ハードウェア設計プラットフォームが投資家の注目を集める、nTopologyが多額の資金を調達

ハードウェア設計のためのソフトウェアは、最近VC投資の世界で人気が高い。Flux(フラックス)やBild(ビルド)による最近のラウンドに続き、nTopology(エヌトポロジー)が6500万ドル(約74億円)もの大規模なシリーズDの実施を発表した。Tiger Global(タイガー・グローバル)が主導したこの資金調達により、ニューヨークを拠点とする同社の資金調達総額は1億3500万ドル(約154億円)に達した。既存投資家のRoot Ventures(ルート・ベンチャーズ)、Canaan Partners(カナーン・パートナーズ)、Haystack(ヘイスタック)、Insight Partners(インサイト・パートナーズ)もこのラウンドに参加している。

nTopologyは、工業デザイン、航空宇宙、自動車、医療など、幅広い分野のエンジニアが使用することを想定したCADソフトウェアを効果的に提供している。同社は従来のシステムよりもエレガントなソリューションを約束し、特に3Dプリント / 付加製造技術の世界に力を入れている。

画像クレジット:nTopology

「私はキャリアの初期に、CADのようなエンジニアリングソフトウェアのほとんどが、革新的な設計を推進する上でボトルネックになっていることに気づきました」と、共同設立者兼CEOのBradley Rothenberg(ブラッドリー・ローゼンバーグ)氏は、このニュースに関連したリリースの中で述べている。「特にエンジニアの問題を解決するために設立された当社は、エンジニアが積層造形プロセスのパワーを十分に活用し、これらの旧態依然とした設計ツールによって残されたギャップを埋めることができるようにします」。

同社は最近、社名と同名のソフトウェアのv3.0をリリースした。現在はFord(フォード)、Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)、Honeywell(ハネウェル)など、約300社の顧客を抱えている。また、最近では、3Dプリンター大手のStratasys(ストラタシス)と提携し、積層造形ワークフロー用のソフトウェアプラットフォーム「FDM Assembly Fixture Generator(FDMアセンブリ・フィクスチャー・ジェネレーター)」を開発した。

nTopologyによれば、今回調達した資金は、国際的な事業拡大とソフトウェアの追加機能の開発に充てる予定だという。

画像クレジット:nTopology

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Eatronは「インテリジェントな自動車用ソフトウェア」を開発

電気自動車は基本的に「車輪の付いたソフトウェア」で、それは多くの可動部品を必要とする。もちろん、物理的なものではなく、仮想的なものだ。そのソフトウェアは、走行中の電気自動車の性能、効率、安全性を継続的に最適化する必要がある。しかし、そこに問題が生じている。自動車メーカーが自社のソフトウェアを公開して、改善に役立てることができないということだ。そこで、この自動車用の組み込みソフトウェアを、その土台にある電子部品のハードウェアから切り離せば、より最適化が進み、より効率的な自動車を実現することが可能になる。それはバッテリーの航続距離や性能全体に重要な影響を及ぼす。

このような理由から、英国に本拠を置き「インテリジェントな自動車用ソフトウェア」を開発しているEatron(イートロン)という企業は、英国のMMC Ventures(MMCベンチャーズ)が主導する1100万ドル(約12億5000万円)のシリーズA資金調達を成し遂げた。

この投資ラウンドには、Aster Capital(アスター・キャピタル)とベトナムの自動車メーカーであるVinFast(ビンファスト)も参加した。Eatronはこれまで、VinFastの電気自動車開発に協力してきた。また、このスタートアップ企業はドイツのHirschvogel Group(ヒルシュフォーゲルローランド・グループ)とも戦略的パートナーシップを結んでおり、同グループはEatronに150万ドル(約1億7000万円)を出資している。

同社の技術を利用することで、自動車メーカーやティア1サプライヤーは、バッテリーマネジメント、インテリジェントモーションコントロール、先進運転支援などを目的とする自動車用ソフトウェアを、自社のハードウェアから切り離すことができる。これにより、自動車メーカーにとってはサプライヤーの選択肢が増え、コスト、リスク、市場投入までの時間を減らす効果がもたらされる。

今回のシリーズA資金の一部は、サードパーティ製ソフトウェアモジュールや、半導体およびハードウェア部品のサプライヤーとの提携を増やし、プラットフォームを拡大するために使用される予定だ。また、ドイツ、インド、米国の営業チームを増強することも計画されている。

Eatronの共同創業者兼CEOであるUmut Genc(ウムット・ゲンク)博士は次のように述べている。「モビリティ、特に自動車は、劇的な変化の真っ只中にあり、その変化の一環として、ソフトウェア主導型の産業になることが必要とされています。端末に組み込まれ、クラウドに接続されたインテリジェントな自動車用ソフトウェアプラットフォームは、この変革において重要な役割を果たすでしょう」。

MMC Venturesの投資家であるMina Samaan(ミナ・サマーン)氏は次のように述べている。「自動車メーカーをサポートする興味深いアルゴリズムのコンセプトを構築するソフトウェアビジネスは数多く見てきましたが、量産市販車に必要な規制、セキュリティ、安全性の要件を満たす専門知識を持った企業はありませんでした。しかし、Eatronは例外です。同社のソフトウェアは、自動車用品質を目指して一から構築されたもので、今後の数年間で何十万台もの自動車のバッテリーや自動運転機能を推進する可能性を秘めています」。

画像クレジット:VinFast

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

AIオンデマンド製造ロボットで設計反復の迅速化、Machina Labsが累計約18.6億円を調達し脱ステルス

77社130工場が利用する製造業専門の現場向け工程管理SaaS「ものレボ」を手がけるものレボが1.8億円調達

ロボットとAIを活用した製造プラットフォームを提供するMachina Labsは米国時間11月17日、1400万ドル(約16億円)のシリーズAを調達したと発表した。このラウンドは、Innovation Endeavorsがリードし、Congruent VenturesとEmbark Venturesが参加したもので、ロサンゼルスにある同社の累計資金調達額は1630万ドル(約18億6000万円)となった。

今回の資金調達により、同社は、NASAおよび米国空軍とのパイロット契約に続き、事実上ステルス状態を脱したことになる。ロボットプラットフォームの初期段階では、政府(特に国防総省)との契約が重要な役割を果たしてきたが、Machina Labsもその点では特別な存在ではない。

しかし、新たなラウンドで同社はさらなる成長を目指し、商業パートナーの受け入れを開始している。パンデミックの影響でグローバルサプライチェーンの多くがきしるように停止している中、米国内の製造業がさらに苦境に立たされていることを考えると、確かにタイミングは良いと言える。

画像クレジット:Machina Labs

Machinaの最初の取り組みは、シートメタル加工を中心としたもので、戦車の部品を設計したり、NASAの宇宙空間での製造の可能性を探ったりしているが、後者の部分は、明らかな理由からまだ先の話だ。現在、同社は地元ロサンゼルスの工場で、オンデマンドのMaaS(Manufacturing as a Service)を提供している。

共同設立者兼CEOのEdward Mehr(エドワード・メア)氏は声明の中で、次のように述べた。「この競争の激しい市場の変化のスピードに対応するためには、製造業を改革しなければなりません。当社のプラットフォームは、最新のロボット工学と人工知能(AI)を組み合わせたもので、優れたアイデアを持つ誰もが、迅速に、効率的に、低コストで部品を製造できるよう、ラピッドマニュファクチャリングへのアクセスを民主化します。このようなソフトウェアで定義されたロボット設備は未来の工場であり、その実現に向けて投資家のみなさまにご協力いただけることを大変うれしく思います」。

今回の新たな資金調達は、ロサンゼルスでの人員増強と、プラットフォームのさらなる研究開発に充てられる。

画像クレジット:Machina Labs

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

クリエイターがゲーム内でアイテム作成、共有、収益化できるプラットフォームのOverwolfが約85億円調達

クリエイターがゲーム内でアイテムを作り、共有し、収益化できるプラットフォームを提供するOverwolf(オーバーウルフ)は、Andreessen Horowitz(a16z)がリードしたシリーズDで7500万ドル(約85億円)を調達した。既存投資家であるGriffin Gaming Partners、Insight Partners、Intel Capital、Liberty Technology Venture Capital、Markerなども参加した。調達した資金は、OverwolfのCurseForge Coreに投入される。CurseForge Coreは、ゲームスタジオ、IPオーナー、ゲーム内クリエイターがゲーム内にユーザー生成コンテンツを構築することを可能にするソリューションだ。

「ゴールド」やゲーム内MODが売買されていた世界は、大きく変化している。今やプレイヤーは、ゲーム内で体験を構築して共有できることに魅力を感じており、クリエイターとゲームオーナー向けにまったく新しい分野が生まれている。

テルアビブを拠点とするOverwolfは、Andreessen Horowitz、Atreides Management、Griffin Gaming Partners、Insight、Marker、Intel Capital、Liberty Technology Venture Capital、Market、Ubisoftなどの投資家から、これまでに1億5000万ドル(約171億円)超を調達している。

CurseForge Coreはホワイトレーベルのソリューションで、パブリッシャーが既存および新規のゲームにModを簡単に統合することを可能にする。

Overwolfは、技術的なソリューションであると同時に、ゲーム開発者に対してコンテンツのモデレーション、IP、その他さまざまな側面をカバーするフルサービスのUGCプラットフォームを提供している。

Overwolfの共同創業者でCEOのUri Marchand(ウーリ・マルシャン)氏は「情熱的なコミュニティの実行速度と圧倒的な創造性には、単一のゲームスタジオでは太刀打ちできません。主要なゲームスタジオが、コミュニティの創造に抵抗するのではなく、これらのクリエイターがコミュニティやスタジオ自体にもたらす価値を受け入れ始めているという認識の変化が見られます」と話す。

Overwolfによると、約8万7000人のインゲームクリエーターを擁し、毎月2000万人超のゲーマーがOverwolfの製品を利用しているとのことだ。Overwolfは、2020年の約3倍となる2900万ドル(約33億円)をゲーム内クリエイターに支払うと予想している。また、ゲーム内アプリのクリエイターやMODの作者、さらにはMODを新作品に統合することを計画しているゲームスタジオを支援するため、5000万ドル(約57億円)の基金「Overwolf Creators Fund」を立ち上げている。

a16zのパートナー、Jonathan Lai(ジョナサン・ライ)氏は、次のように語る。「TikTok、YouTube、Instagramなど、今日の最大のソーシャルプラットフォームは、友人や家族、コミュニティのためにコンテンツを生成するクリエイターによって大きく支えられています。ゲームがソーシャルネットワークに進化していく中で、クリエイターやユーザー生成コンテンツも同様に重要な役割を果たすでしょう。Overwolfのプラットフォームは、堅牢な開発エンジン、配信用のアプリストア、クリエイターが作品から生計を立てるための収益化ツールを備えているため、どんなプレイヤーでもお気に入りのゲームの共同制作者になることができます」。

筆者は電話でマルシャン氏に、Overwolfがメタバース形式の環境を提案するための「建築用ブロック」のようなものになる可能性があるかどうか尋ねた。

「ゲーム間で一貫した体験ということであれば、IPの所有者と一致した方法でそのようなものを作り、ギャップを埋めることができるかもしれません」と同氏は答えた。

「それは剣かもしれないし、物語かもしれないし、さまざまなものの可能性があります。人々が会話したり、体験を切り替えたり、所有権を生み出したりできることとは別に、メタバースの大きな部分を占めるのは創造であり、当社は創造の要素に焦点を当てている会社です」と付け加えた。

Overwolfの競合他社には、最近2600万ドル(約29億円)の資金調達を行ったMod.ioがある。

画像クレジット:Overwolf / Overwolf leadership team

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

オンラインの接客機能をノーコードで構築するプラットフォームEasySendが63億円以上を調達

ノーコードは、これまで非技術系の従業員が何かをしたいときに技術の専門家に頼らざるを得なかった企業で、ITのさまざまなレイヤーに浸透しつつある。そしてノーコードのツールを開発するスタートアップの事業は急成長し、多額の資金を調達している。

最新の事例を紹介しよう。EasySendはテルアビブのスタートアップで、コーディングの言語をまったく知らなくても顧客とやりとりする機能をドラッグ&ドロップのインターフェイスで構築できるプラットフォームを開発している。そのEasySendがシリーズBで5050万ドル(約57億5700万円)を調達した。同社はこの資金でプラットフォームで利用できるテンプレートを増やし、人材を雇用し、事業開発をしていく。

このラウンドを主導したのはOak HC/FTで、これまでに支援していたVertex IL、Intel Capital、Hanaco Ventureも参加した。EasySendによれば、これとは別にSilicon Valley Bankから500万ドル(約5億7000万円)のベンチャーデットによる調達も実施したという。EasySendのCEOで、COOのOmer Shirazi(オメル・シラジ)氏、CTOのEran Shirazi(エラン・シラジ)氏とともに同社を創業したTal Daskal(タル・ダスカル)氏はEasySendのバリュエーションを明らかにしていないが、前回のバリュエーションの5倍になったと述べた。

参考までに以前の数字をあげると、PitchBookは同社の前回ラウンド時のバリュエーションを3140万ドル(約35億8000万円)と推定しており、この数字が正しいとすれば現在のバリュエーションはおよそ1億5700万ドル(約178億9800万円)となる。いずれにしてもEasySendは、特に米国の売上が10倍とビジネスを急速に成長させている。

現在EasySendはおよそ100社の顧客を抱え、その分野は教育、行政、金融サービス、保険など多岐にわたる。特に金融サービスと保険の分野に強く、Cincinnati Insurance、NJM Insurance Group、PSCU、損保ジャパン、Petplanなどが同社を利用している。

同社の調達金額の合計は7150万ドル(約81億5100万円)となった。

EasySendがターゲットとしているのは、紙のフォームを作って顧客の情報を集め、非技術系の従業員がそうした資料を扱うことが多い市場だ。

企業が顧客サービスをバーチャルの環境に移行する傾向が急激に進むにつれて、企業は紙ベースの業務から離れることを求められている。ダスカル氏によれば「企業がデジタルカスタマージャーニーをゼロから作るための支援をする」ことに、EasySendのチームはチャンスを見出した。同社はまず旧来型の銀行に目をつけたが、類似する多くの市場に同様の問題とソリューションの可能性があることにすぐ気づいた。

さらにコロナ禍もその展開に影響を与えた。多くの企業で「デジタルトランスフォーメーション」と呼ばれる変化が推進され、紙ベースのオフライン業務を急速に減らしていった。これによりさらに多くの企業が、従業員に配慮しデジタルツールを使って仕事をする手段の1つとしてEasySendを利用するようになった。

そして、アナログツールを置き換えるデジタルツールは往々にしてアナログより機能が多い。EasySendがこれまでも開発し、今後充実させていこうとしている領域の1つが分析だ。分析機能があればユーザーは自分が構築した顧客とのやりとりに関するエンゲージメントを追跡できる。ダスカル氏はTechCrunchに対し、近いうちにAIのインサイトを強化してトレンドや予測のデータをもっと提供できるようにすると述べた。

EasySendは今後の投資で「カスタマージャーニー」のユースケースを充実させていくだけではなく、RPAなどのテクノロジーを取り入れて他の業務とも統合できるプロセスを開発する計画だ。IDの確認、電子署名などのテクノロジーといった他社の新しいサービスを組み合わせれば、さらに複雑で幅広い接客を扱える可能性がある。

Oak HC/FTのパートナーであるDan Petrozzo(ダン・ペトロゾ)氏は発表の中で「今日、企業が競争力を持つためには、これまで以上に優れた顧客体験を創造する必要があります。EasySendは、企業がデジタル・エクスペリエンスを迅速かつ効率的に顧客に提供する方法を変革しました。企業をデジタル時代に導く点でユニークな立場にあるEasySendには、今後大きな成長の機会があると信じています。投資はその結果です」と述べた。

画像クレジット:EasySend

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Kaori Koyama)

シンガポールを拠点とするコワーキングスペースのデスク予約アプリ「Deskimo」がジャカルタに進出

コワーキングスペースを見つけて分単位で支払うオンデマンドアプリで、シンガポールを拠点とするDeskimoが現地時間11月17日、シードラウンドで300万ドル(約3億4200万円)を調達したと発表した。また、インドネシアのジャカルタでソフトローンチし、これまでのシンガポールと香港に加えて3つのマーケットでサービスを提供する。今回のラウンドにはY Combinator、Global Founders Capital、Pioneer Fund、Seed X、Starling Ventures、TSVCが参加した。DeskimoはY Combinatorの2021年夏学期に参加していた。

Rocket Internetのアジア責任者だったRaphael Cohen(ラファエル・コーエン)氏と、FoodpandaやHotelQuickly、GuestReadyの共同創業者であるChristian Mischler(クリスチャン・ミシュラー)氏が、2021年前半にDeskimoを創業した。Deskimoはアプリを消費者に直接提供するのではなく、ハイブリッド勤務を採用する企業と連携している。通常は在宅勤務をしているが集中するため、あるいは電話をするために家を離れたい従業員に対して、福利厚生としてアプリが提供される(ミシュラー氏によれば、Deskimoのユーザーはデスクを平均3時間利用するが、終日滞在するケースもあるという)。DeskimoはWeWork、The Hive、Executive Centre、Garage Societyなどのコワーキングスペースと提携し、コワーキングスペースの新たな収入源となっている。

ミシュラー氏はTechCrunch宛のメールで、交通渋滞が激しく、香港やシンガポールの都市と比べて不動産インフラがあまり充実していない都市をターゲットにするという方針から、ジャカルタに進出すると述べた。「インドネシアは東南アジア最大の市場で、ジャカルタはシンガポールの企業が最初に進出する都市の1つです。そのため当社の多くの顧客からDeskimoをジャカルタで利用できるようにして欲しいと要望がありました。そこで、東南アジアの他の大都市に先駆けてジャカルタを優先したのです」(ミシュラー氏)。

Deskimoはソフトローンチにあたり、ジャカルタで40カ所以上のワークスペースとすでに契約し、2021年末までにさらに10〜20カ所を追加する予定だ。サービスを展開するいずれの都市でも、同社はユーザーが自宅に近いデスクを見つけられるようにビジネス街の中心以外でもワークスペースを探している。例えば香港とシンガポールでは、Deskimoのスペースのおよそ3分の1は住宅地にある。ミシュラー氏によればジャカルタではスペースは市内全域に広がり、パートナーのワークスペースの約60%はビジネス街の中心以外にあるという。

同氏は「コロナ禍にともなう制限が続けばスペースはさらに混雑すると予測しています。そのため我々はDeskimoユーザー全員が近隣でスペースを利用できるようにオプションを増やしていきます」と補足した。

Deskimoはサービス開始からの3カ月間で、中心地にある会議室の予約などの新しいサービスもユーザーの需要に応えて追加してきた。現在の従量制料金モデルに加えて、固定料金のサブスクリプションも試行している。他に、アカウント所有者がゲストを同行できる機能、月末締めの請求だけでなくプリペイドのクレジットの利用、スペースに終日滞在したいユーザー向けの最大料金設定なども準備中だ。

画像クレジット:Deskimo

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(文:Catherine Shu、翻訳:Kaori Koyama)

AIを使ってより優れた文章を書く、Grammarlyが約1.4兆円の評価額で約228億円調達

文章の自動編集ツールとして人気のGrammarly(グラマリー)は、Baillie Gifford(バイリー・ギフォード)やBlackRock(ブラックロック)が運用するファンドアカウントなどの新規投資家から、評価額130億ドル(約1兆4800億円)で2億ドル(約228億円)の資金を調達した。同社は今回の投資を、製品のイノベーションとチームの成長を加速させるために使用する予定だ。

「今回の資金調達は、私たちのビジネスの強さを証明するものだと考えています」と、Grammarlyの製品担当グローバル代表であるRahul Roy-Chaudhury(ラフル・ロイ=チョードリー)氏は、TechCrunchのインタビューに答えている。「当社は設立当初からキャッシュフローが黒字でした。今回のラウンドは、コミュニケーションの改善を通じて生活を向上させるという当社のミッションの強さを証明するものでもあります。今回の資金調達は、製品のイノベーションと製品のスケーリングという観点から行われました」。

ラフル・ロイ=チョードリー氏によると、Grammarlyは今回の資金調達を利用して、AI技術への投資を継続する予定だ。自然言語処理と機械学習の技術を進化させて、ユーザーにパーソナライズされたコミュニケーションのフィードバックも提供していく。また、同氏は、Grammarlyがユーザーの信頼を獲得し、強化するための追加投資を行う予定であるとも述べている。

「今後のことを考えると、私は多くの可能性を感じています。なぜなら、最終的にはいつもコミュニケーションの改善という私たちのミッションに立ち返ることになるからです。遠隔地にいる世界中のチームが協力して仕事をするようになり、仕事の進め方が大きく変わりました。私たちは、このような変化の中で、人々がより効果的にコミュニケーションを図れるよう支援することが大きなチャンスだと考えています。今回の新たな資金調達は、そのための取り組みを加速させるためのものです」と述べている。

サービスの将来像について、ロイ=チョードリー氏は、Grammarlyは単に簡潔さ、一貫性、正確さを重視するだけのものではなくなると述べている。今後は、改善提案の対象となるカテゴリーを増やすとともに、ユビキタス化を進めていく予定だ。

今週初めには、Grammarly for MacとWindowsがリリースされ、Grammarlyはすでに製品の規模を拡大し、ユビキタス化の目標を達成している。この新しいデスクトップアプリケーションは、Microsoft Office、Slack、Discord、Jiraなどのアプリで使用することができる。ロイ=チョードリー氏によると、この新しいデスクトップアプリケーションは、ブラウザの拡張機能に関連する技術的な障壁を取り除くことができるようになったため、ユーザーがどこで文字を入力しようとも常にいつでも使えるライティングツールになることを目指しているとのことだ。

画像クレジット:Grammarly

「Mac版とWindows版のGrammarlyによって、私たちはすべてを結びつけ、ユーザーのコミュニケーションフロー全体をサポートすることができます。これにより、私たちはみなさんのコミュニケーションのあらゆる場所に存在し、求めている成果をより効果的に達成する手助けをすることができます」とロイ=チョードリー氏は述べている。

また、Grammarlyは先日、プログラマーがあらゆるウェブアプリケーションにGrammarlyのテキスト編集機能を組み込むことを可能にするテキストエディターSDK(ソフトウェア開発キット)を展開し「Grammarly for Developers」を発表した。このSDKのベータ版のリリースにより、開発者は数行のコードでGrammarlyの自動編集機能のフルパワーを利用できるようになった。対象となるアプリケーションのユーザーは、Grammarlyの顧客である必要はないが、もし顧客であった場合は、Grammarlyのアカウントにログインして、それに付随するすべての機能にアクセスすることができる。

今回の資金調達は、Grammarlyが2019年10月に行った前回の資金調達に続くもので、10億ドル(約1141億円)を超える評価額で9000万ドル(約102億円)を調達した。今回のラウンドは、2017年5月に1億1000万ドル(約125億円)で行われた同社の唯一のラウンドのリードにも貢献していたGeneral Catalyst(ジェネラル・カタリスト)がリードし、前回の投資家であるIVPやその他の無名の支援者が参加した。

現在、Grammarlyは、メールクライアント、企業向けソフトウェア、ワープロなど、50万以上のアプリケーションやウェブサイトで動作している。同社は、より多くの人々がより多くのオンラインプラットフォームでつながるようになった今、個人やビジネスの目標を達成するためには、コミュニケーションを正しく取ることが重要であり、それがユーザーの目標達成を支援することにつながるとしている。

Baillie Gifford(バイリー・ギフォード)の民間企業部門の責任者であるPeter Singlehurst(ピーター・シングルハースト)氏は、声明の中で「世界がデジタル化したことで、人々はこれまで以上にコミュニケーションをとるようになりました。Grammarlyは、この問題を解決することに焦点を当てた、世界でも数少ないビジネスの1つです。私たちが惹かれたのは、会社のビジョンと、より多くの環境でより多くの人がより良いコミュニケーションをとれるように製品を推進するチームの能力です。また、Grammarlyの長期的かつ野心的なアプローチは、我々の投資に対するアプローチと一致しています」と述べている。

Grammarlyはフリーミアムモデルで運営されており、有料会員になると、文法やスペルチェックだけでなく、言葉の選択、文章のリライト、トーンの調整、流暢さ、フォーマル度、盗作の検出など、より多くのツールを利用できるようになる。有料会員の価格は月額12ドル(約1370円)、20ドル(約2280円)、30ドル(約3420円)だ。

画像クレジット:Grammarly

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(文:Aisha Malik、翻訳:Akihito Mizukoshi)

モバイルキーボードソフトウェアFleksyがシリーズAで約1.8億円調達、10倍の成長を遂げたキーボードSDK事業を拡大

バルセロナを拠点とするモバイルキーボードソフトウェアメーカーのFleksy(フレキシー)が160万ドル(約1億8250万円)のシリーズAを獲得し、AndroidおよびiOS向けのホワイトラベルSDKのB2Bへの移行を進めている。

今回のラウンドはスペインの資産管理会社Inveready(インベレディ)が主導。また、既存の投資家であるSOSVとSimile Venture Partners(シミールベンチャー・パートナーズ)からも資金提供を受けている。

今回のシリーズAにより、2015年の創業以来のこれまでの総調達額は300万ドル(約3億4200万円)弱となった。

AIキーボードメーカーである同社は、スマートフォンのサードパーティ製キーボードの分野で長く活躍しており、当初は生産性向上に特化したキーボードThingThing(シングシング)を開発していた。その後米国で有名なカスタムキーボードFleksy開発チームがPinterestに買収された後、停止状態となっていた)のアセットを買収し、以来Fleksyの開発に全力を注いでいる。

しかし、コンシューマー向けカスタムキーボードの分野で収益化を図るのは至難の技である。今や単語予測やスワイプ入力などの機能がスマートフォンのネイティブキーボードに組み込まれているため、サードパーティ製のアドオンの価値は低下しているからだ。

また、AppleやGoogleのような大手企業も独特の方法でこの分野で幅を利かせている(例えば、iOSにおける頼りないサードパーティ製キーボードの実装状況によって、ユーザーはAppleのネイティブキーボードから乗り換えられないでいる。また、GoogleのPlay Storeは一時期に不愉快なポリシーを実施していた)。

Fleksyは2020年SDKを発表して以来、カラーチェンジやブランド化などさまざまな方法で適応させることができ、強力な予測機能や文脈に応じたカスタムAIキーボードソフトウェアを必要とする他のアプリメーカーや企業に、同社キーボード技術のライセンス供与を行ってきた。

キーボードSDKは、サードパーティがユーザーをより深く知るために、あるいは自社の販売促進のために使用することも可能だ。

またFleksyがウェブサイトに掲載している、SDKを介してクライアントが実装できる機能としては、キーボードに文脈に応じた広告を埋め込む機能(文脈に応じて製品やサービスを提案し、トリガーを設定して適切なタイミングであらゆるアプリにブランドを表示する機能)や「ショップがキーボードからマーケティング資料、請求書、更新情報、タスクを送信したり、支払いを徴収したりできるようになる」という近日公開予定のCRM機能などが挙げられる。

セキュリティ関連の機能も「近日公開」とされており「データ漏洩や機密情報の流出防止、リスクを抱えた従業員の監視、メッセージの保護、不正行為の防止」などを実現するカスタム機能も完備する予定だという。

このようなB2B戦略と並行して、同社はコンシューマー向けソフトウェアの分野にも注力しており、GoogleのGboard(ユーザーの検索データをGoogleに送っている)のようなソフトウェアとの差別化要因としてユーザーのプライバシーを強く強調している。また最近では「アートキーボード」で顧客の心を掴もうと試みていた。

しかし、同社の重心がB2Bに移行しているというのは明白だ。「Fleksy for Business」のメッセージがウェブサイト全面に押し出され、ディープテックな雰囲気を放つデザインに一新されている。

それでもコンシューマー向けキーボードはコアなファンのためにも、また、ショーケースやテストベッドとしての有用性を考えても残り続けることだろう。

「Google やAppleなどの大手企業が公平に競争してくれないため、消費者分野は厳しいものになっています。そこで私たちは、他の企業が優れたキーボード体験やそれを超えた体験を構築するのをサポートしてライセンス料によって提供するという、収益性の高いニッチな分野を見つけたのです」と、FleksyのCEOであり、ThingThingのCEO兼共同設立者でもあるOlivier Plante(オリビエ・プランテ)氏はいう。「我々が作り上げたものはなかなか簡単に作れるものではないので、こういったデジタル企業にとっては非常に使いやすい製品になっています」。

サードパーティが同社のキーボード技術を使ってユーザーをデータマイニングしようとするのではないかというプライバシーに関する疑問を投げかけたところ「FleksyのSDKは、各企業が独自の原理で成功するために必要なすべてのツールを提供します。Fleksyは技術的な役割を果たしているだけで、クライアント自身のプライバシースタンスには関与していません」と同氏は答えている。

ただし「誤解のないようにいうと、Fleksyのコンシューマー向けアプリは常にプライベートを守ります。その原理を変えることはありません」と付け加えている。

Fleksyによると、同社の技術をライセンス供与している企業は現在「数十社」にのぼり「パイプライン」にはさらに50社が含まれているという。また、SDKビジネスの収益は1年で10倍になったという。

シリーズAの規模が比較的小さかったのは、このような背景があったからだとプランテ氏は考えている。

「現在かなりの収益を生み出しているため、この程度しか必要なかったのです」とTechCrunchに話しており、今シリーズAを調達する理由は「より早く拡大するため」だという。

今回得た資金は、成長、雇用(現在13人のチームを拡大するため)、および顧客ポートフォリオの拡大のために使用される予定だ。

Fleksyにとってキーボード技術のライセンス供与に最適な市場は、現在米国と欧州となっているが、プランテ氏は世界中に顧客がいると考えている。

SDKはまた、デジタルヘルスやフィンテックからゲームまで、幅広い顧客層を惹きつけている。

「あらゆる企業が新たなキーボード体験を探し求めています。ウェブサイトの/solutions/にあるように、これらの業界、さらにはますます多くの業界がFleksy技術によって支えられるようになるでしょう」。

「当社にはさまざまなニーズを持つあらゆるタイプの顧客がいますが、サードパーティのブラックボックスではなく、すべてを自社で構築しているため、顧客に合わせてすべてを修正することができます。これは現在、他の企業では実現できないことです。そのため、例えばデジタルヘルス分野の企業は、技術スタックを完全にコントロールできる収益性の高い企業と提携することができるのです」と同氏。

「Fleksy SDKは、レイアウトや辞書からオートコレクトや予測、センチメントなどを支えるコアエンジンに至るまで、さまざまな方法で変更を加えることができます。これこそがFleksyが選ばれる理由なのですが、将来的には『画面入力と言えばFleksy』という、より大きなビジョンを実現できるよう取り組んでいます」。

シリーズAの資金調達の一環として、InvereadyのIgnacio Fonts(イグナシオ・フォンツ)氏がFleksyの取締役に就任する。

フォンツ氏は声明中で次のように述べている。「私たちは、パーソナル・コンピューティング(携帯電話、モバイル、デスクトップ)デバイスのコントロールポイントの1つであるキーボード技術において、世界的なリーダーの地位を獲得したFleksyチームに参加できることを大変うれしく思います。今回のラウンドにより、ユーザーにはデバイスとの新しい関わり方を、企業には顧客に関する新しい洞察を提供する、非常に魅力的なロードマップの開発を加速させることができるでしょう」。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

工場製の壁、床、屋根パネルを現場で組み立てるモジュラーホームビルダーCoverが約68億円調達、テスラの様式にならう

現在、モジュラーホームの設計に取り組むスタートアップが数多く存在する。中でも興味深いのは、ロサンゼルスに拠点を置く創業7年のCover(カバー)だ。同社によると、壁、床、屋根のパネルをすべて工場で製造した後、標準的なトラックで輸送し、現場でクレーンを使わずに組み立てるという。

建物の骨組みには軽量のスチール、天井にはアルミを使っている。パネルがゴムの複合材でできているのは、創業者でCEOのAlexis Xavier Rivas(アレクシス・シャビエル・リバス)氏が説明するように「乾式壁材の設計は製造や輸送に適したものではなく、とても脆い」ためである。

明らかに、これらの建物をどのように設計するかについて多くの考察がなされてきたようだ。例えば、同社ではすべての給排水衛生設備と電気配線を天井に設置しており、オーナーは新しい配線や配管を設置する際、天井を開けるだけで済む。

奇妙に聞こえるかもしれないが、同じ目的を達成するために、壁に一連の穴を開け、それらを補修して塗り直すことに比べると、それほど違和感はない(また、現在不足している配管工や電気工のような職人の助けも必要ない)。

他の使用素材としては、床や外装に使われている天然の木や木の複合材がある一方、堅牢な表面のカウンタートップや浴室の床には多孔性がない。これは衛生的であることを意味しており、世界的なパンデミックからの回復に伴い、住宅オーナーにとってますます重要な要素となっている。

Coverに関して言えば、その主要な焦点、そして将来性として、迅速な組み立てとカスタマイズの両方があることを考えると、材料の組み合わせ方は当然、一層重要性を帯びてくる。

リバス氏が語るプロセスの仕組みは、顧客が同社と協働して設計を作り上げる、というものだ。現時点では、その設計は1200平方フィート(約111.5平方メートル)以下の平屋建てユニットに限られているものの、エネルギーの浪費を最小限にするために窓をどこに配置すべきかなど、さまざまな要素が考慮されている(またリバス氏は、Coverが作る窓はLEED認定を受けており、住宅は気密性が高く、エネルギー効率が大幅に向上していると指摘する)。

Coverは合意された設計を事前に設定されている価格で採用し、パーツのエンジニアリングに着手する。価格には許可手数料、都市に支払う手数料、基礎工事費用、そして家自体の費用が含まれている。例えば400平方フィート(約37.2平方メートル)のスタジオ(ワンルーム)で20万ドル(約2280万円)、600平方フィート(約55.7平方メートル)のワンベッドルームユニットで25万(約2850万円)ドル、1200平方フィートの寝室が3つある住居で最大50万ドル(約5690万円)という設定だ。

いささか驚くべきことに、基礎工事が完了すれば30日間以内の建設と設置が可能でなり、同社が当初顧客に約束する120日という期間より短縮されるという。

また、必要な許可が得られない場合は100%の返金保証を提供する他、構造に関する生涯保証と、それ以外については1年間の保証を設けている。

これらの建物は「腐食することはありません」とリバス氏。「シロアリに食べられることもないでしょう」。一方、顧客が新しいエアフィルターを必要としている場合は「私たちが交換します」。

トロントで育ったリバス氏は、大学で建築学を学んだ後、Coverを設立する前に短期間、複数の建築会社を渡り歩いた。SpaceX(スペースX)とTesla(テスラ)のエンジニアをこのミッションに引き寄せることができたことを誇りに思っているリバス氏は、今週初めに交わした会話の中のさまざまな場面で、Coverのプロセスをこの自動車メーカーのプロセスになぞらえた。

類似点を見出しているのは同氏だけではないようだ。Coverは2021年10月下旬に、Gigafund(ギガファンド)が主導するシリーズBラウンドで6000万ドル(約68億円)を調達したことを発表した。Gigafundは、SpaceXに大きく賭けた2人の元Founders Fund(ファウンダーズ・ファンド)投資家によって設立された投資会社だ。

今回のラウンドには、Valor Equity Partners(バロー・エクイティ・パートナーズ)とFounders Fundが参加しており、どちらもSpaceXとTeslaの初期投資家でもある。他にも、General Catalyst(ジェネラル・カタリスト)、Lennar(レナー)、Fifty Years(フィフティ・イヤーズ)、AngelList(エンジェルリスト)の共同創業者Naval Ravikant(ナバル・ラヴィカント)氏、Lowercase Capital(ローワーケース・キャピタル)の創業者Chris Sacca(クリス・サッカ)氏、Marathon Asset Management(マラソン・アセット・マネジメント)のCEOであるBruce Richards(ブルース・リチャーズ)氏、Dropbox(ドロップボックス)の共同創業者Arash Ferdowsi(アラシュ・ファダウシ)氏など、著名な投資家が多数名を連ねている。

確かに、全国的な住宅と建設の不足を考えると、Coverが建設しているものへの需要は少なくない。実際、Coverのセールスチームについて尋ねられたリバス氏は、非常に多くのインバウンド関心があり、現在「1人の時間の3分の1がセールスに費やされている」と述べている。

人々がどのようなものを注文しているかについて、リバス氏は同社の顧客の傾向を次のように語っている。引っ越してくる家族(年老いた親や大学から戻ってくる子ども)を受け入れるため、自宅とは別にホームオフィスを作るため、あるいは賃貸収入を増やす方法を確立するため、という目的が多くを占めるという。

さらに、これまでに建設した約20軒の裏庭つき住宅に加えて、現在総額7500万ドル(約86億円)を調達している同社は、大規模な複数階建て住宅と複数世帯向け住宅の建設を始める意向を強く抱いている。

現在稼働している2万5000平方フィート(約2322.6平方メートル)の倉庫から、10万平方フィート(約9290平方メートル)の工場に移転することで、さらに多くのパネルを生産できるようになるとリバス氏は話す(そこに6000万ドルの一部が注ぎ込まれている)。

実際、すべてが計画どおりに進めば、近いうちに既存の顧客でも、すでに購入した家をCoverアプリを使って容易に拡張できるようになるという。同氏の話を聞くと、それは簡単なことのようだ。

「アプリを起動して、追加したい部屋をクリックし、予約して、オンラインで支払いをすれば、2〜3日でリノベーションが完了します」。

これはElon Musk(イーロン・マスク)氏がその名を馳せる、一種の開幕戦のようなものだ。さて、Coverがうまくやり遂げるかどうか、注目してみたい。

画像クレジット:Cover

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

工場製の壁、床、屋根パネルを現場で組み立てるモジュラーホームビルダーCoverが約68億円調達、テスラの様式にならう

現在、モジュラーホームの設計に取り組むスタートアップが数多く存在する。中でも興味深いのは、ロサンゼルスに拠点を置く創業7年のCover(カバー)だ。同社によると、壁、床、屋根のパネルをすべて工場で製造した後、標準的なトラックで輸送し、現場でクレーンを使わずに組み立てるという。

建物の骨組みには軽量のスチール、天井にはアルミを使っている。パネルがゴムの複合材でできているのは、創業者でCEOのAlexis Xavier Rivas(アレクシス・シャビエル・リバス)氏が説明するように「乾式壁材の設計は製造や輸送に適したものではなく、とても脆い」ためである。

明らかに、これらの建物をどのように設計するかについて多くの考察がなされてきたようだ。例えば、同社ではすべての給排水衛生設備と電気配線を天井に設置しており、オーナーは新しい配線や配管を設置する際、天井を開けるだけで済む。

奇妙に聞こえるかもしれないが、同じ目的を達成するために、壁に一連の穴を開け、それらを補修して塗り直すことに比べると、それほど違和感はない(また、現在不足している配管工や電気工のような職人の助けも必要ない)。

他の使用素材としては、床や外装に使われている天然の木や木の複合材がある一方、堅牢な表面のカウンタートップや浴室の床には多孔性がない。これは衛生的であることを意味しており、世界的なパンデミックからの回復に伴い、住宅オーナーにとってますます重要な要素となっている。

Coverに関して言えば、その主要な焦点、そして将来性として、迅速な組み立てとカスタマイズの両方があることを考えると、材料の組み合わせ方は当然、一層重要性を帯びてくる。

リバス氏が語るプロセスの仕組みは、顧客が同社と協働して設計を作り上げる、というものだ。現時点では、その設計は1200平方フィート(約111.5平方メートル)以下の平屋建てユニットに限られているものの、エネルギーの浪費を最小限にするために窓をどこに配置すべきかなど、さまざまな要素が考慮されている(またリバス氏は、Coverが作る窓はLEED認定を受けており、住宅は気密性が高く、エネルギー効率が大幅に向上していると指摘する)。

Coverは合意された設計を事前に設定されている価格で採用し、パーツのエンジニアリングに着手する。価格には許可手数料、都市に支払う手数料、基礎工事費用、そして家自体の費用が含まれている。例えば400平方フィート(約37.2平方メートル)のスタジオ(ワンルーム)で20万ドル(約2280万円)、600平方フィート(約55.7平方メートル)のワンベッドルームユニットで25万(約2850万円)ドル、1200平方フィートの寝室が3つある住居で最大50万ドル(約5690万円)という設定だ。

いささか驚くべきことに、基礎工事が完了すれば30日間以内の建設と設置が可能でなり、同社が当初顧客に約束する120日という期間より短縮されるという。

また、必要な許可が得られない場合は100%の返金保証を提供する他、構造に関する生涯保証と、それ以外については1年間の保証を設けている。

これらの建物は「腐食することはありません」とリバス氏。「シロアリに食べられることもないでしょう」。一方、顧客が新しいエアフィルターを必要としている場合は「私たちが交換します」。

トロントで育ったリバス氏は、大学で建築学を学んだ後、Coverを設立する前に短期間、複数の建築会社を渡り歩いた。SpaceX(スペースX)とTesla(テスラ)のエンジニアをこのミッションに引き寄せることができたことを誇りに思っているリバス氏は、今週初めに交わした会話の中のさまざまな場面で、Coverのプロセスをこの自動車メーカーのプロセスになぞらえた。

類似点を見出しているのは同氏だけではないようだ。Coverは2021年10月下旬に、Gigafund(ギガファンド)が主導するシリーズBラウンドで6000万ドル(約68億円)を調達したことを発表した。Gigafundは、SpaceXに大きく賭けた2人の元Founders Fund(ファウンダーズ・ファンド)投資家によって設立された投資会社だ。

今回のラウンドには、Valor Equity Partners(バロー・エクイティ・パートナーズ)とFounders Fundが参加しており、どちらもSpaceXとTeslaの初期投資家でもある。他にも、General Catalyst(ジェネラル・カタリスト)、Lennar(レナー)、Fifty Years(フィフティ・イヤーズ)、AngelList(エンジェルリスト)の共同創業者Naval Ravikant(ナバル・ラヴィカント)氏、Lowercase Capital(ローワーケース・キャピタル)の創業者Chris Sacca(クリス・サッカ)氏、Marathon Asset Management(マラソン・アセット・マネジメント)のCEOであるBruce Richards(ブルース・リチャーズ)氏、Dropbox(ドロップボックス)の共同創業者Arash Ferdowsi(アラシュ・ファダウシ)氏など、著名な投資家が多数名を連ねている。

確かに、全国的な住宅と建設の不足を考えると、Coverが建設しているものへの需要は少なくない。実際、Coverのセールスチームについて尋ねられたリバス氏は、非常に多くのインバウンド関心があり、現在「1人の時間の3分の1がセールスに費やされている」と述べている。

人々がどのようなものを注文しているかについて、リバス氏は同社の顧客の傾向を次のように語っている。引っ越してくる家族(年老いた親や大学から戻ってくる子ども)を受け入れるため、自宅とは別にホームオフィスを作るため、あるいは賃貸収入を増やす方法を確立するため、という目的が多くを占めるという。

さらに、これまでに建設した約20軒の裏庭つき住宅に加えて、現在総額7500万ドル(約86億円)を調達している同社は、大規模な複数階建て住宅と複数世帯向け住宅の建設を始める意向を強く抱いている。

現在稼働している2万5000平方フィート(約2322.6平方メートル)の倉庫から、10万平方フィート(約9290平方メートル)の工場に移転することで、さらに多くのパネルを生産できるようになるとリバス氏は話す(そこに6000万ドルの一部が注ぎ込まれている)。

実際、すべてが計画どおりに進めば、近いうちに既存の顧客でも、すでに購入した家をCoverアプリを使って容易に拡張できるようになるという。同氏の話を聞くと、それは簡単なことのようだ。

「アプリを起動して、追加したい部屋をクリックし、予約して、オンラインで支払いをすれば、2〜3日でリノベーションが完了します」。

これはElon Musk(イーロン・マスク)氏がその名を馳せる、一種の開幕戦のようなものだ。さて、Coverがうまくやり遂げるかどうか、注目してみたい。

画像クレジット:Cover

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

家庭の電力利用をよりスマートにすることを使命とするSpan、新しいEV充電器Span Driveをリリース

エアコンや洗濯機、乾燥機などの電化製品が家庭で主役を務めた時代は終わった。最近は、EV(電気自動車)充電器、太陽光発電パネル、蓄電ソリューションなどにより、家庭の電力利用状況はますます複雑度を増している。Spanは、そうした状況にスマートさを組み込もうとしている会社の1つだ。同社がこのたびリリースしたSpan Driveは、さまざまなルールに基づいてEVをさらにパワフルな存在にするEV充電器だ。

米国の家庭はますます電化が進み、とりわけ最新の電化製品は古い設計の家では想定されていないような大量の電力を消費する。エアコン、ヒーター、ヒートポンプ、給湯器、洗濯機、乾燥機、電気コンロ、電気オーブン、EV充電器、蓄電装置などは、多大な電力を消費する可能性がある。それに加えて、ソーラーパネルを設置する家庭が増えたため、大量の電力が家庭に入ってくるようになった。こうした状況の中、米国家庭の電力状況は複雑度を増し、電力を大量消費するようになっているが、実際には、こうした電化製品をすべて同時に使用することはまずない。これは、最近の電子設計が直面している難題である。つまり、家庭に送電網から送電されてくる電力が最大100Aで、家庭にある電化製品の消費電力の合計が180Aであっても、実際にはそれらの電化製品をすべて同時に使用することはおそらくない。問題は、一時的に、すべての電化製品の電源を同時にオンにした場合、少なくともブレーカーが上がるまでは、電力会社にとって厳しい状況になるという点だ。

Spanはこうした問題を解消してくれる。Spanは5月に、家庭用スマートブレーカーパネルをリリースし、その数カ月前に2000万ドル(約22億8000万円)の資金調達ラウンドを発表した。同社はこのたび、500ドル(約5万7000円)のEV充電器Span Driveをリリースし、それに合わせて、3500ドル(約40万円)のブレーカーパネルは、今家庭で最大の電力を消費する装置である電気自動車向けにスマート性能が強化された。

「当社は、家庭でアンペアを100から200、200から400に上げる際のコストや時間をかけることなく、電化製品を追加し続けることができるようにしたいと考えています」とSpanのCEO Arch Rao(アーチ・ラオ)氏はいう。

「ブレーカーパネルをアップグレードするというより、家庭内の電化製品の使われ方を基本的に考え直して、電源管理を改善し、クリーンエネルギーと電化製品の統合を強化したいと考えています。従来のブレーカーパネルは安全装置としては大変優れていました。家庭に入ってきた電気はこのパネルを経由して家庭内の各装置と回路に分配されます。回路の動作状況が危険なレベルに達すると、回路は遮断されます。これがブレーカーの仕事であり、その仕組みは約100年間進歩していません。つまり、受動的な安全装置として機能しているのです」とラオ氏は説明する。「ブレーカーパネルが設置されている場所こそ、まさしくイノベーションが必要な場所です。ブレーカーパネルはグリッドと家庭内のすべての電化製品の交差点に位置しています。電化製品だけではなく、ソーラーシステム、電気自動車、蓄電システムなども、ブレーカーパネルに接続されています。当社が開発した新しいパネルは、グリッドと安全に遮断または再接続するための装置であるという点で、単なる安全装置としての機能よりもはるかに多くの仕事をします」。

グリッドとの接続とグリッドからの遮断は、グリッドに依存して生活している人たちにとって重要な点だ。家庭を、少なくとも電気的には、島に変えることができるというのが、将来的な観点から見たときのSpanのシステムの興味深い点の1つだ。また、Spanのパネルを使用すれば、停電時に従来よりも長く自力で電力を供給できる。蓄電ソリューションが設置されている家庭では、このパネルはよりスマートに動作する。停電を検出すると、不要な電気製品の電源が落とされる。例えばサーモスタットをオフにして、食品が腐らないように冷蔵庫や冷凍庫をできるだけ長く稼働させる。

Span Driveはしゃれたデザインの低価格EV充電器で、Span製パネルの機能を拡張する(画像クレジット:Span)

このシステムはアプリで制御できる。このアプリで家の電気の使い方に関する「ルール」を設定できる。例えば太陽光発電でまかなえるときだけエアコンを稼働するよう選択できる。48Aを電気自動車に接続して高速充電するよう選択する場合は、他の大量に電力を消費する電化製品の電源を落として、総電力消費量を100A以下に抑えるようにする。逆のケースもある。つまり、できるだけ高アンペアで高速充電しているときに、乾燥機、エアコンが同時に稼働し、電気オーブンと電気コンロで料理を始めると、Span Driveは充電に使用する電流を下げ、子どもたちが食事を済ませ、衣類がすっかり乾いてみんなでハグできるようになったら元に戻す。

あるいは、電気自動車の充電を太陽光発電でのみまかなうようSpan Driveをプログラムすることもできる。Tesla(テスラ)のオーナーは信号待ちから静かに発信させてフェラーリを抜き去りたいといつも考えているようだが、Span Driveのこの機能でそうしたオーナーの自己満足度は何倍にもなるに違いない。

もちろん、Spanのパネル自体から回路をオン / オフすることもできるが、このパネルは各回路に分配されている電力量を把握しているため、家電製品が増えてもより細かい制御が可能になる。これにはおそらくAmazon(アマゾン)のアイデアも一部入っているのだろう。アマゾンはSpanの最近の投資ラウンドに参加し、Alexaとの互換性を実現することも発表した。

ある意味、Spanは、従来家庭内でスマートさを欠いていた部分に多くのスマートな機能を組み込んだように感じる。電力はそのままではローテクだが、電化製品のスマート性が向上し、IoTの波が日常的に使う多くの電化製品にまで押し寄せる中、Spanは家庭全体に、マイクログリッドを構築しているように思われる。それは、孤立したゾーンであり、まだ誰も使い方を知らない強力な機能を備えている。SpanのCEOもその点を認識しており、同社は家庭の未来の争奪戦の真っ只中にいることに同意する。

「ブレーカーパネルには、他のどんな製品にもない永続性があります。今後30年は、現在と変わらず壁に設置されたままでしょう。もちろん、将来を見据えた設計についても考えています。現在当社が提供している機能は、競合他社が提供するどのような機能とも一線を画すものです。未来に重点を置くことで、現行のさまざまなソリューションを基本的な部分で凌駕していると思います」とラオ氏は話す。

画像クレジット:Span

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Dragonfly)

Ultraleapの空中触覚技術はメタバースのインターフェースになる、テンセントが約93.5億円のシリーズDに参加

UltraleapのCEOであるトム・カーター氏とCFOのChris Olds(クリス・オールズ)氏(画像クレジット:Gareth Iwan Jones

いまはUltraleap(ウルトラリープ)となった会社が、超音波で触覚を再現するその先駆的技術をTechCrunch Disruptで披露したのは、2017年にさかのぼる(当時の名前はUltrahaptics)。印象的な「スター・ウォーズ」のデモンストレーションが観客を魅了した。

そのデモは見ものだった(下の動画参照)。この技術は、その発明者であり現在もCEOを務めるTom Carter(トム・カーター)の大学院での研究に基いている。Ultrahapticsはその後、2300万ドル(約26億2000万円)の資金を調達し、自動車メーカーが興味を持つようになった。その後、大きな注目を集めていたLeap Motionを吸収したがハンドトラッキング空中ハプティクス(空中触覚)の組み合わせはすばらしいものであることがわかった。

今回Ultraleapが、Tencent(テンセント)、British Patient Capitalの「Future Fund:Breakthrough」、CMB Internationalらが主導した8200万ドル(約93億5000万円)のシリーズD調達を行った。また、既存の株主であるMayfair Equity PartnersとIP Group plcも参加した。

UltraleapのCEOであるTom Carter(トム・カーター)氏は、Facebookなどの企業によるVRベースの「メタバース」に関する最近の話題や、パンデミックによってもたらされたタッチレスインターフェースへの移行が今回の資金調達に貢献したとコメントしている。

彼はいう「メタバースという概念は、Ultraleapにとっては新しいものではありません。フィジカルな世界とデジタルな世界の境界を取り除くことは、常に私たちの使命でした。パンデミックの影響で、物理的な世界をデジタル要素で強化することの重要性を理解する人が増え、この言葉がさらに台頭したのです。Ultraleapにとっては、この新しい時代はVRヘッドセットに限定されるものではありません。インターネットのように、家庭、オフィス、車内、公共の場など、生活のあらゆる場面で私たちが接することになる現実なのです。今回のシリーズD調達の目的は、主なインターフェースである手への移行を加速することです。なぜなら、誰もが思い描くメタバースの中には、物理的なコントローラ、ボタン、タッチスクリーンがないからです」。

Ultraleapの第5世代ハンドトラッキングプラットフォームGemini(ジェミニ)は、明らかに多くのデバイスへの適用を意識している。実際、Qualcomm(クアルコム)のSnapdragon(スナップドラゴン)XR2チップセットや、Varjo(バルジョ)VR-3およびXR-3ヘッドセットなど、複数のプラットフォームやカメラシステム、サードパーティのハードウェアにすでに組み込まれている。

Ultraleapの計画では、GeminiをさまざまなOSに対応させ、ツールや研究開発への投資を増やし、開発者が技術をどのように応用するかについて、想像力を膨らませることができるようにすることを目指している。

このタッチレス技術の重要な推進力の1つは、もちろん「グレートパンデミック」だ。もう何かに無防備に触れたいと思うひとなどいなくなったのではないだろうか?

そのため、ペプシコやレゴなどの企業が、すでにUltraleapの技術をパブリックインターフェイスに採用している。

そして2017年にも示唆されたように、自動車メーカーは「車内での体験」を現実のものにしようとしている。Ultraleapは、すでにDS Automobiles(DSオートモビル)やHosiden(ホシデン)と協力して、新たな空中ハプティック体験を提供しようとしている。

カーター氏は電話でこれらの動きについて話ながら、VRベースのメタバースの中で機能するユーザーインターフェースの可能性が、Ultraleapの技術のビジョンであると説明した「確かにメタバースは今とても話題になっていますが、実際にそこで語られているのは、私たちが目指していること、すなわち人間とバーチャルコンテンツの間にある障壁を取り除くことなのです。

今回の資金調達は、私たちがターゲットとするすべての市場において、すべての人が自分の手を使った最適なインターフェースに移行できるようにするためのものなのです。XRに関してはGeminiを発売しましたが、ここ数週間で新世代のハンドトラッキングは大絶賛されています。いまこそ、大きく拡大をするべきタイミングなのです。ペプシコの導入例では、好ましいとしたユーザーが85%に達し、注文を終了するまでの時間ではタッチスクリーンと同等でした」。

そして、自動車だ。彼は「UXは新しい推進力です」という。「私たちは今でも車を運転していますが、車内での体験にもっと焦点を当てようとしています。仕事をしているのか、楽しんでいるのか、あるいはその他のメタバースに似た活動を車内で行っているのか、などです」。

彼によれば、道路から目を離さなければならないタッチスクリーンではなく、空中に置かれたインターフェースを使用することで、安全面で非常に大きなメリットがあることがわかったそうだ「ドライバーが道路から目を離す回数が減ることで、ドライバーの精神的な負担が約20%軽減されるのです。こうしたインターフェースに移行することで、より安全な運転ができるようになります。そして、一旦そのインターフェースを手に入れ、みんながこの方法で対話することに慣れれば、未来の世界への移行が容易になります」。

以下が2017年のデモの様子だ。

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(文: Mike Butcher、翻訳:sako)

30cm下の土壌を調査し、栄養素や微生物といった実際の畑の化学的特性把握を支援するEarthOptics

ここ数十年の間に、持続可能で効率的な農業は、巨大なトラクターの問題からビッグデータの問題へと変化してきた。スタートアップのEarthOptics(アースオプティクス)は、精密農業の次のフロンティアは土壌の奥深くにあると考えている。同社は、ハイテク画像処理技術を用いて、従来の技術よりも早く、より正確に、より安く、農地の物理的および化学的組成をマッピングできると謳い、そのソリューションを拡大するために1000万ドル(約11億円)を調達した。

EarthOpticsの創業者でありCEOのLars Dyrud(ラース・ダイルード)氏は「土壌をモニタリングするほとんどの方法は、50年間変わっていない」とTechCrunchに語る。そして「農業における精密データや最新のデータ手法の利用については、非常に多くの進歩があった。しかし、その多くは植物や季節的な作業に焦点を当てたもので、土壌に対する投資は比較的少なかった」と続ける。

植物が根を張る土壌をより詳しく調べるのは当然だろうと思うかもしれないが、単純な事実としてそれは難しいことだ。航空写真や衛星写真、IoT技術を組み込んだセンサーが水分や窒素などを検出し、農地の表面レベルでのデータは非常に豊富になった。しかし、1フィート(約30センチメートル)より深くなると簡単にはいかない。

同じ畑でも部分ごとに、作物の出来に大きな影響を与える土壌圧縮などの物理的特性や、溶解している栄養素や微生物叢などの化学的特性のレベルが大きく異なる場合がある。こういった違いを調べるための最善の方法は「非常に高価な棒を地面に突き刺すこと」だとダイルード氏はいう。それらのサンプルから得られるラボの結果によって、畑のどの部分を耕したり肥料を与えたりすべきかを判断する。

画像クレジット:EarthOptics

棒による調査は重要であり、農場では今も行っているが、数エーカー(数千平方メートル)ごとに土壌サンプルを採取することは、1万エーカー(約40平方キロメートル)もの土地を管理する場合では、大変な作業となってしまう。そのため、データが得られない多くの農場では、すべての畑を耕し肥料をまき、何のメリットもない、むしろ有害なプロセスに多額の費用を投じている(ダイルード氏は、米国では約10億ドル[約1100億円]もの費用をかけて不必要な耕作を行っていると推定している)。そしてこれは、地中に安全に封じ込められていた大量の炭素を放出してしまうことにもなる。

画像クレジット:EarthOptics

EarthOpticsは「高価な棒」に相当する部分を最小化することで、根本的により優れたデータ収集プロセスを目指している。同社は、地中探知レーダーと電磁誘導を利用した画像処理システムを構築し、土壌深部の組成地図を作成している。1つのサンプルから何エーカー(何千平方メートル)ものデータを推定する方法に比べ、より簡単で、より安く、より正確なものだ。

GroundOwl(グラウンド・オウル)とC-Mapper(シーマッパー、Cはcarbon[炭素]の頭文字)という同社の2つのツールでは、機械学習がその中核をなしている。同社のチームは、非接触データを通常よりはるかに低いレートで採取された従来の土壌サンプルと照合するモデルを学習させ、従来よりもはるかに高い精度で土壌の特性を正確に予測できるようになった。画像処理装置は、通常のトラクターやトラックに搭載可能で、数フィート(数十センチメートル)ごとに測定値を取得する。物理的なサンプリングは継続して行われるが、その頻度は数百回から数十回のレベルに低減した。

現在の方法では、何千エーカーも(何十平方キロメートル)の農地を50エーカー(約20万平方メートル)ごとに分割し、この区画にはもっと窒素が必要だとか、この区画は耕す必要があるとか、この区画にはあれこれの処理が必要だとかいったことを考える。EarthOpticsは、それをメートルの単位にまで細分化し、そのデータを、耕す深さを変えられるスマート耕運機のようなロボット化された農業機械に直接供給することができる。

画像クレジット:EarthOptics

畑に沿って走らせると、必要な深さだけ耕して進んでいく。もちろん、誰もが最新の農業機械を持っているわけではないため、データは、より一般的な地図として、耕したり他の作業を行ったりする時期など、ドライバーに一般的な指示を提供することもできる。

このアプローチが軌道に乗れば、コストダウンを目指す農家にとっては大きな節約になり、規模拡大を目指す農家にとっては、農地面積や耕作費用に対する生産性が向上することになる。そして最終的なゴールは、自動化やロボット化された農業を実現することでもある。この移行は、機器や運用方法を練り上げている初期段階ではあるが、いずれにしても必要となるのは優れたデータだ。

ダイルード氏は、EarthOpticsのセンサーシステムが、ロボット化されたトラクターや耕運機などの農業機械に搭載されることを期待しているが、同社の製品は、データと何万回もの現地調査での実測値を用いてトレーニングした機械学習モデルに他ならない、と述べている。

同社の1030万ドル(約11億3000万円)のシリーズAラウンドでは、Leaps by Bayer(リープス・バイ・バイエル、複合企業バイエルのインパクト投資部門)がリードし、S2G Ventures(S2Gベンチャーズ)、FHB Ventures(FHBベンチャーズ)、Middleland Capital(ミドルランド・キャピタル)のVTC Ventures(VTCベンチャーズ)、Route 66 Ventures(ルート66ベンチャーズ)が参加した。今回の資金調達では、既存の2つの製品の規模を拡大するとともに、明らかにすべての農場が関心を示すであろう次の製品、水分マッピングに着手する予定だ。

画像クレジット:EarthOptics

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

モバイルバッテリーシェアリング「ChargeSPOT」を手がけるINFORICHが累計108億円の資金調達

モバイルバッテリーシェアリング「ChargeSPOT」(チャージスポット。Android版iOS版)を展開するINFORICH(インフォリッチ)は11月18日、59億円の資金調達が完了し、累計総額は108億円になったと発表した。引受先は、MRA Investments、SBSホールディングス、NEXTBLUE1号投資事業有限責任組合、ネクストユニコーン第2号投資事業有限責任組合、P&Eディレクションズなど。調達した資金により、ChargeSPOT事業をさらに強化する。

INFORICHは、2018年4月よりChargeSPOTを提供。現在では、日本全国約3万台、台湾約4300台、香港約3000台、タイ約1000台(2021年11月時点)の設置が完了しているという。国内において年内3万5000台、2022年に6万台、2023年に10万台と設置を拡大し、日常生活には必要不可欠な生活インフラ化を目指すという。

ChargeSPOTでのレンタル方法は、LINE・d払い、PayPay・au PAYなど各種ChargeSPOT対応アプリでバッテリースタンドのQRをスキャンするだけでOK。また、対応アプリで自宅や職場など近所のバッテリースタンドを探してバッテリーを借り、別のバッテリースタンドに返却することもできる。

モバイルバッテリーシェアリング「ChargeSPOT」を手がけるINFORICHが累計108億円の資金調達

ドラレコの映像からリアルタイムの都市のデジタルツインをつくるNexar

スマートドライブレコーダーで知られるNexarが、Qumra CapitalがリードするシリーズDのラウンドで5300万ドル(約60億4000万円)を調達した。その資金の一部は、クラウドソーシングで一般から提供されたドライブレコーダーの映像から作られ、自動車のOEM各社や都市に提供される、同社の「デジタルツイン」サービスの拡張に充てられる。

このラウンドにはState Farm VenturesやCatalyst、Banca Generali、Valorおよび以前からの投資家であるAtreides Management、Corner Ventures、Regah Ventures、Alephが参加している。

「Nexcarを始めたときから、物理的世界のGoogleになるというビジョンを持っていました。その後、多くのマシンやアルゴリズムが世界に関するデータを必要とするようになり、いずれビジョンどころか必要になると信じています」とNexarのCEOであるEran Shir(エラン・シール)氏は述べている。

Nexarのプロジェクトへの本格的な取り組みは、2019年に立ち上げた「Live Map」で始まった。サービスは、道路のリアルタイムの映像を提供し、コンピュータービジョンを使って工事や標識などの特徴をユーザーに教える。その後Nexarは、このサービスが提供する情報の層や特徴を増やしていった。2015年に創業された同社は、今では毎月1億5000万マイル(約2億4000万km)の道路映像を所有している。

今度の資金はデータの利用しやすさの向上と、ドライブレコーダーからの映像の更新サイクルを数秒に短縮して事故や道路陥没などをすばやく見つけることに使われる。たとえば、ネバダ州南部地方交通委員会はNexarのCityStreamプラットフォームを利用して、工事現場とその前後の交通量を減らしている。

また、シール氏によると、その特徴検出能力により、災害時の道路状況を早く把握可能、冬季には除雪済みの道路がわかるという。

都市行政だけでなく、この映像は自動車企業にも役に立つ。「あなたが自動車関連のOEMなら、Nexar CityStreamの『Autopilot or Supercruise(自動操縦または超高速走行)』を有効にして、障害物や事故や工事などがまったくない、長い道路区間を知ることができる。逆に工事があるときは、終了時にそれらの機能を再有効にできる」とシール氏。

Nexarのデータは、例外的な現象や衝突、異常な道路状況などを見つけられるため、自動運転車のシステムで使われるAIのモデルの訓練にも利用できる。

さらにシール氏は「3年から5年後の自動車がどうなってるか考えると、どれも自律性が極限まで達しているでしょう。そうなると、新しいタイプの地図が必要なはずです。私たちがこれから進んでいく未来には、Googleマップのような地図はもはや役に立たないでしょう」という。

画像クレジット:Nexar

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hiroshi Iwatani)

新型コロナで注目が集まるアウトドア、トレイル用アプリのAllTrailsが約171億円を調達

新型コロナウイルス感染症の影響での利用増を受け、ハイカー、バイカー、クライマーなどアウトドアを楽しむ人々の間で人気のAllTrails(オールトレイルズ)は米国時間11月17日、事業をさらに加速させるべく、世界的なプライベートエクイティ企業であるPermiraのグロース・ファンドから1億5000万ドル(約171億円)を調達したと発表した。先行投資家であるSpectrum Equityは、今回の調達後も引き続き同社の筆頭株主だ。

多くの企業がそうであるように、AllTrailsもパンデミックが消費者の行動に与えた影響の恩恵を受けた。ロックダウンやソーシャルディスタンシングの措置が取られる中、多くの人々がアウトドア探索や自然との触れ合いに再び興味を持つようになり、どこへ行こうか検討するのにAllTrailsが提供する30万超のハイキング、ランニング、マウンテンバイク用トレイルの広範なコレクションに目を向けた。

「新型コロナは、我々が何年も前から見てきた傾向を加速させるものでした」とAllTrailsのCEOであるRon Schneidermann(ロン・シュナイダーマン)氏は説明する。「パンデミック以前から、世界人口の約3分の1が何らかのアウトドアレクリエーションを定期的に行っていました。そして世界のほとんどの国で、レクリエーションやエクササイズのために歩くことが圧倒的に人気のアクティビティとなっています。トレイルランニングやマウンテンバイク、キャンプやバックパッキングなどを加えると、その数はさらに増えます」。

過去18カ月でAllTrailsモバイルアプリのユーザー数は増加し、現在190カ国で4000万回以上ダウンロードされ、ユーザー3000万人が登録している。1億人以上のユーザーがここ12カ月でAllTrails.comにアクセスしてトレイルを探した。同社は通常、売上高や有料会員数を継続的に開示していないが、1月には有料会員数100万人突破のマイルストーンを祝った。

新型コロナによるロックダウンは(今のところ)ほぼ終了したが、AllTrailsへの需要は衰えていない、と同社は話す。

「世界が再び開かれるにつれ、アウトドアとのつながりが持続しているのを目の当たりにしています」とシュナイダーマン氏はいう。「このアウトドアへの固執はアプリの使用率と頻度に現れており、登録率、ユーザー生成コンテンツの貢献率、フリーミアムへの転換率、購読者の維持率が全体的に向上しています」とも話す。

しかし、AllTrailsは資本を調達する必要はなく、2017年から利益を上げている。むしろ同社は、既存の勢いを加速させるために、新たな資金投入を選んだ。調達した資金は、製品開発、AllTrailsチームの増強、国際的なコミュニティの拡大に使用される。

現在、AllTrailsユーザーの約3分の2は北米居住だが、欧州、アジア、ラテンアメリカでも高い成長率が見られる。

また、シュナイダーマン氏によると、2021年は3年連続で従業員を2倍に増やす予定で、これは主にR&Dと製品開発への投資によるものだ。現在、エンジニアリング、デザイン、財務、オペレーション、プロダクトなどの分野で人材を募集している

画像クレジット:AllTrails

AllTrailsのアプリは現在、検索、発見、レビュー、そしてオフラインでも使える広範な地図を提供しているが、2022年にアップグレードされる予定だ。

差し当たってこのアプリは、トレイルのレビューや写真といったユーザー生成コンテンツを提供しているものの、ソーシャル性よりも実用性を重視している。例えば、雨が降った後にトレイルがぬかるんでいないか、小さな子どもと一緒にハイキングするには急勾配すぎないか、週末には混雑していないかなど、ユーザーが投稿することで、他のユーザーはレビューから恩恵を得られる。一方、投稿されたトレイルの写真を見れば、そのトレイルがどんなものか、どんな景色が待っているのかを知ることができる。しかし、AllTrailsのユーザーの多くは、ハイキングやサイクリングに行く場所のインスピレーションを得るために、Facebookグループのような他のネットワークを利用している。

今回の資金調達により、AllTrailsは自社製品への投資を計画しており、今後1年で、無料・有料を問わずコミュニティのつながりを深めることを目的としたさまざまな新機能を提供していく予定だ。

「我々は、パーソナライゼーションによる検索・発見体験の向上、トレイル上でのナビゲーション体験の向上、追加言語サポートによる世界中のユーザーへのアクセスの拡大、そしてコミュニティが交流し、経験を共有し、お互いに刺激し合うためのより多くの方法を作り出すことに、大きなチャンスがあると考えています」とシュナイダーマン氏は話す。

Klarna、Minted、Zwiftなどを支援し、最近ではMcAfeeの買収にも貢献したPermiraについては、AllTrailsのグローバルでの事業活動を拡大する上で特に役立つと同社は考えている。

「継続的な海外事業拡大は当社にとってかなりの優先事項であり、Permiraがもたらすグローバルなリソースの活用に特に期待しています」としている。

今回の資金調達に伴い、PermiraのシニアアドバイザーでAdobeの元CEOであるBruce Chizen(ブルース・チゼン)氏と、RobinhoodのCOOであるGretchen Howard(グレチェン・ハワード)氏がAllTrailsの取締役会に加わる。

AllTrailsは2018年10月にSpectrum Equityから7500万ドル(約85億円)を調達している。

画像クレジット:Christoph Wagner / Getty Images under a license.

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

開発者が適切な機械学習モデルを見つけられるようにするCatalyzeXが約1.9億円調達

電気自動車の駆動用などで需要が高まるネオジム磁石、NIMSが最小限の実験と機械学習による最適な製作条件の予測に成功

機械学習の利用が爆発的に増えている今日では、モデルの数もたいへん多く、デベロッパーは選択に苦労している。Googleで検索しようとしても、それは機械学習のモデルを検索するために設計された検索エンジンではない。そこで、CatalyzeXが登場した。それは、デベロッパーが抱えるデータにもっとも適したモデルを見つけるのを助けてくれるだけでなく、単純なインターフェースでそのコードへの直接のリンクを提供する。

このアーリーステージのスタートアップが米国時間11月16日、164万ドル(約1億9000万円)のシードラウンドを発表した。Unshackled Ventures、Kepler Ventures、On Deck、Basecamp Fund、Abstraction Capital、Unpopular Ventures、Darling Venturesそして多くの業界のエンジェルたちが参加している。

同社の共同創業者である2人の兄弟、Gaurav Ragtah(ガウラヴ・ラグタ)氏とHimanshu Ragtah(ヒマンシュウ・ラグタ)氏は、すでに大量の研究が為されていることを見て、デベロッパーが現在、持っているデータと目的に最もふさわしいモデルを容易に見つけられるためのツールを作ろうと思い立った。

CEOのガウラヴ・ラグタ氏によると「私たちが作ったプラットフォームは、特定のユースケースに適したさまざまなテクニックと利用可能なモデルをすべて簡単に検索して、ワンクリックでそのコードへジャンプできる。これまでのように『良いテクニックを見つける』ことと、『それを実際に実装しているコードを見つける』ことの間にある苦労を少なくします」という。

CatalyzeXの検索結果ページ(画像クレジット:CatalyzeX)

目的に応じて最適を発見する、それは、どんなタイプの調査にもいえることだが、若きスタートアップである彼らが機械学習に集中したのは、応用範囲が極めて広いからだ。このようなプラットフォームを構築する経験を通じて彼らは、どのユースケースにはどんなタイプの調査研究が最も適切かを知り、ユーザーにとってもっとも適切なものを自動的に浮かび上がらせる。

同社の各週のアクティブユーザーは3万ほどだが、ユーザーの研究調査のタイプとそれに適したモデルを正しく精密にマッチングできるためには、いわゆる臨界質量に達することが必要だ、と彼らも知っている。そこで当面彼らは、そのツールに組み込んだ技術、たとえばクローラーとかアグリゲーターなどを利用して、そのプロセスをより活性化している。

兄弟は、1940年代後期に英国がインドとパキスタンを分割したときの難民たちのためのニューデリーの地域で生まれ育った。祖父母たちがそこに入植し、最初はテント生活だったがやがて家を建てた。ガウラヴ氏は2009年に奨学金で渡米し、その後、ヒマンシュウ氏も後を追った。2人は米国のテクノロジー企業に就職し、機械学習のプロジェクトで仕事をした。そして、そこで見た調査研究の問題点から、それらを解決するソリューションとしてCatalyzeXを着想した。

現在、社員は彼ら2人だけだが、そのアイデアが実を結ぶことを期待して人を増やし、ツールを構築していくつもりだ。彼ら自身の出自からして、雇うのはマイノリティの人たちにしたいと考えている。

「ありとあらゆる背景を抱えた人たちと仲良くしたいといつも努力をしてきましたが、人を雇うという話ならそのための求人求職パイプラインで、多様なバックグラウンドの人びとを見つけるしかありません。ベストの人材を多様なバックグラウンドから見つけられなかったら、それは私たちにとっての不利になります」と彼は言っている。

同社のウェブサイトからツールにアクセスできる。また、ChromeとFirefox用のブラウザーエクステンションもある。

画像クレジット:Jonathan Kitchen/Getty Images

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(文:Ron Mller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Racketは発見されやすい99秒のマイクロポッドキャスト作成・配信アプリ

誰もが同じポッドキャストを聴いているような気がするとしたら、それはおそらく偶然ではない。音声ベースのエンターテインメントやソーシャルメディアは現在、かつてないほどの人気を博しているが、この媒体はいまだに、どうやってリスナーに見付けてもらうかという問題に悩まされている。ヒットしたポッドキャストが人気を博し、そのメディア帝国を拡大して、有名ブランドとの契約を獲得する一方で、新進気鋭の番組が聴取者を見つけることは難しい。

Racket(ラケット)は、そんな問題を解決したいと考えている。App StoreでiOS版が公開されているこのアプリは、すべて99秒以内の音声作品を、TikTok(ティックトック)のような縦方向のフィードでエンドレスに提供する。誰でも簡単に録音した音声をアプリ内で編集し、関連するタグを組み合わせ、カバー画像を追加して公開することができ、そのプロセスには1分もかからない。

同社はこの度、Greycroft(グレイクロフト)、Foundation Capital(ファウンデーション・キャピタル)、LightShed Ventures(ライトシェド・ベンチャーズ)などの投資家から、300万ドル(約3億5000万円)のプレシード資金を調達したことを発表した。YouTube(ユーチューブ)チャンネル「LaurDIY」のLauren Riihimaki(ローレン・リヒマキ)氏、Jason Calacanis(ジェイソン・カラカニス)氏、Steve Schlafman(スティーブ・シュラフマン)氏などのエンジェル投資家も出資している。Racketはこの資金を、エンジニアの増員、デザインの微調整、信頼性と安全性に関するリソースの拡大に充てる予定だ。

Racketのチームは以前、ソフトウェアレビュー会社のCapiche(カピチェ)で2019年から一緒に働いていた。Capicheが2021年4月にSaaS購入プラットフォームのVendr(ベンダー)に売却された後、チームはそのまま残って音声を使った実験を始め、Racketを作り上げた。

RacketのAustin Petersmith(オースティン・ピータースミス)CEOは、ユーザーが作成する音声コンテンツの未開発の可能性を信じている。TechCrunchとの対談で、ピータースミス氏はポッドキャストを他のジャンルのコンテンツ制作と比較し、「1億人がTikTokで動画を作成しているのに、現時点では100万人しかポッドキャスティングしていないことを考えれば、音声コンテンツの分野はまだまだ成熟していない」と主張した。

Racketのチームは、音声コンテンツには参入障壁があり、それがこのメディアの発展を妨げていると考えている。「音声コンテンツを制作する人がごくごく限られているというこの状況は、不思議な感じがします」とピータースミス氏は語る。「新しいポッドキャストが躍進することは不可能に近いのです」。

Racketでは、フォーマットを短く設定し、編集プロセスを非常にシンプルにして、最初からコンテンツの発見を中心に構築することで、この摩擦を減らすことを目指している。音声作品の長さを99秒以下に制限することによって、より多くの人が、長くてきちんと構成されたオーディオショーを作らなければならないのではないかという心配から解き放たれ、単にジョークを言ったり、最近あったことの話などを共有できるようになることを、このアプリは期待している。

「私たちは、人々が不完全でも豪華な機材を持たなくても大丈夫なんだと、もっと感じられるように、敷居を下げようとしました」と、ピータースミス氏は語り、Racketのフォーマットをポッドキャストのツイート版に例えた。

Racketでは、ユーザーは知り合いを見つけてフォローすることもできるが、ほとんどの場合、自分が探しているとは思わなかったものを偶然見つけるところに楽しさがある。ユーザーは関連タグが付いた「Rackets」を検索したり、あるいは単にサイコロを振って出たコンテンツを聴いてみたりすることができる。「私たちは、他の方法では共有されなかったような、本当に面白い洞察力に富んだことを言っている人たちへの流入を増やすことができると信じています」と、ピータースミス氏は述べている。

他のすべてのソーシャルプラットフォームと同様、Racketの成功は、人々がそこで作るコンテンツに懸かっている。このアプリはまだ公開されたばかりだが、テスト期間中には、このフォーマットに興味を持ったコメディアンたちが、お互いに招待し合うという小さなサブコミュニティの発生が見られたという。ピータースミス氏は、このユニークなフォーマットに興味を持った他のコミュニティが、有機的に広めてくれると期待している。

ポッドキャストは、洗濯中や通勤中など、何かをしながら聴くことが多い。しかし、どんなふうに使いたくなるかという点において、Racketにはもう少し能動的な感じがある。そのあたりはやはり、音声のみではあるがTikTokに似た楽しみ方ができる。積極的にスワイプして気になるコンテンツを探したり、コメント欄を眺めたりもできるが、携帯電話をポケットの中に入れたままにして、何が出てくるかわからないフィードを聴き続けることもできる。今のところ、コンテンツはかなりランダムに感じられるだろうが、しかしポッドキャストが長すぎると感じている人には、新たな楽しみとなるかもしれない。

「私たちは、画面をずっと見ていたいと思わない人たち向けのプラットフォームを提供したいと考えています」と、ピータースミス氏は語っている。

画像クレジット:Racket

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ジョブシェアリングの人材をマッチングするマーケットプレイス「Roleshare」が約6300万円を調達

共同創業者、共同CEOのRoleshare – Dave Smallwood(ロールシェア・デイブ・スモールウッド)氏とソフィー・セターレ・スモールウッド)氏、CPOのPolly Howden(ポリー・ハウデン)氏、CTOのAhmad Mousavi(アフマド・ムーサビ)氏

現代の雇用動向や、パンデミックの影響もあり、従来のフルタイム雇用とフリーランスの間のギャップが大きくなっている。いわゆる「ジョブペアリング」は、フルタイムのポジションを2人で分割し、当事者のキャリアの継続性を犠牲にすることなく労働時間を短縮するというものだ。

Roleshare(ロールシェア)は、プロフェッショナル同士をマッチングする人材マーケットプレイスで、2人が1つのフルタイムの仕事に応募して共有することができる。Roleshareは、グローバルなロールシェアリング市場を構築するために、英国のスーパーエンジェル投資家を中心に55万ドル(約6300万円)以上のプレシード資金を調達しており、現在は「大規模な複数セクターの組織」との提携を開始することになった。

同社のアイデアは、企業が優秀な人材を維持すると同時に、新しい人材を獲得することができるというものだ。

Roleshareの共同創業者であり、共同CEOであるSophie Setareh Smallwood(ソフィー・セターレ・スモールウッド)氏は、電話で私にこう語ってくれた。「ジョブシェアリングは、以前から存在していました。女性が仕事に積極的に参加するようになった70年代に普及し始めました。民間企業ではこれまで、子育てとの両立など、限定的な目的で行われてきたことです」。

戦略的な役割を担う上級職は、実際には「パートタイムで働く」ことができないため、ジョブシェアリングが興味深い解決策になると彼女は話してくれた。

「しかし、簡単に解決できるものではありませんよね?2人の人間が一緒になって仕事の責任を分担するというのは、対人関係の要素がありますからね」。

Roleshareは、企業が自社の職務を「ジョブシェア」できるかどうかを調べ、候補者をマッチングすることで、これらを簡単に実現できるとしている。個人が自分の仕事を追加するのは無料(明らかに企業への「トロイの木馬」)だが、企業が追加するのは有料だ。つまり、一部の職務をジョブシェアにしようとしている企業にとって、人材の流動性を提供していることになる。

同社は、ワークライフバランスや仕事上のストレスを軽減することができるため、ジョブシェアをしている従業員はしていない従業員よりも30%生産性が高いという英国の研究結果を引用している。また、企業内の多様性やスキルを高め、ビジネスの継続性を高めることができるという。

「私たちのソリューションは、MIT Sloan Management Reviewで『第3の道』と評されました」とスモールウッド氏はメールで教えてくれた。

また「競合状況は幅広い(タレントマーケットプレイス / フレキシブルワーキング/ ナレッジワーカー+ギグエコノミー)」が「tandemploy(タンドゥエンプロイ)、duome(デュオーム)、jobpairingなどの一部のプレイヤーを除いて、直接的な競合企業はあまり多くありません」と付け加えた。

世界経済フォーラムによると、2027年には労働力の50%がフリーランスになると言われている。MIT Sloan Management Review/Deloitte(デロイト)の調査によると、経営者の約90%が外部の労働者を労働力の一部と考えているという。

また、セターレ・スモールウッド氏は「私たちをユニークにしているのは、私たちのチーム(元PayPal、Facebook、ebay)、そして私たちのストーリーです。Roleshareは、私が必要としていたときには存在していなかったので、それを構築するためにFacebookを辞めました。当社は、企業が社内外で特定の役割を担う人材をペアで調達できる唯一の人材マーケットプレイスであり、当社のプラットフォームは双方の人材をマッチングさせ、共同で応募して役割を共有します。また、人材が自分の既存の仕事をシェア可能な状態で掲載することで、ダイレクトソーシングの形をとることができるのもユニークな点です」。と付け加えた。

Roleshareは、Ian Hogarth(イアン・ホガース)氏、Azeem Azhar(アゼム・アジャール)氏、Gabbi Cahane(ギャビ・キャハーン)氏、Brendan Gill(ブレンダン・ギル)氏、Thish Nadessan(ティシュ・ナデサン)氏など、ヨーロッパの多くのエンジェル投資家が支援している。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ジョブシェアリングの人材をマッチングするマーケットプレイス「Roleshare」が約6300万円を調達

共同創業者、共同CEOのRoleshare – Dave Smallwood(ロールシェア・デイブ・スモールウッド)氏とソフィー・セターレ・スモールウッド)氏、CPOのPolly Howden(ポリー・ハウデン)氏、CTOのAhmad Mousavi(アフマド・ムーサビ)氏

現代の雇用動向や、パンデミックの影響もあり、従来のフルタイム雇用とフリーランスの間のギャップが大きくなっている。いわゆる「ジョブペアリング」は、フルタイムのポジションを2人で分割し、当事者のキャリアの継続性を犠牲にすることなく労働時間を短縮するというものだ。

Roleshare(ロールシェア)は、プロフェッショナル同士をマッチングする人材マーケットプレイスで、2人が1つのフルタイムの仕事に応募して共有することができる。Roleshareは、グローバルなロールシェアリング市場を構築するために、英国のスーパーエンジェル投資家を中心に55万ドル(約6300万円)以上のプレシード資金を調達しており、現在は「大規模な複数セクターの組織」との提携を開始することになった。

同社のアイデアは、企業が優秀な人材を維持すると同時に、新しい人材を獲得することができるというものだ。

Roleshareの共同創業者であり、共同CEOであるSophie Setareh Smallwood(ソフィー・セターレ・スモールウッド)氏は、電話で私にこう語ってくれた。「ジョブシェアリングは、以前から存在していました。女性が仕事に積極的に参加するようになった70年代に普及し始めました。民間企業ではこれまで、子育てとの両立など、限定的な目的で行われてきたことです」。

戦略的な役割を担う上級職は、実際には「パートタイムで働く」ことができないため、ジョブシェアリングが興味深い解決策になると彼女は話してくれた。

「しかし、簡単に解決できるものではありませんよね?2人の人間が一緒になって仕事の責任を分担するというのは、対人関係の要素がありますからね」。

Roleshareは、企業が自社の職務を「ジョブシェア」できるかどうかを調べ、候補者をマッチングすることで、これらを簡単に実現できるとしている。個人が自分の仕事を追加するのは無料(明らかに企業への「トロイの木馬」)だが、企業が追加するのは有料だ。つまり、一部の職務をジョブシェアにしようとしている企業にとって、人材の流動性を提供していることになる。

同社は、ワークライフバランスや仕事上のストレスを軽減することができるため、ジョブシェアをしている従業員はしていない従業員よりも30%生産性が高いという英国の研究結果を引用している。また、企業内の多様性やスキルを高め、ビジネスの継続性を高めることができるという。

「私たちのソリューションは、MIT Sloan Management Reviewで『第3の道』と評されました」とスモールウッド氏はメールで教えてくれた。

また「競合状況は幅広い(タレントマーケットプレイス / フレキシブルワーキング/ ナレッジワーカー+ギグエコノミー)」が「tandemploy(タンドゥエンプロイ)、duome(デュオーム)、jobpairingなどの一部のプレイヤーを除いて、直接的な競合企業はあまり多くありません」と付け加えた。

世界経済フォーラムによると、2027年には労働力の50%がフリーランスになると言われている。MIT Sloan Management Review/Deloitte(デロイト)の調査によると、経営者の約90%が外部の労働者を労働力の一部と考えているという。

また、セターレ・スモールウッド氏は「私たちをユニークにしているのは、私たちのチーム(元PayPal、Facebook、ebay)、そして私たちのストーリーです。Roleshareは、私が必要としていたときには存在していなかったので、それを構築するためにFacebookを辞めました。当社は、企業が社内外で特定の役割を担う人材をペアで調達できる唯一の人材マーケットプレイスであり、当社のプラットフォームは双方の人材をマッチングさせ、共同で応募して役割を共有します。また、人材が自分の既存の仕事をシェア可能な状態で掲載することで、ダイレクトソーシングの形をとることができるのもユニークな点です」。と付け加えた。

Roleshareは、Ian Hogarth(イアン・ホガース)氏、Azeem Azhar(アゼム・アジャール)氏、Gabbi Cahane(ギャビ・キャハーン)氏、Brendan Gill(ブレンダン・ギル)氏、Thish Nadessan(ティシュ・ナデサン)氏など、ヨーロッパの多くのエンジェル投資家が支援している。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)