妊娠しやすい時期を特定できるウェアラブル端末のAvaがシリーズAで970万ドルを調達

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11月15日(現地時間)、女性の生殖に関する健康にフォーカスするメディカル・テクノロジーのAvaは、シリーズAで970万ドルを調達したことを発表した。本ラウンドでリード投資家を務めたのはヨーロッパのPolytech Venturesで、この他にもBlue Ocean Ventures、Global Sources、既存投資家のSwisscomとZKBも出資に参加している。Avaは2015年9月に開催されたTechCrunchのStartup Battlefieldの卒業生だ。

Avaにとって最初のプロダクトである女性周期をトラッキングできるブレスレットは、クラス1の医療用デバイスとして認められ、「妊娠の窓」と呼ばれる妊娠しやすい期間をより正確に特定できるようになった。

ブレスレットの価格は199ドルで、今年7月から出荷が始まっている。私たちが最後に同社を取材した時には、彼らはちょうどUniversity Hospital of Zurichで行なわれた臨床実験を終えたところだった。この臨床実験には41人の女性が参加した。この実験の結果、Avaのデバイスを利用すれば89%の精度で1回の周期につき平均5.3日の妊娠可能日を特定することができることを証明した。ユーザーからの報告によれば、2017年には8人の「Avaベイビー」が誕生する予定だ。

今回調達した資金の使い道については、通常の製品開発費に加えて、研究費用や追加の臨床実験にかかる費用として使う予定だとしている。これまでに、Avaの研究によって女性の体温および心拍数と、「妊娠の窓」との間に相関関係が存在することが分かっている。

同社は近日中に2回目の臨床実験を予定しており、その実験には200人の女性が参加する見通しだ。今後Avaは、これまで収集した女性のカラダに関するデータによって新しい研究成果を発表することを目指している。そのデータには、尿中LHやエストリオール3-グルクロニド(エストロゲン代謝物)などのホルモンや、生体インピーダンス法による体脂肪率の表示、脈拍数、呼吸速度、睡眠時間、寝返り、心拍変動、皮膚温度、熱損失量、パヒュージョン(毛細血管から細胞への血液の動き)などの人体に関する各指標が含まれる。

また、Avaは先日「CEマーク」と呼ばれるEUの基準適合マークを取得しており、これによってEU加盟国でもプロダクトを販売できるようになった。2017年初めにはイギリス、ドイツ、オーストリア、スイスで販売を開始する予定だ。

共同創業者のLea Von Bidderは、Avaが目指すビジョンとは女性の人生のあらゆるステージにおいて彼女らをサポートすることだと話している。Avaは、女性が避妊するときも、子作りに励むときも、妊娠中も、そして閉経期であっても彼女らのサポートを続けていくのだ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Natural Cyclesが600万ドルを調達、避妊ピルが不要な社会を目指す。

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アプリで避妊することは可能だろうか?アプリに基礎体温を毎日入力しさえすれば、それは可能だ。少なくとも、ヨーロッパ出身のスタートアップNatural Cyclesはそう主張している。本日、妊娠能力のトラッキング・サービスのNatural Cyclesは、シリーズAラウンドで600万ドルの資金調達を完了したと発表した。リード・インベスターはスウェーデンのメディア企業Bonnierのベンチャー部門であるBonnier Media Growthだ。既存投資家のSunstoneとE-venturesも本ラウンドに参加している。今回の資金調達は、昨年に150万ドルを調達して以来となる。

ClueChiaroのように、女性起業家が立ち上げた健康分野のスタートアップである同社は、女性向けスマート・サービスのパイオニアとして投資家から注目を浴び、ここ数年で順調に資金調達を完了してきた。この分野は男性中心のテック企業が不得意としている分野でもある。

2013年6月に創立されたNatural Cyclesを率いるのは、夫婦で共に物理学者のElina Berglund博士と Raoul Scherwitzl博士だ。北欧に本拠地をおく同社は、2014年10月に英国にも事業を拡大した。現在は161ヵ国で合計10万人のアクティブユーザーを抱える企業へと成長している。Natural Cyclesは会員制のサービスであり、2015年の収益は200万ドルだった。

このアプリは排卵後に女性の体温が上昇するという性質を利用している。つまり、毎日の体温を正確に計測し、飲酒などによる体温の上昇をアルゴリズムによって排除することができれば、理論的には排卵日を予測できるというわけだ。それにより、女性の妊娠可能期間をピンポイントで予測することが可能だ(それには精子の生存率も織り込まれている)。

ただし、多くの要素が人間の体温に影響を与えることは留意しなければならない。そして、基礎体温を子作り計画に利用すること自体、その有効性を疑問視する声もある。その一方でNatural Cyclesは、避妊研究が専門のスウェーデン人研究者Kristina Gemzell氏を同社の顧問に加え、共同で臨床研究を行っている。アップデート:TechCrunch宛てのEメールにおいてGemzell氏は、避妊ピルと同様の「現実的な効用」を示すデータベースの分析に関わっていることを明らかにした。しかし、現在のところ「避妊ピルの効用との直接的な比較研究結果」は存在しないという。

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Natural Cyclesは妊娠の可能性が高い日と、そのリスクが低い日をシンプルに赤と緑のカラーで示している。ユーザーは自身の体温をアプリに入力する必要がある。共同創業者のScherwitzl氏によれば、過去にはワイアレスの体温計を開発して体温の入力を省くという計画があったが、資金調達に向けて予測の正確性を計測する必要がある関係上、その計画は今のところ保留となっているという。

Natural Cyclesのチームはこれまでに、アプリの正確性を調査する目的で4000人の女性を対象とした大規模の研究を実施している。Scherwitzl氏によれば、この研究によって避妊ピルを使用した場合と同等のレベルにまでアプリの正確性を高めることができたという。避妊器具やピルなどの「一般的な使用」を想定する(そのため、ヒューマン・エラーも想定されている)パール・インデックスを算出すると、同アプリを利用した場合、100人中7人の確率で避妊に失敗するという結果になる。それに対し、避妊ピルを利用した場合は100人中9人の確率だ。ヒューマン・エラーを除外した「理想的な使用」を想定した場合には、Natural Cyclesが避妊に失敗する確率は1000人中5人の確率である一方で、避妊ピルの使用では1000人中3人の確率となる。

今回の資金調達の目的の一つは、製品の有効性を実証するために追加研究を行うことだ。それには、Scherwitzl氏が「標準評価基準」と称する、避妊ピルの有効性との比較研究も含まれる。

「私たちが目指しているのは、(中略)ランダム化比較試験です」と彼は話す。「現状、私たちは日常的にNatural Cyclesを利用する女性を対象として、その妊娠確率を計測しています。今後は避妊ピルとのランダム化比較試験を行っていきたいと考えています。つまり、1000人の女性で構成されたグループに私たちのサービスを1年間利用してもらい、同じく1000人で構成されたもう一方のグループには1年間避妊ピルを利用してもらうのです。その研究が開始されるまで、彼女たちがどちらのグループに属することになるのかは秘密にしておきます。(中略)異なる避妊法の効用を比較することができ、非常に興味深い研究となるでしょう」。

これに加え、妊娠能力に影響を与えうるファクターを調査する研究も実施される予定だ。

「妊娠能力に関するデータを数多く入手することができ、とても興味深く感じます。どのようなことが妊娠能力に影響を与えるのかということを知ることができるのです。それに関する文献はすでに存在していますが、今の私たちには大規模なデータセットがあります。とてもハイクオリティなデータです。そのデータを解析し、新しい発見を探すことは、とても興味深い研究となるでしょう」とScherwitzl氏は加えた。

利用しやすいアプリと会員制のサービスによって避妊をシンプル化し、医薬品に頼らない避妊法を提供することが彼らのビジネスの目的だ。そして、ひとたびサービスの有効性が広く認知されれば、そのマーケットは大きく拡大する可能性を秘めている。女性たちが避妊ピルを捨て去る日が来るのだ。

現在のところ、Natural Cyclesは母国スウェーデンにおいて特に優れた結果を残している。Scherwitzl氏によれば、同社は18ヶ月でスウェーデン国内の避妊マーケットのシェアを4%獲得することに成功したという。しかし、彼らの目はすでに海外に向けられている。今回調達した資金によってチームを拡大し、米国マーケットに攻勢をかける構えだ。

「私たちは本気で巨大企業をつくり上げようとしています。私たちのビジョンは避妊の方法に新しい選択肢を加え、より効果的な妊娠活動を推進することです。すべての妊娠が、望まれた妊娠である世界です」とScherwitzlは語る。「それに関連する最良のサービスや製品を提供していきたいと考えています」。

「避妊における大きな問題の一つは、イノベーションの不足です」。同社の競合について聞かれると、彼はこう話した。

「医薬品企業は避妊という分野から資金を引き上げてきました。完全に引き上げたとまでは言いませんが、その動きはとても顕著なものでした。そのため、この分野で何か新しいものが生まれることは滅多にありませんでした。(中略)ですから、この分野で努力をすれば、それは社会のためになると信じていました。そして、人々に新しい選択肢を与えることができるのです。避妊というものは、自分に一番合った方法で行うべきものであって、3つか4つの選択肢から選ぶものではないのです」。

「自身のマーケットを守っているという点で、医薬品企業は面白い存在です。彼らの動向を観察することは重要です。この分野のアプリが登場し、デジタル企業がマーケットに参入するという時代の波に対して、彼らはどう対応していくのか。それは新しいマーケットである一方で、彼らにとっても新しい領域となるのです」。

妊娠能力、特に子作り活動をする夫婦をターゲットにしたアプリや製品はすでに多く存在している。その一方で、Natural Cyclesは早くから避妊アプリとしてのポジションを明確にしており、そのことが同社の存在を一層際立たせたと言えるだろう。しかし、同アプリを避妊アプリとして利用する女性の多くは、それを子作り活動のためにも利用しているとScherwitzl氏は話す。そのため、今後は子作り活動への利用も促進していくつもりだ。

彼は、「私たちのアプリを子作りのために利用する女性が増えてきており、私たちは今後その用途についても注力していこうと考えています」と語り、ユーザーの妊娠可能期間を示すことで、より効率的な妊娠活動をすることができると主張した。

「私たちはその研究に取り組んでいる最中であり、その結果は近いうちにお届けすることができるでしょう」。

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Twitter /Facebook