防災プラットフォームHarborが5.3億を獲得、ハリケーンの通り道の降水量監視や煙感知器の残量なども管理

被害額数千億円規模の自然災害が米国を襲うとCNBCの記事は伝えている。これを書いている時点でさえ、ルイジアナではハリケーンによる地滑りが起こり、北カリフォルニアでは山火事が荒れ狂っている。だがこれらは、ただの大災害に過ぎない。

米国では2018年には130万件の火事が発生(米連邦緊急事態管理局レポート)し、死亡者5人のうち3人近くが、煙感知器が設置されていないか、正しく動作していなかった家で発生した住宅火の犠牲者だ(NEFPAレポート)。

500万ドル(約5億3000万円)のシードラウンドをクローズしたばかりの企業であるHarbor(ハーバー)は、利用者の防災準備を充実させたいと考えている。

10月にローンチ予定の同社の製品は、日常的に災害にゲーム形式で備えられるようにするもの。米国立海洋大気庁(NOAA)、米連邦緊急事態管理局(FEMA)、米国地質調査所(USGS)などの公的機関の公開データや、地形図、建築基準法などを参照し、個々の住宅の状態を正確に把握することで、Harborは家の位置と家の全般的な状態から利用者個人とその財産におよぶリスクを割り出す。

それをもとに同プラットフォームは、防災準備のためのチェックリストを毎週組み立ててくれる。ハリケーンの季節にその通り道になりやすい地域では現在の降水量の監視や、煙感知器の電池の残量は動作状態の確認なども行う。

「私たちは、非常持ち出し袋を買えば済むとは思っていません」とCEOのDan Kessler(ダン・ケスラー)氏。「重要なのは、準備のための行動を起こすことです。防災計画は、非常持ち出し袋よりもずっと重要なのです。たしかに袋も必要ですが、計画がなければ、まったく的外れな内容になってしまいます。問題は、非常に多くの人たちが、特に今まさに山火事が迫っている地域の人たちが、非常持ち出し袋がないと騒ぎ、50ドルのものをAmazonで購入していることです。しかし買っただけで、防災に関しては買う前と何ら変わっていません」

Harborは、最適な防災製品を見繕うなど、災害への備えを手助けしてくれるだけではない。災害を生き抜く方法と、災害後の生活の仕方についても、個別の事情を踏まえたステップ・バイ・ステップの手順で指導してくれる。

Harborはまだ一般には製品を公開していないが、eコマースとアプリのフリーミアム型サブスクリプションとからなる二重のビジネスモデルを準備している。

今回の500万ドルの投資は、企業の設立から投資までをサポートするニューヨークのベンチャースタジオの25madison(トゥエンティーファイブマディソン)の単独支援によるものだ。25madisonは、元Headspace(ヘッドスペース)の幹部であったダン・ケスラー氏を1月にCEOに迎えた。ケスラー氏は、GoogRx(グッドアールエックス)の前CTO、Eduardo Fonseca(エデュアード・フォンセカ)氏を最高技術責任者に迎え入れた。

Harborの従業員は全部で10名。多様性やインクルージョンの状態について、同社は公表を控えているが「ダンと社員たちは、女性や少数派の人たちの数が、諮問委員会も含め、テック業界の平均を超えていることに大変に誇りを持っています」と話していた。

画像クレジット:Harbor

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(翻訳:金井哲夫)

ホース自身のの水力で動く消火ロボットを東北大/八戸高専が開発

ホースを持ち運びするドローンは幻想だったかもしれないが、ホースを動力源とするロボット・ドラゴンは本物だ。この、奇妙だが実用的かもしれない日本のロボットは、燃えているビルの窓から中へ入り込んで、その強力なジェット水流であたりのものすべてを吹き飛ばすだろう。もちろん、自分で自分を操作しながら。

そう、これはインチキ・クラウドファンディングではなくて本物だ。東北大学と八戸工業高等専門学校Yが作ったこのDragonFireFighterは、先月のInternational Conference on Robotics and Automationプレゼンされた

ホースを水栓につないで放水しようとすると、ホースは水の勢いで勝手にのたうち回るが、このロボットはその動きを利用している。すなわちホースが単純なジェットのように動き、水の推力でホースは前進する。だからホースに、方向の異なる複数のノズルを付け、それらを個々に開閉したら、ホースの進む方向を制御できるのではないか?

そう、それが、ホースの力で動くロボットドラゴンの原理だ。

このDragonFireFighterには、ノズルをかぶせた“頭部”と、その下の“首”がある。ホースからの水圧を両者の上のいくつかの噴出口へ向けることによって、安定を保ったり、位置や方向を制御したりできる。

前進するには人間の介入も必要だが、方向を維持したり変えたりするのはロボットからの水の噴射の力だけだ。現時点のこれぐらいの精度でも、実用性はある。このビデオよりももっと可動域が大きかったら、さらに遠くからでも仕事ができそうだ。

すべての水圧を窓へ向けられたら、さらに効果的と思われるが、でも現状で十分役に立つ状況はいくらでもある。

DragonFireFighterは、防火防災のエキスポInternational Fire and Disaster Prevention Exhibition(東京国際消防防災展2018)でも展示された

それともうひとつ、IEEE Spectrum誌上の記事、“Firefighting Robot Snake Flies on Jets of Water.”を忘れてはいけない。


[X Men: First Classより]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

NvidiaがスマートシティプラットホームMetropolis AIでAlibabaやHuaweiとパートナー

NvidiaのスマートシティプラットホームMetropolis AIは、まるでDC Comicsのスーパーマンの漫画にあったような名前だが、実際にはそれはGPUを使用するインテリジェントなモニタリングツールで、渋滞の解消とか、行政サービスの適正配分、迷子の老人や子どもの発見など、さまざまな業務を助ける。このほど同社は、Mtropolisの本格的な普及を目指してAlibabaおよびHuaweiとパートナーし、またMetropolisの一般供用バージョンにはそのSDK、DeepStreamを含めることになった。

Metropolisはビデオを使用し、2020年までには10億台以上の、インターネットに接続されたカメラを世界中の都市に据え付けて、警察や都市計画などあらゆる行政サービスをアシストするデータ分析AIアプリケーションを稼働させる。

Nvidiaは今日北京で行われた同社のGTXカンファレンスで、そんなアプリケーションの一端を紹介した。たとえば中国のHikvision Research Instituteのプロジェクトは、Jetson, Tesla P4, DGX-1といったNvidia製品〔主にディープラーニング関連〕を組み合わせて、顔画像と個人プロフィール情報のマッチングを90%の確度で行う。

こういった監視システムにはオーウェルの‘ビッグブラザー’的な気色悪さがつきまとうが、円滑で安全な都市交通ネットワークのための自動化情報システムが実現するためには、それが必要な第一歩だろう。たとえばAlibabaが考えているのは、都市計画部門における行政サービスの改善だ。またHuaweiなどは、もっぱら警察用アプリケーションに注力している。後者はそれこそ、ビッグブラザー問題を内包するかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

キッチンの電熱器具をスマート化するWallflowerは、火事の発生を未然に防ぐ

消防署にかかってくる家庭の火事の通報は、86秒に一回だそうだ。そして火元は、キッチンが多い。

Wallflowerは、キッチンの電熱器具の電源コンセントに挿入する警報装置だ(上図)。実際に過熱や発火が生じる前に、リスクを知らせる。

電熱器具のスイッチをonにしたまま留守にすると、Wallflowerがユーザーのスマホに通知を送る。実はWallflowerはユーザーの料理の習慣を学び、いつもより長くonになっていると通知するのだ。

今のところWallflowerがチェックするのは電熱器具だけだが、今、ガス用も開発中だ。

キッチン用の火災警報機は今300ドルから600ドルぐらいする。最初からインターネット機能のついたヒーターなどは1500ドルもする。Wallflowerは169ドルで、今日にでも発送してくれる。

Wallflowerは、今ますます増えつつあるスマートホームデバイスの仲間だ。そのカテゴリーは安全と警備。煙検知装置は、Nest Protectをはじめとして、すでにいろいろ商品化されている。しかしWallflowerは、実際に煙などが出る前の予防的装置だ。しかも、器具本体と電源の間に物理的に介入して状況をチェックする。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Googleが自然災害や危機的状況では検索とMapsで特別情報を表示する、その名もSOS Alerts機能

Googleが今日(米国時間7/25)、検索とMapsに、ユーザーがいる地域で自然災害やそのほかの危機が発生しているとき良質な関連情報を提供する機能を導入した。その機能は“SOS Alerts”と呼ばれ、検索結果やMapsのページのトップに事変に関する情報や被害地の情報が表示される。

同社はさまざまな機関と協力し、その中にはRed Cross(赤十字), Federal Emergency Management Agency(連邦緊急事態管理庁), Philippine Atmospheric, Geophysical and Astronomical Services Administration(フィリピン大気地球物理天文局)など多くの情報源が含まれる。

検索では、状況の概要、地図、関連ニュース、緊急時電話番号(がある場合)、Webサイトなどの関連情報源が示される。災害地がユーザーの至近距離内にあるときは、情報源に関する通知も送られる。

Mapsでは、検索と同じ上記の情報が表示されるほか、道路閉鎖や交通情報などが地図上に表示され、情報はリアルタイムで更新される。

この新しい機能は、デスクトップとモバイルWeb、そしてAndroid/iOS用のGoogleアプリの検索、およびモバイルのGoogle Mapsで提供される。

また既存のサービス、Google Person Finder, Google Crisis Map, そしてGoogle Public Alertsなどでも災害危機情報が配布される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

GoTenna Proのメッシュ無線は、救助、火災、セキュリティチームの支援を狙う

コミュニケーションのインフラが、何らかの理由で失われてしまった時に、連絡し続けることができるなら、個人間の場合でも素晴らしいことだが、災害対応、森林火災対応、そして軍事行動の場合にはとても重要なことである。GoTennaは、既存のパッケージに比べて遥かに小さくて軽い新しいProデバイスを、そうした際に役立つ強力で信頼性の高いオフグリッド通信手段として、提供しようとしている。

オリジナルのgoTennaを覚えている人もいるだろう。これは携帯電話とBluetoothで接続されるキャンディ菓子程度の大きさのデバイスで、トランシーバーの周波数を使って、他のgoTennaに接続された携帯電話との間でメッセージやGPS情報を交換することを可能にするものだ。これは、バックパッキングや停電といった状況などで便利なデバイスだ。しかし、goTennaのCEOであるDaniela Perdomoは、より深刻な状況での利用に関心を寄せる利用者たちが、プロダクトの発表後文字通り数分で現れたと語った。

パークレンジャー、消防士、そして貧困地帯や戦闘によって破壊された地帯に赴くNGOたちは、モトローラやBAEそしてロッキードなどが提供する既存のメッシュ無線システムを補完するものとして、goTennaのアイデアを気に入ってくれた。大企業の提供する無線システムは、まずベースステーションを設置し、そこから離れて小さなユニットを人びとが持ち歩くこととで、お互いの通信を可能にする。これで、自分たちのチームだけがアクセスできるネットワークの出来上がりだ。しかしこうしたデバイスは一般に不格好なだけではなく、とてつもなく高価だ。基本的な構成のユニットでも数千ドルの出費を考えなければならない。市場規模は数百億ドルに及ぶ。

「捜索と救助、軍事、援助機関…彼らはこうした機器を毎日使っています。これが彼らの主要な通信モデルなのです」とPerdomoは言う。「しかしそこでは、例え大きなNGOでさえも、高額すぎて買えずにいる場合もあるのです。時には、それぞれのグループや団体が使っている製品が海外では利用できない為に、お互いが協力する際に通信できない場合もあるかも知れません」。

どうやら、真面目な競合相手が求められていたそうしたシステムに対して、Perdomoが名乗りを上げているようだ。

Proは大部分がオリジナルのgoTennaに似通っている。ただし、オリジナルは消費者向けデバイスであったために、(例えばFCCの規制などによって)使える周波数や通信出力などが制限を受けていた。Proは文字通りプロ向けに設計し製造したことで、ソフトウェアで制御される無線機能はVHF並びにUHFの周波数帯(142-175MHz並びに445-480MHz)へのアクセスと、より大きな通信出力(5W)が可能になった。

また、さらなる耐久性と60時間以上の動作が可能な大容量バッテリーが与えられている。またそれはSMAアンテナ標準を採用しているので、そこに大きなアンテナを接続して、特別な基地局なしに数マイルの距離間で通信が可能になる。Proは十分に軽いので、ドローンに搭載することでさらに通信距離を稼ぐことも可能だ。

ある会社はProに興奮するあまり、公式発表の前に記事を書いてしまったほどだった (Perdomoは特に腹を立てなかったようだが)。記事トップに示したTechnosylvaによるイラスト(火災対応ロジスティックスシステム)には、LTEや他のアプリなどの範囲外で、メッシュコミュニケーションがヘリコプターや基地局をカバーし、情報が届く様子が示されている。ここでは沢山の相互運用が行われている。

1つあたり500ドルという価格は、1度に1台ずつではなく、1度に複数台を購入することを可能にするだろう。その価格ならNGOが破産することもなく、軍事用途なら実用上使い捨ても可能だ。音声通信は行えないが、ほとんどの場合にはテキストと位置情報だけで事足りる。とにかく、誰かがこれ以上誰かを通話で呼び出す必要があるだろうか?

ちょっとした難点がある。このデバイスは、業務用または公共安全用無線帯域向けのライセンスを持つ人たちだけに対して、FCCが承認している。こうしたライセンスを所有していない者が、このデバイスを所有することは想定されていない。もちろん正確に言えば、このデバイスを購入すること自体は可能だしかしそれを運用することは、厳密に言えば違法である。

よく言われる事だが、備えあれば憂い無し。なお既にgoTenna Proの事前予約を同社のウェブサイトで行うことができる。

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(翻訳:Sako)

地震の“予報”はまだ無理だが“早期警報”は可能かもしれない、高密度な地震計ネットワークShakeAlertを米西部でテスト中

Italian firefighters and soldier walk amid ruins during operation aiming at reopening the road in Rio, a little village near Amatrice, central Italy two days after a 6.2-magnitude earthquake struck the region killing some 267 people and injuring at least 367 people. 
An increasingly forlorn search for victims of the earthquake that brought carnage to central Italy entered a third day on August 26 but no one has been pulled alive from the piles of collapsed masonry since August 24 evening. / AFP / MARIO LAPORTA        (Photo credit should read MARIO LAPORTA/AFP/Getty Images)

アメリカ地質調査所(United States Geological Survey, USGS)といくつかの大学が協力して、ShakeAlertと呼ばれる地震早期警報システムを作っている。その目標は、地震が起きる10秒前までに警報を提供することだ。まだ一般公開されていないが、目下、カリフォルニア、オレゴン、ワシントンの三州でテストを行っている

プロジェクトのリーダーの一人でカリフォルニア大学バークリー校地震研究所の所長、そして地球惑星科学科の学科長でもあるRichard Allenは語る: “同様の地震早期警報システムのテストを、イタリアのIrpinia(イルピニア)地方でナポリ大学が行っている”。

水曜日(8月24日)にイタリア中部で、マグニチュード6.2の地震が発生し、イタリアのメディアによれば今日(米国時間8/26)現在で死者数は281名へと増えている。

Allenは本誌の取材に対して、ShakeAlertは地震を予報するシステムではない、と語った。「水曜日にロサンゼルスで地震が発生します」、というのが‘予報’だが、Allenによると彼らのプロジェクトは地震の予報はできない。“近い将来に地震の予報が可能になることは期待できない、という点で多くの地震学者の考えは一致するだろう”、とAllenは語る。

むしろ私たちは、今何ができるかを考えるべきだ。そこに、ShakeAlertのようなものの出番がある。このシステムは、地震が約10秒後に起きる、と警報する。プロジェクトの関係者たちは、警報を自分のスマートフォンで受け取る。

Allenの説明によると、われわれは地震が突然起きると考えがちだが、実はその動きが到達するまでに一定の時間がかかる。ShakeAlertは、地中に埋めた複数の地震計(地震センサー)のネットワークを利用する。計器が地中の動きを記録して、そのデータをバークリーやUSGS、またはカリフォルニア工科大学に送る。地震計のネットワークが密であればあるほど、観測の精度は高い。

“ベイエリア〔サンフランシスコ周辺〕では、間隔が10から20キロメートルぐらいだ”、とAllenは語る。“カリフォルニアのそのほかの地域は、計器の密度がもっと粗い”、という。カリフォルニア全域でセンサーの数は550、内約200がベイエリア、200がロサンゼルス周辺、その他が州全域だ。これらが、警報システムのプロトタイプを構成している。

このシステムの構築には、国と州の両方がお金を出している。8月15日にUSGSは、地震早期警報システムShakeAlertの実用化への移行のための研究に6つの大学に370万ドルを助成する、と発表した。Allenの試算では、構築には3800万ドルを要し、各年の運用費用が1610万ドルだそうだ。

Allenは曰く、“近い将来、みんなのスマートフォンに警報が行くようにしたい。2018年には特定の地域で、少数の住民による本番利用を開始したい。そこには、これまでよりもっと密度の高い地震計ネットワークを整備するだろう”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))