Visual Studioベースの完全クラウド開発環境GitHub Codespacesが登場

Microsof(マイクロソフト)のグループとなったGitHubは、新型コロナウイルス危機が起きていなければ今週パリでデベロッパー向けカンファレンスを開催していたはずだ。 多くのイベント主催者同様、GitHubもSatelliteをバーチャル版に切り替えて続行することにしたのでGithubから多数の発表があるはずだ。

オンライン版のSatelliteの目玉はやはりGitHub Codespacesだろう。これはマイクロソフトのVisual Studio Codespacesをベースにして、デベロッパーにフル機能の開発環境をクラウドで提供するサービスだ。Codespacesというブランド名はまだなじみが薄いかもしれない。これはマイクロソフトがVisual Studio Code Onlineをリニューアルして名称をCodespacesに変えたものだ。GitHubも基本的に同じコンセプトでサービス内に直接Codespacesを組み込むこととした。以前GitubでVisual Studio Onlineを使ったことがあれば、GitHub Codespacesは非常によく似ていることに気づくだろう。

米国時間5月6日の発表でGitHubの製品担当シニア・バイスプレジデントのShanku Niyogi(シャンク・ニヨギ)氏は「コミュニティに貢献できるようなコードを書くのは難しい。 どのリポジトリも独自の開発環境を持つためコードを書く前に何十ものステップを必要とするのが普通だ。さらに面倒なのは、同時に作業している2つのプロジェクトの開発環境がバッティングする場合だ。GitHub Codespacesは、GitHub内でサポートされるクラウド開発環境であり、数秒で起動しフル機能が利用できる。このためすぐにプロジェクトに対してすぐに実際のコードを書き始めることができる」とコメントしている。

現在、GitHub Codespacesはベータ版で利用は無料だ。 ベータが外れた後、料金がどうなるかはまだ明らかになっていない。ニヨギ氏は「料金はGitHub Actionsと同レベルになる」と述べている。Anctiosnsではプログラムのビルドのような多量のコンピューティング能力を必要とするタスクに課金されている。現在、マイクロソフはVisual Studio Codespacesのユーザーに対し仮想マシンの種別に応じて時間単位で課金している。

本日のイベントではさらに GitHub Discussionsというフォーラム機能が発表された。これはプロジェクトごとに意見交換の場を設けるものだ。GitHubにはすでにプルリクエストや特定の問題に関してユーザーが会話できる機能を提供しているが、新しいDiscussionsは構造化されておらず自由にスレッドを立てて会話を始めることができる。 これは特にQ&Aに適しており、事実GitHubもFAQなどのドキュメントを共有する場所によいと述べている。

現在、Discussionsはベータ版であり、オープンソースコミュニティだけに提供されているが、近くほかのプロジェクトでも利用できるようになる。

GitHubのもう1つの柱であるセキュリティ分野では、コードスキャンとシークレットスキャンという2つの機能が発表された コードスキャンは、書いたコードに潜在的なセキュリティの脆弱性がないかどうかチェックする。CodeQLを利用しており、オープンソースプロジェクトの場合は無料だ。シークレットスキャンはプライベートリポジトリで利用できる(同様のサービスはパブリックなプロジェクトでは2018年にリリースされている)。どちらの機能もGitHub Advanced Securityの一部だ。

エンタープライズ向けとしてはPrivate Instancesが発表された。これは他のGithubクラウドと同様の機能を備えたサービスだがここにアップされたコードは当該ユーザー企業以外には一切共有されない。「Private Instancesはセキュリティとコンプライアンスが強化されており、ユーザーは自社の独自の暗号鍵を利用でき、バックアップをアーカイブし、各国のデータ主権の要求に適合させることができる」とGitHubは説明している。

画像:Michael Short/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Kinetiseは素人開発者による企業内モバイルアプリ開発を加速する

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アプリ構築プラットフォームであり、Disruptハッカソンのお気に入りツールであるKinetise は、企業におけるiOSとAndroid向けネイティブモバイルアプリケーションアプリ作成プロセスを一般に開放することを目指している。ドラッグアンドドロップインターフェースを使用して、このシステムは、基本的にビジュアルに、ネイティブアプリケーションを構築し配備することができる。こうすれば、非開発者がモバイルアプリケーションを作成および配備することができるのだ。

同社は当初、スタートアップのアプリ開発のための販売に焦点を当てていたが、すぐに大きな企業組織の内部で、データ収集のためのちょっとしたアプリを作るために同社のプラットフォームを使用している「シチズンデベロッパー(素人開発者)たち」がいることを発見した。その結果同社は最近、暗号化接続、強力なデータベースツール、および改善されたGPS位置管理などのエンタープライズ向け機能を多数追加した。これが意味することは、会社の中の素人ユーザーがプラットフォームを使って、配送の追跡や、現場での保険金請求の受付や、単純に時間追跡アプリを作ることができるということだ。

これまでの経験から、私はこうしたアプローチのプラットフォームには懐疑的だった。数年前私がこうした種類のツールに出会った時には、その主な利用法は開発者が1つの論理的ビジネスルールからモバイルアプリを複数のOS(iOS、Android、Blackberryなど)に対して生成し、複数のアプリケーションを同時に公開するといったものだった。

筋金入りの開発者自身ではない私は、その時点でさまざまな開発者からのさまざまな意見を聞いてみた。私が話した、より伝統的な開発者の多くは、そのアイデアを気に入って、相当な時間の節約が可能であることを期待した。対して私が話したモバイル開発者たちは悲観的で、そうしたツールはネイティブ言語による真のモバイルソリューションに比べて、脆く不自由なものだと考えていた。

しかしKinetiseのシステムは、私がこれまでに見たものよりも頑丈であり、正直に言えば私の興味を最も惹きつけたのは、チームが発見したいくつかの成果だった。

KinetizeのCEOであるPiotr Pawlakとの簡単なSkype通話の中で、彼は彼とそのチームが1回の配備を行う前に気付いた、キーとなる洞察について、説明をしてくれた。
「私たちは、ネイティブアプリを作るための簡単な方法として、私たちのプロダクトを開始しました。私たちは、スタートアップや実験者たちには、かなり人気があったのですが、私たちは本当に面白いことを発見したのです:企業が1回限りのアプリを作るために私たちのプロダクトを使用していたことです」と彼は言った。「私たちが少し調査してみたところ、企業はガートナーが呼ぶところの「シチズンデベロッパー」モデルに従っているように思われました:彼らはウェブページを作る代わりに内部アプリを作っているのです」。

そこにKinetiseの強みの1つがある。それは企業内アプリむけの高速開発プログラムである。確かに、プラットフォームはまだアプリストアでの一般公開用のアプリを構築するための方法も提供しているが、企業向けも主要なターゲットであり強みである。

 私はこの利点がよくわかる。なぜなら、ネットワーク接続性がないときにでも「オフライン」で機能することができるモバイルツールを必要とする、リモートでモバイルな企業ユーザーたちが確かに多数存在しているからだ。これらのシナリオでは、ネイティブモバイルアプリは優れたソリューションであり、モバイルサイトを上回る利点を持っている。

「Kinetiseはテンプレートベースのアプリクリエイターの1つではありません」とPawlakは言う。「私たちは、レストランや美容パーラー向けなどのアプリを構築しているわけではありませんが、私たちは真のカスタムアプリをコーディングレスで提供します。私たちの顧客は子供たちがレゴブロックを組み立てるように、アプリを組み立てます。そして組み立て終わったものはAndroidとiOSで動作するアプリになるのです。他にこのようなものはありません」。

顧客からの反応は、彼らのアプローチが正当な開発ツールとして十分に頑丈であるとの自信を深めることに役立ち、モバイルアプリの開発の現状を変革することへ向かわせる。

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現在、ワルシャワを拠点にするこのスタートアップは、30000人の登録ユーザーと3つの企業顧客を持ち、アプリストアには100以上のアプリを、MVP(Minimum Viable Product)/プロトタイプ/内部アプリを700以上持っている。

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(翻訳:Sako)