脳ドック用ソフトウェアBrainSuiteを手がけるCogSmartが3.5億円のシリーズA調達、事業拡⼤・国内外での研究開発推進

脳ドック用ソフトウェアBrainSuiteを手がけるCogSmartが3.5億円のシリーズA調達、事業拡⼤・国内外での研究開発推進

脳ドック用ソフトウェア「BrainSuite」(ブレーン スイート。受信者向け医療機関向け)を手がけるCogSmart(コグスマート)は1月6日、シリーズAラウンドにおいて、総額3億5000万円の資⾦調達を実施したと発表した。引受先は、オムロンベンチャーズ、アイロムグループ各社、DG Daiwa Ventures、アイティーファーム、MAKOTOキャピタルが運営・関与するファンド、個⼈投資家。累計調達額は4億1000万円となった。調達した資⾦により、国内外でのさらなる研究開発の推進や事業拡⼤に取り組み、社会課題の解決に挑み続けるとしている。

2019年設⽴のCogSmartは、「早期段階からの認知症予防」の普及を目指す東北大学発の医療テクノロジー系スタートアップ。「脳医学とテクノロジーの⼒で、⼀⼈ひとりがいつまでも健やかに、⼼豊かに暮らすことができる社会を作る」をビジョンに掲げ、認知症の早期段階からの予防や、認知機能の改善・維持のための医療・ヘルスケア機器の製造販売事業、またこれらに関する解析・データサイエンス事業を手がけている。

同社が手がけるサービスの1つがBrainSuiteで、首都圏の病院・健診施設を中心に提供。さらに、東北や⻄⽇本エリアの病院でも提供を開始しており、今後全国各地での展開を予定している。

同サービスは、30代から70代までを対象に、頭部MR画像のAI解析技術などを利用することで、海馬の体積や萎縮程度を測定・評価し、同性・同世代と比較した脳の健康状態を可視化するものという。これにより行動変容のための「気づき」を提示し、脳の健康状態の維持・改善方法について受診者に合ったアドバイスを提供することで、「認知症にならない生涯健康脳」の実現を脳医学の観点から支援する。脳ドック用ソフトウェアBrainSuiteを手がけるCogSmartが3.5億円のシリーズA調達、事業拡⼤・国内外での研究開発推進

またCogSmartは、⼤規模頭部MRIデータベースを⽤いた医⽤画像分析に関する研究にて⻑い蓄積を持つ東北⼤学医学研究所 瀧研究室をはじめ東北大学と密に連携し、画像解析ソフトウェアなどの開発を実施。⼈⼯知能技術を活⽤した頭部MR画像解析プラットフォームを構築していることから、企業・医療機関様などの要望に応じて、認知症分野以外にも脳疾患・症状などに関する画像解析ソフトウェアの受託開発、またそのデータ分析を柔軟に⾏うことが可能という。

認知症による資産凍結を防ぐ家族信託サービス運営のファミトラが総額約14億円のシリーズA調達

認知症による資産凍結を防ぐ家族信託サービス運営のファミトラが約14億円のシリーズA調達、サービス開発と採用・組織体制強化

家族信託(民事信託)サービスの「ファミトラ」を運営するファミトラは12月15日、シリーズAラウンドにおいて総額約14億円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、Eight Roads Ventures Japan、Coral Capital、DG Daiwa Ventures、Aflac Ventures LLC(アフラック・イノベーション・パートナーズが支援)、東京海上日動火災保険、みずほ銀行など。累計資金調達額は約17億円となった。

家族信託は「大切な家族の資産を家族で守る」ための仕組み。家族信託では、資産の所有者(委託者)と、家族など信頼できる人(受託者)との間で、資産の管理を委託する契約を交わす。契約締結後は、受託者が信託財産の形式的な所有者となり、信託契約書の定める通りに資産の管理・運用・処分を行うことになるため、たとえ委託者が契約締結後に認知症を発症しても、資産が凍結されることはない。信託する資産の種類や、どのように資産を管理するかを、委託者の意向に沿って柔軟に設定できるという点が、家族信託の特徴となっている。

ファミトラは、高齢化が進む日本で、認知症者の資産凍結がより深刻な社会問題になると予測されることを背景に「簡単に・早く・安く」家族信託を始められるサービスを提供。ITによるオペレーションで効率化と低価格化を実現し、家族信託の組成に必要な信託契約書の作成、専用の銀行口座の開設、不動産登記手続きなどをサポートする。認知症発症前に家族間で資産の管理を委託する契約を交わすことで、本人の意向に沿った柔軟な財産管理を可能にする「家族信託」が、より身近な選択肢になるためのサービスを展開している。

今回調達した資金は、採用・組織体制の強化とサービス開発に充当される。家族間の資産管理を行ないたい方との接点となる、保険会社や銀行、介護事業者、証券会社などとの連携に取り組み、家族信託のDXを加速させることで「家族信託があたりまえの選択肢になる世界」を目指す。認知症による資産凍結の事前対策としての家族信託の周知、家族信託関連サービスやビジネスの創出、さらなるマーケットの拡大を図りたいという。

 

認知症領域の課題解決を目指す医療AIスタートアップSplinkが11.2億円調達、脳ドック用AIプログラムの全国普及・拡大推進

VRリハビリ機器を提供する「mediVR」が5億円のシリーズB調達、「成果報酬型自費リハ施設」開設を計画

認知症領域の課題解決を目指す医療AIスタートアップSplinkが11.2億円調達、脳ドック用AIプログラムの全国普及・拡大を推進認知症領域の課題解決を目指す医療AIスタートアップSplinkは11月17日、総額約11億2000万円の資金調達を発表した。引受先はジャフコ グループ、東京海上日動火災保険、三菱UFJキャピタル、博報堂DYホールディングス、個人投資家。調達した資金により、引受先とのシナジーを活用するとともに製品化・事業化を加速する。

Splinkは、2017年の創業以来、認知症予防の促進を目指し、脳ドック用AIプログラムとして「Brain Life Imaging」の提供を進めてきた。都内を中心に様々な医療機関が利用しており、今後全国への普及・拡大を推進するという。また、この先行サービスで得られた知見を活用し、開発を進めてきた「脳画像解析プログラムBraineer」では、診断・治療フェーズにおける認知症見逃しを防ぐ医療機器プログラムとして2021年6月に薬事認可を取得した。

同社は、今回の増資により主力製品Brain Life ImagingおよびBraineerの製品強化を引き続き進めるという。さらに、複数アカデミアとの共同研究を通じて開発パイプラインの製品化に向けた投資も実施する。認知症という高齢化社会における課題に対し、健常段階の予防から発症後の病気と共生できる社会に寄与すべく、認知症の予防から診断まで一貫したソリューションをワンストップで提供するとしている。

認知機能障害検出のソフトウェアを開発するBrainCheckが約11億円調達

世界的に高齢化が進むのにともない、脳の健康に関する研究が進んでいて、スタートアップがテクノロジーを活用して認知障害を軽減する方法を模索している。

ヒューストンとオースティンを拠点とするBrainCheck(ブレインチェック)は、認知障害の検知とケアを専門とする医師をサポートする認知ヘルスケアソフトウェアの開発を手がけている。同社はアルツハイマー病や関連する認知症に対する新しいデジタル治療法の研究開発と市場開拓のために、シリーズBで1000万ドル(約11億円)を調達した。

このラウンドは、Next Coast VenturesとS3 Venturesがリードし、Nueterra Capital、Tensility Ventures、True Wealth Venturesが参加した。さらに、UPMC EnterprisesとSelectQuoteが戦略的投資家として加わった。今回の資金調達により、2016年の300万ドル(約3億4000万円)のシードラウンド、2019年の800万ドル(約9億1000万円)のシリーズAを含め、BrainCheckがこれまでに調達した資金総額はおよそ2100万ドル(約23億9000万円)となる。

BrainCheckの技術は、患者と米国内の約1万2000人という限られた数の神経内科医との橋渡しをする。対面または遠隔(スマートフォン、タブレット、コンピューターを介して)で行う10〜15分のテストを通じて、認知機能障害を早期かつ正確に検出することができる。

検査結果に基づき、患者にはCognitive Quotient(CQ)スコアが割り当てられ、これをもとに数分以内にパーソナライズされた認知機能ケアプランが作成される。現在、400以上の神経科、プライマリーケア、老年医学の診療所がこの技術を使用していて、マウントサイナイの臨床医も新型コロナウイルス感染症による認知障害の追跡と管理に活用している。

BrainCheckの共同創業者でCEOのYael Katz(ヤエル・カッツ)博士は、パンデミックがヘルスケアのエコシステム全体のすべてを変えた、とTechCrunchに電子メールで語った。

同社は、シリーズAの2年後に新たな資金調達を行うことを常に考えていたが、世界的な大流行がその方針にどのような影響を与えるかを見極めるために一旦停止したとカッツ氏は話した。しかし、新型コロナが人々の医療に対する認識に光を当て、リモートケアに慣れてきたことで、継続する機会を見出した。

今回の資金調達により、同社はチームの拡大と研究開発への投資を継続することができる。同社はすでに、患者との関係を深めるためのいくつかの新しい取り組みを行っており、これらは間もなく市場に投入される予定だと同氏は付け加えた。

BrainCheckは2020年、前年比で3倍という収益増を達成したが、カッツ氏は2022年も同様の成長を見込んでいる。今回のシリーズBでは、2年前と同じように成長させることを目標としている。

「リモートワークへの移行やメンタルヘルスの重要性の高まり、予防医学への投資、高齢化社会への対応など、これらすべての要因が重なって、私たちが行っていることが重要であり、今後も重要であり続けることが証明されました。医師がBrainCheckのようなツールに投資して患者の治療の質を向上させることが、かつてなく重要になっています」と述べた。

画像クレジット:Jorg Greuel / Getty Images

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi