ハンバーガー調理ロボットに続き、Miso Roboticsからトルティーヤチップスを調理するロボットが登場

ハンバーガーを調理するロボットアーム「Flippy(フリッピー)」を開発した会社から、トルティーヤチップスを調理するロボットアーム「Chippy(チッピー)」が登場した。Miso Robotics(ミソ・ロボティクス)は米国時間3月16日、ファストフードのメキシコ料理レストランチェーン「Chipotle(チポトレ)」と提携し、トルティーヤチップスを揚げて味付けするシステムを開発すると発表した。もっとも、同社の「Flippy 2(フリッピー2)」が2021年、ファストフードチェーン「White Castle(ホワイト・キャッスル)」のフライドポテトを調理する方法を発見したことを考えれば、それほど大層なこととは思わないが。

この新しいロボット / AIシステムは現在、オレンジ郡にある同チェーンの食品研究所「Cultivate Center(カルティベイト・センター)」でテストされている。2022年後半には、南カリフォルニアのレストランで試験運用を開始する予定だ。その前に展開されたFlippyの時と同様に、Chippyのメーカーはこの試験期間中に、従業員や顧客にとって何が有効で、何が有効でないかを見極めることになるだろう。

このシステムは、バスケットを高温の油槽に浸すだけでなく、塩とライム汁でチップスに味付けもできるように設計されている。Chipotleは、ちょっとしたカオスが、調理に人間らしさを取り戻す鍵になるという。

「誰もがチップスに、ほんの少し塩味が濃い方がいいとか、もう少しライムを効かせて欲しいとか、注文を付けたくなるものです」と、Chipotleの料理担当バイスプレジデントであるNevielle Panthaky(ネヴィール・パンタキー)氏は語る。「当社の料理体験の背後にある人間性を失わないように、私たちはChippyを広範囲に訓練し、当社の現在の製品を反映した、お客様が期待する味の微妙なバリエーションを提供できるようにしています」。

Miso RoboticsのChippyは、ハンバーガー調理ロボットのFlippyと、ソフトドリンクディスペンサーの「Sippy(シッピー)」に加わることになる。この先、給仕ロボットの「Tippy(ティッピー)」や、マリファナ調合ロボット「Trippy(トリッピー)」なども登場するのだろうか?

画像クレジット:Miso Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ロボットが昼食のサラダボウルを調理してくれるようになる日は近い

Hyphen(ハイフン)という企業については、8月に同社がステルス状態から脱した際に、筆者のニュースレター(翻訳されているので是非ご覧いただきたい)で簡単に紹介した。食事の準備を自動化することは、今後、大きな意味を持つことになるだろう。新型コロナウイルス感染症が流行し始めた初期の頃、多くの人がそう予想した。外出自粛要請やウイルス感染への不安が拡がった時、多くのレストランオーナーは、最終的にどの程度のプロセスを自動化できるだろうかと考えていた。

だが、多くの人がそれは一時的な問題になると考えていたのではないだろうか。ウイルス感染拡大から2年が経過した今、人々の「一時的なもの」に対する予想は、多少変化したと言ってもいいだろう。しかし、一部の地域では感染拡大が収まっているものの、低賃金であることが多い外食産業の人材確保は、依然として問題となっている。

このような理由により、業務用厨房の自動化を実現する企業には、多くの投資家から関心が集まっている。数年前から盛り上がっていたロボットによるフードデリバリーに、この分野も追いつきつつあるようだ。当初は、自動化が比較的容易な食品に、特に注目が集まるだろう。ピザは、そのシンプルさと、そして多くの人がピザを好むという事実から、当面は間違いなく最初に選ばれる対象となるはずだ。

サラダボウルも有力な候補だ。サラダボウルは完結型の料理で、コンピューターの画面から離れられる時間がますます減っている労働者にとって、手軽なランチの選択肢として人気が高まっている。

Hyphenが提供する「Makeline(メイクライン)」は、カウンターの下で行われるベルトコンベアのようなプロセスを通して、ボウルの調理を自動化するモジュール式のソリューションだ。そのカウンターの下に収められているという仕様は、とりわけ興味深い。このような企業の多くは、自動化を外に向けて見せるものと位置づけているからだ。見方によっては、ロボットが自分のランチを作ってくれるというのは、クールな、あるいは少なくとも斬新な、アイデアだと思われるかもしれない。しかし、Hyphenのシステムは、人間が顔を出して顧客と対話するというような、人間を前面に出すことを前提としている。

サンノゼを拠点とするHyphenは先日、2400万ドル(約27億6000万円)のシリーズA資金調達を実施したことを発表した。Tiger Global(タイガー・グローバル)が主導したこのラウンドによって、Hyphenの資金調達総額は3440万ドル(約39億6000万円)に達した。この新たな資金は、研究開発の強化、生産設備の増強、市場の拡大など、ロボット関連の資金調達に予想されるとおりの用途に使われる。同社は、今後2年間でMakelineシステムを5つの市場に展開することを想定しているというが、具体的な内容についてはまだ発表していない。

画像クレジット:Hyphen

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

夕食はロボットにお任せ、レストランロボットと風変わりなドロイド

私は2022年初めのCESに向けて計画を進めてきたが、おそらく今週中には白紙に戻りそうだ。呆れるほど多数の紫外線消毒ロボットの売り込みがなくなることに奇妙な寂しさも感じるものの、一方では最新変異株(オミクロン)の急増の中で、ショーに直接参加することの是非を検討していたのだ。最終的には、今回はラスベガスに参加しないことにしたが、数週間以内にはお伝えすることがたくさん出てくると思う。

ほぼ2年前のCESとそれに続く私たちのロボットセッションが、私が直接参加した最後のイベントであったことに気づいて、とても奇妙な心持ちがしている。ロボットセッションをオーガナイズして、TechCrunchのCESへの取り組みを主導する役割を果たしてきた私は、これらの決定を軽く考えることはとてもできない。

そして、特にロボットの評価に関しては、直接会議に参加することにはまだ個人的なメリットがあると感じている。Zoom(ズーム)を通してロボットの見栄えを良くしようとしても限界があるからだ。

どちらかといえば、こうしたことすべてが、ロボットシステムの本格的な採用が、非常に近くて同時にまだ遠いものだということを痛感させる。ちなみに私は、来年のCESに向けて、本当に多数のロボットの売り込みを受けたと言っても構わない。今回のショーは、来年の動き全体を占うものになるようにデザインされている。それらは、消費者向けから産業用途まで、そしてその間のすべてのものをも幅広く含んでいる。

パンデミックが業界の興奮と投資を加速させたことは間違いないが、実際の導入スピードはカテゴリーによって大きく異なる。年末の他の記事でこれまで見てきた2つの例は、かなり進んでいる。これまでの製品と同様に、倉庫ならびにフルフィルメントのロボットは現在とても現実的なものだ。最近オンラインで何かを購入したのなら、ロボットがラインのどこかの時点で製品の入手を手伝ってくれた可能性がかなり大きい。

配達ロボットはさらに難しい。たくさんのパイロットプロジェクトが存在しているが、住んでいる地域によっては(特に大学キャンパスの近くにいる場合には)、そのうちの1台が自分向けの出前でなくても近くを走っているのを見たことがあるかもしれない。一般に、歩道は倉庫よりも管理されていない場所であり、規制上の煩雑な手続きを経て世に出す必要があるため、資金調達の成否にかかわらず、明日の朝ロボットで歩道が溢れかえっているようなことはないだろう。

今週は、そうしたロボットが配達しているかどうかはともかく、対象となる食べ物を、実際に作っているのは誰なのか、あるいは「何」なのかについて話したいと思う。

画像クレジット:Paul Marotta / Getty Images for TechCrunch

細かい話に入る前に、iRobot(アイロボット)の共同創業者でCEOのColin Angle(コリン・アングル)に、過去1年間のロボット業界を振り返り、来年の予測をしてもらえるようお願いした。

2021年のロボット / AI / 自動化のトレンドを定義したのは何でしたか?2021年には、倉庫の自動化、自動運転技術、そしてもちろん排泄物検出がブレークスルーをもたらしました。2021年は、自動化への大規模な投資が功を奏し、2020年をほぼ超えたオンラインショッピングの驚異的な増加が、目覚ましい年となりました。中米をターゲットにした自動運転トラックのテレビコマーシャルを実際に見ました。これは本当に起こっていることなのでしょうか?そして私は、ロボットの真空掃除機にまつわる汚くてめったに議論されない課題の1つが、手頃な価格で信頼性の高い視覚的物体認識の出現によって、過去のものになったと言えることを誇りに思っています。2021年はロボットにとって変革の年だったといっても過言ではないでしょう。

2022年はこれらのカテゴリーで何が起きるのでしょう?2022年に入ってからは、人々が待ち望んでいたスマートホームの本当の進歩を目にできたらと思います。現在のバージョンのスマートホームでは、複雑過ぎますし、使いやすさが貧弱過ぎます。しかし、経験を最優先するエコシステムを生み出し、能力とシステムのシンプルさにも優れ、成長を始めることができるツールが登場しつつあります。そこで私は、2022年が、一般の人々の間で業界が加速し続ける年になるだけでなく、私たちの日常生活へのロボットの思慮深い統合に重要な前進が見られる年になることを期待しています。非常に多くの面で勢いが増しているのを見られるのはエキサイティングです!

さて、私の長年の輝かしいキャリアの中では最も不快な話題転換ではあるが、排泄物の検出から食事の準備に話題を移すことにしよう(会社が「読者が減ったのは何故だ」と聞いてきたときのためにここにメモとして残しておく)。

Los Angeles Timesのテストキッチンで2009年3月11日に撮影された、レンガのオーブンから取り出されたマルゲリータピザの画像(写真クレジット:Anne Cusack/Los Angeles Times via Getty Images)

この1年はロボットによる食品調理にとって大きな年だった。パンデミックが発生する前は、この分野に関与した著名なスタートアップは極めて稀だった。特にZume Robotics(ズームロボティックス)などを含む一部の企業は、業界から去っていった。しかし、ロボット分野対するベンチャーキャピタルの大規模な流入に伴って、レストランビジネスの自動化が進んでいる。その主な2つ理由は、この2年で骨身に沁みて理解できているはずだ。第一に、米国では人材が大幅に不足しているということ。第二に、ロボットは病気になることはなく、人びとを病気にすることもないということだ。

もし私が、食品ロボットの現状を4ワードで要約しなければならないとすると、次のようになる。

  • ピザ
  • ボウル(日本でいうどんぶり物)
  • ファーストフード(1ワードにまとめてズルをした)
  • キオスク(売店)

画像クレジット:Picnic

最初の2つがリストの一番上にあるのは同じ理由だ。食品を自動化する場合には、人気があって、比較的均一なものである必要がある。もちろん、さまざまなトッピングはあるものの、ロボットにとっては、ピザを作ることは、生地、ソース、チーズ、トッピング、調理、繰り返しといった、かなり簡単な経験なのだ。Picnic(ピクニック)やXRobotics(エックスロボティックス)のような企業は、Zumeが中断したものを引き継ごうとしている。

関連記事:XRoboticsはピザロボットの夢を諦めず正式発表に漕ぎ着ける、1時間で最大150枚、20種類以上のトッピングに対応

画像クレジット:Spyce

ボウルはピザ同様の領域を埋める。それらは近年人気が高まっていて、かなり基本的なテンプレートが確立している。サラダやキノア(食用の実)などのトッピングやベースのバリエーションがあるとしても原理はかなり単純だ。したがって、カリフォルニアを拠点とするファストカジュアルサラダチェーンのSweetgreens(スイートグリーンス)が、MITのスピンアウトであるSpyce(スパイス)を買収して、先の8月に登場したことはおそらく驚くようなことではない。この動きは、2月にサラダ製造ロボット会社Chowbotics(チャウボティックス)を買収したDoorDash(ドアダッシュ)による類似の買収に続いたものだ。

Miso(ミソ)は現在ファーストフードレースをリードしていて、数多くの大きなパートナーシップが発表されている。同社のハンバーガーフリッピング(パテ焼)ならびにフライクッキング(揚げ物)ロボットは、まだ人間のキッチンスタッフを完全に置き換えることはできないものの、世代を重ねるにつれて、ますます能力を高めている。

画像クレジット: Nommi

一方、キオスクは、主に人間を作業工程から外すように設計されている。この解決策は、前述の労働力不足のおかげで、ますます勢いを増している。システムと人間の相互作用は、主に材料投入、メンテナンス、および注文に限定されている。しかし、適切な技術があれば、Nommi(ノミー)のようにボタンを押すだけで簡単に新鮮な食材を調理することができる。たとえば最近行われたNommiとC3との提携では、Iron Chef(料理の鉄人)の森本正治氏の料理が、24時間年中無休の調理マシンに採用されている。

関連記事:ハンバーガーをひっくり返すロボット「Flippy」の能力が向上、調理前後の作業を追加

今週は、クリスマスということもあり、ニュースの流れは多少ゆっくりとしている。とはいえ私たちは、Hyundai(ヒョンデ、現代自動車)がCESのために何を準備しているのかを垣間見ることができた。Hyundaiは、Boston Dynamics(ボストンダイナミクス)の買収を含め、ロボットへの取り組みを実際に倍増させている。新しいMobile Eccentric Droid(MobED、モバイルエキセントリックドロイド)は、あらゆる意味でプラットフォームだ。それは文字通りのもので、中央に台になる部分を備えた四輪移動装置だ。また、電話会議から荷物の配達、スマートな乳母車まで、さまざまな機能を収容することができる。

画像クレジット:Hyundai

その安定化技術について、Hyundaiは次のようにいう。

偏心機構による姿勢制御システムは、地表状態に応じて各車輪の高さを調整することで、体の姿勢も安定させます。MobEDの12インチ空気タイヤは、さらに衝撃や振動を吸収するのに役立ちます。

一方、Tiger Globalはその派手な支出を続けている。今週同社は、カリフォルニア州パサデナを拠点とするElementary(エレメンタリー)のために3000万ドル(約34億3000万円)のシリーズBを主導した。Fika Ventures、Fathom Capital、Riot VC、Toyota Venturesも参加したこのラウンドによって、このマシンビジョンスタートアップの総資本は4750万ドル(約54億3000万円)になった。創業者のArye Barnehama(アーリエ・バーナハマ)CEOはTechCrunchに次のように語った。

製造業と物流は、パンデミックの前にすでに始まっていて、パンデミックの最中に大幅に増加した大規模な人手不足を経験しています。企業が、高価で見つけるのが難しいエンジニアリング人材に頼らずに、自動化を続けようとする中で、ノーコードAIソリューションを提供できる私たちのビジネスは拡大してきました。

インドを拠点とするロジスティクスロボティクス企業Unbox Roboticsの700万ドルのシリーズAラウンドは、3one4 Capitalによって主導された。Sixth Sense VenturesとRedstart Labsもラウンドに参加し、SOSVを含む多くの既存の投資家も参加した。同社によれば、調達した資金は採用、技術開発、そして新しい領域への拡大に向けられるとのことだ。

画像クレジット:Getty Images

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(文: Brian Heater、翻訳:sako)

Nommiがフードボウルを作るキッチンロボットを展開、「料理の鉄人」森本氏と提携も

レストラン業界で人手不足が続く中、オーナーらは今後、自動化への期待をますます募らせるはずだ。また、世界的なパンデミックの影響で食品の取り扱いが厳しくなっていることもあり、食品ロボットの会社を経営するには間違いなく最高のタイミングだと言える。

LAに拠点を置くNommi(ノミ)は、レストランブランドのC3(Creating Culinary Communities)との提携を発表し、世界中の不動産や大学キャンパスのパートナーに、最大1000台のロボットキオスクを展開する予定だ。

自動化が可能な食品の種類は、まだ比較的少ない。Nommiが注目しているのは、ピザのように比較的均一で自己完結型の食品配送システムであるフードボウルで、ロボットに最適なものだ。同社を代表する製品は、基本的に細長いキオスクで、客が自分の食事をカスタマイズできるタッチスクリーンがビルトインされている。

このマシンは、麺類、穀物、サラダなどのボウルを最短3分で作ることができる。最大330個のボウルと蓋を収納でき、一度に複数のボウルを作ることが可能だ。完成したボウルを最大21個「ロッカー」にキープし、料理を取り出すにはQRコードを使う。C3との契約には、料理の鉄人である森本正治氏とのパートナーシップも含まれており、森本氏の「Sa’Moto」ブランドのプロダクトがマシンに導入され、24時間365日稼働することになる。

「Nommiの秘密のソースは、ブランドと消費者の両方の視点から見て、比類のない汎用性にあることは間違いありません」と、社長で共同創業者のBuck Jordan(バック・ジョーダン)氏はリリースで述べている。「C3のような革新的なプラットフォームと提携することで、多くの収入源とユニークな顧客へのアクセスが可能になります。両社とも食品業界に変革をもたらしており、我々のパートナーシップは最高のタイミングで実現しました」と話した。

Nommiは、MisoやFuture Acresといったロボット企業のインキュベーターであるWavemaker Labsの支援を受け、最大2000万ドル(約23億円)の資金調達に取り組んでいる。

画像クレジット:Nommi

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi