ヘリコプターシェアのAirXが約1.3億円調達、近畿圏の中距離空移動の活性化進める

ヘリコプターのシェアリングサービスを開発・運営するAirXは8月7日、総額約1.3億円の資金調達を発表した。近鉄ベンチャーパートナーズ、マネックスベンチャーズなどを引受先とした、シリーズAラウンドの第三者割当増資となる。

同社は、貸し切りヘリコプターをネットでオーダーできる「AIROS」、ヘリコプターの遊覧プランを予約できる「AIROS Skyview」、ヘリコプターの座席を1席ずつ予約できるシェアリングサービス「CodeShare」などのサービスを手がけている2015年2月設立のスタートアップ。使用頻度が低いヘリコプターや軽飛行機などの小型航空機を、シェアリングや時間貸しにより有効活用し、主に中距離(50km〜500km)の空移動の低価格化を実現する。

今回の第三者割当増資の引き受け先となる、近鉄ベンチャーパートナーズとは事業連携を予定している。近鉄グループが関⻄に所有する交通基盤にヘリポートを設置し、近畿日本鉄道が営業エリアとする伊勢志摩などの観光地に航路を拡大するとのこと。

代表取締役の手塚 究氏は今回の調達額について「現在は資金を突っ込んでいくタイミングではなく、次世代交通の登場を見据えてしっかりと根を張っていく時期だと考えている」とのこと。そのうえで、「まずは都市部から観光地への送客を中心に航路を開発していく」とコメント。

関西には現在、USJ近くの舞洲ヘリポート、八尾空港、京都伏見にあるJPD京都ヘリポートの3拠点があり、近鉄グループやその他の出資元との協業により、伊勢志摩や吉野、高野山、城崎などへの新たな移動手段として活用する計画だ。現在、同社のサービスに登録しているユーザーは4000人ほどで、富裕層が多いとのこと。最近では訪日観光客の需要も高まっているそうだ。

ヘリコプターの時速は100〜200km、高性能なものでも300km程度なので、前述のように航路としては都市部から200km〜300km離れた中距離に位置する観光地が候補になる。ちみに首都圏では、西武ホールディングスとの協業により夏季限定で下田や箱根の航路を運行している。

現在東京には新木場の東京ヘリポートしか拠点がない点については、「赤坂のアークヒルズ屋上にあるヘリポートも利用できないこともないが、着陸料が高く、着陸できる機体にも制限があるので定期運行は難しい」とのこと。都内にある小型飛行場での離着陸についても、騒音などの問題でやはり定期運行実現のハードルは高いそうだ。

その一方で、「現在のヘリコプターが出す騒音は80デシベル以上ですが、静音仕様の機体の開発も進んでいます。今後、自動車並みの騒音レベルである60デシベル程度まで下がってくれば、都市部での稼働も現実味を増す」と手塚氏。墜落などのリスクがあるので周辺住民との協議は必要だが、現在は災害時用に設置されている高層ビルのヘリポートを将来的には普段使いできるかもしれない。手塚氏によると「今後はビジネスジェットやセスナ機のシェアリングも手がけていきたい」とのことだ。