ゲームやチャットを通じて新しい言語を学べるソーシャルロボ


言語学習で一番重要なのはなんといっても繰り返し練習することだ。ここで紹介する愉快なロボットは、この過程を楽しくし言語学習を助ける。TechCrunchのCatherine Shu(キャサリン・シュー)が開発元であるEMYS共同創業者のJan Kędzierski(ヤン・カジールスキ)氏にインタビューした。

EMYSはソーシャルロボットで、ゲームやチャットを通じて新しい言語を学ぶ手助けをする。ロボットは子供たちに親しみやすく表情を読み取りやすいデザインとなっており、ジェスチャーとタッチに反応する。カジールスキ氏はポーランドの大学ですでに10年近くソーシャルロボットを開発してきたためテクノロジーとノウハウは十分にあった。現在子どもたちが新しい言語を学習する手法は効率的とはいえない。そこでソーシャルロボットの商用化を目指す際、この分野は非常に大きくかつ有望な市場だと考えたという。

EMYSは3歳から7歳までの子供たちをターゲットにしている。ビデオの2:00前後でデモされているようにロボットはゲームを通じて楽しく言語を教えることができる。当面ヨーロッパと中国の市場を考えているが、これらはまったく異なった性格の市場なのでソフトウェアからマーケティングまでそれぞれに適したアプローチが必要だという。

中国では両親が子供たちの外国語習得にかける熱意は高い。欧米では子供たちは多数の科目を学ばねばならず宿題も出るため外国語学習に当てるられる時間が少ない。カジールスキ氏は「欧米向けではゲーム性を高めるなどの工夫をする」と語った。ビジネスとしてはきわめて初期の段階だが、ユーザビリティを最優先していくという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

子供の在宅学習を助けるグーグル謹製Android用英語読み上げアプリ「Read Along」

Google(グーグル)からRead Alongがリリースされた。これは無料のAndroid用教育アプリで、小学生に英語の読み方を教えるのを助ける。新型コロナウイルス(COVID-19)によるリモート学習が続く中、子どもたちの興味を失わせないことに注意が払われている。

Read Alongは2019年にGoogleがインドでリリースしたBoloをベースにしている。これは英語とヒンディー語で短いストーリーを読み上げてくれる教育アプリだった。Read Alongはこのアップデート版だが、インドで話される言語に加えてスペイン語とポルトガル語が追加されている。

Bolo同様、Read AlongもGoogleのAIによる音声認識やテキスト読み上げ機能を利用している。アプリにはDiyaという名前のAIアシスタントが組み込まれている。子供たちがテキストを音読すると、アプリは正しく読めているかどうか判断し、つかえたり読み方がわからなかったりするとDiyaが手助けしたり激励したりしてくれる。

子供たちが進歩するとミニ単語ゲームがプレイでき、アプリ内で賞をもらうことができる。

Googleはこのアプリが子供たちのプライバシーに留意し、モバイルやWi-Fiでネットワークに接続している必要がないことを強調している。入力された読み上げ音声はデバイス内でリアルタイムで処理される。Googleその他の外部のサーバーと通信する必要はなく、外部に保存されることも一切ない。Googleによれば、他のアプリでみられるような品質改善のために音声データを利用することもしていないという。

広告やアプリ内課金もなく、保護者はインターネット経由でGoogleから追加ストーリーをダウンロードできるがこれも無料だ。

サービスのスタート時点でRead Alongは約500本のストーリーをラインナップしている。このカタログには随時新しいストーリーが追加されていく。

Googleは「2019年3月にBoloとして発表して以来、保護者からのフィードバックが好評であることに後押しされてアプリを新しい市場に向けて拡張することを決めた」と述べている。インドで話されるヒンディー系諸語ではBoloは「話す」という意味だが、Googleはアプリを世界に広く展開するに際してRead Alongというアプリ名を選んだ。

新アプリではライブラリが拡大され、言語ゲームやその他の機能が追加、改善されている。フィリピン、コロンビア、デンマーク以外の世界各国(日本を含む)から利用可能だ。ベータ版は英語、スペイン語、ポルトガル語、ヒンディー語、マラーティー語、ベンガル語、タミル語、テルグ語、ウルドゥー語をサポートする。

アプリは5歳以上の子供向けでGoogle Playから無料でダウンロードできる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Duolingo、7億ドルの評価額で2500万ドル調達――マネタイズ方法は未だ模索中

人気言語学習アプリのDuolingoは、Drive Capitalがリードインベスターを務めたシリーズEで2500万ドルを調達した。reCAPTCHAのファウンダーLuis on Ahnが共同設立した同社の合計調達額は1億830万ドルにのぼり、彼らによれば今回のラウンドで評価額は7億ドルに達したという。

グロース・マーケティング担当VPのGina Gotthilfいわく、複数の企業から投資提案があったものの、その中でもっともミッションを共有できた(そしてもっとも良いオファーを提示した)Drive Capitalから投資を受けることに決めたとのこと。さらに、Duolingoは現時点で資金を必要としていたわけではなかったものの、結局必要ないときの方が資金調達しやすいということもあり、Driveのオファーを受けることにしたと彼女は話す。

また同社のユーザー数は最近2億人を越え、MAU(月間アクティブユーザー数)は2500万人にのぼるという。

設立から5年が経過したDuolingoは、今回調達した資金を使って、現在約80人のチームをエンジニアやデザイナーを中心に増員して2018年中に150人まで増やそうとしている。さらにプロダクト群も拡充していく計画だ。具体的には、中級レベルのユーザーをターゲットとした新しいプロダクトを複数ローンチ予定だとGotthilfは言う。そのひとつめがDuolingo Storiesと呼ばれるもので、このプロダクトは初級者を主なターゲットにした現在のDuolingoよりも難しい問題で構成されるようだ。名前が示す通り、Storiesはこれまでのものよりも長いストーリーが中心になるとのことだが、詳細はまだ明かされていない。

また、アジア言語として初めてDuolingoに登場した日本語コースに加え、今年中(2018年頭までズレる可能性もあるが)には韓国語・中国語コースのローンチも予定している。

もうひとつ彼らが力を入れているのが人工知能だ。既にDuolingoは簡単な会話ができるチャットボットを提供しているが、まだこの部分には改善の余地があると考えている。

昨年von Ahnは、サーバー代や従業員の給与といった経費に1日あたり4万2000ドルかかると記していた。それを考慮すると、彼らが新しいマネタイズの方法を模索しているのにも納得がいく。

Duolingoはもともと無料サービスを利用する言語学習者を活用し、有料顧客に向けて翻訳サービスを提供しようとしていた。しかし結局そのアイディアはうまくいかず、去年同社はアプリ上に広告を掲載し始め、広告の表示されない有料プランをローンチした(Android版アプリのみで、iOS版にはこれから導入予定)。さらに、TOEFLのような有料の英語検定試験も提供しており、現在では世界中の大学や企業、政府系機関で公式な言語能力試験として認定されている。

売上などの数字は公表されていないが、Gotthilfは今回の評価額に売上の伸び具合が反映されていると語った。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

ネイティブと話し放題 ー ランゲージエクスチェンジアプリのTandem

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Tandemのアプリを使い始めて間もなく、気づけば私はドミニカ共和国出身で35歳のJuanに、”will”という助動詞の微妙な使い方を説明しようとしていた。

私はその前に彼に対して、スペイン語の過去形の複雑さは、英語を母国語とする人には理解しづらいと伝えていた。すると彼から「私も英語で似たような問題に困っているんです」とすぐに音声メッセージで返事がきて、彼は”will”の理解に苦しんでいることを打ち明けたのだ。

これがTandemの日常だ。Tandemでは、言語を学ぶ世界中の人が集まり、お互いにチャットを交わしている。年齢や顔写真が表示されたプロフィールを眺めながら、誰を選んでどのようにゼロから会話をスタートさせようかと考える様子は、少しTinderを彷彿とさせるが、デート目的でこのアプリを使うことはできない。

赤の他人同士をマッチさせて、お互いが勉強したいと思っている言語の練習を促すというのがこのプラットフォームの目的だ。アプリを開くと、ユーザーが勉強中の言語のネイティブスピーカーで、かつそのユーザーの母国語を勉強しようとしている人がリストアップされるので、お互いの勉強を助け合えるようになっている。

アプリを使い始めるにあたって、ユーザーはプロファイル上に自分の興味があることや、どの言語(もしくはその言語のどういった点)を勉強したいのか、さらに話したい内容(またはどういった相手と話したいか)などを記載し、自分の顔写真もアップロードしなければならない。

つまり簡単に言えば、Tendamは言語を学んでいる人同士を結びつけ、チャット機能という練習の場を提供しているメッセージアプリなのだ。

世の中は言語学習をサポートするアプリやサービスで溢れかえっている。しかしベルリンに拠点を置くTandemは、ユーザー同士が無料でスピーキングの練習ができるプラットフォーム作りにフォーカスすることで、比較的ニッチな市場を築くことができたと考えている。なおTandemアプリはテキストメッセージ以外にも、音声・動画メッセージをサポートしている。

iOSアプリは2015年2月から公開されており、昨年9月にソフトローンチされたAndroidアプリもこの度正式にリリースされた。ちなみにTandem自体の開発は2014年の秋にスタートした。

アクティブユーザー数は120万人(アプリのダウンロード数は150万)で、共同ファウンダーのArnd Aschentrupによれば、現在Tandemは11種類の手話のほか、今までにない(ちょっとふざけた)言語として絵文字、ドスラク語、クリンゴン語を含む合計148言語をサポートしている。

DuolingoMemriseBabbelBusuuなどは、ビギナーが単語を覚えて言語学習の第一歩を踏み出すには素晴らしいサービスです。しかし実際に言葉を話さずして、新しい言語を習得することはできません。そして無料でスピーキングの練習ができるのはTandemだけです」とAschentrupは主張し、Tandemのアイディアはいわゆるランゲージエクスチェンジに基いていると話す。

「私たちは、興味のあることや学習上のゴールでユーザー同士をつなげたり、会話のきっかけをつくるゲームを準備したりすることで、ユーザーができるだけ簡単に会話をスタートさせて、練習ができるようにアプリを設計しました」

「現在Tandemには1万1026組の言語ペア(ノルウェー語とスウェーデン語など)が存在し、面白いことに、少数派で息の長い言語ペアがアプリの使用率の半分以上を占めています」と彼は付け加える。

私もTandem上で、英語を勉強しているスペイン語のネイティブスピーカー何人かと話をした後、このアプリには何か特別な魅力があると感じるようになった。コミュニティ全体がとても良い雰囲気を醸し出しており、ユーザーはお互いに丁寧で熱心なコメントをレビューとして残している。

一方で、Tandemのコミュニティへアクセスして他のユーザーとやりとりをするためには、プロフィールが承認されなければならない(Tandemは自分たちのことを”言語学習者のための会員制コミュニティ”と呼んでいる)。

さらに承認プロセス中には、不適切な行動をとるとどうなるかということがハッキリと伝えられる。基本的なルールとしては、他のユーザには敬意を持って接する、ナンパは禁止、スパムも禁止、さもなければアクセスを禁じられる(さらにある程度テキストでのやりとりをしないと、音声・動画メッセージは送れないようになっている)。

「私たちは、ユーザーが何か間違っても恥ずかしいと感じないように、フレンドリーで温かいコミュニティーをつくろうとしています」とAschentrupは話す。さらに彼は、17〜35歳のユーザーが全体の80%、女性が全体の60%を占めていると言う。「160ヶ国から集まったユーザーとともに、今後もさまざまな国や地域の人をTandemにむかえたいと思っています」

使い慣れていない言語で赤の他人と会話をはじめるというのは、当然簡単なことではないが、プラットフォーム上にいる全員が新しい言語を学ぼうとしているので、ユーザーは恐れを感じる必要がない。

ユーザーに熱意があるのは素晴らしいことだが、スピーキングというのは言語学習のひとつの要素でしかなく、話しているだけではしっかりとした文法の基礎を身につけることはできないだろう。つまり新しい言語を習得するには、スピーキングの練習と文法に関する学習の両方が必要なのだ。そしてTandemのプロフィールに、私が「スペイン語の過去形を練習したい」と書いたところで、すぐに無料の文法レッスンをたくさん受けられるわけではない。

ここがTandemのビジネスモデルの上手くできたところだ。同社はTandemのコミュニティに対して、本物の講師との有料レッスンを販売し、売上の一部(現状20%)を手数料として受け取っているのだ。私も実際にTandemを使ってみて、有料レッスンを試してみたいと感じた。

プラットフォーム上では、Tandemの審査を通過した約150名の講師が、有料レッスンを提供しているとAschentrupは話す。人数から言ってこの制度はまだはじまったばかりだが、彼によれば、これまでのところ講師全員が「紹介や講師自身からの応募」を経てTandemに登録している。

一方オンラインで言語レッスンを提供するプラットフォームは既にたくさんあるため、Tandemも厳しい競争に直面している。それでは良い講師をTandemにひきつけるために、彼らはどんな戦略をとっているのだろうか?Aschentrupによれば、彼らは講師に出来る限りシームレスでモバイルな環境を提供しようとしている。さらに講師はレッスンの価格を自分で設定することができる(少なくとも今のところは)。

「Tandemは、講師がスマートフォンやタブレット上のアプリだけを使って、自分のレッスンを管理(生徒探し、予約管理、言語学習のための総合コミュニケーションツール、予約ごとの即時支払)できる唯一のプラットフォームです」と彼は話し、さらにTandemのアプローチは「言語を教える上で面倒な部分を全て取り払い、その代わりに心地よく、楽しくて一貫性のあるモバイルエクスペリエンスを提供しています」と言う。

現在Tandemは、系統立った学習環境を提供するための新たな機能を盛り込むといった方法を使い、ユーザー数を増やそうとしている。そしてユーザーコミュニティが大きくなれば、結果的に講師の数も増えてゆくだろう。

「次のステップは、もっと系統立った言語学習環境をユーザーに提供するということです。具体的には、適切なエクササイズを準備して、ユーザーが自分の達成度を確認しながら、学習スピードを加速させられるような仕組みを作っていきたいと考えています」とAschentrupは話し、「ユーザーと講師の数が増えるにつれて、ネットワーク効果が高まっているのを確認できています。つまりコミュニティが成長すればするほど、ユーザーや講師全員にとってのTandemの価値が高まっているんです」と付け加える。

直接的な競合サービスとして、彼は中国のランゲージエクスチェンジアプリHelloTalkを挙げているが、このアプリは「Tandemに比べてコミュニティにあまり力を入れていない」と主張する。その他にも彼は、ウェブベースの言語講師のマーケットプレイスであるiTalkiやVerblingが、Tandemの競合にあたると考えている。

資金面に関し、Tandemは2015年に行われたシードラウンドで60万ユーロを調達したと発表した。またこのラウンドには、エンジェル投資家のAtlantic Labs (Christophe Maire)、Hannover BeteiligungsfondsMarcus Englert (Rocket Internet会長)、CatagoniaLudwig zu SalmFlorian LangenscheidtHeiko HubertzMartin Sinner、Zehden Enterprisesらが参加していた。

さらに同社は昨年、Faber VenturesRubyLight、さらには2015年のラウンドに参加していたHannover Beteiligungsfonds、Atlantic Labs、Zehden Enterprisesから200万ユーロを調達した。

現在のTandemの市場規模トップ5は、アメリカ、中国、ブラジル、イタリア、メキシコだが、ユーザー比率が10%を超える国はひとつもないとAschentrupは話し、以下のように締めくくった。

「引き続きTandemはとてもグローバルなアプリであり続けます」

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

英語学習のFleexでNetflixのコンテンツが利用可能に

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最初にFleexを特集した時は、それはよくできたビデオプレーヤーで、お気に入りの映画やテレビ番組を使って英語が学習できる、というものだった。それ以来、ReversoはFleexで働いていたチームを買収により獲得し、この語学学習のプラットホームに新しい特徴を付け足して再ローンチしようとしている。その特徴というのは、Netflixだ。

以下の点に関して私の考えは少し偏っているかもしれない、というのも、私がそのように英語を学んだからだが、私は言語を学習することにおいては、映画やテレビ番組をその言語で見ることが言語学習に極めて効果的だと考えている。

最初は、字幕を入れる。次に字幕を外国語に切り替えて、音声と字幕の両方を外国語にする。その後、字幕を非表示にしてしまう。毎回、次のステップに行く時、最初は理解するのが難しいと感じるよう自分を追い込まなくてはならない。

Fleexでは、最初は自分の母国語と英語の両方の字幕からスタートする。徐々にFleexは母国語の字幕を抜いて行く。ビデオの難しい部分では、両方の言語の字幕が表示されるが、いつも両方が表示される訳ではない。その後、字幕が完全に非表示となる。

使用中はいつでも、ビデオはポーズすることができ、単語をクリックするとReverso Contextを使ってその語の定義を参照し、その単語を学習リストに加えることができる。

Fleexのコストは月6.90ユーロ、または年39ユーロだ。Fleexプレーヤーをコンピュータに直接ダウンロードしなければTEDトークや自分のビデオも使うことが出来る。しかし、同社は使用可能なソースとしてNetflixも追加する予定だ。まだ試すことはできないが、いつ利用可能になってもおかしくない状態のようだ。

それでは、Netflixはどの様にこの事に関与しているのだろうか。実はこれはクライアント側で組み込んだサービスなのだ。NetflixはAPIを持っておらず、代わりにブラウザのエクステンションが利用するHTML5プレーヤーを使用している。例えば、字幕や種々の動作をNetflixプレーヤー上で付け加えることが可能だ。

「Netflixは2年前までは他の国では見ることが出来ませんでしたが、今ではNetflixは非常にオープンになり、直接Netflixプレーヤーと作業することが可能になりました。APIを使っておらず、オープンなのです」と、ReversoのCEOであるTheo Hoffenbergは私に言った。

良いことには、自分のブラウザをいじっても、Netflixはそれを止めることは出来ない。Netflixのサーバーから見れば、更にもう一人がNetflixの番組をストリーミングしているように見えるだけだ。そして、Netflixの観点からも、顧客がもっとNetflixのコンテンツに時間(とお金)を使ってくれてハッピーなはずだ。つまりはどちらもハッピーな関係なのだ。

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(翻訳:Tsubouchi)