中国が活気づく電子タバコ産業の規制を計画

電子タバコに対する健康上の懸念が近年増大しているため、中国はその開花しつつある市場を規制するための措置をとろうとしている。

中国の国家衛生健康委員会(国家卫生健康委员会)が、電子タバコの調査を開始し、業界に向けての法案を提出することを計画していることを、当局の責任者であるMao Qunan(マオ・クナン)氏が今週のプレス会議で発表した。この動きが起きたのは、中国の電子タバコスタートアップたちが、昨年世界最大の喫煙者市場の中で注目を争って莫大なVC資金を調達したことによる。

中国における電子タバコサプライヤーには、業界大手のJuulによる訴訟を受けているあまり知られていない小さな工場から、中国への進出を狙っているJuul自身、そして深圳の製造業ネットワークから生まれた、VCによってバックアップされているスタートアップまで様々なものがある。Crunchbaseが収集したデータによれば、少なくとも20社の中国の電子タバコ会社が2019年の初め以降資金を調達している。

これらの企業は実質的に、国家独占企業である「中国烟草」(China Tobacco)に対抗する勢力である。中国烟草は世界最大のタバコメーカーであると同時に、政府に巨額の税収をもたらしている。

成人が喫煙を止めるために、電子タバコが役立つという説を支持する研究者もいるが、一方では電子タバコは従来のものと変わらない習慣性を持っているという証拠を示す者もいる。 その他の大きな論争は、10代の若者の間で電子タバコの使用が増えていることであり、これがカリフォルニア州の電子タバコ製品販売禁止計画につながっている。

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中国は、新しい喫煙技術にさらなる精査も行っている。その調査によれば、電子タバコを加熱することによって生成されるエアロゾルには、「大量の有害物質」が含まれ、電子タバコの添加物は「健康上のリスクをもたらす」可能性がある、とマオ氏は語った。彼はまた、ニコチンレベルのあいまいな表記は喫煙者をミスリードし、ずさんな機器の規格はバッテリーの暴発やその他の安全性の懸念があることを指摘した。

米国と同様に、中国でも若者の間で驚くほど高い電子タバコ率が観察されている。これもまた、北京政府が業界の調査に乗り出した理由の1つである。子供、10代、そして若者による電子タバコ利用は安全ではないことが証明されている。なぜなら習慣性の強いニコチンが、脳の発育に害を及ぼす可能性があるからだ。

5月に中国は、ニコチンのレベル、添加剤の種類、および電池式シガレット装置に許容される部品とデザインを規定する、電子タバコ用の一連の規格(中国語)を作成した。

画像クレジット:EVA HAMBACH/AFP / Getty Images

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(翻訳:sako)

YouTubeへの不満を受け米連邦取引委員会は子どものプライバシー法改訂を検討

米連邦取引委員会(FTC)は、COPPA法(Children’s Online Privacy Protection Act)として知られる、インターネットでの子どものプライバシーを守る法律の強化を検討している。この法律は2000年に施行されたが、子どもたちのモバイルデバイスやソーシャルネットワーキング・サイトの使い方の変化に対応して2013年に修正されている。そして今、FTCは、さらなる修正が必要なときが来たと感じている。FTCでは、数々の修正案に対する意見を求めているが、なかでも重視されているのが、子ども向けと明確に指定されていないながら、多くの子どもたちが利用しているサイトの問題だ。

言ってしまえば、YouTubeのようなサイトだ。

このFTCの発表は、アメリカの消費者擁護団体とエド・マーキー(Ed Markey)上院議員(民主党マサチューセッツ州選出)が、COPPA法違反の疑いでYouTubeを捜査するよう規制当局に求めた抗議書簡をFTCに送付して、わずか数週間後に行われた。

擁護団体は、YouTubeが「本サービスは13歳未満の子供による利用を意図していません」との利用規約の陰に隠れていると主張している。この一文は、明らかに破られている。現在、YouTubeは子ども向けに作られた動画で満ちている。Googleでさえ、就学前児童から小学校高学年の子どもをターゲットにしたYouTube Kidsアプリを提供している。これはあくまで自由選択だ。子どもたちはYouTubeを無制限に閲覧でき、YouTube TVアプリから見ることも可能だ。このプラットフォームでは、YouTube Kidsの制約は限定される。

Campaign for a Commercial-Free Childhood(コマーシャルのない子ども時代のための運動:CCFC)とCenter for Digital Democracy(デジタル民主主義センター:CDD)が記した書簡によれば、Googleは2500万人近くのアメリカの子どもたちの個人情報を収集し、そのデータを「非常に高度なデジタルマーケティング技術」のために利用しているという。

これらの団体はYouTubeに対して、子どものデータを削除し、サイトに年齢制限を定め、すべての子ども向けコンテンツを専用アプリに集めて分離し、COPPA法のガイドラインに従うよう求めている。

こうした要求が、今回のFTCの行動を促した。

FTCは、ウェブサイトや、もともと子ども向けではないが子どもが利用しているオンラインサービスに対処するためにCOPPA法を更新すべきか、また「一般向けのプラットフォーム」は第三者が公開する子ども向けコンテンツを特定し監視するべきかについて意見を求めている。

言い換えれば、FTCは、YouTubeを使う子どもたちのプライバシーの保護のためにCOPPA法を修正すべきかどうかだ。

「インターネット上の子ども市場に影響を与える技術の急速な変化に照らして、COPPA法がそのままで有効であるかを確認する必要があります」と、FTC委員長のジョー・シモンズ(Joe Simons)氏は、声明文の中で述べている。さらに、「私たちには、COPPA法の強力な執行、さらにより高いレベルでのCOPPAの準拠を促すための、業界への周知、COPPAビジネスホットライン作りに真剣に取り組んでいます。しかし、私たちは常にルールに立ち返り、必要があれば、見直すことが重要です」と彼は付け加えている。

YouTubeは主要な対象だが、FTCは、学校でデジタル技術を利用する際には保護者の同意がなくてもよいかどうかについても意見を求めている。また、インタラクティブTV(たとえばNetflixの「マインクラフト:ストーリーモード」のような)インタラクティブ・メディアやインタラクティブ・ゲームとCOPPAの関連についても詳しく知りたいと考えている。

さらに広い観点から、FTCは子ども向けのサイトやサービスの有用性に対するCOPPAの影響についても知りたいとのことだ。

COPPAの見直し開始は、FTCの5名の委員による無記名の決定により判断された。このうち3名は共和党員、2名が民主党員だ。

シモンズ氏が率いるFTCは、2月にMusical.ly(現TikTok)に対して行動に出た。COPPA法違反による570万ドル(約6億1500万円)という記録的な罰金を科したのだ。YouTubeと同様、このアプリは、13歳未満の子どもたちが保護者の同意なくして利用していた。同社はその事実を把握していたが、そのまま子どもたちの個人情報の収集を続けていた。

「この記録的な制裁は、子どもをターゲットとするすべてのオンラインサービスとウェブサイトへの警告となるでしょう。私たちは全力でCOPPA法の執行に取り組んでいます。この法律を無視するような悪質な企業は容赦しません」とシモンズ氏は同時に述べていた。

TikTokとは、子どもの動画とデータを削除し、未成年のユーザーの動画撮影を制限することで和解が成立した。

FTCが、同じことをYouTubeに要求できないのはなぜか。この2つのサービスの問題は同じであるにも関わらず、なぜ法律の修正が必要なのか。

「それは現行の法律下でも間違いなく可能であり、YouTubeには罰金を科して、大幅な改善を強制する必要があります」とCCFCの事務局長ジョシュ・ゴーリン(Josh Golin)氏は言う。「YouTubeに関しては、これは今のところFTC史上、最重要のCOPPA法違反ケースなのですが、現行法ではYouTubeに責任を負わせられる権限がFTCにはないような信号を発しているところが非常に心配です」と彼は話していた。

「COPPA法は修正によって強化できるでしょうが、最大の問題は、法律の執行力がFTCに欠けていることです。しかしこれは今すぐ対処できる問題です。長々と能書を垂れている場合ではありません」とゴーリン氏は加えた。

FTCは、2019年10月7日にCOPPA法を考える市民勉強会を開催するとのことだ。

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(翻訳:金井哲夫)

交通の非正常化の未来へようこそ

[著者:Bill Goodwin, Tyler Finn]
Bill GoodwinAirMapのリーガルポリシー責任者。
Tyler FinnFactualのポリシー管理者。

ロサンゼルスでは奇妙なことが起きている。先日、オフィスでは同僚たちが、トンネルの中を浮上して走る台車でドジャーズ・スタジアム周辺の交通渋滞を緩和するというBoring Companyの提案のメリットについて話し合っていた。その日の午後、コーヒーを飲みに外に出たところ、ドックレス式のレンタル・スクーターでよろよろと危なかしく走ってきた高齢の男性に轢かれそうになった。そしてその夜、州間高速道路10号線の渋滞にはまっていたとき、期限が切迫しているUberのEVTOL(電動垂直離着陸車両)のことをラジオのコメンテーターが話していた。そのころ、ベンチャー投資家の友人は、サンタモニカからシリコンバレーに帰るCabinバスの寝台個室の中で頭を枕に沈めていた。

これぞ非正常な交通の世界。

浮遊するソリや空飛ぶ自動車はないが、巨大都市ロサンゼルスは、今まさに移動手段の変革の只中にある。ダウンタウンの界隈からシリコンビーチに至るまで、レンタル・スクーターやレンタル自転車で埋め尽くされている。UberとLyftが起こした革命は、ドックレス二輪車を巡る競争に直面している。そして、Viaのライドシェアのサービスが間もなくロサンゼルスで始まる。Flixbusは、ヨーロッパの独占市場から手を広げ、都市間プライベートバス・サービス展開の拠点としてロサンゼルスに狙いを定めている。Cabinの高級寝台バスは、サンフランシスコ湾岸地区との往復でMegabusに代わるプレミアムな足となってから、すでに数カ月が経っている。

Cabinバスの車内。

ロサンゼルスが例外なのではない。アリゾナでは子どもたちの通学に、フロリダでは老人ホーム周辺の高齢者の移動に、北カリフォルニアの無限ループと呼ばれるかの環状道路では、ジャーナリストの一団を運ぶために自律走行車両が使われている。Starshipの配達ロボットは100以上のコミュニティーに展開され、スコッツデールのKrogerの利用者には、今日もNuroが牛乳を届けている。世界中のドローン企業は、バンや自転車に代わる即時配達サービスにドローンを使う認可を請求している。さらに、30近くの街が、空飛ぶ車の実用化を目指すUrban Air Mobility Initiative(都市航空移動イニシアチブ)に加盟した。

こうしたテクノロジーのほんの一部でも実現に漕ぎ着けたなら、街の中の物や人の移動は、近い将来、奇抜にして美しいものとなるだろう。

それでもまだ、善意ある規制当局がスタートアップに赤信号を出して、この未来の到来が阻まれる恐れはある。世界の都市交通が、地下鉄以来の大革命を経験しつつある今、私たちは、政策立案者たちに、公平で、効率的で、環境に優しい運送システムのための3つの提案をしたい。それは、「こんなにワイルドな未来をどうやって計画すればいいのか?」という根本的な疑問に答えるものだ。

ルール1:石を彫る前に砂場で試す

これらの斬新な複合輸送の技術をうまく組み合わせる方法は、まったく見えていない。このパズルをコントロールできる適切な枠組みも、また決まっていない。規制的な考え方には、よちよち歩きのイノベーションを潰してしまう恐れがある。解決策は、規制サンドボックス(砂場)を奨励することにある。規制サンドボックスとは、新しく生まれたテクノロジーを通常の規制による制限の外で運用し、未来の規則の策定に役立てるためのメカニズムだ。このような保護された空間は、フィンテックや暗号通貨などの分野では一般的になりつつあり、政策立案者が法律を制定する前に、Adam Thiererが「ソフト・ロー」と呼ぶ非法的規範を進化させる機能がある。

規制サンドボックスをもっともよく示している実例は、偶然にも、砂漠で知られる土地にある。アリゾナは、実社会での実験を事実上不可能にしている規制を積極的に緩和する動きを見せている。テンペやチャンドラーを含むアリゾナ州の街々では、自律走行車両の企業がサービスを展開しようと競争を重ねてきたが、これが数多くの問題点を表面化させた。たとえば、自律走行車両は利用者以外の人々にとってどれほど不快な存在であるか、自動車を運転している人は自律走行の食料品配達車両にどう対応すればよいのか、車両が一部自律走行しているときの安全を行政当局どう確保すればよいか、といった事柄だ。

米連邦運輸省は、そうしたエコシステムと、そこからもたらされる教訓の価値を認識している。昨年、米運輸省はドローンのIntegration Pilot Program(統合パイロットプログラム)を立ち上げ、数多くの州、地方、部族政府が企業と協力して、高度なドローンの運用をテストできるようにした。これには、ドローン運用に関する規則の最適なバランスを探るという目的もある。このプログラムが早期に成功したことから、米運輸省は、同様のプログラムを自律走行車両にも実施すると発表した。このような柔軟な環境が、最先端テクノロジーを生み出す企業と規制当局との大変に重要な協力関係を促進する。新しい規制は、密室で立てられる仮説にではなく、実社会での実験に基づいて構築されるのだ。

ルール2:勝者と敗者を決めない

規制当局は慎重になり過ぎるところがあるため、既存の企業を贔屓することがままある。イノベーションを受け入れたとしても、どの企業、またはどの技術に運営の許可を与えるかを当局が決めてしまうことが多い。

たとえば、スクーターの事業を全面的に禁止した街もいくつかある。数年前にライドシェアを禁止したときと同じようにだ。ビバリーヒルズは、ドックレスのスクーターを禁止し、1000台以上のスクーターを没収した。これには、Birdに対する警告の意味が含まれていた。Birdはこれを受けて、スクーターの禁止はカリフォルニア州の複数の法律に違反するとして市を訴えた

そのほかの街で、そこまであからさまにスクーターを禁止するところはないものの、企業との旧態然とした癒着関係を、新しい技術系既存企業に移し替えるという罠にはまりかけている。サンタモニカでは、地元住民の間でもっとも人気の高かった2つのレンタルスクーター・サービスであるLimeとBirdを禁止する直前まで行ったが、海岸に住む一般住民からの激しい非難が寄せられて初めて、市議会は4つの業者に事業を許可した。それでもまだ、その他の業者のスクーター・サービスは、市内で営業できないことになっている。

どのテクノロジーが成功して、どの企業がそれを運用すべきかは、市場に決めさせるべきだ。自治体は、審判を下すのではなく、新しいテクノロジーと既存の輸送インフラとのつながりを作る調整役に徹しなければいけない。そうでなければ、イノベーションはベビーベッドの上で死んでしまう。

PickPalを憶えておいでだろうか? UberやLyftの前に流行っていたのだが、今はもうPickPalは呼べない。スマートフォンが登場してすぐのころに現れた、カナダ生まれのライドシェアの先駆者だが、既存企業による妨害により、料金を取って人を乗せるサービスが禁止されてしまった。ライドシェアの利便性を理解せず、当局はそれを潰してしまったわけだ(もうひとつの人気が高かったライドシェア企業Allo Stopも道連れになった)。新技術によって実現しかけた新しい生活の足は、規制によって亡き者にされたのだ。

それとは対照的に、Uberは、市場に参入させまいとする力に対抗することができた。いろいろな局面で、彼らは敵対的なアプローチを使い、ライドシェアを存続できるように法律を変えさせてきた。だが、これによりライドシェア産業は生き残れたものの、ライドシェアと既存の交通ネットワークとを連携させる機会は遠のいてしまった。規制当局とライドシェア企業は衝突を繰り返しているため、街が必要としている交通問題の体系的な解決は、ずっと先送りにされている。

ルール3:チャレンジと、その手助けとなるツールを受け入れる

本来、交通は地元のためのものであり、移動革命の未来も、地元のためのものであることに変わりはない。ずっと都市環境という問題の上を漂っていた航空業界ですら、大都会との関係を考え直す必要に迫られている。電動垂直離着陸車両は、1970年代にヘリコプターが学んだ教訓を再び体験することになる。また、ドローン企業は、Eazeの空飛ぶ芝刈り機を使った配達の時間は午前3時がいちばん都合がよいと考えたときに発生するであろう、極めて身近な超地域的問題に直面することになる。

しかしそこには、未来の街のための最高にエキサイティングな機会が横たわっている。私たちが歩む道の上、下、上空に起きる変化に伴う負の外部性は、新たな頭痛の種となったその同じテクノロジーを使って調整できる。街は、自律走行車両のスムーズな運行にRideOSなどのプラトフォームを、輸送計画にスクーターを取り込むためにRemixを、公共サービスとしてのライドシェアを提供するためにViaを、また、私たちのAirMapを利用して、今はドローンを統合し、将来は空飛ぶ自動車を統合できるはずだ。

結論として、これらの奇抜で新しい交通の未来を都市が喜んで迎え入れるために必要なものは、制裁ではなく、問題の解決方法だ。既成概念に当てはまらない交通手段は、自治体の役人、計画立案者、議員たちに途方もない課題を突きつける。だがそれは、進む価値のある道だ。

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(翻訳:金井哲夫)

インターネット権利法案は私たちの道義的義務の一部に過ぎない

[著者:David Gorodyansky]
プライバシーアプリHotspot ShieldのメーカーAnchorFreeの共同創設者。

米連邦下院議員Ro Khannaが提案しているインターネットの権利法(Internet Bill of Rights)案は、インターネットの個人の権利擁護を積極的に推進する。これは、アメリカならびに世界の現在の法律に欠けている決定的な要素を示すガイドラインであり、すべての党派に伝わるよう一括化されている。悪魔は細部に潜んでいるというのが夜の常だ。Khanna議員のインターネット権利法案には、まだかなり主観的な部分が残っている。

しかし、ひとつ無視してはならないこととして、我々個人は、この公共財、つまりインターネットにおいて権利を持つばかりでなく、道義的義務も負っているという点だ。ウェブは私たちの生活に、良い意味で多大な影響を与えた。私たちには、それをこのまま育ててゆく共同責任がある。

この法案に書かれている権利の一部に、市民が、インターネットに集められた自分たちの情報を自分で管理できる権利を持つこと、そしてその情報に基づいて差別されるべきでないとすることがあるが、それは誰もが同意するだろう。インターネット接続業者が通信をブロックしたり、速度を絞ったり、料金に応じて利用者を優遇するなどして、世界の情報にアクセスする権利を奪ってはいけないという点にも、誰もが賛同するだろう。さらに、透明でわかりやすい料金体系で、適正価格のプロバイダー複数に自由にアクセスできる権利も、万人の希望だ思う。

これらすべては、Khanna議員の法案に盛り込まれている。私はそのすべてを全面的に支持する。

FacebookやGoogleなどの大企業の最近の動向を見るにつけ、デジタル時代に相応しい法律がぜひとも必要だと感じる。技術の進歩は非常に早く、法規制が追いついてゆけない。そこで、利用者を保護するためには、劇的な改善が必要となる。

しかし、よく理解しておくべきは、企業も政府も個人も、みな繁栄のために同じインターネットに依存しているということだ。どの団体にも、それぞれに独自の権利や責任があるが、重点を置くべきは、責任のほうだ。

ゴミを例にとって考えてみよう。道端にゴミを捨てることを法律で禁じている地域は多い。しかし、そうした法律とは別に、私たちには、自分たちが住む環境や世界を守らなければならないという道義的な義務も存在する。大抵、人々はその義務を果たしている。なぜなら、それは正しいことであり、住む場所を美しく保という社会的な空気があるからだ。罰金を取られるのが嫌だからではない。

同じように、インターネットについても考えてみよう。

個人も企業も政府も、高い意識を持ち、インターネットに対する責任を明確に描く必要がある。この3つのグループは、どれもこの責任を完全に果たさなければならない。それは法律や罰則のためではなく、それが最大の利益をもたらすからだ。

個人の場合、自分が描ける最高の夢をも超える力をインターネットが与えてくれた。そして、次々と思わぬ方法を使って私たちを結びつけようとしてくれている。企業にとってインターネットは、従来の方法では到達し得なかった広大にして儲けの大きな市場への足がかりをもたらしてくれる。政府にすれば、インターネットによって、よりよいサービスを市民に届けることが可能になり、国境を挟んで、または国境の外に新しいビジネスを創設し、これまでにはあり得なかった水準の税収がもたらされるようになった。

すべての人が、本当の意味であらゆる人が、安全でオープンなインターネットの恩恵を受けてきた。これからも受け続けるだろう。そこに気がついた私たちの社会は、責任を果たさない人たちに強い圧力を掛けるようになってきた。

世界の住民である私たちは、今日あるインターネットの発展に貢献してくれた人たちに、大いに感謝すべきだ。もし、目先のことしか考えられない政府が、国境の中にインターネットを閉じ込めようとしたら、そんなことは許すべきではない。それは私たちを傷つけるだけではない。政府そのものが、貿易の減少から税収を失い、国民からの信頼も失ってしまう。政府は、短期的な考え方に囚われるあまり、長期的な利益を見失うことが少なくない。そのような国では、厳重な規制によってインターネットの情報にアクセスできない人たちが20億人もいる。

もし、インターネット接続業者が、インターネットで提供される情報を好きなように管理できるようになってしまったら、これも許すべきではない。そんなことをすれば、結局はその業者は収益を失うことになる。貧弱で多様性のないインターネットのサービスを提供したところで、そんなものを利用したいと思う人はいない。業者は信頼を失い、顧客は離れていってしまう。

インターネットがなくなれば、私たちの世界は急停止してしまう。オープンなインターネットに制限をかければ、それがなんであれ、人類の進歩と発展を減速させることになる。そうした制限を課する輩は、私たちとともに廃れてゆく。

そのために私たちには、インターネットが本来の目的を維持できるようにする道義的な責任を負っている。もちろん、1989年の時点では、ワールドワイドウェブ(WWW)が世界にどんなインパクトを与えるかなど、誰も予測できなかった。Sir Tim Berners-Lee本人ですら、わからなかっただろう。だが簡単に言えばそれは、「誰がどこにいようとも」人とつながれるものであり、膨大な情報を利用できるものであり、生活をより良くするための力を個人に与えてくれるものだ。

それは、オープンで無料のインターネットだからこそ可能なことだ。

今後5年間で、ガレージの電動シャッターや冷蔵庫や暖房の温度調節器やマットレスまで、無数のデバイスがIoTによって接続されるようになる。さらに、発展途上市場に住む50億人の利用者がインターネットに参加してくる。このふたつの大きな変化は、信じられないほど素晴らしい好機を生み出すであろうが、同時に、私たちの個人情報の悪用も増加し、インターネットユーザーである私たちは、ますます脆弱になってゆく恐れがある。

今こそ、アメリカのみならず世界中の国々で、インターネットの保護を適切に提供するときであり、それがKhanna議員のような人たちに論議を進めさせる推進力となる。このインターネット権利法案が、超党派の法案となり、本当の変化が起きることを祈るばかりだ。

結果はどうあれ、私たちは自分たちの道義的責任の遂行を怠ってはいけない。個人も、大企業も、政府もみな同じだ。オープンなインターネットを守るために、私たちみんなでそれを背負うことが必要だ。もしかしてインターネットは、現代社会でもっとも意味深くインパクトのある発明品だからだ。

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(翻訳:金井哲夫)

自動運転車に関するアメリカ運輸省のガイドラインが不十分な理由

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【編集部注】執筆者のCarl Herbergerは、Radwareのセキュリティソリューション担当ヴァイスプレジデント。

FordやGM、トヨタ、VWは、今後5年間で自動運転車を実用化しようとしている自動車メーカーのほんの一部でしかない。さらにUberやTeslaに話を聞けば、既にドライバーレスの車は誕生していると答えるかもしれない。つまり、ハッカーにとって格好の標的となる自動運転車を守るためのルール作りの時間は限られているのだ。

TeslaJeep三菱の例に見られるとおり、自動車をハッキングするのは簡単なことだ。自動運転車が一般に普及すれば、サイバーセキュリティリスクは急激に増大することになる。コンピュターがハッキングされても、ほとんどはお金で解決できるが、自動車のハッキングは命に関わる。

アメリカ合衆国運輸省(Department of Transportation=DoT)が最近発行した自動運転車に関するガイダンスは、サイバーセキュリティに関する問題への取り組みとしては良い出発点だが、まだまだ改善の余地がある。その証拠に、DoT自身も技術的な専門知識が欠けていることを認め、自動運転車周りのセキュリティ専門家を雇うための特別な採用ツールを探している。

一方で、今よりも厳しい規制が導入されるまで待っている余裕もない。「ベストプラクティス」や「指導」、「〜すべき」といった言い回しでは、解釈に幅が生まれてしまい、自動運転車を守ることができないのだ。この記事では、他の業界での例をもとに、ドライバーの安全を守りながらも自動運転テクノロジーの進歩をとめないために、DoTができることについてまとめている。

なぜ自動運転車には厳しいサイバーセキュリティのルールが必要なのか

セキュリティ関連法案が急速に進化するテクノロジーについていけないことはよくある。さらにテクノロジーの多くは、標準的なプログラミング言語で記述され、オープンシステムや広く知られたシステムの上に構築されているため、ハッカーが侵入しやすいつくりになっている。自動運転車もこのカテゴリーに含まれており、普通の犯罪者からテロリストまで、悪意を持った人であれば誰でも簡単に侵入して、車をコントロールできるようなソフトが自動運転車には導入されている。

NSA(アメリカ国家安全保障局)の情報漏えいや、DNC(民主党全国委員会)のハッキング被害など、これまで政府は国家ぐるみのサイバーアタックには太刀打ちできないというイメージを国民に与えてしまっていることから、今こそサイバーセキュリティへの取り組みをアピールするには絶好のタイミングだといえる。さらに、これまで完璧とは言えない行いが明るみに出ている自動車業界にとっても、厳しいルールが導入されれば、消費者の信頼を少しは回復できるかもしれない。利用者の安全よりも経済的な利益を優先した企業のせいで、これまでイグニッションスイッチやエアバッグなどで、とんでもない品質問題が起きている。

自動運転車に関するこのような難しい問いには、できるだけ早く答えを出していかなければならない。

自動運転車がテロリストやハックティビスト、はたまたその他の犯罪者の手に渡ったときのことを考えてみてほしい。自動運転車を乗っ取った瞬間に、彼らは2トンの自走ミサイルを手に入れたようなもので、何百人もの命が脅かされることになる。また、ランサムウェアがさらに進化すれば、身代金を支払うまでハッカーが車を乗っ取っるといった事件が発生するかもしれない。車内の会話や行動範囲などが遠隔でモニタリングされる、プライバシー侵害の可能性については言うまでもない。

DoTのルールに記載されるべき事項

「ベストプラクティス」では大衆の安全を守ることはできない。私たちに必要なのは、現代の強力なハッキングを防ぐことのできる、安全で頑丈なシステムやソフトが自動運転車に搭載されていることを保障する法規制や検査なのだ。

まず、自動運転車には航空機と同じくらい厳しい検査基準が課されるべきだ。アメリカ連邦航空局が実施する新しい機体の検査の様子を見たことがある人であれば、彼らは翼を壊れるまで伸ばしたり、窓に向かって大きなものを発射したりすることで、機体の限界点を調べているのを知っているだろう。政府はこれと同じくらい厳しい検査を、自動運転車のサイバーセキュリティに関しても行わなければならない。例えば、新しい車を全てDDoS攻撃やAPT攻撃にさらして、どこまで耐えられるか検査するというのは一案だろう。ハッカーに依頼して、彼らがシステムに侵入できるかや、どこに虚弱性があるのかを確認するというのも手だ。厳しい検査が導入されれば、私たちは自動運転車が一般に普及する前に安全を確保することができる。

自動運転車の実用化がはじまったら、次は更新型の認証システムが必要になる。普通の車に対して、排ガス検査や機械的な安全性に関する検査を行うように、自動運転車にもサイバーセキュリティに関する検査を行うべきだ。一旦検査に合格したとしても、サイバーセキュリティの世界はすぐに変化するため、継続的な更新が必要になる。定期的な検査や再認証がシステム化されれば、最新のパッチをインストールしていない車から、乗客や歩行者、路上を走る他の車の安全を守ることができる。また、認証システムにベンダーを巻き込むことで、自動運転テクノロジーやサービスを提供する企業にも、自動車メーカーと同じレベルのセキュリティ水準を求めることができる。

そして基準を満たしていないメーカーに対して、政府は厳しいペナルティを課さなければいけない。金融業界では、倫理綱領やその他の規制措置への違反は、罰金や民事・刑事訴訟などの厳しい懲罰を意味する。「ベストプラクティス」には何の効力もない。もしも政府が自動運転車を規制したいと考えるならば、安全を侵すような違反には厳しい罰を与える必要があり、特に1番の心配事項であるサイバーセキュリティについてはそのような取り組みが必須だ。

同時に、DoTが規制しなければいけない事項にはグレーエリアも多く含まれている。ガイダンスでは自動車メーカーの倫理が問われている一方で、それだけでは乗客や周りの人の安全は守ることができない。もしも自動運転車がハッキングにあって歩行者をひいてしまったら、その責任は誰にあるのだろうか?車の持ち主なのか、メーカーなのか、それとも自動運転車に乗っていた人なのか。駐車場やトンネルなど、電波の届かないところでは何がおきるのか?自動運転車に関するこのような難しい問いには、できるだけ早く答えを出していかなければならない。

自動運転車にとっての規制強化のメリット

自動運転車の進歩のために、この段階ではあまり規制を強めないほうが良いと言う人も中にはいる。イノベーションを制限したり、テクノロジーの進歩にブレーキをかけたりしたくないという主張だ。そのような主張に対しては、ブレーキをかけるのは良いことだと反論したい。もしも車にブレーキがなければ、時速90マイル(時速145キロ)で運転しようとは思わないだろう。つまりブレーキがあるからこそ早く動くことができ、必要に応じて速度を緩めることもできるのだ。

自動運転車に伴うリスクは、これまでのテクノロジーとは比較にならない。ほとんどの人にとって、Yahooの情報漏えいはそこまで大きな問題ではなく、パスワードを変更してクレジットレポートを注意して見ておけばいいくらいだった。個人情報の盗難にあった人や、ランサムウェアに感染してしまった人は、もっと破滅的で甚大なダメージを受けたかもしれない。しかし自動車に関して言えば、ハッキングは生死を分ける問題なのだ。

自動運転車は、より安全で便利で効率的な交通手段となる可能性が高いが、それを実現するために、私たちは安全性の確保に向けて、できることを全てやっていかなければならない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

バルセロナがAirbnbなど民泊サービスに対する取り締まりを強化

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旅行者の間で高い人気を誇る、カタルーニャ州の州都バルセロナで、Airbnbはさらなるオペレーションの締め付けに直面している。家賃の上昇や、急速に普及した民泊プラットフォームを利用する旅行者の乱暴な振る舞いに対処しようしている地元コミュニティとの緊張感は高まるばかりだ。

バルセロナは、違法な旅行者向け宿泊施設の取り締まりに、しばらくの間取り組んできた。Ada Colau新市長は、昨年、宿泊施設の新規登録数に暫定的な制限を設け、この一時的な禁止措置は今年の夏まで延長されていた。そのため、現在ではバルセロナ市内で、新たに旅行者向け宿泊施設のライセンスを合法的に取得することはできなくなっている。

しかし、市議会は規制活動をさらに加速させ、居住者に対して、周りの住居が旅行者へ違法に貸し出されている疑いがある場合、通報するように促す手紙を送付している。

先月、市議会はバルセロナ市内での違法な宿泊施設の取り締まりを強化していくと発表しており、市議会からのダイレクトメールは、Eixample、Gracia、Sants-Montjuïcに住む市民を最初のターゲットとし、来月までにバルセロナ全体がその対象となる予定だ。

今年の夏に入ってから、市庁はさらに、Catalan Tourism Register(RTC)に登録されていない旅行者向け宿泊施設に対する罰金の最高額を、6万ユーロから60万ユーロへと10倍に引き上げることを決定した。バルセロナは、地方自治体が定める観光法を使って、市内のホームシェアリング活動をコントロールしようとしているのだ。

市議会は、昨年末にAirbnbとExpedia傘下のホームシェアリング企業HomeAwayに対して、それぞれ6万ユーロの罰金を課していた。RTCに登録されていない住居を宣伝していたこと、また、RTCナンバー無しでウェブサイトに掲載されていた住居に関する、詳細情報の求めに応じなかったことがその理由とされている。

今月発表された市議会の調査によれば、バルセロナ市内で旅行者に貸し出されているアパートの、ほぼ40%が違法だとされている。さらに同調査は、過去3年間でのバルセロナ市内の家賃の急激な上昇(33%)についても触れている。これはスペイン史上最大の家賃上昇にあたり、市議会は、賃貸住宅戸数に制限をかけてしまっている旅行者を非難している。

「バルセロナ市議会は、持続可能な都市モデルに沿った形で観光事業が運営されるよう、各種法整備にあたっています」と市議会は居住者向けに送られた手紙に記し、さらにバルセロナを「観光業にオープンでありつつも、その運営方法に関する明確なルールのある」街にしたいと付け加えている。

さらに続けて、市議会は違法な宿泊施設との戦いに力を加える意向を示しており、違法施設を特定するために、居住者に対して怪しい物件を通報するよう促している。居住者は、フリーダイアルの電話、もしくはウェブサイト上のフォームを使って通報を行うことができ、フォームはカタルーニャ語、スペイン語、英語、フランス語、ドイツ語に対応している。また、ウェブサイト上では住所をもとに、ある物件が合法の宿泊施設かどうかを確認することができる。

バルセロナ市議会の活動は、ベルリン市議会の動きと重なって映る。ベルリン市議会も、居住者に対して、近隣住民が違法な貸出を行っている疑いがあれば、(匿名の)通報をオンラインで行うよう促しているのだ。しかし、ベルリンはAirbnbのような民泊サービスに対して、さらに厳しい態度をとっている。今年の5月から施行された2014年の改正住宅法は、許可無しでの旅行者に対する短期間のアパート全体の貸出を禁じている。これにより、ベルリン市庁はホームシェアリングプラットフォーム上での、新たな活動を全て遮断することができるようになった(しかし、アパート内の一室を貸し出すのには、依然ライセンスが不要とされている)。

Airbnbで、今月の週末に利用できる宿泊施設を検索してみると、300以上の物件をバルセロナ市内(そしてパリ市内)でみつけることができる一方、ベルリン市内の物件数はずっと少なく、「ご希望の日程では、登録物件のうち11%しかご利用頂けません」というメッセージが表示される。つまり、ベルリンの取り締まりはAirbnbの物件数に大きな影響を与えているものの、Airbnbなどのプラットフォームを介して急増した、違法宿泊施設に対するバルセロナの取り組みは、これまでのところほとんど効果がないようだ。

Airbnb

パリ市議会も同様に、合法宿泊施設の地図を公開し、違法施設を取り締まろうとしている。

ロイターによれば、先月バルセロナ市庁は、Airbnbなどホームシェアリングサービスの運営会社に対して、256件のアパートの登録を削除するよう命じ、さらに、疑惑のある400件以上についても調査を行っていると語っていた。

居住者への、違法にホームシェアリングプラットフォームを利用している近隣住民の通報を促す手紙が、ホストを思いとどまらせることにつながるかどうか(または、30日分の契約をして、数日後に旅行者がチェックアウトしたあとに残りの日程をキャンセルするといった、クリエイティブな方法をみつけるか)については、今後明らかになってくるだろう。

最近のバルセロナ市議会の調査によれば、現存する旅行者向けのアパート1万5881件のうち、9606件がライセンスを保有している。つまり、6275件が違法に貸し出されているのだ。

本日(米国時間9月20日)のプレスリリースで、同市議会は取り締まり活動に関するアップデートを発表し、7月と8月の間に、615件の違法宿泊施設に関して登録削除命令を発したとしている。これにより、今年の夏に取り締まりを強化すると発表してから、計1290件もの施設が検査されたことになる。

さらに、ウェブサイトにフォームを設置してから2ヶ月で、960件もの違法貸出に関する通報を受け付けたと発表し、そこに提言を含めた総数は1123件にのぼるとのこと。

市議会のデータによれば、バルセロナでAirbnbを利用する人の数は、2015年までの3年間で3倍の90万人にまで増加した。

バルセロナ市議会の最新の動きに対して、Airbnbは声明の中で、同市議会が観光業に関して矛盾した政策を展開していると非難し、「悪者」を定義づける「分かりやすいルール」を求めた。

以下がAirbnbの声明の内容だ。

Airbnbは、バルセロナでソリューションを提供しようとしているにも関わらず、市議会が、何千人もの人にとっての経済的なライフラインを脅かす、時代遅れのルールで、市民を怖気づかせているのは残念でなりません。バルセロナの観光政策の中心には矛盾が生じており、同市では、観光地で観光業のためだけに運営されている、商業的なオペレーターやアパートが優先されてしまっています。ホームシェアリングは、地元市民に収入をもたらし、現存するスペースを有効利用するだけでなく、宿泊客を分散し、中産階級の家庭やコミュニティに利益をもたらすものです。バルセロナには、世界中の主要都市のように、ホームシェアリングと悪者の線引をする、分かりやすいルールが必要です。

Aibnbの言い分としては、現在バルセロナには約2万1000件のアクティブな物件が登録されており、ホストは平均して年間5100ユーロの収入を得ているほか、その大方(ホストの73%)はひとつの物件しか貸し出していない。しかし、同時にそれは、バルセロナのAirbnbホストのおよそ3分の1が複数の物件を貸し出しており、多数の居住者が、同社のプラットフォーム上で自分の家を貸し出すのではなく、プロの貸し主として活動していることを示唆する。

本日のプレスリリースの中で、バルセロナ市議会は、RTCに登録されていない物件の情報を掲載し続けるプラットフォームは、行政処理や掲載情報の撤去に関する協力を求められることになると警告した。もしも協力しなければ、最高60万ユーロの増額された罰金が課されてしまう。

さらに、違法な貸し出しを行っている居住者が、近隣住民からの苦情に速やかに応じない場合、取り締まりの懲戒処分を受けることになり、その罰金は最大1000ユーロにおよぶ。バルセロナ市議会は、この苦情処理のために、専用コールセンターの立ち上げまで行った。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

米ドローン市場の今後の動き、法整備が進み投資は拡大していくのか

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先週起きたアメリカ国内のドローン市場にとってのマイルストーンとなる出来事をうけ、米ドローンテック企業に対する投資への期待が業界内部で高まっている。しかし、実際に投資が加速するには少し時間がかかるかもしれない。

先日の記事で報じた通り、アメリカ合衆国運輸省(DOT)とアメリカ連邦航空局(FAA)はパート107(小型無人航空システムに関するルール)を施行し、ようやくドローン業界に関する規制がある程度明確化された。

パート107では、夜間の商業用ドローンの利用が認められていないほか、人の頭上や視界を超えたドローンの飛行は禁じられている。そのため、企業はビジネス目的で禁止項目にひっかかるようなドローンの利用を行う場合、その都度連邦当局から例外使用の許可を得なければならない。

DOTとFAAなどの関連省庁が、どれだけ速やかに例外使用申請に応じるかによって、パート107はドローンによる配達サービスや、報道目的でのドローン利用、夜間や人の多いエリアでの監視・調査目的のドローン利用の普及を遅らせてしまう恐れがある。

ワシントンD.C.にある法律事務所Hogan LovellsでGlobal UAS Practiceの共同議長を務め、Commercial Drone Allianceでは共同エグゼクティブ・ディレクターを務めるLisa Ellmanは以下のように語っている。

「もちろんシリコンバレーの動きは早いですし、関係当局は官僚らしいペースで動いています……それでも、FAAやDOTなどの組織は規制を草案する前に多くの情報が必要なため、その状況も理解できます」

次の段階として、ドローン技術やドローン関連サービスを提供している企業がもう一歩前進し、出しうる限りのデータを規制機関だけでなく一般にも公開することで、もっと一般の人にもドローンに秘められた利点について知ってもらいたいとEllmanは話す。

さらに彼女は、現状のパート107でさえ、ドローン業界(特にドローンテクノロジー教育や安全関連のテクノロジーの分野)でのさらなるイノベーションや、同業界への投資を促す力になると考えている。

ドローンテックベンチャーのFlirteyや、ドローン探知システムの開発を行うDeDroneに投資を行っているMenlo Venturesでマネージング・ディレクターを務めるVenky Ganesanもその意見に賛同している。「どの業界でもゲームのルールが明確化することで投資活動が盛り上がってきます。投資家がルールを理解することで、どのようにプレイしていくか決めることができるということです」

Ganesanは、バーティカル市場や産業用に特化したドローンテックスタートアップ・ドローンサービスへの投資が、パート107の直接的な影響で増加していくと考えている。

「朝目を覚まして、今日から仕事でドローンを使うぞと言う人なんかいませんよね。まず、企業はビジネス上の問題を解決したり、自分たちの農場やパイプラインの周辺で何が起きているのかを調べたりしたいと考えています。ドローンはそういった企業をサポートすることができる一方、利用者の多くはドローンサービスを提供する企業や専門家の力に頼らざるをえません」

長期的にみて、自動飛行や障害物回避といった遠隔操作システムを備えたドローンが、オペレーターの視界を超えて飛行することを規制団体が許可するようになれば、多額の資金がドローンテック企業に流れ込むとGanesanは予想する。

さらに彼は、まだドローンテック企業に目をつけていない企業は、ドローンテクノロジーが持つ長期的な影響をひどく過小評価しているかもしれないと考えている。

シリコンバレーで語り継がれる決まり文句として、「たいていの場合、新たな一大テクノロジーの短期的な影響は過大評価され、長期的な影響は過小評価される」というものがある。

以前ボーイングに航空エンジニアとして勤務しており、現在はSubtraction Capitalのジェネラル・パートナーを務めるPaul Willardは、「各企業がどうやって越えればいいかわかるくらいの高さのバーを設定する」ことこそ、アメリカをドローン業界のリーダーにする上で、規制機関がとれる最も重要なアクションだと語る。

さらに彼は、「アメリカが業界の最前線に立つには、まだまだハッキリさせていかなければならないことがたくさんあります。しかし、アメリカ以外の市場では、既に多くの企業が資金を調達しつつレースに参加し始めています」と付け加えた。なお、Subtraction Capitalは、ルワンダで医療品配達用のドローンサービスをローンチしようとしているZiplineに対して投資を行っている。

また、Willardはドローンテック市場を医療機器や医薬業界になぞらえている。

医療機器や新薬は、しばしばアメリカ以外の地域で研究・販売されており、しばらくしてから多額の資金を投資ラウンドで調達し、アメリカの厳しい規制に対応するという動きをとっている。

スタートアップのファウンダーや、ドローンテックの投資家の中には、商業用ドローンに関する規制の下で、そのようなテック企業が特例許可をとる必要がでてくると、気付かないうちにドローン界の勝ち組に利益をもたらし、許可をとるのが遅れたり、そもそも許可がとれなかった他の企業にとっての障壁を生み出すことにつながりかねないと心配している人もいる。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

EUの新たな規制がフィンテックの繁栄につながるかもしれない

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【編集部注】執筆者のDennis Mitznerは、Tel Aviv在住でスタートアップやテクノロジートレンドを専門とするライター。

EUの金融市場に対する規制強化の動きは、グローバルに活動するフィンテック企業に新たなチャンスをもたらせた。というのも彼らは、28カ国から構成され、高収益が期待されるEU市場に入り込むため、共通基準の導入を待っていたのだ。過剰規制が経済の成長を抑制してしまう一方、消費者の信頼が必要なフィンテック業界は、規制フレームワークがきちんと定められることで多くを得ることができる。

「フィンテックスタートアップは、製品やマーケティング戦略のほかにも、とても明確な規制対応やコンプライアンスに関する戦略が必要になってきます。透明性の高さやデータインテグリティを支えに、データ駆動型のビジネスを開発しているフィンテック企業は、新しい規制環境から利益を享受することができるでしょう」とストックホルムを拠点とする投資会社、NorthzoneのMarta Sjögrenは語る。

ある地域でビジネスを行うために規制機関から認可を得る必要があるなど、各種の規制は企業にとって参入障壁となることが多い。事業拡大を目指すスタートアップにとっても、コンプライアンスは避けられない問題であり、特に金融システムはリスクを嫌う傾向にある。

「結果的に、フィンテック企業のファウンダーは規制機関と協力しなければならず、さらには回答までの長い期間を考慮に入れ、この長期戦に付き合いつつ成長の手助けをしてくれるような戦略的パートナーをみつける必要があります。フィンテックは短距離走ではなくマラソンのようなビジネスなんです」とFuture Asia VenturesのファウンダーであるFalguni Desaiは、最近の白書の中に書いている。

明確な規制環境を構築するまでにかかる長い期間や、フィンテックスタートアップ、銀行、規制機関の3者間でのやりとりは、消費者にとって安全な環境をつくりだすためにあるのだ。

さらに、融通の利かないことが多い銀行とは対照的に、柔軟なフィンテック企業が提供する価値全体が、より良い金融商品をより安く、より効率的に顧客へ届けることにかかっている。そして、もしもフィンテック企業が旧来の金融サービスを代替しようとしているのであれば、消費者の信頼を勝ち取らなければならない。規制機関の役割はここで必要になるのだ。

「結局のところ、規制対応の目的は消費者の保護と共に、企業と消費者が信頼関係を築いていくことにあります。以前は、銀行がその役割を全て担っていましたが、これからは状況が変わってくるかもしれません」とSjögrenは言う。

近年、EUは新たな規制を多数導入しており、モバイル・インターネット決済基準(PSD2)や銀行の自己資本比率やストレステストに関する任意の規制フレームワーク(バーゼルIII)をはじめ、反マネーロンダリング指令(AMLD)、EU域内でのユーロ電子決済処理方法の標準化イニシアティブ(SEPA)、統一的投資規制(MiFID II)、EU全体での統一的保険規制体制(Solvency II)、会計基準(IFRS)のほかにも、そろそろ施行が予定されている電子請求書指令では、28加盟国に対して2018年11月27日までに、企業と政府・自治体間で行われる取引(B2G)では規定の基準に沿った電子請求書を利用するよう求めている。

もしもフィンテック企業が旧来の金融サービスを代替しようとしているのであれば、消費者の信頼を勝ち取らなければならない。

現時点でのヨーロッパの電子請求書利用率は24%で、2024年までにはこの数字が95%まで増加することが予想されている。その結果、企業は1年あたり全体で約645億ユーロ(720億ドル)の経費を削減できるようになる。

経費削減もさることながら、2008年の金融危機が近年の規制強化に直接の影響を与えている。特にフィンテック企業のような新たなプレイヤーにとって、コンプライアンスは事業継続に欠かせないものであるため、新しい規制環境は天の恵みのようなものだ。

「2008年の金融危機の結果、ヨーロッパ・アメリカの両地域で規制機関が積極的な活動を行っており、新たなプレイヤーにとってのチャンスが生まれていますが、コンプライアンスは絶対的に必要なものです」とSjögrenは話す。なお、彼女の勤めるNorthzoneは、ヘルシンキを拠点とする電子請求プラットフォーム企業のZervantが行った450万ドルの投資ラウンドに最近参加していた。

Sjögrenによれば、昔から存在する金融機関が持つ何世紀分にもおよぶデータによって、静的モデルを通じて資本を守るための保守的なオペレーションモデルが確立されてきた結果、金融業界は旧来のインフラや、実際には機能していないプロセスに縛られてしまっている。これは、リスクを評価するためのリアルタイムなデータ解析とは対照的だ。

「旧来の金融機関は、経済の中心地となることで独占的な地位を獲得したのです」とSjögrenは話す。

PSD2のような規制によって、銀行は将来的に自分たちのシステムをフィンテック企業に公開しなければならず、さらにはAPI関連の規制のおかげでスタートアップは銀行と顧客を仲介する役割を担うことができるようになる。

「フィンテックはみるみるうちに、世界中で様々なビジネス間の結合組織として機能し始めています。散り散りになったシステムやプロセスがつなげ合わされることで効率性が上がるほか、迅速な金融・事業戦略を後押しする仕組みができ、全てのビジネスパートナーが恩恵を受けることができます。このおかげで、ますます競争が激化し不確実性が高まっている市場においても、各企業が経済成長に貢献しつつさらなる成功をおさめることができるようになります」とサプライチェーンファイナンス関連ソフトを開発するTauliaのCEO Cedric Bruは話す。

Zervantのような企業を含めた全てのプレイヤーにとって、新たな規制は参入障壁を下げることにつながる。例えば、電子請求書指令が成功すれば、ヨーロッパ市場が完全電子化の方向へ向かい、他のオンラインベースのソリューションが浸透しやすくなる。

「EUの電子請求書に関する指令は、請求関連分野の電子化を促進することにつながるため、私たちにとってはプラスだと考えています。私たちがコアターゲットとしているスモールビジネスは、この指令に基いて数年のうちに請求ソフトを使用しなければいけなくなります」とZervantの共同ファウンダー兼CEOのMattias Hanssonは話す。

将来の規制フレームワークがどのような形になるかについての共通見解が生まれつつある中、電子化によって、B2B、B2C、B2Gを問わず、フィンテックサービスを提供する全ての企業が活躍できる土壌が生まれようとしている。

「共通基準はビジネスの連携をスピードアップさせる力があるため極めて有益です。サイズや業界を問わず、全ての市場参加者がビジネスの連携によって利益を得ることを可能にする上で、大きな影響力を持つ関連基準やガイドラインを構築しようとしている官民パートナーシップにとっては大きなチャンスがあります」とBruは語る。

多くのフィンテック企業のファウンダーや投資家は、規制の複雑さや曖昧さに対する不安感を示しており、規制過多さえ叫ばれている一方、現在成長期にあるフィンテック業界にとっては、一握りの例外を除いて、規制は少なすぎるよりも多すぎる方がまだ良いのかもしれない。なお、規制サポートネットワークの献身的な活動のおかげで、イギリスはフィンテック界を率いるハブとして機能している。

EUのような規制機関にとっての課題は、過度な規制という官僚的な落とし穴を避け、その代わりにフィンテック企業に対してオープンで先進的なアプローチをとっていくということだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter