貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz」運営のトレードワルツが9億円追加調達

貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz」運営のトレードワルツが9億円追加調達

ブロックチェーン活用の貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz」を運営するトレードワルツは8月26日、9億円の追加資金調達を発表した。引受先は、東京大学協創プラットフォーム開発(東大IPC)、三井倉庫ホールディングス(三井倉庫HD)、日新、TW Linkの4社。累計調達額は30億円となった。

トレードワルツは、NTTデータ、三菱商事、豊田通商、東京海上日動火災保険、三菱UFJ銀行、兼松、損害保険ジャパンの7社の出資により2020年11月から事業開始したスタートアップ企業。改ざんが難しいデータ構造を有するブロックチェーンを採用したTradeWaltzを開発しており、貿易手続きに含まれるアナログコミュニケーションの完全電子化を目指している。

同社は、TradeWaltzの国内普及を進める上では、貿易DXを目指す物流会社の協力を得る必要性、またALL JAPANで貿易DXを実現するには官民に加え「学」が持つ知見を取り込み、産官学で貿易の未来ビジョンやデータを起点とした様々な付加価値サービスを考えていく必要があるとしている。

そのため、三井倉庫HD、日新、TW Linkといった物流会社を新たな株主として迎え、国内物流会社への普及と新たな物流DXサービスの検討に着手するという。また東大IPCを新たな株主として迎え、TradeWaltzに蓄積および許諾を得たデータを活用し、どのような付加価値サービスを生み出せるか、東京大学と検討する。

投資家はまだ米国と中国の関係の根本を理解できていない

今週末、ドナルド・トランプ大統領と習近平国家主席は、米国の対中関税の緊張緩和のようなものに合意した。アジアの株式市場は好意的に受け止め株価は上昇したが、その理由が私には解せない。加えて、Bloombergのスパイ報道の復活と、ベルリン空港についても取り上げる。

我々はTechCrunchで新たなコンテンツ形式を実験している。これは新たな形式の下書きのようなものだーこの記事で気にいった点、気に入らなかった点などがあれば筆者まで直接フィードバックしてほしい (Danny at danny@techcrunch.com)。

関税の猶予で中国の株式市場は上昇ーしかしなぜ?

トランプと習は関税の引き上げ実施を90日間延ばすことに合意し、また中国は米国の商品(特に農産物)の輸入を増やすことを提案し、2カ国の政権は長期的な合意に向けて地道に進めようとしている。

アジアにおいては、株価が回復した。中国と米国の貿易戦争が次第に激しくなるにつれ、中国の株式市場はここ数カ月間、低迷していた。一例として、Tencentの価値は1月のピーク時の3分の1を失った。また、香港市場でのZTEの価値は、今年初めの半分になっている。こうした企業の株式を考えたとき、関税の引き上げ猶予がしばしの休憩になるというのは、極めて道理にかなう。

しかし実際のところは、それほどでもない。ここに課題を挙げよう:一体何が変わったのか。私の意見では、マーケットは中国の経済だけでなく、米国のリーダーシップについてもかなり判断も誤っている。

Tencentのような中国株式は、関税のために値を下げたのではなく、中国における新たなビデオゲームのリリースを制限するという政府当局の規則によって下がったのだ。ビデオゲームはTencentのあらゆる売上の根幹であり、この業界における新規制はTencentの株式を関税戦争よりも壊滅させた。

中国政府が、派手に宣伝したソーシャルクレジットシステムVPN制限クラウドインフラ政策などを通じて国中の社会とテクノロジーへのコントロールの強化を続けるだろうというのは明白だ。そうしたコントロールは主に社会や経済の状態を一定に保つためだが、米国のインターネット企業が中国マーケットに入ってくるのを阻止するという大きな利点もある。

こうしたコントロールがなくなるということがどうしてあるだろうか。ホワイトハウスは夕食会についての声明文で、「トランプ大統領と習主席は、強制的な技術移転、知的財産の保護、非関税障壁、サイバー攻撃、サイバーによる盗み、サービス、農業に関する構造改革についてただちに交渉を開始することで合意した」と発表した(太字強調は筆者によるもの)。彼らは確かにこうした問題について話し合うだろうと思うが、何かが変わるかといえば、私はかなり懐疑的だ。

一方、ZTEの株価は今日、香港市場で10%近く上昇した。しかし実のところZTEにとって関税が重しとなっていたのではない。ZTEは、米国そして国際諜報同盟の国々から、ZTEの製品は中国政府のスパイ活動の最前線ではないかという疑いの眼差しがかなり向けられている。ZTEは、米国の輸出制限(主に産業スパイ活動への報復として)で今年潰れそうになった。ZTEとHuaweiは最近オーストラリアのようなマーケットから、そして今週末にニュージーランドからの締め出しに直面している。

こうした禁止令がなくなるということがどうしてあるだろうか。米国国家安全保障局はHuaweiとZTEが米国内で機器を展開することを認めないだろう。これまでと同様だ。かなり率直にいうと、中国の非関税障壁を取り払うためにHuaweiの米国展開を認めるという選択肢であれば、米国の交渉担当者は協議の場から立ち去るだろう思う。

ゆえに、マーケットは基本を誤判断している。21世紀で最も重要な経済関係について詳しくなったという点では良かったのかもしれないが。

Bloombergのスパイ報道は進行形

ワシントンポスト紙の批評家Erik Wempleは今週末、「Bloombergは中国のスパイチップのスクープでまだ調査を続けている」とレポートした。

[Bloombergの記者Ben]Elginと話をした人は、Bloombergの記者は“The Big Hack”報道を行なったチームではなかったと明らかにした、とErik Wempleのブログに語った。Elginがソースに語ったところによると、この目的は“真実を明るみに出すこと”だった;もしElginが10かそれ以上のソースから“The Big Hack”はハッキングの一部そのものだと聞いていたら、Elginが彼の指揮系統にメッセージを送っていただろう。

語っておくべきいくつかのポイントがここにある。

  1. 私はまだ最初の報道は正しかった、という(少ない)側に立っている。Bloombergはかなり厳しい編集コントロールを保っている立派な報道機関だ。この記事は、出すべきかどうか編集や弁護士による広範なレビューを受けているはずで、特に雑誌のフロントカバーを飾る記事は入念な扱いとなる。Bloombergはまだ記事を撤回しておらず、このことは記事の支えとなっているソースーそれが人だろうが書類だろうがーは用意周到なAppleやElemental、Amazonの主張を退かせることができるほど十分信用できるものだと思わせる。
  2. したがって、Bloombergが別のチームを使って何が起きているのかを理解するために追加の掘り下げた調査を行うというのは賢明だ。私のカンでは、この記事に関してさらに明らかになるものがありそうだ。
  3. 我々は、本当の意図についてのジャーナリストが外部に宛てた電子メールからあまりに多くのものを受け取らないように注意すべきだ。ジャーナリストは、外部宛ての電子メールで主要な質問をするとき、直接的に尋ねることはほとんどなく、微妙な調査作業の中においては特にそうだ。

この報道は私にとって今年最も魅力的な、ゆっくり進行しているニュースだ。この後どう展開し、結末を迎えるのか待ちきれない。

ベルリンの物価と空港についての観察

私は先週TechCrunch Disrupt ベルリンに参加していて、ベルリンを訪れるのは今回が初めてだった。ベルリンは、中国の反体制派の人にとってそうであるように先端を行く人の間ではトレンドとなっている街だ。なぜなのか、私にはわかる:知識人による文化的な機関から、路上販売されている安くて美味しい食べ物、リーズナブルな生活費まで、全てが魅力なのだ。

しかしベルリンの空港は、国家レベルの恥だ。ベルリンには2つの空港の名残があるが、3つめの空港Brandenburgはかれこれ20年近くも建設中で、いまだに開港できていない。中国を引き合いに出すが、中国は北京における2つめの空港を5年で完成させようとしていて、2025年までに乗降客7200万人近くをさばく予定だ。

しかし空港を通じて外につながっているワールドクラスの街を抱えることの予期せぬ副作用は、世界の金持ち層がその街にアクセスするのを阻んでしまうことだ。ある米国のVCが夕食時に私にほのめかしたところによると、ベルリンは来るのが“不可能”で、彼は“ほとんど”訪れない。米国の都市とベルリンを結ぶ直行便はかなり少なく、ほとんどの航空会社がアライアンスハブを通じて運航している(DeltaはSkyTeamのアムステルダムハブを通じているなど)。

スタートアップのことを話すとき、私は特に“インフラ”について語る。おそらく最も重要な教訓は利便性だ。直行便かどうか、スタートアップにとって初めての投資チェックか、そうした小さな利便性はかなり早く積み上がっていく。システムでの些細な摩擦は、企業やその地域にとって不釣り合い的に大きな結果を引き起こすことになる。

イメージクレジット: Thomas Peter – Pool/ Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

パナソニックがBrexitへの懸念からヨーロッパ本社をイギリスの外へ移す

Brexitがまた減点: 日本のエレクトロニクス企業Panasonicが10月にヨーロッパ本社をイギリスからアムステルダムに移す。理由は、イギリスにとどまった場合の税金の問題だ。Nikkei Asian Reviewが、そう報じている。

同社は、Brexitの結果イギリスが法人税の税制を変えた場合に生じる納税義務を懸念している。

Panasonic EuropeのCEO Laurent Abadieが上記NAR誌に語っているところによると、イギリスが法人税率を下げるなら、同国をタックスヘイブンと見なすことができる。実際に政府は、EUの通商圏の外に出たらイギリスを企業にとってもっと魅力的な場所にするよう努める、と示唆していた

2016年の11月にイギリスの首相は、同国の法人税率のレビューを発表して、税率を今の20%から大幅に下げることができる、と言った。

その前には、前財務大臣のGeorge Osborneが、税率を15%以下にする、と明言した

税率のレビューを発表したその同じときに首相は、企業政策のパッケージを披露した。それは、Brexitをめぐる不安を鎮めるためだった。しかし税率カットは明らかに、どの企業に対してもフレンドリーというわけではない。

Panasonicの場合同社は、日本がイギリスをタックスヘイブンと指定したら、本国で未納税が発生することを懸念している。そこで、EUの中に地域本社があるようにすれば、そのリスクはなくなる。

AbadieがNAR誌に語っているところでは、地域本社を大陸ヨーロッパへ移せば、人や物の流れに対してBrexitがもたらす障壁を避けることもできる。

それが一体どんな協定になるのか、あるいはそもそも、イギリスとEUの間に協定なんかありうるのか、どちらもイギリスがEUから抜ける日限である数か月後…2019年3月…になってみないと分からない。だから企業は、ありうる、あるいは起こりうる結果に備えて、重要な意思決定をしなければならない。

一方、この地域に対するイギリスの規制的影響力は、日増しに減衰している…。

[これまではロンドンでヨーロッパのことを決められたが、それができなくなる]
[貿易、人材へのアクセス、規制の及ぶ範囲などなどでロンドンは単なる‘支社’になってしまう]

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ZTEに罰金10億ドル

トランプ政権との激しい交渉の末、中国の通信機器大手ZTEが罰金10億ドルを支払うことに合意した。Wilbur Ross米商務長官が今朝(6月7日)発表した。この罰金は、イランと北朝鮮への通信機器の販売を禁止する米国の制裁に違反したとして、調査を経て課せられた。Ross長官はCNBCの朝の番組Squawk Boxでコメントしている。

ZTEにとってかなり堪える脅しだった。昨年の米国政府との話し合いでは、罰金11億9000万ドルを支払うこと、米国の規則に沿うよう社員を入れ替えることを受け入れていた。その後、トランプ政権は違反への制裁をさらに拡大し、米国の企業に対し、ZTEが販売する商品に必須の部品をZTEに7年間販売することを禁じた。この決定は、制裁前の段階で約7万5000人の従業員を抱え、企業価値200億ドルZTEを破綻させるものだった。

この制裁によりZTEはもう終わりかと思われたが、ドナルド・トランプ大統領は5月13日に救済策を提案したようだ。この日、トランプ大統領は商務省にZTEが“速やかに事業再開できる方策”を検討するよう命じるつもりだとツイートした。トランプ大統領は気まぐれの決断をすることで知られているが、この方向転換はDC関係者をかなり驚かせた。というのも国家安全当局は声を大にしてどのようなZTE救済策にも反対していたからだ。

10億ドルの罰金に加え、ZTEは抱えていた共産党リーダーを社外に出すなど、社員の入れ替えを行った。また、ZTEは、今後の違反に使われることになる4億ドルの保証金を出すことも了承したとされている。そして米国の監視チームがZTEと共同でコンプライアンスが適正かどうかも行う。

ZTEが今後どうなるか、というのは見えていない。米国と中国は過去数カ月にわたり関税、市場開放、2国間の赤字など貿易問題で行ったり来たりの交渉を展開している。米国は、今回のZTEへの罰金は法律に基づいた措置で、現在進行形の貿易に関する交渉には含まれていないという姿勢だ。

しかしながら消息筋によると、中国政府はZTEの件を少しでも有利に交渉できるよう、クアルコムのNXPセミコンダクターズの買収を意図的に妨げてきた。この買収案件を認めないのは世界で中国だけで、これにより買収はこの数週間進んでいない。これは、中国が米国と交渉するうえで重要な役割を果たした。

加えて、トランプ大統領は北朝鮮の指導者、金正恩と会談するために来週シンガポールへ赴く。中国の北朝鮮への影響力は、会談の成否に影響する。これは中国にとって、ZTE問題をめぐってトランプ政権と交渉するうえでさらに大きな材料だった。

ともあれ、トランプ政権はいま議会から大きな反発を受けている。両政党ともZTEの事業再開に反対だからだ。上院の野党リーダー、Chuck Schmer(民主党、NY州選出)は公の場で「議会の両党は今回の取り決めを阻止するために協力すべきだ」と述べた。上院議員Marco Rubio(共和党、フロリダ州選出)は取り決めを阻止しようと議会に提案書を出した。しかしZTEをめぐる両国間の交渉はほぼ最終段階となり、これらの議員のコメントは単に発言しただけで終わるのか、それとも議会の“大多数”が大統領の決断を覆す用意が本当にできているのか、今後明らかになる。

この件についてはこれまでも分析や詳しい情報を報じてきたが、状況は流動的で、新たな情報が入り次第アップデートする。

Image Credits: LLUIS GENE / Staff / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

米、中国のハイテク商品に25%の関税発動へー制裁タイムラインを発表

米国と中国の貿易問題をめぐる協議はここ数カ月行ったり来たりしていてたが、ホワイトハウスは中国のハイテク製品に関税を課し、また中国からの米国企業への投資にも厳しい制限を設ける方針を明らかにした。

今朝(米国5月29日朝)のホワイトハウスの発表によると、トランプ政権は“産業的に重要な技術”を含んでいる500億ドル相当の中国のハイテク製品に対し、25%の関税を課す。これは、中国による知的財産権の侵害に関する調査を経て発動された通商法301条に基づくものだ。どのような製品を対象とするかはこれまで検討が続いていたが、最終リストは6月15日に発表される。今回の課税は、今年初めに発表された鉄鋼とアルミニウムへの関税とは異なるパッケージとなる。

中国企業による投資の制限については、その内容を6月末までに公表する。知的財産の保護を巡る世界貿易機関(WTO)への提訴はそのまま続行する。

こうした発表は、関係当局向けに行われるべきものだろう。とういうのも、ホワイトハウス内部、そして中国政府との一連の交渉における最新カードにすぎないからだ。

米国が産業保護を目的に中国に対しどれくらい強硬に出るか、ホワイトハウスはさまざまな意見で揺れていた。Steven Mnuchin財務長官のような財務分野の人は柔軟な策をとるべきとしているのに対し、通商代表部のRobert Lighthizerや国家通商会議ディレクターのPeter Navarroは攻めの姿勢をみせている。こうした人々がそれぞれの考えを大統領に吹き込み、案が出ては消えるという状態だった。

外に目を向けると、米国と中国は貿易を巡り長い多次元的交渉を続けてきた。米国サイドでは、クアルコム社のNXP買収の承認問題、中国サイドではZTEへの輸出再開の許可問題などを抱える。これらの交渉はまだ継続しており、数週間内に何らかの声明、または報復措置などが発表されることが見込まれる。

企業やスタートアップにとって、これらの関税方針は不安定かつ非常に不透明で、対応が難しい。新方針が発表されれば製品のロードマップやサプライチェーンを見直さなければならず、今後の新商品の展開も難しくなる。テック業界では誰も関税など求めていないが、関税が設けられると考えるのが賢明だろう。

より難しいのは、発表が迫っている投資制限だ。通常、ベンチャーキャピタルのラウンドはデューデリジェンスのために数週間かかることを考えると、新投資規制の発表のデッドラインは6月末となる。シリコンバレーの創業者たちは、ワシントンから投資制限の通達が届くことを見越し、中国のベンチャーキャピタルの資金受け入れを躊躇していることだろう。

私は以前、国家保障と中国ベンチャーキャピタルを関連づけて考えるのは大げさだと書いた。しかし結局、トランプ政権は新ルールを導入しようとしている。新たな情報がない限り、中国関連企業からの投資はなくなる。貿易をめぐって、米国と中国は駆け引きを続けており、さらなる展開が予想される。

イメージクレジット:JACQUELYN MARTIN/AFP / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

コーヒー豆の等級分けロボットとブロックチェーンを使って生産農家に公正な支払いをするBext360

コーヒーは、石油に次いで世界で二番目に大きい貿易商品だ。Fairtrade Foundationの推計では、およそ1億2500万の人びとがコーヒーの栽培で生計を立てている。その多くが小農または農業労働者で、世界銀行の調査では家族が1日2ドル未満で生活している。そこで、デンバーのBext Holdings Inc.は、これらの農家が豆の公正な価格に見合う代金を容易にかつ迅速に得られるようにしたい、と考えた。

同社は、見たところ高級な秤(はかり)に見えるモバイルのロボットを作った。バイヤーはこのロボットを農家の農地で使ってコーヒー豆の品質を分析し、計量する。ロボットは一回分(30〜40ポンドの袋に詰める)の豆をサイズで選り分けて、良品の比率を計算する。そして優・良・可などのマークをつける。もちろんそのマークは、バイヤーと農家の両方に見える。そして彼らは、Bext360のモバイルアプリを使って公正価格を交渉する。

同社のアプリとクラウド上のソフトウェアは、Stellar.orgのブロックチェーン技術を使って、豆の生産者生産地、バイヤーと支払い金額、などを記録する。CEOのDaniel Jonesによると、コーヒーを飲む人も、カップ一杯ごとに、コーヒーの産地や、農家が公正な代金をもらったかどうかを、分かるべきだ、という。

“そうすれば、消費者はこれまでになく啓蒙される。そしてコーヒー業界の企業は、彼ら消費者の高いスタンダードを満たそうとする”、と彼は語る。“でも今日一般的には、フェアトレードを推進する人たちにとって、いろんな材料やデータを調べる仕事がたいへんすぎる。調べる方法も、原始的だ。だから精度も低い。そして産地の農民たちは、依然として搾取されている”。CEOの目標は、コーヒーのサプライチェーンに完全な透明性をもたらし、またカカオなどそのほかの産品にもそれを拡張することだ。

アグリテックを手掛ける前のJonesは、コンゴ民主共和国から金属をアメリカへ輸出する企業を創業した。その仕事を通じて、すべてのサプライチェーンの要件とトレーサビリティーを定めたDodd-Frank Act(ドッド-フランク法)の存在を知った。彼はまた国防情報局(Defense Intelligence Agency)でも働き、トップシークレットなネットワーク上で音声とビデオとデータを送信する通信システムを作った。というわけでJonesは、西側の顧客の利益のために途上国で事業をするやり方を、よく知っている。そして彼は、官僚主義との付き合いを恐れていない。

Bext360はローンチ時に、SKS Venture Partnersから120万ドルのシード資金を獲得している。SKSは主にフィンテックに投資している家族経営のVCだ。Bext360に投資したMark Spencerは曰く、“スマートフォンを利用して支払いを農家に直接行う。不当な中間搾取をする仲買がいない。この点に注目して投資をした”。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

中国・アメリカを股にかける投資家のトランプ政権に対する思い

screen-shot-2017-01-25-at-3-58-07-pm

ドナルド・トランプ大統領は、中国に対して何度も貿易戦争をはじめると脅しをかけており、中国も段々それを真剣にとりはじめた

シリコンバレーに拠点を置きながら15年以上も中国企業へ積極的に投資を行ってきたGGV Capitalでは、マネージング・ディレクターのHans Tungが、その攻防を戸惑いながらもじっと見つめている。

Tungは、GGVがオフィスを置く上海や北京を含む、彼のネットワークから情報を集めているという。「中国は(まだトランプ大統領のことを)そこまで心配していません。トランプ大統領は今日右を向いていても、支持を勝ち取るためであれば、明日は左を向くような人物だと思われています。とりあえず実際に何か動きがあるまで静観しよう、というのが大方の考えのようです。私は(中国政府が)いかなるときも過剰反応したくないと考えているのだと思います」

Tungの世界の状況に関する考えは、初期にGGVから投資を受けていたEC大手Alibaba(GGVはAlibabaが2014年に上場する前に株式を売却した)のファウンダー兼CEOであるJack Maの考えと同じだ。先週ダボスで行われた世界経済フォーラムでMaは、「貿易戦争は世界全体に破滅的な結果をもたらすだろう」と述べ、中国はトランプが落ち着くまで少し待った方がよいと話していた。

さらにMaは、もしもAlibabaを存続させるか貿易戦争に突入するか選ぶならば「Alibabaをたたむ」とさえ考えるほど、この問題を真剣に考えていると語った。彼の発言に芝居がかった様子はない。Maは8月にもCNNで貿易戦争に関する不安を述べていた。「私たちはグローバリゼーションの道を進み続けるべきだと思います。グローバリゼーションは良いことですしね……貿易がストップすれば、戦争が起きるでしょう

昨日Tungは、トランプが中国をスケープゴートのように扱っているか、少なくともそうしようとしているように見えると示唆した。中国政府は「これまでアメリカ政府が、雇用の創出やラストベルトの復興の代わりに、イラク戦争やその他のことにどのくらいお金をつぎ込んでいるかを確認しています。中国はこれまで一度もアメリカ人から仕事を奪おうとしたことはありません。もしもアメリカ政府がうまく再投資を行い、多国籍企業が利益を母国に返還していれば、もっとアメリカは良い状態にあったはずです」

中国とアメリカの間にある、何十万マイルもの距離を毎年行き来しているTungにとって最も重要な問題は、トランプ政権と中国の冷え切った関係が、どのくらい急に彼の仕事に影響を及ぼす可能性があるのかということだ。

今の時点では彼は本当に心配していないようで、GGVは概ね「待ちの状態」にあると話す。さらにTungは、特にGGVが投資しているいくつかのEC企業については、地政学的にどのような状況の変化があっても「そのままにする」と語った。

彼の言うEC企業には、モバイルECアプリのWishも含まれている可能性が高い。Wishは主に中国から雑貨を底値で販売しており、投資家のJoe Lonsdaleによれば、年間「約50億」ドルのランレートを記録している。

さらにTungが早くから評価していたGGVの投資先企業には、英語でRed、中国語でXiaohongshu(小红书:小さな赤い本)と呼ばれるスタートアップがある。同社はソーシャルECプラットフォームを運営しており、中国のユーザーをターゲットに、海外からブランド品を割引価格で購入できるようなサービスを提供している。

Tungは、中国の現状は簡単に言えば「通常営業」だと話し、GGVはそれよりも、トランプ政権からのビジネスフレンドリーな話にフォーカスしようとしているようだ。

アメリカ国内からは、中国とアメリカの関係がどう動いているのかよくわからないが、「今後は規制が緩和され、業界統合が進んでいくと思います」とTungは語る。「M&Aはこれからやりやすくなるでしょうね」

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter