今、ブラジルのヘルステック分野が熱い

[著者:Manoel Lemos]
シリコンバレーのベンチャー企業Redpointのブラジル専門部門Redpoint eventuresの業務執行社員。

大勢の人が絡む大きな問題に取り組むことは、起業家と投資家の両方にとって絶好のチャンスとなる。たとえば近年のブラジルでは、フィンテックによる金融改革や、新しいオンデマンドのビジネスモデルに投資が集中しているが、ヘルステック関連のスタートアップも、ブラジルで爆発的な増加を見せている。全国民のうちの数千万人が、根深い不平等問題によって医療サービスが受けられず、深刻なまでに低水準な医療の質、重い負担、あらゆる面での非効率といった問題に苦しめられている。起業家の皿は、市場に届けたいヘルステックの改革案で山盛りの状態だ。

Liga Venturesの最近の調査では、現在ブラジルには健康に特化したスタートアップが250社位上あり、民間医療に年間420億ドル(約4707億円)以上を消費する世界で7番目に大きな健康市場になっているという。ただし、そのうち180億ドル(約2017億円)が効率の悪さのために浪費され、この5年間でブラジルの医療関連コストが倍に跳ね上がっているため(累積インフレ率38パーセント)、ブラジルの医療は崩壊寸前にある。ヘルステック系スタートアップは、サンパウロ南部のビラオリンピアに拠点を置く世界最大級の起業家ハブCUBOItaúでも、トップ5の業界に入っている。

昨年、中南米の民間投資を支援する非営利団体LAVCAが発表した「中南米の技術ブレークアウトの年」によると、中南米において、ヘルステックは2番目に急成長している技術分野になっている。2016年と比較して、ヘルステックの取り引きは250パーセントにまで拡大した。ブラジルに診療所を建設して安価に最高の医療を提供することを目的としたネットワークDr. Consultaへの5000万ドル(約56億円)の投資は、2017年のベンチャーキャピタルによる投資の中でも最大のものだった。

医療分野は、患者、仲介業者、診療所、代理店、サプライヤーの間で、人と仕事と製品を結びつけなければならない複雑な市場だ。そこで、技術革新を武器に、ブラジルでもっとも大きなインパクトを与え、この市場に新しいビジネスモデルをもたらす主要なカテゴリーと企業を紹介しよう。

オンデマンドの医療

公的医療機関が利用できるのは、ブラジルの人口(約1億5000万人)のうち、およそ75パーセントに限られている。しかし、そうした医療機関は運営管理が不十分で非効率だ。1回の診療や検査のために、患者が数週間から数カ月待たされることも少なくない。そこに技術力を背景にしたスタートアップが登場し、より広く、より高齢の人々にも、効率的に医療を受けやすくする機会を提供し始めた。

たとえば、低価格な診療所チェーンDr. Consaltaの施設は、この3年間で1軒から51軒にまで増えた。今では、100万人以上の患者から得た国内最大の医療データセットを持つと主張するまでになった。他の民間診療所では、診察料が少なくとも90ドル(約1万円)はするが、Dr.Consaltaは25ドルだ。同様のオンデマンド医療を提供する診療所として、ClínicaSimDr. Sem Filas、 DocwayGlobalMed.などがある。

テレヘルスとモバイル健康アプリ

医療上の助言、診断、モニタリングをより便利にするテレヘルス・サービスがブラジルで拡大している。たとえば、Brasil Telemedicinaは、医療検査、医師の診察、遠隔モニタリング、心理カウセリングなど、さまざまなサービスを24時間提供している。

患者のケアを改善するためのB2Bテレヘルス・サービスには、1日24時間年中無休で放射線画像解析を行うTelelaudo、心臓の健康状態のモニター、陰圧閉鎖療法、乳児の呼吸と健康状態のモニターのための特殊な機器を提供するVentrixなどがある。また、サンパウロに拠点を置くスタートアップNEO MEDは、心電図と脳波図の医学報告が簡単に素早く作成でき、それぞれの場所で柔軟に収入を増やしたいと考える診療所、研究所、病院、医師の協力を促すプラットフォームを開設した。

フィンテックのような急成長分野を
もうひとつ作れる重要な材料が
この国にはふんだんにある。

ブラジルでは、糖尿病と高血圧といった疾患の発生率の高さインターネットユーザーの多さから、モバイル健康アプリの人気が高まっている。たとえば、Dieta e Saude(栄養と健康)というアプリは、160万人以上のユーザーに、よりよい栄養食品を選ぶよう助言し、それを習慣づける動機を与えている。ブラジルで設立され、現在はサンフランシスコに拠点を移したYouperは、社会的不安の解消を手助けする情緒的健康のためのバーチャル・アシスタントだ。ユーザーの思考パターンを再構成して、心をより健康な状態にしてくれる。

AIとデータ解析

他の業界と同様、またブラジルに限らず、AIとデータ解析は、患者の診断のスピードアップから医療コストの管理に至るまで、医療を変革しつつある。

その中のイノベーターのひとつにGestoがある。データベースに蓄積した450万件以上の患者の情報を機械学習でふるいにかけ、有用な情報を引き出して、患者の治療を最適化すると同時にコストを管理し、企業にとって最適な保険プランの選択を助けてくれる。集中治療室の管理を専門とするブラジル最大手のIntensicareは、AIを利用して診断のための時間を短縮し、患者の滞在時間と死亡率の低減を目指している。レシフェに本拠地を置くスタートアップEpitrackは、クラウドソースのデータ、AI、予測分析を使って疫学をコンピューター化し、伝染病の大流行と戦っている。

電子カルテ

昨年、ブラジル政府は、国内4万2000箇所以上の公営診療所で扱う患者のカルテを近代化するプロジェクトを、2018年までに完了させると発表した。世界銀行によると、カルテの電子化によって、連邦政府の経費は68億ドル(約7630億円)削減できるという。昨年末の時点で、ブラジル人(2億800万人)のうち3000万人しか電子カルテを持っておらず、ブラジルの家族向け診療所の3分の2近くが、患者の電子カルテを作成する手段を持っていなかった。

SaaS電子カルテのプラットフォームであるiClinicは、医療の近代化に大きな影響を与えたブラジルでもトップクラスのスタートアップだ。医療の専門家によるカルテの分類を電子的に支援し、すべてのデータをクラウドに保管し、あらゆるデバイスで読み出せるようにする。iClinicは非常に使いやすいシステムであるため、医療の効率化、コストの削減、治療の質の向上が期待できる。現在、ブラジルの各地で利用されているが、ブラジル以外の20カ国以上にも利用者が広がっている。

処方箋のデジタル化

ブラジルでのデジタル化の遅れによるもうひとつの大きな問題として、70パーセント近くの処方箋に記述ミスの恐れがあるという点を世界保健機関(WHO)が指摘いている。そのためブラジルでは、投薬ミスの関連で年間数千人が死亡している。精査することで、かなりの人数が救えるはずだ。アメリカでは、すでに77パーセント以上の処方箋がデジタル化されている。

この生死の問題に対処するために、ブラジルの電子処方箋管理の中心的存在としてMemedが登場した。現在、ブラジルのすべての医療分野の5万5000人以上の医師がこれを利用し、アレルギーと薬物相互作用の照合を行っている。これにより、服薬コンプライアンスが容易になり、医療効果も高まる。同社は、ブラジルでもっとも充実した、信頼性の高い、最新の薬物データベースを開発している。

ブラジルのヘルステック関連のスタートアップは注視すべき分野として急成長しているのは確かだが、ヘルステック革新が解決に着手したこの国の問題は、まだまだ氷山の一角に過ぎない。フィンテックのような急成長分野をもうひとつ作れる重要な材料が、この国にはふんだんにある。ブラジルにおけるヘルステックは、今後長きにわたり、それを信じる起業家と投資家にとって、確実にホットな分野となる。

備考:Redpoint eventuresはMemedに投資しています。  

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(翻訳:金井哲夫)

ウガンダの王子と仮想通貨スタートアップが起こすアフリカの金融革命

仮想通貨とブロックチェーンの愛好家は、何年もの間、銀行の中央集権的な世界を批判してきたが、発展途上国の銀行の多くは、その特権的な場所に立ち、それを続けている。しかし、ブロックチェーン技術が発展途上の経済にとって、もっとも画期的であると判明したら、どうなるだろう。

たとえばアフリカだ。アフリカ諸国の消費者たちは、プリペイド式携帯電話の料金をチャージするための銀行取り引きだけでも、いちいち手数料を取られることに不満を募らせている。通信時間が、事実上、お金として扱われている。すでに経済発展をした国々で生まれた、そうした銀行のやり方は、銀行手数料が携帯電話のチャージ料金を上回るような発展途上国ではうまく機能しない。

南アフリカに拠点を置くスタートアップWalaは、それを早期に実現している。既存の銀行インフラを利用して顧客取引を促進しようと、ウォレットのように機能するスマートフォンアプリを開発した。しかし、ほぼすべての取り引きに高額な銀行手数料がかかるため、Walaの顧客基盤も、スマートフォン世代にモバイルウォレットを提供するというWalaの初期のビジネスモデルも、痛手を被った。

料金のかからないソリューションが必要だったが、既存の金融システムでは難しい。そのとき、彼らは仮想通貨に切り替えることができると気がついた。そうすれば、業者同士のピアツーピア・ネットワークでの支払いが可能になり、通信料金、データ料金、電気料金、さらには学校の学費までこれで支払うことができる。

昨年の12月、イーサリアム・ベースの$DALAトークンを新規仮想通貨公開(ICO)で売却して120万ドル(約13億7000万円)を調達したWalaは、現在、ウガンダ、ザンビア、南アフリカで数千件の取り引きを助けている。そのほとんどは、1ドル以下のマイクロペイメントだ。

2018年5月に彼らの通貨$DALAをローンチしてから(現在はWalaのモバイルアプリからアクセス可能)、10万を超える$DALAウォレットが利用され、同社によれば、250万$DALAを超える取り引きが行われているという。この(少なくとも今のところは)マルチチェーンの暗号資産は、ウォレットにEther、取り引きにはStellarを使用している。しかし、ひとつのプラットフォームに固定されているわけではない。

$DALAのプロトコル(Kopa、Soko、Kazi)を通して、消費者は、国境を超えた、低コストの、高効率な独自の金融サービスにアクセスできるようになり、新しい非中央集権型の金融システムでの利益の獲得、貯蓄、貸し借り、鳥時期が可能になる。

だが、それはWalaの最終目標ではない。

10月2日、Walaは、ウガンダのギガワット規模の太陽光発電計画と手を組み、ブロックチェーンによるクリーンエネルギー経済を構築すると発表した。

仕組はこうだ。

エネルギーの老舗企業であるCleanPath Emerging Markets Uganda(CPEM)は、ウガンダ政府、ウガンダ・エネルギー鉱物開発省と共同でこのプロジェクトを進めている。つまりウガンダ人は、この巨大な新規インフラ建設プロジェクトから生み出される太陽光エネルギーを、$DALAで使えるようになるということだ。

CPEMは、DALAブロックチェーンのプラットフォームを使って、台帳、業務委託契約、パートナー契約を管理する。同社はすでに、1万1000メガワット以上の再生可能エネルギーを作り出した経験を持っている。

ウガンダに新しいクリーンエネルギー経済を創出することを目的としたこの15億ドル(約1710億円)規模の計画は、新たな雇用を生み、クリーンエネルギー経済を立ち上げるだけでなく、ウガンダに新しい経済発展をもたらす。ウガンダの消費者は$DALAで太陽光発電された電気を購入でき、労働者は$DALAで賃金を受け取り、この計画自体が$DALAで推進されるのだ。

Walaの共同創設者でCEOのTricia Martinezは、オスロで開かれたPathfounderの会場で、私にこう話してくれた。「$DALAをローンチして以来、私たちが見てきた数字は驚異的なものです。現在の利用者は大半がウガンダ人なので、今回の提携関係は、$DALAを使うことで、さらに利益が増すようになるという自然な流れでした。利用者間には大量のトラフィックがあり、それはウガンダ人が、日常の取り引きに暗号資産を使う準備ができていることを示しています。

しかしこの物語は、映画『ブラックパンサー』の幻の王国ワカンダから歩み出てきたような、聡明なアフリカの王子の存在なくしては実現しなかった。

なぜなら、CPEMの創設者はブガンダ王国(ウガンダの王族のひとつが治める地域)の王子、Kudra Kalemaだからだ。その家系の歴史は、少なくとも14世紀にさかのぼる。現在、ブガンダは、ウガンダから大幅な自治権を与えられた君主制の王国となっている。

「この計画とDalaとの提携に、私たちは大変に興奮しています」とブガンダ王国のKudra Kalema王子は話す。彼はCPEMの経営パートナーであり共同創設者でもある。「$DALAでウガンダ人にクリーンエネルギーを提供できるようになることで、私たちはより開放的な非中央集権型の金融システムを育てることができます。それは古い技術では不可能なことでした」

TechCrunchの独占インタビューで、Kalema王子は私にこう話している。「私たち一族は、自分たちがこの土地の管理人だと考えています。そこで私は、ほぼ10年をかけて、この国を良くする方法を探ってきました。しかし、人々がスイッチをひねって明かりを点けることすらできないような状態で、何ができるでしょうか」

最大の課題は、安価な電力の供給だと彼は悟った。それを再生可能な形で実現する。それは太陽光発電でなければいけない。マイクログリッドでは解決できないことがわかった。もっと大規模にする必要がある。

しかし、なぜ彼は仮想通貨の導入を思いついたのだろう。

「ウガンダの財政構造には十分な力がないことが明確になったので、$DALAを使い始めました。何かが必要であることは明らかでした。私たちが行おうとしていた計画に役立つまでに、ウガンダ・シリングを安定させる道はありせんでした。Walaは、すでにウガンダに投資し、発展途上の市場に仮想通貨を持ち込もうと考えていただけでなく、この国にとって最良の金融機関の形を作ろうとしていました。それは、私たちがやろうとしていたことと一致します。ごく自然な成り行きです」

「今あるものは使い物にならないと、
ウガンダの人たちは言っています」
—Kudra Kalema王子

$DALAと太陽光発電計画を組み合わせるのは、アメリカなどの国よりも、ウガンダのほうがやりやすいと彼は言う。「ウガンダ人の80パーセント以上が35歳以下の若者で、高い教育を受けています。リープ・フロッギングという言葉は好きではありませんが、まさにそれが起きています。彼らは、昔に習ったことを捨て去る必要がないのです。彼らは、自分たちのためになる解決策を学ぼうと、必死になっています。ウガンダで、いかに早くモバイル・マネーが浸透したかを見ればわかります。外から押し付けられたからではなく、人々が自ら欲していたから、それだけの力を持てたのです。今あるものは使い物にならないと、ウガンダの人たちは言っています。銀行の手数料や送金のコストなどです。もう使えないとわかっているものに力を入れるこどなど、ウガンダ人はしません」

ウガンダは、今後も新しい技術を貪欲に求める市場でいるだろう。先日、Binanceが法定通貨と仮想通貨の取引所をウガンダに開設すると発表したが、それもそのひとつだ。

彼はこうも言っている。「ウガンダは、常にこうしたものの先頭にいました。大英帝国の保護領になる前から、ウガンダは、アフリカで新しい商売を始める道を探しに人々が集まる場所でした。私たちには複雑な部族制度がありました。そのために、イギリスはウガンダを侵略するのではなく、保護領としたのです」

この計画の詳細は野心的だ。Kalema王子のCPEMは、ギガワット規模の太陽光発電所建設計画により、人口の25パーセントにクリーンエネルギーを届け、20万人分の雇用をクリーンエネルギー経済の中に生み出すことを目指している。

この発電所で作られる電気は、現在のウガンダの総発電量の2倍に相当する(平均的なアメリカの石炭火力発電所のおよそ2基分だ)。現在は、国民の75パーセントが電気を使えない状態にある。

$DALAを使えば、ウガンダ人は手数料なしに電気が使えるようになる。毎日の買い物にも使え、政府機関、業者、仮想通貨取引所などでウガンダの法定通貨に交換することもできる。

さらに、CPEMとウガンダ政府は、貧しい人たちに電気を無料で与える助成制度を作ることができる。しかも、そうした助成の記録は、完全な監査が可能で、改ざんの心配もない。

アフリカの市場に嵐を起こそうとに、小さなスタートアップがやって来た話は2014年に始まる。

そもそも、アメリカのエンジェル投資家とソーシャルインパクト・ベンチャー投資企業(Impact Engine)に支援されていたTricia Martinez(上の写真)のWalaだが、2016年、ロンドンのアクセラレーターBarclays Techstars Acceleratorに加わった。その後、南アフリカのケープタウンに事務所を開設し、社員を増やしていった(現在は12名)。

間もなく、南アフリカのベンチャー投資企業Newtown Partnersから投資を受け、Walaは$DALA暗号資産を発行し、Dala財団を設立した。Newtown Partnersのトップに、Civicとイーサリアム・ベースのプロジェクトで知られるVinny Linghamがいるのは、おそらく偶然ではない。

Martinezは、仮想通貨が、アフリカのような新興市場が長年欲していた解決策になると情熱を燃やしている。「この計画の価値尺度と価値貯蔵が$DALAであることが、その実用性を証明していて、新興市場での望ましい金融システムになる可能性を示しています。立ち上げの時期から関ることができて、とても嬉しく思うと同時に、消費者のための的確で使いやすい金融システムの構築を手伝えることを、とても楽しみにしています」

彼女はこうも話している。王子もウガンダ政府も「金融包摂を促進して、人々にとって、金融をより効率的なデジタルシステムにするためのパートナーを探していました。そのとき、私たちのことを聞いたのです。話をしてみると、私たちは互いに、暗号資産の上にエコシステム全体を構築できると感じました」

「消費者が単にエネルギーを仮想通貨で購入するというだけでなく、エネルギーグリッドを建設する人たちの賃金も仮想通貨で支払われるということなのです。そのため、とくにエネルギーの観点から、みんなはブロックチェーンで透明化を果たそうと、大変な関心を持つようになりました。政府と一緒に、より信頼性の高い記録を付けることで、汚職の可能性も低減できます」

Martinezはこう指摘する。「ウガンダの10万人以上の利用者が見守る中で、人々はすでに電気や製品やサービスを買っています。この計画の目標は、電気を買う人々が、私たちが提供する他のすべてのサービスも利用してくれるようになることです。私たちは、現金の交換所の開設も予定しています。人々が、街でモバイル・マネーを現金に、また現金をモバイル・マネーに交換できるようにするのです」

これは本当に大きな計画だ。「ウガンダ」と「仮想通貨」という言葉が同じ文章の中に登場するのを見て、陳腐で否定的な評価を下す人もきっといるだろう。

しかし、新興国の渇望、熱心な王子、住民の団結と結びついたWalaの現地での活動は(西欧諸国でのブロックチェーンの会議によくいる肘掛け椅子にふんぞり返った評論家と異なり、その重要さはどんなに誇張しても物足りないほどだが)、決して見くびってはいけない。

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(翻訳:金井哲夫)

インドの鉄道駅では800万人がGoogle提供の無料Wi-Fiを利用している、Googleには広告収入がある

2015年にGoogleは、インドの鉄道駅に無料のWi-Fiを設置する企画をスタートし、そして今日同社は、目標の400駅、対象人口800万を超えた、と発表した

今日(米国時間6/6)、インド北東部のアッサム州ディブルガール駅がオンライン化されたとき、その目標に到達した。

Googleの発表によると、今では毎月800万あまりの人びとが駅のWi-Fiを利用している。そして一回のセッションで平均350MBのデータ通信を消費し、その半分が少なくとも一日に二回、この事業のWi-Fiを使用する。

十分な規模に達したと見たGoogleは今年から、有料の高速接続を別途提供して、この事業の収益化を開始した。これまでの標準プランにも広告という収入源はあるが、それは鉄道会社や通信会社と分有されている。

400駅800万人という到達点は、Googleにとってまだ“旅の途上”だ。今後は鉄道駅以外にもWi-Fi接続ポイントを全国的に設置していく意向だ。

GoogleのNext BillionチームのVP Caesar Senguptaはブログでこう述べる: “インドはインターネット人口が世界で第二位に多い。しかしそれでも、オンラインでない人口がまだ10億近くいる。われわれの計画も、あと数百万はまだ未達成だ。そもそも、駅を利用しない、あるいは駅に近くない人びとも多い”。

この事業は今、インドネシアやメキシコなどにも根付きつつある。Senguptaによれば、今後対象国はさらに増やしていくそうだ。

しかし無料のWi-FiはGoogleの専売特許ではない。FacebookのInternet.orgはネットの中立性に違反しているとしてインドで禁じられたが、昨年その後継システムがインドでローンチした。Facebookはそれについてあまり語らないが、規模ではGoogleにとうてい及ばないだろう。

Googleがインドで展開しているのは無料のWi-Fiだけではない。検索など主要サービスもインドでそのデータフレンドリーな(データ通信をあまり消費しない)バージョンを提供しているし、またモバイルの決済ネットワークTez食品配達サービス、そしていちばん最近は地域コミュニティのためのソーシャルネットワークを立ち上げた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Twitterの軽量版「Twitter Lite」24ヶ国でリリースへ

Twitterはフィリピンで行ったトライアルの成功を受け、”軽量版”アプリの世界展開を決定した。アンドロイド向けの「Twitter Lite」は、アフリカ、アジア、ヨーロッパ、中東、南米の計24ヶ国でリリースされる予定だ。

同社はこれまで、「Facebook Lite」のような途上国向けのアプリの開発に取り組んできた。Twitter Liteではデータ消費量が最小化されているため、通信費用の高い地域でも消費者はTwitterを利用しやすくなる。

Twitter Lite

さらに同アプリは、通信速度が遅い環境でも情報を早く読み込めるような仕組みになっている。これに関し、Twitter Liteは2Gや3Gのような「不安定なモバイルネットワークに強い」と語る同社。アプリのサイズ自体も3MBを下回っているので、ユーザーはストレージ容量を節約できる。

Twitter Liteが利用できる地域は次の通り。アルジェリア、バングラデシュ、ボリビア、ブラジル、チリ、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、エジプト、イスラエル、カザフスタン、メキシコ、マレーシア、ナイジェリア、ネパール、パナマ、ペルー、セルビア、エルサルバドル、南アフリカ、タイ、チュニジア、タンザニア、ベネズエラ。

Twitterによれば、フィリピンでのトライアル期間中には、現地ユーザーのツイート数が50%以上も増加したという。

Twitter Liteのリリースを受けて、海外のTwitterユーザーの数はさらに増えていくだろう。ちなみに現在の総MAU(月間アクティブユーザー数)は3億3000万人で、そのうち8割がアメリカ国外のユーザーだ。

同社の株主もその様子を注視している。というのも、Twitterの株価は数年間上下し続け、過去1年間でようやく安定期に入ってきたのだ。とはいっても、現在の株価20.58ドルは、2014年初頭の最高値69ドルの3分の1でしかない

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(翻訳:Atsushi Yukutake

Googleが途上国のひ弱なデータ通信で効率的経済的に使える検索アプリをテスト中

Googleは近く、同社の検索モバイルアプリの‘携帯のデータ通信にやさしい’バージョンを出すようだ。

そんなアプリを今同社は、インドネシアでテスト展開しているらしい。Android Policeの、鷹のような目をした連中が、そのことに最初に感づいた。。

その“Search Lite”(軽量級検索)という名前は、本誌の理解ではアプリの名前ではなくて、むしろそれの正確な説明だ。要するにそれは、Googleの検索アプリを改造して、接続が貧弱なところとか、データ通信をたくさん使えない契約、メモリの小さいスマートフォン、など向けに最適化したのだ。

その意味でそれは、Googleが昨年インドで立ち上げたYouTube Liteアプリに似ている。FacebookやLinkedIn、Twitterなどにも‘lite’バージョンのアプリがある。そういう、データにやさしいアプリにとって、インドは重要な市場だから、検索アプリも本番展開はまずインドからだろう。

このアプリはWebの検索が楽になるだけでなく、ニュースや天気予報やGoogleの翻訳サービスにも直行できる。つまりアプリの中から外部のWebサイトに行ける専用のブラウザーがあるので、これもデータの節約に寄与する。

画像提供: Android Police

Googleはこのアプリについて具体的なコメントをくれなかった。

“私たちはユーザーの体験をもっとも便利かつ最適にすべく、つねにプロダクトに関し実験を行っている。これは、インドネシアのユーザーのために検索体験を良くするための新たな実験的アプリである”、とGoogleのスポークスパーソンは申された。

Googleは個々のアプリだけでなく、サービス本体を途上国市場向けに最適化することにも腐心している。インターネットユーザーの次の10億人が、この市場にいるからだ。同社はAndroidも軽量バージョンAndroid Goを開発してスマートフォンをより強力にし、またさまざまな戦略的買収を東南アジアや最近ではインドで繰り返し、途上国市場専任の技術者チームを作ろうとしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))