Dropboxがビジネス向けと家庭向けの新機能を大量投入

Dropbox(ドロップボックス)は以前から、ファイルの保存、共有、共同作業のためのサービスとして知られてきたが、同社はその垣根を乗り越え、ユーザー、とくに有料コースであるDropbox Plusの利用者にさらなる利便性を提供しようと考えている。これには、パスワードの管理、オンライン保管庫、コンピューターの完全なバックアップなどが含まれる。同社はこれらの新機能投入に加え、ビジネスユーザー向けのアップデートも複数実施している。

まずDropboxは、私たちの生活全般に深く結びついた大量のパスワードの管理を手助けしようと考えた。これは、LastPass(ラストパス)や1Password(ワンパスワード)のパスワード管理事業の領域に足を踏み入れるということだ。ご想像のとおり、パスワード管理機能は私たちのパスワードをすべて保管し、パスワードの自動入力を行ってくれる。

Dropboxはまた、オンライン保管庫の事業にも参入する。基本的には、大切な書類を保管する安全な場所を提供するという、昔からある貸金庫のようなサービスだ。遺書や保険証書といった重要書類をそこに保管しておき、万一のときには信頼できる家族がアクセスできるよう暗証番号を共有できる。

さらに同社は、バックアップ事業にも参入する。Dropbox Plusのユーザーは、定期的に自分のPCまたはMacの全体的なバックアップが取れるようになり、コンピューターを失ったときや、マシンが完全にお釈迦になってしまったときにデータを呼び戻すことができる。

Dropbox Plusユーザーは、間もなくコンピューターの完全なバックアップが可能になる(画像クレジット:Box)

現在、これらの機能はまだベータ版だが、数週間以内にDropbox Plusのユーザーが利用できるようになると同社は話している。Dropbox Plusは月額9.99ドルで2テラバイトのストレージと、その他数多くの機能が利用できる(日本では月額1200円)。

さらに、Dropbox Businessのユーザーは、去年買収したHelloSign(ハローサイン)の電子署名機能も使えるようになる。当然の流れとしてDropboxは、HelloSignをデフォルトの電子署名ソリューションに位置付け、ユーザーがDropboxから外に出ることなく、書類の送付、署名、返却が楽にできるよにしようと考えている。この機能は間もなくプライベート・ベータ版がリリースされ、来月には一般に公開されると同社は話している。

しかもDropboxは、Google Docs、Slack、Zoomなど、ビジネスユーザーがDropboxに簡単に統合できる他社のクラウドサービスを探せるApp Center(アプリセンター)も新たに開設する。

最後に、一般のホームユーザーの生活を快適にするため、家族6名までが利用できるファミリーアカウントを導入する。ファミリーアカウントでは、家族写真や重要書類などのアイテムを共有できる共通のストレージと、各自用に個別のストレージが利用できる。最初はDropbox Plusの機能として提供されるが、今年後半にはより広いユーザーにも使えるようになるとのことだ。

かなりの数の新機能だが、これはDropbox製品ファミリーの利便性を広げるためにデザインされたものであり、Dropboxユーザーがひとつの製品で仕事と家庭とのバランスが取れた利用を可能にするものだ。同時に、無料コースに対して有料コースに大きな差別化をもたらすものでもある。

Dropbox、e署名とワークフローのHelloSignを2.3億ドルで買収(日本語訳)


画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

PDFベースの共同編集・電子署名サービスのAnvilがグーグル系VCから5億円超を調達

リモートワークによってオフィスが必要とするツールは、複数のミーティングを横断する非同期の通信やチャットに変わってきたが、コラボレーションはチャットの簡素な小さな泡の中で完結するものばかりではない。

米国サンフランシスコのスタートアップAnvilは、企業のコラボレーションのかたちをささやかなPDFで変えようとしている。AnvilのオートメーションプラットホームはGoogle Formsをレベルアップして退屈なPDFを動的なフォームでデジタイズし、これまで複数のソフトウェアを使ってアクセスしていた複数のプロセスを統一する。ユーザーはこのプラットホームを利用して、ペンを手に持つことなくドキュメントの作成、共有、書き込み、署名、記入、ダウンロードなどができる。

米国時間6月3日、AnvilはGoogleのGradient Venturesがリードするシードラウンドで500万ドル(約5億4500万円)のシード資金を調達したことを発表した。同社はDocuSignなどと競合するが、AnvilのCEOであるMang-Git Ng(メン-ギット・ウン)氏によると、確かにDocuSignは「ドキュメントの完成と実行の面では優れているが、ドキュメントを実際に作るという部分が弱い」という。AnvilはDocuSignをすでに使っている顧客のニーズに応じて、Anvilのサービスを彼らのワークフローに統合できる。しかしDocuSignのワークフローをAnvilが部分的に再製して、ドキュメントオートメーションのエンドツーエンドのソリューションを構築することもできる。

Anvilは当初、ウェルスマネジメントや銀行を顧客として狙っている。料金は、個々のプロジェクトベース、または月額99ドルから始まるサブスクリプションプランだ。

Anvilのチーム

同社は最近、ある銀行をパートナーとして、新型コロナウイルス関連の中小企業救済事業であるPaycheck Protection Program(PPP)の申請用ポータルを作ったとき、同社サービスの立ち上げてすぐに使える迅速軽快ぶりを自らテストしてみた。ウン氏によると、そのときSunrise Bankの顧客は総額1億2700万ドル(約138億円)のPPPローンを申請し、Anvilがその作業を手伝った。そのときの体験を同氏は「それは私たちにとってあわただしい体験だった。申請内容に関する最初の会話からデプロイまで、6日を要した」、と語っている。

新型コロナウイルスのパンデミックは、確かに紙を使う処理のデジタル化を加速している。ウン氏によると、多くの企業がリモートになっていくにつれて同社への関心も急増し、特に新人研修やコンプライアンス、社内アプリケーションなどの分野ではペーパーワークをもっとコラボレーション可能にしデジタルフレンドリーにしたいという新しいニーズも生じている。

同氏は「今見えている全体的なトレンドとしては、これらの業界の人びとがデジタル化をもっと前向きに考えるようになっているが、しかし一般的に言えば、大企業でこのトレンドの最前線にいる人たちは効率の向上と費用の節約が最大の関心だ。でもロックダウンになってからは、それらをリモートでやる方法を考えなければならないし、リモートで仕事をするためのソリューションが最前線の課題になっている」と説明する。

Anvilのシードラウンドには、Citi Ventures、Menlo Ventures、Financial Venture Studio、および122 Westが参加した。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Dropbox、e署名とワークフローのHelloSignを2.3億ドルで買収

今日(米国時間1/28)、 DropboxHelloSignを買収することを発表した。HelloSignは電子署名と軽量のドキュメント・ワークフロー・サービスを提供するスタートアップで、買収価格は2億3000万ドルだったという。

Dropboxのエンジニアリング担当副社長、Quentin Clarkは「この買収は単にDropboxのサービスに電子署名機能を追加するだけでない」という。2017年にHelloSignが追加したワークフロー機能が買収の本当の鍵だったという。ClarkはTechCrunchの取材に対して次のように述べた。

HelloSignのユニークな点は、APIやワークフロー製品への投資が、われわれの長期的な方向性と非常によく一致している点にある。Dropboxに機能が増えるというのに留まらず、幅広いビジョンの下にわれわれの事業を拡張していくために役立つ。現在のDropboxソリューションの核心はストレージ機能だが、われわれは長期的にこれを拡大していくビジョンを持っている。

Dropboxが昨年追加したエクステンション機能もこの文脈で見る必要がある。実際にHelloSignはDropboxエクステンションのローンチ時点で機能を提供した企業の1つだった。。 Clarkによると、同社は引き続きDropboxソリューションの拡張をサードパーティーに求めていくが、今日の買収により他社との提携を必要としない独自機能が提供され、すでにエクステンションを介してDropboxに連携されているという。
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インテグレーションのスピードアップ

Deep Analysisのファウンダー、プリンシパルアナリストのAlan Pelz-Sharpeは、この市場を長年モニターしてきたベテランだが、「HelloSignがエクステンション・サービスのパートナーであることが重要。買収した企業を本体に統合することが通常の場合よりはるかにスピードアップされる。また大企業以外の企業では大部分の文書がオフラインで個別処理されている。HelloSignが不動産、保険、顧客社員関係などの一般的なソリューションに加えて、すでにDropboxの既存のエクステンション機能を備えている。このためHelloSignの各機能がDropboxの事業拡大にすばやく利用できることを意味している」という。

Pelz-Sharpeは、買収金額からするとDropboxがこうした能力を強く欲していたことが推定できると付け加えた。「財務指標からすると非常に高い価格だがこうした急成長分野における有望スタートアップの買収としては不合理な金額ではない。同時にここまで価格がアップしたことは他にもHelloSignの買収に意欲的な企業があったことがほぼ確実に推定できる」と述べた。

HelloSignのCEO、Joseph Wallaは、同社のブログ記事でこう述べている。

Dropboxのメンバーとなることで、HelloSignが上場大企業のリソースにアクセスできるようになり、これまでよりいっそう広い市場に参入できるようになる。Dropboxと連携させることで、幅広い顧客によりシームレスなドキュメントワークフローを提供し、われわれのソリューションのインパクトの拡大を劇的に加速することができるだろう。

HelloSignは独立を維持する

元Box、元EMC Documentumで現在はHelloSignのCOO、Whitney Bouckは「われわれは後も独立したブランドとして運営される」と述べた。つまりHelloSignはDropboxファミリーのメンバーとなるが、運営形態は現状のままということだ。またClarkはHelloSignの社員全員がDropboxで雇用されることを保障するのが買収条件の一環だったと示唆している。【略】

エンタープライズワークフローを専門とするConstellation Researchのアナリスト、Alan Lepofskyは、「HelloSign買収でDropboxは有力なエンタープライズ向けワークフローツールを獲得したわけだが、エンタープライズのドキュメント管理に高い実績、ノウハウを持つWhitney Bouckをスカウトできたのも大きなボーナスだ」と述べた。また 「これはもちろん人材獲得のための買収ではないが、Dropboxは、エンタープライズ向けにサービスを拡大する事業分野ですでにリーダーと認められているWhitney Bouckを獲得することにも成功した。Bouckは彼女の以前の雇用者であるBoxとの競争でDropboxに大きな助けになる可能性がある」 とLepofskyはTechCrunchに述べた。

DropboxのClarkは、「現在のエクステンションとは別にHelloSignの機能ををDropbox本体にバンドルしていくかは具体的に説明するには時期が早すぎる」と語った。しかしClarkはHelloSignが独自の顧客を持つ独立ブランドとして運営されていても、両社それぞれのプロダクトを統合する方法を見出すだろうと期待してると述べた。

HelloSignはサンフランシスコを本拠として2011に創業したスタートアップだが、これまでに1600万ドルしか資金調達を行っていない。今回の買収は投資家には大きなリターンを約束するものだし、もちろんHelloSignにとっても理想的なエグジット(現金化)となった。

買収手続きは2019年第1四半期中に完了できる見込みだという。通常どおり、規制当局による承認を必要とする。


(日本版)恋人がデートに契約文書とスキャナー、携帯発電機を持ってやってきた。なんでスキャナー? HelloSign使えば? というCM(音に注意) DropboxのHelloSignエクステンションを利用すれば契約書をDropboxに保存して関係者の電子署名を求めることができるという。

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滑川海彦@Facebook Google+

Dropboxが電子署名機能を追加しようとしている?ユーザー調査が示唆

Dropboxによって最近送られたユーザー調査は、同社がDropbox Professional製品に電子署名機能を追加することを検討していることを明らかにした。その機能は単に“E-Signature from Dropbox”という名前で参照されている。調査のポイントは、ユーザーはそのような製品を使いたいのか、どれ位の頻度でそう思うのか、そして他のものに比べて、それはDropbox体験に価値を付け加えると思うかどうか、といった点に対するフィードバックを得ようとしたものだ。

調査だけではその機能が実際に動作しているかどうかは確認できないが、Dropboxがそのプロフェッショナル製品について、どのように考えているかは示している。

同社のE-Signatureに関する説明によると、この機能は「あなたとあなたのクライアントにとってシンプルで直感的な電子署名体験」を提供し、「わずか数回のクリック」で署名をして貰うために文書を送ることができるという。

この場合、文書を受け取り署名をするクライアントは、Dropboxユーザーである必要はないと調査票は説明している。そして製品は署名ワークフローの全てのステップにおける更新状況を提供する。例えば、文書が開かれたことの通知や警告、クライアントが疑問を持っているかどうか、そしていつ文書が署名されたかなどだ。署名された文書が返信された後は、ユーザーは署名済の文書へのアクセスが簡単にできるように、自分のDropboxのアカウントへ受信する、と同社は説明している。

Dropboxは、製品に関する一般的なフィードバックを求めることに加えて、調査回答者たちに、Adobe e-Sign、DocuSign、HelloSign、そしてPandaDocなどについても質問し、同時に直接対面や郵便による文書の送付などの従来型の手法の利用についても尋ねている。

今日市場に多数の選択肢があることを考えると、Dropboxがそのような製品の開発をさらに進めて、実際に開始することを選択するかどうかは不明瞭である。しかし、もし本当にそうした場合には、独自のE-Signatureサービスを持つ利点は、その機能がDropbox全体の製品体験に、より緊密に組み込まれるということだ。また、より多くのビジネスユーザーに対して、基本消費者アカウントからProfessional層へのアップグレードを促す可能性もあるだろう。

この種の直接統合は、Dropboxのビジネス・ワークフローのコンテキストで意味を発揮するものだ。例えば、ある企業が契約ワークフローを進めている場合、コンテキストを変更することなく署名フェーズに移行できる(あるいはDropboxを使用しないユーザーと共有できる)ならば、単に文書を保存できるだけよりも、遥かに素晴らしい価値が加わることになる。

Dropboxのような企業は、純粋なストレージ提供を超えて、特に顧客が仕事を完了するためにアプリケーションを離れることなく、共同作業を行いコンテンツを共有する能力を提供する手段を探し続けてきた。タスク切り替えなしで仕事をできるこうした機能は、DropboxがDropbox Paperで取り組んできたものだ。

彼らがこのようなソリューションをどのように実装するのかはまだわからないが、既存のベンダーと提携するか、小さな企業を買収することの方が、機能をゼロから構築するよりは合理的な例かもしれない。まあひとつの簡単な調査だけでは、彼らの現時点での究極の目標ははっきりしないのだが。

Dropboxはコメントに対するリクエストにはまだ応答していない。

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(翻訳:sako)

紙へのサインを不要にする電子署名プラットフォームのHelloSignが1600万ドルを調達

電子署名プラットフォームのHelloSignは、Foundry GroupとZach Coeliusの主導する1600万ドルの資金調達ラウンドを発表した。Greylock Partners、US Venture Partners、そしてTien Tzuoも参加している。

2010年以来サンフランシスコを拠点としてきた同社は、外部資金をほとんど調達して来なかったため、今回の調達をシリーズBと呼んでいる。COOであるWhitney Bouckは、ビジネスのキャッシュフローはプラスであり、これは「私たちには本来は必要がなかったラウンドだ」と強調した。とはいえ彼らは、この機会にFoundry GroupのRyan McIntyreが取締役会に参加することを歓迎している。

競合相手であるDocusignとAdobe Signは、サブスクリプションベースで5万5000社にサービスを提供している。彼らは、基本機能を無料で利用する消費者を含む、プラットフォームの利用者が700万人を超えているものと推定している。

「フリーミアム製品」は「参入障壁をとても低くしてくれます」と、CEOのJoseph WallaはTechCrunchに語った。「誰でも月に3つまでの文書に無料で利用することができます」彼はBoxやDropboxが提供する体験と比較しながら語った。

ドキュメントの署名と共有に加えて、彼らは最近、PDFフォームを編集しやすいデジタルファイルに変換するHelloWorksを導入した。

「APIは私たちが本当に注力している点です」とBouck。彼女は「電子署名の世界のTwilioまたはStripe」(どちらもAPIを使ったプラットフォーム提供会社)になりたいと語った。

Foundry GroupのRyan McIntyreは彼らがHelloSignに投資した理由をこう語る「彼らは小さなチームで大きな仕事を成し遂げることができました、そこが私たちにとって最大のビジネスチャンスと映ったのです。私たちは、電子署名の市場が急速に成長するポジションにあって、その中でHelloSignが優位な立場にあることは明らかだと信じています。彼らは敏捷で、野心的で、驚くほど革新的なのです」。

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(翻訳:Sako)