電動スクーターシェアのSpinが欧州に進出、まずはドイツからスタート

Spin(スピン)はドイツでスクーターシェアリング事業を開始した。米国企業のSpinにとって、欧州に進出する最初のステップとなる。

2018年に約1億ドル(約107億円)でFord(フォード)に買収されたSpinはドイツのケルンでサービスを開始し、数週間以内にドルトムントやエッセンでも展開する計画だ。Spinによると、米国でもサービス展開都市を拡大していて、まずはアトランタから開始する。同社は詳細を明らかにしなかったが、その他の都市でも展開される予定だ。

Spinの欧州進出は、新型コロナウイルス(COVID-19)が経済に大打撃を与える前の今年初めから計画されてきた。2020年初め、電動スクーター企業にとって欧州は格好の夏季サービス競争地にみえた。LimeやBird、Circ、スウェーデンのスタートアップVoi、そしてドイツのスタートアップTierを含む欧州、米国拠点の企業はマーケットシェアを争っていた。Voiは欧州40都市でサービスを展開し、Tierは56都市に拡大していた。アムステルダム拠点のDottも参戦してた。そうした中でSpinは今年2月に欧州進出を発表した。

その後すぐに欧州と北米で新型コロナウイルスの感染が拡大し、マイクロモビリティにブレーキがかかった。パンデミックにより多くのスクーターやバイクのシェアリング企業がサービスの一時停止、あるいは撤退すら余儀なくされた。

電動スクーターのスタートアップはいま、欧州に戻りつつある。欧州は米国よりも電動スクーターが浸透していて、経済性もいい。

Spinはまずはドイツの一部で開始する。というのも、最近同社とYouGovが実施した調査で、電動スクーターがドイツで人気の交通手段になりそうであることが示されたからだ。ドイツで行われた調査の対象者の50%近くが通勤や近所へのちょっとした移動の手段として1人乗りの乗り物をすでに使用しているか、使用する計画だと回答した。

「混んでいない環境で通勤する必要性が高まるにつれ、マイクロモビリティが世界中でかなり受け入れられている」とCEOで共同創業者のDerrick Ko(デリック・コー)氏は声明で述べた。

Spinはドイツ以外にも進出する計画だと述べた。同社はフランスのリヨンとパリでの営業許可を申請し、バーミンガムやリバプール、ロンドン、マンチェスターといったいくつかの英国の都市での電動スクーターレンタル試験プログラムの提案書を提出した。

同社は許可されていた米国のいくつかの都市でオペレーションを続け、新型コロナウイルスのパンデミック中はヘルスケアワーカーに無料乗車を提供した。そして今月、14都市でサービスを再開し、現在は25都市で展開している。

「Spinスクーターはレジャー活動のためというより、ユーティリティとしてこれまで以上に使用されている」と会長で共同創業者のEuwyn Poon (エオウィン・プーン)氏は声明で指摘した。「公共交通機関はサービスをカットしていて、Spinはそこをサポートしようとしている」

プーン氏によると、4月以降、新規デイリーアクティブユーザーは毎週平均34%増えている。スクーター使用時間も44%増え、5月には1回あたり24分と過去最高を記録した。

画像クレジット: Spin

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(翻訳:Mizoguchi

メイドイン和歌山の公道走れる電動キックボードがMakuakeに、開始1時間で目標金額400万円を突破

和歌山を拠点とするglafitは5月28日、国内製造の電動キックボード「X-SCOOTER LOM」のクラウドファンディングをMakuakeで開始した。本日15時から出資を募っているが、同日17時の時点で500万円以上が集まっており、目標金額の400万をすでに突破している。

X-SCOOTER LOMは、公道での走行を前提として設計・開発された国産の電動キックボード(電動スクーター)。国内の現行法では電動キックボードは電動アシスト自転車などが分類される軽車両ではなく原動機付自転車と見なされるため、海外製の安価なキックボードは歩道はもちろん車道を走ると道路交通法違反となる。

LOMは現行法では第一種原動機付自転車に分類され、ヘッドライト、前後左右のウィンカー、後部ブレーキランプ、反射板などを装備。車両登録を済ませて本体にナンバープレートを装着すれば、原付免許保有者は公道を走行可能だ。だだし、走れるのは車道のみで歩道を走ると法律違反になるので注意したい。

一般的な電動キックボードは、両足を縦方向に垂直に乗せて走行するが、LOMでは段差などでの転倒を回避するため両足を横方向に平行にそろえて乗車できるように設計されている。また、前輪12インチ、後輪10インチの大経タイヤを装備することで走行時の安定度も高めている。

1回の充電で約40kmの走行が可能。速度は時速25km以上のHigh、時速25kmのMid、時速10kmのEcoの3モードから選べる。オプションでは、1回の充電で約60kmを走行できる大容量バッテリーもある。

ソフトウェア面では、パナソニックとの共同実証実験から誕生したバッテリー管理システムを採用しており、乗車を繰り返すことで航続距離や電池残量を専用のスマートフォンアプリでチェックすることが可能だ。なお専用アプリでは、キーコードをシェアすることで、原付免許を持つ家族や友人などに一時的に貸し出すこともできる。
本体の主な仕様は以下のとおり。

  • サイズ(走行時):幅570×奥行き1050×高さ1150mm
  • サイズ(折り畳み時):幅350×奥行き1050×高さ600mm
  • 重さ:14.0kg(本体)、2.5kg(標準バッテリー)
  • 対荷重:100kgまで
  • タイヤ:前輪12インチ、後輪10インチ
  • 充電時間:5時間前後
  • 走行距離:約40km(標準バッテリー満充電状態、荷重55kgの場合の理論値)
  • 本体色:ホワイト、モカベージュ、スカイブルー、マットブラック

標準バッテリーを含めた総重量は16.5kgとなるが、折り畳むことで頑張れば小脇に抱えられるサイズになる。

電動キックボードから始める日本型マイクロモビリティ、“全ての人の移動の自由”を目指すLuupの挑戦

提供:Luup

「日本は豊かだ。だが、50年後、100年後を見据えると、どうだろうか。高齢者が人口の3分の1になったり、人口も1億人を割り、5000万人くらいになってしまうという試算もある。長期的な課題は山積みだ。なので、事業を立ち上げるならば、50年後、100年後に、ちゃんとインフラになっているものを作りたいと思った」(Luup代表取締役社⻑兼CEO、岡井大輝氏)

電動キックボードは近未来的な便利な乗り物としてのハードウェアに注目が集まりがちだが、代表取締役社⻑兼CEOの岡井大輝氏が率いるLuupが目指すのは、その機体を使ったシェアリング事業「LUUP」の提供を通じて、全ての人の移動の自由を実現すること。ユーザーはアプリを使い、事業者が設置した電動キックボードを検索し、利用する。解錠や支払いもアプリで行う。

電動キックボードは今や世界中で注目を浴びている。LimeやBirdといった米大手の事業者が説明するところの「環境に優しい」、「車での移動を減らし渋滞を緩和できる」、「女性でも気軽に乗れる」など、他の乗り物にはない利点があるからだ。だが一方で、事故に関する報道も目立ち、安全性を懸念する声も少なくはない。

現在、日本における「安心で安全」な電動キックボードのシェアリング事業の“あり方”を模索しているLuup。同社は実証実験を重ねることにより、この国に最も適した状態でサービスの提供を開始することを目指している。TechCrunch Japanでは、マイクロモビリティ推進協議会の会長も務める岡井氏に、同社が目指す“日本の移動の未来”について話を聞いた。

Luup代表取締役社⻑兼CEO、岡井大輝氏

Luupが解決したい課題

岡井氏はLuupを創業後、オンデマンドの「介護士版Uber」のような事業を立ち上げていた。数時間だけ働きたい主婦や元看護師らを、必要としている家庭と繋ぐマッチングサービスだ。だが、岡井氏はこの事業を断念。日本の現在の交通の仕組みでは、“人が人の元に行く”C2C事業が成り立たちにくいと考えたからだ。

「『移動のインフラを作りたい』ということが先行しているわけではない。『介護士版Uber』のようなサービスが当然のように成り立つ社会を作りたいと思い、現在の事業に至った」(岡井氏)

移動のインフラを作る上で、なぜ電動キックボードを選んだのか。岡井氏は2018年にベイエリアを訪れた際、いわゆる“ブーム”に乗っかるような若者だけではなく、主婦、女性や、子供の頃にキックボードに乗っていなかったと思われる世代までもが日常的に電動キックボードを利用している姿を目の当たりにし、「これは(日本でも)乗られる」と感じたという。

そんなLuupが目指す「移動のインフラ」とは、既存の公共交通機関と重ならない領域における移動手段だ。岡井氏は「JRが太い動脈を引いてくれたと思っている。その毛細血管を僕たちが作っていく」と説明。そんなLuupにとって、数キロメートル程度の短距離の移動に最適な電動キックボードを使用することは当然の流れだと言えるだろう。

懸念されている安全性に関しても、電動キックボードだからこそ力を発揮できる部分もある。IoTの力により、「事故多発エリアでは機体を停止」、「特定の危険エリアではスピードを遅く」、といった制御が可能だからだ。持続可能な移動インフラに構築を目指すLuupは、官庁はもちろんのこと、地域との会話を何よりも重視している。自治体や地元の警察は、例えば「どこでどれくらいの事故が起きているのか」や、混雑しやすいエリア、時間帯を理解している。ニーズの理解、そしてデータの共有によって、各地域のニーズに応じた、安心で安全なシェアリング事業が成り立つ。

地域と話を進める中、海外のように電動キックボードを街中に無造作に配置するのではなく、駐輪ポートに機体を設置する形でのシェアリング事業展開を求める声が多かった、と岡井氏。日本ではほとんどの国民が駅やバス停、駐車場から、乗り物での移動を始めるため、そのような場所に駐輪ポートを設置するのが現実的と思われる。そして同氏いわく、自動運転の社会実装後も、「ドアからドア」のシームレスな移動の恩恵を、必ずしも“全ての人”が間も無く受けられるとは限らない。そのため、Luupでは自動運転車や電車を降りた後の移動手段を、高齢者や障がいを持つ人たちに提供していきたいと考えている。機体も2輪だけでなく、3輪、4輪、そしてシート付きの4輪も用意。高齢者向けの機体に関しては、常時ブレーキがかかっている状態になっているなど、高齢者による安全な利用を重視した設計になっている。

「高齢者が下り坂を走行する際に(通常の電動キックボードを操作するように)少しづつブレーキをかけるのは不可能だ。握力も少なく、判断も難しい。高齢者向けの機体に関してはIoTにも気を使っており、転倒した時や、あらかじめ家族が設定したエリアから離れた場合は、家族にアラートが飛ぶような形にしようと考えている」(岡井氏)

Luupは11月5日、埼玉県秩父郡横瀬町にある秩父自動車学校にて、住民の高齢者を対象とした電動キックボードの試乗会を実施した。

Luupでは高齢者や障がいのある方の他にも、訪日外国人観光客のサービス利用を想定。人口の都市への集中、そして地方の過疎化は世界中で起こっており、ここ日本も例外ではない。だが一方で、インバウンド訪問者は急増。政府の「明日の日本を支える観光ビジョン」では、2030年までに訪日外国人旅行者数を6000万人に増やすことが目標として掲げられている。その際に、地方を訪れるインバウンド訪問者に、どのような交通手段を提供すべきだろうか。岡井氏は、ピーク時のみ人が流れ込む地方において、バスでは採算が合わず、そもそも「人がいない」地域において、ライドシェアは難しいと考えている。一方、世界中にユーザーがいる電動キックボードであれば、インバウンド訪問者の移動ニーズを満たす事ができるのではないか。

電動キックボードのシェアリング事業、提供開始に向けて

Luupが目指すのは、あくまでも電動のマイクロモビリティによる移動の自由。同社に電動キックボードというハードウェアに対する執着心はないが、その機体を使ったシェアリングサービスを提供開始することで、目標に向け、踏み出す。Luupはこれまで、日本の各地で多くの実証実験を行ってきた。サービスの提供開始に向けて、安心で安全な電動キックボードのシェアリング事業のあり方を模索している最中だ。

ここ日本では、電動キックボードが公道を走るには、ナンバープレート、バックミラー、ウインカー、ヘッドライトなど、国土交通省が定める保安部品を取り付け、原動機付自転車登録をし、免許証を携帯する必要がある。日本の現行規制上では、電動キックボードは原付自転車として扱われるからだ。

法制度の背景もあり、岡井氏は、Luupが日本で電動キックボードのシェアリング事業を展開するには「完全なるローカライゼーション」が必要だと話す。原付としてであれば、「対話なし」に今すぐにでも公道を走れるわけだが、同氏はそれは論外だと言う。サービス提供の開始は「必ず自治体と話をした上で」(岡井氏)。

車道は世界中で同じ規格だが、歩道は市区町村単位で違う。「なので、国ごと、市区町村ごとのローカライゼーションが必要。(電動キックボードの走行が)この街だと車道のみで歩道は不可、この街は車道も不可で自転車レーンは可、みたいなものを市区町村ごとに決めていくべき。そして日本において、課題の中心にあるのは高齢者の移動。高齢者が利用できることがマスト。でなければ、人々にとって協力する理由はない。『楽しいからやろう』は道理として通らない」(岡井氏)

Luupは最近では、事業者が規制官庁の認定を受けた実証を行い、得られた情報やデータをもとに規制の見直しに繋げていく「規制のサンドボックス制度」に認定された実証を、横浜国立大学の常盤台キャンパス内の一部区域で行っている。だが、岡井氏にとってサンドボックス制度は、あくまでもサービス提供に向けた「手段の1つ」。どういう場所では安全か、どういう場所では危険か、実証データを可能な限り多く貯めていき、それをもとに、何がどう、なぜ懸念で、逆になぜ自転車であれば問題ないのか、といった議論を進めていくのが本筋だと同氏は言う。

「座組としては、国家戦略特区もあれば、サンドボックス制度もある。それ以外にも、(道路使用許可をいただいて埼玉県横瀬町での実証実験が終わっているが)、様々な選択肢がある。だが、結果はどれも一緒。ちゃんと実証をし、その上で関係省庁と対話するしかない。それこそが王道。誰かを騙したり別の圧力などで(規制を)緩和したとしても、その後に負が生まれるだけだ」(岡井氏)

長期的なビジョン、目指すは地元と自動車メーカーを繋ぐ架け橋

Luupの運営する事業は、大きく分けて2つ。国内の電動キックボードのシェアリング事業であるLUUPと、ゴルフ場やリゾートホテルなど大きな私有地に多くの機体を卸すB2B事業だ。同社は機体を、自社で日本に合った要件として企画し、工場にOEMで依頼する形で、「自社製造」している。だが、長期的には、製造の部分に関してはメーカーに譲り、オペレーションに特化していく予定だ。

「将来的には、2輪、4輪(の機体)はメーカーが作るべきだと思っている。自治体やメーカーと話を重ね、地元と自動車メーカーを繋ぐ架け橋になりたい。Luupのサービスだったら、『ちゃんと朝、充電されている』、『便利だけど、あまり放置されていない』、『ちょっと危ない運転をするとペナルティで乗れなくなる』など、オペレーション面での“エクセレント”を強みにしていきたい。エクセレントの定義は、地元が求める水準にちゃんと合わせること。それが僕たちの役割だと思っている」(岡井氏)

電動キックボードのLuupとmobby ride、規制緩和に向け“規制官庁の認定を受けた”シェアリング実証へ

日本で電動キックボードのシェアリング事業の社会実装を目指すLuupmobby rideの2社は10月17日、規制の見直しに向け、規制官庁の認定を受けた実証を行うことを発表した。Luupは12月までを実証期間とし、横浜国立大学の常盤台キャンパス内の一部区域で電動キックボードのシェアリング実証を。mobby rideは10月24日に九州大学の伊都キャンパス内で同社の「mobby」の実証を開始する。

この両社の実証計画は17日、「規制のサンドボックス制度」に認定された。規制のサンドボックス制度は、事業者が規制官庁の認定を受けた実証を行い、得られた情報やデータをもとに規制の見直しに繋げていく制度だ。

日本の現行規制上では、電動キックボードは原付自転車として扱われる。そのため、公道で走行するには国土交通省が定める保安部品を取り付け、原動付自転車登録をし、免許証を携帯する必要がある。だが、国や地域によってルールに差があるものの、電動キックボード事業が普及し人気を集めている理由は「アプリで機体を探し解錠して乗るだけという」という手軽さだ。免許証の携帯が必要性の場合、ユーザーを限定してしまう。加えて、原付自転車としての扱いの場合、車道のみ走行可であり路側帯には入れないため、また、車と比較し速度が遅いため、安全面が懸念される。単に公道を走れる状態にした電動キックボードも販売されているが、前述の理由などから、これではいつ事故が起きてもおかしくない、との指摘もある。

一方、Luupがメインの事業として目指しているのは販売ではなく、自治体と連携し「街の機能の1つ」としての役割を果たすシェアリング事業だ。同社はテクノロジーにより「歩道か車道、どちらを走行しているか」などは検知できるが、「どのような道がどれくらい危ないか」の知見はない、と代表取締役兼CEOの岡井大輝氏は話す。だが、自治体や地元の警察はどこでどれくらいの事故が起きているかや、混雑しやすいエリアや時間帯を理解している。そのため、「望ましくない特定の状況下ではサービスを提供しない」などとし、街、そして利用者にとって安心で安全なサービスを展開するには、自治体との連携が不可欠だと岡井氏は言う。

Luup、そして同じくシェアリング事業の社会実装を目指すmobby rideの2社のテックカンパニーは、「日本における電動キックボード事業のあり方」を模索している最中だ。そのような2社にとって、これまでに行なってきた実証実験や体験会とは違った、大学構内で行う自動車や歩行者が通るなど実際の公道に近い形で電動キックボードのシェアリング事業の実証は、大きな意味を持つだろう。

Luupは「電動キックボードのシェアリング事業の安全な社会実装」にはどのような走行条件が必要なのか、走行データを取得し、主務省庁に提出する。そうした上で、関係省庁と継続的な協議を行いながら、「サービス内容や機体、走行状況のあり方」の検討を進める。mobby rideは「検証結果および関係官庁からの見解をもって、福岡市内での公道走行に向けて国をはじめとする関係各所と協議してまいります」としている。

規制のサンドボックス制度は2018年6月に施行された「生産性向上特別措置法」に基づき、「新しい技術やビジネスモデルを用いた事業活動を促進するため」創設された。実証後、「当該実証計画に規定された新技術等関係規定を所管」する大臣は、規制の特例措置の整備および適用の状況、諸外国における同様の規制の状況、技術の進歩の状況を踏まえ検討を加え、規制の撤廃や緩和に必要な法制上の措置やその他の措置を講ずるものとされている。

シェアリング事業でない電動キックボードに存在意義はあるのか

Makuakeで先行発売中の「Kintone α GO」

日本ではLuupやmobby ride、mymerit、加えて海外のキープレイヤーであるLimeやBirdなどのスタートアップが、実証実験などを通じて電動キックボードのシェアリング事業の本格的な社会実装を目指している。

だが、この国には「所有」から「共有」へのシフトという国際的なトレンドを逆行するプレイヤーも存在する。Makuakeで「Kintone α GO」の先行販売を開始したKintoneだ。

Kintone α GOは電動キックボードに国土交通省が定める保安部品を取り付け、原動付自転車登録を可能に。そうすることで、日本の公道を走行できるようにした。

一方でシェアリング事業の展開を目指す各社は現在、サービス提供の開始を目指し、超保守的とも言えるほど街や自治体との連携体制を重要視している。電動キックボードは海外では事故に関する報道なども目立つため、慎重に話を進めなければ満たすべきニーズも満たせなくなってしまうからだ。

Luupは4月、浜松市、奈良市、四日市市、多摩市、横瀬町との連携協定を締結した際に、「まずは電動キックボードの安全性や利便性の検証のために実証実験を行って参ります」とプレスリリースに綴った。LimeとBirdは「国家戦略区特区制度」を活用し電動キックボードの普及を加速できないかと考える福岡市で実証実験を行い、同市でのサービスインを目指し奮闘中だ。

KintoneのMakuakeのプロジェクトは、同社いわく開始から約30分で目標金額の50万円に到達。10月15日現在、「集まっている金額」は1200万円を超えているなど、注目を集めているのは確かだ。マイクロモビリティ推進協議会の会長も務めるLuup代表の岡井大輝氏は9月10日のプレスリリースで「電動キックボードは、世界で普及が進む一方で、日本の社会においてどういった形での実装が最も安全で望ましいのかが分かっていない状況です」と述べているが、単に公道での走行を可能にしたKintoneの電動キックボードは、果たして社会からの理解や市民権は得られるのだろうか。

そして、以前にTechCrunch Japanの取材に応じたLimeCEOBrad Baoは、同社の電動キックボード事業はシェアリングモデルである点がキモであり、所有せずに必要な時にいつでもアプリから機体を探すことができるという利便性がユーザーに愛されており、事業の急成長に繋がっていると説明した。Kintoneは「世界のスタンダードになっている『新しい移動の体験』を提供したいと考え、道路交通法に適合したモデルの開発に至りました」としている。電動であるがゆえにエコであり短距離移動を便利にするマイクロモビリティのソリューションであるという点は他社と変わりないが、もし重さ10kgだというKintone α GOを常備するユーザーが増えたとしても、「世界のスタンダードになっている」電動キックボードのシェアリング事業の本格的な展開は日本ではまだ先の話だ。

電動キックボードBirdがシリーズDで約290億円の資金調達、狙いは海外展開の強化

電動キックボード事業を展開するBirdは10月3日、2億7500万ドル(約290億円)をシリーズDで調達したことを明かした。リードはCDPQとSequoia Capital。バリュエーションは25億ドル(約2670億円)。

同日にTechCrunchが主催するDisruptにて登壇したBirdのCEOのTravis VanderZanden氏は、調達した資金をもとに同社が「より多くの街に展開していく」と話した。Birdは8月、同社にとっては日本での初となる実証実験を福岡市で実施しているが、VanderZanden氏から日本での今後の展開に関して言及はなかった。「ヨーロッパに関しては引き続き注力していく」という。「Birdとそのミッションを出来るだけ早く世界に届けたい」(VanderZanden氏)。

6月に発表されたScootの買収に関して「1つのブランドになる予定は?」と聞かれたVanderZanden氏は「Scootブランドは残す」と答えた。同氏いわく、Scootの強みは「街との協力体制の構築が巧み」な点。9月にはJUMP、Lime、Scoot、Spinの4事業者が、10月15日よりサンフランシスコで電動キックボードを展開する許可を得られたとTechCrunchが報じた。この時Birdが許可を申請しなかったのは、Scootを買収していたから。ちなみに、前回は許可を得られたSkipは、今回は残念ながら許可を得られなかった。ハードウェアの安全性に関するスコアが低かったとサンフランシスコの市営交通機関は説明している。

Birdは電動キックボードのシェアリング以外にも、ハードウェアの販売や月額のサブスクを展開している。「車の所有」は当たり前だが、マイクロモビリティーはまだまだ「フレッシュスタート」であるため、様々な選択肢を用意しているという。

様々な選択肢は、ハードウェア面でも用意されている。8月には最新の電動キックボードのBird Twoが発表されたが、それ以上に印象的だったのは6月に発表されたBird Cruiserだ。

Bird Cruiser

Bird Cruiserは2人乗りの、自転車とモペット(ペダル付きオートバイ)の中間のような電動の乗り物。VanderZanden氏によると、電動キックボードは1〜2マイル(1.6〜3.2Km)、そしてBird Cruiserは2〜5マイル(3.2〜8Km)の移動に適しているそうだ。そして、Bird Cruiserは電動キックボードに乗るのを躊躇する、中高年の利用も想定している。「車の稼働を削減する」と繰り返したVanderZanden氏。Birdは利用方法やハードウェアの多様性により、車よりも環境に優しいマイクロモビリティーを定番化しようと試みている。

電動キックボードのLimeが日本に初上陸、全国的な展開を視野に、まずは福岡市でのサービス提供を目指す

左から、デジタルガレージ取締役の大熊将人氏、Limeアジア太平洋地域の政府戦略および政策責任者のミチェル・プライス氏、DGインキュベーションのマネージング・パートナーのテレンス・ジャン氏、Limeアジア太平洋地域進出ディレクターのジョージ・モリソン氏。

アメリカ発の電動キックボードの大手Lime(ライム)が日本に初上陸。同社は9月7日と8日の2日間、福岡市の貝塚交通公園にて実証実験を行なった。この実証実験はLime、デジタルガレージ、KDDIが主催し、福岡市が協力。デジタルガレージとKDDIはLimeに出資している。Limeは今後、福岡市でサービス提供を開始し、その先は日本各地に展開していくことを目指す。

LimeのCEO、ブラッド・バオ氏は以前にインタビューで「日本は最も参入しにくい市場だが、最もポテンシャルのある市場でもある」と述べていた。9月7日に実証実験を訪れたところ、同社のアジア太平洋地域の政府戦略および政策責任者のミチェル・プライス氏もTechCrunch Japanの取材に対し、バオ氏同様に「日本は注力市場だ」と語った。

プライス氏いわく、同社が日本において最優先する目標は福岡市でのサービス開始。同氏は「日本の各地に展開する準備はできているが、まずは福岡市だ」と意気込み、「今後も実証実験を行っていくことで、人々に電動キックボードに慣れ親しんでいただきたい」と加えた。

福岡市長の高島宗一郎氏は2月、内閣府での国家戦略特区会議にて、福岡における電動キックボードの規制緩和を提案。そのため、他都市よりも先に、福岡市でのサービス開始が見込めるとLimeは考えているようだ。

日本にはLuup(ループ)やmobby(モビー)、WIND(ウィンド)、ema(エマ)などの競合が存在し、8月31日と9月1日には同じくアメリカ大手のBirdが貝塚交通公園にて実証実験を開催した。だが、プライス氏は「(Limeが)グローバルリーダーだ」と話すなど、強気だ。「我々のキックボードは市場に出回っているどの機種よりも優れている。Limeのキックボードは最も大きく、強く、そして安全だ」(プライス氏)。

Limeはハードウェアを自社でデザインし、製造している。プライス氏いわく、キックボードは「コンピューターのようなもの」。福岡市での実証実験でも使用された電動キックボード「Generation 3.0」の特徴は、ホイールが大きく、前輪にはサスペンションがあり、デッキ下にバッテリーを積むなどすることにより重心が安定しやすいよう設計されている点だとプライス氏は説明した。自社製造していることで機体のモニタリングやトラッキング、そしてアップグレードなどをより頻繁に、かつ簡単に行える。加えてもちろん、オペレーションも自社で行う。日本でも求人を開始した。

Limeの電動キックボード「Generation 3.0」。実証実験では20台ほどが使用された。

「Limeは電動キックボードのデザイン、製造、デプロイし、全てのプロセスをマネージする唯一の企業だ」(プライス氏)。

だが、各国での展開において、他社と協力して規制を緩和し、協力していくのがLimeの姿勢。プライス氏いわく、ドイツでは今年、電動キックボード利用に関する法律が定められたことで免許証なしで利用ができるようになったが、それに関しても他社との協力により成し遂げられた。日本展開においても、LimeはデジタルガレージやKDDIによるサポートは必要不可欠であり、日本のスタートアップなどとの連携も重要視していると考えている。

デジタルガレージ取締役の大熊将人氏は「業界全体を盛り上げていくことが重要。(他社と)協力しながらやっていきたい」と話す。「敵対視をする気は全くない。業界で一枚岩となり、規制の緩和に向け働きかけることが重要」(大熊氏)。国内電動キックボード事業者を中心とした、Luup、AnyPay、Zコーポレーション、mymerit、紀尾井町戦略研究所による「マイクロモビリティ推進協議会」にLimeが加わることも考えられるかもしれない。

Limeは日本展開の第一歩を踏み出したばかりだが、プライス氏は今後に関してかなり野心的だ。「対話を進めていく」ことが次のステップだと、あくまで慎重な姿勢を見せつつも「ある人物と『東京五輪までに電動キックボードがあれば素晴らしくないか』という話をした」と加えた。

「日本には海外から多くの人々が訪れることとなる。フランスやドイツ、アメリカ、オーストラリアなどから来る旅行者は既にLimeアプリをダウンロード済み。そして彼らは優れた移動のオプションの利用を熱望しているはずだ。電動キックボードは渋滞を緩和し、人々の移動を楽にする優れたソリューションだと考えている」(プライス氏)

DGインキュベーションのマネージング・パートナー、テレンス・ジャン氏は「東京オリンピックは決して東京だけでなく、日本中が盛り上がる祭典だ。旅行者は日本各地に訪れる」とプライス氏の発言にに付け足した。「Limeは多くの都市で同時に実証実験を行える。それは他社にはできない強みだと考えている」(ジャン氏)

電動キックボードのBirdが日本での初の実証実験、サービス提供を目指し「福岡市と密接に取り組む」

Birdの世界進出担当シニアマネージャー、Sam Kernan-Schloss氏

Uber(ウーバー)がディスラプトできなかった国、日本。同社は2015年2月にライドシェアの検証実験を開始したが、無許可でタクシー業を行う「白タク」を禁止する道路運送法に抵触する可能性があるとして国土交通省から「待った」をかけられたのち、わずか1ヵ月ほどで中止した。以後、ここ日本においてライドシェアは全く定着していない状況だ。

8月31日に福岡市で実証実験を開始した米の電動キックボードのパイオニアであるBird(バード)はそんなUberの失敗から学んでいるようだった。Birdにとっては今回が日本での初となる実証実験。この実証実験は、Birdと住友商事が福岡市との協力のもと行なっている。当日、実証実験の開始前に報道陣の前で挨拶をしたBirdの世界進出担当シニアマネージャーのSam Kernan-Schloss氏は「福岡市との密接な協力体制」を強調していた。また、同社は規制について深く理解した上で慎重に実証実験を行なっていくスタンスだ。

「Birdではミッションとして、世界中の都市をより活性化し、人々の自動車の利用を軽減することで交通渋滞を緩和しCO2の排出量を減らすことを掲げてきている。この実証実験では住友商事、そして福岡市と密接に取り組む。我々が提供する環境に優しいモビリティーの選択肢を福岡市の皆様に提供できるようになることを心待ちにしている」(Kernan-Schloss氏)。

BirdのCEO、Travis VanderZanden氏はプレスリリースで「実証実験を通じ(福岡)市民は、我々の提供する持続可能な交通手段が福岡市のインフラにシームレスに統合することが可能だと知ることができる。また、我々が、利用しやすく人々の移動を便利にし、かつ渋滞を悪化させないマイクロモビリティーのソリューションを提供可能だということを、直接、体験することができる」とコメントしている。

また、米国のBird本社にコメントを求めたところ、担当者からは「現在、日本において電動キックボードは道路交通法の規定により原付バイク扱いとなり、車道を走行する場合は、様々な装備が必要となることは承知している。福岡市は日本で初めて(電動キックボード)に関する規制を緩和する都市になろうとしている」とのコメントを得られた。福岡市長の高島宗一郎氏は2月、内閣府での国家戦略特区会議にて、福岡における電動キックボードの規制緩和を提案している。

日本では電動キックボードのシェアリングサービスのLuupが8月20日、埼玉県横瀬町の「埼玉県県民の森」にて、立教大学の観光学部舛谷ゼミと共同で実証実験を実施。この実証実験が同社いわく「国内初の公道での実証」となるなど、日本でも電動キックボードに関する取り組みが加速してきている。

9月7日より、同じく福岡市の貝塚交通公園にてBirdの競合、Lime(ライム)が実証実験を開始する。LimeのCEO、Brad Bao氏はインタビューで「日本は最も参入しにくい市場だが、最もポテンシャルのある市場でもある」と述べていたが、住友商事いわく、Birdも「日本を注力市場と捉えている」。Birdは福岡市での実証実験が他エリアでのトライアルにも繋がることを期待しているようだ。

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電動キックボードのLimeが上陸へ「日本は参入が最も難しく、最もポテンシャルが大きい市場」

LimeのCEO、Brad Bao(ブラッド・バオ)氏

電動キックボード事業を展開するLime(ライム)は早ければ今年中に日本市場に参入する。同社のCEOのBrad Bao(ブラッド・バオ)氏がTechCrunch Japanとの取材で明かした。

日本といえば規制大国。電動キックボードを取り巻く環境についても例外なく厳しい。

Limeは出資を受けているデジタルガレージとともに日本展開に向け準備しているが、なぜ日本で電動キックボードのシェアリングサービスの展開を目指すのだろうか。「Limeは日本での電動キックボードの普及に大いに貢献できる」と意気込むバオ氏に、電動キックボードとマイクロモビリティーの日本における可能性について話を聞いた。

電動キックボードの“社会的な意義”

ライドシェアやカーシェアリング、自転車のシェアリングなど、近年、様々な移動のオプションが誕生してきた。だが、そんな中でも電動キックボードのシェアが圧倒的に拡大している理由は、混雑を緩和できる、時間を節約できる、環境に優しい、など、「他の乗り物にはない利点」が多く存在するからだとバオ氏は説明する。

バオ氏はKinzon Capitalの代表パートナーでもある。モビリティ領域を研究する中、Uberのようなライドシェアに注目していたが、「Uberにより交通渋滞や環境汚染が改善されるわけではない」と気付き、2017年にLimeを共同創業する。創業から約2年だが、同社はこれまでに7.77億ドル(約844億円)調達し、バリュエーションは24億ドル(約2600億円)だ。

「車やUberを使っても交通渋滞に引っかかってしまうので、毎日のように同僚と『今日も渋滞はヒドかった』と会話をすることになる。だからこそ、苦しみ続けながら繰り返し文句を言うのではなく、何らかのアクションを取る必要があった。単に『短距離移動』にビジネスチャンスを見出しただけではなく、社会的意義を感じてこの事業を立ち上げた」(バオ氏)。

LimeはこれまでにLime BikeやLime Transit Podなども展開しているが、現在注力しているのが電動キックボード。

Limeが4月に発表したレポートによると、「車でなくLimeを利用することで、ユーザーは1日26ドル節約でき、年間200kgものCO2を削減できる」。同社いわく、Limeはこれまで90万ガロンものガソリンを節約。これは1700台の車が一年間稼働しなかった際に節約できるガソリンの量と同等だ。

加えて、National Household Travel Surveyが2010年にリリースした調査結果によると、車や自転車の利用を含む全ての移動の40%が2マイル以下、そして1マイル以下の移動の60%は車、ピックアップトラックやSUVなどの自家用車によるもの。そのため、移動の多くは車でなく電動キックボードで済む、とも言えるだろう。

車以外の選択肢だと、電動キックボード以外にも自転車シェアリングなどがあるが、自転車はドックまで取りに行く必要があるうえ、最悪必要時にすべて貸し出されていることも。その点、アプリでその辺に転がっている電動キックボードを探すのは比較的楽だ。

また、電動キックボードは「自転車と違い、どんな服でも乗ることが可能」。バオ氏いわく、「性別や年齢を問わず乗りこなすことができるため、自転車と比べて女性の利用者の率が高い」。確かに、スカートを履いている場合やスーツをきている場合などには、自転車よりも電動キックボードのほうが乗りやすいだろう。

同社が3月にリリースしたレポートによると、Limeユーザーの33%は女性。一方、通勤で自転車を利用する人たちのうち28%が女性。大差ないように思えるが、バオ氏いわくこの差は今後も開いていく見込みだ。

電動キックボードの王者、Limeは日本をどう見ているのか

日本の規制が厳しいことはバオ氏も十分に理解している。だが、同氏はそれ以上に「可能性」を日本に見出しているようだった。

「日本は最も参入しにくい市場だが、最もポテンシャルのある市場でもある」(バオ氏)。

展開する場所は現段階では定かではないが、地方都市で実証実験を行なった末、いずれは「ビッグチャンス」である東京での展開も視野にある。

「日本は都心部の人口密度が非常に高く、交通機関は混雑しており、シェアリングサービスが活躍できる。加えて、我々はサービスを提供し利益を得るだけでなく、『新たなライフスタイル』を提案することが重要だと考えている。より環境に優しく、効率的で楽しく。そして東京のような街は文化的な影響力が強い。他の街や国へ文化が伝わっていく」(バオ氏)。

バオ氏いわく、東京では高いタクシーに金を出すか、駅で電車を待つしか選択肢がないため、Limeの電動キックボードは大いに活躍することができるという。東京、もとい日本にはUberなどのライドシェアもないも当然。

なぜ他社の日本参入よりもLimeの上陸のほうが「電動キックボードの普及・定着」に大きな意味があるのか。バオ氏は、それはこれまでLimeが都市と「データをシェア」することで業界をリードしてきたからだと話す。

「そのデータをもとに、都市はキックボードの設置エリアなどを検討する。このようなデータは街は持っていないし、プライベートカンパニーは従来、シェアすることを拒んできた」(バオ氏)。

Limeでは乗車位置や降車位置のほか、交通状況、ホットスポットなどに関するデータも蓄積している。

「プラニングのため、街と情報をシェアしたり、安全のためのキャンペーンや低所得層やスマホを持っていない人たち、クレジットカードを持っていない人たちでも利用できるようにしている。日本では現金がよく使われているが、すでにソリューションはある」(バオ氏)。

そして「Limeは世界中の地下鉄やバスなどの交通機関との連携してきた。そして我々はあくまでラストワンマイルに最も適したソリューションを提供している」と同氏は加えた。

現在は日本には電動キックボードに特化した規制はなく、道路交通法の規定により公道の走行には一定の制約がある。具体的には、国内では原付バイクと見なされるため、前照灯、番号灯、方向指示器などを搭載しないと公道は走れない。利用者は、原付バイクの免許の携帯とヘルメットの着用が必須となる。

だが、バオ氏は「我々が交渉した街や政府は変化に対し柔軟な姿勢だった」と話し、「UberLyft、そしてその他のサービスがあったからこそ、ライドシェアが盛り上がった」ように、他のローカルプレイヤーと連携することで電動キックボードの普及に貢献し、海外では実現してきた規制緩和を日本でも現実のものとすることを誓った。

現在、日本では、電動キックボードのシェアリングサービス「LUUP(ループ)」が、将来的な実装に向け「安全性・利便性を検証する実証実験」を7月1日より浜松市と開始したほか、同様の事業を展開するmobby rideが福岡市での実証実験に続き神戸市にて体験会を8月9日に開催するなどと発表している。

ユーザーの安全のために2018年11月より半年間で25万個ものヘルメットを世界中に無料配布すると宣言したり、飲酒運転を阻止するべく対策を練っているというLime。

バオ氏は「あくまでも規制は厳守する」と繰り返し、規制や他社の介入をディスラプトするのではなく、あくまでも「業界のリーダー」として日本での電動キックボードの普及に貢献すると誓った。

「デジタルガレージやローカルチームと協力し、ローンチまでに市場の分析を進めていく」(バオ氏)。

電動キックボードのBirdが2人乗りの電動「クルーザー」を発表

Bird Cruiser

電動キックボードのシェアリング事業で知られるBirdはアメリカ時間6月4日、自転車とモペットの中間のような電動の乗り物、Bird Cruiserを発表した。同社が「シートあり」の乗り物を発表するのはこれが初となる。

Bird Cruiserのパッド付きシートには大人が2人まで乗ることができる。電動アシストもしくはペグの2択が用意されており、油圧式ディスクブレーキと52Vのバッテリーを装備している。タイヤは20インチで、フルサスペンション。電動キックボードよりも乗り心地は良さそうだ。

Bird Cruiserがシェアリング事業で展開されることは確認できているが、1299ドルの電動キックボードBird Oneのように一般販売されるかについては発表されていない。

Bird One

Bird Cruiserは今夏より少数のテストマーケットにて展開される予定だ。

Birdの創業者でCEOのTravis VanderZanden氏は以下のようにコメントしている。

「『街をより住みやすくする』という我々のミッションをさらに加速させるべく、私たちはBird Cruiserを含む環境に優しいマイクロモビリティの選択肢を増やしてきている。今夏より、人々は車に乗ることなく、共に、街を移動したり新たなエリアを探索することができるようになる。カリフォルニアでデザインされ設計されたBird Cruiserは、親しみやすく乗りやすい、でこぼこ道でも快適な電動のオプションだ」