Redditが透明性レポート公表、大きなスパム問題は大きく政府からの削除要請は少なめ

Redditが2020年の透明性レポートを公表した。そこには、削除したコンテンツや政府からの開示リクエスト、そしてその他の管理行為が、件数とともに記されている。その中で量的に断トツに多かったのはスパムだ。いや、削除したコンテンツのほとんどすべてがスパムだった。コンテンツ取り下げの法的要求やユーザー情報はそれに比べると少ないが、しかしそこまでわずかな量でもない。

レポートの全文はとても読みやすいが、少々長い。要点をまとめよう。

2020年、Reddit上では投稿やコメント、画像など34億近いコンテンツが作られたが、2億3300万が削除された。投稿総数も削除数も2019年に比べて20〜30%増えている。2億3300万の内、人の目に触れる前、AutoMod systemが「事前」に削除したのは1億3100万件で、サブレディットのモデレーターからの報告後に削除されたのは1360万件となる。

削除分の残り8800万(=2億3300万−1億3100万−1360万)は、Redditのアドミンが削除し、その99.76%がスパムないし「コンテンツ操作」で、後者は特定集団の宣伝や偽の草の根運動などとなる。ハラスメントやヘイト、未成年者への性的アプローチはそれぞれおよそ5万件、さらに少数の暴力的なスピーチや身元暴露発言などもある。

画像クレジット:Reddit

8万2858件のサブレディットが削除されたが、これは2019件のほぼ4倍であり、その大部分が節度の欠如によるものだった。次いでヘイト、ハラスメント、および禁止回避(たとえばr/bannedsubはr/bannedsub 2を開始)だった。

コメントを削除に関してはヘイト、暴力、ハラスメントがずっと多く見られた。削除されたプライベートメッセージの92%(合計2万5000)は、ハラスメントだった。

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スパムとコンテンツ操作以外では、圧倒的に多かった違反行為がヘイトスピーチだ。ヘイトで永久に禁止されたアカウントの数は、2019年に永久禁止されたアカウントの総数よりも多い。ただしコンテンツの違反はスパムや禁止回避より少ない。

政府からの削除要請は比較的少なかった。Reddit全体では、約5000件のコンテンツやサブレディットに関するリクエストが数百件寄せられた。たとえば753人のサブレディットは、猥褻物取締法によりパキスタンのユーザーにアクセスを制限された。

個人や企業からの削除依頼は数百件にのぼり、著作権侵害対策通知では、2019年の2倍以上となる約50万件(37万5774件)のコンテンツの削除を依頼していた。DMCAへの異議申し立てはほんのひと握りだった。

Redditに寄せられたユーザー情報の件数は611件で、2020年から50%増加しており、このうち424件を同社が承認している。ほとんどが召喚状、裁判所命令、捜索令状だ。Redditはソーシャルネットワークではなく、そのアカウントは本質的に匿名でも使い捨てでもよいため、これが実際にどの程度の情報開示を意味するのかを判断するのは難しい。緊急情報開示要請は約300件で、ほとんどが遵守されていた。これは、Redditのアカウントが関係している生死にかかわる状況と考えられている。

最後にRedditは、0〜249人の秘密データ要求を受け取り、2020年と同じく0〜249人のユーザーをターゲットにしている。残念ながら、米国の外国諜報活動偵察法や国家安全保障書簡の規則では、本当の具体的な数字を挙げることができない。

2020年に描かれたRedditの全体像は、スパムや非認証的な活動に悩まされつつあるコミュニティに加えて、ヘイトやハラスメント、その他の禁止されているコンテンツ(2020年は確かにこの点では例外的な年だったが)に悩まされつつあるコミュニティというものだ。個人を特定できるデータへの基本的なアクセスや利用が少ないRedditは、3文字の認証機関や法執行機関のターゲットにはならない。そして、Redditや他のプラットフォームに代わる「言論の自由」に焦点を当てたサービスが出現していることから、既追放されたヘイトやハラスメントは2021年、またどこか別のところで起きる可能性が高い。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Reddit

画像クレジット:Omar Marques/SOPA Images/LightRocket/Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Facebookへの政府からのユーザーデータ開示要求は過去最高

画像クレジット:Getty Images

 

Facebookの最新の透明性レポートが公開された。

それによると、各国政府からのユーザーデータ開示要求の数は、昨年の後半期と比較して、今年の前半期には16%増加し、合計12万8617件になったという。

これは、同社が2013年に最初の透明性レポートを公開して以来、これまでのすべての期間に受けた要求の中で最大の件数となった。

中でも米国政府からの要求は5万741件で、突出している。そのうちの88%のケースで、実際にアカウントやユーザーのデータが当局に提供されることになった。Facebookによれば、米国政府からの要求の3分の2は、口外禁止命令とセットになったもので、該当するユーザーに政府からデータが要求されたことを伝えることができない。

しかしFacebookは、今回の期間中に口外禁止条項が解除された後、初めて11件のいわゆる国家安全保障文書(NSL)の詳細を公開できることになったと述べている。国家安全保障文書は、FBIの要求に応じて、企業に非コンテンツデータの引き渡しを強制できる。こうした文書は、裁判官による承認を受けたものではなく、通常はそれ自体の開示を妨ぐために、口外禁止命令が付いている。しかし、2015年にFreedom Act(自由法)が可決されて以来、企業にはそうした口外禁止命令の解除を要求することが許されるようになった。

また今回の透明性レポートによると、Facebookは15か国で67件のサービス障害を検出したことを明らかにした。これは、9か国で53件だった昨年下半期から増加している。

さらに同レポートでは、Facebookは1160万件のコンテンツを削除したことを明かしている。これは前年同期の580万件から2倍近くに増加している。削除の理由は、子供のヌードや性的虐待など、Facebookのポリシーに違反するものだという

Facebookは、今回のレポートに初めてInstagramを含めている。Instagramに関しては、今年の第2および第3四半期で、168万件のコンテンツを削除したことが報告されている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Twitterに対する政府の開示請求件数が過去最高に

Twitterは、政府による情報開示請求の件数が過去最高だったことを発表した。同社が発表した透明性に関するレポートによると、今年1月から6月までの6カ月間に全世界の政府から受けたユーザーデータの開示請求は7300件で対前年比6%増だった。

ただし、特定されたアカウントの数は25%減少した。このうち同社がアカウントデータを提出したのは全体の半分以下だった。期間内に最も多く請求したのは米国政府当局で、2120件、4150アカウントで全体の約1/3を占めた。日本が1742件、2445アカウントで続いた。

同社はビデオストリームサービスのPeriscope(ペリスコープ)についても、33件、86アカウントのデータ請求を受け、そのうち60%のケースで何らかの情報を開示した。

さらにTwitterは、これまでにいわゆるNational Security Letters(NSLs、国家安全保証書簡)を3回受け取ったことも公表した。これはFBIの要求によって企業にコンテンツ以外のデータを提出するよう強制するものだ。これらは裁判所が承認した書簡ではない。また多くの場合に口外禁止命令が付随する。ただし2015年にUSA Freedom Act(米国自由法)が制定されて以来、企業はそのような口外禁止命令の解除を要求できるようになった。

同レポートには、個人情報、機密情報、ヘイトフル・コンテンツ、嫌がらせなどが全体的に増えているが、Twitterは継続的に対処していることも書かれている。Twitterによると、12万4339アカウントをなりすましにより、11万5861アカウントをテロ支援により、それぞれ削除した。これは前回の報告時よりも30%減少している。児童の性的搾取に関わる違法行為でも24万4188アカウントを削除したとTwitterは報告した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Twitterが政府からの情報開示要請について公表

Twitterが最新の透明性レポートを公表した。同社が2018年7月から12月に各国政府から受けたユーザーデータ提供の要請は、前期に比べ6%減少したという。

今回公表されたデータによると、Twitterは政府から1万1112アカウントに関して情報提供の要請を6904件受けた。要請の件数は前期とまったく同じだが、アカウント数は減っている。同社が何らかのデータを提供したのは、要請全体の半数強だという。

データ提供の要請が最も多かったのは米国政府で、3860アカウントに関して2092件を要請した。これは全世界の要請のおよそ3分の1にあたる。

TwitterはPeriscopeのビデオストリーミングに関しても、108アカウント、30件の要請を受けた。このうち何らかの情報を開示したのは40%だった。

Twitterは、2通の国家安全保障書簡(NSL、National Security Letter)を開示する許可を得ているとしている。NSLはFBIが司法の監視なしに発行する情報開示の命令書で、発表禁止となっていることが多い。同社は以前と異なり今回はNSLを公表していないが、影響を受けたユーザー2名には通知したという。

同社は、テロ活動に関連する16万6513アカウントを停止したことも発表した。これは前期より19%減少している。また、子どもの性的搾取に関するルールに違反した45万8989アカウントも停止した。

画像: Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

Amazonのただでさえ透明でない透明性レポートがいっそう不透明になった

木曜日(米国時間1/31)Amazonは半年毎のレポートを公開し、政府から受けたデータ要求の回数について詳細を報告した。

数字そのものに見るべきところはなく、昨年後期は昨年前期と比べて急上昇も急落もなかった。期間中の召喚状、捜査令状、およびその他の裁判所命令の数は1736件で、前回の報告よりわずかに少なかった。Amazonは未だにEchoのデータに対する政府の要求について答えていないが、同社のAmazon Web Servicesのコンテンツについては報告があり、前回の253件から175件へと減少している。

しかし、これまでのレポートと比べて目立って欠けているのが、同社のサービスからデータを削除する要求の回数だ。

2018年前半のレポートで小売りとクラウドの巨人は、さまざまな要求に混じって、「ユーザーコンテンツやアカウントの削除」を要求する裁判所命令を受け取るかもしれないと書いていた。かつてAmazonは要求を「個別に」報告していた。

今はそれがなくなった。言論や表現の自由がかつてないほど重要になっている今、もうそれはない。ゼロすらない。

われわればAmazonに連絡をとり、なぜ削除要求を除外したのか尋ねたが、理由は一切返ってこなかった。

Amazonは長年、透明性レポートとは愛憎半ばする関係にある。その秘密主義はよく知られていて、ある時など記者に「これはオフレコで、ノーコメント」と言った。話す必要がなければ話したがらない会社だ。エドワード・スノーデンの暴露発言以降、それまで政府のデータ要求について公表してこなかった多くの企業がすぐに始めた。Amazonは監視スキャンダルの影響を直接受けてはいないが、とりあえず提出せず(しなくても平気だったので)、しかし後に屈服し、大手IT企業として透明性レポートを提出した最後の会社になった。

その時でさえAmazonのやり方はお粗末だった。

ほかの透明性レポートと異なり、Amazonのはたったの2ページで、ほとんどの部分が召喚から捜査令状、裁判所命令までそれぞれのタイプの要求に対して何をするかの説明に費やされている。図表なし、国別内訳なし、発表もなし。まるでAmazonは誰にも気づいてほしくないかのようだ。

それは何年も変わっていない。他社の多くがレポート内容を拡大する中(Appleはアカウント削除を報告し、FacebookMicrosoftTwitterGoogle始め多くの会社もあとに続いた)、Amazonのレポートだけはいつまでも変わらない。

そして、Amazonにそれが可能だったとい以外に正当な理由もなく、レポートはいっそうスリムになっている。

スマート家電が見聞きした情報を政府に開示するかどうかメーカーに聞いてみた

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Airbnbが政府の情報開示要請に関する初の透明性レポートを発行

Interiors of a living room

Airbnb初となる透明性レポートによれば、同社は今年の上半期だけで世界各国の政府から188件のユーザーデータ開示要請を受けていた。そして、そのうち82件について実際に情報開示を行っている。

Airbnbは、サービスを提供している各都市の地方行政機関や一般の人々に対する透明性を高めることを目的とした、Community Compactという施策の一環として透明性レポートを発行している。

「私たちはもっと開けたコミュニティづくりを目指し、世の中の人たちに対して私たちのコミュニティに関する情報を公開しています」とAirbnbのスポークスマンであるChristopher NultyはTechCrunchに語った。「私たちは、透明性レポートの発行がその大きな一歩であると感じていますし、今後は現在掲載されていないデータについても公開していきたいと考えています」

政府からの要請に関する情報を定期的に公開しているテック企業の数は増加傾向にあり、Airbnbは今回のレポート発行によって、そのような企業に仲間入りすることとなった。GoogleFacebookUberといった企業が透明性レポートを発行しているが、Airbnbと比べると彼らが政府から受け取る情報開示要請の数はずっと多い。

Googleは2015年の下半期だけで4万667件の要請を受けている一方、Facebookは同じ期間に1万9235件の要請を受けている。両社は、法執行機関にとってとても価値のあるユーザーデータを大量に保有しているため、多くの情報開示要請を受け取っているのも納得がいく。しかし、UberやAirbnbは、ユーザー間のやりとりや、写真、個人情報のようにリッチな情報を持ち合わせていないため、要請の数も少なくなりがちだ。Uberは、今年の4月に発行された初となる透明性レポートの中で、6ヶ月間で法執行機関から受け取った情報開示要請の数が469件だったと発表していた。

Nultyは、Airbnbがユーザーの安全性向上に努めていることから、同社の受け取る要請の数が比較的低くなっていると話す。「私たちは、Airbnbのプラットフォームにおいて、信頼をとても重要視していて、それがレポートの内容に反映されているのだと思います。2016年の上半期だけ見ても、世界中で3100万回もサービスが利用されているにも関わらず、情報開示要請の数は驚く程低い数字にとどまっています。これは、Airbnbのプラットフォーム上にいる人たちの大部分が、安全にサービスを利用をできているという証拠です」

Airbnbはレポートの中で、法執行機関に情報開示を求められたときは、「無駄であったり、効果が無い場合、さらには誰かに危害を加えるリスクを生み出さないと思われる場合に限って」ユーザーにその事実を伝えるよう努めると記載している。

さらに、同社はレポート内にNational Security Letters(NSL)に関する情報も記載していた。このレターをもとにして、連邦当局はテック企業にユーザーデータを要請することができ、さらに要請先の企業がNSLの情報について話すことを防ぐため、同時に緘口令がしかれることもよくある。企業は、受け取ったNSLの数だけ0から499の範囲で公表することができるが、AirbnbはこれまでのところNSLについては心配していないという。

「今日までに私たちは、情報公開に制限がかけられているNSLやその他の類似要請を受けたことはありません」とAirbnbはレポート内で述べている。

Airbnbは、受け取った情報開示要請を国別に分類し、実際に情報開示が行われた要請の数についても公開している。しかし、要請が地方行政機関からのものなのか、連邦政府からのものなのか、また、どのような情報が開示されたのかについては触れられていない。

同社の法的処置に関するガイドラインによれば、Airbnbは、裁判所の文書提出命令(subpoena)に応じて、ユーザーの住所、氏名、支払データといった基本情報を提供するとされている。しかし、予約履歴などの詳細情報の開示には裁判所命令(court order)が必要となるほか、メッセージなどのユーザー間のやりとりに関する情報開示にあたっては令状(warrant)が必要とされている。

Airbnbに送られた情報開示要請のほとんどがフランス当局から発されており、アメリカ、ドイツ、イギリスの司法当局がその後に続く。また、Airbnbは、オペレーションを行っている世界中の191ヶ国のうち、たった21ヶ国の政府からしか情報開示要請を受けていない。

Airbnbに対する政府の要請の数は比較的少ないものの、ユーザーデータ開示の少なさでは依然Slackがトップだ。最新の透明性レポートによると、同社はレポート発行時までに1件しか情報開示要請を受けていない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter