Twitterが「返信を非表示」APIをデベロッパーに公開

昨年11月、Twitterは「返信を非表示」にする機能を全世界に公開した。この機能はオンライントロール(荒らし)が会話を妨害することを防ぐのが主な目的で、ユーザーは自分のツイートに対するどの返信を表示するかを選べるようになる。米国時間2月26日、Twitterは返信を非表示にする機能をデベロッパーコミュニティーにも公開し、ユーザーがツイートへの返信を迅速かつ効率よく非表示にできるツールを開発できるようにした。

この種のツールは、Twitterを活用している企業やブランドが、自分のアカウントへの返信が多すぎて個別には対応が難しい場合などにとりわけ有効だ。新たに返信の非表示APIが公開されたことで、デベロッパーは顧客にとって重要な要因に基づいて自動的に迷惑なツイートを隠すツールをつくることができる。たとえば特定の禁止キーワードを含むツイートや有害なスコアの高いツイートなどだ。

今日の公開に先立ち、Twitterは少数のデベロッパーの協力を得て、新機能を利用したツールをすでに公開している。

Alphabet傘下の会社でウェブの悪と戦っているJigsawは、自社のPerspective APIにTwitterの新機能を統合し、AIを利用してツイートに有害スコアをつける。有害スコアが一定値(.94)を超えた返信は自動的に非表示になり、ユーザーはそれまで手動で選り分けていた時間を有効利用できる。

ビジネスワークフローのためのスクリプティング・プラットフォーム、reshuffleは、新機能を使ってキーワードユーザーに基づいて返信を検出し非表示するスクリプトを開発した。

人気アプリのQuotedRepliesの開発者であるDara Oladosu氏もこのAPIを使ってHide Unwanted Repliesというアプリをつくった。現在同アプリはキーワードまたはTwitterハンドルに基づいて自動的に返信を非表示にする。近々、トロールやボットの可能性の高いアカウントによる返信を非表示にする機能も追加する予定だ。作られたばかりのアカウントのツイートやフォロワーの少なすぎるアカウントなどだ。

返信の非表示はこれまでで最も賛否の分かれるTwitter機能だ。ユーザーが批判を抹殺したり、権利が与えられるべき反対意見を抑止する可能性があるためで、誤情報やプロパガンダに対する異議を非表示にすることなどが考えられる。この機能にオンライン悪行を防ぐ効果はないと指摘する人たちもいる。表向きはなくなっても陰で悪事は行われる。最近ある組織は、返信の非表示をうまく利用してドメスティックバイオレンスが表面化しない理由についてのオンラインキャンペーンを行い、問題点をさらに表面化した。
それでも、返信の非表示の利用は増えており、CIAさえも一部のツイートで利用している。

返信を非表示にする新しいTwitter APIは、今日から全デベロッパーに向けてすぐに使える形で提供が開始される。当初はTwitter Developer Labsを通じて公開される。Developer Labsは昨年スタートしたプログラムで、デベロッパーがTwitterの最新APIを一般公開前に使ってフィードバックを返すものだ。Twitter Developer Labsは無料だが、利用するには認証済デベロッパーアカウントを使ってサインアップする必要がある。Twitterはコミュニティーフォーラムでも、新APIを使って同社に協力するデベロッパーを募っている。

Twitterは初期テスターのフィードバックに基づき、すでにいくつかAPIに変更を加えたと言っている。返信の再表示や大量ツイートの制限増加、返信が非表示にされているかどうかを示すリストを取得する機能などだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Twitterが「返信を非表示」をグローバル公開、ブロックも選択可能に

Twitterの「返信(リプライ)を非表示」はリツイートという仕組みが導入されて以來の抜本的な変更だ。これまで米国、日本、カナダのユーザーを対象にテストを続けてきた「返信を非表示」が、いよいよ米国時間11月21日から世界のユーザーに公開される。

Twitterの発表によれば、この機能は若干変更が加えられているがテスト版とほぼ同様で、今日中に世界のユーザーがこの機能を利用できるようになるという。

「返信を非表示」はツイートに対する返信のうちどれを見てどれを見ないかを選択できる機能で、会話の主導権をオリジナルの投稿者側に傾けるものだ。 この機能はTwitterユーザーの間に大きな賛否の議論を引き起こしている。選択しても返信が削除されるわけではないし、もう一度クリックすれば表示される。ともあれこれで無関係な話題、侮辱的、その他不快な表現、さらには意図的な荒らしの返信がタイムラインを占領するのを防げる。

Twitterでは「ヘイトスピーチを含むなどの不適切な返信は表示されないことがあると知れれば、そういった返信を抑制して会話を適切なものにする効果があるはずだ」と考えている。

ただしその裏側では「返信を非表示」は批判者、反対者を黙らせるために使われる可能性がある。この場合、捏造と思われるツイートに対してファクトチェックを要求する返信であっても表示されない。

この機能は7月からカナダでテストが始まり、9月には米国と日本が加えられた。ウェブとモバイルの双方で利用可能だ。

テスト開始以後、Twitterではほとんどの投稿者が非難、無関係、その他不快と感じられるようなツイートについてブロックやミュートといったより強い手段ではなく「返信を非表示」を選択してことがわかった。カナダでは調査対象のユーザーの27%が返信を非表示にされた経験があり、将来ソーシャルネットワークで相手とどのようにやり取りすべきか考え直すと答えている。これはある程度期待を抱かせる結果だ。

ただしグローバル展開にあたってオリジナルの機能には変更が加えられている。Twitterによれば一部のユーザーは「非表示」を選択した後、さらに強い対策を取りたいと希望していた。そこで新機能には返信者をブロックできる機能が追加された。またTechchCrunchではユーザーから「自分のアイコンが見えてしまうので嫌がらせその他の報復行為の対象にならないか不安を感じている」という声を聞いた。今回のアップデートではこの点についての変更はなかったが、Twitterではこの問題には留意しており、解決法を探っているという。

もうひとつTwitter上で頻繁に論じられている問題は、「返信を非表示」にした場合に表示されるポップアップが大きすぎてむしろ注意を引きつける結果になっているいるのではないかという点だ。以下のツイートは「非表示の返信があることを示すこういう巨大なポップアップを表示するのはナンセンス」という批判だ。

Twitterによればこういうポップアップが表示されるのは「非表示の返信」が存在するツイートを最初に見たときだけだという。その後非表示の返信があることを示すアイコンはもっと小さくなり、ツイートの直下ではなく別のページに移される。

そうではあってもこれほど大きなポップアップは非表示の効果を大幅に削ぐものではないだろうか?クリックすればツイートを見ることができるのだから、探す場所を教えているようなものだともいえる。トロルの側からいえば、誰かかこの機能を使っていると知ればますますいきり立ってトロル行為をエスカレートしかねない。

今回のグローバル公開に伴い、Twitterでは「返信を非表示」を利用するためのAPIを公開し、サードパーティのデベロッパーがアプリケーションにこれを組み込めるようにするという。

Twitterでは今後、返信ができるユーザーを制限するなどのオプションを加えることを検討しており、ユーザーが会話をより良くコントロールできるようにしてプラットフォームの健全化を図っていくという。

Lightwellの買収.によってTwitterに加わったプロダクトマネジメントの責任者であるSuzanne Xie(スザンヌ・シャ)氏は「すべてのユーザーが安心して快適にTwitterを利用できるようにしなければならない。そのためにはTwitterにおける会話の仕組みそのものを変えていく必要がある」と述べている。

Twitterが「返信を非表示」の導入に踏み切ったのは興味ある現象だ。Twitterはもともと皮肉、非難、罵倒、激怒など、強い言葉が頻繁に使われる場所として知られていたが、プラットフォームの運営者はついにユーザーに礼節を要求する方向に動いた。今後もさまざまな実験が導入され、効果があるものは残り、効果がないと分かれば廃止されことが繰り返されるだろう。

Twitterでは通常のサービスと平行して新しいアイデアを試すためにベータ版(twttr)を運営している。もしTwitterが新機能によりソーシャル・ネットワークとしての性格を変えることができたらプロダクト・マネージメントとして驚くべき成功といっていい。

Twitterの「返信を非表示」はiOS、Androidのアプリ(Twitter Liteを含む)、ウェブのtwitter.comで本日から全ユーザーが利用できる。

【Japan編集部追記】日本サイトでの「返信を非表示」オプションの使い方の説明(11月22日朝現在はベータ版)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook