます。同時に私たちの分析プラットフォームは、その企業の製造工程の整理を手助けします。簡単なことのようですが、企業がすぐに導入できるようにするために、例えば複雑なアクセス権の管理など、その他多くの複雑も盛り込んでいます」

Cioplenuの顧客は、工業市場の中小企業からボッシュやスタビロなどの大企業とされているが、実際に利用する人は、企業内のさまざまな部門や階層に広がっている。例えば、タブレットを手に製造フロアを歩く品質管理責任者は、そのソフトウェアを使ってデジタル化された計画書のチェックリストを埋めながら書類を作成している。

「どこかが故障すれば、品質管理責任者はその写真を撮り、説明を書き添えて記録できます。外国人の同僚と計画書を共有したいときは、自動翻訳された書類をワンクリックで送ることができます」と同社は話している。

そしてチームリーダーは、整理統合され、異常箇所がハイライトされたすべての報告を受け取る。施設管理者は、概要と、すべて計画通りに進んでいるか否かの分析結果をリアルタイムで入手できる。

「モジュラー形式のため、検査は数ある機能のほんの一部に過ぎないというところが美点です」とCioplenuのCEOは語る。「(私たちのソフトウェアは)組み立て方、機械のトラブルシューティングのやり方などなど、さまざまな従業員教育にも使えます」。

また製品の需要が非常に高いCioplenuは、フランクフルトにふたつめの事業所を開くことになったという。「新しいフランクフルト・オフィスのために、大規模な求人を実施し、社員を3倍に増やす計画です。マーケティング部門と営業部門の拡大が鍵になります」と、このスタートアップのもうひとりの共同創設者Daniel Grobe(ダニエル・グローブ)氏は話していた。

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

見積プロセスの変革で“製造業の原価低減”を実現する「RFQクラウド」公開、3億円の調達も

日本国内で約66万社存在するという製造業系の企業。そこで各社の競争力の源泉となる“モノの仕入れ”を担当しているのが購買部門だ。

特に規模の大きい企業ほど、資材や部品の購入価格が1%変わるだけでも数千万円、数億円の利益の違いをもたらすため「購買価格を最適化すること」には価値がある。

ただし現実はそう簡単ではない。現場では担当者1人あたりが「数百〜数千のサプライヤ、数百〜数千品目」を担当し、年間で数十億〜数百億円分の部品を調達するようなことも珍しくなく、そこには膨大な見積もり査定工数がかかる。査定プロセスはアナログで、そもそも複数社を同じ条件で比較することも難しい。

A1Aが本日10月2日にローンチした「RFQクラウド」はそんな購買担当者の課題を解決する製造業向けのSaaSプロダクトだ。テクノロジーの活用で見積査定の工数を削減するとともに、最適な価格での購買をサポートする。

今回同社ではBEENEXT、PKSHA SPARX Algorithm Fund、複数名の個人投資家から合計3億円の資金調達を実施したことも合わせて発表。RFQクラウドの機能強化を進め、より使いやすいサービスを目指していく計画だ。

統一フォーマットの導入などで見積査定工数が1/5程度に

RFQクラウドのポイントは「サプライヤー主導だった見積をバイヤー(購買担当者)主導に変えること」にある。

そもそも従来の商慣習では部品を提供するサプライヤー側が“自社のフォーマット”で見積を送るのが一般的。購買担当者は異なる形式で入力された情報を基に見積項目を比較しなければいけないので、査定に大きな負担がかかっていた。

手に入れた見積も保管場所はバラバラなことが多く、過去のデータが一覧できるデータベースのようなものも存在しないため、適正価格を判断するのに必要な材料を探してくるのも大変。本来時間を使うべき「見積の精査」にかけられる時間も限られていた。

そこでRFQクラウドでは購買担当者側から統一フォーマットを指定し、各サプライヤーがそれに合わせて見積を入力することによって見積工数を大幅に削減する。要は同じ形式で入力された“見積のデータベース”を作り「価格の妥当性」を把握しやすい環境を提供するというわけだ。

項目が統一されていれば複数社を横並びで比較することはもちろん、過去のデータと見比べることも可能。今までは難しかった「細かい条件による比較」や「埋もれてしまっていた古いデータの検索」も簡単だ。

アナログだった見積プロセスをデジタル化することで、余計に工数がかかっていた業務を効率化したり、担当者ごとに属人化しがちだったノウハウを共有する効果も見込める。テスト版を導入した企業では見積査定工数が1/5程度に短縮された事例もあるという。

ベータ版は約40社が活用も、多業種に広がりすぎて頭を悩ます

ベータ版ローンチ時にも紹介した通り、このプロダクトはA1Aの創業者である松原脩平氏がキーエンス時代に感じた現場の違和感を解決するべく開発したものだ。プロダクトを作るにあたって実際に約100社の担当者にヒアリングをしたところ、まさに「バラバラな見積もりフォーマット」や「データの属人化」といった共通の課題が浮かびあがった。

3月に公開したベータ版は40社以上が活用。当初メインの顧客層として考えていた製造業だけでなく、幅広い業界から想像以上に問い合わせが殺到したそうだ。ただこの予期せぬ状況が、結果的に松原氏の頭を悩ますことに繋がった。

「RFQクラウドの価値は見積もりの妥当性を把握することで、原価の低減を実現すること。『原価を下げる』というのは製造業以外にもニーズがあるため、さまざまな企業から反響があった。ただあまりに広い業界から問い合わせを頂いたので、細かい要望を聞きすぎた結果SaaSを提供する企業ではなくSIerよりのビジネスになってしまう懸念も出てきて。山を登るスピードが遅くなってしまった」(松原氏)

そんな状況が続いたため、原点に立ち戻り改めてRFQクラウドの価値を整理したそう。その上で顧客を再定義し、製造業の中でもまずは量産品を手がける企業にフォーカスして機能を磨き正式版をリリースした。

「自分たちが目指すのはB2Bの取引をワンランクあげるために『取引コスト』を解消すること。それを紐解くと意思決定に必要な情報を集めるのに要する『探索コスト』、当事者間の交渉に要する『交渉コスト』、契約を確実に遵守させるための『監視コスト』が存在する。まずは見積もりデータをRFQクラウド上で一元管理することで、探索コストや交渉コストを解消していきたい」(松原氏)

正式版の提供は本日からになるが、年商数兆円クラスのエンタープライズ企業から100億円規模の成長企業まですでに7社で正式導入が決定している。

この領域で国内の競合となるのは、オンプレの基幹システムを作っている企業がモジュールとして同様の機能を提供するケース。高額なオンプレシステムに比べてRFQクラウドは月額15万円から導入できるのがわかりやすい利点ではあるが、ゆくゆくは企業間取引の領域まで拡張していくことで利便性を高め、購買部門におけるインフラを目指す計画だ。

最終的にはB2Bの取引プラットフォームへ

今回A1Aではプロダクトのローンチと合わせて3億円の資金調達も発表している。

BEENEXTは前回ラウンドからのフォローオン投資。PKSHAも前回は本体からの出資だったので少し形は変わるものの(今回はスパークスと共同運営するファンドからの出資)、継続してA1Aに出資することになる。

調達した資金はプロダクトの機能強化と事業拡大に向けた人材採用に用いる計画。今後は一品ものを手がける製造業向けの機能を整備することから始め、次のステップではサプライヤー側へのサービス提供も見据える。

「サプライヤー側も見積の属人化や見積の管理など同様の課題を抱えている。適正な見積を算出するのは簡単なことではなく、実は赤字受注をしてしまう企業も少なくない。サプライヤーが自社の強みと実績をアピールできる仕組みを作ることで、正当な評価を受けられるようにしていく」(松原氏)

RFQクラウドは現在サプライヤー側が無料で使える仕様になっていて、各バイヤーからリクエストを受けたサプライヤーがどんどんネットワークに入ってきている状態だ。バイヤーは1日あたり10〜30件の見積依頼を行なっているため、同サービスは日々の業務で欠かせない存在。その特性を活かしてバイヤーを起点に一気に双方の企業数を拡大していく狙いだ。

また機能拡張と並行してグローバル対応も進めていく方針。松原氏によると多くの企業は海外のサプライヤーにも見積をとっていることが珍しくなく、言語や通貨の違いを超えて複数社を比較できる機能が求められているそう。国を跨いで使えるようになれば、RFQクラウドの規模が拡大することはもちろん、日本の製造業をエンパワーすることにも繋がる。

「当初は『商慣習を変えるなんて本当にできるのか』と周囲から言われ続けた中でのスタートだったが、やってみてわかったのは十分変えられるということ。バイヤーとサプライヤー双方にとって利便性の高いプロダクトを作り上げ、最適なB2B取引を実現するプラットフォームを目指していく」(松原氏)

A1Aのメンバー。前列左から2番目が代表取締役の松原脩平氏

原価管理の自動化で製造業をエンパワーする「GenKan」のβ版がローンチ

近年、製造業におけるテクノロジーの導入が活発だ。「インダストリー4.0」や「第4次産業革命」という考え方も広がる中で、IoTやAI、ロボットなどを用いた新たな仕組みが次々と登場し、徐々に現場での活用も進んでいる。

この業界は担当者の勘や経験、根性に頼ってきた側面が強いからこそ、ITを上手く使うことでより効率化できる余地も大きい。特に日本国内ではこれから人材不足が深刻化することが予想されるから、現場の生産性を上げるツールのニーズが一層高まっていくだろう。

本日3月15日にβ版が公開された「GenKan(ゲンカン)」も、まさにIoTデータを用いて製造業をエンパワーするプロダクトだ。

このサービスが取り組むのは、原価管理の自動化。手間のかかる「実績データの取得」「実際原価計算」「原価分析」という一連のフローを独自のアルゴリズムを用いて自動化することで、製造現場の実態を金額で見える化し、生産性向上に繋げようとしている。

IoTの導入は進むも「金額の見える化」は進んでいない

Genkanを開発するKOSKAは、代表取締役CEOの曽根健一朗氏や取締役COOの樋口海氏らが2018年10月に創業したスタートアップだ。

もともとは現在同社が所属する日本原価計算研究学会と、ものづくりとITの融合を目指すIVI(インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ )の間で「ものづくり×IT×原価計算で何か新しいことができないか」と始まったプロジェクトがきっかけ。そこから実証実験を重ねつつ、KOSKAとして法人化した。

実際に大企業から中小企業まで、さまざまな製造業の現場を見てきた中で「(IoTなどにより)製造現場の見える化は進みつつあるものの、金額で見える化されていない」点を課題に感じている企業が多いことに気づいたそう。それがGenkanのアイデアにも繋がっているという。

「データを取得していたとしても機械のモニタリングタイムや中断時間の把握までしかできていないと、それを基に改善を試みたところで『結局今までと同じようなアクションしかできない』という状況に陥ってしまう」(樋口氏)

それに対してGenKanではデータ取得、原価計算、原価分析をそれぞれ自動化した上で、現場のオペレーションを増やすことなく「日々決算」や「適切なKPI、打ち手の設定」を実現できる仕組みを構築した。

データの取得から計算、分析までを一気通貫でサポート

全体の流れとしては、まず実績データとして現場のスタッフと製造機械の作業時間を「加速度センサ」「カメラセンサ」「重量センサ」を用いてリアルタイムに自動で収集。取得したデータや蓄積された生産データを基に、工場・製品・ライン・工程など細かい粒度で実際原価の計算を行う。

その結果から差異分析や要因分析を実施し、ダッシュボードや定期的なレポートによって経営状況を金額ベースで見える化するとともに、改善点の優先順位付けやKPIの設定をサポートするというものだ。

そもそも製造業の管理会計の現場では、実績原価を細かく把握できていないことが原因で収支管理の即時性に欠け「当月収支は翌月末、四半期の収支は翌四半期が始まるまで把握できない」という事態が発生しているそう。

GenKanでは現場の生産量や稼働状況を反映した実際原価をリアルタイムで更新されるため、1日単位で収支管理を行うことが可能。何か大きな問題が起こる前に危険なシグナルに気づき、早めに対応できるようにもなる。

生産データ画面

実際原価計算画面。センサーから取得したデータを基に、製造現場の実態を金額で見える化する

またそれらのデータを基に、現場に沿った形で改善のポイントを自動で提案するのも特徴だ。

既存の生産管理ソフトや管理会計ソフトは計算を行う部分にフォーカスをされていて「要因分析や差違分析にはそこまで得意ではない」というのが曽根氏やの樋口氏の考え。「現場と原価を繋げた分析サービスがない」ことから、そこに焦点を当てたレポートが自動で作成される機能を実装した。

改善ポイントなどが示された、原価分析レポート画面

中小企業でも効果的な原価計算ができる仕組みを

曽根氏の話では顧客ごとに違いはあれど、「取得・計算・分析」のどこかでつまづいてしまい“効果的な原価計算”をできずに悩んでいるケースがほとんどなのだそう。今では大きく「そもそもデータを自分たちで取得するのが難しい」タイプと「データは取れているので、それを上手く使いこなしたい」タイプの2種類に別れるため、それに合わせてβ版では2つのプランを用意している。

月額4万5千円からのセンサ取付プランでは全行程に対応。スタッフの日報や生産データ入力、ストップウォッチ測定などを通じて作業時間を測っていた場合など、データの取得段階から大きな手間やムラが発生していた現場をセンサーでサポートする。

もうひとつのデータ利用プランはすでにIoTデバイスなどを導入していて、データの取得までは自社でできている顧客向け。計算・分析業務を自動化することができ、月額3万円から利用可能だ。

今回話を聞いていてちょっと意外だったのが「データの取得はできている企業からも引き合いが多い」ということ。そもそもIoT端末から取得したデータを原価計算に利用するという発想が珍しかったそうで、「こういうのを待っていた」とポジティブな反応が多いのだという。

これまで武州工業や丸和電子化学など複数の企業と実証実験を継続。自動車部品メーカーや電子機器メーカーを始め、大量生産から少量多品種の業種まで10社近くの導入が決まっている。1月には3000万円の資金調達も実施済みで、今後は正式版の公開に向けてプロダクトの改良やターゲット顧客の選定を進める計画だ。

「原価計算研究学会は日本とドイツにしかない。それぐらい原価計算の分野において日本は進んでいるが、それでも一部の企業しかできていないことも多い。ただその知見や仕組みが日本を代表する大手の製造業を支えてきたことは間違いないし、ITを使えば中小企業でも膨大な手間やお金をかけずに、それに近いレベルまでたどり着けるはずだと本気で考えている。GenKanではそんな世界を実現していきたい」(曽根氏)

製造業のアナログな購買業務をITで変革、元キーエンスの起業家が作った「RFQクラウド」

「元々新卒で入社したキーエンスで、営業として主に中部地方の自動車関連メーカーを担当していた。当時実際に体験したのが、同じ企業でも工場や部門、担当者が変わるだけで同一製品が違う価格で売れるということ。そこにずっと違和感を感じていたからこそ、今の事業を立ち上げた」

そう話すのは、テクノロジーを用いて製造業の課題解決に取り組むA1A代表取締役社長の松原脩平氏だ。

松原氏が着目したのは製造業において競争力の源泉となる“モノの仕入れ”の領域。従来各社の購買調達部門が担ってきたが、多くの担当者が「購入品目の価格が妥当なのか、そもそも最適な価格はいくらなのかがわからない」という共通の悩みを持っているという。

その解決策となるのがA1Aの開発する購買調達部門向けの見積もり査定システム「RFQクラウド」だ。本日3月12日にβ版がローンチされた同サービスは、煩雑な見積プロセスをクラウド上で完結させる仕組みを通じて「価格の透明化」を実現し、最適価格での購買と担当者の業務効率化を支援する。

100社にヒアリングした結果を集約したプロダクト

一般的に製造業の購買担当者は適切な価格でモノの仕入れを行うべく、数社のサプライヤに見積を依頼した上で明細や図面の内容を精査し、類似品と比較した後に発注先を決定する。この業務は高度な専門性と経験が求めらる一方で、現在もアナログ的な要素が多く効率化が進んでいない。

結果として「個別品目ごとに十分な見積査定を実施できていないという企業が多いのが実情」(松原氏)なのだそう。担当者間で見積のデータが共有されていないため、業務が属人的になったり、ブラックボックス化したりといった課題もある。

「プロダクトを立ち上げるにあたって約100社にインタビューを実施したところ、各担当者が似たようなことを言う。そもそも製造業は部品がものすごく多く、車だと3万点ほど。1人あたりが数百〜数千の取引先を持ち、膨大な品目数を担当している。ただでさえ各見積の項目数が多いことに加え、サプライヤごとにフォーマットもバラバラでどうしようもない状況に陥っている」(松原氏)

A1Aが購買担当者にヒアリングをした中で見つかった代表的な課題

RFQクラウドでは見積査定に必要な情報をデータベース化することで、これらの課題を解決する。

複数のサプライヤの見積を横並びで比較できるように情報の粒度を統一し、クラウド上に蓄積。データを貯めていくことで、簡単に過去の見積とも比べられる環境を整える。加えてエクセルとメールが主流だった一連の業務フローをクラウド上で行うことによって、属人化を解消するとともに工数の大幅削減も実現する。

大雑把に紹介するとRFQクラウドはそんなプロダクトだ。A1Aではこのサービスを購買担当者の使用ID数による月額課金モデルで展開する計画。1IDあたりの料金は月額2万円からだ。

見積プロセスをクラウド上で完結させ、価格を透明化

ここからは同サービスの特徴的な機能をもう少しだけ詳しく紹介していきたい。

まず複数の見積を比較する上でボトルネックになっていた「見積フォーマットや項目がサプライヤごとに異なる」問題を解決するために、“バイヤー指定統一フォーマット”を取り入れているのがポイントだ。

そもそも従来は見積をサプライヤ側から提出するのが一般的だったため、フォーマットにズレが生じていた。RFQクラウドでは見積プロセスをバイヤー(購買担当者)起点に置き換え、同一のフォーマットを複数のサプライヤに送付することで、戻ってきた見積をそのまま比較できるようにする。

見積の回答をシステム上で受け付けることにより、各社ごとにメールのやりとりを何往復もしたり、送られてきた見積の内容をエクセルなどに転記する手間もない。フォーマットの項目はカスタマイズできるので、自社にとって必要な項目を効率よく把握することが可能だ。

また、これまではフォーマットがバラバラだったり、見積データのファイル形式が紙やエクセル、PDFなど異なっていたため過去の見積と比べるのも難しかった。RFQクラウドの場合は各社の見積が同じ形式でクラウド上に貯まっていくので、見積データベースが自動で構築されるようなイメージに近い。

松原氏いわく「価格の妥当性を見極めるには、相見積もりだけでは不十分。過去の見積と比較することも非常に重要」なのだそう。同サービスは一度データベースを作ってしまえば、明細検索機能や抽出したデータの横並び比較表示機能を通じて、複数社の見積や過去のデータを簡単に参照できるのがウリだ。

これらの特徴に加えて、見積プロセス全体をクラウド化することで、属人化しがちだった工程やブラックボックスとなっていた部分がクリアになる。出し直しなどにかかる余計な工数を大幅に削減できる利点もあり、テスト的にクローズドで提供していたα版の導入企業では見積査定工数が1/5程度に短縮された例もあるという。

「購買担当者は原価を何パーセント下げたかをKPIとしていることが多く、とにかく原価を下げたいという思いが強い一方で、これまでは下げる材料がなかった。自分たちは業務効率化が主目的ではなく、あくまで原価を下げることにコミットしている」(松原氏)

売り上げの規模が大きい企業ほど、わずか1%の原価の変動でも業績に多大な影響を及ぼす。だからこそ最適価格での購買をサポートするシステムには明確なニーズがあるようで、β版についてもすでに大手企業を中心に約20社での導入が決まっているという。

ゆくゆくは「企業間取引」を支えるプラットフォームへ

A1A代表取締役社長の松原脩平氏

冒頭でも触れた通り、松原氏はキーエンスの出身。同社を経てコロプラの子会社であるコロプラネクストでベンチャーキャピタリストとして働いた後、2018年6月にA1Aを創業している。

RFQクラウドの原案となるアイデアはキーエンス時代から考えていたそう。2018年7月にはBEENEXT、PKSHA Technology、コロプラネクスト及び複数名の個人投資家から5300万円の資金調達も実施し、プロダクトの開発を着々と進めてきた。

松原氏によると、購買担当者向けの既存プロダクトとしては大手Sierが手がける「発注システム」がメインとなるが、その前段階の「サプライヤの選定から見積依頼・査定、発注先の決定」に至るプロセスを最適化するようなソリューションはほとんどなかったという。

一部の発注システムベンダーはオプションとして発注前のプロセスに対応した機能も提供するが、これは発注システムの拡張機能として利用するのが基本。これまでオンプレ型のシステムが中心だった市場にSaaS型のプロダクトとして挑む格好になり、コスト面や導入ハードルの低さでも大きな違いがあるということだった。

A1Aでは今回紹介したようにRFQクラウドを通じて「価格の透明化」を進めていくが「これはあくまでファーストステップにすぎない」(松原氏)とのこと。次のステップでは価格以外の軸で取引の妥当性を評価できる機能のほか、サプライヤ企業向けの機能も提供していく方針。最終的にはシステム上でバイヤー企業とサプライヤ企業の最適なマッチングをサポートする「企業間取引プラットフォーム」を見据えている。

「もともとA1Aという社名も『B2B取引をワンランク上にしたい』という思いからきたもの。バイヤー向けの見積査定システムから始めることで、1社のバイヤーに紐づく数百〜数千のサプライヤーをサービス上に巻き込めるというメリットもある。まずは企業間取引の入口である『見積』のデータ化を通じて最適価格での取引を支援しつつ、ゆくゆくはB2B取引の基盤となるプラットフォームを目指していきたい」(松原氏)

意外に思うかもしれないが、Google Glassが死んだことはない

Googleが(米国時間の)火曜日にGlassの新しいエンタープライズ版をリリースしたとき、幾つものヘッドラインたちがGlassが戻ってきたと報じた。だがそれが立ち去ったことは実際には1度もない。確かに2015年1月には消費者向けのExplorerプログラムは終了したが、Googleはその後も引き続きGlassを企業に販売して来た。

その意味で、昨日リリースされたものは「復活」ではなくて、同社が全力で進めてきたGlassのエンタープライズ戦略の「継続」だ。昨日の発表はそれをただ公式にしただけのものに過ぎない。

GoogleがExplorerプログラムを終了した直後の2015年には、複数の企業がGlassを使った作業を継続して行くと語り、Google Glassは企業の中で健在で、使われ続けていることが示されていた。当時APX Labs(現在はUpskillという名前で知られている)のCTOだったJay KimはTechCrunchに対して、「グーグルは引き続き、Glassをパートナーに大量に売っていますよ」と語った。

昨年、企業における「顔の上のコンピュータ」に関する特集記事で、私は現場でGlassを使用しているGEとボーイングの人びとに話を聞いた。ボーイング社はこれを使用して、従業員が複雑なワイヤーハーネスを組み立てる作業を支援していた。Glassを使用すれば、在庫からワイヤを引き出しながら部品番号をスキャンすることが可能で、次の手順を確認することができる。さらに、音声コマンドを使用して検索を行うこともできる。この方法は、技術者が手を自由にして作業を行うことができ、情報が目の前に現れるために、ラップトップやタブレットを使用するよりもはるかに効率的なものだ。

2016年1月にGEヘルスケアのウェブサイトでは、GEはGlassの利用も含む以下のような先進技術に触れている

緊急治療室(ER)に向かう救急医療技術者たちは、Google Glassを使用して病院の医師とリアルタイムのビデオや音声でコミュニケーションを行い、患者の最新状態を提供し続け、患者の到着を待ち構える救急チームが、正しい準備を整えることができるようにする。

今年5月、 IEEE Spectrumは、ER内でGlassを利用した同様のシナリオに関する記事を掲載した

遂にマサチューセッツ大学医学部の医師チームは、同デバイス向けのキラーアプリを発見したようだ。緊急医療コンサルテーション用途である。Glassは、離れた地にいる専門家たちが確実かつ正確に、患者の観察および診断をリアルタイムに行なうことを可能にする。災害シナリオでは、第一対応者によるトリアージ(被災者をその重症度に応じて分類し治療の優先度を決めること)を助けることも可能だろう。

今回のエンタープライズアップデートでは、これまで初期のGlassデザインを利用していた企業に大きくアピールすると思われる、興味深いいくつかの変更が加えられていることは注目に値する。主な変更の1つに、Glassモジュール(Glassの本体)をフレームから切り離したことが挙げられる。これによりサードパーティパートナーがモジュールを、安全メガネなどの任意のフレームに装着できるようになった。

また新しいバージョンでは、簡単な入力のために、ユーザーがGlassをバーコードスキャナやキーボードなどの他のデバイスに接続することも可能だ。その他の変更としては、バッテリー寿命の延長、8メガピクセルのカメラ、より高速なプロセッサー、そして軽快に動作するWi-Fiなどがある。

現時点では、GoogleはGlassの主要対象業種として製造、物流、フィールドサービス、ヘルスケアを狙っているが、サードパーティのパートナーたちが他の分野での応用を目指す可能性がある。

昨日の発表で、Explorerのプログラムが終了したときにGlassはお蔵入りしたと思っていた人たちは驚いたかもしれないが、実際には大企業とサードパーティのパートナーたちは引き続き作業を続けていた。Enterprise Editionはそれをよりはっきりと世界に訴えたものであり、初期のハードウェアに対する必要なアップデートを提供するものだ。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

製造業向け価格比較サイト「Aperza」などを手がけるアペルザ、GMO-VPから1.5億円の資金を調達

アペルザ代表取締役社長の石原誠氏

アペルザ代表取締役社長の石原誠氏

製造業向けに特化したインターネットサービスを提供するアペルザは11月28日、GMO
VenturePartners(GMO-VP)を引受先とした1億5000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

アペルザは2016年7月の設立。代表取締役社長の石原誠氏は、新卒でキーエンスに入社。同社初となるネット事業「iPROS(イプロス)」の立ち上げに参画した。2014年に同社を退職し、英語学習者向けアプリを手がけるポリグロッツを創業。さらに2014年9月にも新会社エデュートを立ち上げ、教育向けのアプリ構築プラットフォームを開発した。

石原氏はここからまた本業である製造業領域に戻って事業を始める。2014年年12月には新会社クルーズを創業。同社は製造業コンサルのFAナビ、製造業向けメディアのオートメ新聞と経営統合を経てアペルザを新設。その代表となった。

アペルザが現在手がけているのは製造業向けのニュースサイト「ものづくりニュース」や業界紙の「オートメーション新聞」、製造業向けのカタログポータルサイト「Cluez(クルーズ)」、工業用資材の価格検索サイト「Aperza(アペルザ)」など。アペルザでは、今回調達した資金をもとにCluezおよびAperzaを中心にしたサービス体制強化に充てるとしている。また、今回の調達にあわせて、GMO-VPの宮坂友大氏が社外取締役に就任する。

ape

アペルザが情報を扱うのは、製造業で用いられる間接資材(製造業向けの組み立て装置など)。間接資材の設備部品は文字通り星の数ほどあるそうで、大手資材商社であるミスミが扱う間接資材の部品点数はなんと800垓(はっぴゃくがい。1垓は10の20乗。億、兆、京、垓となる)にも上るそうだ(ただし製造用途にあわせてある程度の組み合わせは決まっているそう)。Cluezではそんな間接資材メーカー1500社のカタログを掲載。Aperzaでは260万点の価格情報を保持。製造業の調達部門や製造業向けの購買代行商社などに向けてサービスを提供している。

「(間接資材の)市場規模は20兆円。その市場のオンラインシフトが進んでいる。ミスミもMonotaROもAmazon、アスクルも狙っていると言われている。だが現状、買い手向けの『価格.com』的なサービスがない。そこを狙う」(石原氏)

同社は今回調達した資金をもとにCluezの営業強化、Aperzaの開発強化を進めていく。

またアペルザでは現在国内メーカーに加えて台湾、中国での営業も開始。さらに9月には米国シアトルにもラボを立ち上げ、サービスの準備を開始したという。「我々が手がけるサービスは欧米でもまだ存在しない。先行者利益は大きい」(石原氏)

Fordの自動車組立ラインでは、人とロボットが協力して作業している

ford-robots

あなたの次の同僚は工業ロボットかもしれない。Fordは、将来的に世界中の自動車の組立ラインで人とロボットが手を取り合って作業する道筋をつけるためのパイロットプロジェクトを行っている。

この自動車メーカーは協力的な新型ロボットを活用する。名前はco-botsといい、作業員がFiestaの車種にショックアブソーバーを取り付ける助けをする。このロボットはドイツ、ケルンにある組立工場に導入されている。このタスクではco-botsと作業員が協力し、毎回完璧に取り付けることを支援するものだ。このトライアルがスムーズに機能すれば、Fordはco-botsを近い将来、他の工場にも導入していくことを検討している。

「これが十分効率的であることが証明されれば、他の工場に導入することを検討することができます」とFordの担当者Karl Henkelは今日私に話した。「このco-botsで人を置き換えるのではなく、人と協力することを提案します。人ができないことをロボットがするということでもありません。補完的な役目を担っていて、チームとして協力するものです」。

Fordが戦略的にショックアブソーバーを取り付けるタスクを選んだのは、これは通常過酷な仕事で、7時間から8時間、組立ラインに人がいなければならないからだ。1メートルくらいの高さのco-botsは、その作業を手伝う。組立ラインで人とco-botsが協力している様子はこの動画をみてほしい。

Henkelによると、Fordのケルンにおける人とロボットのトライアル運用は、Industry 4.0 Automation(産業4.0自動化計画)を進めるための調査の一環だという。この自動化計画では、co-botsや他の自動化テクノロジーを組立ラインや他の分野で活用することを検討している。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website