土木技術者・実務者のインフラ工事BIM・CIM導入を加速する工事計画用3D建設データ308製品が公開

土木技術者のインフラ工事BIM・CIM導入を加速する工事計画用3D建設データ308製品が公開

建材商社の野原ホールディングスは1月31日、一般社団法人Civilユーザ会(CUG)、BIMobject Japan(ビムオブジェクト・ジャパン)と共同で、BIMおよびCIMのための土木建築関連308製品の3D建設データを公開したと発表した。

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデル)、CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング・マネージメント)とは、どちらも建設関係の部材などを3Dモデル化して、関連する情報を付帯させる取り組みのこと。BIMは、建築部材の3Dモデルに付属情報のデータベースを連携させたもの。CIMは、BIMの発展型で、設計、施工、維持管理など、全ライフサイクルにわたる情報の管理と共有を可能にしたものだ。

国土交通省は、2012年から橋梁やダムの建設にBIMとCIMを導入し、「2023年までに小規模工事を除くすべての公共事業にBIM・CIMを原則適用」を決定している。野原ホールディングスは、「急務となっているCIMデータ活用には土木技術者が利用しやすい環境の創出が必要」と考え、BIMおよびCIMを推進するCUGとこの取り組みを開始した。今回公開された3D建設データは、CUGメンバーの技術者によって作成されたもので、実務重視の使いやすさが特徴だという。

建設機材の3Dモデルも公開

建設機材の3Dモデルも公開

そのデータは、BIMobject Japanが国内で運営する、建設資材や設備などのメーカー製品のBIMコンテンツやデータを提供するプラットフォーム「BIMobject」で入手できる。CUGのサイトを通じてに無料会員登録をすれば、インフラ工事に必要な構造物、建設機材、仮設材、安全施設など308製品がダウンロードできるようになるとのことだ。

PCやスマホで建機・重機を遠隔操作できる「Model V」を東大発ARAVが提供開始、後付け装着でも利用可能

建設現場のDX・自動化を目指す東京大学発スタートアップのARAVは6月18日、スマホ・PCなどで建設機械(建機)を遠隔操作できるようにするシステム「Model V」の提供を開始した。10~20年以上前に発売されたような古いタイプの建機でも、改造することなく後付けで装着することで遠隔操作が可能になる。

現在建築現場では、「年間死亡者数が多い」「若者の就業率が低く高齢化が深刻」「建設・採掘の人手不足が加速」といった課題があり、安心・安全な働きやすい環境を整備することが急務となっている。

  • 年間死亡者数が約300人以上おり、全産業の33%前後と危険な現場
  • 29歳以上の就業者が11%。全産業と比較して若者の就業率が低く高齢化が深刻
  • 建設・採掘の有効求人倍率が約16%と人手不足が加速

また建築現場の建築機械についても、「粉塵が舞っている」「『高所や斜面での作業』といった環境要因を改善し、作業員が働きやすい環境を作りたい」「『夏は暑く冬は寒い』という季節要因にとらわれず作業をしたい」といったニーズがあるという。

ARAVではこれらの課題を解決するため、インターネット経由で建機を遠隔操作可能なシステムを開発・提供してきた。そして今回、過去に提供してきたシステムを改善・パッケージ化し、Model Vとして提供を開始した。ARAV調べ(2021年5月31日現在)では、スマートフォンやノートPCなどマルチデバイスに対応し、独自技術でセキュアにインターネットを介し建機を遠隔操作できるのは同社のみとしている。

Model Vは、エッジコンピューターやアタッチメントなどのハードウェア、遠隔操作組み込みソフトウェア、操作時のインターフェースを含むシステムとして構成されている。プロダクトを建設機械に取り付けることで、スマートフォン・タブレット・PCなどの通信機器から遠隔操作が可能になる。

PCやスマホで建機・重機を遠隔操作できる「Model V」を東大発ARAVが提供開始、後付け装着でも利用可能

プロダクトイメージ。画像は制作途中のものにつき、実際の仕様とは異なる場合がある

PCやスマホで建機・重機を遠隔操作できる「Model V」を東大発ARAVが提供開始、後付け装着でも利用可能

取り付けイメージ。画像は制作途中のものにつき、実際の仕様とは異なる場合がある

また遠隔操作時にスマートフォン・タブレットを利用している場合は、タッチ操作に対応。専用・汎用のコントローラーを取り付けるとより快適に操作できるという。無線・有線の汎用コントローラー、ジョイスティックコントローラーなども接続でき、ARAVは操作者に合わせたインターフェースを用意するとしている。

東大発ARAVがスマホ・PCで建機建機を遠隔操作できる「Model V」を提供開始、後付け装着でも利用可能

ノートPCとジョイスティックコントローラーを組み合わせた利用イメージ

東大発ARAVがスマホ・PCで建機建機を遠隔操作できる「Model V」を提供開始、後付け装着でも利用可能

スマホを利用した操作イメージ

なお「Long Range Ver.」と「Short Range Ver.」の2種類があり、Long Range Ver.では、1141km離れた土地からも遠隔操作が可能だ(実証実験を伴う接続可能距離の最大実測値)。過去に富士建と行った共同の実証実験では、東京・佐賀間で遠隔操作に成功しており、離れた県での使用も問題なく行なえるという。

Short Range Ver.では、100kmまでの接続・操作が可能としている。これは、「現場と本社」「現場と操作者がいる場所」などの距離が100km圏内であることが前提の場合に適しているそうだ。

 

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カテゴリー:モビリティ
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