AWSがマイクロソフトによるJEDI契約獲得へ異議を提出

先月国防総省が、10年にわたる100億ドル(1兆円超)規模のJEDIクラウド契約入札の勝者として、Microsoft(マイクロソフト)を指名したことは、間違いなくほぼ全員を驚かせたことだろう。誰もが勝者だと考えていたAmazonもそれ以上に驚いたに違いない。米国時間11月14日に同社は、連邦異議裁判所に対して異議を提出する意向だという先行していた報道を肯定した。

これを報じたのはThe Federal Timesである。

声明の中でAmazonの広報担当者は、選択プロセスにバイアスや問題があった可能性を示唆している。「AWSは、米国軍が必要とする重要な技術を提供するための、経験豊富で資格を満たす、比類なき存在です。そしてDoDの近代化の取り組みの支援に対して引き続きコミットしています。また、政府と選挙で選ばれた指導者たちが、政治的影響を受けないやりかたで、客観的に調達を管理することが、我が国にとって重要であると考えています」。

「JEDI評価プロセスの多くの側面には、明らかな欠陥、エラー、紛れもないバイアスが含まれていました。これらの問題を検討し、修正することが重要なのです」とAmazonの広報担当者はTechCrunchに語った。

トランプ大統領が、AmazonのCEOでありワシントンポスト紙の所有者でもある創業者のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏に対する軽蔑的な姿勢を隠していないことは、たしかに注目に値する。Microsoftが勝った後にも書いたように「マイクロソフトが勝利しても米国防総省JEDIのサーガは終わらない 」。

例えば、アマゾンは、ジェームズ・マティス元国防長官の著書を論拠にできる。マティス氏は大統領から「100億ドルの契約からベゾスを締め出せ」と命じられたという。彼は拒否したと書いているが、この疑惑がある限り、論争は終わらない。

Oracle(オラクル)もまた、プロセス全体を通じて多くの抗議を提出している。 その中には政府説明責任局に対して提出され、最終的には拒絶されたものも含まれている。Oracleは訴訟も起こしたが、その訴えも棄却されている。こうした抗議のすべては、選定プロセスがアマゾンを贔屓していると主張していたが、最終結果はそうではなかったことを証明したことになる。

大統領は8月に意思決定プロセスに介入し、調達プロセスが何らかの形でAmazonを贔屓していたかどうかを再度調査するように国防長官であるMark T. Esper(マーク・T・エスパー)氏に要求した。そしてホワイトハウスは入札の勝者が決定した週にワシントンポスト紙の定期購読を解約している。

10月についに決定が下され、DODはMicrosoftを選定した。現在、Amazonは連邦裁判所へ異議を申し立てようとしている。JEDIのサーガは、これが終わるまでは本当に終わることはない。

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(翻訳:sako)

アプリで救急搬送先を検索―、医師版SNS「Whytlink」の運営元が4億円を調達

 

LINEやFacebook Messengerなどのコミュニケーションアプリが個人ユーザーには普及したが、今後医療現場でもチャットアプリの普及が加速するかもしれない。医療系ITサービスを提供するリーズンホワイは本日、総額4億円の第三者割当増資を発表した。引受先はアンテリオ、ファストトラックイニシアティブ、DBJキャピタルの3社だ。

リーズンホワイの主要サービスは、2015年6月から提供を開始している医師向けSNS「Whytlink(ホワイトリンク)」だ。Whytlinkは医師版LinkedInのようなサービスで、各医師の経歴や実績を掲載している。医師同士の推薦や患者の紹介情報などもWhytlinkに集約することで、専門医の得意分野などを可視化するためのサービスだ。Whytlinkに登録している医師は、2016年12月に1000名以上になったという。

2017年1月からはiOSアプリもリリースしている。これは主に医師同士のコミュニケーションを効率化することを目的としている。LINEやFacebook Messengerでも連絡は取れるが、患者の医療相談を扱う場合はセキュリティー面が不安だったり、他の病院の医師とは連絡しづらかったりという課題があった。このアプリが使えるのはWhytlinkに登録している実名の医師に限り、アプリは患者情報のやりとりを想定していてセキュリティー対策も万全だという。これまで救急搬送の場合など、医師同士は電話で連絡を取ることが多かったが、チャットであれば画像も添付でき、的確なコミュニケーションが取れる。また、近くの病院を検索する機能などもある。

今回の調達と同時に、リーズンホワイはこのアプリに新しく「症例検討機能」を実装したと発表した。これは、患者の症例ごとに院内外の医師と症例を共有して、治療法を検討するための機能だ。患者の情報を共有する際には、患者の同意を事前に取得するための機能も実装しているという。

また、リーズンホワイは今年の秋にも患者が医師から治療提案を受けられるサービス「Findme」をローンチする予定だという。これは、患者が提供する診断情報をコーディネーターとなる総合診療医が見て、患者をWhytlinkに登録している専門医とつなぐ仕組みだとリーズンホワイの代表取締役社長を務める塩飽氏は話している。

Findmeについては2016年3月に取材した時、2016年夏頃にはローンチする予定と話していた。リリースが延期となったのは、Findmeのモデルを考え直したからと塩飽氏は言う。当初は例えば、整形外科など領域を絞ってFindmeを展開する予定だった。しかし、実際の事例を見ると、腰の痛みから整形外科にかかりたいと話していた患者は、実際は別の病気が痛みの原因になっていたというようなこともあった。患者にとって最良のオプションを提示するためには、総合診療医によって適切な専門医とつなげるモデルにする必要があると考え、リリース時期を延期してそのモデルの実現に注力してきたと塩飽氏は説明する。また、Whytlinkの登録医師も徐々に増えているが、これが数千人規模まで増えた段階でFindmeをローンチすることが事業にとっても適切と考えているという。

リーズンホワイは他にも、製薬メーカー向けにどの病院がどういった疾患の治療が得意なのかを把握できるサービス「Whytplot(ホワイトプロット)」を提供している。Whytplotは2017年3月に提供開始以来、26の医療機関、製薬会社、医療品や医療機器販売会社などで導入が進んでいるそうだ。また、2014年4月から提供している患者が疾病や医療機関について深く知るためのサービス「yourHospital」は提供を終了している。

リーズンホワイは2011年7月に創業し、2016年3月にはファストトラックイニシアティブと東大総研から総額1.6億円を調達している。今回調達した資金は、既存サービスを拡充していくこと、そしてこれから展開するFindmeの開発に充てると塩飽氏は話している。

スマートトイのMoffがMRIらから3億円調達、リハビリに挑む

ウェアラブルデバイスにはApple WatchやFitbitなどいくつかあるが、スマートトイのMoffは法人向けサービス、特に介護やウェルネルの領域での普及を目指すようだ。本日ウェアラブルIoT端末を開発するMoffは、総額3億円の第三者割当増資を発表した。引受先は、環境エネルギー投資、三菱総合研究所、ツネイシキャピタルパートナーズだ。

2013年10月に設立したMoffは、2015年9月にバンダイナムコエンターテインメント、ORSO、TomyK、個人投資家らを引受先として総額1億6000万円を調達している。今回の調達で累計調達額は4億6000万円を超える計算となる。

Moffの主力製品はウェアラブル端末の「Moff Band」で、これはBluetoothでスマホなどの端末と連携して使用するデバイスだ。加速度センサーとジャイロセンサーを内蔵していて、腕に巻きつけておけば着用者の動きをトラックできる。2014年3月に実施したKickstarterのクラウドファンディングキャンペーンではおよそ7万9000ドルが集め、2014年秋から日米で一般販売を開始した。

当初は「スマートトイ」という触れ込みで展開してきたMoffだが、代表取締役社長の高萩昭範氏は、「もともそヘルスケア領域へのチャレンジは考えていた。鎌田さん(創業時からMoffに出資しているエンジェル投資家で、TomyK代表取締役の鎌田富久氏)から最初に投資を受けたときから、『楽しい体験をしながらデータをためて、それを価値に変える』ということを考えていた。」と説明する。

Moff代表取締役社長、高萩昭範氏

「『動き』を『楽しい』に変えるというのは、スマートトイを使った運動だけでなく、介護との相性もいいと分かっていた。(Moffなら)身体データを計り、フィードバックもできる。ではそれをどういうコンテンツにできるか、というところが課題だった」(高萩氏)。こういった背景もあり、Moffは今回の調達に先駆けて2016年12月に三菱総合研究所との資本・業務提携を実施している。

スマートトイの領域については、2016年8月に学研と提携。Moffを活用した紙芝居アプリ「おとしばい」を保育園や幼稚園に提供するなど、B向けサービスで事業を拡大している。米国でもPBS KIDSに続き、提携先を拡大中だ。

今後は年内にも国内のリハビリ施設を対象に、Moffを使ったリハビリ向けのソリューションを提供する予定だ。「介護リハビリからスタートするが、今後はそれに限らず、転倒予防や生活習慣病予防といった領域に挑戦していく」(高萩氏)

手書きの内容も人工知能でデータ化する「Tegaki」の開発元が13億円を調達

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申込用紙やアンケート用紙など手書きのものが多いが、それを有効活用するには、まずは手書きの情報をデータ化しなければならない。Cogent Labsは、人工知能による手書きの認識サービス「Tegaki」を開発している。Cogent Labsは本日、シリーズAで総額13億円の第三者割当増資を実施したことを発表した。引受先はSBIインベストメント、トッパン・ フォームズだ。

手書き文字を読み取りと言えば、OCR(光学的文字認識)を思い浮かべる人も多いだろう。Googleドライブでも画像やPDFをアップロードするとOCRで文字データを抽出することができる。けれど、OCRでの日本語の識字率はそう高くないとCogent Labsの担当者は説明する。日本語の漢字やカタカナにはパーツが分かれている文字が多いので、OCRでの読み取りが難しいのだそうだ。Cogent Labsでは、ディープラーニングで精度の高い識字率を実現しているという。TegakiとGoogleの機能を比較したところ、Googleは約7割、Tegakiでは99%の識字率だったそうだ。

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Tegakiは4月下旬に正式リリース予定で、APIも用意している。クレジットカードの申込用紙やアンケートなど手書きで情報を取得している企業は多いだろう。Tegakiを利用することにより、企業はデータ入力にかけている時間と人件費を減らせるという。

今回調達した13億円は、 組織体制の強化 、Tegakiのサービス開発、次世代人工知能の研究・開発に充てる。引受先となったトッパン・フォームズは通帳や帳票といったビジネスフォームやDPS(データプリントサービス)、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)などを提供していて、トッパン・フォームズとのシナジーが発揮できることに期待しているとCogent Labsは話す。

Cogent Labsの目標は「日本発の卓越した人工知能で、人々の生活の質を高めること」であり、今後文字認識サービス以外にも音声や画像認識におけるサービス開発も視野に入れているという。

スマホ証券One Tap BUYが新たに15億円を調達、みずほ証券も出資

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3タップで株取引ができるアプリを開発するOne Tap BUYは、本日総額15億円の第三者割当増資を実施したことを発表した。引受先には既存投資家のみずほキャピタル、 モバイル・インターネットキャピタル、ソフトバンク、そして新たにみずほ証券が加わった。

One Tap BUYは有名ブランドや優良企業の株式を1000円単位で簡単に取引できるアプリだ。One Tap BUYは2015年のTechCrunch Tokyoのスタートアップバトルに出場し、審査員特別賞とAWS賞を獲得している。クローズドベータ期間を経て、2016年6月に正式ローンチした。現在までのアプリダウンロード数は15 万件を超えたそうだ。20代から30代の年齢層が多く、全利用者の7割が投資未経験者という。

One Tap BUYは2013年10月に設立し、2016年7月にソフトバンクから10億円の調達を実施している。今回の調達を合わせると累計調達額は25億円以上となる。金額まで確認できなかったが、サイトの出資先を見るとDBJキャピタル、三生キャピタルなどの名前も並んでいるので、実際はもう少し調達しているだろう。

ローンチ当初は米国株のみの取り扱いだったが、今年2月からは3つの日本株ETFの取り扱いを始めている。One Tap BUYは今回の調達資金は、「新サービスに向けたシステム開発や、One Tap BUYの認知拡大に向けたマーケティング活動を推進する予定です」とリリースに記している。今回の調達ラウンドにみずほ証券が加わったということは、One Tap BUYがみずほ証券と連携し、日本株ETFのみならず個別株まで取り扱うことを検討しているということなのかもしれない。

睡眠薬ではなくアプリを処方する未来——不眠症治療アプリのサスメドが1億円を調達

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次の日早く起きなければならないのに、布団に入ってもなかなか寝付けないという日もあるだろう。1日であれば問題はないが、不眠が慢性化すると昼間のパフォーマンスが落ち、仕事や日常生活に支障をきたす可能性もある。日本ではおよそ5人に1人が不眠症で悩んでいるという。サスメドが開発する「yawn」は不眠症の治療を目的としたアプリだ。サスメドは、本日Beyond Next Venturesからの約1億円を調達したことを発表した。

yawnは、認知行動療法に基づいて不眠症を治療するためのアプリだ。患者は毎日の睡眠時間や寝付くまでの時間、1日の行動、考え事などを入力していく。これらのデータをアルゴリズムで解析し、自動でその患者に合った対処法を提示することで不眠症の改善を促す。現在は臨床試験に参加している人のみ利用できるが、サスメドは2020年を目処に医療機器の承認を得て、医師が患者に処方できるようにしたい考えだ。

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データを活用したデジタル医学の確立

サスメドの代表取締役、上野太郎氏は睡眠医療を専門とする医師で、病院で診療にあたる他、睡眠の基礎研究を行ってきた人物だ。不眠症の原因は人によって違うが、テレビやスマホが普及したことは、不眠症に影響していると上野氏は指摘する。仕事から帰ってきて、夜遅くまでインターネットやテレビを見ている人は多いだろう。しかし、夜にパソコンやスマホ画面の人工的な光に当たると体内時計がズレて寝付きが悪くなり、不眠を引き起こす原因となると上野氏は説明する。

通常、不眠症の治療には臨床心理士による認知行動療法と薬物療法が用いられるという。認知行動療法とは、患者の物事に対する認知や行動に働きかけて病態を治療する方法だ。長期的には薬物療法より効果があるとされているが、臨床心理士が不足していることと現時点では臨床心理氏は国家資格ではなく、保険適用ではないため普及が進んでいないという。一方で、日々の外来では、多くの睡眠薬を処方されている患者が訪れ、薬以外の治療法がない状態に疑問を感じていたと上野氏は話す。最初は薬物療法で治療を始めたとしても、並行して治療アプリを使うことで、この現状を解決することができないか考えたと話す。

不眠症に特化した治療アプリを開発した理由は、データ活用がしやすい領域なのも一つの理由だという。患者の入力データから行動パターンや睡眠パターンが分かり、それにより適切な治療が可能となる。また、不眠症をしっかり治療することで、うつ病などの精神疾患や高血圧、糖尿病といった疾患リスクを抑えることにもつながることが期待できる。実際、不眠症とうつ病を併発している患者の場合、不眠症を治療することでうつ病も改善するという研究結果もあるそうだ。

「スマホで詳細なデータがリアルタイムで取れる時代になり、デジタル医療が変わると考えています」と上野氏は話す。データがあれば、診療でこれまで不眠症と一括りにしていた症状でも、さらに細かく分類し、それぞれに合った治療法が提供できるようになると考えている。睡眠の治療から働く人の生産性の向上、そして社会保障費の適正化に貢献していきたいと上野氏は言う。

サスメドは2016年2月に設立し、2016年7月にはDeNAと住友商事の共同出資会社であるDeSCヘルスケアと業務提携を実施した。2016年9月より、複数の医療機関とyawnの臨床試験を進めている。順調に進めば、2020年を目処にyawnは医療機器として、医師が患者に処方できるようになるという。

今回の資金調達では、人材を強化し、サービス開発とビジネスの展開を図っていくと上野氏は話す。開発面では、Androidアプリの開発を進めるという。またyawnを治療目的以外にも、アプリの一部機能を切り出し、企業や健康保険組合が従業員の健康促進に用いられるようにすることも視野に入れていると話す。

Airbnbが新たに8億5000万ドルを調達、評価額は300億ドルに

LONDON, ENGLAND - AUGUST 03:  The Airbnb logo is displayed on a computer screen on August 3, 2016 in London, England.  (Photo by Carl Court/Getty Images)

ユニコーンのテクノロジー企業で、シェアリングエコノミーの申し子であるAirbnbはデラウェア州に再び多額の資金を調達すると報告した。

TechCrunchは、Airbnbが7月28日付で提出した28ページの書類に、レイトステージの資金を追加する計画が記されていることを突き止めた。1年ほど前、Airbnbは16億ドルを調達しているが、Equidateの情報によると、同社は新たに8億5000万ドルを金庫に加えるという。

8億5000万ドルは多額の資金だが、Airbnbにとって最大のラウンドではない。昨年、AibnbはVCラウンドでも最大級となる、15億ドルを調達した。この追加資金で、最も評価の高いテクノロジーユニコーン企業の順位で同社を5位から4位に押し上げ、潜在的な評価額は300億ドルとなった。

今年は大型資金調達が相次いている。UberはサウジアラジアのPublic Investment Fundから35億ドルのエクイティラウンドを実施した。そのラウンドの後にはさらに11億5000万ドルをレバレッジド・ローンで調達している。

レイトステージであっても、Airbnbはどのくらいの資金を得るかに注意しなければならない。エクイティが多すぎれば初期の投資家の持分を希薄化する。また、デットで調達しすぎた場合は、評価額が急落した時に投資家に悪影響が及ぶことになる。デットはエクイティより前に支払う必要のある資産クラスである。

AirbnbはIPOを戦略的に引き延ばす行動を取ってきた。Airbnbは投資家の持分を希薄化せずにグロースするため、先月デットファイナンスで10億ドルを調達した。

Airbnbの以前の評価額はおよそ270億ドルだった。このラウンドは確かに多額だが、Airbnbがこれまで行ってきた希薄化を阻止する戦略から離れたわけではない。報道によるとAirbnbは出資額のいくらかを辞退しているため、8億5000万ドルは控えめな金額だという。 The Wall Street Jounalによると、Airbnbには受け取らなかった資金があり、Airbnbの評価額を340億ドルに押し上げる提案を辞退した。

また、WSJによると、 投資家は同時に2億ドルの株式を社員から買い戻す計画を立てているという。株式の買い戻し施策は、レイトステージの企業がプライベート企業でいるため、そして初期の社員に報酬を与える意味合いでよく行われれることだ。買い戻し施策は、ベンチャー投資家ではなく、社員のために行われることであって、通常、普通株にしか適用されない。

優先株を持つ株主からの圧力を回避するため、初期の投資家の株式を買い戻す必要がある。Sequoiaは2009年、Airbnbが61万5000ドルを調達したシードラウンドでリード投資家を務めた。PitchBookによるとSequoiaは投資を実施するにあたり、XIIファンドを使っている。その後Airbnbの投資もそのファンドから出資している。このファンドは2006年に設立されたものだ。

Airbnbは現在、地元、そして海外でも訴訟の最中だ。最近では、サンフランシスコ市がAirbnbに物件を掲載する前にホストの提出内容を認証することを求める法案に関して、Airbnbはサンフランシスコ市を訴えた

TechCrunchはAirbnbとこの調達に関わる企業に連絡を取っている。情報が入り次第記事を更新したい。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

速報: スマートニュースが38億円を調達、累計調達額は91億円に

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ニュースアプリ「SmartNews」を手がけるスマートニュースは7月8日、日本政策投資銀行をリード投資家とする総額38億円の資金調達を実施した。国内外の事業拡大に向けて、人材採用やプロダクト開発、マーケティングの強化を図る。累計での資金調達額は91億円となる。

SmartNewsのダウンロード数は、日本と海外を合わせて1800万超。今回の資金調達は、日本政策投資銀行以外にSMBCベンチャーキャピタル、 ジャパン・コインベスト、元コロプラの千葉功太郎氏ほか複数の投資家が引受先に名を連ねる。

スマートニュースは2012年12月にアプリをリリースし、2014年10月から米国版の提供を開始している。それに加え、世界中で話題となっている英語メディアのニュースが閲覧できるインターナショナル版もあり、2015年2月には1000万ダウンロードを達成した。それから約1年4ヶ月でさらに800万ダウンロードを上乗せした計算だ。

スマートニュースは今回の資金調達の目的について以下のように伝えている。

SmartNewsのダウンロード数は世界1,800万を超えています。今回の資金調達は、国内外の事業拡大のため、人材採用、プロダクト開発及びマーケティングの強化を目指すものです。

新卒から中途、独立支援まで―、人材サービスのBranding Engineerが1億円調達

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就活中の学生にとって、今でも大手企業に就職するのが魅力的なキャリアであることに変わりないのかもしれないが、一方でスタートアップに参画したり、自分で起業したりなどキャリアのあり方は少し前とは変わって多様性が出てきたように思う。特にエンジニアであれば、大企業やスタートアップに就職するだけでなく、独立して働く選択肢もあるだろう。Branding Engineerはそうしたエンジニア向けの転職サービスを軸に、複数のサービスを展開する。今後Branding Engineerは学生の就職活動から、転職、そして独立まで様々なキャリアの段階での事業の確立を目指している。Branding Engineerは本日、East Ventures、ベクトル、JSH Holdings LLC、Skyland Ventures、バリュークリエイトから総額1億円を調達したことを発表した。techstars

TechCrunch Japanは昨年12月、Branding Engineerが提供するエンジニア向けのダイレクトリクルーテイングサービス「TechStars(テクスタ)」を紹介した。これまでの転職サイトでは、転職エージェントからのメールや必ずしも自分の希望条件に合わないメールが大量に届き、それらを確認するだけで手間がかかることもあった。転職を検討するエンジニアは「TechStars」のプロフィールに技術力、経歴、希望条件などを入力すると、その条件以上オファーを提示する企業からのみ連絡が届く仕組みを採用している。これにより、エンジニアと企業が効率的に出会える場を提供する。ローンチ以来、150社以上が「TechStars」を利用したとBranding Engineer、代表取締役COOを務める高原克弥氏は話す。

Branding Engineerは現在、中途採用事業、新卒採用事業、独立支援事業の3つの事業を展開していく計画と高原氏は話す。中途事業として「TechStars」を軸に、他に2つの関連サービスをリリースしている。1つは2016年4月から提供を開始した「TechStars PREMIUM」で、これはハイクラスのエンジニア向けの審査型転職サービスだ。年収700万円以上の求人情報のみを扱い、経歴や面談で審査を通過したスキルの高いエンジニアに提供する。もう1つプロダクトは、2016年2月からベータ版を提供している「Design Stars(デザスタ)」だ。これは「TechStars」と同じダイレクトリクルーティング方式のWebデザイナー向けサービスだ。

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2016年6月からは、新卒採用事業として就活生向けに就職サイトの登録やスケジュール管理をするためのツール「イッカツ」を提供している。就活生はたいてい5、6個の就活サイトに登録しているが、それぞれを上手く使いこなすのは難しいと高原氏は説明する。「イッカツ」を使うと、いくつか選択した就活サイトにその名の通り一括で登録することが可能だ。各サイトの情報は「イッカツ」内に統合され、企業情報やイベント情報を確認したり、企業からのメールに返信したりすることができるという。「イッカツ」では学生のキャリアの志向に応じて、その分野が得意な就活サイトとをつなぐ場にしたい考えだという。Branding Engineerとしては、学生と就職する企業との接点を「イッカツ」で確保することで、他の事業にも活かせるデータベースを構築していくことが目標と高原氏は話す。

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Branding Engineerは独立支援事業として、今年の10月に独立を検討するエンジニア向けに保障や福利厚生を提供する「MIDWORKS(ミッドワークス)」をローンチ予定だという。エンジニアのキャリアとして、会社で働く方法と独立して仕事を得る道が考えられると高原氏は説明する。会社で働けば保障も手厚く安定しているが、給与面での厚遇は期待できないかもしれない。一方で独立し、フリーランスとして働けば高い報酬も得ることもできるだろうが、安定的に仕事が得られるかは分からない。「MIDWORKS」では、エンジニアのスキルにあった報酬を受け取れる仕事を紹介し、共済や健康保険などを保障するパッケージを提供することでリスクを減らした上で独立への第一歩を支援するサービスだ。独立するにあたって必要な個人事業主登録といった手続きや経理業務などを行うシステムを提供するプランも用意する予定だという。「MIDWORKS」では、エンジニアにとって新たな働き方を提案し、それぞれがキャリアアップを達成できるよう支援していくという。

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2013年10月に創業したBranding Engineerは、もともと受託開発などの仕事を手がけてたが、1年ほど前に受託開発を辞め、自社サービスとして人材領域の事業を本格的に始めたと話す。人材領域、特にエンジニアのキャリアにおける課題を解決しようと考えたのは、Branding Engineerの共同代表でCEOの河端保志氏、そして高原氏のどちらもエンジニア出身で、エンジニアのキャリアの問題を学生の頃から感じてきたからと説明する。河端氏が通っていた大学では、多くの学生は先輩が就職した会社に就職することが一般的で、エンジニアとしてキャリアをどのようにしていくかを考えている人は少なかったという。高原氏もいくつかスタートアップの立ち上げに関わっていたこともあり、エンジニアの技術力やキャリアのステップアップに関心があったと話す。Branding Engineerでは各種サービスを展開し、エンジニアと会社との出会いを作ること、そして新たな働き方を提案することでキャリア開発のサポートしていきたいと話す。

今回の資金調達はこの3つの事業のグロースを目指し、人材の採用を行う計画だという。自社の技術力と営業力を強化し、ゆくゆくは人材領域に留まらず、ライフスタイル事業も行っていきたいと高原氏は話す。Branding Engineerにとって今回が2回目の資金調達だ。前回は、2014年10月にANRI2号投資事業有限責任組合から2000万円を調達している。

Salesforce PardotとCRMの導入支援を行うtoBeマーケティングが総額2億円を調達

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マーケティングオートメーションの導入支援を行うtoBeマーケティングが総額2億円を調達したことを発表した。リード投資家はDraper Nexusが務め、Salesforceの投資部門であるSalesforce Venturesも出資する。toBeマーケティングは小池智和氏が2015年6月に立ち上げ、同年9月にはDraper Nexusから3000万円を調達していた。

toBeマーケテイングは、SalesforceのCRM(顧客管理システム)とマーケティングオートメーションの「Salesforce Pardot」を組み合わせたサービスの導入と活用支援を提供している。2つのサービスを組み合わせることで、企業は例えばCRMの顧客属性とその顧客が自社ウェブサイトでどの商品に関心を示しているかといったデータをまとめて確認することができる。だがサービスを導入するだけではその機能を活かしきれないこともある。toBeマーケティングが提供する一連の支援サービス「MAPlus(マプラス)」は、企業がSalesforceのサービスを活かして営業活動や販売を強化できるよう、導入コンサルティングから初期セットアップ、運用の定着を促す伴走活用支援までカバーする。さらにはコンテンツ制作やマーケティングサイトの構築などにも対応しているという。

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toBeマーケティングではPardotと連動する運用支援ツールの開発も行っていると取締役COOを務める坂本元気氏は説明する。その1つは「MAPlus企業名アクセス分析」で、これはPardotのVisitor情報のIPアドレスを解析し、サイトを閲覧した法人を特定するツールだ。自社サイトを訪問している法人は、自社プロダクトやサービスに関心を持っている可能性が高いと言え、その情報は新規の顧客開拓などに活かすことができるだろう。今年の4月には情報活用の支援を行うウイングアーク1stと連携し、Pardot、Salesforce、Google Analyticsなどのデータを可視化する「MAPlusマーケティングダッシュボード」の提供も開始したという。

導入支援企業はすでに170社以上になると坂本氏は言う。その半数はIT系企業、およそ3分の1は非IT系のB2B企業だそうだ。他にも自動車教習所、大学や専門学校などの教育機関、不動産仲介事業者といったB2C企業での導入も広がっているという。今回の資金調達でtoBeマーケティングはコンサルタント、カスタマーサクセスエンジニアの採用を進めること、そしてマーケティングオートメーションをさらに便利にするツールの開発を進める考えだ。今期中にはチームを40名ほどに増やし、導入支援企業200社を目指すと話している。

Uberが過去最大の調達、サウジアラビアから35億ドルの出資

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Uber は本日、サウジアラビアの主要な投資ファンドPublic Investment Fund (PIF)から35億ドルの出資を最新ラウンドの一環として獲得したことを発表した。

このライドシェアリング大手にとって今回の資金調達は最大の調達となる。Uberの調達額はキャッシュとデットファイナンスで合わせて110億ドル以上となるが、同社の625億ドルという評価額は変わらない。

Uberのライドシェアリングサービスはアメリカ市場を席巻し、世界展開も積極的に行っている。そして中東地域はUberの今後の発展において鍵となる。

Uberは中東地域でサウジアラビア以外にもエジブトやアラブ首長国連邦でサービスを展開している。それらの国では政府組織と協力し、ドライバーの教育と採用を行っている。Uberによると、この地域には39万5000人以上のアクティブな乗客がいるという。

「サービスをグローバル展開するにあたり、私たちのビジネスにこのような後押しがあることに感謝します」とUberのファウンダーTravis Kalanickは声明で伝える。「サウジアラビアでの経験はUberが乗客、ドライバー、街にとって利益をもたらす好例となります。国の経済と社会の発展に向けてサポートできることを嬉しく思います」。

Uberによると、サウジアラビアのUberへの出資は同国が近年発表した石油と石油関連業界への依存度を減らすVision 2030の内容に沿うものだという。

「高い目標を掲げたこの野心的な計画には、旅行やエンターテインメントといった戦略セクターの活性化、雇用機会の創出、職場での女性の活躍の促進、起業家精神の後押しといった複数の目標があります」とPIFのYasir Al Ruymayyanは声明で伝えている。

しかし、サウジアラビアは女性に運転を禁じていることから批判を浴びていて、人口の半分はそのために交通手段において大きな課題を抱えている。Uberが女性にオンデマンドの交通手段を提供することでサウジアラビアはその課題の解決につながることを期待している。Uberは2014年から同国でサービスを展開し、乗客の約80%は女性だという。

Featured Image: Uber blog

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

月額980円のホームセキュリティ、Secualが総額1億5000万円を調達

Secual(セキュアル)は本日、ベクトルインベスターズクラウドから総額1億5000万円を調達し、各社と資本業務提携を締結したことを発表した。Secualは工事なしで設置可能な住宅のセキュリティー用IoT端末を製作している。先週5月26日には正式出荷を始めた。今回の資本業務提携でSecualはプロダクトのマーケティングに力を入れるとともに、Secualのセキュリティーサービスを賃貸住宅や民泊サービスに導入を進めたい考えだ。今回、Secualの代表取締役社長を務める青柳和洋氏にサービスの仕組みと今後の展望について聞いた。

Secualのセンサーとゲートウェイ

Secualは「センサー」と「ゲートウェイ」の2つのハードウェアを開発し、それらとスマホアプリを連携したセキュリティーサービスを提供している。センサーとゲートウェイは工事なしで手軽に設置することが可能だ。薄い四角い形のセンサーは侵入を検知したい窓やドアにシールで貼り付け、ゲートウェイはコンセントに差し込むだけで良い。あとはゲートウェイの電源ボタンを押すと自動でペアリングが完了する。センサーの大きさは手のひらに収まるくらいの小ささで思っていた以上に薄い印象だった。

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Secualのアプリ

セキュリティーサービスの初期設定はSecualのアプリから行う。アプリでセキュリティーのオンオフ、センサーが反応する振動の閾値などを設定することができる。セキュリティーをオンにしている時、侵入犯が窓やドアを開けたり、衝撃を与えたりするとセンサーが検知し、ゲートウェイから大音量のアラーム音が鳴る。それと同時に連携しているアプリにも通知が届く仕組みだ。アラームが発動した時に通知するユーザーなどをアプリで設定することができる。

「誰でも利用できるセキュリティーサービスにすることにこだわりました」と青柳氏は話す。通常の自宅のセキュリティーサービスは高額で、専用の機器を取り付けなければならないことも多く、一部の人しか導入できなかったと青柳氏は説明する。Secualの場合、センサーは1個3780円、ゲートウェイは5940円なので、設置するセンサーの数にもよるが初期費用は3万円程度から始められる。月額利用料も980円で一般のセキュリティーサービスの5分の1ほどだという。また端末は工事なしに設置できるので引っ越す時でも簡単に取り外して、引っ越し先でまたすぐに利用することができる。退去時に原状回復の必要がある賃貸物件でも利用可能だ。これにより、従来のセキュリティーサービスを利用しづらかった一人暮らしや若い夫婦の世帯でも導入できるようになると青柳氏は説明する。

Secualの代表取締役社長を務める青柳和洋氏

青柳氏はITコンサルティング会社、大手コンサルティングファームを経てコンサルティングサービスを提供するイグニッション・ポイントを設立した経歴を持つ。Secualはイグニッション・ポイントからスピンオフした会社だ。イグニッション・ポイントでは、最新テクノロジーをどのように経営に役立てるかということに取り組んでいて、自社でもテクノロジーを活用した事業を開発していたという。Secualはそこから誕生したプロダクトと青柳氏は話す。

2015年6月に設立したSecualは同月、ウィルグループインキュベートファンドからシード資金を調達している。2015年8月には、クラウドファンディング・プラットフォームのMakuakeで目標額100万円のクラウドファンディングキャンペーンを行い、開始22時間後には目標額を達成し、最終的に600万円以上を集めることに成功した。2015年12月にはアドベンチャー、AMBITION、その他法人及び個人投資家らから総額6000万円の資金調達を達成している。

今回、資本業務提携を発表したインベスターズクラウドとは、彼らが提携する賃貸物件や民泊サービスとの連携を進める計画だという。インベスターズクラウドはアパート経営プラットフォーム「TATERU」や住宅に設置されているエアコン、照明、インターフォンといったIoT機器をアプリから管理する「TATERU Kit」など不動産分野でサービスを展開している。そういった彼らの事業と連携し、低価格のセキュリティーサービスを普及させたい考えだ。

Secualは今回調達した資金で開発体制の強化にも力を入れる計画だという。高齢世帯向けの見守りや他の事業者と提携して、緊急時には人が駆けつけることができるサービスなどを検討しているという。また、例えばテレビの大雨洪水警報といった情報は全国に一律の情報が放送されるが、Secualは、ゲートウェイからその地域に関係する情報だけを届けるサービスなども考えていると話す。

問い合わせ対応からクリーニングまで、民泊提供者向けサービスを展開するSQUEEZEが総額約4.2億円を調達

Airbnbなどの民泊マッチングサービスの普及、そして2016年4月から旅館業法が一部緩和されたことにより民泊運営が始めやすくなった。それに伴い、空室や空き家を有効活用する方法として民泊運営に関心が集まっているが、民泊運営に民泊予約サービスへの物件登録、ゲストの問い合わせ対応、チェックアウト後のクリーニングなど運用するには手間も多くかかる。海外からのゲストに英語で対応しなければならないのもオーナーにとっては負担になる。SQUEEZEはその問題を解決するために「Mister Suite(ミスタースイート)」という民泊事業者向けに一連の運用代行サービスを提供している。SQUEEZEはサービスを拡充するためにジャフコ、インキュベイトファンド、その他事業会社、個人投資家らから総額約4.2億円の資金調達を行なったことを本日発表した。今回ファウンダーで代表取締役を務める舘林真一氏にサービスの内容、そして今後の展望について話を聞いた。

mistersuite

ミスタースイートは民泊事業者向けに2つのプランを提供している。「スタートアッププラン」では、初めて民泊運営を始める物件オーナーの代わりに物件の写真を撮影し、物件プロフィールをAirbnbなどの民泊マッチングサービスに掲載する。さらにはゲスト向けに空港からのアクセスや地域の観光情報、禁煙などの宿泊ルールをまとめたウェルカムガイドも作成する。どちらも英語で作成するため、海外からのゲストに物件を訴求することができる。このプランの料金は3万円からだ。「スタンダードプラン」では、物件のリスティングと価格の最適化、問い合わせ対応、鍵の受け渡しなどのチェックインサポート、チェックアウト後のクリーニング手配まで一貫した運用サポートを行う。利用価格は予約料金の20%からだ。

「ミスタースイートは民泊の業務代行に留まらない、クラウド型の運用サポートシステムです」と舘林氏は言う。ミスタースイートは全ての情報を一元管理していて、民泊運営に関わる物件掲載、問い合わせ対応、クリーニングなどの業務を細分化し、それぞれの担当者に割り当てるシステムだと舘林氏は説明する。例えば、問い合わせ対応は海外に住んでいる主婦に委託しているという。また、クリーニング作業は契約している個人のクリーナーに委託し、リネンの交換なども専門の業者と提携している。システム内に全ての情報があり、各担当が随時そこから物件のステータスをアップデートしたり、詳細を確認したりできるということだ。それによりオペレーションを効率化していることがミスタースイートの強みだという。例えば、オペレーターがゲストの問い合わせに対応する時、その物件が担当者にとって初めて関わる物件だったとしても、システム内に蓄積した物件情報や過去にあったゲストからの質問と回答などを参照してすぐに回答することができる。クリーナーもクリーニングの依頼をスマホで受け取り、その物件で清掃を行なった後、作業が完了したことをオンラインで報告して作業を終えることができるそうだ。

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オペレーション管理画面

舘林氏は、自分でも民泊を運営した経験が創業のきっかけになったと話す。舘林氏はゴールドマン・サックスを経て、トリップアドバイザーのシンガポール支社に勤めていたという。その時、旭川に住む両親から所有物件の空室に悩んでいるという相談があり、Airbnbに物件を掲載しようと考えたそうだ。両親に物件の写真や詳細情報をもらってAirbnbに掲載したところ、旭川には他の民泊物件が少なかったこともあり、すぐに予約が埋まって民泊による収入が家賃の3倍になったという。舘林氏は物件掲載から問い合わせ対応、クリーニング業者の手配までシンガポールにいながらにしてオンラインから完結できたことがミスタースイートの構想につながったという。

2014年9月に創業したSQUEEZEは同年10月に1億円を資金調達した。現在SQUEEZEのチームは20名ほどで、その3分の1は開発人員だそうだ。今回の資金調達では開発力をさらに強化すること、そしてより多くの民泊事業者にミスタースイートを提供できる体制を整えていくことを計画していると話す。まずはクリーナーが簡単に清掃の依頼と報告ができるスマホアプリを製作する予定という。現在、東京、大阪、京都の3都市でミスタースイートを展開し、270件ほどの民泊の運用代行を行っているが、来年にはその数を2000件に増やす考えだという。その一環として、これまで個人の物件オーナー向けにサービスを提供してきたが、複数物件を所有している不動産会社などにもアプローチしていく計画だと話す。