アップルが「リーダー」アプリの外部リンク使用を許可、ただし承認が必要

Apple(アップル)は米国時間3月30日、App Store(アップストア)で販売される一部のアプリケーションが、外部ウェブサイトにリンクし、ユーザーがアプリデベロッパーのアカウントを作成したり管理したりできるようにすることを許可すると発表した。このApple App Storeレビューガイドラインの変更は、同社が「reader(リーダー)」アプリと呼んでいるカテゴリーのみに適用される。すなわち雑誌、書籍、オーディオ、音楽、ビデオなどある種のデジタルコンテンツへのアクセスを提供することを主として作られたアプリだ。Appleの計画が最初に発表されたのは、2021年9月に日本の規制機関であるJapan Fair Trade Commision(JFTC、公正取引委員会)と和解したときのことで、2022年初頭に実施されるとされていた。

以前同社は、この変更が有効になる時には全世界のリーダーアプリが対象になると言ったが、正確な実施日付は明らかにしなかった。

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3月30日、AppleのApp Store Reviewガイドラインは改定され、リーダーアプリがこの機能を実装する方法を説明する新たな記述が加わった。

具体的に、Appleはデベロッパーに対し、この機能を自社アプリで提供するために必要な同社が External Link Account Entitlement(エクスターナル・リンク・アカウント・エンタイトルメント)と呼ぶものを申請するよう指示している。この資格は、特定の機能をどのデベロッパーが実装可能であるかどうかに関して、Appleが支配を維持するために用いられる。つまり、App Storeのルールを単に変更して、対応するカテゴリーの全アプリに対してこの種の振る舞いを認めるのではなく、この資格取得プロセスでは、デベロッパーが特殊な利用形態として申請し、承認を得ることが必要になる。こうしてAppleは、リンクの追加を許可されたアプリをアプリ・レビュー・チームに任せきりにするのではなく、会社として入念に検査することができる。

さらに同社は、外部リンク・オプションの使用を許可されたデベロッパーのために、 Usage Guidelineおよび実装の詳細を公開した。その中でAppleは、デジタル・コンテンツへのアクセスを提供しているアプリすべてが承認されるのではないことを説明している。デジタル・コンテンツのアクセスがアプリの「主要な機能』でなければならない、とAppleは述べた。例えばソーシャルネットワークアプリ(例えばFacebook)のように動画のストリーミングもできるアプリには適用されない。

Appleはまた、資格を得るためにはアプリがユーザーに、以前そのアプリ以外で購入したコンテンツやサービスどアクセスもできるようにしなくてはならず、家庭教師、フィットネスインストラクション、不動産内見ツアー、医療コンサルテーションなどの個人対個人サービスは実施できない。

画像クレジット:Apple

Appleが、External Link Account Entitlementの利用を選択したアプリは、iPhone、iPadいずれにおいてもアプリ内購入を提供できなくなると言っていることは注目に値する。二者択一の状況だ。

Appleの解説には、リンクがどのように動作すべきか、たとえば新規にブラウザーウィンドウを開かなくてはならず、アプリ内のWebViewではいけないことや、リンクの表示方法などが詳細に書かれている。デベロッパーのウェブページでは、App Store以外で提供される価格を宣伝することも禁止されている。書けるのは「example.comへ行ってアカウントの作成・管理をおこなってください」などごく簡単なことだけだ。他にもいくつか技術的制約がある。

もう1つ注目すべきなのは、この変更が政府の規制のために実施されただけのものであり、AppleがこれをApp Storeのあるべき姿だと信じたからではないことだ。このサポートの高圧的なやり方や利用に関する規則からみても、Appleがこれを最終的にApp Storeの収益減少につながる危険な坂道であると見ていることは明白だ。

今回の変更は、反競争的行為に対する訴えを受けた議会や規制当局がアプリストア提供者であるAppleとGoogle(グーグル)に圧力をかける中で起きた。戦いは法廷でも行われており、AppleとGoogleは現在、「Fortnite(フォートナイト)」の開発元であるEpic Gamesと係争中で、Appleは現在上訴中だ。他にもデベロッパーがアプリ内で収集した連絡先情報を使って、支払い方法について顧客と連絡を取ることを許すようAppleに圧力をかける集団訴訟も起きている。

この日のリーダーアプリに関する変更に加えて、韓国ではAppleとGoogleがデベロッパーに対してそれぞれの独自決済システムの使用を強制することを禁止する法案が通過している。さらに、超党派によるAppleとGoogleを標的にしたアプリストア法案が上院司法委員会で承認され、法制化が近いことを示している。しかし、先行してアップストアの運用を全面見直しする代わりに、Appleは規制を遵守しようとする中でさえ、最後までその支配力にしがみついている。この姿勢は悪化の一途をたどっており、オランダではデートアプリのサードパーティー決済対応に関する新ルールの不履行を巡ってAppleは10回にわたって罰金を課せられた

Appleは本日、External Link Account Entitlementの申請受付を開始したが、リーダーアプリの開発・テストに必要なAPIが利用可能になるのは近日提供予定のiOSおよびiPadOSのベータ版だと同社は言っている。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Geolonia、ベクトルタイル形式地図開発を支援する2つのツールを国土地理院との契約により開発―オープンソースとして公開

Geolonia、ベクトルタイル形式の地図開発を支援する2つのツールを国土地理院との契約により開発―オープンソースとして公開

地図、地理空間情報、ロケーションデータの分野で事業を展開する位置情報テクノロジー・スタートアップGeolonia(ジオロニア)は3月29日、ベクトルタイル形式の地図開発を支援する2つのNPMパッケージ「itoma」(イトマ)と「kata」(カタ)を開発し、オープンソースソフトウェアとして公開したと発表した。これは、国土地理院との契約により開発されたもので、国連OpenGISイニシアチブが推進する国連ベクトルタイルツールキットプロジェクトの一部として、MITライセンスで公開されている。同社としては、政府機関からオープンソース化を前提として受注した初めての事例という。

国連OpenGISイニシアチブとは、国連の平和維持活動に必要なオープンソースのGIS(地理情報システム)を開発するための取り組み。Geoloniaは、2021年11月から、地図デザイン編集ソフトウェア「Charites」(カリテス)を提供し参画している。今回開発された2つのツールは、ベクトルタイル形式の地図データを処理するためのNPMパッケージ(JavaScriptのパッケージ管理システム)となる。

itoma」は、ベクトルタイル形式の地図をプレビューするためのコマンドラインツールだ。データで配信されるベクトルタイルを地図として表示する。これを使うことで、ウェブサイトに地図を表示させたり、地図を使ったアプリケーションの開発が楽に行えるうよになる。

kata」は、地図データのデータ形式を他の形式に変換するためのコマンドラインツール。metadata.json形式のファイルを表形式に変換したり、YAML形式のファイルを、地図開発プラットフォーム「Mapbox」がオープンソースで提供するツール「Tippecanoe」の形式に変換するといったことができる。

Geoloniaは、今後もデジタル地図のオープンソース化を進めるべく活動してゆくとのことだ。

Indeedの「IT技術関連職のジェンダーギャップ」実態調査―男女差が浮き彫りにされるも、女性のメリットも明らかに

Indeedの「IT技術関連職のジェンダーギャップ」実態調査―男女差が浮き彫りにされるも、女性のメリットも明らかに

求人検索エンジンIndeed(インディード)の日本法人Indeed Japanは3月24日、国際女性デー(3月8日)に合わせて、IT技術関連職におけるジェンダーギャップに関する実態調査を行ったと発表、その結果を公表した。日本企業におけるIT技術者の女性比率が非常に低いことの背景が示唆されると同時に、男性優位の職場でのデメリットばかりでなく、実際に技術者として働く女性のメリットも見えてきた。

情報サービス産業協会(JISA)の「2020年版情報サービス産業基本統計調査」によると、日本のIT企業で働く技術者の女性比率は21.1%と低い。OECDの「図表で見る教育2021年版」では、日本の高等教育機関の新規入学者で、工学、製造、建築を専攻する女性は16%と、OECD加盟国の中で最下位となっている。この実態調査は、そうした男女格差をなくしたいと考えるIndeedの活動の一環として実施された。

調査は、職場の男女比、就職前のジェンダーギャップ、就職後のジェンダーギャップ、IT技術関連職での女性のメリットについて、IT技術関連職に就く20代から40代の男女それぞれ721人(計1442名)を対象に行われた。職場またはチームの男女比は、もっとも多い21.2%が男性7割。全体として、6割以上は男性の割合が73.2%だった。また女性のみの職場も4.7%あった。

高校時代において、IT技術職は「理系の人が就く仕事」だと考えていた人が男女とも差がなく約60%だった。また最終学歴での理系と文系の比率では、理系は男性が約50%、女性が約30%だった。

就職前に、IT技術関連職は「男性のほうが活躍しやすい」と考えていた人は、「あてはまる」と「ややあてはまる」を含め、男性が約39%、女性が約54%。また、プログラミングに興味があった人、IT技術職に興味があった人は、どちらも1割ほど女性が低かった。「男性の方が女性よりも、早い段階から現在就いている仕事とそれに関連する技術に興味を持ち始めていた傾向が高い」とIndeedは話している。

就職後、性別によるメリットを感じた人は男女ともほぼ同数だったが、内容には下の表のように違いが出た。

反対に性別によるデメリットを感じた人は、男性が約26%なのに対して女性は約37%と多くなっている。特に女性の場合は、昇進しにくい、給料が安い、仕事をまかせてもらえないなど、裁量権に関する不満が多く見られた。

仕事での困りごとでは、1位はどちらも急ぎの仕事が多いこと、2位は長時間残量の常態化と同じだが、女性の3位である「本職以外の仕事を割り振られる」という点には性差が感じられる。

しかし、女性のメリットについてはポジティブな面が現れた。育児との両立のしやすさについて、約49%が子育てに関連する休暇を申請しやすいと答え、約40%が子育てを理由にした勤務時間の調整がしやすいと答えている。また約42%は、産休、育休などの長期休暇から戻ってきても復職しやすい、未就学児童がいる場合に業務上適切な配慮をしてもらえると回答した。Indeedでは「女性がキャリアを考える際、(中略)両立しやすさという面において、IT技術関連職は1つの選択肢になるのではないでしょうか」とコメントしている。

最後に、女性が活躍することで生まれるメリットについて調査したところ、男女とも約6割が、多様な働き方が許容されるようになる、多様な視点で事業の開発や推進ができると答えた。「女性が増えることで多様性がもたらされることに期待を持つ人は多い」とIndeedは言う。

女性が職場にもたらすメリットとしては、30代の情報通信関連の男性は、「考え方が違うのでアプローチを変えて取り組むきっかけとなりやすい」と肯定的な考えを述べている。また女性としてのメリットについて、40代の情報通信関連の女性は、「年齢を重ねると女性は転職や就職をしづらいが、IT職は事務職と比べ給与は高いのと需要が長いので、即戦力としてとってもらえるので、転職しやすくなる」と話している。

この調査結果を踏まえてIndeedは、「今後も仕事探しや就業における男女格差を含むあらゆる不公平やバリアを無くしていくための活動にも尽力してまいります」と述べている。

Mozilla、同デベロッパーネットワークのサブスク有料会員募集を開始

Mozilla(モジラ)は米国時間3月24日、既存のMozilla Developer Network(MDN、モジラ・デベロッパー・ネットワーク)上に、サブスクリプションサービスMDN Plus発表した。MDNは、ウェブ上でCSS、HTML、JavaScriptなどのウェブ技術に関するドキュメントやコードサンプルを見つけるための、最も人気のある場所の1つだ。なおMDNは最近デザインを一新している。

新しいサブスクリプションサービスが提供するのは、通知コレクション(保存したい記事のリストなど)、利用者がオンラインでないときにMDNにアクセスしたいときのためのMDNオフラインなどだ。

サブスクリプションは3つの階層に分かれる。有料プランの無料限定版である「MDN core」、通知、コレクション、MDNオフラインへのアクセスが月5ドル(約610円)、年50ドル(約6100円)で提供される「MDN Plus 5」、そしてMDNチームへの直接のフィードバックチャネル(と「誇りと喜び」)に加えて、プラットフォームのサポートにもう少しお金を払ってもいい人たち向けの「MDN Supporter 10」だ。その名のとおり、最後の高価なプランは、月々10ドル(約1220円)、年間契約では100ドル(約1万2200円)が課金される。

画像クレジット:Mozilla

MDN Web Docsの内容に変更はない。それらは今後も無償で利用できる。「私たちは今後も無料で、誰でもアクセスできるウェブドキュメントの執筆・保守を続けていきます。これは将来変わりません。さらに、MDN Plusから得られる利益の一部を再投資し、ドキュメントやウェブサイト全体のユーザーエクスペリエンスを改善する予定ですので、MDN Web Docsも恩恵を受けることができると考えています」と、MozillaのFAQは説明している。

画像クレジット:Mozilla

MDN Plusは、米国時間3月24日、米国とカナダでローンチする。今後数カ月のうちに、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ベルギー、オーストリア、オランダ、アイルランド、英国、スイス、マレーシア、ニュージーランド、シンガポールで展開される予定だ(グローバルなサブスクリプションサービスの立ち上げには、多数の弁護士の関与が必要だ)。

今回、MDN Plusがローンチされたのは、決して予想外ではない。Mozillaは2021年、この動きに向けての探りを入れ始めていた。そのときは、Mozillaが5ドルと10ドルの2種類の価格をA/Bテストしていたため、価格設定に少し混乱が起きたが、MDNがもたらす価値の大きさから、ほとんどの開発者はこの取り組みに賛同した

画像クレジット:Mozilla

また、Mozillaは2020年に行ったレイオフでMDNのスタッフをかなり削減したものの、中核となるエンジニアリングチームはほとんど手つかずのままにしておいたことも注目に値する。Mozillaの歴史を振り返ると、MDN のような無料のサービスを提供することが、Mozilla のミッションステートメントにはっきりと謳われ、他の収入源から容易に補助を受けることができていた時期もあった。今回の有料プランによって、Mozillaはやがて自立できることを望んでいるに違いない。現段階では、この収益の使い道についてMozillaがいっているのは「Mozillaの中にとどまる」ということだけだ。

画像クレジット:Benjamin Kerens /Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:sako)

IPv6エンジニア育成を推進する「IPv6基礎検定」が2023年3月より通年実施、小川晃通氏著「プロフェッショナルIPv6第二版」が主教材

IPv6エンジニア育成を推進する「IPv6基礎検定」が2023年3月より通年で実施

ネットワーク技術者のための検定試験やネットワーク製品のマーケティング支援などを行う一般社団法人日本ネットワーク技術者協会は3月23日、全国300カ所において「IPv6検定基礎試験」と「IPv6検定応用試験」を2023年3月より通年で実施すると発表した。また同協会は、IPv6アドバイザーとして小川晃通氏を迎え入れた。

インターネットの通信規約であるIP(インターネットプロトコル)は、これまでIPv4が主流だったが、IPアドレスの数が不足し始めたことから次の世代のIPv6に切り替わろうとしている。IPv4はアドレスが32bitなのに対してIPv6は128bitであり、その他、IPヘッダのフォーマットやアドレス体系など仕様が大きく異なるため、それらの間に互換性がない。

また現在、日本でのIPv6の普及率は約45%され、さらなる普及が急がれるなか、セキュリティーの確保も問題になっている。特にセキュリティー面で強化されているわけではないIPv6について、IETF(インターネット技術タスクフォース)が発表した「RFC 7381」(RFC 7381 – エンタープライズIPv6導入ガイドライン)では、「IPv6ネットワークを安全に運用するために必要な運用セキュリティの専門知識を持っている人がほとんどいない(中略)この運用上の専門知識の欠如は、IPv6を展開する際の最大の脅威」といった旨が記されている。そのため、IPv6をよく理解した技術者を増やすことが緊急の課題であり、それに対応すべく日本ネットワーク技術者協会は、技術者の育成を支援するこの検定試験を立ち上げた。

「IPv6基礎検定」概要

  • 対象:インフラエンジニアとしてネットワークの基礎知識を持つ初級ネットワークエンジニアと、ネットワークの運用管理者
  • 設問数:40問
  • 受験時間:60分
  • 合格基準:70%正解
  • 受験機関:通年
  • 受験料金:1万円(税別)
  • 試験会場:全国300カ所のCBT-Solutionsテストセンター

問題は、主教材に指定された小川晃通氏著「プロフェッショナルIPv6第二版」から出題される(出題比率は調整中)。この教材を使った学習時間は約40時間と想定されている。価格は5500円(税込)。無償版および著者直接支援版にあたるPDF単体のバージョンも用意されている。

IoTシステム構築・デバイス開発・通信回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」を提供開始

IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始

さくらインターネットは3月24日、「技術・ビジネス・人・物をひとつにつなげるIoTの道具箱」をコンセプトに掲げる、IoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」(モノプラ)の提供開始を発表した。

また同社は、「【さくらのモノプラットフォーム】正式サービス説明会」をオンライン開催(Zoom)する。開催日時は3月31日16時30分から18時30分。対象は、同サービスのベータテスターユーザー、また同サービスに興味がある方(先着順で30名)としている。参加費は無料。

IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始

さくらのモノプラットフォームは、「IoTシステムの構築を楽にするプラットフォーム」「IoTデバイス開発のための設計情報」「マルチキャリア対応通信回線」の3つの機能・環境を提供するPaaS(Platform as a Service)。1デバイスあたり220円の基本利用料に加え、通信データ内容に合わせたオプション料金、さくらのセキュアモバイルコネクトの利用料金を追加することで利用可能。利用実績がない月は課金されず、在庫時の課金停止などの面倒な管理を簡素化できるという。また、利用開始に関する事務手数料や解約に関する違約金は一切発生しないそうだ。IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始

IoTシステムの開発負荷やデバイスの管理負荷を軽減

「IoTデバイスの管理」や「データの中継」などIoTシステムの構築・運用に広く求められる機能について、ウェブブラウザー経由でIoTデバイスを管理できるコントロールパネル、またシステムから大量実行および自動化が可能なAPIを通じて提供。これにより、開発負荷やデバイスの管理負荷を軽減すると同時に、拡張性に優れたシステムの構築を実現する。IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始

IoTデバイス開発のための設計情報をMITライセンスで公開

IoTデバイスの開発に必要なハードウェアやソフトウェアの設計情報は、従来開発に携わる企業や開発者によってそれぞれ独自に管理されることが多く、新たなシステムの設計時には多くの時間や人などのリソースを用いて基礎的な技術検討を行う必要があった。

この課題を解決するため、さくらのモノプラットフォームでは、IoTデバイスの電気設計に役立つDIP型LTEモジュール基板やM5Stack向け変換基板などのサンプル基板、デバイスの組み込みソフトウェアやクラウドアプリケーションの設計に役立つ開発キット(SDK)を提供する。これらの設計情報はMITライセンスの基で公開するため、商用利用も含め、ライセンスの範囲内で自由に複製・変更・掲載・頒布することが可能。IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始

マルチキャリア対応通信回線

さくらのモノプラットフォームでは、高セキュアな閉域型ネットワークを提供するIoT/M2M向けのSIMサービス「さくらのセキュアモバイルコネクト」を通信回線として提供する。将来的には、さくらのセキュアモバイルコネクト以外の通信回線を経由した利用にも対応する予定。IoTシステム構築・IoTデバイス開発・マルチキャリア回線をまとめたIoTプラットフォーム「さくらのモノプラットフォーム」開始

Google Playがサードパーティによる課金オプションを試験的に導入、まずはSpotifyから

アプリストアとその手数料の仕組みをめぐってグローバルで規制が強化されつつある中、Google(グーグル)は米国時間3月23日、同社が「user billing choice(ユーザーの課金選択)」と呼ぶ機能を検討するためのパイロット事業のローンチを発表した。このパイロットでは、Spotifyを皮切りに、参加した少数の開発者が、Google Play自体の課金システムに加えて、独自の課金方式を提供できる。Googleはすでに韓国において、新たな法令に従って同様のシステムを提供しているが、複数の市場で試すのはこれが初めてだ。

SpotifyによるとこのパイロットはSpotify Premiumが利用できるすべての市場で展開し、全世界で184の市場になるという。しかしGoogleは、パイロットは選ばれた市場で行い、その後の結果に基づいて作り上げていく、どの地域から始めるかまだ決めていないとしている。

Spotifyはパイロットのスタートパートナーとして、開始時には独自の課金システムとGoogle Play自身のシステムの両方を導入する。Googleは今後の参加開発者をまだ発表していないが、Spotifyは「グローバルな実績を持つ世界最大のサブスクリプション開発者であり、多様なフォームファクタのデバイスに統合されている点」でも、この取り組みの「最初のパートナーになって当然」だという。

もちろんSpotifyは、アプリストアの既存の課金システムと構造に対する規制の変更を望む大手開発者の1つであり、この問題について議会で証言し、ロビー活動にも参加そしてAppleやGoogleなどの企業に既存のアプリストアに代わるものを求めるOpen App Markets Act(オープンなアプリの市場法)など、アプリストアの関連法案を支持した。

この争いは、顧客とのより直接的な関係を求めるためだけでなく、大半はお金の問題でもある。今日のアプリストアはサブスクリプションやアプリ内購入を自分のプラットフォーム上で提供しているアプリに対し、15〜30%の手数料を課している。Googleが代替課金システムの許可を要求されている韓国の例でも、自らの課金システムにユーザーを誘導した開発者は、手数料が4%低くなるだけだ。

コメントを求められたSpotifyは、今度のパイロットでGoogleに支払う手数料について明かさず、合意事項は秘密だという。しかし同社の広報担当者は、その商業的条件がSpotifyの「公正規準」を満たすとほのめかしている。

Googleも手数料の詳細を明かさなかった。しかし同社によると、韓国のようなユーザー選択課金でも、ユーザーがどの課金システムを選んだかに関係なくサービス料金は課金されるという。

この新しいシステムは発表の時点ではまだ利用できず、Googleのプロダクトのチームとエンジニアリmグのチームが今後数カ月かけて新しいユーザー体験を作っていくものだ。本稼働後、ユーザーはSpotifyで2種類の課金オプションが並んでいるのを目にするだろう。ユーザーがSpotifyの決済方法を選んだら、Spotify自身の課金システムとそのユーザーインターフェースでチェックアウトを続ける。Google Play Billingを選んだら、Google Play BillingのUXへ進むことになる。

Spotifyのサブスクリプションに関するユーザーとのコミュニケーションは、変わらずSpotifyの責任だが、Google Play Billingを選んだユーザーは自分のSpotifyのサブスクを、以前と同じくGoogle Play Store Subscription Centerの中で見ることができる。

Spotifyによると、同社はパイロットの開始を2022年後半と予想している。同社としてはそれを、SpotifyのPremiumサブスクリプションが利用できるすべての市場で提供したいという。

Spotifyのフリーミアム事業担当チーフであるAlex Norström(アレックス・ノルストレム)氏は声明で次のように述べている。「Spotifyは今、アプリのデベロッパーにイノベーションの自由を保証し、公正な条件で競合できるための数年におよぶ計画に取り組んでいます。今回、Googleと提携して決済の選択制と、開発者およびユーザーとインターネットのエコシステム全体の自由を探求できることに興奮しています。私たちが共同で行う事業で、業界全体の利益となる道を照らすことに期待したい」。

Googleによると、このパイロットはまだ初期的な段階であり、Spotifyとの今後の経験を通じて細部をつめていきたいという。Spotify以外のパートナーはまだ明かさないが、Googleによると、その目標は国や開発者のタイプが変わっても共通して利用できる課金選択の方式を完成させることだという。多様な国や開発者のタイプという言葉には、今後は小企業もパイロットのテスターになることが含まれているだろう。同社によると、パイロットは数カ国で一定数の開発者からスタートして、国も開発者も増やしていくという。

すでにGoogleはこの変更以前にGoolge Playの課金システムを利用する開発者の年商が100万ドル(約1億2000万円)以下の企業に対して、Appleにならって手数料を、30%から15%に下げている。同社によると、これによって開発者の99%が、15%以下のサービス料金になったという。

Googleのプロダクト管理担当副社長Sameer Samat(サミール・サマット)氏は、次のように述べている。「Androidは常に、オープンであることとユーザーの選択を重視してきました。今回のステップはモバイルのアプリストアにとって重要な節目であり、Spotifyよりも優れた最初のパートナーは思い浮かびません。同社は、私たちと同じく選択を重視し、エコシステム全体の健全さのためにAndroidとGoogle Playへの投資の継続が重要であることを理解しています。これはエキサイティングな最初の一歩であり、今後、新たなパートナーを加えて学びを深め、最初のモデルをAndroidのプラットフォーム全体に向けて拡張していきたい」。

画像クレジット:SOPA Images/Contributor/Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Android 13ではプッシュ通知がオプトインに、グーグルが開発者プレビュー第2弾を公開

最近のAndroid開発は月単位で行われているため、Google(グーグル)がAndroid 13の最初の開発者プレビュー(コードネーム「Tiramisu」と開発者向けドキュメントでは時折呼ばれている)を発表してから約1カ月後に、開発者向けプレビュー第2弾をリリースしたのは驚くことではない。

これらのプレビューは通常まだ多くの粗削りな部分を持ち、開発者向けであるため、最初のプレビューと同様に、無線インストールオプションはない(ただし、最初のプレビューをインストールした場合は、無線アップデートとして2番目のプレビューを入手することができる)。Googleは、Pixel 6 Pro、Pixel 6、Pixel 5a 5G、Pixel 5、Pixel 4a(5G)、Pixel 4a、Pixel 4 XL、Pixel 4と、Android Emulator向けにシステムイメージを公開した。

最初のプレビューではAndroid 13でのユーザーエクスペリエンスを少し垣間見ることができたが、米国時間3月17日のアップデートは、開発者向けの機能が中心となっている。

画像クレジット:Google

その中でユーザーが気づくであろう例外は、アプリが通知を送信する許可を求めなければならなくなったことだ(ただし、Googleは今日これを強調しているが、以前からAndroid 13の機能として知られていたものだ)。他のパーミッションと同様に、アプリは通知を送信できるかどうかをユーザーに尋ねる必要があり、これはオプトインプロセスだ。もしあなたが今までアプリをインストールして、そのアプリがすぐに大量の通知を送ってきた経験があったら、これを気に入ることだろう。一方、開発者は、オプトインしてもらうために、ユーザーに対して十分なコントロールとコンテクストを提供する必要がある。

パーミッションに関しては、開発者はアプリのパーミッションが不要になった場合、ダウングレードすることもできるようになった。Android 13には、これを簡単に実行できる新しいAPIが搭載される予定だ。

また、新バージョンのOSでは、開発者が明確に望んでいない限り、アプリが他のアプリからメッセージを受信できないようにする新機能が導入される。

今回のプレビューでは、MIDI 2.0規格のサポート(ミュージシャンにはうれしい)により、MIDI 2.0ハードウェアをUSB経由でAndroidデバイスに接続できるようになる。さらに、Bluetooth LE Audioのサポートにより、オーディオの共有や放送、情報およびアクセシビリティのための公共放送へのサブスクリプションといった機能がもたらされる。そしてその名の通り、消費電力が少なくなる(LE=Low Energy)。

Android 13は、COLRv1フォーマットに準拠したベクターフォントもサポートし、Googleはシステム絵文字もこのフォーマットに移行する予定だ。これらはベクターであるため、ファイルサイズがより小さく、どのようなサイズでもピクセル化されることなくレンダリングできる。

COLRv1ベクター絵文字(左)とビットマップ絵文字(画像クレジット:Google)

非ラテン文字を使用する人のために、Android 13ではタミル語、ビルマ語、テルグ語、チベット語などの言語の表示を改善し、各言語の行の高さを適応してクリッピングを防止するようにしてある。また、日本語や中国語などの表音文字の入力メソッドを使用するユーザーのために、Android 13では新しいテキスト変換APIが導入され、日本語ユーザーはひらがなを入力するとすぐに漢字の検索結果が表示されるようになり、現在のような複雑な4ステップのプロセスを省略することができる。

画像クレジット:Wanwisa Hernandez / EyeEm / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Den Nakano)

グーグル、Google Playで一定条件を満たすゲームデベロッパーにツールを提供する新プログラムを発表

Google(グーグル)は、米国時間3月15日朝開催された「Google for Games Developer Summit」において、Playストアに関するさまざまな発表を行った。まず、Googleは、Google Play上で大手のデベロッパーやスタジオに追加ツールを提供する「Google Play Partner Program for Games」を新たに立ち上げた。このプログラムは「年間500万ドル(約5億9200万円)以上のゲーム消費者支出」を持つデベロッパーを対象としている。

このプログラムの特典には、Google Playによるビジネスサポートの強化や、優先公開キューによるリリースの迅速化などが挙げられる。また、事前登録キャンペーンのための事前登録テスト、アクセスコード、ストア掲載実験などの発売前ツールも含まれている。さらに、Play Integrity APIの利用が自動的に承認されるなど、セキュリティ保護も強化されている。また、早期アクセスプログラムへの招待なども含まれる。同社は、どのGoogle Playゲームデベロッパーが新プログラムにアクセスできるようになるのか、具体的な情報を提供していない。

また、Googleは、Playストアの「Play as you download」機能を、近々すべてのAndroid 12ユーザーに提供することを発表した。「Play as you download」は、ユーザーが大容量のゲームをダウンロードする際に、少量のダウンロードを行ったあと、残りのゲームアセットをバックグラウンドで取得する間に、すばやくゲームプレイを開始できるようにするものだ。Google Playは、クラウドソースによるファーストプレイ体験のファイルシステムアクセスパターンを分析し、最適化すべきアセットを自動的に特定することで、この機能を実現している。この機能は、2021年、ベータプログラムの一部として初めて公開された。Googleは、提供開始日に関する追加情報を提供しなかった。

また同社は、1月から一部の市場で「Google Play Games for PC」ベータ版の展開を開始したことを明らかにした。Googleによると、このスタンドアロンのWindows PCアプリケーションでは、Google Playゲームの「高品質なカタログ」をプレイすることができるという。同社は、タブレット、フォルダブル、Chromebookでのゲームプレイが増加傾向にあり、特にChromebookではAndroidアプリの利用が前年比50%増となっており、それは主にゲームが牽引していることを共有した。

画像クレジット:Google

Googleは他にも、Android Game Development Extensionをアップデートし、GoogleのAndroid OS向け統合開発ソフトウェアであるAndroid StudioとMicrosoft(マイクロソフト)の統合開発プラットフォームであるVisual Studioとの間でデバッグができるようにした。さらに、デベロッパーが端末がどの程度メモリ不足に陥っているかを把握・判断するための「Memory Advice API」を新たに追加した。また、Googleは、開発者がより良いフレームレートとバッテリー寿命を達成できるように、Android GPU Inspector Frame Profilerを本格的にローンチした。

さらに同社は、デベロッパーがゲームの収益性を評価し、収益拡大の機会を見出すための直観的な方法を提供する「Strategic guidance in Console」を最近開始したことも明らかにした。ちなみにGoogle Consoleは、Google PlayやAndroidのデベロッパーがアプリのパフォーマンスを公開し、監視するために使用するプラットフォームだ。

GoogleのPlay/Androidのゲーム担当プロダクトディレクターであるGreg Hartrell(グレッグ・ハートレル)氏は声明でこう述べている。「Google for Games Developer Summitでは、Google全体のチームが、高品質のエクスペリエンスの作成と収益化を支援する次世代のサービス、ツール、機能、ニーズに合わせたより多くのプログラム、ベストプラクティスにつながる教育リソースの構築を続けていることをご紹介しました。私たちは、高品質のゲームを開発し、そのすばらしい体験を増え続けるオーディエンスやデバイスに提供するプロセスを容易にすることで、ゲーム開発のライフサイクル全体を通じてみなさまを支援したいと考えています」。

画像クレジット:

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(文:Aisha Malik、翻訳:Den Nakano)

小中高生クリエーター支援プログラム「2022年度未踏ジュニア」、独創的なアイデアと卓越した技術を持つ17歳以下を募集

日本のイノベーションを加速させることを目標とする未踏は3月14日、独創的なアイデアと卓越した技術を持つ17歳以下のクリエーターを支援する「2022年度未踏ジュニア」の参加者募集を開始したと発表した。対象は、17歳以下の小中高生。応募締め切りは2022年4月9日23時59分。参加費は無料。

未踏ジュニアは、採択されたクリエーターに対し、メンターや専門家による指導に加え、最大50万円の開発資金・場所・機材を提供し、ソフトウェア・ハードウェアの開発を約5カ月間にわたって支援するプログラム。発表会場への交通費、宿泊費など、採択後のプログラムに関する費用は未踏ジュニアが支給する。

2022年度は4月9日まで参加希望者の応募を受け付け、開発プロジェクトの提案書とオンライン面接による審査を経て採択者を決定する。

「2022年度未踏ジュニア」概要

  • 対象:2022年4月1日時点で17歳以下の個人、または17歳以下で構成されたグループ(最大4人)
  • 参加費用:無料(イベントがオフラインで行われる場合、参加のための交通費・宿泊費も支給される)
  • 応募締め切り:2022年4月9日23時59分
  • プログラム期間:2022年6月から10月までの約5カ月間(予定)
  • 応募方法応募の手引き解説サイトの手順に沿って申し込む

支援内容

  • メンターを中心とした、未踏事業修了生によるメンタリング
  • 各グループ最大50万円の開発費用の支援
  • 開発場所・開発に必要な機材の提供
  • 未踏ジュニアスーパークリエーターの認定

未踏では、25歳以下を対象とした経済産業省所管の独立法人情報処理推進機構(IPA)の人材育成プログラム「未踏IT自在発掘・育成事業」を開催し、起業家・研究者などの突出したIT人材を輩出している。これを対象年齢を17歳以下に引き下げたのが、未踏ジュニアだ。2016年の立ち上げ以来、支援する個人・法人が増えたこともあり2018年からは毎年100件以上の応募が集まっているという。2021年度の応募数は123件、採択数は14件、倍率は8.79倍だった。

2021年の成果は公式YouTubeチャンネルウェブサイトで確認できる。

 

Flatt Security、ソフトウェアサプライチェーン向けセキュリティプラットフォームShisho Cloud事前登録を受付開始

Flatt Security、ソフトウェアサプライチェーン向けセキュリティプラットフォームShisho Cloud事前登録を受付開始

ソフトウェア開発者向けのサイバーセキュリティ事業を展開するFlatt Securityは3月9日、ソフトウェアサプライチェーンのためのセキュリティプラットフォーム「Shisho Cloud」(シショウクラウド)のサービス公開に先立ち、事前登録を同日より開始することを発表した。事前登録したユーザーには、4月上旬より優先的に案内する予定。

Shisho Cloudの事前登録は、公式サイトより行える。3月末日までに登録すると、初期費用が無料になる特典も用意されている(適用条件あり)。

Shisho Cloudは、開発したソフトウェアを顧客に届けるまでの一連の過程(ソフトウェアサプライチェーン)に関連するセキュリティ上の問題発見から修正までを、半自動的に支援するセキュリティプラットフォーム。GitHubなどのソースコード管理システムと連携することで、運用状態やその上で管理されているソフトウェアの依存関係・設定ファイルなどを継続的かつ自動的にレビューする。

これにより、自社組織がソフトウェアサプライチェーンに関するリスクをどの程度抱えているか、どのように改善できるかを、セキュリティフレームワークに沿って評価・モニタリングすることが可能という。Flatt Securityが提供するセキュリティチェックの他にも、自社固有のポリシーを定義・利用することも可能。この際、ポリシー記述言語Rego、WebAssemblyにコンパイル可能な複数のプログラミング言語を利用できる。

また、複数の開発チームが組織内に存在している場合や、複数のソースコード管理システムが利用されている場合など、開発組織全体を横断してリスク管理を行なうユースケースにも対応しており、全チームの状況を俯瞰してリスクを把握することもできる。

サービスの開始にあたり、直近では、ソフトウェアサプライチェーンに存在する重要なリスクの発見と修正の半自動的なサポートを目的とした下記の機能が提供される。Flatt Security、ソフトウェアサプライチェーン向けセキュリティプラットフォームShisho Cloud事前登録を受付開始

  • GitHubなど、各種ソースコード管理システムの安全な運用や監査を補助する機能
  • IaC (Infrastructure as Code) コードを継続的かつ自動的にレビューし、その中の設定不備の検出・具体的な修正方法の提案を行う機能
  • クラウドサービスのAPIキー・アクセスキーなどのシークレットや、個人情報などが、ソースコード内に不適切にハードコードされていないかを継続的に検査する機能
  • ソフトウェアパッケージの依存関係を解析・管理することで、既知の脆弱性が存在する依存先や知らぬ間に変更されうるような依存先、悪意のある依存先を検出し、更新を提案する機能
  • CI/CDワークフローの外部スクリプト・ワークフローへのリスクのある依存や、外部からのスクリプト注入を許すようなワークフローを検出する機能

 

長期的には、SLSAin-totoのようなソフトウェアサプライチェーンに関するフレームワークや、OpenSSFのような同領域に関するコミュニティの各種プロジェクトの展開を踏まえ、開発環境から実際のアプリケーション運用環境まで一貫したサポートの提供を予定しているという。

The.comがローコードでコラボレーション可能なウェブサイトビルダーを発表、テンプレートではなくカスタマイズ可能な「ブロック」を使用

The.comという覚えやすい名前のスタートアップ企業が、ウェブサイト構築を刷新すると同時に、ウェブクリエイターが自分の作品の功績を認められるようにする取り組みを行っている。440万ドル(約5億1000万円)のシード資金を携えてひっそりと登場した同社は、業界標準であるテンプレートベースのアプローチを捨てた「ローコードのウェブサイト構築プラットフォーム」と呼ばれるものを開発した。The.comのサイトビルダーは、テンプレートの代わりにコミュニティが作成したコンポーネントを使用している。コンポーネントは、サイトにドロップして他のユーザーと共有できる。サイト作成者は、サイト構築の過程で互いに協力し合い、直接チャットすることも可能だ。

同社は、NFXが主導し、Sound Ventures、VSC Ventures、Village Global、Harry Stebbingsが参加する440万ドルのシード資金をクローズした。

The.comのアイデアは、共同創業者であり兄弟でもあるJeff McKinnon(ジェフ・マッキノン)Clarke McKinnon(クラーク・マッキノン)から生まれた。この創業者らは、The.comを設立する前の2012年から2019年まで、ボルダーで自らウェブ開発会社を経営し、ウェブサイトの開発とデザインに携わってきた経歴の持ち主だ。この間、彼らは従来のウェブ開発で生じるフラストレーションを身をもって体験したと、クラークは語る。

「私たちは、誰かが私たちのニーズをすべて解決してくれる完璧なプラットフォームを作ってくれるのを待っていました。でも、そんなことは起きなかった」とクラークはTechCrunchに語った。「だから、自分たちで作り始めたんです」。

共同創業者、ジェフ&クラーク・マッキノン氏(画像クレジット:The.com)

当初、彼らのプラットフォームは社内ツールとなる予定だったが、現在の顧客が関心を持ち、兄弟にこの製品をもっと広く利用できるようにしてビジネスにすることを勧めた。そこで兄弟は、2019年5月に代理店事業を停止し、現在のThe.comに取り組み始めた。

クラークの説明によると、従来のウェブ開発や古いプラットフォームには速度とセキュリティの問題がある。しかし顧客からより細かいカスタマイズを求められると、ハードコーディングが必要になり、更新のための継続的な作業が必要になるという葛藤も常にある。さらに現在のウェブ構築プラットフォームの多くは、すでにサイトデザイナーである人たちを対象にしている。しかしクラークら共同設立者たちは、自分たちの経験から、ウェブサイトに貢献する人の中にはデザイナーではない人が大勢いることを理解していた。

「誰もが同じ土俵に立てるウェブサイト構築プラットフォームが必要だっただけなのです」とクラークはいう。

The.comでは「サイトを作成」ボタンを押すだけで簡単に新しいウェブサイトを立ち上げることができ、すぐにサイトのインフラを導入できる。ユーザーは他の人を共同制作者として招待でき、ボタンをクリックするとサイトの編集を開始できる。一から作ったり、テンプレートを選んだりするのではなく、クリエイターは使いたいパーツやコンポーネントを個別に選べる。つまり、The.comの1人のクリエイターからナビゲーションを、そして別のクリエイターからはフッターを、そしてヒーロー画像、ヘッダー、バナー、ボディ要素など、さまざまな要素をコミュニティのメンバーから選ぶことができる。要素を選ぶと、画面上に紙吹雪が舞い上がり、元のコンポーネントの制作者に称賛としてクレジットが与えられる。The.comは、今後クリエイターに金銭的な報酬を与える方法を展開する予定だ。

画像クレジット:The.com

クラークは「目標は、要素を使ってサイト構築している人たちが、要素を最大限に活用できるようにすることです」という。再利用可能な要素を作る動機について「私たちが代理店だった頃、すばらしいサイトをたくさん作りましたが、それらは一度使われただけで、それっきりでした。お客様にあまり気に入らないと言われたもの、合わなかったものなど、実際のサイトには登場しなかったものがたくさんあります。そのようなものから繰り返し収入を得ることができれば最高だと思います」と語った。

サイトビルダー自体もおもしろいデザインになっている。作成するウェブサイトの前面に、フローティングウィンドウが表示される。だが他のWYSIWYGデザイナーより少し高度な作りになっており、サイトのページ、ブロック、シート(基本的には自由形式のデータベース)を管理するセクションがある。個々のウェブサイト要素を追加した後、ウェブサイトのコードを書いたり編集したりするのと同じように、フォント、色、画像、テキストなどを変更して細かくカスタマイズすることができる。また、生のJavaScriptを追加したり、一から新しい要素を作成することによっても変更を加えることができる。

サイト上での作業が進むにつれて、変更した内容は画面上にライブで反映されるため、実際の見た目を確認するために「プレビュー」をクリックする必要はない。また、カスタマイズした要素は、必要に応じてコミュニティのマーケットプレイスで再度共有することもできる。

画像クレジット:The.com

The.comはこのマーケットプレイスで、クリエイターが自分の作品に対して直接報酬を得るという、クリエイターエコノミーのトレンドを利用している。創業者たちの考えでは、自分のツールを使ったサイトのカスタマイズを勧める「ウェブサイトのインフルエンサー」になるトップクリエイターもいるかもしれないということだ。

クラークは「マーケットプレイスでは、品質、優れたデザイン、印象的な構築があれば、クリエイターはどんどん人気になっていくでしょう」と指摘する。「これから人々は、自分の仕事への評判を期待するようになります」。要素が繰り返し利用されると、The.comは、コミュニティやウェブサイトを含め、元のクリエイターが称賛を得られるようにする予定だ。

The.comによると、現在のコミュニティ規模は、顧客数で数千人、日々のアクティブユーザー数で数百人であるという。

The.comのウェブサイトビルダーでもう1つ注目すべきなのは、共同作業の要素である。The.comの顧客の多くは、個人ユーザーではなく、代理店や中小企業だ。つまり、複数の人が一緒にサイトを更新することができるようになる。現在は、それぞれの人が編集しているパーツの横にプロフィールアイコンが表示されるが、将来的には、ユーザーが並んで編集できるようになる。また、チャット機能も内蔵しているので、他のサイト協力者と構築について直接話すこともできる。

画像クレジット:The.com

ひっそりと登場したこのスタートアップ企業は、最初の料金プランも発表している。まずは試してみたいという人のためのベーシックプランは無料。他の階層は、機能セット、サポートの必要性、サイズに応じて、月額36ドル(約4160円)、199ドル(約2万2990円)、1499ドル(約17万31080円)となっている。The.comの顧客は、中小企業やスタートアップ企業から大企業に至るまで幅広い。高性能なサイトでは、Shopifyの上にThe.comをヘッドレスオプションとして使用し、ウェブサイトの速度を上げ、直帰率を減少させているものもあるとのことだ。

The.comは、表向きはサンフランシスコに本社があるが、11人のフルタイム従業員から成る分散型チームを抱え、合計15人のチームで事業に取り組んでいる。今回発表されたシード資金を使ってエンジニアとコミュニティ分野で雇用し、さらなる製品開発に取り組む予定だ。

The.comという憧れのURLを獲得したことについては、創業者たちによると、彼らの親友がこの取引の力になってくれたらしい。

クラークは、このメンターが誰であるかは明かさなかったが「家族・友人割引です。この人は長い間ドメインの世界に関わっていて、たくさんのいいものにアクセスができたので、私たちは幸運でした」と述べた。

NFXのジェネラルパートナーのJames Currier(ジェームス・カリアー)は「The.comのプラットフォームには、Web1.0や2.0のウェブサイト構築システムとは異なり、ネットワーク効果とコンポーザビリティがあります」と語る。「クリエーターにオーナーシップが与えられ、クリエーターは新しいプリミティブを使ってウェブを再構築できるようになります。私たちは、このようなカテゴリー革命を待ち望んでいたのです。もしあなたがまだWordPressを使ってウェブサイトを作成しているなら、The.comに乗り換えたくなるでしょう」。

画像クレジット:The.com

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

Harness、ソフトウェアデリバリープラットフォームにGitOpsを導入

AppDynamicsの共同創業者であるJyoti Bansal(ジョティ・バンサル)氏が率いる、MLで強化したソフトウェアデリバリープラットフォームHarnessは今、GitOpsのバスに乗り遅れまいと頑張っている。

同サービスは継続的デリバリー(CD)にフォーカスしてスタートし、その後の機能拡張で、スタートアップやエンタープライズが利用するフルスタックのDevOpsプラットフォームになった。現在の同社の主なサービスは、継続的インテグレーション(CI)、クラウドのコスト管理、機能フラグなどとなる。

バンサル氏によると、同社の全体的なミッションは変わっていない。「Harnessは高い志を持ってスタートしました。今ではあらゆる企業が実質的にソフトウェア企業になろうとしています。それに対して私たちは、彼らのソフトウェア技術者たちに、GoogleやFacebookやAmazon、Netflixなどと同レベルの高度なツールを提供できるだろうか、と考えました。挙げたような企業は、他の企業が持ってないような、非常に良くできたソフトウェアエンジニアリングのやり方とツールを備えています」という。

同社は現在、600名の社員を抱えており、今回はそのプロダクトリストにGitOpsサービスのローンチで新たな機能を加えようとしている。伝統的なエンタープライズでもKubernetesの利用がますます増えている現在では、アプリケーションをそのクラスターへと開発する方法として、GitOpsの採用が増えている。そこで世界最大のリテイラーや銀行を顧客に抱えるHarnessが、このモデルをサポートしたくなるのも当然だ。

HarnessはそのGitOpsプラットフォームをArgoCDの上に構築している。それは最初、その後2018年にIntuitに買収されたApplatixが開発し、今ではCloud Native Computing Foundationの傘下にある、Kubernetes用の宣言的GitOpsツールだ。Bansal氏によれば「それはとても強力ですが、軽量であることが好まれています。これを使ってデベロッパーのワークフローと、デプロイの仕組みの多くを自動化できます。しかしGitOpsの難点は、実際の複雑なエンタープライズ環境で運用していくことが、非っ常に難しいことです」。

しかし、そのことがまさにHarnessの出番となる要因だ。同社はSaaSのような形でGitOpsサービスを提供し、ArgoCDの上にエンタープライズの能力を載せていく。

「私たちはGitOpsを、アクセスしやすく、すべてのエンタープライズにとって実用性に富んだものにしています。いわばそれは、エンタープライズ級のGitOpsです。GitOpsは今、多くの人に好まれていますが、でもそれを実用化するには、たくさんのバンドエイドやガムテープが必要でした。しかしこれからは、本物のエンタープライズソリューションと、GitOpsの初めてのSaaSがあるのです」。

画像クレジット:Cavan Images/Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アフリカのゲーム業界発展のために開発スタジオ10社が結集、「Pan Africa Gaming Group」発足

アフリカのゲーム開発スタジオ10社が、現在分散している同大陸のゲーム業界を一丸にするために、Pan Africa Gaming Group(PAGG)という1つの傘の下に結集した。この団体はそれに加え、 アフリカ大陸におけるゲーミングの普及促進と、開発者の人材育成をビジョンとして描いている。

この発表は、南アフリカのケープタウンで開催されている「Africa Games Week 2022」を背景に行われた。PAGGは、アフリカのゲーム業界を毎年2倍に成長させ「世界のゲーム業界で存在を示す」ことを目指すという。

この新しい団体に参加しているゲームスタジオは、南アフリカのSea Monster、セネガルのKayfo Games、カメルーンのKiro’o Games、ガーナのLeti Arts、チュニジアのDigital Mania、エチオピアのQene Games、ケニアのUsiku Games、タンザニアのKhanga Rue、ルワンダのDopeAppsMesseka Gamesなどで、今後、さらに多くのスタジオが参加する予定だ。現メンバーのタイトルを合わせると、50本以上のゲームを開発している。

PAGGは、メンバーが開発したゲームを、アフリカのゲームストアであるGaraや、アフロセントリックな創作活動のためのコンテンツハブであるAfroComixで販売する予定。これらのチャンネルでは、モバイルマネーやエアタイム課金など、現地に適した支払いオプションを可能にすることで、コンテンツの配信と収益化を実現する。また、ケニアのナイロビゲーム開発センターですでに始まっているトレーニングやインキュベーションを通じて、アフリカの次世代ゲーム開発者の数を増やすことも計画している。

Leti ArtsのCEOであるEyram Tawia(アイラム・タウィア)氏はこう述べている。「我々のコアバリューの1つは、単にゲームのコレクションを作ることではなく、アフリカの明日のゲーム業界をインキュベートすることです。アフリカにはすでにすばらしい才能を持った人材が豊富に存在するとともに、毎年Rubikaのようなトップレベルのゲーム開発スクールから卒業しています。しかし、アフリカではゲーム開発の仕事がないことから、卒業生の多くは海外のクライアントのためにリモートで仕事をしています。我々はそれを解決するつもりです」。

PAGGの創業者たちは、アフリカのゲーム産業を年で2倍に成長させたいと考えている(画像クレジット:PAGG)

同団体は、アメリカ大陸のトップゲーム起業家で構成される創業者評議会によって運営され、元Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)およびPWCのPeter Kihara(ピーター・キハラ)氏がグループファイナンシャルオフィサーを務め、BAFTA(英国映画テレビ芸術アカデミー)にノミネートされたディレクターであり、元英国Aardman Animation(アードマン・アニメーションズ)のゲームディレクターであるJake Manion(ジェイク・マニオン)氏がグループクリエイティブディレクターを務める。

各ゲームスタジオは自主性を保ちつつ、評議会が提起する議案や決議の議決に関与する。PAGGの広報担当者は、Qene Games(エチオピア)のCEOであるDawit Abraham(ダウィット・アブラハム)氏が務める。

アフリカのゲーム産業は、若者の関心の高まりや、より多くの人々がインターネットに接続するようになったことで、急激な成長が見込まれている。2021年のGSMAモバイルエコノミーレポートによると、サハラ以南のアフリカでは人口の約28%にあたる3億300万人がモバイルインターネットに接続しており、この数は2025年には4億7400万人にまで増加すると予想され、ゲーム業界にとってはさらに大きな市場となるだろう。

Games Industry Africaのレポートによると、アフリカで最もゲーマーの数が多いのは南アフリカで、2400万人(人口のほぼ半分)がゲームを楽しんでいる。その他の主な市場は、ガーナ、ナイジェリア、ケニア、エチオピアだ。2021年の年間ゲーム売上高は、南アフリカが最も多く2億9000万ドル(約333億円)、次いでナイジェリア(1億8500万ドル / 約213億円)、ガーナ(4200万ドル / 約48億円)、ケニア(3800万ドル / 約44億円)、エチオピア(3500万ドル / 約40億円)となっている。

画像クレジット:Leti Arts, a game company in Ghana

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(文:Annie Njanja、翻訳:Den Nakano)

GoogleのArea 120がモバイルアプリ開発者のプライバシーコンプライアンス対応を支援するプロダクト「Checks」を発表

米国時間2月22日、Google(グーグル)内のあるチームが、モバイルアプリ開発者向けの新製品「Checks(チェックス)」を発表した。これは現在のようにアプリに対する規制やポリシーが急速に変化する状況の中で、AI技術を活用してアプリ内で起こりうるプライバシーやコンプライアンス上の問題を特定することができるというものだ。

Checksはフリーミアムなソリューションとして、AndroidおよびiOSのあらゆる規模のアプリ開発者に提供される。開発者はChecksを使うことで、自分のアプリを分析し、発見された問題に対処するための実用的な洞察を含むレポートを受け取ることができる。

Checksは、ジェネラル・マネージャーのFergus Hurley(ファーガス・ハーレー)氏と、法務リーダーのNia Castelly(ニア・カステリー)氏が共同で設立したプロジェクトで、Googleの社内インキュベーターであるArea 120(エリア120)内で、過去2年間にわたり開発を行ってきた。Checksのチームはこれまで、開発者の技術的課題に対処するAndroid Vitals(アンドロイド・ヴァイタルズ)などのツールを構築してきたが、AIを使ってプライバシーコンプライアンスの課題に対応するというアイデアも持っていた。

現代のアプリ開発者は、欧州のGDPR(一般データ保護規則)要件から、アプリストア自体が施行する新ルールまで、さまざまな新しい規制やポリシーに対応しなければならない。一方で、消費者はフリーソフトウェアを使用する際のトレードオフについても理解を深めており、アプリがどの程度まで自分のプライバシーを尊重しているか、自分のデータがどのようにアクセス、保存、共有されているかといったことを、知りたがるようになってきた。また、開発したアプリがすべてのルールを守っていても、その開発者が使用しているSDKがルールを守っていない場合や、SDKのデータ共有のあり方が時間の経過とともに変わる場合もあり、これも別のコンプライアンス上の課題となっている。

画像クレジット:Google

Checksは、アプリ開発者が現在よりも簡単に、コンプライアンスを達成できるようにすることを目的としている。開発者は自分のアプリを提出して、プライバシーコンプライアンス分析を受ける。この分析には、自動化されたレビューの他、一部のサービス面では人間によるレビューも行われる。

Checksの利用を開始するためには、まずAndroidアプリの開発者は、自分のGoogleアカウントでログインし、Google PlayアプリのIDを入力する。その後、いくつかの質問に答えてアクセスを確認する。Checksは、アプリのプライバシーポリシー、SDK情報、ネットワークトラフィックなど、複数の情報源をスキャンしてレポートを作成する。このソリューションでは、自然言語処理を活用してアプリのプライバシー開示情報をスキャンするという、先進的な手法も採用されている。スキャンが完了すると、開発者には、発見された問題についての明確で実用価値のある洞察と、リソースのリストを含むレポートが提示される。

無料版では、自分が開発しているアプリを、Google Playの新しい「データ・セーフティ・セクション」に合致させるために使用できる。有料版のCore(コア)、Premium(プレミアム)、Enterprise(エンタープライズ)は、プロの開発者や、iOS向けの開発も含む大規模な企業のニーズに合わせて設計されている。

物理デバイスと仮想デバイスの両方で分析を行うChecksの利用には、技術的要件や前提条件はない。

月額249ドル(約2万9000円)の「Core」では、GDPRやCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)などの規制に対するコンプライアンスモニタリングや、今後のコンプライアンス要件に関するプロアクティブな通知機能が追加される。月額499ドル(約5万7000円)の「Premium」ユーザーは、自分の開発したアプリ内で行われるデータ共有行為のモニタリングを自動化し、SDK、パーミッション、アプリでデータ共有が行われている場所などを把握することができる。5つ以上のアプリをてがける顧客向けの「Enterprise」はカスタム価格となっており、より頻繁に、高度で詳細なプライバシーチェックが受けられる。さらに人間のレビュー担当者を含むコンプライアンスレビューチームの力を借りたり、カスタマイズされた分析やテストフローなども利用できる。

なお、Checksは、生成したデータやレポートをGoogle Playチームと共有することはないと述べている

チームは数百人のアプリ開発者からフィードバックを集めてChecksを構築した後、40人(社)のアーリーアダプターと協力して、発表前に製品をテストした。テスターには、Headspace(ヘッドスペース)、Sesame Workshop(セサミ・ワークショップ)、StoryToys(ストーリー・トイズ)、Carb Manager(カーブ・マネージャー)、Homer(ホーマー)、Lose It(ルーズ・イット)などの企業が名を連ねている。

現在、Checksはより多くの人々が利用できるようになっている。興味のある開発者は、Checksのウェブサイトでオンラインフォームに記入して、早期アクセスに申し込むことができる。

画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Kubernetes利用システムのリソース支出を視覚化し管理とインサイトを与えるKubecost

ウェッブ・ブラウン氏とアジェイ・トリパシー氏(画像クレジット:Kubecost)

2021年はKubernetesの採用が爆発的に増え、このクラウドネイティブツールを今では560万ほどのデベロッパーが使っている。前年に比べ67%の増加だ。

Kubernetesはオープンソースのコンテナプロジェクトで、アプリケーションを自動化しモニターし実行するために2014年にGoogleが作ったシステムだ。

Kubernetesはクラウドネイティブのデベロッパーが最も多く使っているツールの1つで、企業が大きくなると扱いが難しくなることもあるが、しかしKubecostはそんな成長痛の一部を、Kubernetesの大きな支出をモニターし、管理し、最適化するオープンソースのツールで軽減しようとする。

同社は2019年に2人の元Google社員、Webb Brown(ウェッブ・ブラウン)氏とAjay Tripathy(アジェイ・トリパシー)氏が創業した。どちらもGoogleのインフラストラクチャーやGoogle Cloudのための、インフラストラクチャモニタリングの仕事をしていた。

「インフラモニターの分野には、コンテナへの本格的な移行に要する費用とパフォーマンスと信頼性をめぐって問題があった。それらのチームは優遇されていたが、支出の可視性は完全に犠牲にされていた。それを数百万人ぶんの給与に例えると、どれだけの額がどの部やどのチームに行くのか分からない、という状態だった」とブラウン氏はいう。

Brown氏の説明では、そういう可視性がなければ、ダウンストリームに起きることも往々にして無駄と見なされる。彼が実際に見た例では、チームが80%も過大支出をしていて、しかもプロダクトの正しいコストを誰も知らなかった。

チームに支出の安全ネットがあって、今後のショックを和らげられるために、Kubecostはリアルタイムの費用可視性と、Kubernetes関連の何百万ドル(何億円)ものクラウド費用を継続的にモニターして軽減するために必要な、インサイトを提供する。

同社のコアプロダクトはオープンソースで、チームが自由に使える。ブラウン氏がいうのだから真実だろう。またエンタープライズ向けの商用プロダクトもあり、その機能は数分でインストールできて、セールスに持ち込まなくても試用や現用ができる。

顧客は情報をKubecostと共有しなくてもよいが、その代わりにその技術はオープンソースの情報を使い、それを顧客の環境に持ち込み、それをクラウドやオンプレミスのデータセンターに統合する。

そこから、情報はリアルタイムで集められて、企業がリソースに支出しているすべての領域と、費用の高騰やその理由を示すインサイトが提供される。それからKubecostは、費用を削減する方法のインサイトを提供し、アラートを送ったり、今後の長期的管理を可能にするポリシーを設定する。

画像クレジット:Kubecost

Kubecostはすでに2000社以上と仕事をしており、そのうち、エンタープライズ級は100社ほどとなる。それは2021年の1年間で3倍になり、エンゲージメントの数は5倍になった。同社が現在管理しているKubernetesの支出は総額20億ドル(約2300億円)ほどに達する。同社の年間経常収益は、前年比で3倍だ。ブラウン氏はKubecostの評価額を明らかにしないが、2021年の5倍だという。

同社を採用する企業がこれまでのペースで増えていくという想定で、同社は2500万ドル(約28億7000万円)のシリーズAを調達した。これをリードしたのはCoatue Management、そしてシード投資家からの参加としてFirst Round CapitalとAfore Capitalの名がある。Coatueのパートナー、David Cahn(デビッド・カーン)氏がKubecostの取締役会に加わる。

この新たな資金は全社的な雇用増に充てられる。Kubecostのルーツはオープンソースだが、ブラウン氏の計画では、そのコミュニティへの相当な投資により、機能をもっと増やしたいという。また、そのエコシステムのその他のプロダクトの統合や、インサイトと最適化の開発も進めたいとのこと。

さらに、Kubecostの管理を他に任せたい顧客企業やチームのために、その付加価値バージョンである「Hosted Kubecost」も開始する。

「全体的にいえるのは、これまではクラウドからコンテナへの本質的で重要な変革の波があり、それはデータセンターからクラウドへの変化よりも大きな変化だと私は認識しています。だからそれは、これからも続くだろう」とブラウン氏はいう。「Kubernetesは今や、モダンなエンタープライズのテクノロジースタックの心臓部です。私たちの計画は、そこに深入りすることによって移行を興し、すべてのアプリケーションをそこから動かせるような高スケールのプロダクトに到達したい」。

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

パーミッションを簡単にするPermit.ioが約7億円を調達

Permit.ioはパーミッションのシステムをプロダクトに組み込むためのフルスタックの認可(Authorization)フレームワークを提供するスタートアップだ。同社は米国時間2月15日、シードラウンドで600万ドル(約6億9400万円)を調達したと発表した。このラウンドを主導したのはNFXで、以前に投資していたRainfall Venturesと多数のエンジェル投資家も参加した。参加したエンジェル投資家にはAqua Securityの共同創業者でCTOのAmir Jerbi(アミール・ジェルビ)氏、Snyk共同創業者のDanny Grander(ダニー・グランダー)氏、LaunchDarklyの共同創業者でCTOのJohn Kodumal(ジョン・コデュマル)氏などがいる。

Permit.ioを創業したのは、Rookoutの共同創業者でCEOだったOr Weis(オー・ウェイス)氏と、FacebookおよびMicrosoftのエンジニアだったAsaf Cohen(アサフ・コーエン)氏だ。

ウェイス氏は筆者に対し、次のように語った。「私はRookoutでアクセスコントロールを5回も作り直しました。1回は仕方ないとして、あとの4回はおそらく無駄ですね。このことをアサフに話すと、2人ともアクセスコントロールを何度もゼロから開発したことをすぐに思い出しました。(中略)すべての開発者をいつも困らせている問題であり、私たちはこれを解決したいと思っています」。

同氏は、この問題がさらに深刻になっていることも指摘した。マイクロサービスが成長し、ユーザーが操作する代わりにお互いに連携しあうアプリの数が増えているのが、その一因だ。

画像クレジット:Permit.io

LaunchDarklyのコデュマル氏は「フィーチャーフラグと同様に、パーミッションは開発者が何度も設定しなくてはならないものでした。Permit.ioによる認可は、この苦労をきっぱりと終わりにします。これを組み込むだけで完了です。シンプルでエレガントで、時間を節約できるソリューションです」と述べている。

Permit.ioはオープンソースのOPALプロジェクトをベースに開発されていて、開発者はこのインフラと開発者向けツールを使って認可を管理できる。さらにバックオフィスサービスで開発者だけでなく組織内のほぼ全員がパーミッションを管理できるようになる。開発者にとってはサービスがコードからポリシーを切り離すので、アクセスポリシーをアプリに明示的に組み込む必要がなく、後々の柔軟性も大幅に増す。

画像クレジット:Permit.io

Permit.ioは認証(Authentication)ではなく認可に特化しているので、Auth0やCognito、Oktaなどのプロバイダとも連携できる。ウェイス氏は「何が標準であるかを社会が合意している認証やアイデンティティ管理とは異なり、認可は現在も進化し変化し続けています。認可に関するスタックはこれからも進化すると考えています。我々がすでに対応しているOpalなどの他、これから対応しようとしているグラフベースのアプローチであるGoogleのZanzibarのようなものもあります。(中略)。進化し続けているものであるため、我々はそうした変革から、そしてその変革についていくことの難しさから顧客を自由にしようとしています。我々のソリューションにより、市場がベストであると判断したものを利用できるのです」と説明した。

NFXのゼネラルパートナーであるGigi Levy-Weiss(ジジ・レヴィ・ワイス)氏は次のように述べている。「Permit.ioの創業チームは、どこが壊れていて修復する必要があるかを見るだけでなく、まったく異なる新しい現実を予見するユニークなビジョンを持っています。現在のエンジニアが何に対処しているか、そして組織に与える影響を理解することで、Permit.ioはエコシステムを再編し、アクセスコントロールを通じて安全に連携するソリューションを構築することができました」。

画像クレジット:Simon McGill / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

オープンソースの3Dコンテンツコラボプラットフォーム、中国Taichi GraphicsがシリーズAで約57.7億円を調達

共同創業者のユアンミン・フー氏とイー・クアン氏(画像クレジット:Taichi Graphics)

長年、中国のオープンソースソフトウェアは開発者から注目されるだけで、リターンを求める投資家からの理解はなかなか得られなかった。しかしついに、欧米のような動きが現れつつある。

資金調達を果たした中国の最新オープンソースプロジェクトが、Taichi Graphics(タイチグラフィックス)だ。同社は創業10カ月のスタートアップで、3Dコンテンツを簡単に制作できるようにすることを目指している。同社は、3Dグラフィックスの制作、共有、リモートでの共同作業をするクラウドベースのプラットフォームで「3DコンテンツのためのFigma(フィグマ)」と表現する「Taitopia」を運営している。このプラットフォームの基盤は同社のオープンソースのプログラミング言語「Taichi」で、3Dビジュアルグラフィックスのような空間的にスパースなデータ構造に対してパフォーマンスの高いコンピューティングを可能にしている。

Taichi GraphicsはSource Code Capital、GGV Capital、BAI Capitalが主導するシリーズAで5000万ドル(約57億7000万円)を調達した。このラウンドには以前に投資したSequoia Capital Chinaも参加した。TechCrunchは同社の事業や評価額について問い合わせている。

Taichi Graphicsの3Dコンテンツプラットフォーム「Taitopia」を利用して、クリエイターはリモートで共同作業ができる(Taichi Graphicsのデモビデオから撮影したスクリーンショット)

同社は、米国で学んだり働いたりしてから中国に戻った中国人が創業したオープンソースソフトウェア企業の1つだ。このような創業者たちは中国市場にフォーカスするというよりは、米中双方での経験を活かして最初から世界のユーザーに向けたプロダクトを作っている。クラウドネイティブのイベントストリーミングプラットフォームで2021年にシリーズBで2300万ドル(約26億5400万円)を調達したStreamNative(ストリームネイティブ)は、Twitterの元従業員が創業し中国と米国の両方で事業を運営している。非構造化データ分析スタートアップのZilliz(ジリズ)も同様の経緯をたどっている

Taichi Graphicsを創業したのは、MITでコンピュータサイエンスの博士号を取得したYuanming Hu(ユアンミン・フー)氏と、Googleに在籍していたYe Kuang(イー・クアン)氏だ。同社は世界の開発者コミュニティで徐々に関心を集めてきた。同社のプロジェクトはGitHubで2021年現在、1万7700個のスターを獲得し、これは2020年の1万2700個からの増加であると同社は説明している。2021年までに10数カ国、152人の開発者がTaichi Graphicsにコントリビュートした。

2019年にTaichiを紹介した論文の中で、フー氏と共同執筆者は3Dコンテンツのコンピューティングにドメイン特化言語が必要である理由を次のように説明している。

3Dビジュアルコンピューティングのデータは空間的にスパースであることが少なくありません。このようなスパース性を利用するために、階層的なスパースデータ構造が開発されてきました。マルチレベルのスパースボクセルグリッド、パーティクル、3Dハッシュテーブルなどです。しかしこのようなハイパフォーマンスなスパースデータ構造の開発や利用は、本質的に複雑でオーバーヘッドであるため難しいものです。我々は、このようなデータ構造に対して効率よくオーサリング、アクセス、メンテナンスをする新しいデータ指向プログラミング言語のTaichiを提案します。

Taishi Graphicsのツールはこれまでに物理的なシミュレーション、AR、AI、ロボティクス、映画やゲームの特殊効果に使用されている。

同社は新たに調達した資金でこの並列プログラミング言語の影響力を強化し、デジタルコンテンツのクリエイター向けツールを開発する計画だ。また、研究開発、プロダクト開発、収益化、戦略、デザインの人材採用も継続する。

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(文:Rita Liao、翻訳:Kaori Koyama)

GitHubがスポンサー専用リポジトリを発表

数年前、GitHub(ギットハブ)はスポンサーシップを導入し、それによって誰もがオープンソース開発者に直接資金的援助を行えるようになった。米国時間2月2日、GitHubはこのコンセプトをさらに推し進め、スポンサー専用のリポジトリ、つまりスポンサーだけがアクセスできるプライベートなリポジトリを立ち上げた

これはある意味、現在のトレンドに沿ったものだ。Twitch(ツイッチ)やSubStack(サブスタック)などのプラットフォームも、結局はスポンサーに何か特別なものを提供することで、サブスクリプションのインセンティブを得ている。だがオープンソースの世界ではそのようなことはあまり例がなく、これはオープンソースの精神に反するものだと考える人もいるかもしれない。

GitHubによると、ここでのアイデアは、資金提供者に対してプロジェクトが構築されていく過程への早期アクセスを提供すること、あるいは、同社が「スポンサーウェア」と呼ぶ、スポンサーのためだけのプロジェクトへのアクセスを提供することだという。開発者はこのリポジトリを利用して、スポンサーとのディスカッションを行うこともできるとのこと。また、開発者が柔軟に対応できるように、特定のリポジトリを異なるスポンサーシップレベルに紐づけることも可能だ。

画像クレジット:GitHub

スポンサー専用リポジトリに加えて、GitHubでは他にもいくつかの細かい変更を行った。例えば、開発者はカスタムスポンサーシップの最低金額を設定できるようになり、スポンサーシップの階層ごとにカスタムウェルカムメッセージを書けるようになる。また、スポンサーシップ対応のリポジトリに新しいコールトゥアクション(CTA)を追加し、プログラムの可視性を高めている。

GitHubのスポンサープロダクトリードであるJessica Lord(ジェシカ・ロード)氏は、2日の発表でこう述べている。「GitHubでのディスカバリー体験を向上させ、コミュニティが依存関係を調べたり、誰をサポートするか決めたりするのを容易にし、スポンサーを利用するメンテナーがオーディエンスやコミュニティ、全体的な資金調達を拡大できるように支援するための今後の取り組みにご期待ください」。

画像クレジット:Michael Short/Bloomberg via Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

リストラから2年経ったDockerが4倍増の年間経常収益を達成してコンテナ化市場にカムバック

2013年に創業したオープンソースのコンテナ企業Dockerにとって、至近の2年は確かに波乱の年だったが、それでもやっと正常な財務基盤を再び見つけたようだ。米国時間2月1日、同社は、最前の年間経常収益(ARR)が前年比で4倍増し、5000万ドル(約57億4000万円)を超えたと発表した。

2019年以降、混迷していた同社にとってそれは見事なカムバックだ。同年、CEOのSteve Singh(スティーブ・シン)氏はその座を去り、短い期間、Rob Bearden(ロブ・ビアーデン)氏に代わった。そのすぐ後に同社は、主な収益源だったエンタープライズ事業を手放し、長い間、役員だったScott Johnston(スコット・ジョンストン)氏はCEOに昇格した。

当時、同社は新たに資金を調達して、出直しすることになっていた。実際のところ同社は、シリーズAの企業としてその投資を受け取った。同時に同社は、開発者を主軸とする新しい戦略を実装し、400名いた社員をわずか60名に減らした。その数カ月後に、パンデミックの第一波が襲った。不安定な時期を乗り切らなければならなかったジョンストン氏にとってそれは、容易な時間ではなかった。

ジョンストン氏は「2019年11月はリスクと不確実の時期だったが、私たちは市場の追い風を信じ、また弊社プロダクトへの開発者の愛を信じて、チーム一丸となってデベロッパーにフォーカスし、優れたプロダクトをお届けするとともに、まっとうなビジネスを築いていった」と述べている。

Dockerはその不確実な中にあって、いくつかの利点を抱えていた。1つは、開発者間における広範なブランド認知であり、アプリケーションのコンテナ化といえばDockerという定評があった。それはソフトウェアを、1つの一枚岩的なアプリケーションではなく、クラウド上の個々のサービスの集まりとしてパッケージし配布する方式だ。

さらに同社には大量のオープンソースのコードがあり、それは営業の糸口にもなりうるものだった。そのため同社の無料のプロダクトのユーザーを有料の顧客に変えていく可能性もあった。ARRの急増から見ると、2021年はまさにその変化が増加傾向で起きたようだ。

初期の構造改革の目標は、ブランドに対するデベロッパーの愛着や信頼を軸として、彼らに無料のオープンソースのプロダクトを提供し、彼らの何割かを時間をかけて有料のプロダクトのユーザーに変えていくというものだった。それは、Docker Enterpriseを主に企業のITに売っていた頃に比べるとまったく違うアプローチであり、デベロッパーとその管理者を顧客の中心に据えるものだった。

この、プロダクトが引っ張る形の成長は商業的にも成功し、管理者たちが関連の商用ツールを買い始めた。「デベロッパーが無料のプロダクトで良い経験をし、チーム全体としてもツールを使うようになると、そこには管理者の機能もあるから、彼らは金を払ってでも使おうという気になる」とジョンストン氏は述べる。

彼はさらに「ブログにも書いている私たちのパフォーマンスの向上は、大きな企業がそんな生産性上の利点を理解しているからこそのものだ。彼らは管理レベルのセキュリティツールを有料で利用し、その全社的な採用を可能にしています」という。

Dockerは2013年に創業し2019年にリストラしたが、そのとき、そのエンタープライズ事業をMirantisに売り、Benchmark CapitalとInsight PartnersがリードするシリーズAで3500万ドル(約40億2000万円)を調達した。そして2021年3月には、2300万ドル(約26億4000万円)のシリーズBを手中に収めた

リストラのとき、私は次のように書いた。「このやり方が有効かまだわからないが、ジョンストン氏はこれを前に進むための道だと見ている。この戦略の有効性は、時間が教えてくれるだろう」。

ARRは5000万ドルを超えたが、陪審員たちはまだ審議中かもしれない。でも確実にいえるのは、同社が正しい方向に向かっているということであり、多くの投資家たちも満足だろう。この勢いを、失わないようにして欲しい。

画像クレジット:Ron Miller/TechCrunch

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)