ユナイテッド航空が100%持続可能な航空燃料に注力するBoomの超音速旅客機15機を購入へ

United Airlines(ユナイテッド航空)は超音速の商業フライトを再び現実のものにしようと注力しているBoom Supersonic(ブーム・スーパーソニック)の初の正式な米国顧客となる。Boomは超音速のサブスケールのテスト航空機を2020年公開し、フルスケールの商業超音速旅客機Overtureの生産を2025年に開始する。そしてフライトテスト、デザインの洗練、認証に数年間かけたのち、商業サービスを2029年に開始する計画だ。

ユナイテッド航空は、同社の「安全、運航、持続可能性の要件」に合うOverture15機の購入に同意し、追加で35機を購入するオプションも持つ。同航空は明らかに、超音速フライトの恩恵に関心があり、移動にかかる時間を半分にすることを狙っている。しかし同社はまたBoomとの取引で持続可能性プロフィールを高めることも目指している。

Boomの目標は、商業サービス開始時からカーボンフットプリントがネットゼロの燃料で飛ぶ初の商業旅客機になることだ。同社は100%持続可能な航空燃料の調達・使用に注力していて、これは持続可能な燃料の生産ソースを開発・改善するために協業している企業との取り決めの一環だ。

ユナイテッド航空は2050年までに二酸化炭素排出のネットゼロ達成に向けて取り組むことを約束し、その一環として持続可能な航空燃料の開発と商業化を加速させるために政府や他の関係者と提携することにも同意している。そのため、Boomとの提携はユナイテッド航空にとって長期的にそうした目標に向けた重要な推進要因となりえる。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:United AirlinesBoom Supersonic超音速機

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

超音速航空機のアエリオンが高速2点間飛行の技術研究でNASAと提携

Aerion(アエリオン)は約10年前から商業超音速飛行の新時代を切り開くために取り組んできたが、その知識を超音速2点間飛行の追求に生かすため、NASAと新たなパートナーシップを締結したことを発表した。これはつまり、地球上のある場所から別の場所へ非常に迅速に移動する人々のために、一般的に宇宙への打ち上げに関連づけられている高速飛行を利用するということだ。

この新たな提携は、基本的にNASAがさまざまな目標を達成するために民間企業の援助を求めることを認める(宇宙法協定)に基づくものだ。

NASAはこれまで長い間、高マッハ、超音速の航空機技術を開発してきた。特にLockheed Martin(ロッキード・マーチン)社と製造・飛行の契約を結んだ「X-59 QueSST」は、超音速機が比較的静かに飛行することができることを示す実証機で、音の壁を破ったときにほとんどの超音速機が発する衝撃波による轟音を回避する、いわゆる「低ソニックブーム」性能を備えている。

NASAは2020年、Virgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)社と宇宙法協定に基づく同様の提携を発表したが、その目的は持続可能な超音速商業飛行の最終的な実現に向けた技術開発を支援することだった。

AerionとNASAとの提携は、特にマッハ3からマッハ5の速度における商業飛行技術を研究することに重点を置き、推進力や熱管理システム、発電、乗客と乗務員がキャビンで使用する技術に焦点を当てることになる。

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Aerion独自の民間超音速航空に対する取り組みとしては、ビジネス顧客向けのプライベートジェット機「AS2」が2023年に生産を開始する予定で、その後に商業用の超音速大型旅客機「AS3」が続くことになっている。

AerionとNASAとの提携は今回が初めてではない。両社は過去に2度、同様のプロジェクトで協力したことがあり、最初の協業は2012年に始まった。Aerionの航空機が生産段階に近づいた現在、米国の商業的に実行可能で持続可能な超音速旅客機技術の開発を支援するというお互いの目標に向けて、双方のパートナーが多くのものを得ることになりそうだ。

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タグ:AerionNASA超音速機

画像クレジット:Aerion

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)