ウクライナ侵攻に対する経済制裁により、ロシア国内でApple PayやGoogle Payなどが利用停止

ウクライナ侵攻に対する経済制裁により、ロシア国内でApple PayやGoogle Payなどが利用停止ロシアのウクライナ侵攻を受けて、米国政府およびEUはロシアの大手銀行5行に対して外国為替取引の制限を含む経済制裁を実施しました。その結果、現地の主要銀行口座と紐付けられたApple PayやGoogle Payなどのデジタルウォレットがロシア国内で利用停止となったと伝えられています。

ロシア中央銀行は25日、制裁対象となった銀行の顧客は海外でカードを使用できなくなり、制裁を支持する国に登録されている企業のオンライン決済ができなくなると発表しました。

公式声明によると、影響を受ける銀行はVTBグループ、ソブコムバンク、ノビコムバンク、プロムスヴィヤズバンク、オトクリティの5つ。これら5つの銀行が発行するカードは、Apple PayやGoogle Payで使えなくなったと指摘しています。

なおロシアの顧客は、ロシア国内では物理的なカードを使って非接触決済を行うことができるとのこと。現時点では、上記の5行と紐付けられたApple PayとGoogle Payの決済は同国内で無期限で停止されており、再開のめどは立っていません。

今回のできごとは、あくまで「Apple PayとGoogle Payと取引ある地元銀行が経済制裁の対象となった」ためです。しかし米バイデン政権は追加制裁として半導体などハイテク製品の輸出規制も決定しており、その範囲がうわさ通りソフトウェアや通信プロトコルにも及べば、ロシア国内でApp StoreやGoogle Playストアが使えなくなる事態もあり得そうです。

(Source:Bank of Russia。Via BusinessInsiderEngadget日本版より転載)

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ケニア中央銀行がデジタル通貨の導入について国民から意見を募集

ケニアの中央銀行は、デジタル通貨導入の可能性について、5月20日まで国民に意見を求めることにした。ザンビアでもデジタル通貨の実行可能性をテストしていることが明らかになった翌日のことだ。

ナイジェリアは2021年10月、アフリカで初めて「eNaira(eナイラ)」と呼ばれる中央銀行デジタル通貨(CBDC)を導入し、ガーナでは「E-Cedie(Eセディ)」の導入に向かって進んでいる段階にあると言われている。Bank of Zambia(ザンビア銀行)もデジタル通貨について調査を進めているところだ。CBDCはBitcoin(ビットコイン)やEthereum(イーサリアム)のような暗号資産とは異なり、各国の中央銀行から発行され、国のフィアット通貨に固定される。

関連記事:ナイジェリアが中国の足跡を追ってデジタル通貨を試験的に導入

ケニア中央銀行(CBK)は現地時間2月10日、国民討論の基礎資料としてこの文書を発行し、コスト削減、相互運用性、クロスボーダー決済の強化が、国内でのデジタル通貨導入の主な推進力になると指摘している。CBKは、東アフリカ最大の経済大国であるケニアが2007年に先駆的に導入したモバイルマネー(電子マネー)が、デジタル通貨の価値提案の1つである金融サービスへのアクセス強化にすでに貢献していると述べている。

「ケニアの国内決済の傾向は、強固で包括的かつ非常に活発なデジタル通貨(電子マネー)の存在を示しています。したがって、ケニアの決済システムにCBDCを導入することは、モバイルマネーが普及していることを考えると、金融サービスへのアクセスを強化することが主要な目的にはなりません」とCBKは述べている。

CBKのデータによると、ケニアの3800万人のモバイルマネー加入者は、2021年の1〜11月の間に総額550億ドル(約6兆3000億円)の取引を行っている。これは前年同期比の20%増となる数字だ。

「将来を見据えると、我が国の決済システムを地域や世界とつなぐことが重要になります。既存の提案は、CBDCがこの相互運用性を実現する可能性を秘めていることを示しています」と、CBKは述べている。

CBKは、他の通貨と互換性のあるデジタル通貨が、時間とコストがかかっている現在のクロスボーダー決済を、改善する役割を果たす可能性があると述べている。IMF(国際通貨基金)によると、CBDCをどのように国境を越えた支払いに使えるようにするかについての議論は進行中だが、これにも潜在的なリスクがあるという。

IMFは2月9日付で発表した文書の中で「リテールCBDCが国境を越えて利用できるようになると、通貨代替の増加や金融ショックへの脆弱性など、マクロ経済に悪影響を及ぼす可能性がある」と述べている。

現在までに9カ国がデジタル通貨を導入しており、カリブ海諸国以外で導入を開始した国はナイジェリアが初めて。14カ国が試験的な運用段階にあり、87カ国が導入を検討をしている。

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(文:Annie Njanja、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

銀行口座のマイクロサービス化を目指すフランスのフィンテックNumeral

企業の銀行口座のアップグレードを目指すフランスのスタートアップ、Numeral(ニューメラル)を紹介する。クライアントが最新のアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を使ってNumeralとデータをやり取りする一方で、このスタートアップは銀行のサーバーに直接接続して決済ファイルをアップロードし、時代遅れの情報システムとデータをやり取りする。その複雑なレイヤーを抽象化することで、銀行口座をアーキテクチャの中の別のマイクロサービスのように扱うことができる。

Numeralは1月にBalderton Capitalがリードする1300万ユーロ(約17億円)の資金調達ラウンドを発表した。Alexandre Prot(アレクサンドル・プロット)氏、Tom Blomfield(トム・ブロムフィールド)氏、Guillaume Princenn(ギヨーム・プリンセン)氏、Kima Venturesも参加した。Numeralのチームはもともと、eFoundersが創設したスタートアップスタジオ「Logic Founders」内でプロジェクトに取り組み始めた。

Numeralを説明する最も良い方法は、同社が何でないかを説明することだ。Numeralは、消費者向けアプリのためのオープン・バンキング・アグリゲーターではない。TinkTrueLayerYapilyとは競合しない。

また「banking-as-a-service(バンキング・アズ・ア・サービス)のプロバイダーでもない。同社は銀行口座を提供せず、IBAN(国際銀行口座番号)を生成せず、カードも発行しない。

「我々は、テック企業のための決済自動化プラットフォームです」と共同創業者でCEOのÉdouard Mandon(エドゥアール・マンドン)氏は話す。「テック企業が銀行口座に接続し、決済業務を自動化できるようにします」。

リテールバンクはAPIを提供し始めたばかりだが、コーポレートバンクは何年も前から銀行プラットフォームをオープンにしている。しかし、ドキュメント・ページがあるREST APIだと思わないで欲しい。多くの銀行は、ユーザーがSFTPサーバーにテキストファイルをアップロードすることを想定している。そのファイルは、非常に特殊な方法でフォーマットされることになっている。

Numeralは、銀行送金に大きく依存しているフィンテック、インシュアテック、不動産会社などに製品を販売している。例えば、同社の最初の顧客はSpendeskSwileだ。Numeralは、同社の最初の顧客となったSpendeskとSwileのために統合機能を作成し、2社がAPIを使って銀行口座とデータをやり取りできるようにした。

2022年末までに、Numeralは12の銀行に対しサービスを提供する予定だ。「今のところ、私たちの顧客の半分は、フランスの銀行を通じて私たちのサービスを発見しています。その銀行はNumeralのことを、彼らが提供していないAPIだと説明しています」とマンドン氏は話す。

統合が完了すると、Numeralの顧客は決済機能やアプリの機能を統合できる。同社は、技術者でないスタッフ向けにウェブアプリも提供している。この方法では、銀行が提供するレガシーなウェブアプリを使わずに、決済と口座を照合できる。

Numeralでは、APIの上にいくつかの機能を追加できる。例えば、承認ワークフローや通知システムなどの設定を想像して欲しい。

このスタートアップは、オーケストレーション機能についても考えている。顧客が複数の銀行口座を持っている場合、いくつかのルールに従って、適切な口座に決済を回すことができる。また、Numeralは、複数の口座の現金残高を積極的に管理する目的でも利用可能だ。

複数の国に口座を持つグローバルな顧客には、特に有効だろう。マンドン氏は、Numeralを立ち上げる前にiBanFirstに勤務していたため、複数の国にまたがる複数の提携銀行を持つことについては、よく理解している。

今回の資金調達で、Numeralは30〜40人のチームに成長する予定だ。フランスの銀行との新たな提携に加え、ドイツ、英国、スペイン、イタリアなど、他のヨーロッパ諸国にもサービスと顧客基盤を拡大する。

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

財務データのフローを自動化するフィンテック「LiveFlow」がYCやKlarna創業者からシードで約4億円調達

CTOのエバン・オブライエン氏、CEOのラッセ・カルカー氏、COOのアニータ・コイミュール氏(画像クレジット:LiveFlow)

フィンテックのスタートアップ「LiveFlow(ライブフロー)」は、Moonfire Venturesがリードし、Y Combinator(YC、Yコンビネータ)、Seedcamp、WndrCoが出資したシードラウンドで、350万ドル(約4億円)を調達した。また今ラウンドには、Klarna(クラーナ)の共同創業者であるVictor Jacobsson(ビクター・ヤコブソン)氏、元Google(グーグル)の製品担当VPであるBradley Horowitz(ブラッドリー・ホロウィッツ)氏、元Airbnb国際展開担当VPのOliver Jung(オリバー・ユング)氏、Peakonの創業者兼CEOのPhillip Chambers(フィリップ・チェンバース)氏などが参加した。

LiveFlowは、会計サービス、銀行、決済プラットフォームからのリアルタイムデータをカスタムレポートに同期させることで、ワークフローの自動化、企業アカウントの統合、全社的なコラボレーションを可能にする。

CEOのLasse Kalkar(ラッセ・カルカー)氏、Anita Koimur(アニータ・コイミュール)COO(元Revolut)、Evan O’Brien(エバン・オブライエン)CTO(元Web Summit)によって約1年前に設立されたLiveFlowは、Ascent CFO、CFO Minded、TinyCFOなどの会計事務所や、Y Combinator発のスタートアップ企業など、ほとんどの顧客を米国内に抱えている。

LiveFlowの共同設立者兼CEOであるカルカー氏はこう語る。「以前、勤めていた会社では、財務報告書を手作業でまとめることにフラストレーションを感じていました。LiveFlowのアイデアはそこから生まれたのです」。

Moonfire Venturesの創設者兼マネージングパートナーのMattias Ljungman(マティアス・リュングマン)氏は次のように述べている。「LiveFlowは、レポート作成プロセスを自動化・合理化することで重要なサービスを提供し、企業がビジネスをよりよく管理するために必要な可視性とリアルタイムの情報を提供します」。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

米当局が重大なサイバーセキュリティ事案の36時間以内の報告を銀行に義務付け

米国の金融規制当局は、銀行が「重大な」サイバーセキュリティ事案を発見した場合、発見から36時間以内に報告することを義務付ける新ルールを承認した。

この規則では、銀行は業務の実行可能性、商品やサービスを提供する能力、または米国の金融セクターの安定性に重大な影響を与えているか、または与える可能性が高い事案について、連邦監督機関に報告しなければならない。対象には、顧客の銀行サービスへのアクセスを妨害する大規模なDDoS(分散型サービス妨害)攻撃や、銀行業務を長期間不能にするコンピュータハッキング事案などが含まれる。

さらに、銀行(この規則では国立銀行、連邦協会、外国銀行の連邦支店を含む「銀行組織」と定義されている)は、事案が4時間以上にわたって顧客に重大な影響を与えた場合、または与える可能性がある場合には「できるだけ早く」顧客に通知しなければならない。

「コンピュータセキュリティ事案は、破壊的なマルウェアや悪意あるソフトウェア(サイバー攻撃)だけでなく、ハードウェアやソフトウェアの悪意のない故障、人為的なミス、その他の原因によっても発生する可能性があります」と、コンピュータセキュリテインシデント通知最終規則は説明している。「金融サービス業界を標的としたサイバー攻撃は近年、その頻度と深刻さが増しています。これらのサイバー攻撃は、銀行組織のネットワーク、データ、システムに悪影響を及ぼし、最終的には通常の業務を再開する能力にまで影響を及ぼす可能性があります」。

連邦預金保険公社(FDIC)、連邦準備制度理事会(Board)、通貨監督庁(OCC)によって承認されたこの最終規則は2022年4月1日に発効し、2022年5月1日までの完全遵守が求められる。

このルールが、銀行スタートアップやフィンテック企業にも適用されるかどうかは不明だ。TechCrunchはFDICに詳細を問い合わせたが、すぐには返答が得られなかった。

金融規制当局は2020年12月に初めて通知義務を提案したが、業界団体から否定的なフィードバックがあったため、最終規則の一部要素の変更を余儀なくされた。例えば、当初の案では、銀行が重大なサイバー事案に見舞われたと「誠意を持って信じた」場合に事案を報告しなければならないとされていたが、銀行はかなりのサイバー事案に直面してきており、これでは広範な事案が過剰に報告される恐れがあると業界から警告され、ルールは変更された。

「コメントを慎重に検討した結果、当局は『誠意の信念』の基準を銀行組織の判断に置き換えています」と最終規則の概要に記載されている。「提案されていた『誠意をもって信じる』という基準は主観的で不明確すぎると批判したコメントに、当局は同意しています」。

この規制についてコメントしていた業界団体の1つであるBank Policy Institute(BPI、銀行政策研究所)は、最終規則を支持すると声明で述べた

BPIのテクノロジーリスク戦略担当上級副社長であるHeather Hogsett(ヘザー・ホグセット)氏は「BPIはタイムリーな通知の価値を認識しており、重大なインシデントが発生した際に規制当局や関係者に通知するための明確なタイムラインと柔軟なプロセスを確立した最終規則を支持します。この規則はまた、通知と報告を明確に区別している点でも重要です。サイバー事案の通知は、規制当局と銀行の早期の連携を促し、銀行が事案に対応したり調査を行ったりしている間に、規制当局が金融システム全体に広範な影響を及ぼす可能性のある状況を認識できるようにします」と述べた。

画像クレジット:Robert Alexander / Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Nariko Mizoguchi

ナイジェリアが中国の足跡を追ってデジタル通貨を試験的に導入

中央銀行は世界中で通貨の流通と供給を統制しているが、暗号資産の驚異的な増加により、その権威、統制、権力が脅かされている。

そのため世界各国の中央銀行は現在、独自のデジタル通貨を生み出している。現地の活動や暗号資産への関心(米国に次いで2番目に大きな暗号取引市場)に支えられたアフリカ大陸の革新的な動きとして、ナイジェリアが2021年10月下旬、そのリストに名を連ねた。

ナイジェリアの中央銀行は過去3年間の開発段階を経て、現在アフリカ初のデジタル通貨の試験運用を行っているところだ。

これまでに中国、スウェーデン、韓国など14カ国が独自の中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)の試験段階に入っており、合計81カ国がその他の段階でCBDCを模索中である。

バハマ、グレナダ、セントクリストファー・ネイビス、アンティグア・バーブーダ、セントルシアの5カ国のみが正式にローンチしている。

eNaira(eナイラ)と呼ばれるこのデジタル通貨は、ナイジェリア中央銀行(CBN:Central Bank of Nigeria)が支援・発行する。ほとんどの政府と同様、ナイジェリアがデジタル通貨を導入する理由は、物理的な現金よりもコスト効率が高く、銀行口座を持たない人々の金銭へのアクセスを容易にし、違法行為をある程度制限できることにある。

しかし、中央銀行が発行するデジタル通貨には利点がある一方で、市民に対する監督を行ってきた、あるいは監督を試みてきた実績のある政府によってそれがどのように利用されるのかという懸念が存在する。

eNairaについてこれまでにわかっていること

この試験的なローンチに向けて、CBNは8月、デジタル通貨の開発と展開のための事業者としてバルバドスを拠点とするBitt Inc.(ビット・インク)を選定した。

同社は、東カリブ海諸国通貨同盟(ECCU:Eastern Caribbean Currency Union)に協力し、デジタル通貨DCash(Dキャッシュ)の設計とローンチを支援してきた実績を持つ。DCashは独自のCBDCを完全にローンチした5カ国のうちの4カ国、アンティグア・バーブーダ、グレナダ、セントクリストファー・ネイビス、セントルシアで使用されている。

9月27日、CBNはeNairaのウェブサイトを立ち上げ、ナイジェリア人がどのように同国のデジタル通貨にアクセスし、利用できるかについて必要な情報を提供した。

ナイジェリア人は最初にeNairaモバイルアプリをApple StoreかPlay Storeでダウンロードする必要がある。サイト上のQRコードをスキャンしてサービスにアクセスすることも可能だ。

ユーザー登録後、お金の保管や送受信を行うためのSpeed Walletと呼ばれるウォレットを登録・作成する。プラットフォーム上では、銀行口座を持つ、あるいは持たない、さまざまなIDレベルのユーザーに対応するために、複数層のウォレットが用意されている。

ウェブサイトには、eNairaの4つの主要機能が掲載されている。顧客がeNairaウォレットからお金を移動できる統一決済システム、ユーザーが残高や取引履歴を確認できる銀行口座管理機能、QRコードを読み取って店頭で支払いができる非接触型決済サービス、そしてユーザー同士がリンクされた銀行口座やカードを介して送金を行うP2P決済だ。

暗号資産がCBDCに移行

ビットコインのような暗号資産は、従来のグローバルな銀行システムの枠を超えて生み出されたにもかかわらず、お金のデジタルな未来についてのポテンシャルを際立たせている。そしてその普及率の急激な上昇は、お金の将来を決定づけることにおいて、伝統的な機関との衝突につながっている。

暗号資産に対する議論は、一般的には詐欺やボラティリティに関する懸念に焦点が当てられてきた。それでも、エルサルバドルのような一部の国では、ビットコインを法定通貨として使うことをやめていない。ビットコインや暗号資産を自国の銀行や金融システムへの脅威と考える他の国々にとって、CBDCは、法定通貨以外のものへの関心の高まりに直接代わるものとして機能する。

Blockchain Nigeria User Group(ブロックチェーン・ナイジェリア・ユーザー・グループ)の創設者でコーディネーターを務めるChimezie Chuta(チメジー・チュタ)氏は、TechCrunchの取材に対して次のように述べている。「CBDCの概念は、中央銀行にとって不可欠なものとなっています。お金は人々を統制するためのツールです。ビットコインやイーサリアムのような非公開で発行された暗号資産の流入は、世界中の中央銀行の権威に対する直接的な挑戦であり、中央銀行は主要な統制ツールが損なわれるのを許容することはできないと考えています。CBDCは、弱いながらもその対抗策として浮上してきたのです」。

暗号資産はかなり独立性がある一方、デジタル通貨は紙の通貨と同じ価値を有している。ナイジェリアの場合、eNairaはナイラに連動しており、ナイラと同様に米ドルに対して変動する。

CBDCと暗号資産のもう1つの重要な違いは、前者が規制と統制にさらされていることにある。これは中国とナイジェリアの政府の核心にある共通のテーマだ。

2014年以降、中国は中央銀行である中国人民銀行(PBOC:People’s Bank of China)が支援する国家デジタル通貨(デジタル人民元)の開発に取り組んできた。その前年に、中国政府は銀行や決済企業がビットコインなどの暗号資産関連サービスを提供することを禁止している。

2017年には、中国はマイニング、イニシャル・コイン・オファリング(ICO:Initial Coin Offering)、および暗号資産取引プラットフォームが法定通貨を暗号資産に変換することを禁止した。

しかしこの禁止にもかかわらず、ビットコインや他の暗号資産はそれ以降もこのアジアの国で大きな牽引力を得てきた。そのため、2021年5月には、フィンテック企業が暗号化プラットフォームに口座開設、登録、取引、清算、決済に関するサービスを提供することを禁止する、より厳格な法律を制定した。

これまで中国は、地元の暗号資産プラットフォームのみをターゲットにしており、個人がオフショア取引所で暗号資産を保有することは禁止していなかった。

しかし2021年9月、中国政府が暗号資産取引(マイニングを含む)に関するすべての取引を違法であると宣言したことで状況は変わった。同政府はまた、Binance(バイナンス)のような海外の暗号資産取引所が中国本土の人々にサービスを提供することも違法であるとしている。

「中国は過去に何度も暗号資産にまつわる『禁止』措置を取ってきましたので、驚くに値しませんが、今回は曖昧さがありません」とPwCの暗号資産リーダー、Henri Arslanian(ヘンリ・アルスラニアン)氏はツイートした。「中国では、あらゆる種類の暗号資産取引と暗号資産関連サービスが禁止されています。議論の余地はありません。グレーの領域は存在しません」。

一部のアナリストは、中国によるこれらの禁止や制限は、2022年にこのアジアの国が完全にデジタル人民元をリリースすることを目的としていると述べているが、その見方は妥当であろう。WeChat(ウィーチャット)とAlipay(アリペイ)が5回に4回のデジタル決済を行っているこの国で、流通している現金の一部を置き換えるためにデジタル人民元をローンチしたと中国政府は主張している。

暗号資産に対するさらなる取り締まりや監督の可能性

PBOCは政府の支援を受けて、上海、成都、北京で2020年4月から試験運用が開始されたデジタル人民元により、オンライン決済の市場シェアをAlipayとWeChatによる複占から取り戻そうとしているのかもしれない。

eNairaと同様に、ユーザーは中央銀行が開発・管理するモバイルアプリをダウンロードすることによってのみ、デジタル人民元にアクセスできる。これまでのところ、700万以上の個人のデジタルウォレットと100万以上の企業のウォレットがデジタル人民元を使用している。Business Insider(ビジネスインサイダー)によると、これらのトライアルから合計53億ドル(約6050億円)の取引が行われたという。

ナイジェリアは暗号資産マイニングの国ではないものの、国民は暗号資産のヘビーユーザーだ。Paxful(パックスフル)によると、多くのナイジェリア人がナイラの下落から自身の貯蓄を守るために暗号資産を利用しており、この西アフリカの国はビットコイン取引で米国に次ぐ2位に位置している。

Chainalysis(チェイナリシス)のデータに基づくと、ナイジェリア人は5月に24億ドル(約2700億円)相当の追跡可能な暗号資産を取引している。2月にナイジェリア政府がCBN経由で暗号資産取引の禁止やそのような取引への銀行の参加を制限し、暗号資産を使用するナイジェリア人の口座を閉鎖するよう銀行に命じたことを考えると、これは驚くべき数字である。

そして、中国と同様に、ナイジェリアのその後の行動は自国のデジタル通貨を試験導入する方向に傾いた。しかし中国とは異なり、ナイジェリアは現金中心の社会だ。バハマのような小国がデジタル通貨を導入した主な理由(金融包摂性の改善の可能性を含む)の1つがここにある。こうした目的に照らしてみると、ナイジェリアでのデジタル通貨の導入は紙面上では理に適っている。

しかし、それが暗号資産を使用したい人々へのインセンティブを減らすための政府の策略であることを理解する人がいる一方で、多くのナイジェリア人はその有用性に疑問を抱いている。だが、懸念すべき微妙な要素は他にもある。同国における暗号資産活動の監督や全面的な取り締まりに対するものだ。

典型的には、政府は金融取引を監視し、疑わしい、あるいは異常な金銭活動に関する情報を収集するために、金融インテリジェンスユニットを使用する。しかし、CBDCは事態を1段階引き上げるかもしれない。

複数の出版物が、中国政府はデジタル人民元を使って国民に対する監督を進める可能性があるとほのめかしている。中央銀行であるPBOCの説明では、デジタル人民元サービスを運営している機関は「非同期伝送によって中央銀行に取引データを適時に提出」することが期待され、それにより中央銀行は「データを追跡し、マネーロンダリングと犯罪の取り締まり」ができるようになるとされている。

CBNも同様の目的を持っており、eNairaは「各eNairaの追跡可能な固有ID」により詐欺行為やマネーロンダリングを最小化する、と以前に述べている。

「銀行や通信会社はすでに検証プロセスを通じて必要な情報を持っています」とチュタ氏はいう。「しかし、CBDCは監視と監督を強化するでしょう。なぜなら、デジタル環境で実際にお金の流れを追跡することができ、配備している台帳上で各ユーザーの取引に対するフォレンジック分析を行えるからです」。

6月に現地メディアが報じたところでは、ナイジェリアはインターネットファイアウォールを構築するために中国と協議中のようだ。同報道によると、中国の「グレート・ファイアウォール」は政府のオンライン検閲と監督の中枢になっているという。ナイジェリアにはこうした監督用のファイアーウォールを構築するリソースがないが、eNairaは規模こそ小さいものの、同じ目的のために設計されたのではないかと考える向きもある。

「CBDCは追跡可能であり、政府が不当な監督を行うことを決定した場合に有用になると思います」と匿名を希望する暗号資産ユーザーはTechCrunchに語った。

また、中国のケースと同様に、eNairaの採用が計画通りに進まない場合や、政府がeNairaを国内で取引される唯一のデジタル通貨として強制する場合には、暗号資産の取り締まりがさらに強化される可能性がある。

その典型的な例が、中国の新たな命令により、世界最大の暗号取引所であるHuobi(フォビ)とBinanceの2カ所でユーザーの新規登録が停止されたことだ。Huobiは年末までに現在のアカウントを廃止することを明らかにしている。

ナイジェリア政府がこのような権限を行使できるかどうかは定かではない。それでも、ナイジェリア人に対するサービス提供や雇用をオフショア暗号プラットフォームから禁止し、成功した場合、ピア・ツー・ピアの活動(ナイジェリアで暗号資産を繁栄させてきた)は深刻な打撃を受けるだろう。

「政府は概して、暗号資産に脅威を与えています。現実世界の権力をつ人がいるような状況では、暗号資産の取引で投獄される可能性があります」とナイジェリアの暗号資産交換プラットフォームで成長リードを務める人物は述べている。「政府が本当に自国内での暗号資産の使用を禁止することを決定した場合、暗号資産は抑圧され、ある時点でそれを使用する価値がなくなる恐れがあります」。

しかし現時点では、ナイジェリアと同国の頂点にある銀行は、eNairaに対して高潔な意図を持っているようだ。CBNのGodwin Emefiele(ゴッドウィン・エメフィーレ)総裁は、eNairaはより安価で迅速な送金流入と国境を越えた貿易の増加につながると述べている。

送金に関しては、eNairaは国外にいるナイジェリア人が故郷に送金するためのより良い代替手段を提供すると思われ、長期的にはナイジェリアへの送金が増加傾向にあり、2020年は170億ドル(約1兆9400億円)に達している。

中国の銀行がナイジェリアでの業務を拡大しているとのニュースが2021年9月に広まったが、この事実は、両国間のクロスボーダー貿易の有効性に対する極めて重要な要素を示しているのかもしれない。中国はナイジェリアの最大の貿易相手国で、両国間の2021年の貿易額は200億ドル(約2兆2800億円)を超え、2020年の192億ドル(約2兆1900億円)から増加している。3年前、両国はより良い貿易を目指して通貨スワップ協定を試みたが、何も具体化しなかった。しかしチュタ氏は、両国のデジタル通貨は完全な代替物として機能できると主張する。

「両国にとって有益な相互運用性があると思います。ナイジェリアから中国に送金したい場合、少なくとも4つの異なる手続きを踏まなければなりません。それには3、4日かかります」とチュタ氏。「ですが、中国とナイジェリアのCBDCが相互運用することを想定してみましょう。中国のサプライヤーに送金したい場合、アプリ上の簡単な操作でeNairaを中国人民元に交換してサプライヤーに送信すれば、サプライヤーは従来の送金機関で通常行う手続きに比べてごくわずかな時間で支払いを受けることができます」。

ナイジェリアの中央銀行は、eNairaは「支払い効率、歳入と税徴収、そして対象を絞った社会的介入」の改善にもつながるだろうと述べている。

ナイジェリアの頂点に立つ銀行は、これらすべてを達成できるだろうか?パイロットモードでも完全にローンチされたモードでも、大規模な成功を収めた国はまだ存在しないため、断言するには時期尚早である。eNairaはポートハーコート、アブジャ、カノ、ラゴスの4都市で段階的に展開される予定だ。しかし、政府主導の同様の取り組みが過去にどのように行われてきたかを考えると、本格的な展開が実現する見込みはほんのわずかしかない。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Dragonfly)

世界中からの移民の人たちが金融サービスを利用できるよう支援するZolveが約45.5億調達

米国の移民が金融サービスを利用できるようにすることを目的としたネオバンキングのスタートアップ企業であるZolve(ゾルブ)は、サービスの展開を開始するにあたり、新たな資金調達ラウンドで4000万ドル(約45億5000万円)を調達したことを米国時間10月27日に発表した。

関連記事:母国の信用履歴利用を可能にする銀行取引プラットフォームZolveが15.8億円調達

DST Global(DSTグローバル)のパートナーが、ベンガルールに本社を置くこのスタートアップのシリーズA資金調達ラウンドを主導した。今回のラウンドでは、Tiger Global(タイガー・グローバル)、Alkeon Capital(アルケオン・キャピタル)、Lightspeed Venture Partners(ライトスピード・ベンチャー・パートナーズ)、Accel(アクセル)といった既存の投資家に加え、設立10カ月の同社を2億1000万ドル(約238億9600万円)と評価し、過去最高の5500万ドル(約62億5800万円)を調達した。


毎年、何万人もの学生や社会人が、高等教育を受けるため、あるいは仕事のために、インドから米国へと旅立っている。新しい国で数カ月過ごした後でも、現地の銀行からクレジットカードを発行してもらうのに苦労したり、その他のさまざまな金融サービスを利用するために割高な料金を支払わなければならなかったりする。

インドで注目されている起業家で、前職のスタートアップをライドハイリングの大手Ola(オラ)に売却したRaghunandan G(ラグナンダン・G)氏は、2021年の初めにインド人のためにこの問題を解決しようと決心した。

Zolveは2021年9月、2000人の顧客(それと、7万人を超えるウェイティングリストがある)にクレジットカードを提供したが、すぐに2つの気づきがあったとTechCrunchのインタビューで述べている。

それは、顧客がZolveのサービスを幅広く利用し、期限内に支払いを済ませているだけでなく、オーストラリア、英国、カナダ、ドイツなど他国から移住してきた人々の需要も有機的に取り込んでいたことだという。

「私たちの基本的な価値提案は、クレジットカードです。クレジットカードの他に、現地の銀行口座とデビットカードがあります。私たちは、お客様が自分の銀行口座にお金を預けることを想定していませんでした。入金されるとしても、数百ドル(数万円)、数千ドル(数十万円)程度だろうと考えていました。しかし、実際には何万ドル(数百万円)ものお金を預けて、この口座をメインの銀行口座として使っている人がいるのです。現在、私たちは200万ドル(約2億2000万円)の預金があります」と同氏は語ってくれた。

Zolveは、このような初期段階での人気を受けて、2022年早々には複数の国からの移民の人たちにサービスを拡大する予定だ。

Zolveは現在、米国とインドの銀行と提携し、保険料や保証金を支払うことなく、消費者がシームレスに金融商品を利用できるようにしている。Zolveがリスクを引き受けることで、海外の銀行がZolveの顧客にサービスを提供できるようになった。

Zolveは、インドの銀行と協力することで、個人を明確にし、保険責務を請け負うことができた。Zolveは現在、このモデルを他の国の顧客にも適用することを計画している。

ラグナンダン氏によると、Zolveは幸運にも希望する投資家を見つけ、参加してもらうができたという。DST Globalのパートナーの多くは移民であり、新たに加わった3人の投資家も、同じような分野で活動するいくつかのスタートアップ企業を支援してきたことを教えてくれた。

「お客様のニーズに合った公正な金融商品へのアクセスは、人々の生活に直接的かつ意味のある影響を与えます。Zolveに投資し、米国やその他の市場で世界水準の金融サービス商品や体験を移民の人たちに提供するというラグナンダン氏のビジョンを支援できることを大変うれしく思います」。と、LightspeedのパートナーであるBejul Somaia(ベジュール・ソマイア)氏は語っている。

「Zolveは、特に顧客の獲得と利用において急速に成長していますが、これはチームの実行力とZolveがターゲットとする顧客層の大きなニーズを反映したものです。今後の展開に期待するとともに、Zolveの将来の成功を確信しています」と述べている。

また、Zolveは積極的にチームを拡大する予定であると述べている。同社の従業員数は、2021年の初めにはわずか5名だった。その後、100人に増え、現在はいくつかの役割を担う150人の採用を検討している。

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

インドの新しい決済ルール発効による影響に備えるテックジャイアントたち

世界第2位のインターネット市場であるインドで、中央銀行が定期的支払いを処理するための新たな指令を施行したことにともない、Apple(アップル)、Sony(ソニー)、Google(グーグル)、Zoom(ズーム)、PayPal(ペイパル)などのハイテク企業や多くの銀行が、インドの顧客やパートナーに対して、取引の拒否が急増することを予想して注意を促している。

インド時間10月1日に発効したインド準備銀行(RBI、インドの中央銀行)の指令は、銀行、金融機関、ペイメントゲートウェイが5000インドルピー(約7490円)以上の自動更新される取引に対して、通知、電子マンデート、AFA(Additional Factors of Authentication、要素追加認証)を介して、ユーザーから追加の承認を得ることを求めている。この指令は、クレジットカードだけでなく、デビットカードのすべての取引にも影響する。

2019年に初めて発表されたこの指令は、2021年4月に発効する予定だったが、銀行などの影響を受ける業者が、遵守するための準備が十分ではないと主張したため、9月30日まで延長された。

中央銀行は、業界の対応に不満があったようで、3月には「延長された期限を超えてフレームワークの完全な遵守を確保するのが遅れれば、厳しい監督措置を取ることになる」と述べていた。

インド準備銀行は、2019年に行われた当初の案内時点で、このフレームワークは「リスク軽減と顧客の簡便化のための措置」として機能するようにデザインされていると述べ、こうした取引を処理する業者は「実際の請求の少なくとも24時間前に、顧客の指定に応じてSMSまたは電子メールで取引前通知を顧客に送信しなければならない」としていた。

複数の企業が、顧客や、場合によっては他のビジネスパートナーに対して、新しい指令についての注意を促している。

水曜日(インド時間9月29日)には、Appleは開発者に対して、この新しい指令によって「要件を満たさない一部の取引は、銀行またはカード発行会社によって拒否されるでしょう」と注意を促した。

インド最大の民間銀行であるHDFCは、ウェブサイトに以下のメッセージを掲載した。「ご注意:2021年10月1日より、HDFC銀行のクレジットカードやデビットカードを使って、加盟店のウェブサイトやアプリで行われた自動引落(定期的な支払いを処理するための電子指示)は、RBI(インド準備銀行)が定めたプロセスに準拠していない限り、承認されません」。HDFC、Axis、Kotakを含む複数の銀行が、今週、新ルールを遵守することを発表している。

2021年5月には、GoogleはPlay Storeでの定期的な支払いを行う新規顧客の登録を停止している。同社は開発者に対して「このエコシステムの課題が解決されるまで」、無料トライアルや導入価格をアプリから削除するよう求めた。YouTubeは、プレミアムサービスに対して、プリペイド方式の、使った分だけ支払い(pay as you go)方法のみをサポートするようになった

また同じ月にAmazonは、追って通知があるまで、Amazonプライムの無料体験への新規会員登録を「一時的に」中止すると発表した。その後、新たな通知は行われていない。

この指令は、リテールバンクの連合体が構築した決済インフラであるUPIを通じた定期的な支払いには影響しない。そのため、Netflix(ネットフリックス)をはじめとするいくつかの企業は、インド国内のUPIを使った自動支払いをサポートしている。

しかし、影響は広範囲に及ぶと思われる。あるフィンテック企業の創業者がTechCrunchに語ったところによると、彼らがFacebookやGoogleで広告を出すために利用している決済サービス会社が、中央銀行のルールを理由に、今週後半から自動決済は処理されないと通知してきたそうだ。この創業者は、デリケートだと思う内容を話すために匿名を希望した。

この新ルールは、インド中央銀行が近年提案または施行してきた一連のガイドラインの中で最新のものだ。Pratik Bhakta(プラティック・バクタ)氏がThe CapTable(キャップ・テーブル)に投稿した概要によると、今回の動きは、規制当局がユーザーのために革新を行うフィンテックスタートアップの普及を奨励している一方で、消費者を傷つけようとしている傾向がないかをRBIが注意深く見守っていることを示しているものだという。

RBIの副総裁であるT Rabi Sankar(T・ラヴィ・サンカー)氏は、今週初めに開催された会議で「法律が追いつくまでは、破壊的ではない方法で金融システムがデジタル・イノベーションを吸収できるよう、規制を適応させなければなりません」と述べ「すべての利害関係者が短期的な利益よりも長期的な改善を重視し、インフォームド・コンセントやデータ利用の透明性といった、成熟した慣行を浸透させてこそ、繁栄し成熟した決済システムに到達することができるでしょう」と語っている。

ソニーは、インド時間9月30日にPlayStation Plus(プレイステーション・プラス)の加入者に宛てた電子メールで「2021年9月30日以降、PlayStation Store(プレイステーション・ストア)でPlayStation Plusのためのサブスクリプション料を支払おうとする際に、クレジットカードおよび / またはデビットカードの支払いが失敗することがあります」と伝えている。

「これは、新規にサブスクリプションを始める場合と、定期的な支払いの両者に適用されます。このため、今後自動的に課金されるように設定されたPlayStation Plusの利用料の支払いが失敗する可能性があります。もしそうなった場合、お客様のPlayStation Plusのサブスクリプションはその時点で終了となります」。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:sako)

オンライン完結型ファクタリングを提供するOLTAが愛媛銀行・北日本銀行とそれぞれ共同事業を開始

オンライン完結型ファクタリングを提供するOLTAが愛媛銀行・北日本銀行とそれぞれ共同事業を開始

「あらゆる情報を信用に変えあたらしい価値を創出する」をミッションにファクタリングサービスを展開するOLTA(オルタ)は8月18日、愛媛銀行、北日本銀行それぞれと共同で「クラウドファクタリング事業」を立ち上げ、順次サービスの提供を開始すると発表した。この提携は、第二地方銀行との共同事業としては初めて。

OLTAは、売掛金を早期に現金化できるファクタリングをオンラインで完結させる、オンライン型ファクタリング「クラウドファクタリング」を2017年から提供してきた。AIを活用した審査による「はやい・かんたん・リーズナブル」を特徴とするサービスとしており、個人事業主を含む小中事業者に多く利用されているとのこと。

長年にわたり地元企業を支援し信頼を得てきた地域金融機関は、2021年3月末で、民間金融機関の実質無利子・無担保融資(いわゆる「コロナ融資」)の受付が終了したことを受け、中小企業に向けた「ポスト『コロナ融資』」の対策が課題になっている。そこで、フィンテック企業と共同でファクタリング事業を始める金融機関が増え始めた。OLTAは、クラウドファクタリングのパイオニア企業として、今後も多くの地域金融機関と連携してゆくと話している。

金融機関へのOEM提供の実績

OLTAの場合、金融機関との共同事業は「互いの強みを活かした共創型の事業モデル」になるという。OLTAは、ウェブサービスの企画、開発、導入、運用におけるコンサルティングを提供し、パートナー金融機関は自社ブランドで金融商品を立ち上げ、法人や個人事業主に案内する。利用者にとっては、取引のある金融機関のサービスとして、安心して気軽にクラウドファクタリングを利用できるというわけだ。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:OLTA(企業)銀行(用語)ファクタリング / factoring(用語)日本(国・地域)

【コラム】オープンバンキングが普及し、フィンテックと中小企業の蜜月が始まる

本稿の著者Lee Li(リー・リー)氏はプロジェクトマネージャー兼B2Bコピーライター。TaoBao、MeitTuan、DouYin(現TikTok)のPMとして、中国のフィンテックスタートアップ界隈で10年の経験がある。

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これまで10年間で大きな成長を遂げたフィンテック業界。パンデミックに際してさらに大きな成功を収めた業界だが、多くの関係者が、この成功談はまだ始まったばかりで、フィンテックの次の10年はこれまでとは根本的に異なるものになると信じている、と聞けば驚くだろうか。

銀行の規制方法はパンデミックのはるか前から変化してきた。銀行業界の競争を促進する方法として、オープンバンキングや新しい決済サービス指令(PSD2)などの取り組みが提案され、大手金融機関が長い間支配してきた市場に、小規模で意欲的な金融サービス企業が参入できるようになった。

これらの取り組みが実施された今、その効果は、小規模金融サービス企業に活躍できる余地を与えるだけではないことがわかってきた。オープンバンキングでは、データをAPI経由で利用できるようにする必要があるので、中小企業の資金調達方法に革命が起こりつつある。金融資本ではなくデータが、フィンテックが成功するための最も重要な要素になったのだ。

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オープンバンキングとデータの自由

フィンテックが台頭し、中小企業との連携方法を再構築している現状を理解するには、オープンバンキングの理解が重要である。オープンバンキングは、過去10年間に政府や超国家の銀行規制当局の間で定着した概念で、現在、バンキングセクター全体にその影響が現れ始めている。

基本的に、オープンバンキングとは、APIを使用して消費者の金融データを第三者に公開するプロセスを指し、これにより、第三者が独自の金融商品を設計、構築、販売できるようになる。これらの商品の有用性(つまり、収益性)は、莫大な資本を保有していることによるのではなく、収集・保管しているデータに起因する。

オープンバンキングモデルにはいくつかの課題がある。1つ目の課題は、このような形でデータを共有することに対して常に利用者の同意を得るために、より厳密なシステムを開発する必要があるということである。フィンテックの黎明期には、利用者がデータを提供することに対してかなり寛容で、米国のユーザーの約60%がプライバシーよりもフィンテックを選ぶという調査結果もあった。しかし現在、オープンバンキングのシステムで共有されるデータの種類と量は、これまでの金融商品よりもはるかに多くなっている。

こうした懸念にもかかわらず、オープンバンキングへの取り組みは世界各地で進んでいる。欧州の新しい決済サービス指令(PSD2)は、大手銀行が金融情報を第三者と共有することを要求している。アジアでは、中国のAlipayやWeChat、インドのTezやPayTMなどのサービスによって、すでに金融サービス市場が変化しつつある。そして、これらのサービスが提供する機能により、米国の金融システムにもオープンバンキングを導入することを求める声が高まっている。

中小企業へのサービス提供

米国の銀行業界がオープンバンキングの有用性を受け入れ、あるいは法律によってオープンバンキングを認めざるを得なくなれば、次のように恩恵を受けるグループがある。

  • 利用者は、現在よりもはるかに詳細なデータ分析に基づく、まったく新しいバンキングや投資商品を利用できるようになる。
  • これらの商品を設計・構築するフィンテック企業も、自社商品をもっと利用してもらえるようになり、利益率が向上する。
  • どんなにオープンなモデルであっても、どの第三者が消費者データにアクセスできるか、アクセスするための要件は何かを決定するゲートキーパーの役割を果たすのは銀行なので、銀行が恩恵を受けるのは確実である。

しかし、オープンバンキングで最大の恩恵を受けるのは中小企業である。これは、必ずしもオープンバンキングの枠組みが、中小企業にとって有益な新機能を提供するからということではなく、中小企業は従来型の銀行から十分なサービスを受けてこなかったという事実を反映している、といえるだろう。

中小企業がサービスを受けられない理由はたくさんある。従来型の銀行では、複数の金融機関や金融商品を資本として保有している中小企業の総合的な財務状況を把握する能力が極めて限られているため、資金の提供が非常に難しいのだ。

銀行にデータを送信するために、旧式で時間と手間のかかるインターフェースを利用しなければならないこともよくある。そして(おそらく最悪なのは)、ほとんどの銀行で使用されているB2B決済システムでは、利用する企業へのフィードバックが非常に限られ、情報が少ないことで、企業にとって大きな負担となることだ。

新しい機能

このような欠点を考えると、フィンテック企業が中小企業への融資に熱心であることも、中小企業が新しい銀行商品やサービスを積極的に求めていることも、驚くべきことではない。そしてもちろん、この分野ではすでにいくつかのサクセスストーリーがあり、今日、特に欧州の中小企業が利用できるバンキングシステムの種類は、10年前に利用できたサービスよりもはるかに進んでいる。

オープンバンキングはこの変革を加速させ、一般的な中小企業が利用できる金融サービスを、いくつかの方法でさらに大胆に改善することを約束している。銀行が保有するデータに第三者がアクセスできるようになることで、多くの中小企業が、その財務状況を初めて正しく評価してもらえることになる。

フィンテック企業は、APIを利用してさまざまな種類の口座、保険、カード、リースなどの複数の国にまたがる情報にアクセスし、データをまとめて1つの全体像に統合することができる。

こういったことは、中小企業の信用力の評価に大きな影響を与えるだろう。現在、多くの中小企業が資金不足に陥っているが、これは銀行が「貸借対照表」モデルを使わずに信用リスクを評価することを躊躇しているためだ。中小企業のビジネス活動をリアルタイムで分析できれば、銀行は信用リスクをもっと正確に評価し、より多くの企業に融資することができるようになる。

実際、オープンバンキング先進国では、このような取り組みがすでに行われている。英国では、Lloyds(ロイズ)がビジネスツールボックスを提供していて、口座の取引データに加えて、企業や役員の信用調査を無制限に行うことができる。

オープンバンキングは、これまでよりもはるかに進んだ同業他社比較分析も実現する。APIを利用すれば、該当の市場で中小企業がどのような業績を上げているかをリアルタイムでフィードバックすることができる。英国ではこれもすでに実現していて、Barclays(バークレイズ)は同社のスマートビジネスダッシュボードで、マーケティング費用を最大限に活用するためのツールを提供している。このダッシュボードはカスタマイズも可能だ。

集約したアカウント上に構築されたインテリジェントなデータ分析によるインサイト、レコメンデーション、自動プロンプトなどの主要な機能は中小企業にとって非常に有益なので、これらの機能を提供するフィンテック商品の人気は高まるだろう。

銀行や代替融資機関にとっては、これらのモニタリングツールから得られる情報を活用することで、これまで資金提供が困難だった中小企業に対して、承認済みの融資枠をタイムリーに提供するなど、より積極的な融資を行うことができるようになる。

結論

中小企業は、データ分析に基づく付加価値サービスを受けて成長することができるのであれば、ほぼ間違いなく喜んで手数料を支払うだろう。これはフィンテック業界にとって重要なことだ。この分野のスタートアップ企業の中には、すでに巨額の資金を調達しているところもあり、オープンバンキングが技術と経済の関係の中心にあるのもそれが理由だ。

ここまで見てきたように、すでにフィンテックが成功していたとしても、それは物語の始まりに過ぎないと考えられる。オープンバンキングの取り組みに後押しされたフィンテックは今、バンキング革命の最前線にある。この革命により、各中小企業はそれに相応しいサービスを受けられるようになり、経済全体でそれらの企業の真の可能性を引き出せるようになるだろう。

関連記事:雇用維持のために誰もが利用可能な金融テクノロジーを

カテゴリー:フィンテック
タグ:コラムオープンバンキングオープンAPI銀行中小企業

画像クレジット:Richard Drury / Getty Images

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(文:Lee Li、翻訳:Dragonfly)

みんなの銀行とピクシブが連携、「ピクシブ支店」(仮称)独自銀行サービスでクリエイターの創作活動を支援

みんなの銀行ピクシブは6月21日、みんなの銀行が提供する金融機能・サービスの活用を通じて、「金融」と「非金融」を組み合わせた新たな価値共創に向けて基本合意を締結したと発表した。今後はピクシブのユーザー向け銀行サービスを開発することで、「金融」の側面からクリエイターの創作活動をサポートする。

今回の基本合意は、みんなの銀行によるBaaS(Banking as a Service)事業におけるアライアンス第1弾。ピクシブを利用するクリエイターやファン(pixivユーザー)向けの銀行サービスを提供することで、クリエイターが創作活動を行う上で生じる「お金」に対する漠然とした不安や負担を軽減する。さらに、ファンが楽しく「お金」を使ってより作品を楽しみ、クリエイターを応援できる仕組み作りをサポートし、「金融」の側面からpixivユーザーのコミュニケーション活性化に向けた価値共創への協議を開始する。

具体的には、ピクシブの世界観を盛り込んだ「ピクシブ支店」(仮称)を、みんなの銀行内に2021年中を目処に新設。みんなの銀行が提供するスマートフォン専用アプリを通じて、pixivユーザー向けオリジナル銀行サービスの提供に向けた協議を開始する。

さらには、みんなの銀行が今後公開予定とする金融APIを介した連携を通じて、ピクシブのサービス上でシームレスに金融サービスを利用できる仕組み作りを検討する。また中長期的な観点から、クリエーター作品の「価値」の流通を促進するために、最先端テクノロジーの研究に取り組み、みんなの銀行がミッションとして掲げる「みんなに価値あるつながりを。」の実現を目指す。

みんなの銀行は、デジタルネイティブな思想・発想でゼロベースから設計された国内初のデジタルバンク。最先端技術の活用とともに、スマートフォンを通じデジタルネイティブ世代の顧客ニーズに応える新たな金融機能・サービスの提供を目指し、2021年5月に個人顧客を対象とするサービス提供(B2C事業)を開始した。また、これらの金融・機能サービスをAPIを通じ事業者に提供することで、金融と非金融がシームレスに結び付いた新たな価値共創を目指す「BaaS事業」の構築に向けて、様々な事業パートナーとの検討を進めてきた。

ピクシブは「作品を介したコミュニケーション」にフォーカスしているクリエイターのためのSNS。「創作活動がもっと楽しくなる場所を創る」という理念の下、作品(イラスト・漫画・小説)の発表と交流に特化したサービスとして2007年9月に開始。登録ユーザーは6800万人を超え、作品総数は1億点以上。20代~30代のデジタルネイティブ世代をメインユーザーとする国内最大級のSNSとなっている。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:銀行(用語)ピクシブ(企業・サービス)みんなの銀行(企業)日本(国・地域)

銀行から直接低金利ローン提案を受けられる「クラウドローン」、6年間で60万円お得に

あなたは、自動車を購入する際には銀行が提供する「自動車ローン」、ビジネススクールに通うときには「教育ローン」、歯のインプラント治療をするときは「医療ローン」を活用できることをご存知だろうか。「金利が低い銀行ローンを上手に活用できている人は、実はかなり少ないと思っています」と話すのは、クラウドローンCEOの村田大輔氏だ。同社は、ユーザーが個人情報を登録するだけで、条件に見合った銀行からの各種ローンオファーを直接受けられるプラットフォーム「クラウドローン」を運営する。

6年間で60万円の差が生まれる

例えば、中古自動車を購入する時のことを考えてみよう。客はディーラーまで足を運んで、試乗をしてみたり、担当者と話をして購入を決定する。その際によく利用されるのが、ディーラーが紹介する「ディーラーローン」。村田氏によると「期間は6年、金利は9%程度」などが平均的だという。

このディーラーローンは、購入と併せて契約手続きができるため便利な一方で「必ずしも消費者にとってベストな選択肢ではない」と同氏は話す。その理由は2つある。まず、金利が高い。ディーラーは信販系のクレジット会社と提携してローンを提供しており「金利の約半分をディーラーが受け取るという構造」と村田氏はいう。そのため、どうしても消費者側の負担が重くなる。次に、顧客はローンを完済するまで、購入した自動車の所有権を持てない場合が多い。つまり、ローンの返済期間中は自動車は「あくまでローン会社の所有物」なので、顧客が何らかの事情で売却したいと思ってもそれは叶わない。

これに対して、銀行が提供する目的別ローンはどうだろうか。例えば「自動車ローン」であれば「車関連の費用向け」など用途は限定されているものの、金利は2%程度。ディーラーローン(9%程度)と比較すると、6年間のうちに支払う金額は60万円ほど少なくなる。また、自動車は購入した瞬間から消費者に所有権が移るので、ローン返済中自由に売却することも可能だ。村田氏は「もちろん、銀行ローンのほうが審査基準は厳しいなどの制約もあります。ただ、あまりに多くの人が銀行ローンの存在を知りません。金利の高いディーラーローンを店舗で勧められるままに契約してしまっている」という。

銀行からローンの提案を受けられる

このような現状を変えることに挑戦するのが、同氏が運営するクラウドローンだ。まず、同ウェブサイトにてユーザーは年収や年代、雇用形態といった基本情報を登録する(名前や住所は登録不要)。すると、同社と提携する地方銀行や信用金庫の担当者がそれらのデータを閲覧し「融資できる可能性が高い」と判断したユーザーに、クラウドローンを経由してローンの提案を行う。基本的に翌営業日までには提案が受けられる。その後、ユーザーは提案を受けた複数の金融機関から一行を選び、ローン申し込みに進むという流れだ。

「従来のローン比較サイトなどとクラウドローンが異なる点は、ユーザーが『自分の条件で融資を受けられる銀行』を知った上で、ローンの申し込みができることです。これまでのように、インターネット上でさまざまなローンを比較検討して、大量に申し込む……そういった手間もなくなりますし、失敗を重ねて信用情報を毀損するリスクも低くなります」と村田氏。同社は、提携する銀行側から成果ベースの収益を得るため、ユーザー側はクラウドローンを利用する際に手数料などは一切かからない。

ただ、ふと疑問に残るのは「信販系と比較して銀行ローンのほうが条件が良いなら、なぜ現状の認知度はそんなにも低いのか」という点だ。村田氏は、それは約10年前に施行された改正割賦販売法の規制のためだという。「銀行は規制により、例えば中古車販売を行うガリバーなどの事業者と手を組んで、ローン商品の紹介することができません」。一方で銀行ではないクラウドローンは、エイチームが運営する中古車買取サイト「ナビクル」や、ウェブクルーが運営する比較ポータルサイト「ズバッと」などと連携し、さまざまな経路からユーザーを獲得している。このように、クラウドローンのようなマッチングプラットフォームが銀行の代わりとなって事業者と連携し、消費者と銀行ローンを結びつけるための橋渡し的存在になっているというわけだ。

クラウドローンCEOの村田大輔氏

情報格差をゼロに

2018年設立のクラウドローンは、これまでに約1万5000人のユーザーが利用しており、ローン申し込み件数は約2万件、申し込み総額は約250億円にのぼる。横浜銀行や名古屋銀行など17の金融機関と提携しており、年内には50行まで増やす予定という。

「今、新型コロナの影響で親が失業したり、アルバイトを続けられなかったりで、学校を辞めてしまう若い人がいます。でもそういう人は、実は銀行の教育ローンをかなり低い金利で借りられることを知らなかったりする。あるいは、不妊治療の高い費用を支払えずに諦めてしまう人がいる。そういう人は、妊活ローンを利用できることを知らないかもしれない……。そんな人たちに向けて、『低い金利で銀行から借りられる選択肢』があることを発信していきたい」と村田氏は想いを語る。

銀行にとっても、金利収入の減少やコロナ禍による融資先の資金繰りの悪化などにより、個人向けローンは収益源の「最後の砦」といえる。消費者、銀行、そしてそれらのマッチングプラットフォームである同社の三方良しを実現するクラウドローンは、もっと多くの日本人が知っておいても良い存在ではないだろうか。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:クラウドローンローン日本銀行

画像クレジット:クラウドローン

アフリカ、ラテンアメリカ、インドなどの新興市場では決済、融資、ネオバンクがフィンテック業界を掌握

ここ数年、新興市場ではテック関連の投資が活発に行われており、エコシステムの成長につながっている。

アフリカ、ラテンアメリカ、インドなど、これらの市場の一部では、それぞれの地域の傾向や投資に関する包括的な報告が出版社や企業により提供されている。しかし、地域間の傾向や投資を比較対照した報告はほとんどみられない。それも当然だろう。このような作業は骨の折れる仕事である。

そうした中、データ調査機関Briter BridgesとインクルーシブテックのグローバルアクセラレーターCatalyst Fundが発表した報告書は、この3市場の最重要セクターであるフィンテックに対して全体像の提示を試みるものだ。

本報告書「新興市場におけるフィンテックの状況レポート」は、新興市場全体にわたって投資、プロダクト、包括性という3つの指標で評価を行っている。

調査はアフリカ、ラテンアメリカ、インドの177のスタートアップと33の投資家を対象に行われた。ここで使用されているサンプルの規模はごく小さなものであるが、鍵となる所見は非常に印象的である。

それでは中身を見ていこう。

フィンテックは2017年以降、地域全体で230億ドル(約2兆5038億円)を資金調達している

新興市場に向けられた投資意欲はとどまるところを知らない。本セクターは過去5年間、前年比で最大の投資を受け続けている。

3億人を超えるアフリカの成人が、銀行口座を持たない世界人口の17%を占めている。2019年にアフリカ大陸でBranch、Tala、World Remit、Interswitch、OPayによる合計7億7500万ドル(約845億円)超に達する5つの大型取引が行われたことは理解に難くない。2020年は3億6200万ドル(約394億円)に低下したものの、Flutterwave、TymeBank、Kudaなどの企業がこの期間にかなりの額を調達している。

画像クレジット:Briter Bridges & Catalyst Fund

ラテンアメリカでは、デジタルユーザーの基盤が拡大し、規制と改革が促進され、中小企業が活況を呈している。アフリカ同様、銀行口座を持たない人の割合は70%と高い。この地域のフィンテック企業はその事業機会をとらえ、NuBank、Neon、Konfio、Clipといった企業が享受するメガラウンドを獲得した。これまでの5年間で、フィンテック系スタートアップは合計100億ドル(約1兆886億円)を調達している。

インドのフィンテック系スタートアップは、2019年だけで48億ドル(約5225億円)という記録的な額を調達したことが報告書に記されている。そして2020年、同セクターは30億ドル(約3266億円)を調達し、CRED、Razorpay、Groww、BharatPeなどの著名な大手企業を含む過去5年間の合計額は116億ドル(約1兆2627億円)に達した。

アフリカの平均シードラウンドは100万ドル(約1億885万円)、インドとラテンアメリカの平均は400万ドル(約4億3540万円)

報告書によると、アフリカでの初期段階の取引は過去5年間で累計16億ドル(約1742億円)以上増加している。特にシードラウンドの平均規模は、2017年の75万ドル(約8250万円)から2020年には100万ドル(約1億885万円)に拡大した。

ラテンアメリカにおける過去5年間の平均シード取引額は約570万ドル(約6億2040万円)であったのに対し、インドでは約460万ドル(約5億円)であった。報告書では、後者のデータはCREDの3000万ドル(約33億円)のシードラウンドにより偏りが生じているとしている。

画像クレジット:Briter Bridges & Catalyst Fund

ラテンアメリカはIPOに意欲的で、インドはユニコーンを産み、アフリカはM&Aへ向かっている

2020年StripeがPaystackを買収したことは、その規模とナイジェリアのフィンテック系スタートアップの地元出身というステータスにより、アフリカのM&Aのハイライトとなった。その他に大きな話題となったラウンドには、WorldRemitによるWaveの5億ドル(約544億円)の買収(これは大陸で最大のものである)とNetwork InternationalによるDPO Groupの2億8800万ドル(約313億円)の買収がある。

関連記事:インドのスタートアップは2020年に合計9660億円を調達、記録更新ならずも後半回復

アフリカのフィンテック市場ではメガ買収や7桁規模の未公開取引の数々に注目が集まっているが、ラテンアメリカのフィンテック市場ではIPOへの関心が高い。報告書によると、同地域のフィンテック企業は数回にわたり1億ドル(約109億円)のラウンドを行っており(Nubank、PagSeguro、Creditas、BancoInter、Neon)、M&A活動は希薄だ。しかし、Arco Educacao、Stone Pagamentos、Pagseguroなど、その多くが最近上場を果たしている。

一方、インドには25社を超える10億ドル(約1088億円)企業が存在し、毎年増え続けている。先月には8件新たに誕生した。こうしたユニコーン企業は、Paytmのような既存の企業からCREDのような新しい企業まで多岐にわたっている。

決済、クレジット、ネオバンクがフィンテック活動をリード

報告書によると、この3地域では決済企業がフィンテックへの投資の中心となっている。そのサブセット内では、B2B決済が支配的な位置を占めている。次に資金を得たフィンテックのカテゴリーは、クレジットとデジタルバンキングだ。

アフリカでは、決済スタートアップへの投資がクレジットやネオバンクを上回っている。Flutterwave、Chipper Cash、Wave、Paystack、DPOなどが挙げられるだろう。

画像クレジット:Briter Bridges & Catalyst Fund

ラテンアメリカで最も資金を得ているフィンテック企業はネオバンクである。また、3つのプロダクトカテゴリーすべてに20億ドル(約2176億円)から30億ドル(約3266億円)の資金が集まっている唯一の地域でもある。そうした企業には、NuBank、Creditas、dLocalなどが名を連ねている。

インドではトップクラスの資金力を持つフィンテック系スタートアップは決済カテゴリーに属している。しかし、Niyo、Lendingkart、InCredのような9桁のラウンドを調達する企業が、クレジットやネオバンクで注目すべき存在となっている。

投資家は保険、決済、デジタル銀行の将来に期待を寄せている

5年後のフィンテックプロダクトの将来動向については、調査対象となった少数の投資家のほとんどが、保険、決済、デジタルバンキングモデルを選択肢としている。

投資プラットフォームや組み込み型モデルにも関心が集まっている。彼らの関心は農業や送金に向けられておらず、ウェルステックプラットフォームやネオバンクも優先順位が低かった。デジタルバンキングとネオバンキングが投資家の選択範囲の両極にあるのはなぜだろうか?確かなことはわからない。

画像クレジット:Briter Bridges & Catalyst Fund

報告書の一部では、これらの地域で十分なサービスが行き届いていない消費者のことや、フィンテックスタートアップが彼らにどのようにサービスを提供しているかについて述べられている。また、これらのフィンテックスタートアップがファイナンシャルインクルージョンを促進しているかどうか、どのような機能やプロダクトがそれを可能にするかについても論じている。

そのすべてにおいて、アフリカがラテンアメリカとインドに何年も後れをとっているという明白な事実は、目新しい情報ではない。Briter BridgesのディレクターDario Giuliani(ダリオ・ジュリアーニ)氏に話を聞いたところ、アフリカ大陸がラテンアメリカとインドが現在位置しているところに到達するには5年かかるだろうと語っている。同氏はまた、現段階でインドをより良い市場にしているのは、他の市場のように大陸ではなく、オペレーションが一律的であるからだと付け加えた。

「アフリカの54カ国やラテンアメリカの20カ国よりも、1つの国を管理する方が容易です」と同氏はTechCrunchに語った。「アフリカでは、私たちは『アフリカ』というラベルを使いながら、4~6カ国にわたって言及します。ラテンアメリカでは基本的にブラジル、メキシコ、アルゼンチン、コロンビアの4カ国で大手企業が台頭しています。一方、インドは1カ国です」。

同報告書によると、新興市場のほとんどのフィンテック企業は、作物保険、流通業者やベンダー向けのクレジットライン、KYC、電子商取引決済ゲートウェイ、医療金融、保険といったさまざまな分野に進出しているという。ジュリアーニ氏は、この状況が今後も続くと予想している。

カテゴリー:フィンテック
タグ:アフリカラテンアメリカインド投資決済クレジットカード保険銀行金融

画像クレジット:Getty Images

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Dragonfly)

CCCのグループ会社Tマネーがスマホで銀行サービスを利用できるネオバンク「T NEOBANK」を開始

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カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のグループ会社Tマネーは3月31日、住信SBIネット銀行が提供する「NEOBANK」サービスを利用し、銀行サービスなどをスマートフォンで利用できる「T NEOBANK」(ティーネオバンク)をT会員に向け開始すると発表した。

CCCのグループ会社Tマネーがスマホで銀行サービスを利用できるネオバンク「T NEOBANK」を開始

「T NEOBANK」のサービス概要

  • 申込対象者:満18歳以上の日本国内に居住するT会員
  • 所属銀行:住信SBIネット銀行
  • 基本機能:預金機能(円貨預金、外貨預金など)、決済機能(ATM入出金、振込、振替など)、融資機能(カードローン、住宅ローンなど)
  • 「T NEOBANK」アプリAndroid版iOS版
  • ATMの利用:全国のセブン銀行またはローソン銀行ATMで引き出し可能(ATM利用手数料は月1回まで無料)。キャッシュカードは発行されない。ATM取引にあたってはT NEOBANKのアプリが必要

T会員はT NEOBANKアプリ(Android版iOS版)をダウンロード後、専用の住信SBIネット銀行口座の開設を完了すると、預金、振込や借入といった銀行サービスをアプリで利用可能となる。

また、キャッシュカードに代わってアプリでATMを利用できるほか、銀行取引に応じてTポイントを貯めることができる。このTポイントを使ってスポーツくじの購入や、カードローンの金額指定返済も行えるという。今後、Tポイントを利用できる銀行機能・商品を順次追加していく予定。

CCCのグループ会社Tマネーがスマホで銀行サービスを利用できるネオバンク「T NEOBANK」を開始

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カテゴリー:フィンテック
タグ:カルチュア・コンビニエンス・クラブ / CCC(企業)銀行(用語)住信SBIネット銀行(企業)Tポイント(用語)Tマネー(企業)日本(国・地域)

海外送金サービスのWiseが「根拠のない」不正告発をされたとブラジルの元銀行パートナーを非難

国際的な送金サービスで有名になり、IPOを計画中と報じられているロンドンに本社を置く企業Wise(ワイズ)は、ブラジルの元銀行パートナーが同社に詐欺の疑いがあると主張し「中傷キャンペーン」を行っていると非難している。この詐欺の疑いについて、Wiseは「虚偽であり、根拠がない」と述べている。

ブラジルのMS Bank(MSバンク)とWiseの間における舌戦は、Wiseが2021年1月にブラジル中央銀行から独自のFX事業免許を取得したため、MSバンクとの提携は間もなく終了することになった後で始まったようだ。その翌月である2021年2月、MSバンクは予告なしにWiseとの契約を打ち切り、独自の送金サービス「CloudBreak(クラウドブレーク)」を開始すると顧客に伝えた。

銀行のパートナーを失ったWiseは、ブラジルのコリドーを一時的に停止せざるを得なくなった。現地時間3月12日、Wiseは独自のライセンスのもと、ブラジルレアル(BRL)から米ドル(USD)へのコリドーを再び開設することができたが、その後、事態は一転した。

同日に顧客に送られたメール(今週初めにTechCrunchに提供された)の中で、MSバンクはWiseが顧客口座を介して詐欺行為を行っていたと主張している。この主張は、YouTubeの動画やMSバンクのウェブサイトに掲載された文章でも繰り返されており、顧客の口座とブラジル中央銀行に登録された取引方法の食い違いに焦点を当てている。

関連記事:IPOに先立ち国際送金のTransferWiseが「Wise」に社名変更

Wiseは、その後のブログ記事で、記録された取引方法の不一致について詳細かつ堅実に説明し、不正行為を明確に否定するとともに、MSバンクが「中傷キャンペーン」を行ったと主張している。

TechCrunchに提供された声明の中で、Wiseはこの非難が「元パートナーが発売した競合商品に対する認知度を高めるためにタイミングを合わせたもの」であり「当社はブラジルやその他いかなる国の規制当局または機関によるWiseに対する調査や告発も認識していません」と述べている。そして「当社は顧客データおよび / または資金を利用したいかなる詐欺的または不適切な活動にも責任がないことを確信しています。Wiseはこの問題に対処するために法的手段を講じています」と、このフィンテック企業は続けた。

以下はWiseの声明全文だ。

ここ数週間、Wiseはブラジルの元ビジネスパートナーによる中傷キャンペーンの対象となっていました。この告発は、元ビジネスパートナーによる競合商品の発売を意識させるタイミングで行われました。当社はブラジルやその他いかなる国の、いかなる規制当局または機関も、Wiseに対する調査や告発を行っていることを認識していません。

Wiseは、世界中の1000万人以上のお客様のために、事業の透明性と安全性に対するコミットメントを維持しています。当社は顧客データおよび / または資金を利用したいかなる詐欺的または不適切な活動にも責任がないことを確信しています。Wiseはこの問題に対処するために法的手段を講じています。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Wise銀行ブラジル

画像クレジット:MS Bank

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

決済のSquareが「より機敏に動く」ことを目指して銀行を設立

決済分野のイノベーションで知られるSquareが、正式に銀行になった。

1年前の2020年3月に条件つきの承認を得たSquareは、米国時間3月1日に同社の興業銀行であるSquare Financial Servicesの営業を開始したと発表した。Square Financial ServicesはFDIC(米連邦預金保険公社)とUtah Department of Financial Institutions(UDFI、ユタ州の金融機関局)の設立認可プロセスを完了し、営業を開始できることになった。

この銀行はユタ州ソルトレイクシティに本社を置き、事業資金融資と預金商品を提供する。まずはSquare Capitalの既存の融資商品に対する引受と事業資金融資のオリジネートから開始する。

これまでSquareはカードリーダーとPOS決済システムで知られ、小規模事業者に広く使われてきたが、近年では同社製品を利用する起業家や小規模事業者に対するクレジットの促進も始めていた。

Squareは今後、同社の銀行が「全米のSquare販売業者にとってメインの融資提供者」になるだろうと述べている。

SquareのCFO兼Square Financial Servicesの会長であるAmrita Ahuja(アムリタ・アフジャ)氏は発表の中で、銀行機能を社内に有することで「より機敏に動ける」ようになるだろうと述べた。

Square Financial Servicesは引き続き第三者の投資家に対して融資を販売しバランスシートのエクスポージャーを制限する。Squareは、銀行が2021年の連結バランスシート、売上高合計、売上総利益、調整後EBITDAに重大な影響を及ぼす見込みはないとしている。

同社は銀行を始めることで「Squareの独自性をさらに深め、融資やバンキングツールをこれまで十分にサービスを受けられなかった人々が利用できるようにしていく」と述べている。

Lewis Goodwin(ルイス・ゴールドウィン)氏が銀行のCEOに、Brandon Soto(ブランドン・ソト)氏がCFOになる。さらに以下の人事が発表された。

  • 最高リスク責任者:Sharad Bhasker(シャラド・バスカー)氏
  • 最高執行責任者:Samantha Ku(サマンサ・クー)氏
  • 最高クレジット責任者:Homam Maalouf(オマム・マアルーフ)氏
  • 最高コンプライアンス責任者:David Grodsky(デビッド・グロドスキー)氏
  • キャピタルマーケット&投資家リレーション担当:Jessica Jiang(ジェシカ・ジアン)氏

このところ、フィンテックが銀行になる傾向が見られる。TechCrunchは2021年2月にBrexが銀行の認可を申請したことを報じた。

BrexはEmigrant Bankが発行元となっているクレジットカードをスタートアップ向けにアレンジして販売している急成長中の企業で、同社はFDICとUDFIにBrex Bank設立の認可を申請したと発表した。

フィンテック企業やフィンテックサービスを提供する企業は、預金口座や小切手用の口座、クレジットなど通常は銀行が提供する商品を手がけてきた。こうした商品は、従来の金融機関から有利な条件で資金を調達することは難しくても自社をよく知る業者から事業構築のための融資を受けられる可能性がある企業に対して、資金を提供する設計になっていることが多い。自社をよく知る業者とは、例えばSquareだ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Square銀行

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Kaori Koyama)

フィンテック企業は利潤追求とデータ倫理のバランスを取らなければならない

本稿の著者であるオーストラリア出身のRichard Steggall(リチャード・ステッグル)氏は、ニューヨークを拠点とするフィンテック企業Urban FTのCEO。フィンテック、資本成長、M&A、戦略的IPOアドバイザリーで20年以上の経験を持つ。

ーーー

金融機関は消費者の要求する利便を提供するテクノロジーに関して遅れており、Apple(アップル)、Amazon(アマゾン)、Google(グーグル)などの巨大テック企業が大衆の銀行になる道を空けている。2020年11月、Googleは同社の非接触決済サービスであるGoogle Payのデザイン変更を行い、既存銀行のサービスを統合し、ユーザーが大型テック企業に期待するようなシームレスで便利なユーザー体験を実現した。

ただし、そこには裏がある。

Googleが仕かけた巧妙なトリックの裏には、1つの事実がある。Googleは広告会社であり、広告は2019年の収入源の71%を占めている

広告会社が銀行になりたがると何が起きるのか?

気にかけるべきことがある。広告会社、それも私たちの個人メールや位置情報、歌の好みや買い物リストなどから集めたテラバイト単位のデータを持っている会社が、今、私たちの銀行になりたがると何が起きるのか。答は不安だ。特にここ。あるいはここ。そしてここで見られるような巨大テック企業による驚くべきプライバシー軽視を踏まえれば。

金融市場が新たなテクノクラートの触手に干渉され、それも金融サービスの核心ともなると、かつて消費者や企業が依存してきた伝統的な銀行は、自分たちが岐路に立たされていることに気づく。市場シェアを維持するために、金融機関は新たなライバルたちが提供する利便性とパーソナライズにレベルを合わせるためにフィンテックへの投資を続ける一方で、これまでの信用と透明性を守らなくてはならない。

伝統的銀行はデジタル化に失敗した

フィンテックには、金融サービス業界を根底から覆し、金融機関(FI)が運用をより効率的にして卓越したユーザー体験(UX)を提供できるようにする可能性がある。

しかし金融機関、中でも小規模な地方銀行や信用組合には、転換を引き止めるデジタル格差がある。その多くが、豊富な資金を持つ全国規模の銀行や、VaroMonzoといったテック指向の新興あるいはチャレンジャーバンクとの戦いに長年苦闘している。2016年から2019年の間に全世界で1兆ドル(約106兆円)以上を新技術に注ぎ込んできた主要銀行は、デジタル転換プログラムによる財政的恩恵を未だ受けていない、とAccentureは伝えている。

パンデミック下で多くの顧客がオンラインへと大量移動したことで、ギャップはこれまでになく広がっている。2020年4月だけで、モバイルバンキングの新規登録数は200%増加し、モバイルバンキングの総トラフィックは85%増えた、とFidelity National Information Services(FIS)は述べている。

データは巨大テック企業最大の成果で、金融サービスの収益ではない

当然、巨大テックは金融サービスに進出するチャンスを逃さずイノベーションの力を誇示し、銀行や信用組合は互角に戦うために大変な努力を強いられている。しかし、財産のデジタル化を考えている消費者は、伝統的な銀行に別れを告げてビッグテックの胸に飛び込む前に、用心しなければいけないことがある。

まず大型テック企業にとって、決済・金融サービスへの進出には多面的で意味があることを理解する必要がある。たとえば支払い代行機能は、小売やeコマースに焦点を当てている会社に新たな収入源を提供するだけでなく、ショッピングのプロセス全体により大きな力と制御をもたらすことを約束する。

米国における規制はこうした介入にある程度制約を与えるか、少なくとも会社が直接的に利益を上げることは制限するだろう。もちろん巨大企業たちは銀行設立許可についてくる規制の「お荷物」を望んでいない

しかし、テック企業は決済や資産管理などのサービスで直接利益を上げる必要がない、データさえ集められれば。ユーザーの支出パターンの傾向を収集することで企業のROI(投資利益率)は大きく上昇する。ユーザーがどのようにお金を使っているか、住宅ローンはあるか、どんなクレジットカードを使っているか、銀行はどこか、誰と取引しているかなどを知ることができる。

提供されるデータには、プライバシーに大きく関わるもの、たとえば医薬品、保険、さらには婚約指輪の購入情報が含まれる可能性もある。

消費者の懐に対する鋭敏な視界を得ることで、Googleの広告プラットフォームがいかに高い価値を持ち、支配的になるかを想像できる。

銀行はデータ倫理問題をリードすべきだ

金融サービスのデジタル化に関しては、「大いなる力には、大いなる責任がともなう」という古い格言に真実味がある。

顧客データは驚きべきツールであり、銀行はあらゆる財政状態の消費者にサービスを提供できる。たとえば顧客の消費傾向を分析することで銀行は、消費者が貯蓄、投資、消費をより賢く行うためのソリューションを提供できる。

しかし、そのサービスの利用者になることが、自分の検索や購入と直接結びついた広告が殺到することを意味するとしたらどうだろう。あるいはもっと狡猾に、もし銀行があなたのことをあまりにもよく知っていて、ペルソナを作りあなたのニーズや欲求を本人より早く予測するとしたら。それが、Googleの銀行の顧客になった場合のあなたの将来のように見える。

顧客データを使って提供するサービスを改善するだけでは十分ではない。セキュリティとプライバシーを保証するやり方で行わなければならない。水面下で収益をあげようとするのではなく、サービスをパーソナライズするためにデータを使うことによって、銀行は消費者ニーズの理解を深め、信頼を勝ち取ることができる。

信頼は銀行が自らの王座を守るための武器になる。消費者が自分のデータがどのように使えることができているかを気にかけ、それに反抗するようになればなおさらだ。プライバシーとセキュリティに関するPonemonの調査によると、成人の86%がFacebookとGoogleによる自分たちの個人情報の利用について「大変気にしている」。

データ収集が必要ではあるが賛否を呼ぶ状況で、銀行にとって最大の競争優位性は信頼と透明性だ。nCipher Securityの調査によると、消費者は自分の個人情報について未だにほかのどの業界よりも驚くほど銀行を信頼している。同時に、テクノロジーに対する信頼は落ちてきており、36%の消費者が情報共有に関して1年前よりも安心していない、と PwCは報告している。

銀行は、データ倫理戦略と人工知能(AI)テクノロジーの普及をリードしながら、消費者の必要とするものを提供する主要な位置にいる。そうすることで、長期的にデータ収集で巨大テック企業の上を行くことができる。

消費者中心のWin-Winの未来を目指せ

金融サービス業界は重要な岐路に立たされている。消費者は、伝統的銀行を離れて個人データを巨大テック軍団に手渡してデジタル体験とより大きな利便性とパーソナライズを享受する選択肢を与えられている。

しかし銀行は、デジタル化で消費者中心のアプローチを取れば、今からでも消費者を取り戻すことができる。

巨大テックが広告収入を支えるために消費者データを収集するのに対して、銀行はパーソナライズと優れたユーザ体験のためにデータを集めることで消費者の心をとらえることが可能だ。これは、地方銀行や信用組合には特に当てはまる。サービスに対する人間的触れ合いのアプローチは彼らにとって常に大きな差別化要因だ。データ収集の安全と透明性を確保しながらパーソナライズした対応を行うことで、銀行は市場シェアを取り戻し消費者の心を再びとらえることができる。

巨大テック企業は、私たちのデータに関してやってはいけないことの脚本を書く一方で、卓越した体験をどうやって作るかの足場を作ってきた。仮に銀行が、テクノロジーの専門知識もFacebook、Goolge、Appleのように豊富な資金も持っていなくても、倫理的データ利用と優れたユーザー体験の微妙なバランスを理解している責任感あるフィンテックとパートナーを組むことができる。

正しく行えば、誰でも勝者になれる。

カテゴリー:フィンテック
タグ:銀行コラム

画像クレジット:Viktor Kitaykin / Getty Images

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(文:ゲストライター、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Varo BankがNBA選手ラッセル・ウェストブルック選手が主導するラウンドで約66.5億円調達

2020年、米国で初めてネオバンクとして全米銀行免許を付与されたVaro Bank(ヴァロ・バンク)は、米国時間2月18日朝、新たに6300万ドル(約66億5000万円)の資金調達を行ったと発表した。このラウンドは、NBAのスター選手であるRussell Westbrook(ラッセル・ウェストブルック)氏が主導したもので、彼はまたアドバイザーとしても同社に加わり、有色人種のコミュニティなど十分なサービスを受けていないコミュニティを対象としたプログラムの方向性に直接助言を与えていくという。

関連記事:2017年開業のモバイルバンクキングスタートアップのVaroが全米銀行免許を取得しリアル銀行に

ウェストブルック氏の投資は、以前ソーシャルアバターのスタートアップ企業であるGenies(ジーニーズ)を支援したRussell Westbrook Enterprises(ラッセル・ウェストブルック・エンタープライゼス)を通じて行われた。

これまでVaro BankにはWarburg Pincus(ウォーバーグ・ピンカス)、The Rise Fund(ザ・ライズ・ファンド)、Gallatin Point Capital(ギャラティン・ポイント・キャピタル)、HarbourVest Partners(ハーバーヴェスト・パートナーズ)、そしてBlackRock(ブラックロック)が運用するファンドなどが投資してきた。Varo Bankは2020年、シリーズDの資金調達で2億4100万ドル(約254億円)を調達している。今回の追加資金により、現在までの調達総額は4億8240万ドル(約509億円)となった。

2017年に設立されたVaro BankはChime(チャイム)、Current(カレント)、N26、Level(レヴェル)、Step(ステップ)、Moven(ムーヴン)、Empower Finance(エンパワー・ファイナンス)、Dave(デイヴ)、GoBank(ゴーバンク)、Aspiration(アスピレーション)、Stash(スタッシュ)、Zero(ゼロ)など、米国で増えているオールデジタル銀行と競合している。

多くのネオバンクと同様、Varo Bankは、月々の手数料や最低残高の要件がなく、現代的なモバイルアプリを使って簡単に利用できる銀行口座を提供している。また、高金利預金も提供しており、顧客は全米に5万5000台が設置されているAllpoint(オールポイント)の手数料無料のATMネットワークを利用できる。しかし、Varo Bankには実店舗の銀行支店はない。

Varoは2020年、米通貨監督庁(OCC)から全米銀行免許を取得し、連邦預金保険公社と連邦準備制度理事会から認可を得て、Varo Bank, N.A.を開設したことを発表。これで事実上「本物の」銀行となった。

現在、Varo Bankは300万以上の銀行口座を持ち、預金残高は前年比900%以上増加していると同社はいう。Varoのプラットフォームにおける利用額も、前年比で300%以上増加している。

ウェストブルック氏がVaro Bankと仕事をすることに関心を持ったのは、同社が銀行サービスを通じて金融の不平等に影響をおよぼすことに取り組んでいるからだ。具体的には、同社は最大2日分の早期給与預金、全国平均より高金利の普通預金口座、資格を得た顧客がVaro Bankアプリで必要に応じて100ドル(約1万550円)まで利用できる短期の小口融資(キャッシング)「Varo Advance」を導入することに力を入れている。この貸付サービスは2020年12月に開始されたが、新型コロナウイルスの影響で、2021年3月までは手数料無料のままとなっている。

今回調達した新たな資金は、Varo Bankのサービス拡大のために使用されるほか、ウェストブルック氏と協力して、十分なサービスを受けていないコミュニティにおける金融リテラシーの構築に焦点を当てたコミュニティ感化プログラムを共同で作成する予定だと、同社はTechCrunchに語った。

「銀行システムは米国の人口の大部分、特に有色人種のコミュニティに対し、無視したり、十分なサービスを提供していませんでした。私は持続的な社会変革を実現し、より強固で包括的なシステムを構築することに情熱を注いでいます」と、ウェストブルック氏は今回の投資についての声明で述べている。「私はVaroと協力して、これまで相応のサービスが受けられなかった人々に向けた経済再活性化の一翼を担うことに興奮し、その準備を整えています」と、同氏は続けている。

Russell Westbrook Enterprisesは今回の投資に際し、Jefferies LLC(ジェフェリーズLLC)から独占的な助言を受けたと、同社は記している。

【追記】Varo Bankの既存の投資家は今回のラウンドに参加しなかったが、他のVCや、ファミリーオフィス、個人が参加した。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Varo Bank資金調達銀行

画像クレジット:Varo

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

スウェーデンのデジタルバンクNorthmillが31.4億円を調達

欧州3カ国で約20万人の顧客を持つスウェーデンのチャレンジャーバンクNorthmill Bankが、新たに約3000万ドル(約31億4000万円)を調達した。

このラウンドをリードしたのはRutger Arnhult傘下のスウェーデンの投資会社であるM2 Asset Managementと、資産運用会社のCoeliだ。今回の資金投入は、今後の地域拡大や新製品の開発を加速させるために使われる。注目すべきは、Northmillは天然ガス市場への参入を目指しており、新たに10の市場に参入する計画が含まれていることだ。次はノルウェーを予定している。

2006年に設立されNorthmill Bankは、現在のところスウェーデン、ノルウェー、フィンランドで利用可能で、実店舗を持つ既存の銀行やLunar、Revolut、Klarna(母国スウェーデンとドイツで銀行を営業している)などと競合している。

顧客が既存のローン、クレジットを統合し、金利の支払いを下げることを約束するNorthmillの 「Reduce」はAnyfinの製品と競合する。「現在、最も急速に成長している製品であり、主な原動力となっているReduceは既存のクレジット、分割払い、クレジットカードへの関心を低下させています」と、Northmillの広報担当者は説明している。

約15年前に設立され、以前はクレジットプロバイダーとして営業していたNorthmillは、2019年にスウェーデン金融監督庁の規制を受け、完全な銀行ライセンスを確保した。同銀行は150人の従業員を抱え、貯蓄、クレジット、支払い、保険を提供している。より一般的にいえば、同社は欧州の新規参入企業の大半とは異なる緩やかな道を歩んでおり、その成長を投資に頼ることは少なく、ほぼ最初から利益を上げていると主張している。

M2 Assets Managementの取締役会会長であるRutger Arnhult(ルトガー・アーンハルト)氏は次のように語っている。「NorthmillはBankは実績ある持続可能なビジネスモデルを持つ収益性の高い企業であり、今日のテクノロジー投資の中でも際立っています。私たちはしばらくの間、彼らの経過を追ってきましたが、創業者や会社に感銘を受けています。銀行市場は変化の途上にあり、新しいデジタルの現実に最もうまく適応できる者が勝者となるでしょう。私にとって、これは長期的なオーナーがいるテック企業への投資であり、彼らはまだ旅の始まりにいます。この銀行には大きな成長の可能性があると思います」。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Northmill Bankスウェーデン銀行

画像クレジット:Northmill Bank

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(文:Steve O’Hear、翻訳:塚本直樹 / Twitter

国内初のデジタルバンク「みんなの銀行」が事業方針を発表、5月下旬にサービス開始予定

国内初のデジタルバンク「みんなの銀行」が事業方針を発表、5月下旬にサービス開始予定

みんなの銀行は1月14日、5月下旬予定のサービス提供開始に向けて、事業方針に関する発表会を開催した。同行は、2020年12月22日に銀行業の営業免許を取得、また2021年1月4日は国内初のデジタルバンクとして銀行システムの稼働を開始している。

みんなの銀行 取締役頭取 横田浩二氏(写真左)、取締役副頭取 永吉健一氏(写真右)

みんなの銀行 取締役頭取 横田浩二氏(写真左)、取締役副頭取 永吉健一氏(写真右)

みんなの銀行は、デジタル起点で発想し、ゼロベースで設計された次世代のデジタルバンク(チャレンジャーバンク)という。口座開設からATM入出金、振込など、全サービスがスマートフォン上で完結できる新しい銀行となっている。

ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)傘下のiBankマーケティングが提供するスマートフォン向け銀行公式アプリ「Wallet+」は、提供開始から4年間で130万ダウンロードを突破し、9つの地域金融機関とのアライアンスを実現。DXの加速・実現に向けたノウハウ・知見の蓄積が進んでいるという。

これらの経験を元にみんなの銀行は、シンプルかつデジタルに「銀行」そのものを「Re-Design」(再デザイン)、「Re-Define」(再定義)することで、国内初のデジタルバンクとしてのポジション確立を目指す。BaaS(Banking as a Service)による事業パートナーとのエコシステ
ム連携を通じて、「銀行」の枠組みを超えた新たな価値共創を目指していく。

国内初のデジタルバンク「みんなの銀行」が事業方針を発表、5月下旬にサービス開始予定

みんなの銀行では、FFG傘下のシステム開発子会社ゼロバンク・デザインファクトリー(ZDF)が構築した次世代バンキングシステム「Zerobank Core Solution」(ZCS)を利活用した事業運営を行う。

ZCSは、アクセンチュアを開発パートナーとして、国内の金融機関としては初めてGoogle Cloudが提供するGoogle Cloud Platform(GCP)を勘定系システムの構築基盤として採用。最新テクノロジーの活用を通じて構築されており、従来の銀行システムでは実現できない軽量かつ柔軟な次世代バンキングシステム、またクラウドネイティブに適したものとなっているという。

国内初のデジタルバンク「みんなの銀行」が事業方針を発表、5月下旬にサービス開始予定

ZCSはフルスクラッチで構築しており、「自動化前提のプロセス/行員オペレーション」「顧客データ中心のサービス・エコシステム」「マイクロサービス&APIアーキテクチャ」など従来型バンキングシステムとは一線を画す6つの特徴を採用。ZCS利活用によるシステム運用コストの最適化とともに、柔軟かつ迅速な商品サービスの開発・提供や、高度なセキュリティの下で様々なエコシステムとの柔軟な連携を進めることが可能。同行のミッション「みんなに価値あるつながりを。」のもと新たな価値提供を実現するとしている。

国内初のデジタルバンク「みんなの銀行」が事業方針を発表、5月下旬にサービス開始予定

また、デジタルネイティブ世代が抱える課題・ニーズを解決するため、「みんなの『声』がカタチになる」「みんなの『いちばん』を届ける」「みんなの『暮らし』に溶け込む(BaaS事業)」といった3点のサービスコンセプトを掲示。

国内初のデジタルバンク「みんなの銀行」が事業方針を発表、5月下旬にサービス開始予定

個人向け金融サービスの提供(B2C事業)を軸に「B2B2X事業」「バンキングシステム提供事業」の計3つの事業ドメインを段階的に展開。各事業の詳細は、今後の提供開始などのタイミングに合わせて改めて発表する予定。また個人・法人のニーズを満たすために、自行サービスのみならず、FinTech企業などとのサービス・機能連携も検討しているとした。

国内初のデジタルバンク「みんなの銀行」が事業方針を発表、5月下旬にサービス開始予定

事業ドメイン

  • B2C事業:全国のデジタルネイティブ世代をターゲットに、スマートフォンで完結する金融サービスを提供
  • B2B2X(BaaS)事業:みんなの銀行の金融機能・サービスを、APIを介して事業パートナー(主に法人)に提供
  • バンキングシステム提供事業:システム開発/運用業務の内製化を進め、システム・機能自体を提供/販売

B2C事業では、従来より銀行が提供してきた「バンキング機能」に加え、日常のお金のやり取りや管理をスマートフォンで手軽にできる「デジタルウォレット」アプリに一体化させた新しいモバイル専業銀行を目指す。

国内初のデジタルバンク「みんなの銀行」が事業方針を発表、5月下旬にサービス開始予定

普段使いのWallet(普通預金)機能とBox(貯蓄預金)機能を用意するほか、バーチャルデビットカードにより、チャージレスで口座直結の買物が可能。Record(アカウントアグリゲーション)機能では、他行口座やカード情報などを登録することで、お金まわりの情報を一元管理を行える。

国内初のデジタルバンク「みんなの銀行」が事業方針を発表、5月下旬にサービス開始予定

国内初のデジタルバンク「みんなの銀行」が事業方針を発表、5月下旬にサービス開始予定

国内初のデジタルバンク「みんなの銀行」が事業方針を発表、5月下旬にサービス開始予定

口座開設についても、来店不要かつ24時間365日いつでもスマホだけで完結できるようにしており、印鑑レス・郵送レス・カードレスで、アプリを財布代わりに利用できるという。

国内初のデジタルバンク「みんなの銀行」が事業方針を発表、5月下旬にサービス開始予定

また、サービスコンセプトのひとつ「みんなの『暮らし』に溶け込む」は、BaaS(Banking as a Service)事業を指すという。金融機能・サービスをAPIを通じて提供することで、事業パートナーの金融事業への参入を容易にし、事業パートナーが保有するチャネルなどを通じて、金融機能・サービスをオンデマンド型で提供することを可能にするとした。

国内初のデジタルバンク「みんなの銀行」が事業方針を発表、5月下旬にサービス開始予定

これにより、例えば企業が従業員向けに金融サービスを搭載した「Wallet」を提供するなどが可能になる。各業種/各企業が抱える課題・ニーズに合わせたサービス連携により、事業パートナー企業は「顧客体験の向上」「収集したデータの利活用」「金融サービス提供による新たな収益源の獲得」といった大きく3つのメリット(ベネフィット)を享受できるとした。

国内初のデジタルバンク「みんなの銀行」が事業方針を発表、5月下旬にサービス開始予定

画像提供:みんなの銀行、撮影:菊地英二

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カテゴリー:フィンテック
タグ:銀行(用語)日本(国・地域)