暗号通貨が貯まるグルメアプリ「シンクロライフ」運営がオリコと資本業務提携

グルメSNSにトークンエコノミーの概念を取り入れた「シンクロライフ」は、ユーザーがレビューや加盟店の利用で暗号通貨「シンクロコイン(SYC)」をゲットできるアプリだ。

シンクロライフを運営するGINKAN(ギンカン)は7月17日、オリエントコーポレーションとの資本業務提携を発表した。オリコからの出資金額は非公開。出資は現在GINKANが実施中の資金調達ラウンドの一部に当たるという。

シンクロライフはSNS形式での口コミ投稿アプリとしてスタート。2018年8月にはレビュアー・口コミの信頼スコアに応じて、暗号通貨を付与するベータ版を公開している。また今年7月1日には、ユーザーが加盟店を利用すると食事代金の1〜5%をシンクロコインで還元するサービスも開始した。

サービスに加盟するレストランにとっては、飲食店専用アプリを初期費用・月額費用なしで利用でき、シンクロライフ経由の飲食代金の5%を支払えばアプリに広告を掲載できる。

一度来店したユーザーには、自動的に再来店を促すCRM施策を実施することが可能。7月中に50店舗が登録を予定しており、2019年中には1000店舗の加盟を目指すという。

GINKAN代表取締役CEOの神⾕知愛氏は、飲食店からの還元リワード導入については「東急不動産との実証実験を経ての本格リリース」とコメント。「ボーダーレスな暗号通貨を使ったトークンエコノミーの実社会実用化のスタート。まずは日本の飲食業界、その後アジアへも展開を図る」としている。

グルメアプリとしては、AIがレストランをレコメンドする機能を備え、検索要らずで使える点も特徴とするシンクロライフ。現在155カ国・4言語(日本語、英語、韓国語、中国語)で展開され、口コミは19万件、掲載店舗数は10万店舗を超えた。

今回の資本業務提携により、GINKANでは80万店以上の加盟店と1000万人以上のクレジットカード会員を抱えるオリコとともに、新しいプロモーションサービス提供や顧客向けサービス、Fintech事業などで協業を目指す。

神谷氏は「飲食店の課題へ強くフォーカスし、飲食業界の広告モデルを破壊する」という暗号通貨によるリワード還元についても「オリコと組んで挑む」と述べている。

SaaS企業のマーケ・営業一環支援を目指す「ボクシル」運営がKDDIと資本業務提携

法人向けクラウドサービスの比較サイト「ボクシルSaaS」やインサイドセールス支援サービス「BALES(ベイルズ)」を運営するスマートキャンプは5月20日、KDDI Open Innovation Fundから資金調達を実施し、KDDIと業務提携を行うと発表した。両社は業務提携により、SaaS企業のマーケティング・営業をワンストップで支援するプラットフォームの実現を目指す。調達金額は非公開。

写真中央:スマートキャンプ代表取締役 古橋智史氏

スマートキャンプが提供するボクシルは、SaaSユーザーとSaaS企業のマッチングプラットフォームだ。ユーザーは、経費精算システムや営業支援システム、採用管理システムなど、さまざまなSaaS製品を比較したり、口コミを確認したりすることができる。2015年5月の運営開始以来、2019年4月末時点で月間1200万PV以上、10万人以上の会員に利用され、SaaS企業のマーケティングをサポート。月間3万件以上のSaaS企業のリード獲得に至っているという。

また、インサイドセールス支援サービスのBALESは、BtoB営業をコンサルティングとアウトソーシングでサポートするサービスだ。見込み客獲得後のインサイドセールスのターゲット選定やKPI設計、スクリプト作成、電話代行などによる営業活動の効率化や、オンラインセールスのアウトソーシング、フィールドセールスのコンサルティングなどによる支援を実施。2017年9月に提供を開始し、100サービスを超えるSaaS企業の営業支援を行ってきた。

今回、KDDIとの資本業務提携によりスマートキャンプでは、SaaS企業の認知度向上からリード獲得、商談、受注、請求まで一気通貫でサポート可能なSaaSプラットフォームの実現を目指す。

スマートキャンプはボクシルやBALESによる、オンラインでの認知度向上から受注までの支援を担当。KDDIが保有する法人向け通信サービスやクラウドサービスの販売チャネル、あるいは契約・請求管理の仕組みと連携することで、オンライン・オフライン両面でSaaS企業のマーケティング・営業活動を一環して支援できるプラットフォームの実現を狙う。

サブスクリプション型のSaaSビジネスでは、ユーザー顧客の成功体験を向上させ、契約継続やアクティブな利用を促すことが成長には不可欠で、むしろ成約してからの“カスタマーサクセス”実現が勝負とも言える。

スマートキャンプ代表取締役の古橋智史氏は「現在はインサイドセールス支援を行うBALESで、主にオンラインでカスタマーサクセスの支援をしている。その後どうしても対面でのサポートが必要になったときに、KDDIに協力していただく、という連携も強化していきたい」と述べ、顧客企業の支援をさらに強めていく考えを明らかにした。

古橋氏は「提携に先駆けて、既にかなり時間をかけて事業開発に取り組んでおり、早い段階で結果を出せるようにしたい」と意欲を見せる。「スマートキャンプとしては、大手企業と資本も絡んだ業務提携は初となる。国内でのSaaS普及を、KDDIと共に推進できればと思います」(古橋氏)

「ごちクル」のスターフェスティバルが東急不動産、ハウス食品と資本業務提携

法人向け弁当配達サービス「ごちクル」などを提供するスターフェスティバルは2月4日、東急不動産ホールディングスおよびハウス食品グループ本社から出資を受け、それぞれと業務提携を行うことを明らかにした。出資金額は非公開だが、それぞれから数億円規模を資金調達したと見られる。

スターフェスティバルでは、レストラン向けに中食・デリバリー事業参入を支援する「スタートデリバリー」を展開。製造以外の「商品開発」「販路提供」「販売促進」「注文受付」「決済」「配達」機能をサポートすることで、飲食店が事前準備・投資をせずにECに参入しやすくするサービスを行っている。

レストランからの販路としては、お弁当やケータリングをオフィス向けに配達するごちクルのほか、オフィスワーカー向けにランチを提供する「シャショクル」を展開する。

今回、東急不動産HDからは、同社が運営するスタートアップ支援プログラム「TFHD Open Innovation Program」を通じて数億円規模の出資を受けた。今後、東急不動産が保有・管理するビルや入居テナントに対し、ごちクルやシャショクルなどのデリバリーサービスを展開するほか、「食」を通じた福利厚生・健康増進サービスを共同開発していく。

食による福利厚生サービスは、シャショクルとよく似たサービスの「オフィスおかん」も累計1500社へ導入実績を持つなど、注目が集まる分野でもある。スターフェスティバルは、企業からの問い合わせも増えているとして、福利厚生・健康増進分野への取り組みを、これを機に加速していくという。

またハウス食品グループからは、同社がSBIインベストメントと共同で2017年に設立したプライベートファンド「ハウス食品グループイノベーションファンド」を通じて、やはり数億円規模の出資を受ける。業務提携により、ごちクルなどで提供可能な新商品や新サービスを共同で開発していく予定だ。

ハウス食品グループは、2月4日の同日、メニュー単位での料理レビューサービス「SARAH」への出資も発表している。

スターフェスティバルは2009年7月の創業。これまでにもJR東日本との資本業務提携や、株主であるクレディセゾンとの連携を通じて新規事業を展開し、サービスの幅を広げてきている。

CAMPFIRE、APAMANグループ会社と資本提携——fabbitとの業務提携に続きスタートアップ支援を推進

クラウドファンディングプラットフォームの「CAMPFIRE」などを運営するCAMPFIREは8月1日、APAMANグループに属する子会社を通じて出資を受け、資本提携を結んだことを明らかにした。この提携は6月に行ったAPAMANのグループ会社fabbitとの業務提携に続くもの。出資金額などは公開されていない。

コワーキングスペース運営やスタートアップ支援を行うfabbitとの6月の提携では、クラウドファンディング実施時のプロジェクトページの作成サポートやイベント実施時の会場レンタル、プロダクトの常設展示場所提供による「スタートアップ支援プログラム」を開始した。

このプログラムは、CAMPFIREの持つ資金調達ノウハウと、国内外で35カ所のコワーキングスペースを運営、約3000社(名)の会員を持つfabbitの施設と会員をつなげてサポートを実施することで、個人やスタートアップ企業の資金調達を支援するというもの。fabbit会員はCAMPFIREの手数料を、CAMPFIRE会員はコワーキングスペースやイベント会場を特別価格で利用することができる。

今回のAPAMANグループ資本提携により、両社はスタートアップ支援プログラムをより強力に推進することを目指すとしている。

CAMPFIREはこの数カ月、他社との連携を積極的に進めている。6月1日には老舗アパレル企業のワールドと資本業務提携を締結。ファッション領域でクリエイターや企業などを支援する取り組みを始めている。またパルコとの業務提携により、7月26日からパルコが運営していた購入型クラウドファンディング「BOOSTER(ブースター)」の共同運営を開始している。